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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135095
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】容器搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/04 20060101AFI20240927BHJP
   B65B 55/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65B55/04 N
B65B55/04 C
B65B55/04 K
B65B55/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045614
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】西納 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】桝本 悟志
(72)【発明者】
【氏名】東崎 隆司
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康弘
(72)【発明者】
【氏名】早瀬 遼太
(57)【要約】
【課題】 より少ない殺菌剤で効率的に殺菌を行う。
【解決手段】 第7回転ホイールH7(受け渡し回転ホイール)を、第3仕切り板3Cによって区画された上流側ゾーンZ3および非無菌状態の下流側ゾーンZ4にかけて配置するとともに、第3仕切り板3Cに、上記第7回転ホイールH7の回転によって移動する容器保持部が通過可能な開口部を設ける。
そして、容器保持部の移動経路に沿って、当該容器保持部が通過可能な第2トンネルT2を設けるとともに、当該第2トンネルT2の内部に、上記容器保持部に向けて殺菌剤を噴射する殺菌ノズルを設ける。
そして上記第2トンネルT2を、上記容器保持部が下流側ゾーンZ4から上流側ゾーンZ3へと進入する際に通過する開口部に隣接した位置に設けた。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が仕切り板によって複数のゾーンに区画されたチャンバーの内部に、外周に複数の容器保持部を備えた回転ホイールを複数設け、上記隣接する回転ホイールの容器保持部によって容器を受け渡しながら容器を搬送する容器搬送システムにおいて、
上記チャンバーは、上記仕切り板によって、非無菌の空間と連通された下流側ゾーンと、当該下流側ゾーンの上流側に隣接して設けられた上流側ゾーンとに区画され、
上記複数の回転ホイールのうち、所要の回転ホイールを受け渡し回転ホイールとして配置するとともに、当該受け渡し回転ホイールを上記仕切り板によって区画された上記上流側ゾーンおよび下流側ゾーンにかけて設け、
上記仕切り板に、上記受け渡し回転ホイールの回転によって移動する容器保持部が通過可能な開口部を設け、
さらに、上記受け渡し回転ホイールの容器保持部の移動経路に沿って、当該容器保持部が通過可能なトンネルを設けるとともに、当該トンネルの内部に、上記容器保持部に向けて殺菌剤を噴射する殺菌ノズルを設け、
上記トンネルを、上記容器保持部が上記下流側ゾーンから上記上流側ゾーンへと進入する際に通過する上記開口部に隣接した位置に設けたことを特徴とする容器搬送システム。
【請求項2】
上記トンネルを上記上流側ゾーンに設けるとともに、当該トンネルにおける、容器保持部の移動経路上流側の端部を上記仕切り板に連結したことを特徴とする請求項1に記載の容器搬送システム。
【請求項3】
上記トンネルを上記下流側ゾーンに設けるとともに、当該トンネルにおける、容器保持部の移動経路下流側の端部を上記仕切り板に連結したことを特徴とする請求項1に記載の容器搬送システム。
【請求項4】
上記トンネルの内部であって、上記殺菌ノズルの下流に、当該殺菌ノズルによって殺菌剤が噴射された容器保持部に無菌エアまたは無菌水を噴射する殺菌剤除去手段を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の容器搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器搬送システムに関し、詳しくは内部が仕切り板によって複数のゾーンに区画されたチャンバーの内部に、外周に複数の容器保持部を備えた回転ホイールを複数設けた容器搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば容器に飲料を充填する無菌充填システムには、内部が仕切り板によって複数のゾーンに区画されたチャンバーの内部に、外周に複数の容器保持部を備えた回転ホイールを複数設け、隣接する回転ホイールの容器保持部によって容器を受け渡しながら容器を搬送する無菌搬送システムが用いられている。
