IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-遠隔操作制御システム 図1
  • 特開-遠隔操作制御システム 図2
  • 特開-遠隔操作制御システム 図3
  • 特開-遠隔操作制御システム 図4
  • 特開-遠隔操作制御システム 図5
  • 特開-遠隔操作制御システム 図6
  • 特開-遠隔操作制御システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135098
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】遠隔操作制御システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 3/00 20060101AFI20240927BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240927BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B25J3/00 Z
H04Q9/00 331A
G09B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045617
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 了
(72)【発明者】
【氏名】杉山 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 貢秀
(72)【発明者】
【氏名】川上 智弘
(72)【発明者】
【氏名】茶木 智大
(72)【発明者】
【氏名】知久 健
(72)【発明者】
【氏名】福井 智美
【テーマコード(参考)】
3C707
5K048
【Fターム(参考)】
3C707AS06
3C707BS27
3C707CS08
3C707ES03
3C707ES06
3C707ES07
3C707ET03
3C707HS23
3C707JS03
3C707JT04
3C707JT10
3C707JU02
3C707JU03
3C707JU12
3C707JU17
3C707KS01
3C707KS05
3C707KS06
3C707KS10
3C707KS11
3C707KS21
3C707KS39
3C707KT01
3C707KT06
3C707KV01
3C707LS05
3C707LT06
3C707LV15
3C707LW03
3C707MT01
3C707NS24
3C707NS26
3C707WA03
5K048BA21
5K048EB02
5K048EB07
5K048FB10
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】遠隔操作システムのサポートを容易に受けることができる遠隔操作制御システムを提供することを目的とする。
【解決手段】遠隔操作制御システムは、現実の物体または仮想世界の仮想物体である遠隔操作対象を操作者が遠隔操作する遠隔操作制御システムであって、遠隔操作対象に対する操作を受け付ける第1コントローラを介して第1操作者により入力された操作を示す第1操作情報と、遠隔操作対象に対する操作を受け付ける第2コントローラを介して第2操作者により入力された操作を示す第2操作情報と、を取得する取得部と、取得部が取得した第1操作情報に基づく情報を、第2操作者に提示する第1提示部と、第2操作情報に基づいて、遠隔操作対象を操作する操作部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実の物体または仮想世界の仮想物体である遠隔操作対象を操作者が遠隔操作する遠隔操作制御システムであって、
前記遠隔操作対象に対する操作を受け付ける第1コントローラを介して第1操作者により入力された操作を示す第1操作情報と、前記遠隔操作対象に対する操作を受け付ける第2コントローラを介して第2操作者により入力された操作を示す第2操作情報と、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1操作情報に基づく情報を、前記第2操作者に提示する第1提示部と、
前記第2操作情報に基づいて、前記遠隔操作対象を操作する操作部と、
を備える遠隔操作制御システム。
【請求項2】
前記第1提示部は、前記第1操作者が前記遠隔操作対象を操作した結果を仮想的に提示する、
