(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135078
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プレス加工装置
(51)【国際特許分類】
B30B 1/26 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B30B1/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045591
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 秀剛
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA02
4E090CC03
4E090CD02
(57)【要約】
【課題】プレス加工装置を簡素な構成としながらも、その寿命を向上させる。
【解決手段】プレス加工装置1は、回転軸5と、回転軸5に設けられる第一カム6と、第一カム6に対して位相がずれた状態で回転軸5に設けられる第二カム7と、第一カム6及び第二カム7によって上下方向Yに同時に駆動されるスライド8と、を備える。スライド8は、第一カム6により第一の力点P1が作用する第一スライド部10と、第二カム7により第二の力点P2が作用する第二スライド部11と、を備える。第一の力点P1と、第二の力点P2とは、回転軸5を挟んで幅方向Xの一方側と他方側とに離れた位置に作用する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸に設けられる第一カムと、前記第一カムに対して位相がずれた状態で前記回転軸に設けられる第二カムと、前記第一カム及び前記第二カムによって上下方向に同時に駆動されるスライドと、を備えるプレス加工装置であって、
前記スライドは、前記第一カムにより第一の力点が作用する第一スライド部と、前記第二カムにより第二の力点が作用する第二スライド部と、を備え、
前記第一の力点と、前記第二の力点とが、前記回転軸を挟んで幅方向の一方側と他方側とに離れた位置に作用することを特徴とするプレス加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
板金加工等に使用される機械式のプレス加工装置としては、作動機構の違いにより、リンクプレス、クランクプレス、ナックルジョイントプレス、摩擦プレス、カムプレス等の種々の形式のものが使用されている。
【0003】
このうち、カムプレス式の加工装置は、カムを用いた簡素な構造を有することから、小型化が可能であり、装置の製造コスト低減の効果が高いという利点を有する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、カムプレス式の加工装置をより簡素化させるにあたり、以下のような問題点を見出した。この問題点について、
図10を参照しながら説明する。
【0006】
図10(a)~
図10(c)に示すプレス加工装置101は、プレス機構102と、プレス型103とを備える。プレス機構102は、回転軸104と、回転軸104に設けられたカム105と、カム105によって駆動されるスライド106と、スライド106を上下方向Yに沿って案内するガイド107と、を備える。なお、以下の説明では、上下方向Yに直交する水平方向を幅方向Xという。
【0007】
カム105は、円板状に構成され、その幾何学中心からずれた位置に回転中心を有する偏心カムである。カム105は、その回転中心が回転軸104の軸心と一致するように、回転軸104に取り付けられている。
【0008】
スライド106は、カム105に接触する上スライド部106a及び下スライド部106bを有する。上スライド部106aは、スライド106を下降させる場合にカム105によって押圧される。下スライド部106bは、スライド106を上昇させる場合にカム105によって押圧される。
【0009】
ガイド107は、スライド106の外面に接触しており、カム105によって押圧されるスライド106を上下方向Yに沿って案内する。
【0010】
プレス型103は、上型103aと、下型103bとを備える。上型103aは、スライド106の下部に固定されている。下型103bは上型103aの下方に位置している。
【0011】
以下、上記構成のプレス加工装置101の動作について説明する。
図10(a)は、加工開始前のプレス加工装置101を示す。この状態では、カム105は、スライド106の上スライド部106aに接触しており、スライド106を下降しないように支持している。スライド106に支持される上型103aは、上死点に位置している。
【0012】
図10(b)に示すように、カム105は、回転軸104によって時計回りに回転駆動される。この回転により、カム105は、下スライド部106bを滑り接触により押圧し、スライド106を下降させる。これにより、上型103aが下型103bに接近する。
【0013】
図10(c)に示すように、カム105がさらに回転することで、スライド106がさらに下降する。上型103aは、下型103bに嵌合し、下死点に到達する。これにより、下型103bに設置されるワーク(図示せず)が加工される。
【0014】
図10(b)及び
図10(c)に示すように、カム105が上型103aを上死点から下死点まで移動させる間に、カム105と下スライド部106bとの接触位置が変化する。
