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  • 特開-耐火木材 図1
  • 特開-耐火木材 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135156
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】耐火木材
(51)【国際特許分類】
   B27K 3/02 20060101AFI20240927BHJP
   E04B 1/94 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B27K3/02 C
E04B1/94 R
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045702
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】301062226
【氏名又は名称】株式会社日本設計
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】小泉 治
【テーマコード(参考)】
2B230
2E001
【Fターム(参考)】
2B230AA07
2B230BA04
2B230BA18
2B230CC11
2B230EB03
2E001DE01
2E001FA01
2E001FA02
2E001FA03
2E001GA12
2E001HC01
2E001HC02
2E001LA04
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の排出削減効果に優れ、安価な耐火木材を提供する。
【解決手段】木材によって形成される本体部と、耐火部とを有し、前記耐火部は少なくとも1段の耐火層を有し、各段の耐火層は、前記本体部から前記耐火部に向かう方向に、難燃剤を含有する難燃性接着剤によって形成される難燃性接着剤層と、前記難燃性接着剤層を介して前記本体部に一体化され、木材によって形成される燃え代層とをこの順に有する、耐火木材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材によって形成される本体部と、耐火部とを有し、
前記耐火部は少なくとも1段の耐火層を有し、
各段の耐火層は、前記本体部から前記耐火部に向かう方向に、難燃剤を含有する難燃性接着剤によって形成される難燃性接着剤層と、前記難燃性接着剤層を介して前記本体部に一体化され、木材によって形成される燃え代層とをこの順に有する、耐火木材。
【請求項2】
前記本体部は、前記耐火層の層厚方向にひき板を積層して形成される直行集成材によって形成される、請求項1に記載の耐火木材。
【請求項3】
各耐火層において前記燃え代層の厚さは20~30mmである、請求項1に記載の耐火木材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐火木材に関する。
【背景技術】
【0002】
木材に難燃剤を含有させて形成される耐火木材が知られている(例えば、特許文献1の段落[0004]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-208353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような耐火木材は、木材が固着する二酸化炭素量を上回る二酸化炭素排出量が製造時に必要となることや、高価であることなどの問題がある。
【0005】
そこで本発明の目的は、二酸化炭素の排出削減効果に優れ、安価な耐火木材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
木材によって形成される本体部と、耐火部とを有し、
前記耐火部は少なくとも1段の耐火層を有し、
各段の耐火層は、前記本体部から前記耐火部に向かう方向に、難燃剤を含有する難燃性接着剤によって形成される難燃性接着剤層と、前記難燃性接着剤層を介して前記本体部に一体化され、木材によって形成される燃え代層とをこの順に有する、耐火木材。
【0008】
[2]
前記本体部は、前記耐火層の層厚方向にひき板を積層して形成される直行集成材によって形成される、[1]に記載の耐火木材。
【0009】
[3]
各耐火層において前記燃え代層の厚さは20~30mmである、[1]又は[2]に記載の耐火木材。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、二酸化炭素の排出削減効果に優れ、安価な耐火木材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態の耐火木材(1段の耐火層を有する例)を示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態の耐火木材(2段の耐火層を有する例)を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0013】