請求項1に記載の遠隔操作制御システム。
【請求項3】
前記第1操作情報に基づく操作状況が、前記第1操作者に提示される第2提示部、
を備える請求項1または請求項2に記載の遠隔操作制御システム。
【請求項4】
前記第2提示部に提供される情報は、前記遠隔操作対象の画像を簡略化した画像である、
請求項3に記載の遠隔操作制御システム。
【請求項5】
前記第2提示部に提供される情報は、前記遠隔操作対象以外の領域をマスキングまたは視界を狭めた画像である、
請求項3に記載の遠隔操作制御システム。
【請求項6】
前記第1提示部に提示される情報に従うように、前記第2操作者が前記第2コントローラを操作した前記第2操作情報に応じて、前記遠隔操作対象を制御する制御部、
を備える請求項1または請求項2に記載の遠隔操作制御システム。
【請求項7】
前記第1操作者を、サポート専用員、または前記第2操作者より熟練者である操作者から選択する選択部、
を備える請求項1または請求項2に記載の遠隔操作制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人手不足の影響等により、遠隔操作ロボットへの期待が高まっている。このため、遠隔操作でロボットに作業させるシステムの開発が進められている。このような遠隔操作を支援する技術の開発が行われている(例えば非特許文献1参照)。このような遠隔操作ロボットシステムは、例えば、生産現場の人達も自宅等から仕事を行うことが可能となるため、工場への導入が期待されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】大野和則、城間直司、“レスキューロボットの遠隔操縦支援技術”、日本ロボット学会誌、Vol 28 No2, pp160-163、2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなロボットの遠隔操作では、操作習得に時間がかかり、分からないこと等があった場合にサポートの人に工場等に来てもらって、その場で指導を受ける必要があった。このため、従来技術では、遠隔操作システムのサポートが受けづらく、操作の指導を受けにくいという課題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、遠隔操作システムのサポートを容易に受けることができる遠隔操作制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る遠隔操作制御システムは、現実の物体または仮想世界の仮想物体である遠隔操作対象を操作者が遠隔操作する遠隔操作制御システムであって、前記遠隔操作対象に対する操作を受け付ける第1コントローラを介して第1操作者により入力された操作を示す第1操作情報と、前記遠隔操作対象に対する操作を受け付ける第2コントローラを介して第2操作者により入力された操作を示す第2操作情報と、を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記第1操作情報に基づく情報を、前記第2操作者に提示する第1提示部と、前記第2操作情報に基づいて、前記遠隔操作対象を操作する操作部と、を備える遠隔操作制御システムである。
【0007】
(2)(1)の遠隔操作制御システムにおいて、前記第1提示部は、前記第1操作者が前記遠隔操作対象を操作した結果を仮想的に提示するようにしてもよい。
【0008】
(3)(1)または(2)の遠隔操作制御システムにおいて、前記第1操作情報に基づく操作状況が、前記第1操作者に提示される第2提示部を備えるようにしてもよい。
【0009】
(4)(3)の遠隔操作制御システムにおいて、前記第2提示部に提供される情報は、前記遠隔操作対象の画像を簡略化した画像であるようにしてもよい。
【0010】
(5)(3)の遠隔操作制御システムにおいて、前記第2提示部に提供される情報は、前記遠隔操作対象以外の領域をマスキングまたは視界を狭めた画像であるようにしてもよい。
【0011】
(6)(1)または(5)のうちのいずれか1つの遠隔操作制御システムにおいて、前記第1提示部に提示される情報に従うように、前記第2操作者が前記第2コントローラを操作した前記第2操作情報に応じて、前記遠隔操作対象を制御する制御部、を備えるようにしてもよい。
【0012】
(7)(1)または(6)のうちのいずれか1つの遠隔操作制御システムにおいて、前記第1操作者を、サポート専用員、または前記第2操作者より熟練者である操作者から選択する選択部、を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
