(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135136
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電力供給システム、及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20240927BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J3/38 110
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045673
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】森田 昌志
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HB02
5G066HB06
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5G066JB06
(57)【要約】
【課題】平時には比較的経済性の高い構成で所定の電力を需要家へ供給可能であると共に、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図る。
【解決手段】電力制御部PC1、CG1は、商用電力系統Kの停電を検知した場合、接続切替部SW1により商用電力接続状態から自立接続状態へ切り換えると共に、熱電併給装置CGを自立接続経路L2を母線として連系接続する第1接続切替制御を実行すると共に、太陽電池PVの発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値が負荷IRの消費電力未満であり、且つ蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値以下となった場合、熱電併給装置CGからの電力供給を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池と、蓄電池と、熱電併給装置と、前記太陽電池と前記蓄電池と前記熱電併給装置とを用いた負荷への電力供給を制御する電力制御部と、
前記太陽電池及び前記蓄電池と前記負荷との接続経路を、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ商用電力系統に対して接続される商用電力接続状態とする商用接続経路を介する経路と、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ前記商用電力系統から電気的に切り離された自立接続状態とする自立接続経路を介する経路との何れか一方に切り替え可能な接続切替部とを備え、
前記電力制御部は、前記商用電力系統の停電を検知した場合、
前記接続切替部により前記商用電力接続状態から前記自立接続状態へ切り換えると共に、前記熱電併給装置を前記自立接続経路を母線として連系接続する第1接続切替制御を実行すると共に、
前記太陽電池の発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値が前記負荷の消費電力未満であり、且つ前記蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値以下となった場合、前記熱電併給装置からの電力供給を実行する電力供給システム。
【請求項2】
前記電力制御部は、前記商用電力系統の停電を検知し、前記第1接続切替制御を実行した後で、前記蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値以上となった場合、
前記太陽電池の前記発電電力平均値に関わらず、前記自立接続状態を維持すると共に前記熱電併給装置の前記自立接続経路を母線とする前記連系接続を維持した状態で、前記熱電併給装置からの電力供給を停止する請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記商用電力系統の停電を検知し、前記第1接続切替制御を実行した後に、前記自立接続経路を介した電力供給の停止を検知した場合、
前記熱電併給装置の前記自立接続経路を母線とする前記連系接続を解除して、前記熱電併給装置を自立運転に切り替える第2接続切替制御を実行し、前記熱電併給装置から前記負荷への電力供給を実行する請求項1又は2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
太陽電池と、蓄電池と、熱電併給装置と、前記太陽電池と前記蓄電池と前記熱電併給装置とを用いた負荷への電力供給を制御する電力制御部と、
前記太陽電池及び前記蓄電池と前記負荷との接続経路を、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ商用電力系統に対して接続される商用電力接続状態とする商用接続経路を介する経路と、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ前記商用電力系統から電気的に切り離された自立接続状態とする自立接続経路を介する経路との何れか一方に切り替え可能な接続切替部とを備えた電力供給システムの制御方法であって、