このような無菌搬送システムでは、容器に飲料を充填する位置や、容器にキャップを装着する位置を無菌状態に維持する必要がある一方、飲料等の充填が完了した容器はチャンバーに形成された開口部を介して外部に排出されるため、この開口部を介して外部を浮遊する菌などがチャンバー内に進入する恐れがある。
このため、上記チャンバーを仕切り板によって複数のゾーンに区画し、充填装置やキャッパが設けられた上流側のチャンバーに対して下流側のチャンバーから菌などの進入を防止することが行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6330876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、チャンバーに形成された開口部によって外気が流入可能な非無菌状態の下流側ゾーンの上流側に設けられた上流側ゾーン(バリアゾーン)を殺菌しているが、上流側ゾーンの全体に殺菌剤を噴霧して殺菌を行っており、殺菌剤の使用量が多いという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は、より少ない殺菌剤で効率的に殺菌が行える容器搬送システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明にかかる容器搬送システムは、内部が仕切り板によって複数のゾーンに区画されたチャンバーの内部に、外周に複数の容器保持部を備えた回転ホイールを複数設け、上記隣接する回転ホイールの容器保持部によって容器を受け渡しながら容器を搬送する容器搬送システムにおいて、
上記チャンバーは、上記仕切り板によって、非無菌の空間と連通された下流側ゾーンと、当該下流側ゾーンの上流側に隣接して設けられた上流側ゾーンとに区画され、
上記複数の回転ホイールのうち、所要の回転ホイールを受け渡し回転ホイールとして配置するとともに、当該受け渡し回転ホイールを上記仕切り板によって区画された上記上流側ゾーンおよび下流側ゾーンにかけて設け、
上記仕切り板に、上記受け渡し回転ホイールの回転によって移動する容器保持部が通過可能な開口部を設け、
さらに、上記受け渡し回転ホイールの容器保持部の移動経路に沿って、当該容器保持部が通過可能なトンネルを設けるとともに、当該トンネルの内部に、上記容器保持部に向けて殺菌剤を噴射する殺菌ノズルを設け、
上記トンネルを、上記容器保持部が上記下流側ゾーンから上記上流側ゾーンへと進入する際に通過する上記開口部に隣接した位置に設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
上記発明によれば、非無菌の空間と連通された下流側ゾーンと、当該下流側ゾーンの上流側に隣接して設けられた上流側ゾーンとを仕切り板によって区画し、これらにかけて受け渡し回転ホイールを配置しているため、受け渡し回転ホイールによって移動する容器保持部が上記仕切り板に設けた開口部を通過して下流側ゾーンから上流側ゾーンへと移動しようとする。
このとき、下流側ゾーンを移動する容器保持部には菌などが付着している恐れがあるため、当該容器保持部が通過可能なトンネルを設けるとともに、当該トンネルの内部に、上記容器保持部に向けて殺菌剤を噴射する殺菌ノズルを設けて、上記容器保持部を殺菌するようになっている。
そして殺菌剤はトンネル内部の限られた空間に噴射されるため、下流側ゾーンを通過した容器保持部を少ない殺菌剤によって殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる容器搬送システムの構成図
図2図1のII―II部の断面図
図3】第1トンネルについての断面図
図4】第1トンネルについての平面図
図5】第2トンネルについての断面図
図6】第2トンネルについての平面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本実施形態について説明すると、図1は、ペットボトルなどの容器1に飲料などの液体を充填するとともにキャッピングを行う無菌充填システム2の下流側部分を示す平面図となっている。
上記無菌充填システム2は、内部が仕切り板3(3A~3C)によって複数のゾーンZ(Z1~Z4)に区画されたチャンバー4と、当該チャンバー4の内部に設けられるとともに容器1を搬送する複数の回転ホイールH(H1~H7)とを備えており、これらによって本発明にかかる容器搬送システムを構成している。
