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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135135
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04746 20160101AFI20240927BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20240927BHJP
   H01M 8/04694 20160101ALI20240927BHJP
   F24H 1/18 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/10 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/269 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/325 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20240927BHJP
   F24D 18/00 20220101ALI20240927BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240927BHJP
   F24D 101/30 20220101ALN20240927BHJP
【FI】
H01M8/04746
H01M8/00 Z
H01M8/04 J
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04694
F24H1/18 G
F24H15/10
F24H15/269
F24H15/281
F24H15/31
F24H15/325
F24H15/355
F24H1/00 A
F24D18/00
H01M8/10 101
F24D101:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045672
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】御堂 俊哉
【テーマコード(参考)】
3L122
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA28
3L122AA54
3L122AB23
3L122AB52
3L122BA42
3L122CA13
3L122DA15
3L122FA02
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA34
3L122GA04
5H126BB06
5H127AA07
5H127AB23
5H127AC14
5H127BA02
5H127BA13
5H127BA33
5H127BA34
5H127BB02
5H127BB18
5H127BB19
5H127DA11
5H127DC49
5H127DC50
5H127DC93
5H127GG04
5H127GG09
(57)【要約】
【課題】耐用期間の終了後の運転種別に応じた移行作業を簡略化できる燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池システム100は、燃料電池1の排熱を用いて温水を貯える貯湯タンク4と、貯湯タンク4に給水する給水路2と、貯湯タンク4から湯水を送出する給湯路3と、貯湯タンク4を迂回し、給水路2と給湯路4とを接続するバイパス流路21と、燃料電池システム100の運転を制御するように構成され、燃料電池1の耐用期間の終了後に、燃料電池1の発電終了を実行可能に構成されている制御部7と、燃料電池1の耐用期間の終了後に、貯湯タンク4から給湯路3への湯水の通流が遮断され、かつ、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替わる切替機構32と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を備えた燃料電池システムであって、
前記燃料電池の排熱を用いて温水を貯える貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに給水する給水路と、
前記貯湯タンクから湯水を送出する給湯路と、
前記貯湯タンクを迂回し、前記給水路と前記給湯路とを接続するバイパス流路と、
前記燃料電池システムの運転を制御するように構成され、前記燃料電池の耐用期間の終了後に、前記燃料電池の発電終了を実行可能に構成されている制御部と、
前記燃料電池の耐用期間の終了後に、前記貯湯タンクから前記給湯路への湯水の通流が遮断され、かつ、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水が許容される状態に切り替わる切替機構と、を備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記給湯路を通流する湯水を加熱する熱源機を備え、
前記制御部は、前記耐用期間の終了前に、前記耐用期間の終了後の運転種別を設定可能に構成され、前記運転種別として前記燃料電池の発電が終了した状態で前記熱源機の使用を継続する単独使用を含み、
前記制御部に前記運転種別として前記単独使用が設定されると、前記制御部は、前記耐用期間の終了後に、前記切替機構に対して、前記貯湯タンクから前記給湯路への湯水の通流が遮断され、かつ、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水が許容される状態に切り替える制御を実行する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記耐用期間の終了後の前記運転種別として、前記燃料電池に対して定期点検を実行して発電を継続する継続運転、及び、前記燃料電池を入れ替えて発電を継続する新設運転のうち、少なくとも一方を含む、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