(1)~(7)によれば、遠隔操作システムのサポートを容易に受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る遠隔操作制御システムの概略示す図である。
図2】実施形態に係る遠隔操作制御システムの構成例を示す図である。
図3】作業時に提供される第1提示画像の一例を示す図である。
図4】訓練時またはサポート時に教示者に提供される第2提示画像の一例を示す図である。
図5】訓練時またはサポート時に操作者に提供される第1提示画像の一例を示す図である。
図6】操作者がモニタを見ながら訓練時またはサポート時を行うイメージ図である。
図7】実施形態に係る訓練時またはサポート時の処理手順のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0016】
(遠隔操作制御システムの環境例)
遠隔操作制御システムの概略を説明する。
図1は、本実施形態に係る遠隔操作制御システムの概略示す図である。
操作者US1(第2操作者、受講者)は、例えば、画像表示部3-1(第1提示部)として例えばHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、操作検出部21-1(21L-1、21R-1)等を装着している。
教示者US2(第1操作者、教示者)は、例えば、画像表示部3-2(第2提示部)として例えばHMDを装着し、操作検出部21-2(21L-2、21R-2)(操作部)等を装着している。
【0017】
作業空間には、環境センサ4が設置されている。なお、環境センサ4は、ロボット6に取り付けられていてもよい。環境センサ4は、例えば、深度情報Dも得られるRBG(赤青緑)Dカメラである。
ロボット6は、例えば、アーム63(63L、63R)、エンドエフェクタ64(64L、64R)、ボディ66、頭部67を備える。なお、以下の説明では、エンドエフェクタ64をハンドとも言う。なお、ロボット6は、アーム63とエンドエフェクタ64のみであってもよい。また、ロボット6が備えるアームは1つ以上であればよい。なお、ロボット6は、不図示の通信部を備え、遠隔制御装置5と情報の送受信を行う。
【0018】
なお、以下の説明において、遠隔操作対象は、例えば、ロボット6、操作対象物体である。
【0019】
また、作業対象の物体は、現実の物体であってもよく、仮想世界の仮想物体であってもよい。このため、以下の説明では、実空間での作業と、実空間での訓練またはサポートの例を説明するが、これに限らない。訓練またはサポートの際は、仮想空間で行うようにしてもよい。この場合は、遠隔制御装置5は、操作者に提供する第1提示画像として、教示者の動きを例えば輪郭線で表し、操作者による操作指示による動作をCGで表して提供するようにしてもよい。そして、訓練またはサポートの際は、遠隔制御装置5は、仮想空間でロボット6を操作に応じて動作させる。これにより、実際の動作を行う前に、操作者は、何度でも安全に訓練を受けることができる。
【0020】
操作者US1は、画像表示部3-1に表示された画像を見ながら操作検出部21-1を装着している手や指を動かすことで、ロボット6を遠隔操作する。図1の例では、操作者US1は、ロボット6を遠隔操作して、テーブルTb上にあるペットボトルobjを把持させる。操作者US1は、ロボット6を遠隔操作して、作業を行う作業員である。また、操作者US1は、ロボット6の操作方法の訓練やサポートを受ける受講者でもある。なお、遠隔操作において、操作者US1は、例えば、ロボット6の動作を直接視認できないが、ロボット6側の映像を画像表示部3で間接的に視認できる状態である。また、作業内容は、例えば、ネジ締め、部品の取り付け、調整等である。
【0021】
例えば、操作習得時、または操作において不明点が発生した場合、操作者US1は、例えば操作検出部21-1で所定の動作を行うことでサポートを要求する。なお、所定の動作とは、例えば、作業では行われないポーズであり、腕を組む、手を組む等である。または、操作者US1は、例えば、サポート依頼用のスイッチ23を押してサポートを要求する。
【0022】
遠隔制御装置5は、サポート依頼を取得し、取得したサポート依頼に基づくサポート依頼情報を、例えばサポートセンター9へ送信する。サポートセンター9は、サポート依頼に基づいてサポート可能な教示者US2を選択し、選択した教示者US2にサポートを依頼しかつ回線を接続する。
【0023】
