(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135140
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】媒体厚さ検出装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 7/02 20060101AFI20240927BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240927BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65H7/02
G03G21/00 370
B41J29/38 204
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045678
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】榊 茂之
(72)【発明者】
【氏名】守屋 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】杉野 瑞記
(72)【発明者】
【氏名】宮田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】花谷 純次
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AS02
2C061HK07
2C061HK11
2H270KA70
2H270LC04
2H270LD05
2H270LD09
2H270NC01
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048BB10
3F048CA02
3F048CC03
3F048CC15
3F048DA06
3F048DB11
3F048DB13
3F048DC17
(57)【要約】
【課題】媒体の剛性を利用して、媒体の厚さを検出すること。
【解決手段】媒体(S)を搬送する搬送手段(Rr)と、媒体(S)の搬送方向に対して搬送手段(Rr)の下流側に配置され、搬送される媒体(S)に接触して媒体(S)に搬送負荷を付与する負荷付与手段(1)と、媒体(S)が負荷付与手段(1)に接触した後の搬送手段(Rr)の駆動電流に基づいて、媒体(S)の厚さを検出する厚さ検出手段(C7)と、を備えたことを特徴とする媒体厚さ検出装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送手段と、
媒体の搬送方向に対して前記搬送手段の下流側に配置され、搬送される媒体に接触して媒体に搬送負荷を付与する負荷付与手段と、
媒体が前記負荷付与手段に接触した後の前記搬送手段の駆動電流に基づいて、前記媒体の厚さを検出する厚さ検出手段と、
を備えたことを特徴とする媒体厚さ検出装置。
【請求項2】
媒体の搬送方向に沿って湾曲した形状を有し、媒体を案内する案内手段により構成された前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項3】
搬送される媒体が接触する接触位置と、前記媒体から退避した退避位置との間で移動する前記負荷付与手段であって、前記媒体の厚さを検出する場合に前記接触位置に移動する前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項4】
媒体の種類の変更の可能性がある場合に、前記接触位置に移動する前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項5】
前記媒体が収容された収容手段の出し入れが検出された場合を、前記媒体の種類の変更の可能性がある場合として、前記接触位置に移動する前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項6】
媒体を案内する案内手段と、
前記案内手段に支持され且つ搬送される媒体が接触する位置に配置されて、前記案内手段よりも摩擦係数の大きな前記負荷付与手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項7】
前記搬送手段と前記負荷付与手段との間に配置され、媒体を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段の検知結果に基づいて、媒体が前記負荷付与手段に接触する時期を判定する接触時期判定手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項8】
前記駆動電流に基づいて、媒体が前記搬送手段に進入した進入時期を検出し、前記進入時期から、媒体が前記負荷付与手段に接触する時期を判定する接触時期判定手段
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項9】
予め定められた較正条件に基づいて、前記駆動電流の較正を行う較正手段と、
較正後の前記駆動電流に基づいて、媒体の厚さを検出する前記厚さ検出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項10】
前記較正条件は、媒体の幅方向の大きさである
ことを特徴とする請求項9に記載の媒体厚さ検出装置。
【請求項11】
像保持手段と、
前記像保持手段に保持された像を媒体に転写する転写手段と、
媒体に転写された像を定着する定着手段と、