本実施形態の無菌充填システム2は、容器1の搬送方向上流側から順に第1~第7回転ホイールH1~H7を備えており、このうち第1回転ホイールH1は容器1に液体を充填する充填装置5を、第3回転ホイールH3は容器1にキャップを装着するキャッパ6を、第5回転ホイールH5は容器1の検査を行う検査装置7を、第7回転ホイールH7は不良と判断された容器1を排出するリジェクト装置8をそれぞれ構成し、これらは図示しない制御手段によって制御されるようになっている。
また、上記第7回転ホイールH7の下流には、チャンバー4の外部に第8回転ホイールH8、第9回転ホイールH9が配置されており、充填やキャッピングが完了し、検査で正常と判定された容器1を下流へと搬送する。
なお、上記充填装置5やキャッパ6は従来公知であるため詳細な説明については省略し、また検査装置7についても、容器1に充填された液体の充填量や、キャッピングの良否を判定するものであって、従来公知の構成を採用することが可能であることから、詳細な説明については省略する。
【0009】
上記チャンバー4の内部には第1~第3仕切り板3A~3Cが設けられており、これら第1~第3仕切り板3A~3Cによって第1~第4ゾーンZ1~Z4に区画されている。
これら第1~第4ゾーンZ1~Z4は、上記第1~第3仕切り板3A~3Cに形成された開口部によって相互に連通しており、当該開口部を通過させることにより容器1の搬送を行うようになっている。
このうち、上記第1ゾーンZ1には上記充填装置5やキャッパ6が設けられており、内部が無菌状態に維持されている。
一方、上記第4ゾーンZ4には上記リジェクト装置8が設けられるとともに、チャンバー4に形成された開口部を介して外部に設けられた上記第8、第9回転ホイールH8、H9へと容器1を受け渡すように構成されている。このため、上記開口部を介して外部から菌などが進入するおそれがあり、当該第4ゾーンAZ4の内部は非無菌状態となっている。
【0010】
最も上流側に位置する第1ゾーンZ1は上記給気ブロア11によって陽圧に維持されており、一方、最も下流側に位置する第4ゾーンZ4には排気ブロア12が設けられており、内部が陰圧に設定されている。
これにより、第1ゾーンZ1と第4ゾーンZ4との間には差圧が存在し、第1ゾーンZ1、第2ゾーンZ2、第3ゾーンZ3、第4ゾーンZ4の順に、徐々に圧力が低下するようになっている。
このように、第1ゾーンZ1から第4ゾーンZ4にかけて段階的に差圧を設定し、第4ゾーンZ4を陰圧としたことにより、チャンバー4の外から侵入してくる菌などの不純物を第4ゾーンZ4に閉じ込めて、第3ゾーンZ3に移動しないようにしている。
なお、第4ゾーンZ4を陰圧ではなく大気圧として、第1ゾーンZ1、第2ゾーンZ2、第3ゾーンZ3、第4ゾーンZ4の順に、徐々に圧力を低下させても良い。
【0011】
上記第1~第9回転ホイールH1~H9はそれぞれ回転可能に設けられた円盤状のテーブル14と、そのテーブル14の外周縁に等間隔に設けられた容器1を保持する容器保持部13とを備えており(図2参照)、これら第1~第9回転ホイールH1~H9は図示しない駆動手段によって連動して回転するように設けられている。
本実施形態では、第1~第9回転ホイールH1~H9が連動して回転することにより、第1、第3、第5、第7、第9回転ホイールH1、H3、H5、H7、H9は図示反時計回りに回転し、第2、第4、第6、第8回転ホイールH2、H4、H6、H8は図示時計回りに回転するようになっている。
そして隣接する回転ホイールHが相互に接近した位置では、それぞれの容器保持部が容器1の受け渡しを行い、これにより容器1が第1~第9回転ホイールH1~H9にかけて搬送されるようになっている。
【0012】
図2図1におけるII-II部の断面図を示しており、具体的には上記第1仕切り板3Aの設けられた位置に沿って、上記検査装置7を構成する第5回転ホイールH5を説明する断面図を示している。
第5回転ホイールH5は、回転軸によって回転可能に設けられた円盤状のテーブル14の外周縁に、上記容器保持部13を等間隔に設けた構成を有している。
第5回転ホイールH5の容器保持部13は、カム等によって開閉が制御される、従来公知の開閉式ネックグリッパによって構成されており、この開閉式ネックグリッパは上記第2、第3、第7回転ホイールH2、H3、H7にも設けられている。
【0013】
上記開閉式ネックグリッパは、上記テーブル14の外周縁に揺動可能に設けられた1対の把持部材21と、当該把持部材21を軸支する回転軸22と、一方の回転軸22の下端部に設けられたレバー23と、当該レバー23の先端に設けたカムフォロア24とを備えている。