教示者US2は、画像表示部3-2に表示される画像(第2提示画像)を見ながら操作検出部21-2を操作して、操作方法を教示する。サポートセンター9は、教示された結果である教示情報を遠隔制御装置5へ送信する。
【0024】
遠隔制御装置5は、受信した教示情報に基づく提示画像(第2提示画像)を、操作者に提供する。なお、提供される画像は、動画、または連続した静止画である。提示画像例については後述する。
操作者は、提供された提示画像を例えばなぞるように操作することで、操作方法を学んだりサポートを受ける。なお、操作者は、訓練やサポートが終了した場合に、例えば、スイッチ23を操作して終了を遠隔制御装置5に通知する。
遠隔制御装置5は、訓練またはサポートの際、このように操作者の操作検出部21-1が操作された結果に基づいて、ロボット6を制御する。
【0025】
なお、図1に示した構成例は一例であり、これに限らない。例えば、操作者US1と教示者US2それぞれは、マイクロフォンとイヤフォンを装着していてもよい。この場合は、音声によって質問やアドバイスを行うこともできる。このようなマイクロフォンとイヤフォンは、例えばHDMが備えていてもよい。なお、操作者US1が使用する画像表示部3-1は、例えば作業時にHMDを用い、訓練時やサポート時に他の画像表示装置(例えばスマートフォンの表示部、タブレット端末の表示部、パーソナルコンピュータのモニタ等)であってもよい。
【0026】
(遠隔操作制御システムの構成例)
図2は、本実施形態に係る遠隔操作制御システムの構成例を示す図である。図2のように、遠隔操作制御システム1は、例えば、操作入力部2(2-1,2-2)と、画像表示部3(3-1,3-2)と、環境センサ4と、遠隔制御装置5と、ロボット6と、収音部81(81-1,81-2)と、出力部82(82-1,82-2)と、サポートセンター9を備える。
【0027】
操作入力部2-1は、例えば、操作検出部21と、視線検出部22と、スイッチ23を備える。
【0028】
操作入力部2-2は、例えば、操作検出部21を備える。
【0029】
遠隔制御装置5は、例えば、取得部51と、提示情報生成部52と、制御部53と、記憶部54と、通信部55を備える。
提示情報生成部52は、第1提示情報生成部521と、第2提示情報生成部522を備える。
通信部55は、第1通信部551と、第2通信部552を備える。
【0030】
ロボット6は、例えば、センサ61と、アーム63と、エンドエフェクタ64と、駆動部65を備える。
【0031】
サポートセンター9は、例えば、選択部91と、通信部92と、記憶部93を備える。
【0032】
次に、図2の各装置、機能部について説明する。
操作入力部2-1は、不図示の通信部を備え、遠隔制御装置5と有線または無線で情報のやりとりを行う。操作入力部2-1は、ロボット6を遠隔操作する操作者(第1操作者)が使用する。
【0033】
操作検出部21は、操作者(または教示者)が操作した操作入力を検出する。操作検出部21は、例えば、データグローブ、スイッチ等である。操作検出部21は、検出した操作入力情報を遠隔制御装置5に出力する。
【0034】
視線検出部22は、操作者の視線を検出する。視線検出部22は、検出した視線情報を遠隔制御装置5に出力する。なお、視線検出部22は、画像表示部3-1が備えていてもよい。
【0035】
スイッチ23は、例えば、押しボタンスイッチ、スライドスイッチ、タッチパネルセンサーによるスイッチである。スイッチ23は、操作者がサポート依頼時に操作する。
【0036】
画像表示部3は、例えば、HMD、液晶画像表示装置、有機EL(Electro Luminescence)画像表示装置、スマートフォン、タブレット端末等、画像表示可能なものである。画像表示部3は、遠隔制御装置5から提供される画像を表示する。画像表示部3は、不図示の通信部を備え、遠隔制御装置5と有線または無線で情報のやりとりを行う。
【0037】
収音部81(81-1、81-2)は、マイクロフォンである。収音部81-1は、収音した操作者の音声信号を遠隔制御装置5へ出力する。収音部81-2は、収音した教示者の音声信号を、ネットワークNWを介してサポートセンター9へ出力する。
【0038】
出力部82(82-1、82-2)は、例えば、イヤフォンまたはスピーカーである。出力部82-1は、遠隔制御装置5が出力する教示者の音声信号を出力する。出力部82-2は、サポートセンター9が出力する操作者の音声信号を出力する。
【0039】
