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特開2024-135145吐出装置、塗布システム、及び塗布方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135145
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】吐出装置、塗布システム、及び塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240927BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240927BHJP
   A23P 20/15 20160101ALI20240927BHJP
   A21C 9/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
A23P20/15
A21C9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045686
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000239758
【氏名又は名称】兵神装備株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴則
(72)【発明者】
【氏名】三家 景亮
(72)【発明者】
【氏名】翁 昂平
【テーマコード(参考)】
4B031
4B048
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4B031CA19
4B031CB09
4B048PE04
4B048PN03
4F041AA01
4F041AB01
4F041BA06
4F041BA13
4F041BA22
4F041BA32
4F041BA38
4F041BA56
4F042AA01
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA10
4F042BA12
4F042BA25
4F042CA01
4F042CB05
4F042CB18
4F042DF17
(57)【要約】
【課題】吐出対象物を所定の相対移動方向に相対移動させたまま、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように、吐出対象物に対して流動体を吐出可能な吐出装置、塗布システム、及び塗布方法の実現を目的とした。
【解決手段】吐出装置10は、流動体の吐出対象である吐出対象物Wに対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できるものであり、流動体を吐出するための吐出部20,220,320を複数備えており、吐出部20,220,320が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に亘って流動体を吐出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動体の吐出対象である吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、前記吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、前記相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように前記吐出対象物に対して前記流動体を吐出できるものであり、
流動体を吐出するための吐出部を備えており、
前記吐出部が、前記吐出パターンに応じて、前記相対移動方向に対して交差する方向に亘って流動体を吐出するものであること、を特徴とする吐出装置。
【請求項2】
前記吐出部が、流動体を吐出するための吐出口を複数備えており、
複数の前記吐出口が、前記吐出パターンに応じて、前記相対移動方向に対して交差する方向に並ぶように設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記吐出部が、流動体を吐出するための吐出口を複数備えており、
前記吐出口が、前記吐出パターンに応じて、前記相対移動方向に対して交差する方向に延びるように形成されたスリットによって構成されていること、を特徴とする請求項1に記載の吐出装置。
【請求項4】
流動体が貯留される貯留部と、
前記貯留部に対して流動体を導入する導入部と、
を有し、
前記吐出部が、前記貯留部に対して連通するように設けられており、
供給源から供給された流動体を、前記導入部において複数の導入路に分岐して前記貯留部に対して導入できること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記貯留部に対する流動体の流入口が、前記導入路に対応して複数設けられており、
複数の前記流入口が、前記相対移動方向に対して交差する方向に互いに間隔を開けて設けられていること、を特徴とする請求項4に記載の吐出装置。
【請求項6】
前記吐出部を構成する吐出部構成体と、
前記貯留部を構成する貯留部構成体と、
前記導入部を構成する導入部構成体と、を有し、
前記吐出部構成体、前記貯留部構成体、及び前記導入部構成体を、前記吐出部、前記貯留部、及び前記導入路を外部に向けて解放可能なように分解できること、を特徴とする請求項4に記載の吐出装置。
【請求項7】
前記吐出部が、前記吐出パターンにおいて前記相対移動方向の始端部、及び終端部の少なくともいずれかの形状に沿うように設けられていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項8】
前記吐出部が前記吐出パターンにおいて前記相対移動方向の始端部から終端部に到達するまでの期間に亘って、流動体の吐出を継続すること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項9】
流動体の吐出方向に沿う方向に延びる回動軸を中心として回動しつつ、前記吐出部から流動体を吐出できること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項10】
請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置と、
前記吐出対象物及び前記吐出装置を前記相対移動方向へと相対移動させる相対移動装置と、
前記吐出装置に対して流動体を供給する流動体供給装置と、
を備えており、
前記相対移動装置によって前記吐出対象物及び前記吐出装置を前記相対移動方向に相対移動させた状態において、前記吐出装置により流動体を前記吐出対象物に吐出することにより、前記相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように前記吐出対象物に対して前記流動体を塗布できること、を特徴とする塗布システム。
【請求項11】
前記流動体供給装置が、一軸偏心ねじポンプにより流動体を供給するものであること、を特徴とする請求項10に記載の塗布システム。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置により、前記吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、前記吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、前記相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンを前記吐出対象物に形成することにより、前記吐出対象物に対して流動体を塗布すること、を特徴とする塗布方法。
【請求項13】
前記吐出部から前記吐出対象物に対して前記流動体を吐出することにより、少なくとも一部分において、流動体の吐出方向に向けて流動体が重複するように吐出する吐出工程と、
前記吐出工程において前記吐出対象物に対して吐出された流動体を、流動体の吐出方向に崩すことにより、前記吐出対象物における流動体の塗布領域を前記吐出方向に対して交差する方向に拡張する領域拡張工程と、