前記商用電力系統の停電を検知した場合に、前記接続切替部により前記商用電力接続状態から前記自立接続状態へ切り換えると共に、前記熱電併給装置を前記自立接続経路を母線として連系接続する第1接続切替制御を実行すると共に、
前記太陽電池の発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値が前記負荷の消費電力未満であり、且つ前記蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値以下となった場合、前記熱電併給装置からの電力供給を実行する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システム、及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力供給システムとして、住宅等に設けられる負荷に対し、商用電力系統から商用電力線を介して電力を供給可能に構成されていると共に、太陽電池と当該太陽電池の発電電力を蓄電可能な蓄電池とから成る分散型電源から分岐電力線を介して太陽電池の発電電力又は蓄電池に蓄電された電力を供給可能に構成されているものが知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術の如く、太陽電池と蓄電池とを組み合わせた分散型電源を有する電力供給システムは、停電時にも電力の供給が可能であることから、エネルギーレジリエンスの強化の観点から有効である。
ここで、エネルギーレジリエンスとは、平時には需要家を含む社会に対して所要のエネルギーを安定的に供給すると共に、有事には自然的・人為的災害等によりエネルギーの供給支障を生じた場合に、当該災害等が人命・資産や経済活動及び社会にもたらす影響を低減するためのハード・ソフト面での停止復旧能力である。(2020年4月にAPECで合意された「エネルギーレジリエンス原則」に基づく定義。)
上記特許文献1に開示の技術では、停電が発生した場合に、悪天候時や夜間を含めた長時間に亘り、負荷(特に、重要負荷)への電力供給を維持するには、蓄電池を大容量化する必要があるが、蓄電池を大容量化するには初期投資が高くなるためシステム導入の妨げとなっており、新たな技術の開発が望まれていた。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、平時には比較的経済性の高い構成で所定の電力を需要家へ供給可能であると共に、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図ることができる電力供給システム、及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための電力供給システムの特徴構成は、
太陽電池と、蓄電池と、熱電併給装置と、前記太陽電池と前記蓄電池と前記熱電併給装置とを用いた負荷への電力供給を制御する電力制御部と、
前記太陽電池及び前記蓄電池と前記負荷との接続経路を、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ商用電力系統に対して接続される商用電力接続状態とする商用接続経路を介する経路と、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ前記商用電力系統から電気的に切り離された自立接続状態とする自立接続経路を介する経路との何れか一方に切り替え可能な接続切替部とを備え、
前記電力制御部は、前記商用電力系統の停電を検知した場合、
前記接続切替部により前記商用電力接続状態から前記自立接続状態へ切り換えると共に、前記熱電併給装置を前記自立接続経路を母線として連系接続する第1接続切替制御を実行すると共に、
前記太陽電池の発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値が前記負荷の消費電力未満であり、且つ前記蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値以下となった場合、前記熱電併給装置からの電力供給を実行する点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、商用電力系統の停電を検知した場合、接続切替部により接続状態を商用電力接続状態から自立接続状態へ切り換えると共に、熱電併給装置を自立接続経路を母線として連系接続する第1接続切替制御を実行するから、負荷に対して太陽電池及び蓄電池から電力供給が可能な状態とすると共に、熱電併給装置からも電力供給が可能な状態とすることができる。
更に、太陽電池の発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値が、負荷の消費電力未満であって、蓄電池の蓄電量が消費され易い状況で、且つ蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値以下となった場合に、熱電併給装置を起動して電力供給可能とするから、蓄電池の蓄電量が消費され易い状況で、且つ蓄電池の蓄電量が比較的低い状況であるときに、熱電併給装置による発電電力を蓄電池へ供給できる。これにより、蓄電池への蓄電量を積極的に維持して、太陽電池及び蓄電池が負荷へ自立接続され電力供給可能な自立接続状態を積極的に維持できる。
