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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135146
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】バッテリの支持構造および支持方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/244 20210101AFI20240927BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M50/244 Z
H01M50/249
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045687
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小熊 宏和
(72)【発明者】
【氏名】神津 知之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 央
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和啓
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA37
5H040AS05
5H040AY05
5H040CC01
5H040CC13
5H040FF02
5H040GG21
(57)【要約】
【課題】バッテリ挿入時の衝撃を軽減する。
【解決手段】バッテリ30の支持構造は、バッテリ30を収納する収納部24,60,70を有し、バッテリ30は、収納部24、60,70に収納された第2の状態30Cと、第2の状態とは異なる第1の状態30Aとを形成し、収納部24、60,70は、第1の状態30Aにおいてバッテリ30の所定の外面部32が当接する第1の当接部46と、所定の外面部32が第1の当接部46に当接していない第2の状態30Cにおいて所定の外面部32が当接する第2の当接部45と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの支持構造であって、
前記バッテリを収納する収納部を有し、
前記バッテリは、前記収納部に収納された第2の状態と、前記第2の状態とは異なる第1の状態とを形成し、
前記収納部は、前記第1の状態において前記バッテリの所定の外面部が当接する第1の当接部と、前記所定の外面部が前記第1の当接部に当接していない前記第2の状態において前記所定の外面部が当接する第2の当接部と、を有し、
前記所定の外面部は、前記バッテリの外面の底面部を含む領域であり、
前記第1の当接部は、前記バッテリが前記第1の状態になる場合に前記収納部における前記バッテリの挿入方向と交差する面に形成された段差部であり、
前記第2の当接部は、前記バッテリが前記第2の状態になるときの前記収納部における前記バッテリの挿入方向の下流側の面であることを特徴とするバッテリの支持構造。
【請求項2】
前記バッテリは、前記第1の状態において第1の角度に傾いた状態となり、前記第2の状態において前記第1の角度とは異なる第2の角度に傾いた状態となることを特徴とする請求項1に記載のバッテリの支持構造。
【請求項3】
前記第1の当接部は、前記第1の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面を形成し、
前記第2の当接部は、前記第2の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面を形成し、
前記第1の当接部の当接面と前記第2の当接部の当接面が平行ではないことを特徴とする請求項1に記載のバッテリの支持構造。
【請求項4】
前記第1の当接部の当接面と前記第2の当接部の当接面は、前記第1の当接部の当接面を前記第2の当接部の当接面に向けて延長した場合に、前記第1の当接部の当接面が前記第2の当接部の当接面と鋭角をなして交差する位置関係を有することを特徴とする請求項3に記載のバッテリの支持構造。
【請求項5】
前記第1の状態と前記第2の状態では鉛直方向に対する傾きが同一となることを特徴とする請求項1に記載のバッテリの支持構造。
【請求項6】
前記バッテリは、前記第1の状態から鉛直方向に対する傾きが変化しながら前記第2の状態となることを特徴とする請求項5に記載のバッテリの支持構造。
【請求項7】
前記第1の当接部は、前記第1の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面を形成し、
前記第2の当接部は、前記第2の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面を形成し、
前記第1の当接部の当接面と前記第2の当接部の当接面が平行であることを特徴とする請求項1に記載のバッテリの支持構造。
【請求項8】
前記第2の当接部には、前記第2の状態において前記バッテリと電気的に接続される端子部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリの支持構造。
【請求項9】
前記収納部は、前記第2の当接部と対向する部位に前記バッテリを挿入する開口部を有し、
前記開口部には、前記収納部に前記バッテリが挿入される際に前記バッテリが前記第1の当接部に向けて移動するように前記バッテリの姿勢を規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリの支持構造。
【請求項10】
前記規制部は、前記バッテリの姿勢を前記第1の状態から前記第2の状態に案内するガイド部を有することを特徴とする請求項9に記載のバッテリの支持構造。
【請求項11】
バッテリの支持方法であって、