を有すること、を特徴とする請求項12に記載の塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出装置、塗布システム、及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に係る液状調味料滴下ノズルのようなものが提供されている。特許文献1の液状調味料滴下ノズルは、食品生地であるピザ生地の上方に配置され、ピザ生地に液状調味料であるピザソースを滴下するためのものである。特許文献1の液状調味料滴下ノズルは、ピザ生地に対向する下面と反対側の上面とを有する本体部と、上面から下面に貫通し、密に隣り合った複数の貫通孔とを備えている。特許文献1の液状調味料滴下ノズルは、コンベアで搬送されるピザ生地に対してピザソースを塗布する場合のように、塗布形状が円形などのように、搬送方向において幅(搬送方向に対して交差する方向への長さ)が異なる部分を有する形状である場合に、当該形状にあわせて複数設けられた吐出口からピザソースなどの液体を吐出させて塗布することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-106544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に係る液状調味料滴下ノズルのような吐出装置を用いて流動体(特許文献1の例ではピザソース)を吐出対象物(特許文献1の例ではピザ生地)に対して吐出する場合には、吐出対象物(ピザ生地)を搬送しているコンベヤを、吐出対象物(ピザ生地)と吐出装置とを位置決め精度良く一旦停止させ、この状態で流動体を吐出した後、改めてコンベアによる搬送を再開するといった動作が必要となる。そのため、従来技術の吐出装置では、流動体を吐出対象物に対して所定の形状をなすように吐出させる作業を行うのに要するリードタイムが長くなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、吐出対象物を所定の相対移動方向に相対移動させたまま、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように、吐出対象物に対して流動体を吐出可能な吐出装置、塗布システム、及び塗布方法の実現を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の吐出装置は、流動体の吐出対象である吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、前記吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、前記相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように前記吐出対象物に対して前記流動体を吐出できるものであり、流動体を吐出するための吐出部を複数備えており、前記吐出部が、前記吐出パターンに応じて、前記相対移動方向に対して交差する方向に亘って流動体を吐出するものであること、を特徴とするものである。
【0007】
本発明の吐出装置は、上記(1)のように、流動体を吐出するための吐出部が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に亘って流動体を吐出するように設けられている。これにより、本発明の吐出装置は、流動体の吐出対象である吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物に対して流動体を吐出できる。従って、本発明の吐出装置は、流動体を吐出対象物に対して前述のような吐出パターンに係る形状をなすように吐出させる作業を行うのに要するリードタイムを抑制できる。
【0008】
(2)本発明の吐出装置は、前記吐出部が、流動体を吐出するための吐出口を複数備えており、複数の前記吐出口が、前記吐出パターンに応じて、前記相対移動方向に対して交差する方向に並ぶように設けられているものであると良い。
【0009】
本発明の吐出装置は、上記(2)のように、流動体を吐出するための吐出部が、吐出口を複数備えると共に、複数の吐出口が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に並ぶように設けられている。これにより、本発明の吐出装置は、流動体の吐出対象である吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物に対して流動体を吐出できる。
【0010】
(3)本発明の吐出装置は、前記吐出部が、流動体を吐出するための吐出口を備えており、前記吐出口が、前記吐出パターンに応じて、前記相対移動方向に対して交差する方向に延びるように形成されたスリットによって構成されているものであると良い。
【0011】
本発明の吐出装置は、上記(2)のように、流動体を吐出するための吐出部が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に延びるように形成されたスリットによって構成されている。これにより、本発明の吐出装置は、流動体の吐出対象である吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物に対して流動体を吐出できる。
【0012】
(4)本発明の吐出装置は、流動体が貯留される貯留部と、前記貯留部に対して流動体を導入する導入部と、を有し、複数の前記吐出部が、前記貯留部に対して連通するように設けられており、供給源から供給された流動体を、前記導入部において複数の導入路に分岐して前記貯留部に対して導入できるものであると良い。
【0013】
本発明の吐出装置は、上記(4)のような構成とすることにより、貯留部に貯留される流動体の偏りが生じにくい。これにより、本発明の吐出装置は、吐出部において相対移動方向に対して交差する方向の各部から流動体を略均等に吐出させることができる。
【0014】
(5)本発明の吐出装置は、前記貯留部に対する流動体の流入口が、前記導入路に対応して複数設けられており、複数の前記流入口が、前記相対移動方向に対して交差する方向に互いに間隔を開けて設けられているものであると良い。
【0015】
本発明の吐出装置は、上記(5)のような構成とすることにより、それぞれの流入口から貯留部に導入される流動体が、貯留部の内部において相対移動方向に対して交差する方向に偏った状態で導入されてしまうのを抑制できる。これにより、本発明の吐出装置は、吐出部において相対移動方向に対して交差する方向の各部から流動体を略均等に吐出させることができる。
【0016】
(6)本発明の吐出装置は、前記吐出部を構成する吐出部構成体と、前記貯留部を構成する貯留部構成体と、前記導入部を構成する導入部構成体と、を有し、前記吐出部構成体、前記貯留部構成体、及び前記導入部構成体を、前記吐出部、前記貯留部、及び前記導入路を外部に向けて解放可能なように分解できるものであると良い。
【0017】
本発明の吐出装置は、上記(6)のような構成とすることにより、吐出部構成体、貯留部構成体、及び導入部構成体に分解した状態で洗浄やメンテナンス等を行うことができる。そのため、本発明の吐出装置は、上記(6)のような構成とすることにより、洗浄性やメンテナンス性において優れたものとすることができる。
【0018】
(7)本発明の吐出装置は、前記吐出部が、前記吐出パターンにおいて前記相対移動方向の始端部、及び終端部の少なくともいずれかの形状に沿うように設けられているものであると良い。
【0019】
本発明の吐出装置は、上記(7)のような構成とすることにより、吐出パターンの始端部や終端部の形状に精度良く合致するように流動体を吐出することができる。
【0020】
(8)本発明の吐出装置は、前記吐出部が前記吐出パターンにおいて前記相対移動方向の始端部から終端部に到達するまでの期間に亘って、流動体の吐出を継続するものであると良い。
【0021】
本発明の吐出装置は、上記(8)のような構成とすることにより、吐出パターンの始端部から終端部に至る領域の全体において、吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物に対して流動体を吐出できる。
【0022】
(9)本発明の吐出装置は、流動体の吐出方向に沿う方向に延びる回動軸を中心として回動しつつ、前記吐出部から流動体を吐出できるものであると良い。
【0023】
本発明の吐出装置は、上記(9)のような構成とすることにより、回動軸を中心として回動させることにより、搬送方向に対して交差する方向への流動体の吐出幅を変動させることができる。そのため、本発明の吐出装置は、吐出パターンに係る形状における相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)への長さに応じて適宜、回動軸を中心として回動させつつ吐出部から流動体を吐出することにより、吐出パターンに係る形状となるように精度良く流動体を吐出できる。
【0024】
(10)本発明の塗布システムは、本発明に係る吐出装置と、前記吐出対象物及び前記吐出装置を前記相対移動方向へと相対移動させる相対移動装置と、前記吐出装置に対して流動体を供給する流動体供給装置と、を備えており、前記相対移動装置によって前記吐出対象物及び前記吐出装置を前記相対移動方向に相対移動させた状態において、前記吐出装置により流動体を前記吐出対象物に吐出することにより、前記相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように前記吐出対象物に対して前記流動体を塗布できるものである。
【0025】
本発明の塗布システムは、上記(10)のように、本発明の吐出装置を備えたものとされている。そのため、本発明の塗布システムは、相対移動装置によって吐出対象物及び吐出装置を相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、流動体供給装置により供給された流動体を吐出装置から吐出させることにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物に対して流動体を吐出できる。
【0026】
(11)本発明の塗布システムは、前記流動体供給装置が、一軸偏心ねじポンプにより流動体を供給するものであると良い。
【0027】
本発明の塗布システムは、上記(11)のような構成とすることにより、吐出装置に対して高精度かつ脈動を生じないように流動体を供給することができる。これにより、本発明の塗布システムは、吐出装置における流動体を精度良く吐出させることができる。
【0028】