結果、例えば太陽電池の発電電力がなく且つ蓄電池の蓄電量が下限値(例えば、零)となって自立接続状態が維持できなくなり、それにより熱電併給装置の自立接続経路への連系接続が解除され、熱電併給装置が単独で負荷へ電力供給する自立運転に切り替わり、熱電併給装置単独で負荷へ電力供給する状況の発生を抑制できる。
換言すれば、有事における停電時は、地震等の他の自然災害が発生しており、熱電併給装置への燃料の供給が遮断される虞もあるが、上記特徴構成によれば、熱電併給装置から負荷への電力供給と、太陽電池及び蓄電池から負荷への電力供給の双方を良好に維持でき、エネルギーレジリエンスをより強化したシステムにできる。
以上より、平時には、熱電併給装置を備えた比較的経済性の高い構成で所定のエネルギを需要家へ供給可能であると共に、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図ることができる電力供給システムを実現できる。
【0008】
電力供給システムの更なる特徴構成は、
前記電力制御部は、前記商用電力系統の停電を検知し、前記第1接続切替制御を実行した後で、前記蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値以上となった場合、
前記太陽電池の前記発電電力平均値に関わらず、前記自立接続状態を維持すると共に前記熱電併給装置の前記自立接続経路を母線とする前記連系接続を維持した状態で、前記熱電併給装置からの電力供給を停止する点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、商用電力系統の停電を検知し、第1接続切替制御を実行した後で、蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値以上となった場合、熱電併給装置からの電力供給を停止するから、自立接続経路への電力供給過多により、システムが不安定化することを防止できる。
尚、熱電併給装置からの電力供給停止は、自立接続状態を維持すると共に熱電併給装置の自立接続経路を母線とする連系接続を維持した状態で実行するので、熱電併給装置から前記負荷に対する電力供給を瞬時に再開可能な状態を維持して、エネルギーレジリエンスを維持した制御を実現できる。
【0010】
電力供給システムの更なる特徴構成は、
前記電力制御部は、前記商用電力系統の停電を検知し、前記第1接続切替制御を実行した後に、前記自立接続経路を介した電力供給の停止を検知した場合、
前記熱電併給装置の前記自立接続経路を母線とする前記連系接続を解除して、前記熱電併給装置を自立運転に切り替える第2接続切替制御を実行し、前記熱電併給装置から前記負荷への電力供給を実行する点にある。
【0011】
上記特徴構成の如く、商用電力系統の停電を検知し、第1接続切替制御を実行した後に、自立接続経路を介した電力供給の停止を検知した場合、熱電併給装置の自立接続経路を母線とする連系接続を解除して、熱電併給装置を自立運転に切り替える第2接続切替制御を実行し、熱電併給装置から負荷への電力供給を実行することで、自立接続状態が維持できなくなった場合であっても、熱電併給装置自体が自立運転して負荷への電力供給を維持するから、負荷へ電力供給できる時間を長期化して、より安定した電力供給システムを実現できる。
【0012】
上記目的を達成するための電力供給システムの制御方法は、
太陽電池と、蓄電池と、熱電併給装置と、前記太陽電池と前記蓄電池と前記熱電併給装置とを用いた負荷への電力供給を制御する電力制御部と、
前記太陽電池及び前記蓄電池と前記負荷との接続経路を、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ商用電力系統に対して接続される商用電力接続状態とする商用接続経路を介する経路と、前記太陽電池と前記蓄電池とが互いに接続され且つ前記商用電力系統から電気的に切り離された自立接続状態とする自立接続経路を介する経路との何れか一方に切り替え可能な接続切替部とを備えた電力供給システムの制御方法であって、
前記商用電力系統の停電を検知した場合に、前記接続切替部により前記商用電力接続状態から前記自立接続状態へ切り換えると共に、前記熱電併給装置を前記自立接続経路を母線として連系接続する第1接続切替制御を実行すると共に、
前記太陽電池の発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値が前記負荷の消費電力未満であり、且つ前記蓄電池の蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値以下となった場合、前記熱電併給装置からの電力供給を実行する点にある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に電力供給システムの概略構成図であって、商用電力系統へ連系接続してした状態で負荷へ電力供給している状態を示す図である。