媒体の搬送方向に対して前記転写手段よりも上流側に配置された請求項1ないし10のいずれかに記載の媒体厚さ検出装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体厚さ検出装置および後処理装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置で画像が記録された媒体の厚さを検出する媒体厚さ検出装置に関し、下記の特許文献1,2に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1(特開2016-136194号公報)には、定着装置(20)の加圧部材(4)を回転させる駆動トルクの値から記録材(P)の厚みを判定し、定着部材の設定温度を紙厚に応じて修正する技術が記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2003-285484号公報)には、縦パスローラ(71)、レジ前ローラ(72)、レジローラ(73)、転写ローラ(74)を駆動するモータユニット(2)にかかる全トルクを供給電流値(IA)から測定し、紙の厚さを測定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-136194号公報(請求項1、「0024」-「0035」、
図1-
図3)
【特許文献2】特開2003-285484号公報(「0024」-「0039」、
図3-
図7、
図14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、媒体の剛性を利用して、媒体の厚さを検出することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の媒体厚さ検出装置は、
媒体を搬送する搬送手段と、
媒体の搬送方向に対して前記搬送手段の下流側に配置され、搬送される媒体に接触して媒体に搬送負荷を付与する負荷付与手段と、
媒体が前記負荷付与手段に接触した後の前記搬送手段の駆動電流に基づいて、前記媒体の厚さを検出する厚さ検出手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚さ検出装置において、
媒体の搬送方向に沿って湾曲した形状を有し、媒体を案内する案内手段により構成された前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚さ検出装置において、
搬送される媒体が接触する接触位置と、前記媒体から退避した退避位置との間で移動する前記負荷付与手段であって、前記媒体の厚さを検出する場合に前記接触位置に移動する前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の媒体厚さ検出装置において、
媒体の種類の変更の可能性がある場合に、前記接触位置に移動する前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の媒体厚さ検出装置において、
前記媒体が収容された収容手段の出し入れが検出された場合を、前記媒体の種類の変更の可能性がある場合として、前記接触位置に移動する前記負荷付与手段、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚さ検出装置において、
媒体を案内する案内手段と、
前記案内手段に支持され且つ搬送される媒体が接触する位置に配置されて、前記案内手段よりも摩擦係数の大きな前記負荷付与手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚さ検出装置において、
前記搬送手段と前記負荷付与手段との間に配置され、媒体を検知する媒体検知手段と、
前記媒体検知手段の検知結果に基づいて、媒体が前記負荷付与手段に接触する時期を判定する接触時期判定手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚さ検出装置において、
前記駆動電流に基づいて、媒体が前記搬送手段に進入した進入時期を検出し、前記進入時期から、媒体が前記負荷付与手段に接触する時期を判定する接触時期判定手段
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の媒体厚さ検出装置において、
予め定められた較正条件に基づいて、前記駆動電流の較正を行う較正手段と、
較正後の前記駆動電流に基づいて、媒体の厚さを検出する前記厚さ検出手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の媒体厚さ検出装置において、
前記較正条件は、媒体の幅方向の大きさである
ことを特徴とする。
【0017】
前記技術的課題を解決するために、請求項11に記載の発明の画像形成装置は、
像保持手段と、
前記像保持手段に保持された像を媒体に転写する転写手段と、
媒体に転写された像を定着する定着手段と、
媒体の搬送方向に対して前記転写手段よりも上流側に配置された請求項1ないし10のいずれかに記載の媒体厚さ検出装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1,11に記載の発明によれば、媒体の剛性を利用して、媒体の厚さを検出することができる。
請求項2に記載の発明によれば、案内手段を負荷付与手段として利用でき、負荷付与手段を別個に設ける場合に比べて、部品点数を削減でき、費用を抑制できる。