(12)本発明の塗布方法は、本発明に係る吐出装置により、前記吐出対象物に対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、前記吐出対象物に対して流動体を吐出することにより、前記相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンを前記吐出対象物に形成することにより、前記吐出対象物に対して流動体を塗布するものである。
【0029】
本発明の塗布方法は、上記(12)のように、本発明の吐出装置によって流動体を吐出させるものとされている。そのため、本発明の塗布方法によれば、相対移動装置によって吐出対象物及び吐出装置を相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、流動体供給装置により供給された流動体を吐出装置から吐出させることにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物に対して流動体を吐出できる。
【0030】
(13)本発明の塗布方法は、前記吐出部から前記吐出対象物に対して前記流動体を吐出することにより、少なくとも一部分において、流動体の吐出方向に向けて流動体が重複するように吐出する吐出工程と、前記吐出工程において前記吐出対象物に対して吐出された流動体を、流動体の吐出方向に崩すことにより、前記吐出対象物における流動体の塗布領域を前記吐出方向に対して交差する方向に拡張する領域拡張工程と、を有するものであると良い。
【0031】
本発明の塗布方法は、上記(13)のように、吐出工程において、流動体の吐出方向に向けて流動体が重複するように吐出する箇所が少なくとも一部に形成されるように流動体を吐出させた後、吐出工程において吐出された流動体を領域拡張工程において吐出方向に崩すことにより、流動体の塗布領域を吐出方向に対して交差する方向に拡張する方法により、流動体を吐出対象物に対して塗布することができる。本発明の塗布方法は、例えば、低粘度の流動体を塗布する場合や、吐出対象物とは別のものによって流動体を挟み込んだ製品を作る場合等において、好適に利用できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、上述した課題を解決可能な吐出装置、塗布システム、及び塗布方法の提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態に係る塗布システムの構成を示す正面図である。
図2図1の塗布システムを構成する吐出装置、及び流動体供給装置を示した断面図である。
図3】第一実施形態に係る吐出装置を吐出部側から見た状態を示す斜視図である。
図4図3に示した吐出装置に係る分解斜視図である。
図5図3に示した吐出装置を導入部側から見た状態を示す分解斜視図である。
図6図3に示した吐出装置を吐出部側から見た状態を示す平面図である。
図7】第一実施形態に係る塗布方法により吐出対象物に対して流動体を塗布する状態を塗布の進行状態に応じて示した説明図である。
図8】第二実施形態に係る塗布システムが備える吐出装置を吐出部側から見た状態を示す平面図である。
図9】第二実施形態に係る塗布システムにより吐出対象物に対して流動体を塗布するときの吐出部の状態について塗布の進行状態に応じて説明するための説明図である。
図10図9に示した例の変形例を説明するための説明図である。
図11】第三実施形態に係る塗布システムが備える吐出装置を吐出部側から見た状態を示す平面図である。
図12】第三実施形態に係る塗布システムにより吐出対象物に対して流動体を塗布するときの吐出部の状態について塗布の進行状態に応じて説明するための説明図である。
図13】(a)第三実施形態に係る塗布方法により流動体を吐出対象物に対して塗布する場合において吐出工程が完了した段階を示す説明図、(b)は領域拡張工程が完了した段階を示す説明図である。
図14】変形例に係る吐出装置における吐出部の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
≪第一実施形態≫
以下、本発明の第一実施形態に係る塗布システム1、吐出装置10、及び塗布方法について詳細に説明する。
【0035】
図1に示すように、塗布システム1は、吐出装置10、相対移動装置50、流動体供給装置100を備えている。塗布システム1は、吐出対象物Wに対して流動体を所定の吐出パターンに係る形状をなすように吐出し、塗布することができる。具体的には、塗布システム1は、相対移動装置50によって吐出対象物W及び吐出装置10を所定の相対移動方向に相対移動させた状態において、吐出装置10により流動体を吐出対象物Wに吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向(以下、単に「幅方向」とも称する)への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を塗布する塗布方法を実現できるものである。以下、塗布システム1を各部の構成について概略を説明した後、吐出装置10の構成や、塗布システム1により実現される塗布方法についてさらに詳細に説明する。
【0036】
[塗布システム1をなす各部の概略構成]
吐出装置10は、流動体の吐出対象となる吐出対象物Wに対して、流動体を吐出するための装置である。吐出装置10は、後述の相対移動装置50に対して上方に配されており、下方に向けて流動体を吐出する。吐出装置10は、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16を組み立てて構成されたものである。吐出装置10は、清掃やメンテナンスの際に適宜、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16に分解可能とされている。吐出装置10の詳細な構成については、後に詳述する。
【0037】
相対移動装置50は、吐出対象物Wと吐出装置10とを相対移動方向へと相対移動させる装置である。相対移動装置50は、吐出対象物W及び吐出装置10のいずれか一方又は双方を相対移動方向に移動させるものである。本実施形態においては、相対移動装置50が、吐出対象物Wを搬送するベルトコンベア52とされ、吐出装置10がベルトコンベア52に対して上方に離れた位置に固定されている。そのため、本実施形態では、相対移動装置50は、ベルトコンベア52に対して上方に離れた位置に固定された吐出装置10に対し、ベルトコンベア52により吐出対象物Wを所定の相対移動方向に移動させるものとされている。
【0038】
流動体供給装置100は、流動体の供給源から吐出装置10に対して流動体を供給するものである。流動体供給装置100は、流動体を供給するポンプ等によって構成すると良い。本実施形態では、流動体供給装置100は、図2に示すような一軸偏心ねじポンプ102によって構成されている。
【0039】
さらに詳細に説明すると、図2に示すように、一軸偏心ねじポンプ102は、いわゆる回転容積型のポンプであり、ケーシング120の内部にステータ110や、ロータ130、動力伝達機構140などが収容された構成とされている。図2に示すように、ステータ110は、一軸偏心ねじポンプ102に組み込まれる部材であり、断面形状が長円であって2条の雌ねじ形状の孔を有する筒体である。ステータ110は、ゴムなどによって形成されている。ステータ110を構成するゴムの種類は、一軸偏心ねじポンプ102において移送する被搬送物の種類や性状などにあわせて適宜選択可能である。
【0040】
ケーシング120は、金属製で筒状の部材であり、長手方向一端側に取り付けられた円板形のエンドスタッド120aに第一開口122aが設けられている。また、ケーシング120の外周部分には、第二開口122bが設けられている。第二開口122bは、ケーシング120の長手方向中間部分に位置する中間部120dにおいてケーシング120の内部空間に連通している。第一開口122a及び第二開口122bは、それぞれ一軸偏心ねじポンプ102の吐出用開口および吸込用開口として機能する。上述したステータ110は、ケーシング120において第一開口122aに隣接する位置に設けられたステータ取付部122c内に収容され、固定されている。ステータ110は、フランジ部110aをケーシング120の端部においてエンドスタッド120aによって挟み込み、エンドスタッド120aとケーシング120の本体部分とに亘ってステーボルト124を取り付けて締め付けることにより固定されている。
【0041】
ロータ130は、金属製の軸体であり、1条の雄ねじ形状とされている。ロータ130は、上述したステータ110に挿通され、ステータ110の内部において自由に偏心回転可能とされている。ロータ130は、上述したステータ110の貫通孔116に挿通され、ロータ130の外周面とステータ110の内周面とが両者の接線にわたって当接した状態とされている。また、この状態において、貫通孔116を形成しているステータ110の内周面と、ロータ130の外周面との間には、流動体搬送路132が形成されている。
【0042】
流動体搬送路132は、ステータ110やロータ130の長手方向に向けて螺旋状に延びており、ロータ130をステータ110の貫通孔116内において回転させると、ステータ110内を回転しながらステータ110の長手方向に進む。そのため、ロータ130を回転させると、ステータ110の一端側から流動体搬送路132内に流動体(液)を吸い込むと共に、この流動体を流動体搬送路132内に閉じこめた状態でステータ110の他端側に向けて移送し、ステータ110の他端側において吐出させることが可能である。
【0043】