上記回転軸22にはギア22aが設けられており、一方の回転軸22の先端に設けられた上記レバー23を移動させるとこれらが連動して回転し、上記把持部材21を開閉させるようになっている。また上記レバー23にはバネ25が弾装されており、当該バネ25の付勢力によって常時把持部材21が閉鎖する方向に付勢されるようになっている。
そして、第5回転ホイールH5における上記カムフォロア24の高さには、図示しないカムが設けられており、当該カムは第4回転ホイールH4や第6回転ホイールH6との容器1の受渡し位置近傍に設けられている。
容器保持部13が当該カムの設けられた位置に到達すると、カムフォロア24が外側に押圧されてレバー23が揺動し、これにより上記把持部材21が開閉して、容器1の把持や解放がなされるようになっている。
【0014】
一方、充填装置5を構成する第1回転ホイールH1の容器保持部については、図面を用いた説明を省略するが、容器1の首部を把持するとともにバネの付勢力を利用して閉鎖状態が維持されるバネ式ネックグリッパが設けられている。
また、上記第4、第6回転ホイールH4、H6の容器保持部には、容器1の底部を支持した状態で保持するポケット式のホルダが採用されている。
なお、このような容器保持部を用いて上流側の回転ホイールHから下流側の回転ホイールHへと容器1を受け渡す構成は従来公知であるため、これ以上の説明は省略するものとし、また各回転ホイールH1~H9に対し、本実施形態とは異なる組み合わせで容器保持部13を設けてもよい。
【0015】
次に、上記第1~第3仕切り板3A~3Cについて説明する。
第1仕切り板3Aは上記第1ゾーンZ1と第2ゾーンZ2とを区画し、上記第5回転ホイールH5は当該第1仕切り板3Aをまたぐように設けられ、かつ第1ゾーンZ1および第2ゾーンZ2にかけて設けられている。
また上記第1仕切り板3Aには、図1に示すようにくの字形に屈曲した屈曲部3aと、上記第1ゾーンZ1に向けて膨出する膨出部3bとが形成されている。
さらに、第1仕切り板3Aの第2ゾーンZ2側には、上記第5回転ホイールH5の容器保持部13を殺菌するための第1トンネルT1が設けられ、第1ゾーンZ1側には、容器保持部13の周囲の雰囲気を吸引して外部に排出する排気手段31が設けられている。
第2仕切り板3Bは上記第2ゾーンZ2と第3ゾーンZ3とを区画しており、上記第6回転ホイールH6は当該第2仕切り板3Bをまたぐように設けられ、第2ゾーンZ2および第3ゾーンZ3にかけて設けられている。また上記第2仕切り板3Bには屈曲部3aが形成されている。
そして第3仕切り板3Cは上記第3ゾーンZ3と第4ゾーンZ4とを区画しており、上記第7回転ホイールH7は当該第3仕切り板3Cをまたぐように設けられ、かつ第3ゾーンZ3および第4ゾーンZ4にかけて設けられた、本発明にかかる受け渡し回転ホイールを構成している。
また上記第3仕切り板3Cには、屈曲部3aと、上記第3ゾーンZ3に向けて膨出する膨出部3bとが形成され、また第3仕切り板3Cの第3ゾーンZ3側には、上記第7回転ホイールH7の容器保持部13を殺菌するための第2トンネルT2が設けられている。
【0016】
そして上記第1~第3仕切り板3A~3Cには、上記容器保持部13および当該容器保持部13を保持しているテーブル14が通過可能な開口部3cが形成されている。
上記第1仕切り板3Aの開口部3cについて説明すると、第1仕切り板3Aの開口部3cうち、図2における図示右側となる部分は、上記第5回転ホイールH5の容器保持部13が下流側の第2ゾーンZ2から上流側の第1ゾーンZ1へと進入する部分を示しており、このとき容器保持部13は、第6回転ホイールH6に容器1を受渡した後となっているため、容器1を保持していない。
一方、上記開口部3cのうち、図2の図示左側となる部分は、容器保持部13が第1ゾーンZ1から第2ゾーンZ2へと進入する位置を示しており、このとき容器保持部13は第4回転ホイールH4より受け取った容器1を保持している。
このため、上記第1仕切り板3Aの開口部3cのうち、図示右側部分には容器1が通過可能な形状は設けられておらず、図示左側部分には保持された容器1が通過可能な形状が設けられている。
このような開口部3cは上記第2、第3仕切り板3B、3Cにも形成されており、上記仕切り板3の開口部3cを上記テーブル14と容器保持部13、ならびに容器1の形状に合わせて設けたことで、上流側のゾーンと下流側のゾーンとを最小限の開口で区画するようにしている。
【0017】
