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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135106
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 19/04 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F16H19/04 A
F16H19/04 C
F16H19/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045629
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】石井 秀之
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA15
3J062AA38
3J062AA45
3J062AB05
3J062AC07
3J062BA12
3J062CA16
3J062CA18
(57)【要約】
【課題】ラック部を薄型化することができると共に、特別な機構を設けることなくラック部の回転軸とラック部に噛合する第1のギア及び第2のギアの回転軸との相対距離を保持することができるアクチュエータを提供する。
【解決手段】駆動モータと、円弧状の第1の側面に設けられる第1のラック歯部と、前記第1の側面の反対側の円弧状の第2の側面に設けられる第2のラック歯部と、を備えるラック部と、前記駆動モータに接続される駆動ギアと、前記駆動ギアに噛合すると共に前記第1のラック歯部に噛合する第1のギアと、前記駆動ギアに接続されると共に前記第2のラック歯部に噛合する第2のギアと、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
円弧状の第1の側面に設けられる第1のラック歯部と、前記第1の側面の反対側の円弧状の第2の側面に設けられる第2のラック歯部と、を備えるラック部と、
前記駆動モータに接続される駆動ギアと、
前記駆動ギアに噛合すると共に前記第1のラック歯部に噛合する第1のギアと、
前記駆動ギアに接続されると共に前記第2のラック歯部に噛合する第2のギアと、
を有するアクチュエータ。
【請求項2】
前記ラック部は、
前記第1の側面を備える第1のラック部と、前記第2の側面を備える第2のラック部と、から構成され、
前記第1のラック部は、
前記第2のラック部から分離可能である、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記駆動ギアは、
内歯が形成された中空環状のリングギアであり、
前記第1のギアは、
前記リングギアの内側に設けられて前記内歯に噛合し、
前記第2のギアは、
前記リングギアの内側に設けられて前記内歯に接続される、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記駆動ギア、前記第1のギア及び前記第2のギアの軸方向の一端又は両端を回転可能に支持する支持ユニットをさらに有する、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記駆動ギアと前記第1のギアと前記第2のギアとは前記支持ユニットに支持されており、
前記ラック部は前記支持ユニットに支持されていない、
請求項4記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1のギア及び前記第2のギアの少なくとも一方は、
第1の歯車部と、前記第1の歯車部より小径の第2の歯車部と、を備える2段歯車である、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1のギア及び前記第2のギアの少なくとも一方は、
複数設けられる、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記駆動ギアは、
前記第1のギア及び前記第2のギアの軸方向の一端側において前記第1のギアと噛合すると共に前記第2のギアと接続する第1の駆動ギアと、前記軸方向の他端側において前記第1のギアと噛合すると共に前記第2のギアと接続する第2の駆動ギアと、から構成される、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記第1の側面の曲率半径中心と、前記第2の側面の曲率半径中心は同一であり、前記曲率半径中心から前記第1のギアの中心までの距離は、前記曲率半径中心から前記第2のギアの中心までの距離とは異なる、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記第1のラック歯部と前記第1のギアとの減速比は、前記第2のラック歯部と前記第2のギアとの減速比と同じである、
請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記第1のギアと前記第2のギアとは、反対方向に回転する、
請求項1記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行支援ロボット、電動ベッド、クレーン又はパワーショベル等に用いられるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、曲線型のラックを用いて、モータによる回転運動を曲線運動に変換する歩行支援ロボット、電動ベッド、クレーン又はパワーショベル等に用いられるアクチュエータが知られている。
【0003】
特許文献1は、曲線型且つ大径の平歯車を構成する分割歯車と、円盤と円盤との間に複数のピンを設けたピン・ピニオンと、を有し、分割歯車にはピン・ピニオンが噛合する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-119041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、分割歯車を回転駆動するのは1つのピン・ピニオンのみであることにより、分割歯車のピン・ピニオンとの噛合部に対して荷重が集中するため、分割歯車を薄型化することができないという課題を有する。また、特許文献1においては、分割歯車がピン・ピニオンによって一方向から押圧されるため、分割歯車の回転軸とピン・ピニオンの回転軸との相対距離を保持するための特別な機構を設ける必要があるという課題を有する。
【0006】
本発明は、ラック部を薄型化することができると共に、特別な機構を設けることなくラック部の回転軸とラック部に噛合する第1のギア及び第2のギアの回転軸との相対距離を保持することができるアクチュエータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るアクチュエータは、駆動モータと、円弧状の第1の側面に設けられる第1のラック歯部と、前記第1の側面の反対側の円弧状の第2の側面に設けられる第2のラック歯部と、を備えるラック部と、前記駆動モータに接続される駆動ギアと、前記駆動ギアに噛合すると共に前記第1のラック歯部に噛合する第1のギアと、前記駆動ギアに接続すると共に前記第2のラック歯部に噛合する第2のギアと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ラック部を薄型化することができると共に、特別な機構を設けることなくラック部の回転軸とラック部に噛合する第1のギア及び第2のギアの回転軸との相対距離を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータの正面図である。
図2A図1のA-A断面図である。
図2B図1のB-B断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータの正面図である。
図4A図3のC-C断面図である。
図4B図3のD-D断面図である。
図5A】本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータの正面図である。
図5B図5AのE-E断面図である。
図6】本発明の第4の実施形態に係るアクチュエータの断面図である。
図7】本発明の第5の実施形態に係るアクチュエータの正面図である。
図8A図7のF-F断面図である。
図8B図7のG-G断面図である。
図9A】本発明の第6の実施形態に係るアクチュエータの正面図である。
図9B図9AのH-H断面図である。
図10】本発明の第7の実施形態に係るアクチュエータの正面図である。
図11A図10のJ-J断面図である。
図11B図10のK-K断面図である。
図12A】本発明の第8の実施形態に係るアクチュエータの図12BのM-M断面図である。
図12B】本発明の第8の実施形態に係るアクチュエータの図12AのL-L断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。図中、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
(第1の実施形態)
<アクチュエータの構成>
まず、本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータ1の構成について、図1図2A及び図2Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
アクチュエータ1は、支持ユニット10と、ラック部20と、駆動ギア30aと、アイドルギア30bと、ギア41と、ギア42と、ギア50と、モータ60と、を有している。なお、図2A及び図2Bでは支持ユニット10の記載を省略している。