図10(b)に示すように、スライド106を下降させる途中の状態では、カム105が下スライド部106bに接触する点(力点)Pは、カム105の回転中心を通る中心線CLから幅方向Xの一方側にずれた位置にある。
【0015】
このように、カム105の押圧力がプレス機構102の中心線CLから幅方向Xの一方側のみにずれた位置で作用すると、プレス機構102に偏荷重が生じてしまい、プレス加工装置101の寿命の低下を招くという問題があった。
【0016】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、プレス加工装置を簡素な構成としながらも、その寿命を向上させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、回転軸と、前記回転軸に設けられる第一カムと、前記第一カムに対して位相がずれた状態で前記回転軸に設けられる第二カムと、前記第一カム及び前記第二カムによって上下方向に同時に駆動されるスライドと、を備えるプレス加工装置であって、前記スライドは、前記第一カムにより第一の力点が作用する第一スライド部と、前記第二カムにより第二の力点が作用する第二スライド部と、を備え、前記第一の力点と、前記第二の力点とが、前記回転軸を挟んで幅方向の一方側と他方側とに離れた位置に作用することを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、第一カムにより第一スライド部に作用する第一の力点と、第二カムにより第二スライド部に作用する第二の力点とが、回転軸を挟んで幅方向の一方側と他方側とに離れていることで、スライドに対してバランス良く押圧力を作用させることができる。これにより、スライドに偏荷重が作用することを防止し、プレス加工装置の寿命を向上させることができる。さらに、第一カムと第二カムとを一つの回転軸に設けることで、プレス加工装置を簡素な構成とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プレス加工装置を簡素な構成としながらも、その寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】
図1のII-II矢視線に係る断面図である。
【
図6】プレス加工装置の第一スライド部の動作を示す断面図である。
【
図7】プレス加工装置の第二スライド部の動作を示す断面図である。
【
図8】プレス加工装置の他の例を示す平面図である。
【
図9】プレス加工装置の他の例を示す平面図である。
【
図10】本発明の課題を説明するためのプレス加工装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1乃至
図9は、本発明に係るプレス加工装置の一実施形態を示す。
【0022】
図1及び
図2に示すように、プレス加工装置1は、プレス機構2と、プレス型3と、駆動装置4と、を備える。
【0023】
プレス機構2は、回転軸5と、回転軸5に設けられるカム6,7と、カム6,7によって駆動されるスライド8と、スライド8を上下方向Yに沿って案内するガイド9と、を備える。
【0024】
回転軸5は、駆動装置4に連結されており、その軸心O1まわりに回転可能に構成される。回転軸5は、その中途部においてカム6,7を回転自在に支持している。回転軸5は、その軸心方向AD(
図1参照)が上下方向Yに直交し、かつ幅方向Xに直交するように配されている。以下の説明では、回転軸5の軸心O1を通り、上下方向Yに沿って引かれた線をプレス機構2の中心線CLという(
図2参照)。
【0025】
図1乃至
図3に示すように、カム6,7は、第一カム6と、第二カム7とを含む。各カム6,7は、円板状に構成されるが、この形状に限定されない。各カム6,7は、その外周にカム面6a,7aを有する。各カム6,7は、その幾何学中心から半径方向にずれた位置に回転中心を有する偏心カムにより構成される。各カム6,7は、その回転中心が回転軸5の軸心O1と一致するように、回転軸5に取り付けられている。
【0026】
図1に示すように、第一カム6と第二カム7は、回転軸5の軸心方向ADにおいて相互に隣接するように配置されている。この構成に限らず、第一カム6と第二カム7は、回転軸5の軸心方向ADにおいて離れて位置してもよい。
【0027】
図3に示すように、第一カム6と第二カム7とは、位相がずれた状態で回転軸5に設けられている。本実施形態において、第一カム6と第二カム7との位相差θ1は、例えば90°である。第一カム6と第二カム7との位相差θ1は、本実施形態に限定されない。
【0028】
各カム6,7は、リンク部材を介することなく、直接的にスライド8を操作することができる。スライド8は、第一カム6に接触する第一スライド部10と、第二カム7に接触する第二スライド部11とを有する。第一スライド部10と第二スライド部11は、第一カム6と第二カム7との位置に対応するように、回転軸5の軸心方向ADにおいて隣接するように、スライド8の内部に形成されている。
【0029】
図2及び
図4に示すように、各スライド部10,11は、各カム6,7が滑り接触するスライド面10a,10b,11a,11bを有する。スライド面10a,10b,11a,11bは、上スライド面10a,11a及び下スライド面10b,11bを含む。スライド面10a,10b,11a,11bは、正面視(
図2、