請求項3に記載の発明によれば、案内手段で負荷の付与ができない場合でも、接触位置と退避位置とを移動する負荷付与手段を使用して、媒体の厚さを検出できる。
請求項4に記載の発明によれば、毎回媒体の厚みを検出する場合に比べて、媒体の厚さを検出する処理の負荷を軽減できる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、媒体が入れ替えられた可能性がある収容手段の出し入れが検出された場合に、厚みを検出することができ、毎回厚みを検出する場合に比べて、媒体の厚さを検出する処理の負荷を軽減できる。
請求項6に記載の発明によれば、案内手段の摩擦係数が低い構成でも、摩擦係数の高い負荷付与手段を使用して媒体の厚さを検出できる。
請求項7に記載の発明によれば、媒体検知手段を使用しない場合に比べて、媒体の接触時期の検出誤差を抑制できる。
【0020】
請求項8に記載の発明によれば、駆動電流で進入時期を検出でき、媒体検出手段が必要なく、部品点数を削減できる。
請求項9に記載の発明によれば、較正を行わない場合に比べて、媒体の厚さの検出精度を向上させることができる。
請求項10に記載の発明によれば、媒体の幅方向の大きさによって変動する駆動電流を較正できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【
図2】
図2は実施例1の画像の記録部の要部説明図である。
【
図3】
図3は実施例1の制御部の機能ブロック図である。
【
図4】
図4は実施例1の駆動電流の検出結果の一例の説明図である。
【
図5】
図5は実施例2の媒体厚さ検出装置の要部説明図である。
【
図6】
図6は実施例3の媒体厚さ検出装置の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0023】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としての複写機Uは、画像記録手段の一例であって画像記録装置の一例としてのプリンタ部U1を有する。プリンタ部U1の上部には、読取手段の一例であって、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U2が支持されている。スキャナ部U2の上部には、原稿の搬送装置の一例としてのオートフィーダU3が支持されている。
【0024】
オートフィーダU3の上部には、媒体の収容手段の一例としての原稿トレイTG1が配置されている。原稿トレイTG1には、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容可能である。原稿トレイTG1の下方には、原稿の排出部の一例としての原稿の排紙トレイTG2が形成されている。原稿トレイTG1と原稿の排紙トレイTG2との間には、原稿の搬送路U3aに沿って、原稿の搬送ローラU3bが配置されている。
【0025】
スキャナ部U2の上面には、透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGが配置されている。実施例1のスキャナ部U2には、プラテンガラスPGの下方に、読取部の一例としての読取ユニットU2aが配置されている。実施例1の読取ユニットU2aは、プラテンガラスPGの下面に沿って、副走査方向の一例としての左右方向に移動可能に支持されている。なお、読取ユニットU2aは、画像処理部GSに電気的に接続されている。
【0026】
図2は実施例1の画像の記録部の要部説明図である。
画像処理部GSは、プリンタ部U1の書込回路DLに電気的に接続されている。書込回路DLは、潜像の形成手段の一例としての露光装置LHy,LHm,LHc,LHkに電気的に接続されている。
実施例1の露光装置LHy~LHkは、一例として、複数のLEDが主走査方向に並んだLEDヘッドにより構成されている。露光装置LHy~LHkは、書込回路DLから入力された信号に応じて、Y,M,C,Kの各色に対応した書込光を出力可能に構成されている。
前記書込回路DLや電源回路Eは、制御手段の一例としての制御部Cからの制御信号に応じて、書込時期や電源の供給時期が制御される。
図1において、露光装置LHy~LHkの上方には、像保持手段の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkが配置されている。
図1、
図2において、各感光体PRy~PRkに書込光が照射される領域により、書込領域Q1y,Q1m,Q1c,Q1kが構成されている。
【0027】
各感光体PRy~PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y~Q1kの上流側には、帯電手段の一例としての帯電ローラCRy,CRm,CRc,CRkが配置されている。実施例1の帯電ローラCRy~CRkは、感光体PRy~PRkに接触して従動回転可能に支持されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、書込領域Q1y~Q1kの下流側には、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkが配置されている。各感光体PRy~PRkと各現像装置Gy~Gkとが対向する領域により、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kが構成されている。
【0028】