環境センサ4は、例えば深度情報Dも取得可能なRGBDカメラである。環境センサ4は、レーザー等による距離センサとRGBカメラであってもよい。環境センサ4は、2つ以上であってもよい。環境センサ4は、不図示の通信部を備え、遠隔制御装置5と有線または無線で接続されている。
【0040】
サポートセンター9は、例えばサーバである。サポートセンター9は、サポート可能な教示者のサポート可能な作業内容やサポート可能な日時等を管理し、サポート依頼に応じてサポートを提供する。サポートセンター9と遠隔制御装置5とは、有線または無線のネットワークNWを介して互いに接続されている。また、サポートセンター9と教示者(第2操作者)が使用する機能部(操作入力部2-2、画像表示部3-2、収音部81-2、出力部82-2)とは、有線または無線のネットワークNWを介して互いに接続されている。なお、教示者が使用する機能部と、遠隔制御装置5とは、サポートセンター9を介さずに接続されるようにしてもよい。
【0041】
選択部91は、記憶部93が記憶する情報を参照して、サポート可能な教示者を選択する。選択部91は、選択した教示者にサポートを依頼する。なお、依頼は、例えば電子メールや電話等であってもよい。選択部91は、依頼した教示者が使用する機能部と通信部92を遠隔制御装置5に接続する。選択部91は、通信部92が遠隔制御装置5から取得した情報を、選択した教示者へ提供する。選択部91は、教示者が使用する機能部から取得した教示情報(第1操作情報)を、通信部92を介して遠隔制御装置5へ出力する。教示情報には、例えば、教示者が操作入力部2-2を操作した操作データ、教示者を識別かのうな識別情報等が含まれている。なお、サポート依頼時にサポート可能な教示者が不在または手が空いてない等の場合、選択部91は、サポート可能な時間を遠隔制御装置5へ送信するようにしてもよい。このような場合、遠隔制御装置5は、サポート可能な時間を例えば電子メールや電話で、操作者へ通知するようにしてもよい。
【0042】
通信部92は、遠隔制御装置5から情報(サポート依頼、提示情報等)を取得する。通信部92は、選択部91の制御に応じて、遠隔制御装置5から取得した情報(サポート依頼、提示情報等)を教示者が使用する機能部に出力する。通信部92は、教示者が使用する機能部から教示情報を取得する。通信部92は、選択部91の制御に応じて、教示情報を遠隔制御装置5へ出力する。
【0043】
記憶部93は、選択部91は、教示者毎に、教示者を示す情報に、サポート可能な日時、サポート可能な作業内容等を関連付けて記憶する。
【0044】
遠隔制御装置5は、操作者が操作した操作情報に基づいてロボット6の動作を、操作者による作業を補助するように制御する。遠隔制御装置5は、訓練またはサポートの際、例えば、教示者による教示情報に基づく画像を、操作者に提供する。遠隔制御装置5は、訓練またはサポートの際、教示情報に基づく画像に従って操作した結果の操作指令に従ってロボット6を制御する。なお、遠隔制御装置5は、例えば、操作者の操作意図を推定して、作業を補助するようにしてもよい。なお、遠隔制御装置5は、サポートセンター9の機能の全てまたは一部を備えていてもよい。
【0045】
取得部51は、操作者が使用する機能部から、操作入力情報(第2操作情報)と視線情報とサポート依頼を示す情報と音声信号を取得する。取得部51は、サポートセンターから、教示情報(第1操作情報)と音声信号を取得する。取得部51は、環境センサ4から画像情報、ロボット6からセンサ検出値等を取得する。
【0046】
第1提示情報生成部521は、操作者が使用する画像表示部3-1に提供する第1提示画像を生成する。操作時の第1提示画像は、例えば、環境センサ4が撮影した画像である。サポート時や訓練時の第1提示画像は、例えば、教示者から取得した教示情報に基づく画像が少なくとも含まれる。
【0047】
第2提示情報生成部522は、教示者が使用する画像表示部3-2に提供する第2提示画像を生成する。なお、第2提示画像は、環境センサ4が撮影した画像そのものではなく加工した画像である。加工した画像とは、例えば、記憶部54が記憶するロボットモデルに基づくCG(コンピュータグラフィック)画像、対象部以外をマスキングした画像、視野を狭めた画像等であり、遠隔操作対象の画像を簡略化または抽象化した画像である。
【0048】