動力伝達機構140は、ケーシング120の外部に設けられたモータなどの動力源(図示せず)から上述したロータ130に対して動力を伝達するために設けられている。動力伝達機構140は、前述した動力源から伝達された回転動力をロータ130に伝達し、ロータ130を偏心回転させることが可能とされている。一軸偏心ねじポンプ102は、前述した動力源を作動させロータ130を回転させることにより、流動体搬送路132を介して流動体を搬送することが可能である。
【0044】
[吐出装置10について]
以下、塗布システム1を構成する吐出装置10の構成について、さらに詳細に説明する。吐出装置10は、上述した相対移動装置50により所定の相対移動方向へと相対移動される吐出対象物Wに向けて、上方から流動体を吐出することにより、流動体が相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように、吐出対象物Wに対して流動体を吐出できるものである。図3図5等に示すように、吐出装置10は、ブロック状に形成された吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16をこの順に重ね合わせた状態として、ボルト等の固定具18によって連結することにより組み立てて一体化した状態において使用される。吐出装置10は、吐出部20、貯留部30、及び導入部40を備えている。
【0045】
吐出部20は、流動体を吐出するためのものであり、上述した吐出部構成体12によって構成されている。吐出部20は、塗布システム1により吐出対象物Wに対して流動物を吐出する際の吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に亘って流動体を吐出するものとされている。本実施形態では、吐出部20は、相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に並ぶように設けられた複数の吐出口22を備えたものとされている。
【0046】
吐出口22は、所定形状(本実施形態では円形)の開口形状を有するものである。吐出口22は、それぞれ、吐出部構成体12の内部において各吐出口22に対応して形成された筒状の吐出通路24を介して後述する貯留部30に対して連通するように設けられている。吐出部20は、複数の吐出口22から同時に流動体を吐出しながら吐出対象物Wに対して一定方向(相対移動方向)に一定距離に亘って相対移動することで、目的とされる吐出パターンをなす平面形状を得ることができるように吐出口22を配置したものとされている。
【0047】
具体的には、吐出口22は、吐出パターンにおいて相対移動方向の始端部、及び終端部の少なくともいずれかの形状に沿うように設けられていると良い。本実施形態の吐出部20は、複数の吐出口22からなる始端側吐出口群26と、複数の吐出口22からなる終端側吐出口群28とを有する。始端側吐出口群26は、吐出パターンにおいて相対移動方向の始端部をなす部分の形状に沿うように、複数の吐出口22を配置したものである。また、終端側吐出口群28は、吐出パターンにおいて相対移動方向の終端部をなす部分の形状に沿うように、複数の吐出口22を配置したものである。
【0048】
また、吐出部20は、始端側吐出口群26をなす吐出口22の配置と、終端側吐出口群28をなす吐出口22の配置とが、始端側吐出口群26及び終端側吐出口群28の間において相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に延びる仮想の境界線を境として非対称となるように配置されている。これにより、吐出対象物Wを吐出装置10に対して相対移動方向に移動させつつ各吐出口22から流動体を吐出する際に、始端側吐出口群26をなす吐出口22から吐出される流動体と、終端側吐出口群28をなす吐出口22から吐出される流動体との重なりが生じるのを最小限に抑制している。
【0049】
貯留部30は、吐出装置10に対して供給された流動体が貯留される部分である。図4図6等に示すように、貯留部30は、上述した吐出部20における吐出口22の配置形状に合わせた形状とされている。本実施形態では、相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に長軸が向き、相対移動方向に対して沿う方向に短軸が向いた楕円状の形状をなすように、複数の吐出口22が配置されている。そのため、貯留部30は、貯留部構成体14をなすブロック状の部材に、複数の吐出口22の配置形状と同様に楕円状の平面形状を有するとともに、流動体を貯留可能な空間をなすように窪んだ凹部32によって形成されている。貯留部30は、貯留部構成体14において凹部32が形成された面と、吐出部構成体12において複数の吐出口22が形成されたのとは反対側の面とを突き合わせた状態で貯留部構成体14を吐出部構成体12に対して一体化することにより構成される。これにより、貯留部30は、複数の吐出口22に対して連通した空間を構成する。
【0050】
また、貯留部30をなす凹部32において、導入部構成体16側の面(凹部32の底面)には、貯留部30に対して流動体を流入させるための流入口34が設けられている。流入口34は、後に詳述する導入部構成体16によって構成される導入路44に対応して複数(本実施形態では2つ)設けられている。これにより、貯留部30は、複数設けられた導入路44のそれぞれから、流入口34を介して流動体を導入可能とされている。また、流入口34は、複数の吐出口22の並ぶ方向(相対移動方向に対して交差する方向)に互いに間隔を開けて設けられている。本実施形態では、貯留部30が楕円状に形成されており、その周縁部において複数の吐出口22と連通していることから、貯留部30の中心から貯留部30をなす楕円の長径方向の一方側及び他方側の端部に至る区間の中間位置に、流入口34,34が設けられている。これにより、貯留部30は、導入路44を介して部位によらず均等に流動体を導入できる。
【0051】
導入部40は、貯留部30に対して流動体を導入する経路をなす部分である。導入部40は、導入部構成体16によって構成されている。具体的には、図4図6等に示すように、導入部40は、接続部42、及び導入路44を有する。
【0052】
接続部42は、流動体の供給源側に接続される部分である。接続部42は、筒状に形成されており、導入部構成体16において貯留部構成体14との接続側とは反対側の面において突出するように設けられている。接続部42は、供給源から流動体を供給するために設けられた流動体供給装置100(一軸偏心ねじポンプ102)の第一開口122aに対して配管接続される。
【0053】
導入路44は、導入部構成体16において接続部42に供給された流動体を分岐して貯留部30に対して導入するためのものである。導入路44は、上述した貯留部30に設けられた流入口34に対応して複数形成されている。本実施形態では、流入口34が二つ設けられていることから、導入路44は接続部42を介して供給された流動体を2系統に分岐可能なように設けられている。
【0054】
具体的には、導入部構成体16には、連通部46と、分岐部48とが形成されている。連通部46は、筒状に形成された接続部42に連通する部分であり、導入部構成体16の厚み方向に貫通するように形成された孔によって構成されている。分岐部48は、導入部構成体16のうち貯留部構成体14との接続側において、連通部46に対して交差する方向に延びる溝によって構成されている。分岐部48をなす溝は、連通部46と連通しており、連通部46との連通部分を境として一方側及び他方側に延びるように形成されている。そのため、導入部構成体16と貯留部構成体14とを接続することにより、分岐部48をなす溝と、貯留部構成体14において導入部構成体16側に向く面との間に、連通部46に連通した流路が形成される。このようにして形成された流路が、導入路44とされる。前述のとおり、分岐部48をなす溝は、連通部46との連通部分を境として一方側に延びる部分(第一分岐部48a)、及び他方側に延びる部分(第二分岐部48b)をなすように形成されている。そのため、導入部40には、第一分岐部48aによって構成される第一の導入路44と、第二分岐部48bによって構成される第二の導入路44とが設けられている。第一の導入路44及び第二の導入路44は、分岐部48から流入口34、34までの長さ及び内径が略同一となるよう形成することで流路抵抗が略同一となるよう設けられている。これにより、導入部40は、連通部46を介して供給されてきた流動体を連通部46との連通部分を境として一方側、及び他方側に均等に分岐する分岐流路を備えたものとされている。
【0055】
ここで、導入部構成体16と貯留部構成体14とを接続して一体化した状態において、第一分岐部48aによって構成される第一の導入路44は、導入部構成体16に設けられた二つの流入口34,34のうち一方と連通する。また、第二分岐部48bによって構成される第二の導入路44は、導入部構成体16に設けられた二つの流入口34,34のうち他方と連通する。これにより、導入部40は、流動体供給装置100(一軸偏心ねじポンプ102)によって供給源から供給された流動体を、複数(本実施形態では二つ)の導入路44に分岐して貯留部30に対して導入できるものとされている。
【0056】
上述したように、吐出装置10は、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16を組み立てて一体化した状態とすることにより、吐出部20、貯留部30、及び導入部40を構成できる。また、吐出装置10は、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16を分解することにより、吐出部20の吐出口22、貯留部30、及び導入路44が外部に向けて解放された状態として、清掃やメンテナンス等を行うことができる。