前記バッテリが収納部に収納された第2の状態となる前に、前記バッテリの所定の外面部が前記収納部に設けられた第1の当接部と当接した第1の状態を形成し、
前記第1の状態から前記所定の外面部が前記第1の当接部に当接しない状態となり、前記収納部に設けられた第2の当接部と当接した前記第2の状態となることを特徴とするバッテリの支持方法。
【請求項12】
前記バッテリは、前記第1の状態において第1の角度に傾いた状態となり、前記第2の状態において前記第1の角度とは異なる第2の角度に傾いた状態となることを特徴とする請求項11に記載のバッテリの支持方法。
【請求項13】
前記バッテリは、前記第1の状態と前記第2の状態では鉛直方向に対する傾きが同一となることを特徴とする請求項11に記載のバッテリの支持方法。
【請求項14】
前記バッテリは、前記第1の状態から鉛直方向に対する傾きが変化しながら前記第2の状態となることを特徴とする請求項13に記載のバッテリの支持方法。
【請求項15】
前記収納部から前記バッテリが挿入されて前記第1の状態を形成するときに前記バッテリが前記第1の当接部に向けて移動するように前記バッテリの姿勢が規制されることを特徴とする請求項11に記載のバッテリの支持方法。
【請求項16】
前記第1の状態を形成した後、前記バッテリの姿勢が前記第1の状態から前記第2の状態に案内されることを特徴とする請求項15に記載のバッテリの支持方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの支持構造および支持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低炭素社会又は脱炭素社会の実現に向けた取り組みが活発化し、車両においてもCO2排出量の削減やエネルギー効率の改善のために、電動化技術に関する研究開発が行われている。特許文献1には、バッテリが電動二輪車などに脱着可能に搭載され、バッテリの充電時などにバッテリを車体から取り外せるようにした構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/068753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1において、バッテリケースにバッテリを挿入する場合、バッテリの底面部とバッテリケースの底面部の衝突による衝撃を低減するために、ユーザはバッテリケースにバッテリをゆっくりと挿入するように調整する必要がある。また、特許文献1のようにバッテリケースの底面部から端子部が突出している場合には、端子部への影響も考慮する必要がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、バッテリ挿入時の衝撃を軽減できるバッテリの支持構造を実現し、延いてはエネルギー効率の改善に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明のバッテリの支持構造は、前記バッテリを収納する収納部を有し、前記バッテリは、前記収納部に収納された第2の状態と、前記第2の状態とは異なる第1の状態とを形成し、前記収納部は、前記第1の状態において前記バッテリの所定の外面部が当接する第1の当接部と、前記所定の外面部が前記第1の当接部に当接していない前記第2の状態において前記所定の外面部が当接する第2の当接部と、を有し、前記所定の外面部は、前記バッテリの外面の底面部を含む領域であり、前記第1の当接部は、前記バッテリが前記第1の状態になる場合に前記収納部における前記バッテリの挿入方向と交差する面に形成された段差部であり、前記第2の当接部は、前記バッテリが前記第2の状態になるときの前記収納部における前記バッテリの挿入方向の下流側の面である。
【0007】
また、本発明のバッテリの支持方法は、前記バッテリが収納部に収納された第2の状態となる前に、前記バッテリの所定の外面部が前記収納部に設けられた第1の当接部と当接した第1の状態を形成し、前記第1の状態から前記所定の外面部が前記第1の当接部に当接しない状態となり、前記収納部に設けられた第2の当接部と当接した前記第2の状態となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バッテリ挿入時の衝撃を軽減できるバッテリの支持構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態1のバッテリの支持構造を適用した電動二輪車の一部を省略して示す左側面図である。
図2】実施形態1のバッテリが収納されているバッテリケースの外観図である。
図3】実施形態1のバッテリの支持構造および支持方法を説明する図である。
図4】実施形態2のバッテリの支持構造を適用した電動二輪車の一部を省略して示す平面図である。
図5】実施形態2のバッテリの支持構造および支持方法を説明する図である。
図6】実施形態3のバッテリの支持構造および支持方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち2つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
本実施形態のバッテリの支持構造は、バッテリがバッテリケースに収納された第2の状態と、第2の状態とは異なる第1の状態とを形成し、バッテリケースは、第1の状態においてバッテリの所定の外面部が当接する第1の当接部と、所定の外面部が第1の当接部に当接していない第2の状態において所定の外面部が当接する第2の当接部と、を有する。また、本実施形態のバッテリの支持方法は、バッテリがバッテリケースに収納された第2の状態となる前に、バッテリの所定の外面部がバッテリケースに設けられた第1の当接部と当接した第1の状態となり、第1の状態から所定の外面部が第1の当接部に当接しない状態となり、バッテリケースに設けられた第2の当接部と当接した第2の状態となる。これにより、バッテリをバッテリケースに挿入し第2の状態になるときにバッテリケースに衝突することによる衝撃を軽減することができる。