操作部を有し、前記制御部は、前記操作部に対する操作に基づいて前記燃料電池の発電終了、及び、前記切替機構の制御を実行する、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、外部からの遠隔操作に基づいて前記燃料電池の発電終了、及び、前記切替機構の制御を実行する、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記耐用期間の終了予定時期を表示可能な表示部、及び、前記耐用期間の終了予定時期を外部に送信可能な通信部のうち、少なくとも一方を備える、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記給湯路のうち前記バイパス流路との合流位置に設けられた三方弁と、前記給水路のうち前記バイパス流路との接続部位よりも下流側に設けられた遮断弁とを、前記切替機構として備え、
前記制御部は、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水を許容し、前記貯湯タンクから送出される湯水の通流を遮断するように前記三方弁を制御し、前記貯湯タンクへの給水を遮断するように前記遮断弁を制御するように構成されている、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記給湯路のうち前記バイパス流路との合流位置に設けられた三方弁と、前記給水路のうち前記バイパス流路との接続部位よりも下流側に設けられた遮断弁とを、前記切替機構として備え、
前記燃料電池の発電が終了した際に、前記三方弁及び前記遮断弁に対する通電が不能になると、前記三方弁は、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水を許容し、前記貯湯タンクからの湯水の通流を遮断する状態になり、前記遮断弁は、前記給水路からの前記貯湯タンクへの給水を遮断する状態になる、請求項1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料電池及び貯湯タンクを有し、燃料電池の排熱によって貯湯タンクに温水を貯えるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。こうした燃料電池システムは、燃料電池の耐用期間が終了すると、燃料電池による発電が停止されて燃料電池の再起動ができない構成になっている。燃料電池の耐用期間は、例えば、燃料電池システムが有する制御部等において計測される、累積発電時間、累積通電時間、及び累積発電回数等に基づいて判定される。また、燃料電池システムには、ユーザへのサービス性を向上させるために、耐用期間の終了による発電停止を事前にユーザに報知するものが存在する(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0003】
燃料電池の耐用期間が終了した燃料電池システムについては、その後の運転種別として以下の3つが考えられる。第1の運転種別は、消耗品の部品交換をせずに燃料電池による発電を停止し、燃料電池及び貯湯タンクの湯水を使用せずに、燃料電池システムに併設される補助熱源機を使用する形態である(以下、「単独使用」とも称する)。第2の運転種別は、燃料電池に対して定期点検を実行して発電を継続するものである(以下、「継続運転」とも称する)。第3の運転種別は、燃料電池を入れ替えて発電を継続するものである(以下、「新設運転」とも称する)。
【0004】
より具体的には、「単独使用」は、作業員が燃料電池システムの運転モードの設定を変更し、水路配管の接続変更等を行うことで、補助熱源機のみの使用を可能にする。「継続運転」は、作業員が定期点検と必要な消耗品の部品交換とを行ったうえで、燃料電池システムを再起動する。「新設運転」は、既存の燃料電池システムを撤去して新たな燃料電池システムを設置する。
【0005】
これらのうち、特に「単独使用」では、燃料電池による発電が停止するため、燃料電池システムの貯湯タンクには、常温水が貯留し続けることになる。そうなると、貯湯タンクに貯留する常温水は、経時的に水質が悪化して細菌類の繁殖が進行するおそれもあるため、好ましくない。こうした事態を回避するうえで、例えば、特許文献4に記載される燃料電池システムでは、併設される補助熱源機を用いて貯湯タンクに貯留される水を加熱して当該水の水質を維持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-63903号公報
【特許文献2】特開2010-250946号公報
【特許文献3】特開2022-55994号公報
【特許文献4】特開2005-69667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池の耐用期間が終了する燃料電池システムについて、例えばリモコン等に報知された情報に基づいて使用者から事業者に連絡される場合もあり得るが、事業者から耐用期間の終了後の運転種別についての提案がされる場合の方が多く、使用者と事業者との間で連絡業務とそれに伴うコストが発生する。また、燃料電池システムについて「単独使用」への移行を実現するためには、作業員が現地に出向いて、燃料電池の設定変更や水路配管の接続変更等を行う必要があった。このように、燃料電池システムは、耐用期間の終了後の運転種別に応じ、連絡業務や作業員による現地作業、及びこれらに伴うコスト等が発生していた。
【0008】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、耐用期間の終了後の運転種別に応じた移行作業を簡略化できる燃料電池システムの提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の燃料電池システムの特徴構成は、燃料電池を備えた燃料電池システムであって、前記燃料電池の排熱を用いて温水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクに給水する給水路と、前記貯湯タンクから湯水を送出する給湯路と、前記貯湯タンクを迂回し、前記給水路と前記給湯路とを接続するバイパス流路と、前記燃料電池システムの運転を制御するように構成され、前記燃料電池の耐用期間の終了後に、前記燃料電池の発電終了を実行可能に構成されている制御部と、前記燃料電池の耐用期間の終了後に、前記貯湯タンクから前記給湯路への湯水の通流が遮断され、かつ、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水が許容される状態に切り替わる切替機構と、を備える点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムは、制御部によって、燃料電池の耐用期間の終了後に、燃料電池の発電終了を実行できる。加えて、切替機構によって、貯湯タンクから給湯路への湯水の通流を遮断し、バイパス流路を介した給水路から給湯路への給水が許容される状態に切り替えることができる。これにより、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に、燃料電池の発電を適正に終了でき、貯湯タンクの湯水が給湯路に送出されるのを防止し、かつ、バイパス流路により給水路から給湯路への給水を実行できる。その結果、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に、燃料電池及び貯湯タンクを使用しない運転種別への移行作業を簡略化できる。