制御部53は、取得部51が取得した操作情報に基づいて、ロボット6を制御する。制御部53は、操作者からサポート依頼を取得した際、サポートセンター9へサポート依頼情報を送信する。なお、サポート依頼情報には、例えば、操作者を識別するための識別情報、操作者が遠隔操作するロボット6を識別するための識別情報、作業内容、操作対象物体等の情報が含まれている。制御部53は、教示者が指導した結果である教示情報をサポートセンター9から取得し、取得した教示情報に基づいて生成された第1提示画像を操作者の画像表示部3-1に提供する。制御部53は、訓練またはサポートの際、教示情報に基づく画像に従って操作した結果の操作指令に従ってロボット6を制御する。なお、制御部53は、操作情報から操作者の操作意図を推定して操作意図に応じた動作を行うよう補助しながら、ロボット6を制御するようにしてもよい。なお、意図推定方法については後述する。
【0049】
記憶部54は、遠隔制御装置5が用いるプログラム、閾値等を記憶する。記憶部54は、ロボット6の三次元モデルデータ(例えばCADデータ)を記憶する。記憶部54は、環境センサ4が設置されている位置を記憶する。記憶部54は、サポートセンターと接続されるネットワークNWに関する情報を記憶する。なお、記憶部54は、サポートセンター9の記憶部93が記憶する情報の全てまたは一部を記憶していてもよい。
【0050】
第1通信部551は、作業時、訓練時またはサポート時に、第1提示画像を画像表示部3-1に出力する。
【0051】
第2通信部552は、第2提示画像を、サポートセンター9を介して画像表示部3-2に出力する。第2通信部552は、サポート依頼情報を教示者に通知する。
【0052】
センサ61は、例えば、関節に取り付けられているエンコーダ、エンドエフェクタ64の指先に取り付けられている6軸センサ、力覚センサ等である。
【0053】
アーム63は、先端にエンドエフェクタ64が取り付けられている。
【0054】
エンドエフェクタ64は、少なくとも2つ以上の指部を備えている。エンドエフェクタ64は、グリッパー等であってもよく、多指を備えていてもよい。また、ロボット6それぞれが備えるエンドエフェクタ64は、例えば作業内容に応じて異なっていてもよい。
【0055】
駆動部65は、例えば、駆動回路とアクチュエータを備える。駆動部65は、遠隔制御装置5が出力する制御指示(関節角度指示等)に応じて、アーム63とエンドエフェクタ64を駆動する。
【0056】
(提示画像)
次に、提示画像例を説明する。
図3は、作業時に提供される第1提示画像の一例を示す図である。図3の例のように、作業時には、例えば環境センサ4が撮影した画像が、第1提示画像として操作者に提供される。なお、第1提示画像には、例えば、アーム63、エンドエフェクタ64、および操作対象の物体objが含まれている。また、第1提示画像には、作業空間やロボット6の全体の画像等が含まれていてもよい。
【0057】
図4は、訓練時またはサポート時に教示者に提供される第2提示画像の一例を示す図である。図4の例は、教示者に、操作者に提供される画像を例えばCG化した画像が提供される例である。なお、CGの画像は、例えばアーム63、エンドエフェクタ64、および操作対象の物体objそれぞれの輪郭のみであってもよい。第2提示情報生成部522は、例えば、図3の画像に対して、二値化処理、輪郭検出処理、特徴量抽出処理、クラスタリング処理等を行って、図4のような画像を生成するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、教示者用に、画像表示部3-1(第2提供部)を備えることで、マスキング等で機密対応ができ、自分自身の動きを見ることができるので操作性を向上させることができる効果が得られる。
【0058】
図5は、訓練時またはサポート時に操作者に提供される第1提示画像の一例を示す図である。符号g102の線画は、教示者からの教示情報に基づく画像である。符号g101の画像は、操作者の操作指示に応じて動作している実際のロボット6の(環境センサ4によって撮影される)画像である。
この例では、教示者の手先を仮想的に画像表示部3-1に、例えば別レイヤーとして表示させる。すなわち、遠隔制御装置5は、操作者の画像表示部3-1に、教示者が遠隔操作対象を操作した結果を仮想的に提示する。そして、操作者は、画像表示部3-1に表示される教示者の位置に追従するように、操作検出部21を操作することで操作指令を入力する。遠隔制御装置5は、操作指示に従ってロボット6が動くように制御する。
【0059】
なお、図5では、訓練時またはサポート時に、教示情報と実画像を重ねて提示する例を示したが、これに限らない。図6のように、操作者がノートパソコンや、パーソナルコンピュータに接続されるモニタを見ながら操作している場合は、画面内に、教示画像g121と実画像g122を左右または上下に並べて表示させるようにしてもよい。図6は、操作者がモニタを見ながら訓練時またはサポート時を行うイメージ図である。