【0012】
以下に、本実施形態のバッテリの支持構造の詳しい構成および機能について説明する。
【0013】
[実施形態1]
まず、図1を参照して、実施形態1の電動二輪車の構成について説明する。
【0014】
図1は、実施形態1のバッテリの支持構造を適用した電動二輪車の外装部品を取り除いた状態の左側面図である。
【0015】
なお、理解の容易化のため、図中には、車体前後方向に対応するX方向と、車幅方向または車体左右方向に対応するY方向と、車体上下方向(鉛直方向)に対応するZ方向とをそれぞれ示す。以下の説明において、前/後、側方(左/右)、上/下等の表現は、車体を基準とした相対的な位置関係を示す。また、図1では、電動二輪車1の外形およびシート13を破線で示している。
【0016】
本実施形態の電動二輪車1は、前輪11、後輪12、運転者が着座可能なシート13、ヘッドパイプ14、メインフレーム15、シートフレーム16、ダウンフレーム17、リアフレーム18、ピボットフレーム19、スイングアーム20、ハンドルバー21およびフロントフォーク22を備える。
【0017】
ハンドルバー21は、ヘッドパイプ14により回動可能に支持される。フロントフォーク22は、前輪11を回転自在に支持すると共にヘッドパイプ14によりハンドルバー21と共に回動可能に支持される。運転者は、ハンドルバー21を回動させることでフロントフォーク22を介して前輪11の向きを変え、操舵を行うことができる。
【0018】
メインフレーム15、シートフレーム16、ダウンフレーム17、リアフレーム18、ピボットフレーム19およびスイングアーム20は、それぞれ車幅方向Yの左右一対に設けられる。
【0019】
左右一対のメインフレーム15は、ヘッドパイプ14から互いに左右に離間しながら車体後部下方に向かって延設される。シートフレーム16は、メインフレーム15の中央部から車体後部上方に向かって延設され、シート13に加わる荷重を支持する。ダウンフレーム17は、メインフレーム15下方において、ヘッドパイプ14から互いに左右に離間しながら車体後部下方に向かって延設され、更に車体後方上方部に向かって延設されてシートフレーム16に接続される。リアフレーム18は、シートフレーム16とダウンフレーム17との間に架設され、シートフレーム16と共にシート13に加わる荷重を支持可能とする。
【0020】
ヘッドパイプ14、メインフレーム15、シートフレーム16、ダウンフレーム17、リアフレーム18およびピボットフレーム19は、車体フレームと総称される。
【0021】
ピボットフレーム19は、ダウンフレーム17の下方部においてスイングアーム20を揺動可能に設けられる。スイングアーム20は、後輪12を回転可能に支持する。
【0022】
また、本実施形態の電動二輪車1は、電動モータ23およびバッテリケース24を備える。
【0023】
電動モータ23は、スイングアーム20の後端部において実質的に後輪12の車軸上に支持される。電動モータ23は、バッテリケース24に装着されたバッテリ30の電力に基づいて動力(回転)を発生し、後輪12を回転させる。
【0024】
バッテリケース24は、バッテリ30を着脱可能に支持する。バッテリケース24に収納されたバッテリ30は、バッテリケース24を支持する車体フレームに設けられたスティフナ26により固定される。シート13は、ユーザがバッテリケース24にアクセスしバッテリ30を着脱可能なように開閉自在に設けられる。バッテリ30は、リチウムイオン電池などの充電可能な二次電池である。バッテリケース24およびバッテリ30は、車体上下方向Zに対して所定の角度θ2だけ車体後方に傾斜して配置されている。これにより、バッテリケース24およびバッテリ30の車体上下方向Zにおける高さを抑えることができる。バッテリケース24は、複数のバッテリ30を収納可能なように、車体前後方向Xに複数隣接して配置され、バッテリ30を機械的に支持しかつ電気的に接続する機能を有する。本実施形態では、2つのバッテリケース24が配置された構成を例示しているが、バッテリケースは1つでもよいし3つ以上でもよい。
【0025】
バッテリケース24は、車体フレームに対して着脱可能に固定され、本実施形態においては、左右一対のシートフレーム16、ダウンフレーム17および/またはリアフレーム18の間に配置される。バッテリケース24は、ワイヤハーネス25を介して電動二輪車1の電動モータ23その他の要素に電力を供給する。
【0026】
<バッテリの支持構造>
次に、図2および図3を参照して、実施形態1のバッテリの支持構造および支持方法について説明する。
【0027】
図2は、実施形態1のバッテリが収納されているバッテリケースの外観図である。図3は、実施形態1のバッテリの支持構造および支持方法を説明する図である。
【0028】
図2に示すように、本実施形態のバッテリケース24は、バッテリ30を挿入可能および収納可能な中空状の収納部を形成し、収納部の上縁部に開口部41を備える。バッテリ30は、把持部31を有する。把持部31は、バッテリ30の上面部に設けられ、ユーザが把持可能である。ユーザは、把持部31を把持して、バッテリ30をバッテリケース24から取り外したり、バッテリケース24に装着したりすることができる。
【0029】
バッテリケース24は、前面部42と後面部43と左右の側面部44と底面部45とを有する。前面部42と後面部43と左右の側面部44の上縁部が、開口部41を形成し、開口部41より下方の前面部42と後面部43と左右の側面部44と底面部45が、バッテリ30の収納部を形成する。開口部41を形成する前面部42の上端部は、上方に向けて開口面積が拡大する傾斜部42aを有する。傾斜部42aの内面部は、図3に示すように、バッテリ30を挿入する際にバッテリ30が第1の状態30Aとなるようにバッテリ30の前面部33をガイドするガイド面として機能する。
【0030】