【0011】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記給湯路を通流する湯水を加熱する熱源機を備え、前記制御部は、前記耐用期間の終了前に、前記耐用期間の終了後の運転種別を設定可能に構成され、前記運転種別として前記燃料電池の発電が終了した状態で前記熱源機の使用を継続する単独使用を含み、前記制御部に前記運転種別として前記単独使用が設定されると、前記制御部は、前記耐用期間の終了後に、前記切替機構に対して、前記貯湯タンクから前記給湯路への湯水の通流が遮断され、かつ、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水が許容される状態に切り替える制御を実行する点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、制御部は、耐用期間の終了前に、耐用期間の終了後の運転種別として、燃料電池の発電が終了した状態で熱源機の使用を継続する「単独使用」を設定できる。また、制御部において当該「単独使用」が設定されると、制御部が、耐用期間の終了後に、切替機構に対して、貯湯タンクから給湯路への湯水の通流が遮断され、かつ、バイパス流路を介した給水路から給湯路への給水が許容される状態に切り替える制御を実行する。これにより、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に「単独使用」への移行を迅速に実行できる。
【0013】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記制御部は、前記耐用期間の終了後の前記運転種別として、前記燃料電池に対して定期点検を実行して発電を継続する継続運転、及び、前記燃料電池を入れ替えて発電を継続する新設運転のうち、少なくとも一方を含む点にある。
【0014】
本特徴構成によれば、燃料電池システムは、耐用期間の終了後の運転種別として、「単独使用」以外に「継続運転」及び「新設運転」を含むことになる。これにより、燃料電池システムは、耐用期間の終了後の運転種別を複数の運転種別から選択して設定できる。その結果、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に選択された夫々の運転種別に応じた移行作業を適宜実行できる。
【0015】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、操作部を有し、前記制御部は、前記操作部に対する操作に基づいて前記燃料電池の発電終了、及び、前記切替機構の制御を実行する点にある。
【0016】
本特徴構成によれば、制御部は、操作部に対する操作に基づいて燃料電池の発電終了、及び、切替機構の制御を実行する。これにより、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に、燃料電池及び貯湯タンクの湯水の使用停止と、バイパス流路を介した給水路から給湯路への給水とを、適正に実行できる。その結果、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に、貯湯タンク内の湯水が給湯路に送出されるのを確実に防止できる。
【0017】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記制御部は、外部からの遠隔操作に基づいて前記燃料電池の発電終了、及び、前記切替機構の制御を実行する点にある。
【0018】
本特徴構成によれば、制御部が、外部からの遠隔操作によって燃料電池の発電終了、及び、切替機構の制御を実行するので、作業員は遠隔地から燃料電池システムの流路構成を確認しつつ流路切替を実行できる。これにより、燃料電池システムは、耐用期間の終了後における各種制御を確実に行うことができる。また、外部からの遠隔操作によって流路切替が行われることで、作業員が現地に出向いて燃料電池システムに対して作業を行う必要がないため、作業員による現地作業及び当該作業に伴う費用を削減できる。
【0019】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記耐用期間の終了予定時期を表示可能な表示部、及び、前記耐用期間の終了予定時期を外部に送信可能な通信部のうち、少なくとも一方を備える点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、燃料電池システムの使用者等が、表示部または通信部によって燃料電池の耐用期間の終了予定時期を事前に把握できる。これにより、燃料電池システムの使用者等は、耐用期間の終了後の燃料電池システムの運転形態について検討や準備等を行うことができる。
【0021】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記給湯路のうち前記バイパス流路との合流位置に設けられた三方弁と、前記給水路のうち前記バイパス流路との接続部位よりも下流側に設けられた遮断弁とを、前記切替機構として備え、前記制御部は、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水を許容し、前記貯湯タンクから送出される湯水の通流を遮断するように前記三方弁を制御し、前記貯湯タンクへの給水を遮断するように前記遮断弁を制御するように構成されている点にある。
【0022】