上記第1仕切り板3Aの膨出部3bは、上記第5回転ホイールH5の回転中心を中心に設けられるとともに、平面視において円弧状を有しており、換言すると上記第5回転ホイールH5によって移動する容器保持部13の移動軌跡の内側に形成されている。
より具体的に説明すると、図2に示すように、第1ゾーンZ1に形成された膨出部3bの外側には、第5回転ホイールH5の上記容器保持部13と、当該容器保持部13が設けられたテーブル14の外周縁14aが位置するようになっている。
したがって、第1ゾーンZ1を移動した容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aは、その後第1仕切り板3Aの開口部3cを通過して第2ゾーンZ2に進入し、再び第1仕切り板3Aの開口部3cを通過して第1ゾーンZ1に戻るようになっている。
以上のことから、第5回転ホイールH5の上記容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aは、無菌状態の第1ゾーンZ1と、その下流側の第2ゾーンZ2との間を交互に移動するようになっている。
逆に、第5回転ホイールH5のテーブル14の外周縁14aよりも内側に位置する内側部分14bは、上記膨出部3bの内側に位置することから、当該内側部分14bは常時第2ゾーンZ2に位置することとなる。
なお、第1仕切り板3Aの膨出部3bの形成方向を、上記第1ゾーンZ1ではなく第2ゾーンZ2にしてもよい。この場合、上記テーブル14の内側部分14bは第1ゾーンZ1に常時位置することとなる。
【0018】
次に第1仕切り板3Aに設けられた上記第1トンネルT1は、第2ゾーンZ2に設けられており、当該第1トンネルT1の内部には、図3図4に示すように上記容器保持部13に向けて殺菌剤を噴射する殺菌ノズル32が設けられている。
上記第1トンネルT1は、上記容器保持部13が第2ゾーンZ2から第1ゾーンZ1へと進入する際に通過する開口部3cに隣接した位置に設けられており、第5回転ホイールH5の容器保持部13の移動経路に沿って湾曲した形状を有している。
上記第1トンネルT1における容器保持部13の移動経路下流側の端部は上記第1仕切り板3Aに連結され(図2において破線にて示す)、当該第1トンネルT1の出口は上記第1仕切り板3Aの開口部3cによって構成されたものとなっている。
一方、上記第1トンネルT1における移動経路上流側の端部には、上記第1仕切り板3Aの開口部3cと同じ形状で開口部が形成されており、上記容器保持部13が干渉することなく第1トンネルT1内部に進入するようになっている。
【0019】
そして図4に示すように、上記第1トンネルT1の内部は区画壁33によって移動経路上流側および下流側の空間に区画され、上流側の空間には上記殺菌ノズル32が設けられた殺菌部34が、下流側の空間には容器保持部13に無菌エアを噴射する殺菌剤除去部35が形成されている。
図3は上記殺菌部34の内部を説明する図となっており、上記第1トンネルT1は上記容器保持部13の上方および下方に位置した天面および底面、ならびに内側および外側に位置した内面および外面を備えている。
このうち第1トンネルT1の内面には、上記第1仕切り板3Aの開口部3cと同じ幅のスリットが形成され、また当該内面の位置は、図2に示すように上記第1仕切り板3Aの膨出部3bの位置に合わせて設けられている。
このため、上記第1トンネルT1の内部には、上記第1仕切り板3Aの膨出部3bによって第1ゾーンZ1に露出する部分、すなわち上記第5回転ホイールH5の容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aが通過するようになっている。
【0020】
そして、上記殺菌部34の内部には複数の上記殺菌ノズル32が設けられ、容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aに対して、上方および下方、並びに側方から殺菌剤としての過酢酸水溶液を吹き付けるようになっている。
各殺菌ノズル32には供給配管36を介して過酢酸水溶液を収容した貯溜タンク37が接続されており、上記供給配管36には送液ポンプ38が設けられている。また上記貯溜タンク37には、使用により減少した過酢酸水溶液を補充する殺菌液供給手段39が設けられている。
また上記殺菌部34の下部には排水口40が設けられており、第1トンネルT1内で噴射された後に落下した過酢酸水溶液を排水口40によって回収するようになっている。上記排水口40には戻り配管41を介して上記貯溜タンク37が接続されており、また戻り配管41には送液ポンプ42が設けられている。
なお、殺菌剤としては過酢酸水溶液に限るものではなく、過酸化水素水や過酸化水素水をガス状やミスト状に気化させた殺菌剤など、様々な殺菌剤が採用可能である。