【0014】
支持ユニット10は、駆動ギア30a、アイドルギア30b、、ギア41、ギア42及びギア50の相対位置を保持した状態、及び駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42及びギア50とラック部20との相対位置を保持した状態において、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42及びギア50を回転可能に収容している。支持ユニット10には、ラック部20が挿通している。支持ユニット10は、駆動ギア30aの中実軸31a、アイドルギア30bの中実軸31b、ギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44及びギア50の中実軸51の軸方向(図2A及び図2Bにおいて左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部11を備えている。
【0015】
ラック部20は、支持ユニット10に支持されていない。ラック部20は、円弧状で且つ外周側の側面に設けられている外歯部21と、円弧状で且つ内周側の側面に設けられている内歯部22と、を備えている。外歯部21は、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合している。外歯部21は第1のラック歯部と称してよい。内歯部22は、ギア50の歯部52に噛合している。内歯部22は第2のラック歯部と称してよい。ラック部20は物理的な軸を備えていない。ラック部20は、ギア41及びギア42と、ギア50と、によって挟持されている。ギア41及びギア42はラック部20の上側に位置し、ギア50はラック部20の下側に位置している。ギア41とギア42は第1のギアと称してもよい。ギア50は第2のギアと称してもよい。外歯部21の曲率半径中心と、内歯部22の曲率半径中心と、は同一である。
【0016】
駆動ギア30aは、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共に、モータ60に接続されている。駆動ギア30aは、駆動ギア30aの回転軸である中実軸31aと、ギア41の歯部45、ギア42の歯部46及びアイドルギア30bの歯部32bに噛合していると共に駆動ギア30aの外周に形成されている歯部32aと、を備えている。
【0017】
アイドルギア30bは、支持ユニット10に対して回転可能に支持されている。アイドルギア30bは、アイドルギア30bの回転軸である中実軸31bと、駆動ギア30aの歯部32a及びギア50の歯部52に噛合していると共にアイドルギア30bの外周に形成されている歯部32bと、を備えている。
【0018】
ギア41は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア41の回転軸である中実軸43と、ラック部20の外歯部21及び駆動ギア30aの歯部32aに噛合していると共にギア41の外周に形成されている歯部45と、を備えている。
【0019】
ギア42は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共に、ギア42の回転軸である中実軸44と、ラック部20の外歯部21及び駆動ギア30aの歯部32aに噛合していると共にギア42の外周に形成されている歯部46と、を備えている。
【0020】
ギア50は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア50の回転軸である中実軸51と、ラック部20の内歯部22及びアイドルギア30bの歯部32bに噛合していると共にギア50の外周に形成されている歯部52と、を備えている。
【0021】
モータ60は、図示しない電源部より電力の供給を受けることにより回転駆動して、駆動ギア30aの中実軸31aを回転させることにより駆動ギア30aを回転させる駆動モータである。
【0022】
上記の構成を有するアクチュエータ1において、ギア50の中心である中実軸51とラック部20の仮想的な回転軸との距離は、ギア41の中心である中実軸43とラック部20の仮想的な回転軸との距離と異なっていると共に、ギア42の中心である中実軸44とラック部20の仮想的な回転軸との距離と異なっている。また、ギア50のピッチ円直径は、ギア41及びギア42のピッチ円直径と異なっている。更に、ギア50の歯部52とラック部20の内歯部22との減速比は、ギア41の歯部45とラック部20の外歯部21との減速比と同一であると共に、ギア42の歯部46とラック部20の外歯部21との減速比と同一である。
【0023】
<アクチュエータの動作>
本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータ1の動作について、図1図2A及び図2Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0024】
まず、モータ60が駆動することにより、駆動ギア30aが中実軸31aを回転軸として回転する。
【0025】
次に、駆動ギア30aが回転することにより、駆動ギア30aの歯部32aに噛合しているアイドルギア30bの歯部32b、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46を介してアイドルギア30b、ギア41及びギア42に回転駆動力が伝達される。これにより、アイドルギア30b、ギア41及びギア42が同一方向に回転する。
【0026】
また、アイドルギア30bが回転することにより、アイドルギア30bの歯部32bに噛合しているギア50の歯部52を介してギア50に回転駆動力が伝達される。これにより、ギア50は、ギア41及びギア42とは反対方向に回転する。
【0027】
例えば、駆動ギア30aが図1において時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b、ギア41及びギア42は図1において反時計回り方向に回転し、ギア50は時計回り方向に回転する。また、駆動ギア30aが図1において反時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b、ギア41及びギア42は図1において時計回り方向に回転し、ギア50は反時計回り方向に回転する。
【0028】
次に、ギア41、ギア42及びギア50が回転することにより、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合しているラック部20の外歯部21と、ギア50の歯部52に噛合しているラック部20の内歯部22と、を介してラック部20に回転駆動力が伝達される。
【0029】
これにより、支持ユニット10が固定されている場合には、ラック部20が回転して出力部として機能し、ラック部20が固定されている場合には、支持ユニット10が回転して出力部として機能する。
【0030】
例えば、支持ユニット10が固定されている場合においてギア41及びギア42が図1において反時計回り方向に回転し、ギア50が時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図1において時計回り方向に回転する。また、支持ユニット10が固定されている場合においてギア41及びギア42が図1において時計回り方向に回転し、ギア50が反時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図1において反時計回り方向に回転する。
【0031】
また、ラック部20が固定されている場合においてギア41及びギア42が図1において反時計回り方向に回転し、ギア50が時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図1において反時計回り方向に回転する。また、ラック部20が固定されている場合においてギア41及びギア42が図1において時計回り方向に回転し、ギア50が反時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図1において時計回り方向に回転する。
【0032】
上記の動作において、ラック部20は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の1つのギア50と、に挟持された状態で回転し、又は支持ユニット10は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の1つのギア50と、によってラック部20が挟持された状態で回転する。
【0033】