【
図2】実施形態に電力供給システムの概略構成図であって、太陽電池及び蓄電池を含む分散電源の自立接続経路を母線として熱電併給装置が連系接続した状態で負荷へ電力供給している状態を示す図である。
【
図3】実施形態に電力供給システムの概略構成図であって、熱電併給装置が自立運転により負荷へ電力供給している状態を示す図である。
【
図5】停電が発生した場合に、実施形態に係る電力供給システムでの制御を実行しているときに、発電電力、消費電力、蓄電池の蓄電量の変化の例を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る電力供給システム、及びその制御方法は、平時には比較的経済性の高い構成で所定の電力を需要家へ供給可能であると共に、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図ることができるものに関する。
以下、
図1~5に基づいて、実施形態に係る電力供給システム100、及びその制御方法について説明する。
【0015】
電力供給システム100は、太陽電池PVと、蓄電池SBと、熱電併給装置CGと、太陽電池PV及び蓄電池SBから重要負荷IR(負荷の一例)への電力供給を制御する電力変換部PC(電力制御部の一例)と、熱電併給装置CGから重要負荷IRへの電力供給を制御する第1発電制御部CG1(電力制御部の一例)と、接続切替部として第1接続切替部SW1及び第2接続切替部SW2とを備えている。
電力変換部PCと第1発電制御部CG1とは、有線又は無線により通信可能に構成されている。
【0016】
電力変換部PCは、所謂、パワーコンディショナーとして構成されており、太陽電池PVにて発電された発電電力の蓄電池SBへの充電を制御すると共に、太陽電池PVの発電電力或いは蓄電池SBに充電(蓄電)された電力の外部への出力を制御する第2発電制御部PC1を備えている。尚、蓄電池SBは、例えばリチウムイオン電池等の二次電池等から構成される。
【0017】
更に、電力変換部PCは、商用電力系統Kからの第5接続経路L5に接続される商用接続経路L1を介して電力を出力する連系出力部PC2と、自身で電力の電圧、周波数、位相を所定の値に維持して自立接続経路L2を介して電力を自立出力する自立出力部PC3とを備えている。
尚、自立出力部PC3は、双方向インバータとしての機能を備えており、電力変換部PCから自立接続経路L2を介して重要負荷IRへ電力供給可能であると共に、熱電併給装置CGでの発電電力を自立接続経路L2を介して蓄電池SBへ充電可能に構成されている。
【0018】
尚、商用接続経路L1と自立接続経路L2とは、第1接続切替部SW1により、択一的に切り換え接続される形態で、電力供給経路L3へ接続される。
即ち、第1接続切替部SW1は、太陽電池PV及び蓄電池SBと重要負荷IRとの接続経路を、太陽電池PVと蓄電池SBとが互いに接続され且つ商用電力系統Kに対して接続される商用電力接続状態(
図1に示す接続状態)とする商用接続経路L1を介する経路と、太陽電池PVと蓄電池SBとが互いに接続され且つ商用電力系統Kから電気的に切り離された自立接続状態(
図2に示す接続状態)とする自立接続経路L2を介する経路との何れか一方に切り替える。
ちなみに、詳細については後述するが、電力供給経路L3には、第1接続切替部SW1の側から、重要負荷IRが接続される第4接続経路L4、熱電併給装置CGが接続される第6接続経路L6が、記載の順に接続されている。
【0019】
第2発電制御部PC1には、商用電力系統Kに接続される第5接続経路L5の電力の電圧を測定する電圧測定部S1の測定結果と、第5接続経路L5の電力の電流を測定する第1電流測定部S2の測定結果とが伝達される。
【0020】
電圧測定部S1は、例えば電力の電圧値を測定するために用いられる計器用変圧器などを用いて構成される。そして、電力変換部PCの第2発電制御部PC1は、電圧測定部S1の測定結果を参照して、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われている正常給電状態であるか、又は、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われていない停電状態であるかを判定する。例えば、第2発電制御部PC1は、電圧測定部S1から伝達される電圧値が所定値以上であれば、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われている正常給電状態であると判定し、電圧測定部S1から伝達される電圧値が所定値未満であれば、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われていない停電状態であると判定する。
【0021】
第1電流測定部S2は、例えば電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成される。そして、電力変換部PCの第2発電制御部PC1は、第1電流測定部S2の測定結果を参照して、第5接続経路L5から商用接続経路L1へ向かう電力を測定する。第2発電制御部PC1は、第1電流測定部S2から伝達される電流値と、電圧測定部S1の測定結果又は所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力値を導出できる。