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、現像装置Gy~Gkの下流側には、1次転写手段の一例としての1次転写ローラT1y,T1m,T1c,T1kが配置されている。各感光体PRy~PRkと各1次転写ローラT1y~T1kとが対向する領域により、1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kが構成されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、1次転写ローラT1y~T1kの下流側には、清掃手段の一例としての感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkが配置されている。
感光体PRy~PRkの回転方向に対して、感光体クリーナCLy~CLkの下流側には、除電手段の一例であって除電装置の一例としての除電器Jy,Jm,Jc,Jkが配置されている。
【0029】
前記Y色の感光体PRy、帯電ローラCRy、露光装置LHy、現像装置Gy、1次転写ローラT1y、感光体クリーナCLy、除電器Jyにより、Y色のトナー像を形成する実施例1のY色の可視像の形成手段の一例としてのY色の作像部Uyが構成されている。同様に、各感光体PRm,PRc,PRk、帯電ローラCRm,CRc,CRk、露光装置LHm,LHc,LHk、現像装置Gm,Gc,Gk、1次転写ローラT1m,T1c,T1k、感光体クリーナCLm,CLc,CLk、除電器Jm,Jc,Jkにより、前記M,C,K色の作像部Um,Uc,Ukが構成されている。
【0030】
前記感光体PRy~PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、像保持手段の一例であって、中間転写手段の一例としての中間転写ベルトBを有する。中間転写ベルトBは、無端帯状の部材により構成されている。
実施例1の中間転写ベルトBは、張架手段の一例としてのテンションローラRtと、片寄りの補正手段の一例としてのウォーキングローラRwと、従動手段の一例としてのアイドラローラRfと、2次転写領域の対向手段の一例としてのバックアップローラT2aと、1次転写ローラT1y~T1kと、駆動部材の一例としての駆動ローラRdにより回転可能に支持されている。実施例1では、駆動ローラRdに駆動が伝達された場合に、中間転写ベルトBが回転する。
【0031】
前記中間転写ベルトBを挟んでバックアップローラT2aに対向する位置には、2次転写手段の一例としての2次転写ローラT2bが配置されている。バックアップローラT2aおよび2次転写ローラT2b等により、転写装置の一例としての実施例1の2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ローラT2bと中間転写ベルトBとが接触する領域により2次転写領域Q4が構成されている。
中間転写ベルトBの回転方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、中間転写体の清掃装置の一例として、ベルトクリーナCLbが配置されている。
前記1次転写ローラT1y~T1k、中間転写ベルトBおよび2次転写器T2等により、転写手段の一例としての実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。また、作像部Uy~Ukおよび転写装置T1+T2+Bとにより、実施例1の画像の記録部Uy~Uk+T1+T2+Bが構成されている。
【0032】
図1において、作像部Uy~Ukの下方には、案内手段の一例としての左右一対のガイドレールGRが4段設けられている。各ガイドレールGRには、媒体の収容手段の一例としての給紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1~TR4には、媒体の一例としての記録用紙Sが収容される。
給紙トレイTR1~TR4の左上方には、取出手段の一例としてのピックアップローラRpが配置されている。記録用紙Sの搬送方向に対して、ピックアップローラRpの下流側には、捌き手段の一例としての捌きローラRsが配置されている。記録用紙Sの搬送方向に対して、捌きローラRsの下流側には、媒体の搬送路の一例として、上方に延びる給紙路SH1が形成されている。給紙路SH1には、搬送手段の一例としての複数の搬送ローラRaが配置されている。
【0033】
複写機Uの左下部には、媒体の収容手段の一例としての手差しトレイTR0が配置されている。手差しトレイTR0の右上部には、ピックアップローラRp0が配置され、手差し給紙路SH0が延びている。手差し給紙路SH0は給紙路SH1に合流している。
給紙路SH1には、2次転写領域Q4の上流側に、搬送時期の調節手段の一例としてのレジローラRrが配置されている。レジローラRrから2次転写領域Q4に向けて搬送路SH2が延びている。
【0034】
記録用紙Sの搬送方向に対して、2次転写領域Q4の下流側には、定着手段の一例としての定着装置Fが配置されている。定着装置Fは、加熱用の定着部材の一例としての加熱ローラFhと、加圧用の定着部材の一例としての加圧ローラFpと、を有する。加熱ローラFhと加圧ローラFpとの接触領域により定着領域Q5が構成されている。
プリンタ部U1の上面には、媒体の排出部の一例としての下段排紙トレイTRhが形成されている。なお、実施例1では、下段排紙トレイTRhに後処理装置の一例としてのフィニッシャーU4が設置されている。定着装置Fの上方には、搬送路の一例としての排紙路SH3が下段排紙トレイTRhに向けて延びている。排紙路SH3の下流端には、媒体の搬送手段の一例としての排紙ローラRhが配置されている。