これにより、3つのギア(ギア41、ギア42、ギア50)がラック部20に同時に回転駆動力を伝達するため、ラック部20に対して加わる荷重を3つに分散させることができる。つまり、1つのギアでラック部20を回転駆動する構成に比べて、ラック部20に加わる荷重を分散させることができる(荷重がラック部20に局所的に加わることを回避できる)。その結果、ラック部20の強度を低くすることができるので、ラック部20を薄型化することができる。また、3つのギア(ギア41、ギア42、ギア50)がラック部20に対して複数の異なる方向から接触してラック部20に力を加えるため、ラック部20の回転軸と、ラック部20に噛合するギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44及びギア50の中実軸51と、の相対距離を保持することができ(自動的に芯出しをすることができ)、アクチュエータ1に自動調整機能を備えさせることができる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、モータ60と、円弧状の外周側の側面に設けられる外歯部21と、外周側の側面の反対側の円弧状の内周側の側面に設けられる内歯部22と、を備えるラック部20と、モータ60に接続される駆動ギア30aと、駆動ギア30aに噛合すると共に外歯部21に噛合するギア41及びギア42と、駆動ギア30aに接続されると共に内歯部22に噛合するギア50と、を有することにより、ラック部20を薄型化することができると共に、特別な機構を設けることなくラック部20の回転軸と、ラック部20に噛合するギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44及びギア50の中実軸51と、の相対距離を保持することができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、ラック部20を曲線形状にすると共にラック部20に物理的な回転軸を設けないようにしたことにより、ラック部20の回転半径を大径化して外歯部21及び内歯部22の歯数を増やした場合において、高減速比の実現と省スペースとを両立することができる。
【0036】
なお、本実施形態において、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する2つのギア(ギア41及びギア42)を設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する1つのギア50を設けたが、これに限らず、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する1つのギアを設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する2つのギアを設けてもよい。
【0037】
また、本実施形態において、ギア41及びギア42に噛合するギアを駆動ギア30aにすると共にギア50に噛合するギアをアイドルギア30bにしたが、これに限らず、ギア41及びギア42に噛合するギアをアイドルギアにすると共にギア50に噛合するギアを駆動ギアにしてもよい。
【0038】
(第2の実施形態)
<アクチュエータの構成>
次に、本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータ2の構成について、図3図4A及び図4Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0039】
なお、図3図4A及び図4Bにおいて図1図2A及び図2Bと同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。また、図4A及び図4Bでは支持ユニット10の記載を省略している。
【0040】
アクチュエータ2は、支持ユニット10と、駆動ギア30aと、アイドルギア30bと、ギア41と、ギア42と、ギア50と、モータ60と、ラック部120と、を有している。
【0041】
支持ユニット10には、ラック部120が挿通している。
【0042】
ラック部120は、支持ユニット10に支持されていない。ラック部120は、円弧状であり、外周側ラック部120aと、内周側ラック部120bと、から構成されていると共に、物理的な軸を備えていない。ラック部120は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の1つのギア50と、によって挟持されている。外周側ラック部120aと内周側ラック部120bとは、一体に回転可能になっている。
【0043】
外周側ラック部120aは、外周側の側面に設けられていると共にギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合している第1のラック歯部としての外歯部121を備えており、内周側ラック部120bに対して分離可能になっている。
【0044】
内周側ラック部120bは、内周側の側面に設けられていると共にギア50の歯部52に噛合している第2のラック歯部としての内歯部122を備えており、外周側ラック部120aに対して分離可能になっている。外歯部121の曲率半径中心と、内歯部122の曲率半径中心と、は同一である。
【0045】
ギア41は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア41の回転軸である中実軸43と、外周側ラック部120aの外歯部121及び駆動ギア30aの歯部32aに噛合していると共にギア41の外周に形成されている歯部45と、を備えている。
【0046】
ギア42は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア42の回転軸である中実軸44と、外周側ラック部120aの外歯部121及び駆動ギア30aの歯部32aに噛合していると共にギア42の外周に形成されている歯部46と、を備えている。
【0047】
ギア50は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア50の回転軸である中実軸51と、内周側ラック部120bの内歯部122及びアイドルギア30bの歯部32bに噛合していると共にギア50の外周に形成されている歯部52と、を備えている。
【0048】
上記の構成を有するアクチュエータ2において、中実軸51とラック部120の仮想的な回転軸との距離は、中実軸43とラック部120の仮想的な回転軸との距離と異なっていると共に、中実軸44とラック部120の仮想的な回転軸との距離と異なっている。また、ギア50の歯部52と内周側ラック部120bの内歯部122との減速比は、ギア41の歯部45と外周側ラック部120aの外歯部121との減速比と同一であると共に、第2のギア42の歯部46と外周側ラック部120aの外歯部121との減速比と同一である。
【0049】
<アクチュエータの動作>
本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータ2の動作について、図3図4A及び図4Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0050】
まず、モータ60が駆動することにより、駆動ギア30aが中実軸31aを回転軸として回転する。
【0051】
次に、駆動ギア30aが回転することにより、駆動ギア30aの歯部32aに噛合しているアイドルギア30bの歯部32b、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46を介してアイドルギア30b、ギア41及びギア42に回転駆動力が伝達される。これにより、アイドルギア30b、ギア41及びギア42は、同一方向に回転する。
【0052】
また、アイドルギア30bが回転することにより、アイドルギア30bの歯部32bに噛合しているギア50の歯部52を介してギア50に回転駆動力が伝達される。これにより、ギア50は、ギア41及びギア42とは反対方向に回転する。
【0053】
次に、ギア41、ギア42及びギア50が回転することにより、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合している外周側ラック部120aの外歯部121と、ギア50の歯部52に噛合している内周側ラック部120bの内歯部122と、を介してラック部120に回転駆動力が伝達される。
【0054】
これにより、支持ユニット10が固定されている場合には、ラック部120が回転して出力部として機能し、ラック部120が固定されている場合には、支持ユニット10が回転して出力部として機能する。
【0055】
例えば、支持ユニット10が固定されている場合においてギア41とギア42が図3において反時計回り方向に回転し、ギア50が時計回り方向に回転した場合には、ラック部120は図3において時計回り方向に回転する。また、支持ユニット10が固定されている場合においてギア41とギア42が図3において時計回り方向に回転し、ギア50が反時計回り方向に回転した場合には、ラック部120は図3において反時計回り方向に回転する。また、ラック部120が固定されている場合においてギア41とギア42が図3において反時計回り方向に回転し、ギア50が時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図3において反時計回り方向に回転する。また、ラック部120が固定されている場合においてギア41とギア42図3において時計回り方向に回転し、ギア50が反時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図3において時計回り方向に回転する。
【0056】
上記の動作において、ラック部120は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の1つギア(ギア50)と、に挟持された状態で回転し、又は支持ユニット10は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の1つギア(ギア50)と、によってラック部120を挟持した状態で回転する。
【0057】
これにより、3つギア41、ギア42及びギア50がラック部120に同時に回転駆動力を伝達するため、ラック部120に対して加わる荷重を分散させることができる。つまり、ラック部20に対して局所的に力が作用することを回避できる。その結果、ラック部120を薄型化することができる。また、3つのギア(ギア41、ギア42及びギア50)がラック部120に対して複数の異なる方向・位置から負荷を加えるため、ラック部120の回転軸と、ラック部120に噛合するギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44及びギア50の中実軸51と、の相対距離を保持することができ、アクチュエータ2に自動調整機能を備えさせることができる。