【0022】
電力変換部PCの第2発電制御部PC1は、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われている正常給電状態である場合、第1接続切替部SW1により商用接続経路L1を電力供給経路L3へ接続する商用電力接続状態とし、電力変換部PCの連系出力部PC2を介した電力供給を行う。一方、第2発電制御部PC1は、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われていない停電状態である場合、第1接続切替部SW1により自立接続経路L2を電力供給経路L3へ接続する自立接続状態とし、電力変換部PCの自立出力部PC3を介した電力供給或いは蓄電池SBへの充電を行う。
尚、第2発電制御部PC1は、図示は省略するが、第4接続経路L4に通流する電流と、所定の電圧値(例えば、100V、200V等)とを積算することにより、重要負荷IRの消費電力を検出可能となっている。
【0023】
熱電併給装置CGは、例えば、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などを用いて構成されており、自身により発電した電力を、所望の電圧、周波数、位相の電力に変換する第1発電制御部CG1と、発電した電力を電力供給経路L3に供給される電力に連系する形で出力する連系出力部CG2と、自身で電力の電圧、周波数、位相を所定の値に維持して電力を自立出力する自立出力部CG3と、第6接続経路L6を連系出力部CG2と自立出力部CG3との何れかに択一的に接続する第2接続切替部SW2とを備えて構成されている。尚、当該熱電併給装置CGにて発生した熱は図示しない熱利用部へ供給される。
【0024】
熱電併給装置CGには、電力供給経路L3において、当該電力供給経路L3と第4接続経路L4との接続部位と第1接続切替部SW1との間の電力の電流を測定する第2電流測定部S3の測定結果が伝達される。
【0025】
第2電流測定部S3は、例えば電力の電流値を検出するために用いられるカレントトランス(計器用変流器)を用いて構成される。そして、熱電併給装置CGの第1発電制御部CG1は、第2電流測定部S3の測定結果を参照して、第1接続切替部SW1から、電力供給経路L3と第4接続経路L4との接続部位へ向かう電力を測定(導出)可能である。例えば、第1発電制御部CG1は、第2電流測定部S3から伝達される電流値と、所定の電圧値(例えば100V、200V等)との積から、電力値を導出できる。
更に、第1発電制御部CG1は、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われている正常給電状態か又は電力変換部PCの自立出力部PC3からの電力供給が行われている給電状態である場合と、商用電力系統K及び電力変換部PCの双方から電力の供給が行われていない停電状態である場合とを、判定可能に構成されている。
【0026】
そして、第1発電制御部CG1は、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われている正常給電状態か又は電力変換部PCの自立出力部PC3からの電力供給が行われている給電状態である場合、第2接続切替部SW2にて連系出力部CG2と第6接続経路L6とを接続し、商用接続経路L1を母線として連系接続する形態で発電制御し、商用電力系統K及び電力変換部PCの双方から電力の供給が行われていない停電状態である場合、第2接続切替部SW2にて自立出力部CG3と第6接続経路L6とを接続し、自身で電力の電圧、周波数、位相を所定の値に維持して電力を自立出力する形態で発電制御する。
尚、第1発電制御部CG1は、商用電力系統Kからの電力供給が正常に行われている正常給電状態にある場合、第2電流測定部S3の測定結果を参照して、熱電併給装置CGから第1接続切替部SW1の側へ電力が逆潮流しないように、熱電併給装置CGから供給する発電電力を制御する。
【0027】
さて、当該実施形態に係る電力供給システム100は、平時には比較的経済性の高い構成で所定の電力を需要家へ供給可能であると共に、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図るべく、以下の制御を実行する。
第2発電制御部PC1が、商用電力系統Kの停電を検知した場合、第1接続切替部SW1により商用電力接続状態から自立接続状態へ切り換える(
図1に示す接続状態から
図2に示す接続状態へ切り換える)と共に、第1発電制御部CG1が、熱電併給装置CGを自立接続経路L2を母線として連系接続する形態で、第1接続切替制御を実行すると共に、太陽電池PVの発電電力の現時点までの所定期間(例えば、30秒以上60秒以下の期間)の平均値である発電電力平均値が重要負荷IRの消費電力未満であり、且つ蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値(例えば、最大蓄電容量の50%)以下となった場合、熱電併給装置CGからの電力供給を実行する。
【0028】