バッテリケース24は、底面部45に端子部50が設けられている。端子部50は、底面部45における前面部42との接続部分の近傍に設けられている。端子部50は、底面部45のケース内部とは反対側の外面部に配置され下方に突出する外側端子部50aと、底面部45のケース内部と同じ側の内面部に配置され上方に突出する内側端子部50bとを備える。内側端子部50bは、外側端子部50aから底面部45を介してケース内部に向けて上方に突出し、バッテリ30の底面部32に設けられた被接続部35と接続されるプラグ部として構成される。バッテリ30の被接続部35は、バッテリケース24に設けられたプラグ部(オス側)に機械的かつ電気的に接続されるコネクタ部(メス側)として構成される。
【0031】
バッテリケース24は、前面部42と左右の側面部44により形成される平面状の内面部と、段差部46が形成された後面部43により形成される内面部とを有する。段差部46は、バッテリケース24を車幅方向Yから見た断面がくさび(三角形)状であり、三角形の二辺が後面部43の外面から車体後方に突き出した形状(後面部43の内面部から車体後方に凹んだ形状)を有する。段差部46は車幅方向Yから見た断面が上下方向Zに延びる長辺部46aと、長辺部46aから直角に折れ曲がって車体前後方向Xに延びる短辺部46bとを有する。
【0032】
図3に示すように、バッテリケース24は、バッテリ30が収納される際にバッテリケース24の内面部においてバッテリ30の底面部32が段差部46に当接した第1の状態30Aと、バッテリ30の底面部32がバッテリケース24の底面部45に当接した第2の状態30Cを形成する。第1の状態30Aでは、バッテリ30の底面部32が段差部46の短辺部46bに当接し、バッテリ30の後面部43が段差部46の長辺部46aに当接し、バッテリ30の前面部33が傾斜部42aに当接した状態となる。第2の状態30Cでは、バッテリ30の底面部32がバッテリケース24の底面部45に当接し、段差部46には当接していない収納状態となり、バッテリケース24のプラグ部とバッテリ30のコネクタ部とが機械的かつ電気的に接続される。
【0033】
なお、第1の当接部としての段差部46の短辺部46bは、第1の状態30Aにおいてバッテリ30の底面部32が当接する当接面を形成し、第2の当接部としての底面部45は、第2の状態30Cにおいてバッテリ30の底面部32が当接する当接面を形成する。そして、段差部46の短辺部46bは、バッテリ30が第1の角度θ1に傾いた第1の状態30Aにおいて、バッテリ30の底面部32と平行な当接面を形成し、底面部45は、バッテリ30が第2の角度θ2に傾いた第2の状態30Cにおいて、バッテリ30の底面部32と平行な当接面を形成する。また、短辺部46bと底面部45は平行ではなく、短辺部46bを底面部45に向けて延長したと仮定した場合に、短辺部46bが底面部45と鋭角をなして交差する位置関係を有する。
【0034】
また、バッテリケース24の開口部41には、バッテリ30が挿入される際にバッテリ30の底面部32が段差部46に向けて移動するようにバッテリ30の姿勢を規制する規制部47が設けられている。規制部47は、バッテリケース24の底面部45の内面部を開口部41から見たときに(バッテリケース24の底面部45と直交する方向から見たときに)、開口部41と重なるような位置に設けられる。また、規制部47は、バッテリ30の姿勢を第1の状態30Aから第2の状態30Bに案内するガイド部47aを有する。ガイド部47aは、車幅方向Yから見たときにバッテリ30の把持部31の外形の一部と合致する曲面を有する。また、バッテリケース24に収納されたバッテリ30は、バッテリケース24を支持する車体フレームに設けられたスティフナ26により第2の状態30Cで固定される。
【0035】
バッテリ30は、車幅方向Yから見たときに、第1の状態30Aにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1だけ傾いた状態となり、第2の状態30Cにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1とは異なる第2の角度θ2(>θ1)だけ傾いた状態となる。なお、第1の角度θ1および第2の角度θ2は、車体上下方向Zに沿う場合(θ1、θ2=0°)を含む。
【0036】
これにより、バッテリ30をバッテリケース24に収納する際に、バッテリ30の姿勢をユーザが挿入しやすい姿勢に段階的に変化させることができるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0037】
<バッテリの支持方法>
次に、図3を参照して、実施形態1のバッテリの支持方法について説明する。
【0038】
なお、図3では、前後のバッテリ30のうち前部のバッテリ30の支持方法を説明し、後部のバッテリ30はバッテリケース24に収納された状態を示している。
【0039】
図3(a)は、バッテリ30がバッテリケース24の段差部46に当接した第1の状態30Aにおけるバッテリケース24の模式的な側断面図である。
【0040】
ユーザが把持部31を把持してバッテリ30をバッテリケース24の開口部41から挿入する。この場合、バッテリ30の姿勢は、バッテリ30の底面部32が段差部46に向けて移動するように規制部47により規制される。さらに、バッテリ30の前面部33が傾斜部42aによりをガイドされ、バッテリ30の後面部34が段差部46の長辺部46aによりガイドされる。バッテリ30の姿勢は車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1だけ傾いた状態となり、バッテリ30がバッテリケース24に挿入され、バッテリ30の底面部32が段差部46の短辺部46bに当接した第1の状態30Aとなる。
【0041】