【0058】
このように、本実施形態によれば、ラック部120を外周側ラック部120aと内周側ラック部120bとから構成することにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、外歯部121と歯部45及び歯部46との噛合と、内歯部122と歯部52との噛合と、を個別に調整することができることによりラック部120の周方向の調整が容易であるため、容易に製造することができる。
【0059】
なお、本実施形態において、外周側ラック部120aの上側に外歯部121に噛合する2つのギア(ギア41及びギア42)を設け、内周側ラック部120bの下側に内歯部122に噛合する1つのギア(ギア50)を設けたが、これに限らず、外周側ラック部120aの上側に1つのギアを設け、内周側ラック部120bの下側の2つのギアを設けてもよい。
【0060】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータ3の構成について、図5A及び図5Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0061】
なお、図5A及び図5Bにおいて図1図2A及び図2Bと同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。なお、図5Bでは支持ユニット100の記載を省略している。
【0062】
アクチュエータ3は、ラック部20と、ギア41と、ギア42と、ギア50aと、アイドルギア50bと、モータ60と、支持ユニット100と、駆動ギア130と、を有している。
【0063】
支持ユニット100は、ギア41、ギア42、ギア50a、アイドルギア50b及び駆動ギア130の相対位置を保持した状態、及び、ギア41、ギア42、ギア50a、アイドルギア50b及び駆動ギア130とラック部20との相対位置を保持した状態において、ギア41、ギア42、ギア50a、アイドルギア50b及び駆動ギア130を回転可能に収容している。支持ユニット10には、ラック部20が挿通している。支持ユニット100は、ギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44、ギア50aの中実軸51a及びアイドルギア50bの中実軸51bの軸方向(図5Bにおいて左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部111を備えている。
【0064】
駆動ギア130は、中空環状のリングギアであり、モータ60に接続されている。駆動ギア130は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されている。駆動ギア130は、ギア41の歯部45、ギア42の歯部46及びアイドルギア50bの歯部52bに噛合していると共に駆動ギア130の内周に形成されている内歯部131を備えている。
【0065】
ギア41は、駆動ギア130の内側に設けられていると共に、支持ユニット100に対して回転可能に支持されている。ギア41は、ギア41の回転軸である中実軸43と、ラック部20の外歯部21及び駆動ギア130の内歯部131に噛合していると共に、ギア41の外周に形成されている歯部45と、を備えている。
【0066】
ギア42は、駆動ギア130の内側に設けられていると共に、支持ユニット100に対して回転可能に支持されている。ギア42は、ギア42の回転軸である中実軸44と、ラック部20の外歯部21及び駆動ギア130の内歯部131に噛合していると共に、ギア42の外周に形成されている歯部46と、を備えている。
【0067】
ギア50aは、駆動ギア130の内側に設けられていると共に、支持ユニット100に対して回転可能に支持されている。ギア50aは、ギア50aの回転軸である中実軸51aと、ラック部20の内歯部22及びアイドルギア50bの歯部52bに噛合していると共に、ギア50aの外周に形成されている歯部52aと、を備えている。
【0068】
アイドルギア50bは、駆動ギア130の内側に設けられていると共に、支持ユニット100に対して回転可能に支持されている。アイドルギア50bは、アイドルギア50bの回転軸である中実軸51bと、駆動ギア130の内歯部131及びギア50aの歯部52aに噛合していると共に、アイドルギア50bの外周に形成されている歯部52bと、を備えている。
【0069】
モータ60は、図示しない電源部より電力の供給を受けることにより回転駆動して駆動ギア130を回転させる。
【0070】
<アクチュエータの動作>
本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータ3の動作について、図5A及び図5Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0071】
まず、モータ60が駆動することにより、駆動ギア130が回転する。
【0072】
次に、駆動ギア130が回転することにより、駆動ギア130の内歯部131に噛合しているギア41の歯部45、ギア42の歯部46、及びアイドルギア50bの歯部52bを介してギア41、ギア42及びアイドルギア50bに回転駆動力が伝達される。これにより、ギア41、ギア42及びアイドルギア50bが同一方向に回転する。
【0073】
また、アイドルギア50bが回転することにより、アイドルギア50bの歯部52bに噛合しているギア50aの歯部52aを介してギア50aに回転駆動力が伝達される。これにより、ギア50aは、ギア41及びギア42とは反対方向に回転する。なお、この後のアクチュエータ3の動作はアクチュエータ1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。
【0074】
このように、本実施形態によれば、モータ60と、円弧状の外周側の側面に設けられる外歯部21と、外周側の側面の反対側の円弧状の内周側の側面に設けられる内歯部22と、を備えるラック部20と、モータ60に接続される駆動ギア130と、駆動ギア130に噛合すると共に外歯部21に噛合するギア41及びギア42と、駆動ギア130に接続されると共に内歯部22に噛合するギア50aと、有することにより、ラック部20を薄型化することができると共に、特別な機構を設けることなくラック部20の回転軸と、ラック部20に噛合するギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44及びギア50aの中実軸51aと、の相対距離を保持することができる。
【0075】
なお、本実施形態において、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する2つのギア(ギア41及びギア42)を設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する1つのギア(ギア50a)を設けたが、これに限らず、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する1つのギアを設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する2つのギアを設けてもよい。
【0076】
(第4の実施形態)
<アクチュエータの構成>
次に、本発明の第4の実施形態に係るアクチュエータ4の構成について、図6を参照しながら、詳細に説明する。
【0077】
なお、図6において図1図2A及び図2Bと同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
アクチュエータ4は、ラック部20と、駆動ギア30aと、アイドルギア30bと、ギア41と、ギア42と、ギア50と、モータ60と、支持ユニット210と、を有している。
【0079】
支持ユニット210は、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42及びギア50の相対位置を保持した状態、及び、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42及びギア50とラック部20との相対位置を保持した状態において、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42及びギア50を回転可能に収容している。支持ユニット210には、ラック部20が挿通している。支持ユニット210は、駆動ギア30aの中実軸31a、アイドルギア30bの中実軸31b、ギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44及びギア50の中実軸51の軸方向(図6において左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部11と、中実軸43、中実軸44及び中実軸51の軸方向の他端を回転可能に支持する支持部211と、を備えている。
【0080】
なお、アクチュエータ4の動作はアクチュエータ1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。
【0081】
このように、本実施形態によれば、上記の第1の実施形態の効果に加えて、支持ユニット210によって中実軸43、中実軸44及び中実軸51の軸方向の両端を回転可能に支持することにより、ギア41、ギア42及びギア50を安定した状態で回転させることができる。
【0082】