【0057】
[塗布方法]
続いて、上述した塗布システム1を用いて流動体を吐出対象物Wに塗布するための塗布方法について説明する。塗布システム1を用いて吐出対象物Wに流動体を塗布する際には、相対移動装置50をなすベルトコンベア52の搬送面に吐出対象物Wを配して所定の搬送方向に吐出対象物Wを移動させる。一方、ベルトコンベア52に対して上方に配置された吐出装置10に対して流動体供給装置100(一軸偏心ねじポンプ102)により流動体を供給する。ここで、吐出装置10は、始端側吐出口群26がベルトコンベア52による吐出対象物Wの搬送方向下流側(塗布開始側)に位置し、終端側吐出口群28が吐出対象物Wの搬送方向上流側(塗布終了側)に位置すると共に、複数の吐出口22が相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に並び、吐出口22からベルトコンベア52(吐出対象物W)に向けて流動体を吐出できる姿勢とされて設置される。
【0058】
上述したようにしてベルトコンベア52により吐出対象物Wが移動を開始した後、図7(a)に示すように、吐出装置10に設けられた始端側吐出口群26の下方となる位置に、吐出対象物Wにおいて流動物の塗布を開始する位置が到達すると、始端側吐出口群26及び終端側吐出口群28をなす複数の吐出口22から流動物の吐出が開始される。その後、ベルトコンベア52による吐出対象物Wの移動を継続しつつ、流動物の吐出を継続すると、図7(b)においてハッチングを付して示すように、複数の吐出口22から吐出された流動体が、吐出対象物Wの表面に塗布されていく。さらにベルトコンベア52による吐出対象物Wの移動、及び吐出装置10による流動物の吐出を継続するうちに、吐出装置10に設けられた終端側吐出口群28の下方となる位置に、吐出対象物Wにおいて流動物の塗布を終了する位置が到達すると、吐出装置10による流動物の吐出が停止される。このとき、一軸偏心ねじポンプ102のロータ130をわずかに逆回転して余分な流動体を引き戻して流動体の垂れや糸引きを発生させないようにする。これにより、図7(c)に示すように、相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状(図示例では楕円状の形状)をなすように吐出対象物Wに対して流動体が塗布された状態になる。このようにしてベルトコンベア52による吐出対象物Wの移動を継続しつつ、吐出装置10において吐出対象物Wに向けて流動体を吐出する動作を繰り返すことにより、吐出対象物Wの移動を停止させることなく、次々と到来する吐出対象物Wに対して流動体の塗布を行うことができる。
【0059】
≪第二実施形態≫
以下、本発明の第二実施形態に係る塗布システム201、吐出装置210、及び塗布方法について詳細に説明する。なお、第二実施形態に係る塗布システム201、吐出装置210、及び塗布方法において、第一実施形態に係る塗布システム1、吐出装置10、及び塗布方法と共通する部分については同一の符号を付す等して詳細の説明を省略する。
【0060】
本実施形態の塗布システム201は、吐出装置10に代えて吐出装置210を備えているが、相対移動装置50、及び流動体供給装置100を備えている点については、上述した塗布システム1と共通している。塗布システム201は、吐出対象物Wに対して流動体を所定の吐出パターンに係る形状をなすように吐出し、塗布することができる点においても、塗布システム1と共通している。一方、塗布システム201は、吐出装置210、相対移動装置50、流動体供給装置100に加えて、回動装置260(図9参照)を備えている点において、塗布システム1と相違している。また、本実施形態に係る塗布方法は、図9に示すように、回動装置260を活用することにより、吐出装置210を回動させつつ吐出対象物Wに対して流動物を塗布する点において、上記第一実施形態に係る塗布方法と相違している。以下、塗布システム201、吐出装置210、及び塗布方法について、第一実施形態において例示したものとの相違点を中心に説明する。
【0061】
[吐出装置210について]
図8に示すように、吐出装置210は、吐出部220、貯留部230、及び導入部240を備えている。これらの構成のうち、貯留部230及び導入部240は、上述した吐出装置10の貯留部30や導入部40と形状が異なるものの同様の構成及び機能を備えたものとされている。
【0062】
具体的には、貯留部230は、供給源から供給された流動体が貯留される部分であり、後述のように吐出部220に複数設けられる吐出口222の配置形状に合わせた形状(図示例では直方体状)の形状とされている。貯留部230は、吐出装置210において中間部に設けられており、流動体を流入させるための流入口34を有する。流入口34は、導入部240に設けられる導入路44に対応して複数(本実施形態では二つ)、吐出口222の並ぶ方向に互いに間隔を開けて設けられている。
【0063】
導入部240は、貯留部230に対して流動体を導入する経路をなす部分である。導入部240は、上述した導入部40と同様の接続部42、及び導入路44を有する。導入路44は、導入部構成体16において接続部42に供給された流動体を分岐して貯留部230に導入するものであり、貯留部230に設けられた流入口34に対応して複数(本実施形態では二つ)形成されている。
【0064】
吐出部220は、上述した吐出部20と同様に、貯留部230に準備された流動体を吐出するためのものである。吐出部220は、吐出部20における吐出口22と同様に、複数の吐出口222を備えている。吐出口222は、吐出装置210において想定している吐出パターンに応じて、吐出対象物W及び吐出装置210の相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に並ぶように配置されている。本実施形態では、吐出部220は、複数(図示例では4つ)の吐出口222が直線的に並ぶように設けられている。
【0065】
[回動装置260について]
回動装置260は、上述した吐出装置210を、流動体の吐出方向に沿う方向(本実施形態では上下方向)に延びる回動軸262を中心として回動させるものである。回動装置260は、回動軸262を中心として吐出装置210を回動させることにより、相対移動方向に対して交差する方向に並ぶ複数の吐出口222の配列方向(角度)を変更するためのものである。回動装置260は、吐出部220に複数並べて設けられた吐出口222の並び方向の中央部分を回動軸262の軸心位置として、吐出装置210を回動させることができる。
【0066】
[塗布方法]
続いて、上述した塗布システム201を用いて流動体を吐出対象物Wに塗布するための塗布方法について説明する。本実施形態では、図9に示すようにリーフ状に形成された、焼き菓子等からなる吐出対象物Wに対して、図9においてハッチングを付したように吐出対象物Wの形状に近似した塗布パターンに係る形状となるように、クリーム等からなる流動体を塗布する場合を例に挙げて説明する。
【0067】
塗布システム201により、図9に示すような塗布パターンで流動体を塗布する場合には、回動軸262の軸心位置を、吐出対象物Wの幅方向(相対移動方向に対して交差する方向)の中央を通るように、ベルトコンベア52により吐出対象物Wを移動させる。また、塗布システム201による流動体の塗布開始に備えて、塗布パターンにおける塗布開始側の形状に応じて、回動装置260により吐出装置210を回動させる。図示例では、吐出対象物Wの相対移動方向に対して30度程度の角度をなす仮想線上に複数の吐出口222が並ぶ姿勢となるように、回動軸262を中心として吐出装置210を回動させる。その後、吐出装置210の下方に吐出対象物Wが到来すると、吐出装置210から流動物の吐出を開始する。
【0068】
塗布システム201は、吐出装置210による流動物の吐出が開始された後、相対移動装置50による吐出対象物Wの移動と、吐出装置210による流動物の吐出を継続する。これと共に、塗布システム201においては、吐出対象物Wに描く塗布パターンの形状に基づき、吐出対象物Wと吐出装置210との位置関係に応じて、回動装置260により吐出装置210を回動させる。具体的には、複数の吐出口222が並ぶ仮想線が、吐出対象物Wの相対移動方向に対してなす角度をαとした場合、図示例のように、角度αが30度から徐々に90度に向けて大きくなった後、角度αが90度から徐々に30度まで低下するように吐出装置210の姿勢を変動させる。このように、塗布システム201は、吐出装置210を回動軸262を中心として捻りながら、流動物の吐出及び吐出対象物Wの相対移動を継続させることにより、塗布パターンが所定の形状(図示例ではリーフ型)となるように、吐出対象物Wに対して流動物を吐出して塗布することができる。
【0069】
なお、本実施形態で例示した吐出装置210は、回動装置260の回動軸262を、吐出口222の配列方向の中間部に設けた構成とされたものであるが、例えば図10に示すように、吐出口222の配列方向の一端側に回動軸262を設けた構成とすることも可能である。このような構成とする場合は、例えば、図10に示すように、吐出装置210及び回動装置260を2組設け、一方により塗布パターンのうち相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)の一方側の領域を塗布し、他方により塗布パターンのうち相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)の他方側の領域を塗布するようにすると良い。