【0035】
下段排紙トレイTRhの上方には、媒体の排出部の一例としての上段排紙トレイTRh2が配置されている。定着装置Fの上方には、排紙路SH3から分岐して、上段排紙トレイTRh2に向けて延びる上方搬送路SH4が形成されている。
上方搬送路SH4には、媒体の搬送手段の一例としての正逆回転可能な反転ローラRbが配置されている。排紙路SH3と上方搬送路SH4との分岐位置よりも上方には、媒体の搬送路の一例としての反転路SH6が上方搬送路SH4から左下方に分岐している。
【0036】
排紙路SH3と上方搬送路SH4との分岐部分と、上方搬送路SH4と反転路SH6との分岐部分とに渡る形で、切替手段の一例としてのゲートGT1が配置されている。ゲートGT1は、定着装置Fからの記録用紙Sを下段排紙トレイTRhに向けて案内すると共に、上方搬送路SH4から反転路SH6に記録用紙Sを案内する第1の案内位置(第2の位置)と、定着装置Fからの記録用紙Sを上方搬送路SH4に案内する第2の案内位置(第1の位置)との間で切替可能に支持されている。
前記反転路SH6には、媒体の搬送手段の一例としての複数の搬送ローラRaが配置されている。反転路SH6の下流端は、レジローラRrの上流側で給紙路SH1に合流している。
【0037】
(画像形成動作の説明)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う場合には、読取ユニットU2aが初期位置から左右方向に移動して、プラテンガラスPG上の原稿Giが、露光されながら走査される。また、前記オートフィーダU3を使用して自動的に原稿Giを搬送して複写を行う場合には、原稿トレイTG1に収容された複数の原稿Giは、プラテンガラスPG上の原稿の読み取り位置に順次搬送されて通過し、原稿の排紙トレイTG2に排出される。プラテンガラスPG上の読み取り位置を順次通過する各原稿Giは、読取ユニットU2aに露光されて走査される。なお、原稿Giからの反射光は、読取ユニットU2aで受光される。前記読取ユニットU2aは、受光された原稿Giの反射光を電気信号に変換する。なお、原稿Giの両面読取りが行われる場合には、読取りセンサでも原稿Giが読み取られる。
【0038】
画像処理部GSは、読取ユニットU2aから出力された電気信号が入力される。画像処理部GSは、読取ユニットU2aが読み取ったR,G,Bの色の画像の電気信号を、潜像形成用のイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の画像情報に変換する。画像処理部GSは、変換後の画像情報をプリンタ部U1の書込回路DLに出力する。なお、画像処理部GSは、画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒Kのみの画像情報を書込回路DLに出力する。
書込回路DLは、入力された画像情報に応じた制御信号を、露光装置LHy~LHkに出力する。露光装置LHy~LHkは、制御信号に応じた書込光を出力する。
【0039】
各感光体PRy~PRkは、画像形成が開始されると回転駆動する。帯電ローラCRy~CRkには、電源回路Eから帯電電圧が印加される。したがって、感光体PRy~PRkの表面は、帯電ローラCRy~CRkにより帯電される。帯電された感光体PRy~PRkは、書込領域Q1y~Q1kにおいて、露光装置LHy~LHkにより、表面に静電潜像が形成される。感光体PRy~PRkの静電潜像は、現像領域Q2y~Q2kにおいて、現像装置Gy~Gkにより可視像の一例としてのトナー像に現像される。
【0040】
現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y~Q3kに搬送される。1次転写領域Q3y~Q3kにおいて、1次転写ローラT1y~T1kには、電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。したがって、各感光体PRy~PRk上のトナー像は、1次転写ローラT1y~T1kにより、中間転写ベルトBに転写される。なお、多色のトナー像の場合、上流側の1次転写領域で中間転写ベルトBに転写されたトナー像に重ねて、下流側のトナー像が転写される。
1次転写後の感光体PRy~PRkの残留物、付着物は、感光体クリーナCLy~CLkにより清掃される。清掃後の感光体PRy~PRk表面は、除電器Jy~Jkで除電される。除電後の感光体PRy~PRkの表面は、帯電ローラCRy~CRkにより再帯電される。
1次転写領域Q3y~Q3kで1次転写ローラT1y~T1kにより中間転写ベルトB上に転写された単色または多色のトナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
【0041】
画像が記録される記録用紙Sは、使用される給紙トレイTR1~TR4のピックアップローラRpにより取り出される。ピックアップローラRpで取り出された記録用紙Sは、複数枚の記録用紙Sが重ねて取り出された場合、捌きローラRsにより1枚ずつに分離される。捌きローラRsで分離された記録用紙Sは、搬送ローラRaにより給紙路SH1を搬送される。給紙路SH1を搬送された記録用紙Sは、レジローラRrに送られる。手差しトレイTR0に積載された記録用紙Sも、ピックアップローラRp0で手差し給紙路SH0を通じて給紙路SH1に送られる。