なお、本実施形態において、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する2つのギア(ギア41及びギア42)を設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する1つのギア(ギア50)を設けたが、これに限らず、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する1つのギアを設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する2つのギアを設けてもよい。
【0083】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態に係るアクチュエータ5の構成について、図7図8A及び図8Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0084】
なお、図7図8A及び図8Bにおいて図1図2A及び図2Bと同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
アクチュエータ5は、支持ユニット10と、ラック部20と、駆動ギア30aと、アイドルギア30bと、モータ60と、ギア138と、ギア139と、ギア150と、を有している。ギア138及びギア139はラック部20の上側に位置し、ギア150はラック部20の下側に位置している。ギア138とギア139は第1のギアと称してもよい。ギア150は第2のギアと称してもよい。なお、図5Bでは支持ユニット10の記載を省略している。
【0086】
支持ユニット10は、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア138、ギア139及びギア150の相対位置を保持した状態、及び、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア138、ギア139及びギア150とラック部20との相対位置を保持した状態において、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア138、ギア139及びギア150を回転可能に収容している。支持ユニット10は、駆動ギア30aの中実軸31a、アイドルギア30bの中実軸31b、ギア138の中実軸142、ギア139の中実軸143及びギア150の中実軸151の軸方向(図8A及び図8Bにおいて左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部11を備えている。
【0087】
ラック部20は、円弧状の外歯部21と円弧状の内歯部22を備えている。外歯部21は、外周側の側面に設けられていると共にギア138の歯部144及びギア139の歯部145に噛合している。内歯部22は、内周側の側面に設けられていると共にギア150の歯部153に噛合している。ラック部20は物理的な軸を備えていない。ラック部20は、上側の2つのギア(ギア138及びギア139)と、下側の1つギア(ギア150)と、によって挟持されている。
【0088】
駆動ギア30aは、駆動ギア30aの回転軸である中実軸31aと、アイドルギア30bの歯部32b、ギア138の歯部148及びギア139の歯部149に噛合していると共に駆動ギア30aの外周に形成されている歯部32aと、を備えている。
【0089】
アイドルギア30bは、アイドルギア30bの回転軸である中実軸31bと、駆動ギア30aの歯部32a及びギア150の歯部155に噛合していると共にアイドルギア30bの外周に形成されている歯部32bと、を備えている。
【0090】
ギア138は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されている。ギア138は、ギア138の回転軸である中実軸142と、第1の歯車部140と、第1の歯車部140より小径の第2の歯車部146と、第1の歯車部140の外周に形成されていると共にラック部20の外歯部21に噛合している歯部144と、第2の歯車部146の外周に形成されていると共に駆動ギア30aの歯部32aに噛合している歯部148と、を備えている2段歯車である。
【0091】
ギア139は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されている。ギア139は、ギア139の回転軸である中実軸143と、第1の歯車部141と、第1の歯車部141より小径の第2の歯車部147と、第1の歯車部141の外周に形成されていると共にラック部20の外歯部21に噛合している歯部145と、第2の歯車部147の外周に形成されていると共に駆動ギア30aの歯部32aに噛合している歯部149と、を備えている2段歯車である。
【0092】
ギア150は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されている。ギア150は、ギア150の回転軸である中実軸151と、第1歯車部152と、第1の歯車部152より小径の第2の歯車部154と、第1の歯車部152の外周に形成されていると共にラック部20の内歯部22に噛合している歯部153と、第2の歯車部154の外周に形成されていると共にアイドルギア30bの歯部32bに噛合している歯部155と、を備えている2段歯車である。
【0093】
上記の構成を有するアクチュエータ5において、ギア150の中心である中実軸151とラック部20の仮想的な回転軸との距離は、ギア138の中心である中実軸142とラック部20の仮想的な回転軸との距離と異なっていると共に、ギア139の中心である中実軸143とラック部20の仮想的な回転軸との距離と異なっている。また、ギア150のピッチ円直径は、ギア138及びギア139のピッチ円直径と異なっている。更に、ギア150の歯部153とラック部20の内歯部22との減速比は、ギア138の歯部144とラック部20の外歯部21との減速比と同一であると共に、ギア139の歯部145とラック部20の外歯部21との減速比と同一である。
【0094】
<アクチュエータの動作>
本発明の第5の実施形態に係るアクチュエータ5の動作について、図7図8A及び図8Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0095】
まず、モータ60が駆動することにより、駆動ギア30aが中実軸31aを回転軸として回転する。
【0096】
次に、駆動ギア30aが回転することにより、駆動ギア30aの歯部32aに噛合しているアイドルギア30bの歯部32b、ギア138の歯部148及びギア139の歯部149を介してアイドルギア30b、ギア138及びギア139に回転駆動力が伝達される。これにより、アイドルギア30b、ギア138及びギア139が同一方向に回転する。
【0097】
また、アイドルギア30bが回転することにより、アイドルギア30bの歯部32bに噛合しているギア150の歯部155を介してギア150に回転駆動力が伝達される。これにより、ギア150は、ギア138及びギア139とは反対方向に回転する。
【0098】
例えば、駆動ギア30aが図7において時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b、ギア138及びギア139は反時計回り方向に回転し、ギア150は図7において反時計回り方向に回転する。また、駆動ギア30aが図7において反時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b、ギア138及びギア139は図7において時計回り方向に回転し、ギア150は図7において反時計回り方向に回転する。
【0099】
次に、ギア138、ギア139及びギア150が回転することにより、ギア138の歯部144及びギア139の歯部145に噛合しているラック部20の外歯部21と、ギア150の歯部153に噛合しているラック部20の内歯部22と、を介してラック部20に回転駆動力が伝達される。
【0100】
これにより、支持ユニット10が固定されている場合には、ラック部20が回転して出力部として機能し、ラック部20が固定されている場合には、支持ユニット10が回転して出力部として機能する。
【0101】
例えば、支持ユニット10が固定されている場合においてギア138とギア139が図7において反時計回り方向に回転し、ギア150が時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図7において時計回り方向に回転する。また、支持ユニット10が固定されている場合においてギア138とギア139が図7において時計回り方向に回転し、ギア150が反時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図7において反時計回り方向に回転する。
【0102】
また、ラック部20が固定されている場合においてギア138とギア139が図7において反時計回り方向に回転し、ギア150が時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図7において反時計回り方向に回転する。また、ラック部20が固定されている場合においてギア138とギア139が図7において時計回り方向に回転し、ギア150が反時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図7において時計回り方向に回転する。
【0103】
上記の動作において、ラック部20は、上側の2つのギア(ギア138及びギア139)と、下側の1つギア(ギア150)と、に挟持された状態で回転し、又は支持ユニット10は、上側の2つのギア(ギア138及びギア139)と、下側の1つギア(ギア150)と、によってラック部20を挟持した状態で回転する。