【0021】
上記殺菌剤除去部35には、無菌エアを噴射する複数の噴射ノズル43が設けられており、上記殺菌部34の上記殺菌ノズル32と同様の配置で設けられるとともに、図4に示すように各噴射ノズル43にはエア供給手段44が接続されている。
上記殺菌剤除去部35には、殺菌部34において殺菌剤が噴射された容器保持部13が進入し、当該容器保持部13に対して無菌エアを噴射することで、容器保持部13に付着した過酢酸水溶液を除去するようになっている。
なお、噴射ノズル43から無菌エアに代えて無菌水を噴射しても良いし、噴射ノズル43を複数組設けて、無菌水を噴射した後に無菌エアを噴射するようにしても良い。
【0022】
上記排気手段31は無菌状態の第1ゾーンZ1に設けられており、上記第1仕切り板3Aにおける、上記第5回転ホイールH5の容器保持部13が第2ゾーンZ2から第1ゾーンZ1に進入する側の上記開口部3cに隣接した位置に設けられている。
図2に示すように、排気手段31はチャンバー4の天面から下方へ伸びて設けられた吸引配管46と、当該吸引配管46に負圧を供給する排気ブロア45とから構成されている。
上記吸引配管46の下端部開口は、第1ゾーンZ1側の上記第1仕切り板3Aの開口部3cの上方であって、上記容器保持部13の搬送経路の近傍に配置されている。
このようにすることで、上記第1仕切り板3Aの開口部3cを通過した容器保持部13とともに第2ゾーンZ2から第1ゾーンZ1に流入した空気を局所的に吸引し、第2ゾーンZ2において使用された過酢酸水溶液の臭いなどを含んだ雰囲気が第1ゾーンZ1に拡散しないようにしている。
なお、上記吸引配管46は1本ではなく複数本配置しても良いし、配置する位置も上記開口部3cの隣接した位置ではなく、上記容器保持部13が上記開口部3cから第4回転ホイールH4へ移動する搬送経路の近傍であれば、上記開口部3cから離れた位置であっても良い。
【0023】
次に、図5図6を用いて、上記第3仕切り板3Cの膨出部3bおよび第2トンネルT2について説明する。ここで図5図1におけるV―V部の断面図となっている。
本実施形態において、上記第3仕切り板3Cの膨出部3bは第3ゾーンZ3に向けて膨出しており、当該膨出部3bは第7回転ホイールH7の回転中心を中心として円弧状に形成されたものとなっている。
第1仕切り板3Aと同様、膨出部3bの外側には第7回転ホイールH7の容器保持部13とテーブル14の外周縁14aが位置するようになっており、当該部分が第3仕切り板3Cに形成された開口部3cを通過しながら、第3ゾーンZ3と第4ゾーンZ4との間で進入を繰り返すようになっている。
一方、膨出部3bの内側には第7回転ホイールH7のテーブル14の内側部分14bが位置するようになっており、当該内側部分14bは常時第4ゾーンZ4に位置するようになっている。
なお、第3仕切り板3Cの膨出部3bについても、第1仕切り板3Aの膨出部3bと同様、第4ゾーンZ4に向けて膨出させてもよい。その場合、テーブルの内側部分14bは常時第3ゾーンZ3に位置することとなる。
【0024】
上記第2トンネルT2は第3ゾーンZ3に設けられており、第3仕切り板3Cにおける、上記第7回転ホイールH7の容器保持部13が下流側の第4ゾーンZ4から上流側の第3ゾーンZ3へと進入する側の開口部3cに隣接した位置に設けられている。
上記第2トンネルT2は上記第1仕切り板3Aに設けた第1トンネルT1と同様の構成を有しており、内部には区画壁33’によって区画された、殺菌ノズル32’が設けられた殺菌部34’と、噴射ノズル43’が設けられた殺菌剤除去部35’とが形成され、殺菌部34’の下部には排水口40’が設けられている。
また第1トンネルT1に設けた殺菌ノズル32と同様、上記殺菌ノズル32’には供給配管36’を介して貯液タンク37’が接続されるとともに、上記送液ポンプ38’によって過酢酸水溶液が供給され、貯液タンク37’には殺菌剤供給手段39’が接続されている。
また第1トンネルT1に設けた噴射ノズル43と同様、噴射ノズル43’にはエア供給手段44’によってエアが供給されるようになっている。なお、上記貯液タンク37’やエア供給手段44’については、上記第1トンネルT1の殺菌ノズル32や噴射ノズル43に接続されたものを共用してもよい。
上記第2トンネルT2は第3ゾーンZ3に設けられているため、当該第2トンネルT2における第7回転ホイールH7の移動方向上流側の端部が第3仕切り板3Cに接続され、また第2トンネルT2の内面は上記膨出部3bによって構成されるようになっている。
【0025】