ここで、第1接続切替制御後にあっては、第2発電制御部PC1により、自立接続状態を維持するための発電電力(例えば、熱電併給装置CGの定格発電電力、及び電力変換部PCの発電電力が5kW程度である場合、250W以上500W以下程度の発電電力であって、好ましくは200W程度の発電電力)が、電力変換部PCから自立接続経路L2を介して重要負荷IRへ供給されるよう制御され、第1発電制御部CG1により、熱電併給装置CGを定格出力で運転するよう制御される。
【0029】
更に、第1発電制御部CG1及び第2発電制御部PC1は、商用電力系統Kの停電を検知し、第1接続切替制御を実行した後で、蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値(例えば最大蓄電容量の90%)以上となった場合、太陽電池PVの発電電力平均値に関わらず、自立接続経路L2を介した自立接続状態(
図2に示す状態)を維持すると共に熱電併給装置CGの自立接続経路L2を母線とする連系接続を維持した状態で、熱電併給装置CGからの電力供給を停止する(熱電併給装置CGをアイドリング状態とする)。
【0030】
これに加え、第1発電制御部CG1及び第2発電制御部PC1は、商用電力系統Kの停電を検知し、第1接続切替制御を実行した後に、電力変換部PCからの自立接続経路L2を介した電力供給の停止を検知した場合、自立接続経路L2を母線とする熱電併給装置CGの連系接続を解除して、熱電併給装置CGを自立運転に切り替える第2接続切替制御を実行し、第2接続切替部SW2により自立出力部CG3と第6接続経路L6とを接続して(
図3に示す接続状態として)、熱電併給装置CGから重要負荷IRへの電力供給を実行する。
当該実施形態に係る電力供給システム100では、以上の制御により、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図ることができるシステムを実現している。
【0031】
次に、
図4に示す制御フローに基づいて、当該実施形態に係る電力供給システム100に係る停電時における制御を説明する。
第2発電制御部PC1が、商用電力系統Kの停電を検知した場合(#01でYes)、第2発電制御部PC1は、第1接続切替部SW1により商用電力接続状態から自立接続状態へ切り換える(
図1に示す接続状態から
図2に示す接続状態へ切り換える)と共に、第1発電制御部CG1が、熱電併給装置CGを自立接続経路L2を母線として連系接続する形態で、第1接続切替制御を実行する(#02)。
一方、第2発電制御部PC1は、商用電力系統Kの停電を検知しない場合(#01でNo)、商用電力系統Kの停電を連続して検知し続ける(#01の判定を連続して実行する)。
【0032】
第2発電制御部PC1は、太陽電池PVの発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値Ppvが重要負荷IRの消費電力Pld未満であり、且つ蓄電池SBの蓄電量Qbが予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値Qlow(例えば、最大蓄電容量の50%)以下となった場合(#03でYes)、熱電併給装置CGを定格で運転し熱電併給装置CGからの電力供給を実行する(#04)。
一方、第2発電制御部PC1は、太陽電池PVの発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値Ppvが重要負荷IRの消費電力Pld以上か、又は蓄電池SBの蓄電量Qbが予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値Qlow(例えば、最大蓄電容量の50%)を超える場合(#03でNo)、熱電併給装置CGからの電力供給を実行しない(熱電併給装置CGをアイドリング状態とする)。
【0033】
次に、第1発電制御部CG1及び第2発電制御部PC1は、蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値(例えば最大蓄電容量の90%)以上となった場合(#05でYes)、太陽電池PVの発電電力平均値に関わらず、自立接続経路L2を介した自立接続状態(
図2に示す状態)を維持すると共に熱電併給装置CGの自立接続経路L2を母線とする連系接続を維持した状態で、熱電併給装置CGからの電力供給を停止する(熱電併給装置CGをアイドリング状態とする)(#06)。
一方、蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値(例えば最大蓄電容量の90%)未満である場合(#05でNo)、熱電併給装置CGの現状の電力供給状態を維持する。
【0034】
更に、第1発電制御部CG1及び第2発電制御部PC1は、電力変換部PCによる自立接続経路L2を介した電力供給の停止を検知した場合(#07でYes)、自立接続経路L2を母線とする熱電併給装置CGの連系接続を解除して、熱電併給装置CGを自立運転に切り替える第2接続切替制御を実行し、第2接続切替部SW2により自立出力部CG3と第6接続経路L6とを接続して(
図3に示す接続状態として)、熱電併給装置CGから重要負荷IRへの電力供給を実行する(#08)。
