(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135186
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】結露降雨計および該結露降雨計を用いた環境試験機
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20240927BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20240927BHJP
G01N 27/06 20060101ALI20240927BHJP
G01W 1/11 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
G01N27/00 G
G01N17/00
G01N27/06 A
G01W1/11 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045749
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000107583
【氏名又は名称】スガ試験機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】須賀 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】金原 英司
(72)【発明者】
【氏名】片野 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】村松 学
(72)【発明者】
【氏名】菊川 信治
【テーマコード(参考)】
2G050
2G060
【Fターム(参考)】
2G050BA03
2G050BA09
2G050CA03
2G050CA08
2G050DA03
2G060AA05
2G060AC01
2G060AF07
2G060AG10
2G060KA05
2G060KA08
(57)【要約】
【課題】簡易的な構造で試料表面の水分の付着状況の予測を精度よく行える結露降雨計および結露降雨計を用いた環境試験機を提供することを課題とする。
【解決手段】基板に親水性材料を設置し、親水性材料に電極を設置する結露計と、基板に撥水性材料を設置し、撥水性材料に電極を設置する降雨計とを有する結露降雨計であって、屋外で各種試料が曝される環境下、または、促進的環境条件(温度・湿度・太陽光など)を人工的に再現し試料の劣化度合を評価する環境下で、結露降雨計1を試料と略同一位置に設置し、結露降雨計1の表面の水分の付着状況を検知する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に親水性材料を設置し、前記親水性材料に電極を設置する結露計と、
基板に撥水性材料を設置し、前記撥水性材料に電極を設置する降雨計と
を有する結露降雨計。
【請求項2】
温度センサーを有する請求項1に記載の結露降雨計。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の結露降雨計を備える環境試験機。
【請求項4】
光源と、
前記光源を中心とした回転動作を行う円環状の試料取付枠と、
前記試料取付枠上に並んで配置され、試料を設置する複数の試料ホルダーと
を備え、
前記試料ホルダーは上下方向に設けた複数段から構成され、
前記試料ホルダーの前記複数段に対応するように複数の前記結露降雨計を設け、
耐候性試験を行う請求項3に記載の環境試験機。
【請求項5】
前記結露降雨計の上部に張出部を設ける請求項4に記載の環境試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料表面の水分の付着状況を検知する結露降雨計および該結露降雨計を用いた環境試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の各種試料が曝される環境で、試料の劣化をモニターする際に、雨を感知する感雨センサーが用いられている。また、促進的環境条件(温度・湿度・太陽光など)を人工的に再現する環境で、試料表面の結露状態を判断する結露センサーが用いられている。
【0003】
特許文献1には、屋外の雨を検知する感雨センサーにヒーターを備え、ヒーターの働きによって霧および結露の影響を除去する方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、試料の表面の結露水や凝縮水の発生・消滅による温度変化を測定して試料の表面の水分発生の有無を正確に検知する噴霧試験機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-1958号公報
【特許文献2】特開2011-247751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
結露降雨計および結露降雨計を用いた環境試験機では、簡易的な構造で試料表面の水分の付着状況の予測を精度よく行うことが求められている。