レジローラRrは、中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期を合わせて、記録用紙Sを2次転写領域Q4に搬送する。2次転写ローラT2bには、電源回路Eによりトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。したがって、中間転写ベルトB上のトナー像は、中間転写ベルトBから記録用紙Sに転写される。
【0042】
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、表面に付着した付着物等がベルトクリーナCLbにより清掃される。
前記トナー像が2次転写された記録用紙Sは、定着領域Q5を通過する際に加熱定着される。
画像が定着された記録用紙Sは、後処理が行われる場合には、下段排紙トレイTRhに設置された後処理装置の一例としてのフィニッシャーU4に搬送される。記録用紙Sに後処理が行われない場合には、記録用紙Sは上段排紙トレイTRh2に搬送される。下段排紙トレイTRhに記録用紙Sが搬送される場合は、ゲートGT1が第1の案内位置に移動する。したがって、定着装置Fから送り出された記録用紙Sは、排紙路SH3を搬送される。排紙路SH3を搬送された記録用紙Sは、排紙ローラRhによりフィニッシャーU4および下段排紙トレイTRhに向けて搬送される。
フィニッシャーU4は、記録用紙Sに対して、後処理の一例としての綴じ処理を行った後、下段排紙トレイTRhに記録用紙Sを排出する。
【0043】
記録用紙Sが上段排紙トレイTRh2に排出される場合は、ゲートGT1が第2の案内位置に移動して、上段排紙トレイTRh2に排出される。
記録用紙Sが両面印刷される場合、ゲートGT1が第2の案内位置に移動する。そして、記録用紙Sの後端がゲートGT1を通過すると、ゲートGT1が第1の案内位置に移動すると共に、反転ローラRbが逆回転する。したがって、記録用紙Sは、ゲートGT1に案内されて、反転路SH6に送られる。反転路SH6を搬送された記録用紙Sは、表裏が反転された状態でレジローラRrに送られる。
【0044】
(厚さ検出装置の説明)
図2において、実施例1の複写機Uでは、搬送手段の一例としてのレジローラRrの下流側に、負荷付与手段の一例であって、案内手段の一例としての用紙ガイド1が配置されている。実施例1の用紙ガイド1は、レジローラRrからの用紙送出し方向(媒体搬送方向)に対して湾曲した形状となっており、下流側の2次転写領域Q4に向かって延びている。
また、レジローラRrの下流側の近傍には、媒体検知手段の一例として、記録用紙Sを検知する用紙センサSN1が配置されている。
実施例1のレジローラRrは、駆動手段の一例としてのレジモータM1で駆動される。レジモータM1には、駆動電流(負荷電流、消費電流)を検出する検知手段の一例としてのトルク電流計2が接続されている。なお、実施例1では、レジローラRrを駆動する専用のレジモータM1を使用する場合を例示したが、これに限定されない。他の搬送ローラRa等と共通のモータを使用し、レジローラRrの駆動/停止をクラッチのオン/オフで制御する構成とすることも可能である。共通のモータを使用する場合、クラッチがオンの期間中における共通モータの駆動電流の変化分をレジローラRrの駆動電流として検出することが可能である。
【0045】
(実施例1の制御部の説明)
図3は実施例1の制御部の機能ブロック図である。
図3において、複写機Uの制御手段の一例としての制御部(コントローラ)Cは、外部との信号の入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Cは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM:リードオンリーメモリを有する。また、制御部Cは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM:ランダムアクセスメモリを有する。また、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU:中央演算処理装置を有する。したがって、実施例1の制御部Cは、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されている。よって、制御部Cは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
実施例1の制御部Cは、信号出力要素からの信号が入力され、被制御要素に信号を出力して制御する。
【0046】
(信号出力要素の説明)
制御部Cには、ユーザインタフェースUIや用紙センサSN1、トレイセンサSN2、トルク電流計2、その他の図示しないセンサ等の信号出力要素からの信号が入力される。
ユーザインタフェースUIは、利用者や作業者が入力した内容を制御部Cに入力する。実施例1では、一例として給紙トレイTR1~TR4に収容された記録用紙Sの種類(普通紙、薄紙、厚紙等)を変更する入力がユーザインタフェースUIでされた場合に、制御信号が制御部Cに入力される。
用紙センサSN1は、記録用紙Sの有無を検知することで、記録用紙Sの通過を検知する。
収容手段の着脱検知手段の一例としてのトレイセンサSN2は、各給紙トレイTR1~TR4に設けられており、各給紙トレイTR1~TR4の複写機Uに対する着脱を検知する。
トルク電流計2は、レジローラRrの駆動電流であるトルク電流を検出する。
【0047】
(被制御要素の説明)
制御部Cは、電源回路Eやレジローラ制御回路、その他の図示しない被制御要素へ信号を出力する。