このように、バッテリ30を開口部41からバッテリケース24に挿入する際に、バッテリ30がバッテリケース24の底面部45に向けて移動しないように規制部47がバッテリ30の姿勢を規制するので、強い力を必要とせずに容易にバッテリ30をバッテリケース24の段差部46に向けて挿入できるようになる。
【0042】
図3(b)は、バッテリ30がバッテリケース24の段差部46に当接した第1の状態30Aからバッテリ30がバッテリケース24の底面部45に当接した第2の状態30Cに変位する状態30Bにおけるバッテリケース24の模式的な側断面図である。
【0043】
第1の状態30Aのバッテリ30を時計まわりに回転させ、把持部31をガイド部47aに当接させて、バッテリケース24と同じ角度θ2だけ傾斜した状態とする。この場合、バッテリ30の底面部32はバッテリケース24の段差部46にも底面部45にも当接していない状態30Bとなる。
【0044】
このように、バッテリ30をガイド部47aに当接させるだけでバッテリ30の姿勢が第1の状態30Aから第2の状態30Cに案内されるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。そして、規制部47がガイド部47aを兼ねるため部品点数を抑制しながら、ユーザが容易にバッテリを収納できるようになる。
【0045】
図3(c)は、バッテリ30がバッテリケース24の底面部45に当接した第2の状態30Cにおけるバッテリケース24の模式的な側断面図である。
【0046】
第1の角度θ1だけ傾斜した状態30Bのバッテリ30がバッテリケース24の内面部にさらに挿入されてバッテリ30の底面部32がバッテリケース24の底面部45に当接した第2の状態30Cとなる。この場合、バッテリケース24のプラグ部とバッテリ30のコネクタ部とが機械的かつ電気的に接続される。そして、バッテリケース24に収納されたバッテリ30がスティフナ26により固定される。
【0047】
なお、バッテリケース24の規制部47における、バッテリ30を挿入するユーザが視認可能な位置に、バッテリ30の適正な姿勢(前後左右上下の位置など)を示す文字、図形、記号などのマーカを付加してもよい。後述する実施形態2,3でも同様である。
【0048】
上述した実施形態1によれば、バッテリ30をバッテリケース24に収納する際に、バッテリ30が収納された状態となる前の第1の状態30Aでバッテリ30の底面部32をバッテリケース24の段差部46に当接させ、第1の状態30Aからバッテリ30がバッテリケース24の底面部45に当接しバッテリケース24に収納された第2の状態30Cとなる。これにより、バッテリ30を挿入する際の衝撃を受けやすくし、バッテリ30が第2の状態30Cになるときにバッテリケース24の底面部45に衝突することによる衝撃を軽減することができる。また、段差部46の強度が十分であればよく、バッテリケース24の全体の強度を高める必要はないので、コスト低減にも寄与する。また、バッテリ30を挿入する際にバッテリケース24の底面部45が受ける衝撃を軽減できるため、端子部50への影響を低減できる。
【0049】
また、バッテリ30は、車幅方向Yから見たときに、第1の状態30Aにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1だけ傾いた状態となり、第2の状態30Cにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1とは異なる第2の角度θ2(>θ1)だけ傾いた状態となる。これにより、バッテリ30をバッテリケース24に収納する際に、バッテリ30の姿勢をユーザが挿入しやすい姿勢に段階的に変化させることができるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0050】
なお、以下の実施形態2,3においても、第1の状態30Aは、バッテリ30の底面部32がバッテリケースの段差部に当接した状態、第2の状態30Cは、バッテリ30の底面部32がバッテリケースの底面部に当接した状態であるとする。
【0051】
[実施形態2]
次に、図4および図5を参照して、実施形態2のバッテリの支持構造および支持方法について説明する。
【0052】
図4は、実施形態2のバッテリの支持構造を適用した電動二輪車の一部を省略して示す平面図である。図5は、実施形態2のバッテリの支持構造および支持方法を説明する図である。
【0053】
図4に示すように、実施形態2のバッテリの支持構造は、バッテリケース60が電動二輪車における車体前後方向Xではなく、車幅方向Yに配置されている。
【0054】
図5(a)は、バッテリがバッテリケースの段差部に当接した第1の状態におけるバッテリケースの側断面図である。
【0055】
図5(a)に示すように、実施形態2のバッテリケース60は、車幅方向Yに隣接して配置され、後面部63に傾斜部63aが設けられ、前面部62に段差部66と規制部67が設けられている。規制部67は、バッテリケース60の開口部61を形成する前面部62の上端部に設けられている。規制部67は、ガイド部67aを有する。また、実施形態1の段差部46の短辺部46bと底面部45と同様に、段差部66の短辺部と底面部65は平行ではない位置関係を有する。
【0056】
バッテリケース60は、複数のバッテリ30を収納可能なように、車幅方向Yに複数隣接して配置される。本実施形態では、2つのバッテリケース60が配置された構成を例示しているが、バッテリケースは1つでもよいし3つ以上でもよい。
【0057】
図5(b)は、バッテリケースに蓋部を設けた場合のバッテリケースの側断面図である。図5(c)は、バッテリケースの蓋部の裏面部を示す図である。図5(d)は、蓋部を閉じた状態のバッテリケースを前方から見た断面図である。
【0058】
図5(b)に示すように、バッテリケース60の後面部63の傾斜部63aに、開口部61を開閉可能な蓋部69を設けてもよい。蓋部69は、バッテリケース60の開口部61を開いた状態で、蓋部69の裏面部69aが上方に向いた状態となり、傾斜部63aと連続した面を形成し、バッテリ30を挿入する際にバッテリ30の底面部32が段差部66と当接した第1の状態30Aとなるようにバッテリの後面部34をガイドするガイド面として機能する。