【0104】
これにより、3つのギア(ギア138、ギア139、ギア150)がラック部20に同時に回転駆動力を伝達するため、ラック部20に対して加わる荷重を分散させることができる。その結果、ラック部20を薄型化することができる。また、3つのギア(ギア138、ギア139、ギア150)がラック部20に対して複数の異なる方向・位置から負荷を加えるため、ラック部20の仮想的な回転軸と、ラック部20に噛合するギア138の中実軸142、ギア139の中実軸143及びギア150の中実軸151と、の相対距離を保持することができ、アクチュエータ5に自動調整機能を備えさせることができる。
【0105】
このように、本実施形態によれば、モータ60と、円弧状の外周側の側面に設けられる外歯部21と、外周側の側面の反対側の円弧状の内周側の側面に設けられる内歯部22と、を備えるラック部20と、モータ60に接続される駆動ギア30aと、駆動ギア30aに噛合すると共に外歯部21に噛合するギア138及びギア139と、駆動ギア30aに接続されると共に内歯部22に噛合するギア150と、有することにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、ギア138及びギア139とラック部20との減速比、及びギア150とラック部20との減速比を調整することができる。
【0106】
なお、本実施形態において、第1のギア138及び第1のギア139と、第2のギア150と、の両方を2段歯車にしたが、これに限らず、第1のギア138及び第1のギア139と、第2のギア150と、の何れか一方のみを2段歯車にしてもよい。
【0107】
また、本実施形態において、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する2つのギア(ギア138及びギア139)を設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する1つのギア(ギア150)を設けたが、これに限らず、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する1つのギアを設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する2つのギアを設けてもよい。
【0108】
また、本実施形態において、ギア138及びギア139に噛合するギアを駆動ギア30aにすると共にギア150に噛合するギアをアイドルギア30bにしたが、これに限らず、ギア138及びギア139に噛合するギアをアイドルギアにすると共にギア150に噛合するギアを駆動ギアにしてもよい。
【0109】
(第6の実施形態)
<アクチュエータの構成>
次に、本発明の第6の実施形態に係るアクチュエータ6の構成について、図9A及び図9Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0110】
なお、図9A及び図9Bにおいて図1A及び図1Bと同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0111】
アクチュエータ6は、支持ユニット10と、ラック部20と、駆動ギア30aと、アイドルギア30bと、ギア41と、ギア42と、モータ60と、ギア250と、ギア251と、を有している。ギア41及びギア42はラック部20の上側に位置し、ギア250及びギア251はラック部20の下側に位置している。ギア41とギア42は第1のギアと称してもよい。ギア250とギア251は第2のギアと称してもよい。なお、図9Bでは支持ユニット10の記載を省略している。
【0112】
支持ユニット10は、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42、ギア250及びギア251の相対位置を保持した状態、及び、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42、ギア250及びギア251とラック部20との相対位置を保持した状態において、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア41、ギア42、ギア250及びギア251を回転可能に収容している。支持ユニット10には、ラック部20が挿通している。支持ユニット10は、駆動ギア30aの中実軸31a、アイドルギア30bの中実軸31b、ギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44、ギア250の中実軸252及びギア251の中実軸253の軸方向(図9Bにおいて左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部11を備えている。
【0113】
ラック部20は、円弧状の外歯部21と円弧状の内歯部22を備えている。外歯部21は、外周側の側面に設けられていると共にギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合している。内歯部22は、内周側の側面に設けられていると共にギア250の歯部254及びギア251の歯部255に噛合している。ラック部20は物理的な軸を備えていない。ラック部20は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の2つのギア(ギア250及びギア251)と、によって挟持されている。
【0114】
駆動ギア30aは、駆動ギア30aの回転軸である中実軸31aと、アイドルギア30bの歯部32b、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合していると共に駆動ギア30aの外周に形成されている歯部32aと、を備えている。
【0115】
アイドルギア30bは、アイドルギア30bの回転軸である中実軸31bと、駆動ギア30aの歯部32a、ギア250の歯部254及びギア251の歯部255に噛合していると共にアイドルギア30bの外周に形成されている歯部32bと、を備えている。
【0116】
ギア250は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア250の回転軸である中実軸252と、ラック部20の内歯部22及びアイドルギア30bの歯部32bに噛合していると共にギア250の外周に形成されている歯部254と、を備えている。
【0117】
ギア251は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア251の回転軸である中実軸253と、ラック部20の内歯部22及びアイドルギア30bの歯部32bに噛合していると共にギア251の外周に形成されている歯部255と、を備えている。
【0118】
上記の構成を有するアクチュエータ6において、ギア250の中心である中実軸252及びギア251の中心である中実軸253とラック部20の仮想的な回転軸との距離は、中実軸43とラック部20の回転軸との距離と異なっていると共に、中実軸44とラック部20の仮想的な回転軸との距離と異なっている。また、ギア250及び第2のギア251のピッチ円直径は、第1のギア41及び第1のギア42のピッチ円直径と異なっている。更に、ギア250の歯部254及びギア251の歯部255とラック部20の内歯部22との減速比は、ギア41の歯部45とラック部20の外歯部21との減速比と同一であると共に、ギア42の歯部46とラック部20の外歯部21との減速比と同一である。
【0119】
<アクチュエータの動作>
本発明の第6の実施形態に係るアクチュエータ6の動作について、図9A及び図9Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0120】
まず、モータ60が駆動することにより、駆動ギア30aが中実軸31aを回転軸として回転する。
【0121】
次に、駆動ギア30aが回転することにより、駆動ギア30aの歯部32aに噛合しているアイドルギア30bの歯部32b、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46を介してアイドルギア30b、ギア41及びギア42に回転駆動力が伝達される。これにより、アイドルギア30b、ギア41及びギア42が同一方向に回転する。
【0122】
また、アイドルギア30bが回転することにより、アイドルギア30bの歯部32bに噛合しているギア250の歯部254及びギア251の歯部255を介してギア250及びギア251に回転駆動力が伝達される。これにより、ギア250及びギア251は、ギア41及びギア42とは反対方向に回転する。
【0123】
例えば、駆動ギア30aが図9Aにおいて時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b、ギア41及びギア42は図9Aにおいて反時計回り方向に回転し、ギア250とギア251は時計回り方向に回転する。また、駆動ギア30aが図9Aにおいて反時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b、ギア41及びギア42は図9Aにおいて時計回り方向に回転し、ギア250とギア251は反時計回り方向に回転する。
【0124】
次に、ギア41、ギア42、ギア250及びギア251が回転することにより、ギア41の歯部45及びギア42の歯部46に噛合しているラック部20の外歯部21と、ギア250の歯部254及びギア251の歯部255に噛合しているラック部20の内歯部22と、を介してラック部20に回転駆動力が伝達される。