【0070】
また、塗布システム201のように、吐出装置210を回動させる構成とした場合、吐出装置210の回動中心から遠い位置にある吐出口222ほど、吐出口222の下方を吐出対象物Wが早い時期に通過する。このような現象により、部位により吐出量(塗布量)の変動が生じるものと想定される場合には、それぞれの吐出口222に到達するまでの経路の長さや、吐出口222の開口径を調整する等して、回動中心から遠い吐出口222ほど吐出量が多くなるようにする等の対策を講じたものとすると良い。
【0071】
≪第三実施形態≫
以下、本発明の第三実施形態に係る塗布システム301、吐出装置310、及び塗布方法について詳細に説明する。なお、第三実施形態に係る塗布システム301、吐出装置310、及び塗布方法において、第一実施形態及び第二実施形態に係る塗布システム1、201、吐出装置10,210、及び塗布方法と共通する部分については同一の符号を付す等して詳細の説明を省略する。
【0072】
本実施形態の塗布システム301は、吐出装置10,210に代えて吐出装置310を備えているが、相対移動装置50、及び流動体供給装置100を備えている点については、上述した塗布システム1,201と共通している。塗布システム301は、吐出対象物Wに対して流動体を所定の吐出パターンに係る形状をなすように吐出し、塗布することができる点においても、塗布システム1,201と共通している。一方、本実施形態に係る塗布方法は、流動体の特性や、吐出対象物Wに対する流動体の塗布後に行われる加工等を考慮して吐出対象物Wに対して流動物を塗布する点において、上記第一実施形態や第二実施形態に係る塗布方法と相違している。以下、塗布システム301、吐出装置310、及び塗布方法について、第一実施形態や第二実施形態において例示したものとの相違点を中心に説明する。
【0073】
[吐出装置310について]
図11に示すように、吐出装置310は、吐出部320、貯留部330、及び導入部340を備えている。これらの構成のうち、貯留部330及び導入部340は、上述した吐出装置10,210の貯留部30,230や導入部40,240と形状が異なるものの同様の構成及び機能を備えたものとされている。
【0074】
具体的には、貯留部330は、供給源から供給された流動体が貯留される部分であり、後述のように吐出部320に複数設けられる吐出口322の配置形状に合わせた形状(図示例では立方体状)の形状とされている。貯留部330は、吐出装置310において中間部に設けられており、流動体を流入させるための流入口34を有する。流入口34は、導入部340に設けられる導入路44に対応して複数(本実施形態では2個×2個の4つ)、互いに間隔を開けて設けられている。
【0075】
導入部340は、貯留部330に対して流動体を導入する経路をなす部分である。導入部340は、上述した導入部40,240と同様の接続部42、及び導入路44を有する。導入路44は、導入部構成体16において接続部42に供給された流動体を分岐して貯留部330に導入するものであり、貯留部330に設けられた流入口34に対応して複数(本実施形態では4つ)形成されている。
【0076】
吐出部320は、上述した吐出部20,220と同様に、貯留部330に準備された流動体を吐出するためのものである。吐出部320は、吐出部20,220における吐出口22,222と同様に、複数の吐出口322を備えている。吐出口322は、吐出装置310において想定している吐出パターンに応じて、吐出対象物W及び吐出装置310の相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)に並ぶように配置されている。本実施形態では、吐出部320は、複数(図示例では4個×4個の16個)の吐出口322が平面視において縦横に並ぶように設けられている。
【0077】
[塗布方法]
本実施形態においては、上述した塗布システム301を用い、吐出工程、及び領域拡張工程を含む工程を経て、流動体を吐出対象物Wに対して吐出して塗布する。これにより、図12図13(a)に示すように吐出対象物Wに対して流動体を吐出した後、図13(b)に示すような形状に流動体を吐出対象物Wに対して塗布することができる。
【0078】
具体的には、塗布システム301により吐出対象物Wに対して流動体を吐出して塗布する場合には、先ず吐出工程として、複数の吐出口322から吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、少なくとも一部分において、流動体の吐出方向(上下方向)に向けて流動体が重複するように吐出された状態とする工程が行われる。すなわち、吐出工程においては、ベルトコンベア52により吐出対象物Wを吐出部320に対して相対移動させつつ、吐出部320に設けられた吐出口322のそれぞれから流動体を吐出させる。このようにして、流動体を吐出部320から吐出対象物Wに向けて吐出するのを継続しつつ、吐出対象物Wを吐出部320に対して相対移動方向に移動させることを継続すると、やがて断面視において図12に示すような形状に流動体が積層された状態で吐出対象物Wの上に吐出された状態になる。
【0079】
上述した吐出工程において流動体が積層された状態になるように吐出された状態になると、領域拡張工程が行われる。領域拡張工程は、吐出工程において吐出対象物Wに対して吐出された流動体を、流動体の吐出方向(上下方向)に崩すことにより、吐出対象物Wにおける流動体の塗布領域を吐出方向に対して交差する方向に拡張する工程である。具体的には、流動体が低粘度のものである場合には、上述した吐出工程において吐出対象物Wに対して吐出された流動体が、自重により上下方向に崩れる。これにより、図13(b)において矢印で示すように、吐出対象物Wの上で流動体が拡がり、吐出対象物Wにおける流動体の塗布領域が吐出方向に対して交差する方向に拡張した状態になる。
【0080】
また、領域拡張工程は、例えば、クリームを流動体、焼き菓子を吐出対象物Wとし、吐出対象物Wである焼き菓子に吐出されたクリームを、別の焼き菓子によって挟み込む場合のように、吐出対象物Wに吐出された流動体を別部材によって吐出方向に崩すことによっても実現できる。前述のように2枚の焼き菓子の間にクリームを挟み込む場合についても、吐出工程において吐出対象物Wに対して吐出された流動体を、領域拡張工程において、流動体の吐出方向に崩すことにより、吐出対象物Wにおける流動体の塗布領域が吐出方向に対して交差する方向に拡張した状態とすることができる。
【0081】
≪作用効果≫
上述した第一実施形態~第三実施形態において例示した塗布システム1,201,301や、吐出装置10,210,310は、以下の(a)~(l)のような特徴的構成を備えている。これにより、塗布システム1,201,301や、吐出装置10,210,310は、以下に記載のような特有の効果を奏することができる。
【0082】
(a)上述した吐出装置10,210,310は、流動体の吐出対象である吐出対象物Wに対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できるものであり、流動体を吐出するための吐出部20,220,320を複数備えており、吐出部20,220,320が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に亘って流動体を吐出するものであること、を特徴とするものである。
【0083】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(a)のように、流動体を吐出するための吐出部20,220,320が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に亘って流動体を吐出するように設けられている。これにより、上述した吐出装置10,210,310は、流動体の吐出対象である吐出対象物Wに対して所定の相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できる。従って、上述した吐出装置10,210,310は、流動体を吐出対象物Wに対して前述のような吐出パターンに係る形状をなすように吐出させる作業を行うのに要するリードタイムを抑制できる。
【0084】
(b)上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320が、流動体を吐出するための吐出口22,222,322を複数備えており、複数の吐出口22,222,322が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に並ぶように設けられているものである。
【0085】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(b)のように、流動体を吐出するための吐出部20,220,320が、吐出口22,222,322を複数備えると共に、複数の吐出口22,222,322が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に並ぶように設けられている。これにより、上述した吐出装置10,210,310は、流動体の吐出対象である吐出対象物Wに対して所定の相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できる。
【0086】