電源回路Eは、帯電ローラCRy~CRkの帯電バイアスや現像装置Gy~Gkの現像バイアス、1次転写ローラT1y~T1kの一次転写バイアス、2次転写ローラT2bの2次転写バイアス、定着装置Fのヒータへの電力供給等の制御を行う。
レジローラ制御回路は、レジモータM1を介して、レジローラRrの駆動/停止を制御する。
【0048】
(制御部Cの機能)
実施例1の制御部Cは以下の機能手段(機能モジュール、プログラムモジュール)C1~C8を有する。
通過判別手段C1は、用紙センサSN1の検知結果に基づいて、記録用紙Sの用紙センサSN1の位置の通過を判別する。
トレイ着脱検知手段C2は、トレイセンサSN2の検知結果に基づいて、各給紙トレイTR1~TR4の着脱を検知する。
用紙種類設定手段C3は、ユーザインタフェースUIからの入力に基づいて、各給紙トレイTR1~TR4に収容されている記録用紙Sの種類の設定を行う。記録用紙Sの種類は、普通紙、薄紙、厚紙、ハガキ、コート紙、OHPシート等の紙種や、A4、B5、A3等のサイズも含まれる。実施例1の用紙種類設定手段C3は、記録用紙Sの種類の設定が変更された場合には、変更があったことも検知する。
【0049】
較正手段C4は、トルク電流計2の出力結果の較正を行う。トルク電流計2で検出されるトルク電流は、記録用紙Sの搬送負荷の増大に応じて増加する。したがって、同じ紙種でもサイズ(特に、幅方向の大きさ)の大きな記録用紙Sでは、サイズの小さな記録用紙Sに比べて搬送負荷が大きくなり、同じサイズでも厚紙等の重い(坪量が大きな)記録用紙Sでは、薄紙等の軽い(坪量の小さな)記録用紙Sに比べて搬送負荷が大きくなる。また、記録用紙Sの前端が用紙ガイド1に接触する前(無負荷時)に比べて、記録用紙Sが用紙ガイド1に接触しながら搬送される状態(負荷時)の方が、搬送負荷が大きくなる。したがって、トルク電流計2が検出する駆動電流値について、例えば、サイズが大きな厚紙の無負荷時の駆動電流値と、サイズが小さな薄紙の負荷時の駆動電流値とが、たまたま一致する場合もありうる。したがって、実施例1の較正手段C4では、記録用紙Sの種類(紙種、サイズ)毎に、用紙ガイド1接触前の駆動電流値(無負荷時の駆動電流値、基準電流値)を予め実験等で導出しておき、用紙種類設定手段C3での設定に基づいて、給紙が行われる給紙トレイTR1~TR4に収容されている記録用紙Sの種類に応じて、トルク電流計2が検出する駆動電流値の基準電流値の設定、較正を行う。
【0050】
接触時期判定手段C5は、用紙センサSN1の検知結果に基づいて、記録用紙Sが用紙ガイド1に接触する時期を判定する。実施例1の接触時期判定手段C5は、レジローラRrが記録用紙Sを搬送する搬送速度が予め定められており、用紙センサSN1が記録用紙Sを検出した時期と、用紙センサSN1から用紙ガイド1までの距離と搬送速度から、記録用紙Sの前端が用紙ガイド1に到達する時期を算出し、算出された時期を接触する時期と判定する。
【0051】
図4は実施例1の駆動電流の検出結果の一例の説明図である。
駆動電流検出手段C6は、トルク電流計2の検知結果に基づいて、レジローラRrでの駆動電流を検出する。
図4において、記録用紙SがレジローラRrに突入する時期t1では、突入時の衝撃で一時的に高い駆動電流値が検出される。その後、記録用紙Sは湾曲する用紙ガイド1に接触した後、用紙ガイド1に案内される際に用紙ガイド1の湾曲に沿って撓みながら搬送される。同じ紙種・同じサイズの記録用紙Sにおいて、厚さが厚い場合、用紙こわさ(用紙の剛性、用紙のコシ)が高く、記録用紙Sが撓む際に搬送負荷が大きくなる。搬送負荷が大きくなると、レジローラRrの駆動電流が多く検出される。したがって、
図4に示すように、記録用紙Sが用紙ガイド1に接触する接触時期t2以降は、厚紙と薄紙とで検出される駆動電流値の差が出やすい。
【0052】
厚さ検出手段C7は、記録用紙Sが用紙ガイド1に接触した後のレジローラRrの駆動電流に基づいて、記録用紙Sの厚さを検出する。接触時期判定手段C5が判定した接触時期以降に、駆動電流検出手段C6で検出された駆動電流に基づいて、記録用紙Sの厚さが判定される。前述のように記録用紙Sの厚さが厚くなるにつれて駆動電流が多くなることから、検出される駆動電流値から記録用紙Sの厚さを検出する(推定する、見積もる)ことが可能である。
【0053】
なお、実施例1の厚さ検出手段C7は、一例として、接触時期から、記録用紙Sが下流側の2次転写領域Q4に到達するまでの期間の駆動電流値に基づいて記録用紙Sの厚さを検出する。ここで、記録用紙Sの前端と用紙ガイド1の接触の瞬間t2aにおいて、接触時の衝撃で、一時的に局所的な搬送負荷が発生する可能性があり、駆動電流値にノイズのような数値が測定される場合がある。したがって、接触時期t2の開始直後(接触の瞬間)t2aの測定結果を使用せず、接触時期t2の開始直後t2aから所定時間経過の衝撃の影響が治まった時期以降の駆動電流値を使用することが望ましい。すなわち、接触時期からマージン(余裕)を考慮した後の時期の駆動電流値に基づいて記録用紙Sの厚さを検出することが可能である。
【0054】