【0059】
図5(c)、(d)に示すように、蓋部69の裏面部69aには、バッテリケース60の開口部61を閉じた状態で、バッテリケース60に収納された第2の状態30Cのバッテリ30の把持部31の凹凸形状に合致する凸部69bおよび凹部69cが形成されている。これにより、バッテリケース60にバッテリ30が収納され、バッテリケース60の開口部61を蓋部69により閉じた状態で、バッテリ30の把持部31の凹凸形状と蓋部69の凸部69bおよび凹部69cが係合し、バッテリ30がバッテリケース60の内部に固定される。
【0060】
また、蓋部69は、裏面部69aの凹部69cにスリット状の溝部69dを形成してもよい。溝部69dは、バッテリ30をバッテリケース60に対して挿抜する際のガイドとして機能する。また、溝部69dは、バッテリ30をバッテリケース60に対して挿抜する際の摩擦を低減する機能を有し、バッテリ30を挿抜する際の重量感を軽減することができる。さらに、溝部69dは、凹部69cの小石などの異物を除去する構造にもなる。
【0061】
実施形態2のバッテリの支持構造においては、バッテリ30は、車幅方向Yから見たときに、図5(a)に示す第1の状態30Aにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに角度θだけ傾いた状態となり、図5(b)に示す第2の状態30Cにおいて車体上方に向いた状態となる。
【0062】
なお、実施形態2では、バッテリケース60が車体上下方向(鉛直方向)Zに沿う姿勢で配置された状態を図示しているが、実施形態1と同様に、車体上下方向(鉛直方向)Zに対して所定の第2の角度θ2で車体後方に傾斜して配置されてもよい。この場合、バッテリ30は、第1の状態30Aにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1だけ傾いた状態となり、第2の状態30Cにおいて車体上下方向Zに対して時計回りに第1の角度θ1とは異なる第2の角度θ2(>θ1)だけ傾いた状態となる。
【0063】
実施形態2のバッテリの支持方法は、実施形態1で説明した手順と同様であり、バッテリ30の底面部32が段差部66に当接した第1の状態30Aから、バッテリ30の底面部32がバッテリケース60の底面部65に当接した第2の状態30Cとなる。
【0064】
上述した実施形態2によれば、実施形態1と同様に、バッテリ30をバッテリケース24に収納する際に、バッテリ30の姿勢をユーザが挿入しやすい姿勢に段階的に変化させることができるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0065】
[実施形態3]
次に、図6を参照して、実施形態3のバッテリの支持構造および支持方法について説明する。
【0066】
図6は、実施形態3のバッテリの支持構造および支持方法を説明する図である。図6(a)は、バッテリがバッテリケースの段差部に当接した第1の状態におけるバッテリケースの模式的な側断面図である。図6(b)は、バッテリがバッテリケースの底面部に当接した第2の状態におけるバッテリケースの模式的な側断面図である。
【0067】
実施形態3のバッテリケース70は、前面部72に段差部76が設けられ、後面部73に規制部77が設けられている。規制部77は、バッテリケース70の開口部71を形成する後面部73の上端部に設けられている。また、バッテリケース70は、後面部73の下端部に車体後方に膨出する膨出部73aが設けられている。膨出部73aは、バッテリ30をバッテリケース70に挿入する際に、バッテリ30の底面部32がバッテリケース70の後面部73と干渉しないようにする。
【0068】
なお、第1の当接部としての段差部76は、第1の状態30Aにおいてバッテリ30の底面部32が当接する当接面を形成し、第2の当接部としての底面部75は、第2の状態30Cにおいてバッテリ30の底面部32が当接する当接面を形成する。そして、段差部76は、バッテリ30が第1の状態30Aにおいて、バッテリ30の底面部32と平行な当接面を形成し、底面部75は、バッテリ30が第2の状態30Cにおいて、バッテリ30の底面部32と平行な当接面を形成する。また、段差部76と底面部75は平行となるように構成されている。
【0069】
実施形態3では、バッテリケース70は、車体上下方向(鉛直方向)Zに沿う姿勢で配置されている。また、バッテリケース70は、複数のバッテリ30を収納可能なように複数隣接して配置される。なお、バッテリケース70は、車体前後方向Xに配置されていても、車幅方向Yに配置されていてもよい。また、バッテリケース70の開口部71には、実施形態2と同様に、開口部71を開閉可能な蓋部が設けられていてもよい。
【0070】
バッテリの支持方法は、実施形態1で説明した手順と同様であり、バッテリ30の底面部32が段差部76に当接した第1の状態30Aから、バッテリ30の底面部32がバッテリケース70の底面部75に当接した第2の状態30Cとなる。
【0071】
上述した実施形態3によれば、実施形態1と同様に、バッテリ30をバッテリケース70に収納する際に、バッテリ30の姿勢をユーザが挿入しやすい姿勢に段階的に変化させることができるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0072】
また、実施形態3では、第1の状態30Aと第2の状態30Cでは車体上下方向(鉛直方向)Zに対する傾きが同一となり、バッテリ30は、第1の状態30Aから車体上下方向(鉛直方向)Zに対する傾きが変化しながら第2の状態30Cとなる。すなわち、バッテリ30は、車幅方向Yから見たときに、第1の状態30Aから傾いた状態30Bとなって第2の状態30Cになり、第1の状態30Aと第2の状態30Bでは傾いていない状態(車体上方に向いた状態)となる。これにより、バッテリ30をバッテリケース70に収納する際に、バッテリ30を持ち直すことなく挿入できるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0073】