本特徴構成によれば、制御部によって、給湯路のうちバイパス流路との合流位置に設けられた三方弁(切替機構)を制御することにより、バイパス流路を介した給水路から給湯路への給水、及び貯湯タンクから送出される湯水の通流の遮断が可能になる。加えて、制御部によって、給水路のうちバイパス流路との接続部位よりも下流側に設けられた遮断弁(切替機構)を制御することにより、給水路から貯湯タンクへの給水の遮断が可能になる。これにより、三方弁及び遮断弁により、貯湯タンクへの給水及び貯湯タンクからの湯水の送出の停止と、バイパス流路を介した給水路から給湯路への給水とを適正に行うことができる。その結果、燃料電池システムは、耐用期間の終了後に「単独使用」への移行を迅速に実行できる。
【0023】
本発明に係る燃料電池システムの更なる特徴構成は、前記給湯路のうち前記バイパス流路との合流位置に設けられた三方弁と、前記給水路のうち前記バイパス流路との接続部位よりも下流側に設けられた遮断弁とを、前記切替機構として備え、前記燃料電池の発電が終了した際に、前記三方弁及び前記遮断弁に対する通電が不能になると、前記三方弁は、前記バイパス流路を介した前記給水路から前記給湯路への給水を許容し、前記貯湯タンクからの湯水の通流を遮断する状態になり、前記遮断弁は、前記給水路からの前記貯湯タンクへの給水を遮断する状態になる点にある。
【0024】
本特徴構成によれば、給湯路のうちバイパス流路との合流位置に設けられた三方弁(切替機構)に対する通電が不能になるだけで、バイパス流路を介した給水路から給湯路への給水、及び貯湯タンクから送出される湯水の通流の遮断が可能になる。加えて、給水路のうちバイパス流路との接続部位よりも下流側に設けられた遮断弁(切替機構)に対する通電が不能になるだけで、給水路から貯湯タンクへの給水の遮断が可能になる。これにより、燃料電池の発電終了に燃料電池システムの運転種別を「単独使用」に移行するための機構を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態の燃料電池システムの模式図であって、耐用期間中の流路構成を示す図である。
図2】第1実施形態の燃料電池システムの模式図であって、耐用期間終了後の流路構成を示す図である。
図3】制御部の構成の一例を示す図である。
図4】リモコンの表示部及び携帯端末の表示画面の一例を示す図である。
図5】燃料電池システムの運転種別の変更に係るフローチャートである。
図6】第2実施形態の燃料電池システムの模式図である。
図7】第3実施形態の燃料電池システムの模式図である。
図8】第4実施形態の燃料電池システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の実施形態にかかる燃料電池システムを説明する。尚、以下に好適な実施形態を記すが、これら実施形態はそれぞれ、本発明をより具体的に例示するために記載されたものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能であり、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、燃料電池1を備える燃料電池システム100を示す。燃料電池システム100は、燃料電池1が内蔵された発電ユニット10と、リモコン8(図4)とを備える。発電ユニット10又はリモコン8は制御部7を有する。通常、発電ユニット10は屋外に設置され、リモコン8は屋内に設置される。
【0028】
図1に基づいて、燃料電池システム100について説明を加える。
発電ユニット10は、燃料電池1と、湯水を貯湯する密閉型の貯湯タンク4と、燃料電池1から排出される排ガスの熱を排熱として回収する排熱回収熱交換器14と、当該排熱回収熱交換器14を経由する形態で、貯湯タンク4の底部と上部とを接続する貯湯用循環路12と、貯湯タンク4の底部から取出した湯水を当該貯湯タンク4の上部に戻す形態で、貯湯用循環路12を通して湯水を循環させる循環ポンプ13と、貯湯用循環路12を通流する湯水を冷却する放熱器15とを備えて構成されている。
従って、本実施形態では、貯湯用循環路12、循環ポンプ13及び排熱回収熱交換器14が、貯湯タンク4の湯水を加熱する加熱部5として機能する。
【0029】
燃料電池システム100は、燃料電池1等の動作や流路切替え等の各種制御を行う制御部7を備える。
制御部7は、コンピュータを用いて構成されており、燃料電池システム100の運転を制御するように構成され、後述する混合弁31、遮断弁23及び三方弁32等の各種弁やポンプ等の機器の制御が可能である。加えて、制御部7は、燃料電池1の耐用期間の終了後に、燃料電池1の発電終了を実行可能に構成されている。
【0030】
また、制御部7は、燃料電池1の作動状態において貯湯タンク4に温度成層を形成する状態で貯湯すべく、貯湯用循環路12を通して貯湯タンク4の上部に供給される湯水の温度が目標温度(例えば、60℃)になるように貯湯用循環路12を通して流動する湯水循環量を調整する形態で、循環ポンプ13の作動を制御する排熱回収式貯湯処理を実行するように構成されている。
【0031】
発電ユニット10は、都市ガス等の燃料ガスが燃料ガス供給路(図示せず)を通して供給される改質処理部(図示せず)及び固体酸化物形の複数の燃料電池セルを備えるセルスタック(図示せず)を、高温容器(図示せず)の内部に収納する形態に構成されている。
改質処理部は、燃料ガスを水蒸気改質処理して、水素成分が多い改質ガスを生成するものであって、生成した改質ガスが、セルスタックに供給されるように構成されている。
発電ユニット10には、改質処理部に改質水を供給する流路として改質水供給路17が設けられている。改質水供給路17は、排熱回収熱交換器14、改質水タンク18、及び、ポンプ19を、流路途中に順に備える。改質水タンク18には、後述するように、排熱回収熱交換器14で凝縮された凝縮水が改質水として貯留される。
【0032】
図示は省略するが、空気(酸素含有ガス)が高温容器の内部に供給されており、セルスタックにおいて、改質ガスを燃料極に通流させ、かつ、空気を酸素極に通流させることによって、発電するように構成されている。
また、燃料極を通流した後の改質ガスが、酸素極を通流した後の空気や高温容器の内部に供給された空気を用いて燃焼し、その燃焼熱にて改質処理部を加熱するように構成されている。
【0033】
改質ガスを燃焼させた排ガスを高温容器から排出する排ガス路20が、上述した排熱回収熱交換器14を経由する形態で設けられている。これにより、当該排ガスの排熱を、貯湯用循環路12を通流する湯水を介して貯湯タンク4に貯留することができる。