【0007】
したがって、簡易的な構造で試料表面の水分の付着状況の予測を精度よく行える結露降雨計および結露降雨計を用いた環境試験機を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における開示は、以下に記載する結露降雨計および該結露降雨計を用いた環境試験機に関する。
【0009】
(1)基板に親水性材料を設置し、親水性材料に電極を設置する結露計と、基板に撥水性材料を設置し、撥水性材料に電極を設置する降雨計とを有する結露降雨計。
(2)温度センサーを有する(1)に記載の結露降雨計。
(3)(1)または(2)に記載の結露降雨計を備える環境試験機。
(4)光源と、光源を中心とした回転動作を行う円環状の試料取付枠と、
試料取付枠上に並んで配置され、試料を設置する複数の試料ホルダーと
を備え、試料ホルダーは上下方向に設けた複数段から構成され、試料ホルダーの複数段に対応するように複数の結露降雨計を設け、耐候性試験を行う(3)に記載の環境試験機。
(5)結露降雨計の上部に張出部を設ける(4)に記載の環境試験機。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る結露降雨計および該結露降雨計を用いた環境試験機によれば、基板に親水性材料を設置し、親水性材料に電極を設置する結露計と、基板に撥水性材料を設置し、撥水性材料に電極を設置する降雨計とを有することで、簡易的な構造で、結露および降雨を検知でき、結露降雨計を試料と略同一位置に設置することで、試料表面の水分の付着状況を精度よく予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る結露降雨計の概略構成例を表す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る結露降雨計の応用例を表す模式図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る環境試験機の概略構成例を表す模式図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態に係る環境試験機の応用例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(結露計と降雨計を有する結露降雨計の例)
2.第1の実施の形態の応用例(第1の実施の形態において温度計を更に設けた場合の例)
3.第2の実施の形態(結露降雨計を有する環境試験機の例)
4.第2の実施の形態の応用例(第2の実施の形態において張出部を更に設けた場合の例)
【0013】
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る結露降雨計の概略構成例を、模式的に表したものである。第1の実施の形態の結露降雨計1は、結露計2と降雨計3を有する。
【0014】
結露降雨計1は、屋外で各種試料が曝される環境下、または、促進的環境条件(温度・湿度・太陽光など)を人工的に再現する環境下で、結露および降雨を検知するものである。本発明の第1の実施の形態では、
図1に示したように、結露計2と降雨計3を有することで、結露および降雨の検知が行われるようになっている。
【0015】
結露降雨計1は、結露計2と降雨計3を有している。結露計2は、基板20に親水性フィルム22を設置し、親水性フィルム22上に電極21が設置されている。電極21は親水性フィルム22から露出するように設置されている。降雨計3は、基板30に撥水性フィルム32を設置し、撥水性フィルム32上に電極31が設置されている。電極31は撥水性フィルム32から露出するように設置されている。また、結露降雨計1は、微弱電圧をかけて導電を検知するようになっている。
【0016】
[動作および作用・効果]
第1の実施の形態の結露降雨計1は、結露計2と降雨計3を有している。
【0017】
結露計2では、基板20上の親水性フィルム22に電極21を設置することにより、水滴が結露計2に付着すると、親水性フィルム22上で水分が濡れ広がり電極21が導電する。これによって結露の発生(水分の有無)を検知することができる。
【0018】
降雨計3では、基板30上の撥水性フィルム32に電極31を設置することにより、水滴が降雨計3に付着すると、撥水性フィルム32上で表面張力の作用により水分が表面に留まらず、降雨のような連続的な水の流れがなければ電極31が導電しない。言い換えれば、結露計3は、降雨のような連続的な水の流れにより電極31が導電する。
【0019】
したがって、結露降雨計1は、結露計2と降雨計3が導電していないときは、結露降雨計1の周辺において結露も降雨(水の噴射等)もない状態であり、結露計2が導電しており、降雨計3が導電していないときは結露が発生している状態であり、結露計2と降雨計3が導電しているときは降雨が発生している状態であることを検知することができる。
【0020】