なお、上述した実施形態1~3において、第1の当接部としての段差部は、バッテリケースにおけるバッテリ30の挿入方向と交差する面に形成されていればよく、どのような形状であってもよい。また、第2の当接部は、バッテリケースの底面部に限らず、バッテリケースにおけるバッテリ30の挿入方向の下流側の面であれば、どのような部位であってもよい。また、バッテリ30の所定の外面部は、底面部32を含む領域であればよい。
【0074】
また、上述した実施形態1~3では、バッテリ30を車体上方から車体下方に向けて挿入する構成および方法を説明したが、バッテリケースの開口部および底面部が車幅方向Yに向くように(バッテリケースを車幅方向Yに水平に)配置し、バッテリ30をバッテリケースに車幅方向Yから挿入するような構成としてもよい。この場合は、図3の構成を車幅方向Yではなく、車体上下方向Zから見た構成とすればよい。
【0075】
[実施形態のまとめ]
上述した実施形態は、以下のバッテリの支持構造および支持方法を少なくとも開示する。
【0076】
<態様1>
バッテリ30の支持構造であって、
前記バッテリを収納する収納部24,60,70を有し、
前記バッテリは、前記収納部に収納された第2の状態30Cと、前記第2の状態30Cとは異なる第1の状態30Aとを形成し、
前記収納部は、前記第1の状態において前記バッテリの所定の外面部32が当接する第1の当接部46,66,76と、前記所定の外面部が前記第1の当接部に当接していない前記第2の状態において前記所定の外面部が当接する第2の当接部45,65,75と、を有し、
前記所定の外面部は、前記バッテリの外面の底面部32を含む領域であり、
前記第1の当接部は、前記バッテリが前記第1の状態になる場合に前記収納部における前記バッテリの挿入方向と交差する面に形成された段差部46,66,76であり、
前記第2の当接部は、前記バッテリが前記第2の状態になるときの前記収納部における前記バッテリの挿入方向の下流側の面45,65,75である。
【0077】
態様1によれば、バッテリ30を収納部24に収納する際に、バッテリ30が収納された状態となる前の第1の状態30Aでバッテリ30を収納部24,60,70の第1の当接部46,66,76に当接させ、第1の状態30Aからバッテリ30が第2の当接部45,65,75に当接し収納部24,60,70に収納された第2の状態30Cとなる。これにより、バッテリ30が第2の状態30Cになるときに収納部24,60,70に衝突することによる衝撃を軽減することができる。また、第1の当接部46,66,76の強度が十分であればよく、収納部24,60,70の全体の強度を高める必要はないので、コスト低減にも寄与する。
【0078】
また、バッテリ30が収納部24,,60,70に収納される前の第1の状態30Aでバッテリ30の底面部32を第1の当接部46,66,76に当接させることにより、バッテリ30を挿入する際の衝撃を受けやすくし、バッテリ30が収納部24,60,70の底面部45に衝突することによる衝撃を軽減することができる。
【0079】
<態様2>
態様1において、前記バッテリは、前記第1の状態において第1の角度θ1に傾いた状態となり、前記第2の状態において前記第1の角度とは異なる第2の角度θ2に傾いた状態となる。
【0080】
<態様3>
態様1において、前記第1の当接部46,66は、前記第1の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面46b,66を形成し、
前記第2の当接部45,65は、前記第2の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面45,65を形成し、
前記第1の当接部の当接面と前記第2の当接部の当接面が平行ではない。
<態様4>
態様3において、前記第1の当接部の当接面と前記第2の当接部の当接面は、前記第1の当接部の当接面を前記第2の当接部の当接面に向けて延長した場合に、前記第1の当接部の当接面が前記第2の当接部の当接面と鋭角をなして交差する位置関係を有する。
【0081】
態様3,4によれば、態様2によれば、バッテリ30を収納部24,60に収納する際に、バッテリ30の姿勢をユーザが挿入しやすい姿勢に段階的に変化させることができるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリ30を収納できるようになる。
【0082】
<態様5>
態様1において、前記第1の状態と前記第2の状態では鉛直方向に対する傾きが同一となる。
【0083】
<態様6>
態様5において、前記バッテリは、前記第1の状態から鉛直方向に対する傾きが変化しながら前記第2の状態となる。
【0084】
<態様7>
態様1において、前記第1の当接部76は、前記第1の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面76を形成し、
前記第2の当接部75は、前記第2の状態において前記バッテリの底面部が当接する当接面75を形成し、
前記第1の当接部の当接面と前記第2の当接部の当接面が平行である。
【0085】
態様5,6,7によれば、バッテリ30を収納部70に収納する際に、バッテリ30を持ち直すことなく挿入できるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0086】
<態様8>
態様1から7のいずれかにおいて、前記第2の当接部には、前記第2の状態において前記バッテリと電気的に接続される端子部50が設けられている。
【0087】