図1図2に示すように、本発明の一実施形態において耐火木材1は、木材によって形成される本体部2と、耐火部3とを有し、耐火部3は少なくとも1段の耐火層4を有し、各段の耐火層4は、本体部2から耐火部3に向かう方向に、難燃剤を含有する難燃性接着剤によって形成される難燃性接着剤層4aと、難燃性接着剤層4aを介して本体部2に一体化され、木材によって形成される燃え代層4bとをこの順に有する。図1は1段の耐火層4を有する例を示し、図2は2段の耐火層4を有する例を示す。
【0014】
上記構成によれば、燃え代層4bの厚みに応じた所定時間の耐火の後に難燃性接着剤層4aによる燃え止まりを期待できるので、例えば30分、60分、90分耐火仕様など、要求される耐火時間の長さに応じて各耐火層4の厚みと段数を適宜設定することで、当該耐火時間を容易に実現できる。例えば、1段で30分耐火仕様にできる場合、2段に設定することで容易に60分耐火仕様を実現できる。また接着剤層に難燃剤を含有させる構成であるため、従来のように木材に難燃剤を含有させる構成に比べ、製造時の二酸化炭素排出量とコストを低減できる。したがって上記構成によれば、二酸化炭素の排出削減効果に優れ、安価な耐火木材1を実現できる。上記構成の耐火木材1は、建設材料(例えば、面材又は軸材)としての使用に特に適する。
【0015】
また上記構成によれば、難燃剤を含有する難燃性接着剤層4aは燃え代層4bの内側に設けられるので、大気からの吸湿による難燃性能の低下を抑制でき、安定した耐火性能を維持できる。また、難燃剤は接着剤に含有されるので、難燃剤が本体部2から剥がれ落ちることによる難燃性能の低下を抑制でき、この点からも、安定した耐火性能を維持できる。また上記構成は、仕上げ面に難燃剤を塗布する構成と比べると、仕上げ面の塗装が可能であることや、早期に難燃剤が燃え落ちてしまい、耐火効果を発揮できなくなる可能性を低減できることなどの利点がある。また上記構成は、木材・プラスチック複合材と比べると、廃棄時(建設材料の場合、建設物の解体に伴う廃棄)の処分も容易である。
【0016】
本体部2は、耐火層4の層厚方向にひき板5aを積層して形成される直行集成材5(CLT:Cross Laminated Timber)によって形成される。上記構成によれば、直行集成材5の高強度等の特性を生かした面材(建設材料の場合、壁材、床材、天井材など)を実現できる。
【0017】
各耐火層4において燃え代層4bの厚さTは20~30mmであってよい。上記構成によれば、1段の耐火層4の場合で30分耐火仕様を容易に実現できる。
【0018】
各耐火層4は、燃え代層4bとしてのラミナと、ラミナに接着する難燃性接着剤層4aとからなる。上記構成によれば、簡単な構造で各耐火層4を実現できる。
【0019】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 耐火木材
2 本体部
3 耐火部
4 耐火層
4a 難燃性接着剤層
4b 燃え代層
5 直行集成材
5a ひき板
T 厚さ
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-06-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材によって形成される本体部と、耐火部とを有し、
前記耐火部は少なくとも1段の耐火層を有し、
各段の耐火層は、前記本体部から前記耐火部に向かう方向に、難燃剤を含有する難燃性接着剤によって形成される難燃性接着剤層と、前記難燃性接着剤層を介して前記本体部に一体化され、木材によって形成される燃え代層とをこの順に有し、
前記各段の耐火層は、前記燃え代層としてのラミナと、前記ラミナに接着する前記難燃性接着剤層とからなり、
1段目の前記耐火層の前記難燃性接着剤層は、前記本体部を形成する前記木材に接着する、耐火木材。
【請求項2】
前記本体部は、前記耐火層の層厚方向にひき板を積層して形成される直行集成材によって形成される、請求項1に記載の耐火木材。
【請求項3】
各耐火層において前記燃え代層の厚さは20~30mmである、請求項1に記載の耐火木材。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材によって形成される本体部と、耐火部とを有し、
前記耐火部は少なくとも1段の耐火層を有し、
各段の耐火層は、前記本体部から前記耐火部に向かう方向に、難燃剤を含有する難燃性接着剤によって形成される難燃性接着剤層と、前記難燃性接着剤層を介して前記本体部に一体化され、木材によって形成される燃え代層とをこの順に有し、
前記各段の耐火層は、前記燃え代層としてのラミナと、前記ラミナに接着する前記難燃性接着剤層とからなり、
1段目の前記耐火層の前記難燃性接着剤層は、前記本体部を形成する前記木材に接着し、
前記本体部は、前記耐火層の層厚方向にひき板を積層して形成される直行集成材によって形成され、
各耐火層において前記燃え代層の厚さは20~30mmであり、
前記層厚方向に垂直に延在する建設材料としての面材である、耐火木材。