【0125】
これにより、支持ユニット10が固定されている場合には、ラック部20が回転して出力部として機能し、ラック部20が固定されている場合には、支持ユニット10が回転して出力部として機能する。
【0126】
例えば、支持ユニット10が固定されている場合においてギア41とギア42が図9Aにおいて反時計回り方向に回転し、ギア250とギア251が時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図9Aにおいて時計回り方向に回転する。また、支持ユニット10が固定されている場合においてギア41とギア42が図9Aにおいて時計回り方向に回転し、ギア250とギア251が反時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図9Aにおいて反時計回り方向に回転する。
【0127】
また、ラック部20が固定されている場合においてギア41とギア42が図9Aにおいて反時計回り方向に回転し、ギア250とギア251が時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図9Aにおいて反時計回り方向に回転する。また、ラック部20が固定されている場合においてギア41とギア42が図9Aにおいて時計回り方向に回転し、ギア250とギア251が反時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図9Aにおいて時計回り方向に回転する。
【0128】
上記の動作において、ラック部20は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の2つのギア(ギア250及びギア251)と、に挟持された状態で回転し、又は支持ユニット10は、上側の2つのギア(ギア41及びギア42)と、下側の2つのギア(ギア250及びギア251)と、によってラック部20を挟持した状態で回転する。
【0129】
これにより、4つのギア(ギア41、ギア42、ギア250及びギア251)がラック部20に同時に回転駆動力を伝達するため、ラック部20に対して加わる荷重を分散させることができる。つまり、ラック部20に局所的に力が作用することを確認することができる。その結果、ラック部20を薄型化することができる。また、4つのギア(ギア41、ギア42、ギア250及びギア251)がラック部20に対して複数の異なる方向・位置から負荷を加えるため、ラック部20の仮想的な回転軸と、ラック部20に噛合するギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44、ギア250の中実軸252及びギア251の中実軸253と、の相対距離を保持することができ、アクチュエータ6に自動調整機能を備えさせることができる。
【0130】
このように、本実施形態によれば、モータ60と、円弧状の外周側の側面に設けられる外歯部21と、外周側の側面の反対側の円弧状の内周側の側面に設けられる内歯部22と、を備えるラック部20と、モータ60に接続される駆動ギア30aと、駆動ギア30aに噛合すると共に外歯部21に噛合するギア41及びギア42と、駆動ギア30aに接続されると共に内歯部22に噛合するギア250及びギア251と、有することにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、ギア41及びギア42と、ギア250及びギア251と、によりラック部20に加わる負荷を更に分散することができる。
【0131】
(第7の実施形態)
<アクチュエータの構成>
まず、本発明の第7の実施形態に係るアクチュエータ7の構成について、図10図11A及び図11Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0132】
なお、図10図11A及び図11Bにおいて図1図2A及び図2Bと同一構成である部分については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0133】
アクチュエータ7は、支持ユニット10と、ラック部20と、駆動ギア30aと、アイドルギア30bと、ギア50と、モータ60と、ギア241と、を有している。ギア241はラック部20の上側に位置し、ギア50はラック部20の下側に位置している。ギア241は第1のギアと称してもよい。ギア50は第2のギアと称してもよい。なお、図7Bでは支持ユニット10の記載を省略している。
【0134】
支持ユニット10は、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア50及びギア241の相対位置を保持した状態、及び、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア50及びギア241とラック部20との相対位置を保持した状態において、駆動ギア30a、アイドルギア30b、ギア50及びギア241を回転可能に収容している。支持ユニット10は、駆動ギア30aの中実軸31a、アイドルギア30bの中実軸31b、ギア50の中実軸51及びギア241の中実軸242の軸方向(図11A及び図11Bにおいて左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部11を備えている。
【0135】
ラック部20は、円弧状の外歯部21と、円弧状の内歯部22とを備えている。外歯部21は、外周側の側面に設けられていると共にギア241の歯部243に噛合している。ラック部20は、上側のギア241と下側のギア50とによって挟持されている。
【0136】
駆動ギア30aは、駆動ギア30aの回転軸である中実軸31aと、アイドルギア30bの歯部32b及びギア241の歯部243に噛合していると共に駆動ギア30aの外周に形成されている歯部32aと、を備えている。
【0137】
ギア241は、支持ユニット10に対して回転可能に支持されていると共にギア241の回転軸である中実軸242と、ラック部20の外歯部21及び駆動ギア30aの歯部32aに噛合していると共にギア241の外周に形成されている歯部243と、を備えている。
【0138】
上記の構成を有するアクチュエータ7において、中実軸51とラック部20の仮想的な回転軸との距離は、ギア241の中心である中実軸242とラック部20の仮想的な回転軸との距離と異なっている。また、ギア50のピッチ円直径は、ギア241のピッチ円直径と異なっている。更に、ギア50の歯部52とラック部20の内歯部22との減速比は、ギア241の歯部243とラック部20の外歯部21との減速比と同一である。
【0139】
<アクチュエータの動作>
本発明の第7の実施形態に係るアクチュエータ7の動作について、図10図11A及び図11Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0140】
まず、モータ60が駆動することにより、駆動ギア30aが中実軸31aを回転軸として回転する。
【0141】
次に、駆動ギア30aが回転することにより、駆動ギア30aの歯部32aに噛合しているアイドルギア30bの歯部32b及びギア241の歯部243を介してアイドルギア30b及びギア241に回転駆動力が伝達される。これにより、アイドルギア30b及びギア241が同一方向に回転する。
【0142】
また、アイドルギア30bが回転することにより、アイドルギア30bの歯部32bに噛合しているギア50の歯部52を介してギア50に回転駆動力が伝達される。これにより、ギア50は、ギア241とは反対方向に回転する。
【0143】
例えば、駆動ギア30aが図10において時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b及びギア241は図10において反時計回り方向に回転し、ギア50は時計回り方向に回転する。また、駆動ギア30aが図10において反時計回り方向に回転した場合には、アイドルギア30b及びギア241は図10において時計回り方向に回転し、ギア50は反時計回り方向に回転する。
【0144】
次に、ギア241及びギア50が回転することにより、ギア241の歯部243に噛合しているラック部20の外歯部21と、ギア50の歯部52に噛合しているラック部20の内歯部22と、を介してラック部20に回転駆動力が伝達される。
【0145】
これにより、支持ユニット10が固定されている場合には、ラック部20が回転して出力部として機能し、ラック部20が固定されている場合には、支持ユニット10が回転して出力部として機能する。
【0146】
例えば、支持ユニット10が固定されている場合においてギア241が図10において反時計回り方向に回転し、ギア50が時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図10において時計回り方向に回転する。また、支持ユニット10が固定されている場合においてギア241が図10において時計回り方向に回転し、ギア50が反時計回り方向に回転した場合には、ラック部20は図10において反時計回り方向に回転する。
【0147】
また、ラック部20が固定されている場合においてギア241が図10において反時計回り方向に回転し、ギア50が時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図10において反時計回り方向に回転する。また、ラック部20が固定されている場合においてギア241が図10において時計回り方向に回転し、ギア50が反時計回り方向に回転した場合には、支持ユニット10は図10において時計回り方向に回転する。
【0148】