このような構成により、第7回転ホイールH7の回転によって容器保持部13が第3仕切り板3Cの開口部3cを通過して第4ゾーンZ4から第2トンネルT2に進入すると、上記殺菌部34’において殺菌剤が噴射され、殺菌剤除去部35’において殺菌剤が除去されるようになっている。
その後、容器保持部13は第2トンネルT2を通過して第3ゾーンZ3に進入するが、この第3ゾーンZ3には、上記殺菌部34’において殺菌剤が噴射された容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aが進入し、殺菌剤が噴射されていないテーブル14の内側部分14bは第3ゾーンZ3に露出しないようになっている。
なお、上記第2トンネルT2については、本実施形態のように第3ゾーンZ3に設けてもよいが、下流側ゾーンZである第4ゾーンZ4に設けてもよい。
これに対し、上記第1トンネルT1については、第1ゾーンZ1に充填装置等が設けられており、より無菌状態の維持が必要であることから、第2ゾーンZ2に設けるものとなっている。
【0026】
以下、上記構成を有する無菌充填システム2の動作について説明する。なお、充填装置5やキャッパ6などの動作は従来公知であるため説明を省略し、本発明にかかる容器搬送システムの動作について説明する。
上記充填装置5を構成する第1回転ホイールH1では容器1に液体が充填され、その後第2回転ホイールH2を介してキャッパ6を構成する第3回転ホイールH3に容器1が受け渡されると、当該容器1にキャップが装着される。
続いて、容器1は第3回転ホイールH3から第4回転ホイールH4を介して第5回転ホイールH5へと受け渡されるが、このとき容器1は無菌状態に維持された第1ゾーンZ1において受け渡されるものの、その後の第5回転ホイールH5の回転により、第1仕切り板3Aの開口部3cを通過して第2ゾーンZ2へと搬送される。
【0027】
第2ゾーンZ2では、第5回転ホイールH5が構成する検査装置7によって容器1の検査が行われ、容器1ごとに検査結果が制御手段に記憶される。
そして第5回転ホイールH5が保持した容器1は第6回転ホイールH6に受け渡され、その後第6回転ホイールH6の容器保持部13に保持された容器1は、第2仕切り板3Bの開口部3cを通過してグレーゾーンである第3ゾーンZ3へと搬送される。
ここで、グレーゾーンである第3ゾーンZ3には菌などが浮遊している恐れがあり、このため上記第6回転ホイールH6の容器保持部13に菌などが付着する恐れがある。
そして、上記第5回転ホイールH5は上記第6回転ホイールH6との間で容器1の受け渡しを行うため、当該第5回転ホイールH5の容器保持部13にも菌などが付着してしまう恐れがある。
そのうえで、第5回転ホイールH5の容器保持部13は、第6回転ホイールH6に対して容器1を受け渡すと第1ゾーンZ1に戻るため、第1ゾーンZ1が容器保持部13に付着した菌などによって汚染される恐れがあった。
【0028】
このため、本実施形態においては、上記無菌状態に維持された上流側ゾーンとしての第1ゾーンZ1と、その下流側の下流側ゾーンとしての第2ゾーンZ2とを区画する第1仕切り板3Aに、上記殺菌ノズル32を設けた第1トンネルT1を設けたものとなっている。
すなわち、第6回転ホイールH6に容器1を受け渡した第5回転ホイールH5の容器保持部13は、第5回転ホイールH5の回転によって、第1仕切り板3Aよりも第2ゾーンZ2側に設けられた上記第1トンネルT1に進入することとなる。
そして第1トンネルT1では、最初に殺菌部34に設けられた殺菌ノズル32が過酢酸水溶液を噴射し、その後殺菌剤除去部35において噴射ノズル43が無菌エアを噴射するようになっている。
これにより、容器保持部13が殺菌されるとともに付着した過酢酸水溶液が除去され、その状態で容器保持部13は第1仕切り板3Aを通過して第1ゾーンZ1に進入することとなる。
また、容器保持部13が第1ゾーンZ1に進入すると、上記排気手段31が容器保持部13の周囲の空気を除去するため、容器保持部13の移動に伴って過酢酸水溶液の匂いなどが第1ゾーンZ1に進入したとしても、第1ゾーンZ1に過酢酸水溶液の雰囲気が拡散されないようにしている。
【0029】
さらに本実施形態においては、上記第1仕切り板3Aに膨出部3bを設け、当該膨出部3bの外周側に第5回転ホイールH5の容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aが位置するようになっている。
上記第1トンネルT1では、上記第5回転ホイールH5の容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aに過酢酸水溶液を噴射しているため、殺菌された容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aがその後第1ゾーンZ1に進入しても、第1ゾーンZ1が汚染されることはない。