図4)において直線状に構成される平坦な面である。各スライド面10a,10b,11a,11bは、上下方向Y又は幅方向Xに対して所定の角度で傾斜している。上スライド面10a,11aと下スライド面10b,11bとは一定間隔で離れており、その間にカム6,7を収容する空間が形成されている。
【0030】
第一スライド部10の上スライド面10a及び第二スライド部11の上スライド面11aは、スライド8を上昇させる場合に、第一カム6及び第二カム7によって同時に押圧される。第一スライド部10の下スライド面10b及び第二スライド部11の下スライド面11bは、スライド8を下降させる場合に、第一カム6及び第二カム7によって同時に押圧される。
【0031】
図4に示すように、第一スライド部10の上スライド面10aと下スライド面10bとは、平行に構成されている。本実施形態において、各スライド面10a,10bの水平方向(幅方向X)に対する傾斜角度θ2a,θ2bは、例えば45°であるが、この角度に限定されない。
【0032】
図4に示すように、第一スライド部10の上スライド面10aと下スライド面10bとは、中心線CLを挟んで、幅方向Xの一方側と他方側とに分かれて位置している。以下、スライド8における幅方向Xの一方側の領域を第一領域A1といい、他方側の領域を第二領域A2という。第一スライド部10の上スライド面10aは、第二領域A2に位置しており、この第二領域A2において第一カム6と接触する。第一スライド部10の下スライド面10bは、第一領域A1に位置しており、この第一領域A1において第一カム6と接触する。
【0033】
図4に示すように、第二スライド部11の上スライド面11aと下スライド面11bとは、平行に構成されている。本実施形態において、各スライド面11a,11bの水平方向(幅方向X)に対する傾斜角度θ3a,θ3bは、例えば45°であるが、この角度に限定されない。
【0034】
図4に示すように、第二スライド部11の上スライド面11aと下スライド面11bとは、中心線CLを挟んで、幅方向Xの一方側と他方側とに分かれて形成されている。すなわち、第二スライド部11の上スライド面11aは、第一領域A1に位置しており、この第一領域A1において第二カム7と接触する。第二スライド部11の下スライド面11bは、第二領域A2に位置しており、この第二領域A2において第二カム7と接触する。
【0035】
図4に示すように、第一スライド部10の上スライド面10aと第二スライド部11の上スライド面11aとは、正面視において、中心線CLに対して線対称となるように形成されている。第一スライド部10の上スライド面10aと第二スライド部11の上スライド面11aとは、正面視において所定の角度θ4で交差している。この交差角度θ4は、例えば90°であるが、この角度に限定されない。
【0036】
同様に、第一スライド部10の下スライド面10bと第二スライド部11の下スライド面11bとは、正面視において、中心線CLに対して線対称となるように形成されている。第一スライド部10の下スライド面10bと第二スライド部11の下スライド面11bとは、正面視において所定の角度θ5で交差している。この交差角度θ5は、例えば90°であるが、この角度に限定されない。
【0037】
上記の交差角度θ4,θ5は、第一カム6と第二カム7の位相差θ1(90°)と等しくなるように設定されている。
【0038】
図1及び
図2に示すように、ガイド9は、幅方向Xにおけるスライド8の一端部と、幅方向Xにおけるスライド8の他端部とを支持している。ガイド9は、第一カム6及び第二カム7によって押圧されるスライド8を上下方向Yに沿って案内する。
【0039】
プレス型3は、例えばワークに対して打ち抜き加工や曲げ加工を行うことができる。プレス型3は、上型3aと下型3bとを含むが、プレス型3の構成は本実施形態に限らず、公知の種々の型を使用することができる。本実施形態では、上型3aが雄型として構成され、下型3bが雌型として構成されている。上型3aは、正面視において、中心線CLに対して線対称となるように、スライド8の下部に固定されている。下型3bは、正面視において、中心線CLに対して線対称となるように、上型3aの下方に配置されている。
【0040】
図1に示すように、駆動装置4は、モータ12と、減速機13と、カップリング14と、軸受15と、を備える。モータ12の駆動軸は、減速機13の入力軸に連結されている。減速機13の出力軸は、カップリング14を介して回転軸5に連結されている。軸受15は、複数個所で回転軸5を支持している。
【0041】
以下、上記構成のプレス加工装置1による加工方法について説明する。
図5(a)~
図5(c)は、プレス型3の上型3aが上死点から下死点まで移動する間の第一カム6及び第二カム7の動作を示す。
図6(a)~
図6(c)は、第一カム6の動作のみを示し、
図7(a)~
図7(c)は、第二カム7の動作のみを示す。
【0042】
図5(a)、
図6(a)及び
図7(a)は、上型3aが上死点にある状態を示す。この状態において、プレス機構2の各カム6,7は、各スライド部10,11の各上スライド面10a,11aに接触し、スライド8が下降しないようにこのスライド8を支持している。
【0043】
駆動装置4は、
図5(b)及び
図6(b)に示すように、回転軸5を正面視において時計周りに回転させる。これにより、第一カム6は回転しながら、カム面6aを第一スライド部10の下スライド面10bに接触させる。第一カム6のカム面6aは、第一スライド部10の下スライド面10bに対して滑り接触をしながらこの下スライド面10bを下方に押圧する。