(c)上述した吐出装置10,210,310は、流動体が貯留される貯留部30,230,330と、貯留部30,230,330に対して流動体を導入する導入部40,240,340と、を有し、複数の吐出部20,220,320が、貯留部30,230,330に対して連通するように設けられており、供給源から供給された流動体を、導入部40,240,340において複数の導入路44に分岐して貯留部30,230,330に対して導入できるものである。
【0087】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(c)のような構成とすることにより、貯留部30,230,330に貯留される流動体の偏りが生じにくい。これにより、上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320において相対移動方向に対して交差する方向の各部から流動体を略均等に吐出させることができる。
【0088】
(d)上述した吐出装置10,210,310は、貯留部30,230,330に対する流動体の流入口34が、導入路44に対応して複数設けられており、複数の流入口34が、相対移動方向に対して交差する方向に互いに間隔を開けて設けられているものである。
【0089】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(d)のような構成とすることにより、それぞれの流入口34から貯留部30,230,330に導入される流動体が、貯留部30,230,330の内部において相対移動方向に対して交差する方向に偏った状態で導入されてしまうのを抑制できる。これにより、上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320において相対移動方向に対して交差する方向の各部から流動体を略均等に吐出させることができる。
【0090】
(e)上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320を構成する吐出部構成体12と、貯留部30,230,330を構成する貯留部構成体14と、導入部40,240,340を構成する導入部構成体16と、を有し、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16を、吐出部20,220,320、貯留部30,230,330、及び導入路44を外部に向けて解放可能なように分解できるものである。
【0091】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(e)のような構成とすることにより、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16に分解した状態で洗浄やメンテナンス等を行うことができる。そのため、上述した吐出装置10,210,310は、上記(e)のような構成とすることにより、洗浄性やメンテナンス性において優れたものとすることができる。
【0092】
(f)上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320が、吐出パターンにおいて相対移動方向の始端部、及び終端部の少なくともいずれかの形状に沿うように設けられているものである。
【0093】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(f)のような構成とすることにより、吐出パターンの始端部や終端部の形状に精度良く合致するように流動体を吐出することができる。
【0094】
(g)上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320が吐出パターンにおいて相対移動方向の始端部から終端部に到達するまでの期間に亘って、流動体の吐出を継続するものである。
【0095】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(g)のような構成とすることにより、吐出パターンの始端部から終端部に至る領域の全体において、吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できる。
【0096】
(h)上述した吐出装置210は、流動体の吐出方向に沿う方向に延びる回動軸262を中心として回動しつつ、吐出部220から流動体を吐出できるものである。
【0097】
上述した吐出装置210は、上記(h)のような構成とすることにより、回動軸262を中心として回動させることにより、搬送方向に対して交差する方向への流動体の吐出幅を変動させることができる。そのため、上述した吐出装置210は、吐出パターンに係る形状における相対移動方向に対して交差する方向(幅方向)への長さに応じて適宜、回動軸262を中心として回動させつつ吐出部220から流動体を吐出することにより、吐出パターンに係る形状となるように精度良く流動体を吐出できる。
【0098】
(i)上述した塗布システム1,201,301は、上述した吐出装置10,210,310と、吐出対象物W及び吐出装置10,210,310を相対移動方向へと相対移動させる相対移動装置50と、吐出装置10,210,310に対して流動体を供給する流動体供給装置100と、を備えており、相対移動装置50によって吐出対象物W及び吐出装置10,210,310を相対移動方向に相対移動させた状態において、吐出装置10,210,310により流動体を吐出対象物Wに吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を塗布できるものである。
【0099】
上述した塗布システム1,201,301は、上記(i)のように、上述した吐出装置10,210,310を備えたものとされている。そのため、上述した塗布システム1,201,301は、相対移動装置50によって吐出対象物W及び吐出装置10,210,310を相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、流動体供給装置100により供給された流動体を吐出装置10,210,310から吐出させることにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できる。
【0100】
(j)上述した塗布システム1,201,301は、流動体供給装置100が、一軸偏心ねじポンプ102により流動体を供給するものである。
【0101】
上述した塗布システム1,201,301は、上記(j)のような構成とすることにより、吐出装置10,210,310に対して高精度かつ脈動を生じないように流動体を供給することができる。また、一軸偏心ねじポンプ102を流動体供給装置100に用いた場合、流動体を吐出して塗布するのを終了する時に、ロータ130を吐出時とは逆方向に回転させて余分な流動体を引き戻す動作を行うことにより、流動体の垂れや糸引きを抑制できる。これにより、上述した塗布システム1,201,301は、吐出装置10,210,310における流動体を精度良く吐出させることができる。
【0102】
(k)上述した塗布方法は、上述した吐出装置10,210,310により、吐出対象物Wに対して所定の相対移動方向へと相対移動させつつ、吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンを吐出対象物Wに形成することにより、吐出対象物Wに対して流動体を塗布するものである。
【0103】
上述した塗布方法は、上記(k)のように、上述した吐出装置10,210,310によって流動体を吐出させるものとされている。そのため、上述した塗布方法によれば、相対移動装置50によって吐出対象物W及び吐出装置10,210,310を相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、流動体供給装置100により供給された流動体を吐出装置10,210,310から吐出させることにより、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出できる。
【0104】
(l)上述した第三実施形態に係る塗布方法は、吐出部320から吐出対象物Wに対して流動体を吐出することにより、少なくとも一部分において、流動体の吐出方向に向けて流動体が重複するように吐出する吐出工程と、吐出工程において吐出対象物Wに対して吐出された流動体を、流動体の吐出方向に崩すことにより、吐出対象物Wにおける流動体の塗布領域を吐出方向に対して交差する方向に拡張する領域拡張工程と、を有するものである。
【0105】
上述した第三実施形態に係る塗布方法は、上記(l)のように、吐出工程において、流動体の吐出方向に向けて流動体が重複するように吐出する箇所が少なくとも一部に形成されるように流動体を吐出させた後、吐出工程において吐出された流動体を領域拡張工程において吐出方向に崩すことにより、流動体の塗布領域を吐出方向に対して交差する方向に拡張する方法により、流動体を吐出対象物Wに対して塗布することができる。上述した塗布方法は、例えば、低粘度の流動体を塗布する場合や、吐出対象物Wとは別のものによって流動体を挟み込んだ製品を作る場合等において、好適に利用できる。
【0106】
≪変形例≫
上記実施形態において例示したものは、本発明の一例を示したものに過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、例えば上述した(a)~(l)に係る構成を上記実施形態において例示したものとは異なるものとすることが可能である。また、本発明の吐出装置、塗布システム、及び塗布方法は、上述した(a)~(l)に含まれる構成に加えて、あるいは(a)~(l)に含まれる構成に代えて他の構成を備えたものとしたり、一部の構成を省略した構成としたりしても良い。具体的には、以下に説明するような変形例が考えられる。