上記の動作において、ラック部20は、上側のギア241と下側のギア50とに挟持された状態で回転し、又は支持ユニット10は、上側のギア241と下側のギア50とによってラック部20を挟持した状態で回転する。
【0149】
これにより、ギア241とギア50とがラック部20に同時に回転駆動力を伝達するため、ラック部20に対して加わる荷重を分散させることができる。つまり、ラック部20に局所的に力が作用することを回避することができる。その結果、ラック部20を薄型化することができる。また、ギア241とギア50とがラック部20に対して複数の異なる方向・位置から負荷を加えるため、ラック部20の回転軸と、ラック部20に噛合するギア241の中実軸242及びギア50の中実軸51と、の相対距離を保持することができ、アクチュエータ7に自動調整機能を備えさせることができる。
【0150】
このように、本実施形態によれば、モータ60と、円弧状の外周側の側面に設けられる外歯部21と、外周側の側面の反対側の円弧状の内周側の側面に設けられる内歯部22と、を備えるラック部20と、モータ60に接続される駆動ギア30aと、駆動ギア30aに噛合すると共に外歯部21に噛合するギア241と、駆動ギア30aに接続されると共に内歯部22に噛合するギア50と、有することにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、部品数を減らすことができるためコストを低減することができる。
【0151】
(第8の実施形態)
<アクチュエータの構成>
次に、本発明の第8の実施形態に係るアクチュエータ8の構成について、図12A及び図12Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0152】
アクチュエータ8は、ラック部20と、ギア41と、ギア42と、ギア50aと、アイドルギア50bと、モータ60と、モータ160と、駆動ギア230と、駆動ギア231と、支持ユニット300と、を有している。ギア41とギア42はラック部20の上側に位置し、ギア50aはラック部20の下側に位置している。ギア41とギア42は第1のギアと称してもよい。ギア50aは第2のギアと称してもよい。なお、図12Bでは支持ユニット300の記載を省略している。
【0153】
支持ユニット300は、ギア41、ギア42、ギア50a、アイドルギア50b、駆動ギア230及び駆動ギア231の相対位置を保持した状態、及び、ギア41、ギア42、ギア50a、アイドルギア50b、駆動ギア230及び駆動ギア231とラック部20との相対位置を保持した状態において、ギア41、ギア42、ギア50a、アイドルギア50b、駆動ギア230及び駆動ギア231を回転可能に収容している。支持ユニット300には、ラック部20が挿通している。支持ユニット300は、ギア41の中実軸43、ギア42の中実軸44、ギア50aの中実軸51a及びアイドルギア50bの中実軸51bの軸方向(図12Bにおいて左右方向)の一端を回転可能に支持する支持部311と、中実軸43、中実軸44、中実軸51a及び中実軸51bの軸方向の他端を回転可能に支持する支持部312と、を備えている。
【0154】
ラック部20は、支持ユニット300に支持されていない。
【0155】
駆動ギア230は、中空環状のリングギアであり、軸方向の他端側に設けられていると共に、モータ160に接続されている。駆動ギア230は、支持ユニット300に対して回転可能に支持されている。駆動ギア230は、ギア41の歯部45、ギア42の歯部46及びアイドルギア50bの歯部52bに噛合していると共に駆動ギア230の内周に形成されている内歯部232を備えている。
【0156】
駆動ギア231は、中空環状のリングギアであり、軸方向の一端側に設けられていると共に、モータ60に接続されている。駆動ギア231は、支持ユニット300に対して回転可能に支持されている。駆動ギア231は、ギア41の歯部45、ギア42の歯部46及びアイドルギア50bの歯部52bに噛合していると共に駆動ギア231の内周に形成されている内歯部233を備えている。
【0157】
ギア41は、駆動ギア230及び駆動ギア231の内側に設けられていると共に、支持ユニット300に対して回転可能に支持されている。ギア41は、ギア41の回転軸である中実軸43と、ラック部20の外歯部21、駆動ギア230の内歯部232及び駆動ギア231の内歯部233に噛合していると共にギア41の外周に形成されている歯部45と、を備えている。
【0158】
ギア42は、駆動ギア230及び駆動ギア231の内側に設けられていると共に、支持ユニット300に対して回転可能に支持されている。ギア42は、ギア42の回転軸である中実軸44と、ラック部20の外歯部21、駆動ギア230の内歯部232及び駆動ギア231の内歯部233に噛合していると共にギア42の外周に形成されている歯部46と、を備えている。
【0159】
ギア50aは、駆動ギア230及び駆動ギア231の内側に設けられていると共に、支持ユニット300に対して回転可能に支持されている。ギア50aは、ギア50aの回転軸である中実軸51aと、ラック部20の内歯部22及びアイドルギア50bの歯部52bに噛合していると共にギア50aの外周に形成されている歯部52aと、を備えている。
【0160】
アイドルギア50bは、駆動ギア230及び駆動ギア231の内側に設けられていると共に、支持ユニット300に対して回転可能に支持されている。アイドルギア50bは、アイドルギア50bの回転軸である中実軸51bと、ラック部20の内歯部22及びギア50aの歯部52aに噛合していると共にアイドルギア50bの外周に形成されている歯部52bと、を備えている。
【0161】
モータ60は、図示しない電源部より電力の供給を受けることにより回転駆動して、駆動ギア231を回転させる駆動モータである。
【0162】
モータ160は、図示しない電源部より電力の供給を受けることにより回転駆動して、駆動ギア230を回転させる駆動モータである。
【0163】
<アクチュエータの動作>
本発明の第8の実施形態に係るアクチュエータ8の動作について、図12A及び図12Bを参照しながら、詳細に説明する。
【0164】
まず、モータ60が駆動することにより駆動ギア231が回転すると共に、モータ160が回転することにより駆動ギア230が回転する。
【0165】
次に、駆動ギア230及び駆動ギア231が回転することにより、駆動ギア230の内歯部232及び駆動ギア231の内歯部233に噛合しているギア41の歯部45、ギア42の歯部46、及びアイドルギア50bの歯部52bを介してギア41、ギア42及びアイドルギア50bに回転駆動力が伝達される。これにより、ギア41、ギア42及びアイドルギア50bが同一方向に回転し、ギア50aが反対方向に回転する。なお、この後のアクチュエータ8の動作はアクチュエータ1の動作と同一動作であるので、その説明を省略する。
【0166】
このように、本実施形態によれば、モータ60と、円弧状の外周側の側面に設けられる外歯部21と、外周側の側面の反対側の円弧状の内周側の側面に設けられる内歯部22と、を備えるラック部20と、モータ60に接続される駆動ギア231と、モータ160に接続される駆動ギア230と、駆動ギア230及び駆動ギア231に噛合すると共に外歯部21に噛合するギア41及びギア42と、駆動ギア230及び駆動ギア231に接続されると共に内歯部22に噛合するギア50aと、有することにより、上記の第1の実施形態の効果に加えて、アクチュエータ8に加わる負荷に応じてモータ60又はモータ160の何れか一方を選択的に駆動させることができる。
【0167】
なお、本実施形態において、駆動ギア230をモータ160によって駆動すると共に駆動ギア231をモータ60によって駆動したが、これに限らず、駆動ギア230及び駆動ギア231を一つのモータで駆動してもよい。
【0168】
また、本実施形態において、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する2つのギア(ギア41及びギア42)を設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する1つのギア(ギア50a)を設けたが、これに限らず、ラック部20の上側に外歯部21に噛合する1つのギアを設け、ラック部20の下側に内歯部22に噛合する2つのギアを設けてもよい。
【0169】
上記において特定の実施形態が説明されているが、当該実施形態は単なる例示であり、本発明の範囲を限定する意図はない。本明細書に記載された装置及び方法は上記した以外の形態において具現化することができる。また、本発明の範囲から離れることなく、上記した実施形態に対して適宜、省略、置換及び変更をなすこともできる。かかる省略、置換及び変更をなした形態は、請求の範囲に記載されたもの及びこれらの均等物の範疇に含まれ、本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0170】
1 アクチュエータ
2 アクチュエータ
3 アクチュエータ
4 アクチュエータ
5 アクチュエータ
6 アクチュエータ
7 アクチュエータ
8 アクチュエータ
10 支持ユニット
11 支持部
20 ラック部
21 外歯部
22 内歯部
30a 駆動ギア
30b アイドルギア
31a 中実軸
31b 中実軸
32a 歯部
32b 歯部
41 ギア
42 ギア
43 中実軸
44 中実軸
45 歯部
46 歯部
50 ギア
50a ギア
50b アイドルギア
51 中実軸
51a 中実軸
51b 中実軸
52 歯部
52a 歯部
52b 歯部
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B