そして、排熱回収熱交換器14を経由した排ガスは冷却されるため、排ガス中に含まれる水蒸気が凝縮して改質水が生成され、上述の改質水供給路17を介して改質水タンク18に貯留される。
【0034】
貯湯タンク4には、貯湯タンク4の下部に給水路2が接続され、貯湯タンク4の上部に給湯路3が接続されている。従って、貯湯タンク4に貯湯した湯水を、給湯路3を通して、給湯栓等の湯水消費箇所に出湯できるように構成されており、貯湯タンク4に貯湯した湯水が出湯されると、給水路2を通して、上水道等の給水源より貯湯タンク4に給水されるように構成されている。
【0035】
給水路2と給湯路3との間には、両流路を接続する混合流路22が設けられている。混合流路22は、給水路2のうちの分岐部22aから分岐する形態で設けられている。
給湯路3には、給水路2から混合流路22を介して供給される湯水(冷水)と、貯湯タンク4に貯留から送出されて給湯路3を通流する湯水(温水)とを混合する混合弁31が設けられている。なお、混合弁31は、給湯路3のうち混合流路22との合流位置に設けられている。
そして、例えば、リモコン8にて指令された目標給湯温度(例えば、40℃等)の湯水を出湯すべく、混合流路22からの湯水(冷水)と給湯路3を通流する湯水(温水)との混合比を混合弁31にて調整する形態で混合できるように構成されている。
なお、図示しないが、給湯路3には、混合弁31(実際には、後述する三方弁32)の下流側で、給湯栓の上流側に、給湯路3を通流する湯水を目標給湯温度に加熱可能なガス燃焼式の補助熱源機(熱源機の一例)が設けられている。
【0036】
本実施形態では、混合流路22とは別に、給水路2と給湯路3とを接続するバイパス流路21が設けられている。バイパス流路21は、給水路2のうちの分岐部21aから分岐する形態で設けられている。なお、給水路2には、バイパス流路21の分岐部21aと、混合流路22の分岐部22aとが給水方向において順に設けられている。従って、バイパス流路21は、貯湯タンク4を迂回して給水路2と給湯路3とを接続する。
【0037】
給水路2には、給水路2を通流する湯水(冷水)の通流を遮断可能な遮断弁23が、分岐部21a及び分岐部22aの間の流路に設けられている。すなわち、遮断弁23は、給水路2のうちバイパス流路21の分岐部21aよりも下流に設けられている。
遮断弁23は、制御部7により制御可能な電動弁であり、給水路2を連通させて給水路2から貯湯タンク4への給水を可能にする開状態と、給水路2を遮断して給水路2から貯湯タンク4への給水を阻止する閉状態とに切替自在に設けられている。
【0038】
給湯路3には、混合弁31の下流側に、三方弁32が設けられている。すなわち、三方弁32は、給湯路3のうちバイパス流路21との合流位置に設けられている。
三方弁32は、制御部7により制御可能な電動弁であり、貯湯タンク4及び混合流路22から給湯路3へ送出される湯水の通流を許容し、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を遮断する第1状態と、貯湯タンク4及び混合流路22から給湯路3へ送出される湯水の通流を遮断し、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を許容する第2状態とに切替自在に設けられている。即ち、三方弁32は、給湯路3において貯湯タンク4から送出される湯水の通流を遮断可能である。
【0039】
なお、給水路2から供給される水は、貯湯タンク4の下部に供給でき、混合流路22を介して混合弁31に供給でき、また、バイパス流路21を介して三方弁32に供給できる。
【0040】
従って、本実施形態では、三方弁32及び遮断弁23が、燃料電池1の耐用期間の終了後に、貯湯タンク4から給湯路3への湯水の通流が遮断され、かつ、後述のバイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替わる切替機構として機能する。なお、本実施形態では、当該切替機構の制御は、制御部7が実行する。
【0041】
上記構成により、遮断弁23が開状態になり、三方弁32が貯湯タンク4及び混合流路22から給湯路3への湯水の通流を許容し、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を遮断する第1状態の流路に切り替わると、給水路2及び給湯路3は、貯湯タンク4を経由する流路構成となる(図1参照)。図1に示される燃料電池システム100では、太実線で示すように、貯湯タンク4の上部から湯水が給湯路3を通して送出されると共に、給水路2を通して貯湯タンク4の底部及び混合流路22に給水される。その場合に、混合弁31を通過した湯水の温度が目標給湯温度よりも低いときは、補助熱源機により目標給湯温度になるように加熱される。この場合、給水路2からバイパス流路21を介しての給湯路3への給水は、三方弁32により遮断されている。
【0042】
反対に、遮断弁23が閉状態になり、三方弁32が貯湯タンク4及び混合流路22から給湯路3への湯水の通流を遮断し、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を許容する第2状態の流路に切り替わると、給水路2及び給湯路3は、貯湯タンク4を迂回する流路構成となる(図2参照)。図2に示される燃料電池システム100では、太実線で示すように、給水路2からの給水がバイパス流路21によって貯湯タンク4を迂回して給湯路3に供給されて、給湯路3に供給された湯水の温度が目標給湯温度よりも低いときは、補助熱源機により目標給湯温度になるように加熱される。この場合、貯湯タンク4及び混合流路22から給湯路3への湯水は、三方弁32により遮断されており、貯湯タンク4の下部及び混合流路22から給水路2の上流側に逆流する湯水は、遮断弁23により遮断されている。
【0043】
図3に示されるように、制御部7は、例えば、運転制御部70、推定部71、判定部72、表示制御部73、通信部74等を有する。図4に示されるように、燃料電池システム100は、運転制御や運転確認のためのリモコン8(操作部の一例、図4の左図)を有する。リモコン8は、表示部81及び発音部82を有する。また、燃料電池システム100は、携帯端末の操作画面85(図4の右図)によって運転制御や運転確認が可能に構成されている。
【0044】