【0107】
上記実施形態では、上記(b)のように、吐出装置10,210,310について、吐出部20,220,320が、吐出口22,222,322を複数、相対移動方向に対して交差する方向に並ぶように設けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。具体的には、吐出装置10,210,310は、以下の(m)のような構成とすることが可能である。
【0108】
(m)図14に示すように、上述した吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320が、流動体を吐出するための吐出口22,222,322を備えており、吐出口22,222,322が、吐出パターンに応じて、相対移動方向に対して交差する方向に延びるように形成されたスリットによって構成されたものとすることができる。
【0109】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(m)のような構成とすることにより、流動体の吐出対象である吐出対象物Wに対して所定の相対移動方向へと相対移動させた状態のまま、吐出対象物Wに対して流動体を吐出することによって、相対移動方向に対して交差する方向への長さが相違する部分を有する吐出パターンに係る形状をなすように吐出対象物Wに対して流動体を吐出可能なものとすることができる。
【0110】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(c)のように、導入部40,240,340において複数の導入路44に分岐して貯留部30,230,330に対して導入できるものであるが、本発明はこれに限定されない。吐出装置10,210,310は、複数の導入路44に分岐することなく、貯留部30,230,330に対して流動部を導入するものであっても良い。このような構成とすることにより、複数の導入路44に分岐する構成とする場合よりも、吐出装置10,210,310の構造をシンプルなものとすることができる。
【0111】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(d)のように、貯留部30,230,330に対する流動体の流入口34を導入路44に対応して複数設けたものであるが、本発明はこれに限定されない。吐出装置10,210,310は、例えば、上述のように導入路44を分岐しない構成とする場合等においては、流入口34を単一のものとすると良い。また、吐出装置10,210,310は、相対移動方向を軸として吐出口22,222,322が線対称に配置されたものであるが、本発明はこれに限定されず、吐出口22,222,322が非対称に配置されたものでも良い。また、吐出口22,222,322を非対称に配置する場合には、貯留部30,230,330の形状についても、吐出口22,222,322の配置に応じて非対称の形状とすると良い。さらに、導入部40,240,340についても、例えば吐出口22,222,322の配置や、貯留部30,230,330の形状等に応じて、その流路形状や、流路長、流路径、分岐量、通路抵抗等を調整すると良い。吐出口22,222,322や、貯留部30,230,330、導入部40,240,340の形状、大きさ、配置等については、例えば、流動体解析を行う等して調節すると良い。
【0112】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(e)のように、吐出部構成体12、貯留部構成体14、及び導入部構成体16を組立てて構成されるものであり、これらを分解することにより吐出部20,220,320、貯留部30,230,330、及び導入路44を外部に向けて解放可能なようにした例を示したが、本発明はこれに限定されない。吐出装置10,210,310は、吐出部20,220,320、貯留部30,230,330、及び導入路44の少なくともいずれかを外部解放できない構成のもの等としても良い。なお、このような外部解放できない構成とする場合は、他の構成を付加したり、外部から洗浄具等を導入しやすい構成とする等して、洗浄性やメンテナンス性を確保できるような構成とすると良い。
【0113】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(f)のように、吐出部20,220,320が、吐出パターンにおいて相対移動方向の始端部、及び終端部の少なくともいずれかの形状に沿うように設けられたものであるが、本発明はこれに限定されず、吐出部20,220,320が他の形状に形成されたものとすることも可能である。
【0114】
上述した吐出装置10,210,310は、上記(g)のように、吐出部20,220,320が吐出パターンにおいて相対移動方向の始端部から終端部に到達するまでの期間全体に亘って流動体を吐出し続けるものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、吐出部20,220,320が吐出パターンの始端部から終端部に到達するまでの期間に、流動体の吐出を停止する期間を設けたり、流動体の吐出と停止を繰り返して行うものとしたりしても良い。
【0115】
上述した吐出装置210は、上記(h)のように、回動軸262を中心として回動しつつ、吐出部220から流動体を吐出できるものであるが、上述した吐出装置10,310のように回動軸262を中心とする回動を行わないものであっても良い。
【0116】
上述した塗布システム1,201,301は、上記(i)や(j)のように、吐出装置10,210,310に加えて、相対移動装置50としてのベルトコンベア52と、流動体供給装置100としての一軸偏心ねじポンプ102を備えたものを例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、塗布システム1,201,301は、吐出対象物Wを移動させるためのベルトコンベア52に代えて、あるいはベルトコンベア52に加えて、吐出装置10,210,310を移動させるための移動装置を備えたものとすることにより、吐出対象物Wと吐出装置10,210,310とを相対移動可能なものとしても良い。また、塗布システム1,201,301は、一軸偏心ねじポンプ102に代えて、あるいは一軸偏心ねじポンプ102に加えて、流動体供給装置100として機能する他のポンプ等を備えたものとしても良い。
【0117】
上記第一実施形態や第二実施形態において例示した塗布方法は、上記(k)のように、相対移動装置50をなすベルトコンベア52により吐出対象物Wを移動させつつ、上述した吐出装置10,210,310によって流動体を吐出して、吐出対象物Wに流動体を塗布するものであるが、本発明はこれに限定されない。本発明の塗布方法は、例えば、吐出対象物Wを移動させるのに代えて、あるいは吐出対象物Wを移動させるのに加えて、吐出対象物Wに対して吐出装置10,210,310を移動させつつ、流動体を吐出対象物Wに向けて吐出して塗布するもの等とすることができる。
【0118】
上述した第三実施形態に係る塗布方法は、上記(l)のように、吐出工程と、領域拡張工程とを経て流動体を吐出対象物Wに塗布するものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の塗布方法は、第三実施形態において例示した方法に含まれる工程に加えて、他の工程を設けたもの等とすることができる。
【0119】
本願発明は、上述した実施の形態に記載の構成に限定されることなく、本願発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲において適宜設計変更等することが可能である。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素または課題を解決するための手段、発明を実施するための形態等に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても、本願または本願に基づく分割出願等において権利取得する意思を有する。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明のノズル、及び液供給システムは、液供給口から供給された液を分岐して複数の液吐出口から吐出するノズル、及びこれを備えた液供給システム全般において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0121】
1 :塗布システム
10 :吐出装置
12 :吐出部構成体
14 :貯留部構成体
16 :導入部構成体
20 :吐出部
22 :吐出口
30 :貯留部
34 :流入口
40 :導入部
44 :導入路
50 :相対移動装置
100 :流動体供給装置
102 :一軸偏心ねじポンプ
201 :塗布システム
210 :吐出装置
220 :吐出部
222 :吐出口
230 :貯留部
240 :導入部
262 :回動軸
301 :塗布システム
310 :吐出装置
320 :吐出部
322 :吐出口
330 :貯留部
340 :導入部
W :吐出対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14