一方、テーブル14の内側部分14bは膨出部3bの内側である第2ゾーンZ2に位置し続けるため、当該内側部分14bが第1ゾーンZ1に露出することはなく、当該部分を殺菌する必要はない。
以上のことから、上記殺菌剤によって殺菌する範囲を限定することが可能となり、少ない殺菌剤によって第1ゾーンZ1の内部に露出する部分の殺菌を行うことが可能となっている。
【0030】
続いて、上記第6回転ホイールH6の容器保持部13に受け渡された容器1は、第2仕切り板3Bの開口部3cを通過して第3ゾーンZ3へと搬送され、その後リジェクト装置8としての第7回転ホイールH7に受け渡される。
第3ゾーンZ3において容器1を受け取った第7回転ホイールH7の容器保持部13は、その後第3仕切り板3Cを通過して第4ゾーンZ4に進入する。
すると、上記容器1は上記検査装置7における検査結果に応じて、上記第8回転ホイールH8または上記リジェクトコンベヤ8aに受け渡される。
つまり、良品と判断された容器1は第8回転ホイールH8および第9回転ホイールH9によって図示しないラベラへと搬送され、不良と判断された容器1は上記リジェクトコンベヤ8aに排出され、図示しないリジェクトボックスに回収される。
【0031】
ここで、上記第8回転ホイールH8やリジェクトコンベヤ8aはチャンバー4の外部に設けられていることから、当該チャンバー4に形成された開口部を介して外部の菌などが進入しやすく、第4ゾーンZ4は非無菌環境となる。
そのため、上記第4ゾーンZ4に設けられた第7回転ホイールH7に菌などが付着する可能性がある。
そこで、非無菌環境の下流側ゾーンである第4ゾーンZ4と、その上流側の上流側ゾーンZとしての第3ゾーンZ3との間に設けた第3仕切り板3Cに、殺菌ノズル32’を設けた第2トンネルT2を設けて、第7回転ホイールH7の容器保持部13を殺菌するようにしている。
つまり、容器保持部13が第4ゾーンZ4から第3ゾーンZ3に進入する位置に、上記第2トンネルT2を設けて容器保持部13を殺菌することで、非無菌環境から第3ゾーンZ3への菌などの進入を防止することが可能となっている。
またこの第3仕切り板3Cについても、膨出部3bを設けることにより殺菌剤を噴射する領域を第7回転ホイールH7の容器保持部13およびテーブル14の外周縁14aに限定できるため、使用する殺菌剤の量を抑えることが可能となっている。
【0032】
なお、上記実施形態では第3仕切り板3Cに膨出部3bを設けるとともに、第2トンネルT2を設けて、第4ゾーンZ4から第3ゾーンZ3に移動する第7回転ホイールH7の容器保持部13を殺菌するようにしている。
これに対し、上記第2仕切り板3Bに膨出部3bを設けるとともに、当該第2仕切り板3Bに第2トンネルT2を設けて、第3ゾーンZ3から第2ゾーンZ2に移動する第6回転ホイールH6の容器保持部を殺菌するようにしてもよい。
つまり、グレーゾーンである第3ゾーンZ3を非無菌環境と考えて、その上流側ゾーンである第2ゾーンZ2に進入する容器保持部を殺菌するように構成してもよい。この場合、第3仕切り板3Cの膨出部3bおよび第2トンネルT2については省略することができる。
【0033】
また上記実施形態では、チャンバー4を第1~第3仕切り板3A~3Cによって第1~第4ゾーンZ1~Z4に区画しているが、例えば第1仕切り板3Aを省略して、上記実施形態における第1、第2ゾーンZ2を一つの無菌ゾーンにしてもよい。
この場合、上記実施形態における第2仕切り板3Bに、上記殺菌ノズル32を設けた第1トンネルT1を設けるとともに、上記膨出部3bを設けることで、上流側ゾーンが上記組み合わせた第1、第2ゾーンZ1、Z2となり、下流側ゾーンであってグレーゾーンである第3ゾーンZ3からの菌の進入を防止することが可能となる。
さらに上記実施形態では、殺菌ノズル32を設けた第1、第2トンネルT1、T2を配置しているが、このうち第1トンネルT1については省略してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 容器 2 無菌充填システム
3A~3C 第1~第3仕切り板 3b 膨出部
3c 開口部 4 チャンバー
13 容器保持部 14 テーブル
14a 外周縁 14b 内側部分
31 排気手段 32 殺菌ノズル
H1~H9 第1~第9回転ホイール T1、T2 第1、第2トンネル
Z1~Z4 第1~第4ゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6