表示制御部73は、リモコン8の表示部81に表示される表示情報を制御する。また、表示制御部73及び通信部74は、携帯端末の操作画面85に表示される表示情報を制御する。また、通信部74は、インターネット等の通信ネットワークを介して、管理センター(図示省略)のホストコンピュータと通信可能に構成されている。
【0045】
上記構成の燃料電池システム100は、燃料電池1の耐用期間(以下、単に「耐用期間」とも称する。)が予め設定されており、耐用期間を越えて継続した運転を可能にするには、通常、定期点検を受ける必要がある。耐用期間の一例としては、燃料電池1の累積通電時間が10年に到達する期間等であるが、累積発電時間や累積発電回数等であってもよい。燃料電池システム100は、上述の定期点検を受けない場合には、耐用期間の到達により燃料電池1が自動的に停止する。
【0046】
制御部7において、推定部71は、燃料電池1の運転履歴に基づいて耐用期間の終了予定時期を推定する。推定部71による耐用期間の終了予定時期の推定は、例えば、制御部7において別途計測される、累積発電時間、累積通電時間、及び累積発電回数等に基づいて行われる。判定部72は、推定部71によって推定された耐用期間の終了予定時期の到達と、耐用期間の終了予定時期に到達するまでの残り期間が予め設定された期間に到達したことを判定する。上記の推定部71及び判定部72の構成は、あくまで一例であって、燃料電池1の耐用期間の終了予定時期に到達するまでの残り期間が予め設定された期間に到達したことを判定できる構成であれば、他の構成であってもよい。
【0047】
燃料電池システム100では、耐用期間後の運転種別として、「単独使用」「継続運転」「新設運転」の3つが考えられる。
「単独使用」とは、耐用期間の終了後に、消耗品の部品交換をせずに燃料電池1による発電を停止し、燃料電池1及び貯湯タンク4の湯水を使用せずに、燃料電池システム100に併設される補助熱源機を使用する形態である。
「継続運転」とは、耐用期間の終了後に、燃料電池1に対し定期点検を行って発電を継続する形態である。
「新設運転」とは、耐用期間の終了後に、燃料電池1(発電ユニット10)を入れ替えて入替後の燃料電池1による発電を継続する形態である。
【0048】
図4は、燃料電池システム100の運転種別の変更の際に用いられる、リモコン8の表示部81及び携帯端末の操作画面85の一例を示す図である。図4に示されるように、リモコン8の表示部81又は携帯端末の操作画面85には、例えば、耐用期間の終了前の所定時期(例えば3か月前)に、耐用期間の終了予定時期として、燃料電池1が運転停止となる予定日と、耐用期間の終了後に設定選択可能な運転種別が表示される。本実施形態では、燃料電池システム100には、設定選択可能な運転種別として、上述の「単独使用」「継続運転」「新設運転」の3つが用意されている。
【0049】
耐用期間後の運転種別として、「継続運転」が選択された場合には、燃料電池1等の定期点検が必須のため、作業員が現地で作業を行うことになる。「新設運転」が選択された場合には、燃料電池1を含む発電ユニット10の入替が必須のため、作業員が現地で作業を行うことになる。また、「単独使用」を選択した場合であっても、通常は、配管の繋ぎ変え等が必要であるため、作業員が現地作業を行うことになる。そこで、本実施形態では、燃料電池システム100の「単独使用」について、作業員が現地に出向かずに対応できるよう、以下のように構成されている。
【0050】
図5は、燃料電池システム100の運転種別の変更に係るフローチャ―トである。図5に示されるように、ステップ#11では、制御部7の判定部72において、推定部71が推定した耐用期間の終了予定時期に到達するまでの期間が、予め設定された所定の期間となったか否かが判定される。ここで、所定の期間とは、耐用期間の終了予定時期に到達するまでの残り期間であって、例えば3か月以内に設定される。ステップ#11において、所定の運転期間の経過が判定されると(ステップ#11:Yes)、表示部81または操作画面85に、耐用期間の終了予定時期、及び、運転種別を報知する(ステップ#12)。耐用期間の終了予定時期は、例えば制御部7の推定部71によって取得することができる。
【0051】
次に、ステップ#13において運転種別が選択され、運転種別として「単独使用」が選択されると(ステップ#14:Yes)、運転種別が燃料電池システム100の事業者に通知され(ステップ#15)、「単独使用」に基づく対応がなされる(ステップ#16)。具体的には、ステップ#16において、耐用期間の終了後に、制御部7による燃料電池システム100の設定変更(燃料電池による発電を行わないように発電終了の設定)がなされる。また、給水路2及び給湯路3に対して、貯湯タンク4を迂回する流路切替を実行する。より具体的には、制御部7は、三方弁32に対して、貯湯タンク4から給湯路3への湯水の通流が遮断され、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替える制御を実行する。加えて、制御部7は、遮断弁23に対して、給水路2から貯湯タンク4への給水が遮断される状態に切り替える制御を実行する。
【0052】
一方、ステップ#14において、運転種別として「単独使用」以外が選択されると(ステップ#14:No)、選択された運転種別が燃料電池システム100の事業者に通知され(ステップ#17)、他の運転種別(「継続運転」または「新設運転」)に基づく対応がなされる(ステップ#18)。具体的には、「継続運転」であれば、ステップ#18において、耐用期間の終了後に、定期点検及び必要な消耗品の部品交換がなされて燃料電池1が再起動される。また、「新設運転」であれば、既存の燃料電池システム100の撤去及び新たな燃料電池システム100の設置が行われる。
【0053】
このように、本実施形態では、制御部7が、燃料電池1の耐用期間が終了後に、燃料電池1の発電終了、及び、三方弁32及び遮断弁23(切替機構)に対する流路切替制御を実行できるので、給湯路3において貯湯タンク4から送出される湯水の通流を遮断でき、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を許容できる。これにより、燃料電池システム100は、耐用期間の終了後に、制御部7により燃料電池1の発電を適正に終了でき、貯湯タンク4の湯水が給湯路3から送出されるのを防止し、かつ、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を実行できる。その結果、燃料電池システム100は、耐用期間の終了後に、燃料電池1及び貯湯タンク4を使用しない「単独運転」への移行作業を簡略化できる。