上記により、結露降雨計1は、ヒーターなどの装置が不要なため、電源装置を用いずに簡易的な構造で、結露および降雨を検知することが可能となる。また、屋外で試料が曝される環境下、または、促進的環境条件(温度・湿度・太陽光など)を人工的に再現する環境下で、結露降雨計1を試料(
図1では図示せず)と略同一位置に設置し、結露降雨計1の表面の水分の付着状況を検知することで試料表面の水分の付着状況を予測することができる。更に、結露降雨計1による水分の付着状態の検知により、試料の表面に結露が発生している時間および降雨が発生している時間を予測し、試料の表面の濡れ時間を予測することができる。
【0021】
以下、第1の実施の形態の応用例について説明する。以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一の物には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0022】
<2.第1の実施の形態の応用例>
[構成]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る結露降雨計1の応用例を表す模式図である。本応用例の結露降雨計1aは、上記第1の実施の形態で説明した結露降雨計1において、温度計4を更に設けたものであり、他の構成は基本的に同様となっている。
【0023】
温度計4は、結露降雨計1aの中央付近に設けられ、例えば、バイメタル、白金抵抗体、サーミスタまたは熱電対等の感熱体で構成される。
【0024】
[効果]
結露降雨計1aは、結露降雨計1aを試料(
図2では図示せず)と略同一位置に設置し、結露降雨計1aの表面の水分の付着状況を検知することで試料表面の水分の付着状況を予測することができるとともに、温度計4を有することにより、試料の周辺の温度も同時に測定することができ、更に、試料に降雨(水の噴射等)が作用した場合は、結露降雨計1aの測定値により降雨(水の噴射等)による試料が受けた温度変化を予測することができる。
【0025】
以下、第2の実施の形態および第2の実施の形態の応用例について説明する。以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0026】
<3.第2の実施の形態>
[構成]
図3は、第2の実施の形態としての環境試験機100の概略構成例を表す模式図である。環境試験機100は、試験槽10内に設置した試料Sに対して促進的環境条件下で耐候性試験を行うものである。詳述すると、環境試験機100は、試料Sに対して照射試験、結露試験(消灯+試料裏面に対する水の噴射)、暗黒試験(消灯)、降雨試験(照射+試料表面に対する水の噴射)等のうちのいずれか一つまたは複数を任意に組み合わせてサイクルとして試験を行うものである。
【0027】
環境試験機100は、試験槽10内に、結露降雨計1、光源11、一対の試料枠12a、12b、試料ホルダー13、試料表面スプレーノズル14、試料裏面スプレーノズル15、受光器(図示せず)およびブラックパネル温度計(図示せず)を備えている。環境試験機100はまた、
図3に示したように、回転軸120および制御部18を備えている。
【0028】
光源11は、試験槽10内の中央付近に、Z軸方向に沿って延在するように配置されている。光源11は、例えば、キセノンアークランプやサンシャインカーボンアークランプ、紫外線カーボンアークランプ、メタルハライドランプ、紫外線蛍光ランプ等のランプ光源により構成されている。
【0029】
試料取付枠12a,12bは、それぞれ光源11が中心位置となるようにX-Y平面内に
された円環状の枠である。試料取付枠12a,12bは、回転軸120が回転方向R1に沿って回転することで、光源11を中心とした一定速度での回転動作を行う。これにより
図3に示したように、後述する結露降雨計1、試料S、受光器およびブラックパネル温度計もまた、光源11を中心として回転方向R2に沿った回転動作が行われる。ここで、結露降雨計1、受光器およびブラックパネル温度計はスリップリング機構(図示せず)を介して出力を試験槽外に設けた制御部に伝えるようになっている。
【0030】
試料ホルダー13は、
図3に示したように、試料枠12a,12bの間を繋ぐようにして取付けられており、これらの試料枠12a,12bに対して着脱可能となっている。各試料ホルダー13は、試験槽10内において試料Sを保持するためのホルダーであり、光源11に対向する上段試料取付部S1、中段試料取付部S2、下段試料取付部S3を有している。これらの試料取付部S1~S3上には、試料S、結露降雨計1、受光器およびブラックパネル温度計が配置されている。このような複数の試料ホルダー13全体では、Z軸と直交する平面上において、それらの個数に応じた多角形状をなしている。換言すると、これら複数の試料ホルダー13は、上記した試料枠12a,12b上で多角形を構成するように並んで配置されており、光源11から発せられる放射光Loutの配光曲線に基づいて、各試料取付部での放射照度が略等しくなる(望ましくは等しくなる)ように規定された角度となっている。
【0031】