【0060】
なお、上述した例では、訓練時、教示者の手の動き等に合わせて、操作者が操作入力部2-1を操作してロボット6を操作する例を説明したが、これに限らない。教示者(第1操作者)が操作入力部2-2を操作して、ロボット6を実演してみせるようにしてもよい。この場合、教示者の画像表示部3-2に提示される画像は、ロボット6をCG化した画像であったり、セキュリティ的な箇所にモザイク等をかけたりして加工した画像である。操作者には、このように実演した際のロボット6が操縦された実際の画像が画像表示部3-1に提供される。操作者は、提供された画像を見ながらまねることで訓練を行うことで、操作方法の習得に役立つ。さらに、操作者から、やり方や操縦方法等が分からない場合に、このように教示者に実演してもらうことで、やり方や操縦方法を理解することができる。
【0061】
なお、第1操作者(教示者)側に不図示のカメラを設置し、訓練時に教示者の手の実際の動きを撮影して、受講者の画像表示部3-1に提供するようにしてもよい。この場合は、遠隔制御装置5が教示者の手元以外にモザイク等の画像加工をして提供することで、教示者側のセキュリティを保護することができる。この場合、遠隔制御装置5は、画像表示部3-1に、教示者の手元画像と、ロボット6の実際の動きの画像の両方を提示するようにしてもよい。遠隔制御装置5は、例えば、図6において、符号g121の代わりに「教示者の手元画像」を提供される。
【0062】
(操作意図の推定)
次に、操作意図の推定方法の概要について説明する。
制御部53は、取得部51が取得した情報を用いて、作業者の意図を推定する。なお、制御部53は、例えば、視線情報、操作者腕部情報、および頭部動作情報のうちの少なくとも1つを用いて操作者の動作意図を推定する。なお、制御部53は、環境センサ4が検出した検出値も用いて意図推定するようにしてもよい(例えば特願2022-006498号参照)。
【0063】
制御部53は、例えば、作業が把持を含む場合、グラスプタクソノミー(GRASP Taxonomy)手法(例えば参考文献1参照)によって、操作者の操作意図を推定する。
制御部53は、例えば、グラスプタクソノミー手法によって操作者あるいはロボット6の姿勢すなわち把持姿勢を分類することで操作者状態を分類して、操作者の操作意図を推定する。制御部53は、例えば、記憶部54が記憶する学習済みのモデルに操作情報を入力して、操作者の操作意図を推定する。なお、把持姿勢の分類には、他の手法を用いてもよい。また、制御部53は、視線と腕部の動きを用いて統合的に推定するようにしてもよい。この場合、制御部53は、視線情報と、手の動き情報とテーブル上の物体の位置情報とを学習済みのモデルに入力して、操作者の操作意図を推定するようにしてもよい。
【0064】
参考文献1;Thomas Feix, Javier Romero,他,“The GRASP Taxonomy of Human GraspTypes” IEEE Transactions on Human-Machine Systems ( Volume: 46, Issue: 1, Feb.2016),IEEE,p66-77
【0065】
(処理手順例)
次に、訓練時またはサポート時の処理手順例を説明する。図7は、本実施形態に係る訓練時またはサポート時の処理手順のフローチャートである。
【0066】
(ステップS1)操作者は、スイッチ23を操作してサポートを依頼する。遠隔制御装置5の取得部51は、サポート依頼情報を取得する。
【0067】
(ステップS2)遠隔制御装置5は、サポート情報をサポートセンターへ送信する。
【0068】
(ステップS3)サポートセンター9の選択部91は、記憶部93が記憶する情報を参照して、サポート可能な教示者を選択する。
【0069】
(ステップS4)選択部91は、選択した教示者にサポートを依頼する。選択部91は、依頼した教示者が使用する機能部と通信部92を接続する。選択部91は、通信部92が遠隔制御装置5から取得した情報を、依頼した教示者へ提供する。
【0070】
(ステップS5)選択部91は、教示者が使用する操作入力部2-2から取得した教示情報(第1操作情報)を、通信部92を介して遠隔制御装置5へ送信する。
【0071】
(ステップS6)遠隔制御装置5の第1提示情報生成部521は、教示情報に基づいて第1提示画像を生成する。遠隔制御装置5は、第1提示画像を操作者が利用する画像表示部3-1に表示させる。