また、実施例1の厚さ検出手段C7は、記録用紙Sが通過する度に、記録用紙Sの厚さを検出しているが、これに限定されない。例えば、連続した複数枚の印刷が行われる場合には、最初の1枚目のみ厚さを検出する構成とすることも可能である。このようにすることで、制御部Cにおける厚さ検出の処理負荷を抑制可能である。他にも、給紙トレイTR1~TR4内の記録用紙Sの種類の変更の可能性がある場合に、記録用紙Sの厚さを検出する構成とすることも可能である。例えば、給紙トレイTR1~TR4の着脱(出し入れ)が検出された場合は、給紙トレイTR1~TR4内の記録用紙Sが入れ替えられた可能性があり、記録用紙Sの種類の変更の可能性があるため、給紙トレイTR1~TR4の着脱が検出された後に給紙された記録用紙Sの厚さを検出する構成とすることも可能である。また、ユーザインタフェースUIで用紙種類の設定が変更された場合には、記録用紙Sの種類の変更の可能性があるため、その後に給紙された記録用紙Sの厚さを検出する構成とすることも可能である。なお、ユーザインタフェースUIで用紙種類の設定が変更された場合に、利用者の誤入力の可能性もあったり、設定された用紙種類が正しくてもロットによる製造誤差等があるため、実施例1では、ユーザインタフェースUIから入力された厚さに関する情報をそのまま使用せず、厚さ検出手段C7で厚さの検出が行われる。
なお、前記レジローラRrや用紙ガイド1、用紙センサSN1、トルク電流計2、制御部Cの各手段C1~C7等により、実施例1の媒体厚さ検出装置が構成されている。
【0055】
画像形成条件調整手段C8は、厚さ検出手段C7での検出結果に基づいて、画像形成条件を調整する。実施例1の画像形成条件調整手段C8は、厚さ検出手段C7で検出された記録用紙Sの厚さに応じて、画像形成条件の一例としての2次転写領域Q4での2次転写バイアスや、定着装置Fでの定着温度の調整を行う。例えば、記録用紙Sの厚さが厚い場合には、厚さが薄い場合に比べて、2次転写バイアスを高くしたり、定着温度を高くする調整を行う。
【0056】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、記録用紙Sが用紙ガイド1に接触した後に、記録用紙Sの厚さに応じて変化する搬送負荷をレジローラRrの駆動電流値で検出し、記録用紙Sの厚さを検出する。すなわち、記録用紙の厚さによって変化する記録用紙Sの剛性を利用して記録用紙Sの厚さを検出している。そして、検出された厚さに応じて画像形成条件が調整される。
特許文献1では、転写領域通過後の定着装置で記録用紙の厚さを検出しており、用紙の厚さに応じた転写条件の調整ができない問題がある。これに対して、実施例1では、レジローラRrの下流側で、記録用紙Sの厚さを検出しており、2次転写条件や定着条件の調整が可能である。
【0057】
特許文献2では、全トルクの測定を行っているため、記録用紙が搬送ローラに突入時のトルク電流値や記録用紙が用紙ガイド1に接触していない状態のトルク電流値、記録用紙が下流側の搬送ローラに到達後のトルク電流値も合算して判定が行われている。突入時のトルク電流値は局所的に大きな値が観察され、用紙ガイド1の接触前の駆動電流値は記録用紙の厚さがほとんど関係しない。さらに、下流側の搬送ローラに到達後は、上流側の搬送ローラと下流側の搬送ローラの周速差で記録用紙が引っ張られたり弛んだりするため、記録用紙の厚さとは異なる要因で搬送負荷が変動する。よって、特許文献2に記載の技術では、記録用紙Sの厚さに関連しない状態のトルク電流値も考慮されることとなり、厚さの検出精度が低下する恐れがある。
これに対して、実施例1では、記録用紙Sの厚さに深く関連する駆動電流値が検出される期間である接触時期以降の駆動電流値に基づいて、記録用紙Sの厚さを検出している。したがって、特許文献2に記載の技術に比べて、厚さの検出精度が向上する。
【0058】
また、実施例1では、湾曲する用紙ガイド1を利用して、記録用紙Sの厚さに依存する搬送負荷が発生する状況を作り出して、駆動電流から厚さを検出している。よって、搬送負荷を発生させる専用の部材を設ける必要がなく、専用の部材を使用する場合に比べて、製造費用の上昇が抑制される。
さらに、実施例1では、用紙センサSN1の検知結果から記録用紙Sが用紙ガイド1に到達する時期を判定している。記録用紙SがピックアップローラRpで送り出された時期から到達時期を計算することも可能であるが、用紙ガイド1の上流側の用紙センサSN1を使用することで、記録用紙Sと各ローラRp,Rs,Raとの間のスリップ等に伴う搬送時の誤差の影響を抑制可能である。
なお、実施例1では、用紙センサSN1の検知結果に基づいて、記録用紙Sの用紙ガイド1への到達時期を判定する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、記録用紙SがレジローラRrに突入する際に大きな駆動電流値が検知されることを利用して、予め定められた閾値よりも高い駆動電流値が検出された場合に、記録用紙Sの前端がレジローラRrに突入したと判定し、突入時期からの経過時間に基づいて、記録用紙Sが用紙ガイド1に接触する接触時期を判定することも可能である。
【0059】
また、実施例1では、記録用紙Sのサイズ等に基づいて駆動電流の較正を行っている。したがって、較正を行わない場合に比べて、記録用紙Sの厚さの検出精度を向上させることが可能である。なお、使用される記録用紙Sのサイズや紙種が特定の1種類に限定される場合は、較正を行わないようにすることも可能である。
また、実施例2の可動ゲート11は、記録用紙Sの厚さを検出する場合に接触位置に移動し、厚さの検出をしない場合には退避位置に移動する。したがって、記録用紙Sが通過する度に毎回厚さを検出する場合には、可動ゲート11は接触位置に移動し続け、連続する印刷処理における1枚目の記録用紙Sだけ厚さを検出する場合や給紙トレイTR1~TR4の着脱が検出された場合のみ厚さを検出する場合等は、1枚目の記録用紙Sが搬送される際に可動ゲート11が接触位置に移動し、その後は退避位置で保持される。