【0044】
同様に、
図5(b)及び
図7(b)に示すように、第二カム7は、第一カム6と共に時計周りに回転しながら、カム面7aを第二スライド部11の下スライド面11bに接触させる。第二カム7のカム面7aは、第二スライド部11の下スライド面11bに対して滑り接触をしながらこの下スライド面を下方に押圧する。
【0045】
このとき、第一カム6により第一スライド部10の下スライド面10bに作用する第一の力点P1は、プレス機構2の中心線CL(回転軸5の軸心O1)から幅方向Xの一方側に離れた位置、すなわち第一領域A1にある。また、第二カム7により第二スライド部11の下スライド面11bに作用する第二の力点P2はプレス機構2の中心線CL(回転軸5の軸心O1)から幅方向Xの他方側に離れた位置、すなわち第二領域A2にある。
【0046】
このように、第一の力点P1と第二の力点P2は、幅方向Xにおいて、プレス機構2の回転軸5を挟んで幅方向Xの一方側(第一領域A1)と他方側(第二領域A2)とに離れた位置で作用している。
【0047】
駆動装置4が回転軸5をさらに回転させると、第一カム6及び第二カム7は、
図5(c)、
図6(c)及び
図7(c)に示すようにスライド8をさらに下降させる。これにより、上型3aは、下型3bに嵌合し、下死点まで到達する。これにより、プレス型3によるワーク(図示せず)の加工が完了する。
【0048】
駆動装置4が回転軸5をさらに回転させると、各カム6,7は、スライド8を上昇させる動作を開始する。この場合において、第一カム6のカム面6aは、第二領域A2に位置する、第一スライド部10の上スライド面10aに接触する。第二カム7のカム面7aは、第一領域A1に位置する、第二スライド部11の上スライド面11aに接触する。
【0049】
この場合においても、第一カム6により第一スライド部10の上スライド面10aに作用する第一の力点P1と、第二カム7により第二スライド部11の上スライド面11aに作用する第二の力点P2とは、回転軸5を挟んで幅方向Xの一方側と他方側とに離れた位置にある。但し、上記のようにスライド8の下降時において第一の力点P1が第一領域A1に位置し、第二の力点P2が第二領域A2に位置しているのに対し、スライド8の上昇時では、第一の力点P1が第二領域A2に位置し、第二の力点P2が第一領域A1に位置することになる。
【0050】
駆動装置4により回転軸5をさらに回転させると、第一カム6及び第二カム7は、
図5(a)、
図6(a)及び
図7(a)に示す位置に戻り、上型3aは上死点に到達する。プレス加工装置1は、以上の動作を繰り返すことにより、ワークの加工を連続的に行うことができる。
【0051】
上記のように、第一カム6のカム面6a及び第二カム7のカム面7aによって、スライド8を同時に押圧することによって、押圧力をパランス良くスライド8に作用させ、スライド8を安定的に下降及び上昇させることができる。
【0052】
図8は、プレス加工装置の他の例を示す。この例において、プレス加工装置1のプレス機構2は、二つの第一カム6と、一つの第二カム7とを備える。この例では、第二カム7の幅寸法(厚さ寸法)W2が第一カム6の幅寸法(厚さ寸法)W1よりも大きく設定されている。
【0053】
図9は、プレス加工装置の他の例を示す、この例において、プレス加工装置1のプレス機構2は、二つの第一カム6と、二つの第二カム7とを備える。この例では、第一カム6と第二カム7として同一寸法のカムが使用されている。第一カム6及び第二カム7の数は、本実施形態に限らず、加工対象であるワークの大きさやプレス加工装置1の規模等に応じて適宜設定可能である。
【0054】
以上説明した本実施形態に係るプレス加工装置1によれば、プレス機構2の第一カム6により第一スライド部10に作用させる第一の力点P1と、第二カム7により第二スライド部11に作用させる第二の力点P2とを、回転軸5を挟んで幅方向Xの一方側と他方側とに離れて位置させることで、スライド8に偏荷重が作用することを防止できる。これによりプレス加工装置1の寿命を向上させることができる。
【0055】
本実施形態に係るプレス加工装置1では、一つの回転軸5に第一カム6及び第二カム7を設けていることから、複数の回転軸5を使用する場合と比較して、装置の構成をより簡素化し、その製造コストを低減することができる。
【0056】
各カム6,7は、直接的にスライド8を操作することができるため、カム6,7とスライド8との間に、リンク部材等を設ける必要がなく、この点においてもプレス加工装置1を簡素な構造とすることができる。
【0057】
さらに、第一スライド部10及び第二スライド部11に上スライド面10a,11aを形成していることから、ばね機構等の追加の構成要素を設けることなく、スライド8を上昇させることができる。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0059】
上記の実施形態では、スライド8の各スライド面10a,10b,11a,11bを正面視において直線状の平坦面として例示したが、本発明はこの構成に限定されず、各スライド面を正面視において曲線状に構成される面(曲面)としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 プレス加工装置
5 回転軸
6 第一カム
7 第二カム
8 スライド
10 第一スライド部
11 第二スライド部
P1 第一の力点
P2 第二の力点
X 幅方向
Y 上下方向