【0054】
〔第1実施形態の変形例〕
本変形例では、三方弁32及び遮断弁23は制御部7により制御可能な電動弁であって、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了に伴い遮断弁23及び三方弁32への電力供給が停止されるように構成されている。ここで、三方弁32は、電源OFF時に貯湯タンク4及び混合流路22から送出される湯水の通流が遮断され、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される仕様で構成される。また、遮断弁23は、電源OFF時に閉状態となる仕様で構成される。したがって、燃料電池1の発電が終了した際に、三方弁32への電力供給が停止されて三方弁32に対する通電が不能になると、三方弁32によって、貯湯タンク4からの湯水の通流が自動的に遮断され、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が自動的に許容される。また、燃料電池1の発電が終了した際に、遮断弁23への電力供給が停止されて遮断弁23に対する通電が不能になると、遮断弁23によって給水路2において貯湯タンク4への給水が自動的に遮断される。これにより、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了の運転種別を「単独使用」にするための機構を簡素化できる。
【0055】
〔第2実施形態〕
図6に示されるように、第2実施形態の燃料電池システム100は、第1実施形態において給湯路3に設けられた三方弁32に代えて、バイパス流路21の途中に遮断弁24(切替機構)が設けられている。他の構成は第1実施形態と同じである。なお、遮断弁24も制御部7により制御可能な電動弁である。
本実施形態では、混合弁31及び遮断弁23及び遮断弁24が切替機構として機能する。この場合、制御部7は、耐用期間の終了前は、遮断弁24を閉状態とし、遮断弁23を開状態で且つ混合弁31を貯湯タンク4からの湯水と給水路2からの給水とを混合可能な状態となるように制御を実行する。一方で、制御部7は、耐用期間の終了後に、混合弁31に対して、貯湯タンク4から送出される湯水の割合を0%に設定して、貯湯タンク4から給湯路3への通流を遮断する制御を実行し、遮断弁24に対して、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を許容する(開状態とする)制御を実行する。さらに、本実施形態では、制御部7は、遮断弁23に対して、給水路2から貯湯タンク4への給水を遮断する制御を実行する。このように、燃料電池システム100は、制御部7が、耐用期間の終了後に、混合弁31及び遮断弁24に対する制御と、遮断弁23に対する制御とを実行することで、「単独使用」への移行作業を簡略化できる。
【0056】
〔第2実施形態の変形例〕
本変形例では、混合弁31及び遮断弁24と遮断弁23とが制御部7により制御可能な電動弁であって、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了に伴い、混合弁31及び遮断弁24と遮断弁23への電力供給が停止されるように構成されている。ここで、混合弁31は、電源OFF時に貯湯タンク4から送出される湯水の割合を0%に設定し、貯湯タンク4から給湯路3への通流が遮断される仕様で構成される。遮断弁24は、電源OFF時にバイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替わる仕様で構成される。遮断弁23は、電源OFF時に閉状態となる仕様で構成される。本構成により、燃料電池1の発電が終了した際に、混合弁31及び遮断弁24への電力供給が停止されて混合弁31及び遮断弁24に対する通電が不能になると、混合弁31によって貯湯タンク4からの湯水の通流が自動的に遮断され、遮断弁24によってバイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が自動的に許容される。さらに、遮断弁23への電力供給が停止されて遮断弁23に対する通電が不能になると、遮断弁23によって給水路2において貯湯タンク4への給水が自動的に遮断される。これにより、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了の運転種別を「単独使用」にするための機構を簡素化できる。
【0057】
〔第3実施形態〕
図7に示されるように、第3実施形態の燃料電池システム100は、第1実施形態において給水路2に設けられた遮断弁23を有しない。他の構成は第1実施形態と同じである。
本実施形態では、三方弁32が切替機構として機能する。この場合、制御部7は、耐用期間の終了前は、三方弁32を、貯湯タンク4及び混合流路22から送出される湯水の通流を許容し、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を遮断する状態に切り替える制御を実行する。一方で、制御部7は、耐用期間が終了後は、貯湯タンク4及び混合流路22から給湯路3へから送出される湯水の通流を遮断し、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を許容する状態に切り替える制御を実行する。
従って、制御部7が、燃料電池1の耐用期間が終了後に、燃料電池1の発電終了、及び、三方弁32(切替機構)に対する流路切替制御を実行できるので、給湯路3において貯湯タンク4から送出される湯水の通流を遮断でき、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を許容できる。これにより、燃料電池システム100は、耐用期間の終了後に、燃料電池1の発電を適正に終了でき、貯湯タンク4の湯水が給湯路3から送出されるのを防止し、かつ、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水を実行できる。その結果、燃料電池システム100は、耐用期間の終了後に、燃料電池1及び貯湯タンク4を使用しない「単独運転」への移行作業を簡略化できる。
【0058】
〔第3実施形態の変形例〕