態様8によれば、バッテリ30を挿入する際に第2の当接部45が受ける衝撃を軽減できるため、端子部50への影響を低減できる。
【0088】
<態様9>
態様1から7のいずれかにおいて、前記収納部は、前記第2の当接部と対向する部位に前記バッテリを挿入する開口部41,61,71を有し、
前記開口部には、前記収納部に前記バッテリが挿入される際に前記バッテリが前記第1の当接部に向けて移動するように前記バッテリの姿勢を規制する規制部47,67,77が設けられている。
【0089】
態様9によれば、バッテリ30を開口部41,61,71から収納部24,60,70に挿入する際に、バッテリ30が第2の当接部45,65,75に向けて移動しないように規制部47,67,77がバッテリ30の姿勢を規制するので、強い力を必要とせずに容易にバッテリ30を第1の当接部46,66,76に向けて挿入できるようになる。
【0090】
<態様10>
態様9において、前記規制部は、前記バッテリの姿勢を前記第1の状態から前記第2の状態に案内するガイド部47a,67aを有する。
【0091】
態様10によれば、規制部47,67,77がガイド部47a,67aを兼ねるため部品点数を抑制しながら、ユーザが容易にバッテリを収納できるようになる。
【0092】
<態様11>
バッテリ30の支持方法であって、
前記バッテリが収納部24,60,70に収納された第2の状態30Cとなる前に、前記バッテリの所定の外面部32が前記収納部に設けられた第1の当接部46,66,76と当接した第1の状態30Aを形成し、
前記第1の状態から前記所定の外面部が前記第1の当接部に当接しない状態30Bとなり、前記収納部に設けられた第2の当接部45,65,75と当接した前記第2の状態となる。
【0093】
態様11によれば、バッテリ30を収納部24,60,70に収納する際に、バッテリ30が収納された状態となる前の第1の状態30Aでバッテリ30を収納部24,60,70の第1の当接部46,66,76に当接させ、第1の状態30Aからバッテリ30が第2の当接部45,65,75に当接し収納部24,60,70に収納された第2の状態30Cとなる。これにより、バッテリ30が第2の状態30Cになるときに収納部24,60,70に衝突することによる衝撃を軽減することができる。また、第1の当接部46,66,76の強度が十分であればよく、収納部24,60,70の全体の強度を高める必要はないので、コスト低減にも寄与する。
【0094】
<態様12>
態様11において、前記バッテリは、前記第1の状態において第1の角度θ1に傾いた状態となり、前記第2の状態において前記第1の角度とは異なる第2の角度θ2に傾いた状態となる。
【0095】
態様12によれば、バッテリ30を収納部24,60,70に収納する際に、バッテリ30の姿勢をユーザが挿入しやすい姿勢に段階的に変化させることができるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0096】
<態様13>
態様11において、前記第1の状態と前記第2の状態では鉛直方向に対する傾きが同一となる。
【0097】
<態様14>
態様13において、前記バッテリは、前記第1の状態から鉛直方向に対する傾きが変化しながら前記第2の状態となる。
【0098】
態様13,14によれば、バッテリ30を収納部70に収納する際に、バッテリ30を持ち直すことなく挿入できるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリを収納できるようになる。
【0099】
<態様15>
態様11から13のいずれかにおいて、前記収納部から前記バッテリが挿入されて前記第1の状態を形成するときに前記バッテリが前記第1の当接部に向けて移動するように前記バッテリの姿勢が規制される。
【0100】
態様15によれば、バッテリ30を開口部41,61,71から収納部24,60,70に挿入する際に、バッテリ30が第2の当接部45,65,75に向けて移動しないようにバッテリ30の姿勢が規制されるので、強い力を必要とせずに容易にバッテリ30を第1の当接部46,66,76に向けて挿入できるようになる。
【0101】
<態様16>
態様15において、前記第1の状態を形成した後、前記バッテリの姿勢が前記第1の状態から前記第2の状態に案内される。
【0102】
態様16によれば、強い力を必要とせずに容易にバッテリ30を収納できるようになる。
【0103】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。例えば、本発明は、電動二輪車などの車両に適用した例に限らず、着脱可能なバッテリを電源とする移動体や固定的に設置された装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0104】
1…電動二輪車
11…前輪
12…後輪
13…シート
14…ヘッドパイプ
15…メインフレーム
16…シートフレーム
17…ダウンフレーム
18…リアフレーム
19…ピボットフレーム
20…スイングアーム
21…ハンドルバー
22…フロントフォーク
23…電動モータ
24、60、70…バッテリケース(収納部)
25…ワイヤハーネス
26…スティフナ
30…バッテリ
30A…第1の状態
30B…第1の状態から第2の状態に変位する状態
30C…第2の状態
31…把持部
32…底面部(所定の外面部)
33…前面部
34…後面部
35…被接続部
41、61、71…開口部
42、62、72…前面部
42a、63a…傾斜部
43、63、73…後面部
44…側面部
45、65、75…底面部(第2の当接部)
46、66、76…段差部(第1の当接部)
47、67、77…規制部
47a、67a…ガイド部
50…端子部
50a…外側端子部
50b…内側端子部
69…蓋部
69a…裏面部
69b…凸部
69c…凹部
69d…溝部
73a…膨出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6