一方、第1発電制御部CG1及び第2発電制御部PC1は、電力変換部PCによる自立接続経路L2を介した電力供給の停止を検知しなかった場合(#07でNo)、ステップ#3の前へ戻る。
【0035】
次に、第1発電制御部CG1及び第2発電制御部PC1は、電力変換部PCによる自立接続経路L2を介した電力供給の復旧を検知した場合(#09でYes)、ステップ#3の前へ戻り、電力変換部PCによる自立接続経路L2を介した電力供給の復旧を検知しない場合(#09でNo)、ステップ#08の前へ戻り、熱電併給装置CGによる重要負荷IRへの電力供給を維持する。
【0036】
因みに、制御フローへの図示は省略するが、商用電力系統Kの停電が復旧した場合、当該停電時制御は終了する。
【0037】
次に、
図5のグラフ図に示すように、太陽電池PVが日照状態に応じて発電し、重要負荷IRが所定の消費電力を消費している状態において、時刻t1に停電が発生した場合に、上述した停電時制御を実行しているときの種々のイベントの流れを例示する。
尚、重要負荷IRの消費電力は、昼間(6時~18時)は5.0kW又は10.0kWであると共に夜間(18時~6時)は2.5kW又は10.0kWであり、熱電併給装置CGの発電電力は定格出力(5.0kW)とアイドリング状態(0kW)ととの間で切り替わるものであるとする。尚、電力変換部PCからの自立出力は、少なくとも自立接続状態を維持する200W以上の出力とするが、
図5のグラフ図には図示しないものとする。
【0038】
時刻t1にて商用電力系統Kの停電が検知されると、第1接続切替制御が実行される。この時点では、太陽電池PVの発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値Ppvが重要負荷IRの消費電力Pld未満であり、且つ蓄電池SBの蓄電量Qbが予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値Qlow(例えば、最大蓄電容量の50%)以下であるため(上述のステップ#03の条件を満足するため)、熱電併給装置CGにより重要負荷IRへの電力供給が開始される。
時刻t2になると、重要負荷IRの消費電力が7.5kWまで増加するが、太陽電池PVの発電電力も増加し始めるため、蓄電池SBの蓄電量が増加していく。
ただし、蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値(例えば最大蓄電容量の90%)未満であるため(上述のステップ#05の条件を満足しないため)、熱電併給装置CGの現状の電力供給状態を維持する。
次に、時刻t3になると、蓄電池SBの蓄電量が予め定められた充電を停止する閾値としての充電停止閾値(例えば最大蓄電容量の90%)以上となるため(上述のステップ#05の条件を満足するため)、太陽電池PVの発電電力平均値に関わらず、自立接続経路L2を介した自立接続状態(
図2に示す状態)を維持すると共に熱電併給装置CGの自立接続経路L2を母線とする連系接続を維持した状態で、熱電併給装置CGからの電力供給を停止する。
更に、時刻t4までの間に太陽電池PVへの日照量が低下して蓄電池SBの蓄電量が低下し、時刻t4において、上述のステップ#03の条件を満足する、即ち、太陽電池PVの発電電力の現時点までの所定期間の平均値である発電電力平均値Ppvが重要負荷IRの消費電力Pld未満であり、且つ蓄電池SBの蓄電量Qbが予め定められた充電を開始する閾値としての充電開始閾値Qlow(例えば、最大蓄電容量の50%)以下となると、熱電併給装置CGにより重要負荷IRへの電力供給が開始される。
【0039】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、熱電併給装置CGは、エンジンとそのエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などを用いて構成されている例を示したが、燃料電池を備える装置としても構わない。
【0040】
(2)上記実施形態の制御フローのステップ#04において、熱電併給装置CGは定格で運転する構成例を示したが、必ずしも定格である必要はなく、定格出力未満の所定出力で運転する構成を採用しても構わない。
【0041】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の電力供給システム、及びその制御方法は、平時には比較的経済性の高い構成で所定の電力を需要家へ供給可能であると共に、有事における停電発生時においても、安定した電力供給ができる時間の長期化を図ることができる電力供給システム、及びその制御方法として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
100 :電力供給システム
CG :熱電併給装置
CG1 :第1発電制御部
IR :重要負荷
K :商用電力系統
L1 :商用接続経路
L2 :自立接続経路
PC1 :第2発電制御部
PV :太陽電池
Pld :消費電力
Ppv :発電電力平均値
Qb :蓄電量
Qlow :充電開始閾値
SB :蓄電池
SW1 :第1接続切替部
SW2 :第2接続切替部