本変形例では、三方弁32は制御部7により制御可能な電動弁であって、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了に伴い三方弁32への電力供給が停止されるように構成されている。ここで、三方弁32(切替機構)は、電源OFF時に貯湯タンク4から送出される湯水の通流が遮断され、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切替わる仕様で構成される。したがって、燃料電池1の発電が終了した際に、三方弁32への電力供給が停止されて三方弁32に対する通電が不能になると、三方弁32は貯湯タンク4からの湯水の通流が自動的に遮断され、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が自動的に許容される。これにより、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了の運転種別を「単独使用」にするための機構を簡素化できる。
【0059】
〔第4実施形態〕
図8に示されるように、第4実施形態の燃料電池システム100は、第1実施形態において設けられた遮断弁23及び三方弁32を有しておらず、給水路2からバイパス流路21への分岐位置に三方弁25が設けられている。他の構成は第1実施形態とは同じである。本実施形態では、混合弁31及び三方弁25が切替機構として機能する。バイパス流路21は、給水路2に配置された三方弁25と給湯路3の合流部21bとの間に設けられる。制御部7は、燃料電池1の使用時には、混合弁31を適宜制御し、三方弁25に対して給水路2から貯湯タンク4への給水が許容される状態に切り替える制御を実行する。制御部7は、耐用期間の終了後に、混合弁31に対して、貯湯タンク4から送出される湯水の割合を0%に設定し、貯湯タンク4から給湯路3への通流を遮断する制御を実行する。加えて、制御部7は、三方弁25に対して、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替える制御を実行する。この場合、貯湯タンク4の下部及び混合流路22から給水路2の上流側に逆流する湯水は、三方弁25により遮断されている。このように、燃料電池システム100は、耐用期間の終了後に、制御部7が三方弁25を制御することで、「単独使用」への移行作業を簡略化できる。
【0060】
〔第4実施形態の変形例〕
本変形例では、混合弁31及び三方弁25が制御部7により制御可能な電動弁であって、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了に伴い、混合弁31及び三方弁25への電力供給が停止されるように構成されている。ここで、混合弁31は、電源OFF時に貯湯タンク4から送出される湯水の割合を0%に設定し、貯湯タンク4から給湯路3への通流が遮断される仕様で構成される。三方弁25は、電源OFF時にバイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替わる仕様で構成される。本構成により、燃料電池1の発電が終了した際に、混合弁31及び三方弁25への電力供給が停止されて混合弁31及び三方弁25に対する通電が不能になると、混合弁31によって貯湯タンク4からの湯水の通流が自動的に遮断され、三方弁25によってバイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が自動的に許容される。これにより、燃料電池システム100は、燃料電池1の発電終了の運転種別を「単独使用」にするための機構を簡素化できる。
【0061】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、給水路2及び給湯路3に遮断弁23,24や三方弁32,25を配置する例を示したが、燃料電池の耐用期間の終了前は、給水路2を介して貯湯タンク4に給水でき、貯湯タンク4から給湯路3への湯水の通流が許容され、かつ、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が遮断される状態に切り替わることができ、一方で、燃料電池の耐用期間の終了後に、貯湯タンク4から給湯路3への湯水の通流が遮断され、かつ、バイパス流路21を介した給水路2から給湯路3への給水が許容される状態に切り替わることができる切替機構であれば、適宜採用することができる。
【0062】
(2)上記の実施形態では、給水路2及び給湯路3は、燃料電池1の発電を終了した際に、制御部7によって三方弁32等の切替機構を制御する例と、三方弁32等の切替機構に対する通電が不能になることで、給水路2及び給湯路3が貯湯タンク4を迂回する流路に自動的に切り替わる例を示した。これに代えて、給水路2及び給湯路3は、リモコン8(図4参照、操作部の一例)の操作によって三方弁32等の切替機構が直接または制御部7を介して制御されることで、貯湯タンク4を迂回する流路に切替可能に構成されてもよい。また、給水路2及び給湯路3は、例えば、携帯端末の操作画面85(図4参照)等による外部からの遠隔操作によって三方弁32等の切替機構が直接または制御部7を介して制御されることで、貯湯タンク4を迂回する流路に切替可能に構成されてもよい。これにより、燃料電池システム100は、耐用期間の終了後における「単独使用」への移行を適正に行うことができる。また、外部からの遠隔操作によって流路切替が行われることで、作業員が現地に出向いて燃料電池システム100に対して作業を行う必要がないため、作業員による現地作業及び当該作業に伴う費用を削減できる。
【0063】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、燃料電池システムに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 :燃料電池
2 :給水路
3 :給湯路
4 :貯湯タンク
7 :制御部
8 :リモコン(操作部)
12 :貯湯用循環路
14 :排熱回収熱交換器
21 :バイパス流路
22 :混合流路
23 :遮断弁(切替機構)
24 :遮断弁(切替機構)
25 :三方弁(切替機構)
31 :混合弁(切替機構)
32 :三方弁(切替機構)
74 :通信部
81 :表示部
85 :操作画面
100 :燃料電池システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8