試料表面スプレーノズル14は、試料Sの表面に向けて水を噴射する部材であり、この例では上段試料取付部S1、中段試料取付部S2、下段試料取付部S3にそれぞれ設置した試料Sの表面側の対向位置に1対1の対応関係にて配置されている。ただし、試料表面スプレーノズル14の配置についてはこの例に限定されるものではない。
【0032】
試料裏面スプレーノズル15は、試料Sの裏面に向けて水を噴射する部材であり、この例では試験槽10の壁面周辺に配置されており、上段試料取付部S1、中段試料取付部S2、下段試料取付部S3にそれぞれ設置した試料Sの裏面側の対向位置に1対1の対応関係にて配置されている。ただし、試料裏面スプレーノズル15の配置についてはこの例に限定されるものではない。
【0033】
結露降雨計1は、前述したように、結露計2と降雨計3から構成されている。また、結露降雨計1は、試料S表面の水分の付着状況を予測するために用いられるものである。結露降雨計1を試料Sと略同一位置に設置し、結露降雨計1の表面の水分の付着状況を検知することで試料S表面の水分の付着状況を予測することができる。詳述すると、結露降雨計1は、
図3に示したように、この例では試験槽10内の試料ホルダー13に電極21および電極31側が光源11と対向するように設置されている。また、結露降雨計1は、温度計4を有していてもよい。更に、結露降雨計1は、微弱電圧をかけて導電を検知するようになっている。
【0034】
<耐候性試験例>
以下、第2の実施形態の環境試験機100において、試料Sに光源11の光を照射する照射試験と、光源11を消灯し試験槽10内を高湿度に保ち試料Sの裏面に冷水を試料裏面スプレーノズルにより噴射し、試料の表面に結露を発生させる結露試験(消灯+試料裏面に対する水の噴射)と、試料Sに光源11の光を照射しながら試料Sの表面に水を試料表面スプレーノズル14により噴射する降雨試験(照射+試料表面に対する水の噴射)と、光源11を消灯する暗黒試験を組み合わせて耐候性試験を行い、試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面における水分の付着状況の検知を行った。
【0035】
表1は、試料Sに対して照射試験、結露試験、降雨試験、暗黒試験を行った際の結露降雨計1における結露計2の電極21の導電状況と、降雨計3の電極31の導電状況と、結露計1および降雨計2の導電状況による結露降雨計1の判定結果を表したものである。
【0036】
【0037】
照射試験と、結露試験(消灯+試料裏面に対する水の噴射)と、降雨試験(照射+試料表面に対する水の噴射)、暗黒試験のそれぞれの試験において結露降雨計1の結露計2の電極21および降雨計3の電極31の導電の状態について説明する。
【0038】
照射試験は、光源11からの光を試料Sに照射する試験である。照射試験では、試料表面スプレーノズル14および試料裏面スプレーノズル15からの水の噴射は行わないため、結露計2および降雨計3は導電しない。これにより、試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面において結露も水の噴射(降雨)もなく、試料Sの表面においても水分がない状態であることを予測することができる。
【0039】
結露試験では、光源11を消灯し試験槽10内を高湿度に保ち試料Sの裏面に冷水を試料裏面スプレーノズル15により噴射することで試料Sの裏面を冷却し、試料Sの表面に結露を発生させる試験である。結露試験では、結露降雨計1の表面に発生した結露の水分が結露計2の親水性フィルム22上で濡れ広がり結露計が導電するが、降雨計3の撥水性フィルム32上では、表面張力の作用により水分が流れ落ちて表面に留まらないため、降雨計3は導電しない。これにより、試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面において結露が発生している結露状態であることを検知することができる。
【0040】
降雨試験では、試料Sに光源11の光を照射しながら試料Sの表面に水を試料表面スプレーノズル14により噴射し、試料Sの表面への降雨状態を模擬する試験である。降雨試験では、結露降雨計1の表面に噴射した水が結露計2の親水性フィルム22上で濡れ広がり結露計2が導電し、降雨計3の撥水性フィルム32上では、試料表面スプレーノズル14による連続的な噴射による水の流れにより降雨計3が導電する。これにより、試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面において水を噴射(降雨)している降雨状態であることを検知することができる。
【0041】
したがって、環境試験機100において、結露降雨計1の結露計2と降雨計3が導電していないときは、試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面において結露も水の噴射(降雨)もない状態であり、結露計2が導電しており、降雨計3が導電していないときは試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面において結露が発生している結露状態であり、結露計2と降雨計3が導電しているときは結露降雨計1の表面において水を噴射(降雨)している降雨状態であることを検知することができる。