【0072】
(ステップS7)遠隔制御装置5の取得部51は、操作者が操作検出部21を操作した操作指令(第2操作情報)を取得する。
【0073】
(ステップS8)遠隔制御装置5の取得部51は、サポート終了か否か判別する。なお、サポート終了は、操作者が例えばスイッチ23を操作して行う。遠隔制御装置5の制御部53は、サポート終了である場合(ステップS8;YES)、ステップS9の処理に進める。遠隔制御装置5の制御部53は、サポート終了ではない場合(ステップS8;NO)、ステップS5の処理に戻る。
【0074】
(ステップS8)遠隔制御装置5の制御部53は、サポート終了を示す情報をサポートセンター9へ送信する。
【0075】
(ステップS9)選択部91は、依頼した教示者が使用する機能部と通信部92との接続を解除する。
【0076】
なお、図7を用いて説明した処理手順や処理内容は一例であり、これに限らない。処理内容や処理手順は、訓練時またはサポートの内容に応じたものであればよい。例えば、訓練中に、操作者が音声で質問し、教示者が音声で回答して、操作見本を見せるようにしてもよい。
【0077】
なお、上述した例では、サポート依頼があった場合に、教示者に通知して、教示者が実演した結果をリアルタイムで用いる例を説明したが、これに限らない。
例えば、遠隔操作対象が決まっていて、作業内容が決まっている場合は、教示者の訓練データを事前に取得して、例えば記憶部54に記憶させておいてもよい。そして、遠隔制御装置5は、記憶部54に記憶されているデータを用いて第1提示画像を生成して提示するようにしてもよい。このような場合であっても、操作者は、訓練時にサポートを受けたい場合にスイッチ23を操作して、リアルタイムのサポートに移行させるようにしてもよい。これにより、操作者は、サポートを受けたいときに受けやすくなる。
【0078】
以上のように本実施形態では、訓練時またはサポートの際、遠隔操作している操作者が任意のタイミングでサポートを依頼できるようにした。本実施形態では、教示者の手先を仮想的に表示し、教示者の教示情報に追従するように操作者が操作下結果に従ってロボットを制御するようにした。本実施形態では、教示者に例えばバーチャルなロボット6の画像を提供するようにした。
【0079】
これにより、本実施形態によれば、訓練時またはサポートの際、教示者を現場に呼ばずに、すぐに教示してもらうことができるので、サポートを受けやすく操作の指導を受けやすく出来る。本実施形態によれば、教示者の手先を仮想的に表示させて操作者に提供することができる。本実施形態によれば、教示者の位置に追従した操作者の指示に従ってロボットが制御されるので、適切な動作を覚えることができる。
【0080】
なお、上述した例では、教示者がサポート専用の場合を説明したが、これに限らない。教示者は、例えば、操作者と同じ社内の熟練者であってもよい。教示者も操作者と同じ社内の人である場合、教示者に提供する画像は、簡略化したりCG化したりモザイクをかけたりしなくてもよい。
【0081】
なお、本発明における遠隔制御装置5の機能の全てまたは一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより遠隔制御装置5が行う処理の全てまたは一部を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0082】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0083】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0084】
1…遠隔操作制御システム、2,2-1,2-2…操作入力部、3,3-1,3-2…画像表示部、4…環境センサ、5…遠隔制御装置、6,6-1,6-2…ロボット、81,81-1,81-2…収音部、82,82-1,82-2…出力部、9…サポートセンター、21…操作検出部、22…視線検出部、23…スイッチ、51…取得部、52…提示情報生成部、53…制御部、54…記憶部、55…通信部、521…第1提示情報生成部、522…第2提示情報生成部、551…第1通信部、552…第2通信部、61…センサ、63…アーム、64…エンドエフェクタ、65…駆動部、91…選択部、92…通信部、93…記憶部、NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7