【0042】
また、結露降雨計1は、微弱電圧をかけて導電を検知するため、スリップリング機構を介して出力を試験槽10外に設けた制御部18に伝えることができ、光源を中心として試料枠を回転させながら試験を行う際も、スプレー試験中における試料Sが濡れている時間と試料Sが乾いている時間を予測することができる。
【0043】
[作用・効果]
上記により、第2の実施形態の環境試験機100において結露降雨計1は、ヒーターなどの装置が不要で、電源装置を用いずに簡易的な構造で、試料Sと略同一位置に設置した結露降雨計1の表面の水分の付着状況を精度よく検知することが可能となる。更に、結露降雨計1による水分の付着状態の検知により、試料Sの表面に結露が発生している時間および水の噴射が作用していた時間を予測し、試料Sの表面の濡れ時間を予測することができる。
【0044】
また、環境試験機100において、結露降雨計1が温度計4を有することにより、試料Sの周辺の温度も同時に測定することができ、更に、試料Sに水の噴射(降雨)等が作用させる試験では、結露降雨計1による温度測定により、水の噴射(降雨)等による試料Sが受ける温度変化を予測することができる。
【0045】
また、結露試験や降雨試験では、結露降雨計1の検知状態により、試料表面スプレーノズル14または、試料裏面スプレーノズル15からの水の噴射に異常がないか確認できるため、例えば、試料表面スプレーノズル14または、試料裏面スプレーノズル15の詰まり等により水の噴射に異常が生じた場合、試験中に異常を検知することができ、水の噴射に異常が生じた状態での試験の続行を防止できる。
【0046】
<4.第2の実施の形態の応用例>
[構成]
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る環境試験機100の応用例を表す模式図である。本応用例の環境試験機100Aは、上記第2の実施の形態で説明した環境試験機100において、結露降雨計1を設置した上部に張出部Dを設けたものであり、他の構成は基本的に同様となっている。
【0047】
図4に示したように、結露降雨計1は、上段試料取付部S1、中段試料取付部S2、下段試料取付部S3に対応した位置にそれぞれ1台ずつ設置されており、結露降雨計1の上部に張出部Dを設けるようにしたものである。
【0048】
[効果]
本発明の第2の実施の形態の応用例の環境試験機100Aでは、結露降雨計1の上部に張出部Dを設けたことで上段試料取付部S1、中段試料取付部S2、下段試料取付部S3において他段の試料取付部に設置した結露降雨計1に対して噴射した水の影響を排除することができる。このため、例えば、試料表面スプレーノズル14または、試料裏面スプレーノズル15の詰まり等により水の噴射に異常が生じた場合、上段試料取付部S1、中段試料取付部S2、下段試料取付部S3において、どの位置での水の噴射に異常が生じたかを確認することができる。
【0049】
<5.その他の変形例>
以上、実施の形態および応用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0050】
例えば、上記実施の形態では、結露計の親水性材料として、親水性フィルムを用いて説明したが、親水性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、親水性塗料などを用いてもよい。
【0051】
加えて、上記実施の形態では、降雨計の撥水性材料として、撥水性フィルムを用いて説明したが、撥水性を有する材料であれば特に限定されるものではなく、撥水性塗料などを用いてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、結露降雨計および環境試験機における各機器の構成(形状、配置、個数など)を具体的に挙げて説明したが、これらの構成については、上記実施の形態などで説明したものには限られず、他の形状や配置、個数などであってもよい。
【0053】
更に、上記実施の形態で説明した耐候性試験に限られず、屋外の環境での使用や、各種材料の耐腐食性を調べる噴霧腐食試験および複合サイクル試験やその他の環境試験にも応用可能である。
【0054】
例えば、耐腐食性を調べる複合サイクル試験では、塩水噴霧試験、湿潤試験、乾燥試験、浸漬試験等を任意に組み合わせて試験を行うが、本発明の結露降雨計を用いることで、試験中に試料に付着した塩が乾いている時間および濡れている時間を予測することができる。
【符号の説明】
【0055】
1、1a…結露降雨計、2…結露計、20…基板、21…電極、22…親水性フィルム、3…降雨計、30…基板、31…電極、32…撥水性フィルム、4…温度計、100、100A…環境試験機、10…試験槽、11…光源、12a、12b…試料取付枠、13…試料ホルダー、14…試料表面スプレーノズル、15…試料裏面スプレーノズル、18…制御部、120…回転軸、R1、R2…回転方向、S…試料、S1…上段試料取付部、S2…中段試料取付部、S3…下段試料取付部、D…張出部、Lout…放射光。