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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135204
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】マットレス芯材
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/15 20060101AFI20240927BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A47C27/15 Z
A47C27/00 D
A47C27/15 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045771
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】和田 英樹
(72)【発明者】
【氏名】茂木 秀暁
(72)【発明者】
【氏名】池田 奨
(72)【発明者】
【氏名】青木 真理
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB02
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】横向き寝時において身体の硬い部位が載せられても良好な寝姿勢を維持できるマットレス芯材を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るマットレス芯材は、第1方向D1及び第2方向D2に沿って延在すると共に、第3方向D3に厚みを有するマットレス芯材10である。マットレス芯材10は、横向き寝時における使用者の腸骨が載せられる腸骨支持部13b、及び、横向き寝時における使用者の上腕骨が載せられる上腕骨支持部13cを有する上面13と、上面13とは反対を向く下面14と、を備える。下面14は、腸骨支持部13bと第3方向D3に沿って並ぶと共に下面14において第3方向D3に窪む第1凹部11と、上腕骨支持部13cと第3方向D3に沿って並ぶと共に下面14において第3方向D3に窪む第2凹部12と、を有する。
【選択図】図5

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の身体が延びる方向である第1方向、及び前記第1方向に交差する第2方向に沿って延在すると共に、前記第1方向及び前記第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有するマットレス芯材であって、
横向き寝時における前記使用者の腸骨が載せられる腸骨支持部、及び、横向き寝時における前記使用者の上腕骨が載せられる上腕骨支持部を有する上面と、
前記上面とは反対を向く下面と、
を備え、
前記下面は、
前記腸骨支持部と前記第3方向に沿って並ぶと共に前記下面において前記第3方向に窪む第1凹部と、
前記上腕骨支持部と前記第3方向に沿って並ぶと共に前記下面において前記第3方向に窪む第2凹部と、
を有する、
マットレス芯材。
【請求項2】
前記上面は、前記上面において前記第3方向に突出する上面凸部と、前記上面において前記第3方向に窪む上面凹部とを有し、
前記第1凹部の前記第1方向の長さは、前記上面凹部の前記第1方向の長さの最大値より長く、
前記第2凹部の前記第1方向の長さは、前記上面凹部の前記第1方向の長さの最大値より長い、
請求項1に記載のマットレス芯材。
【請求項3】
前記第1凹部は、前記下面の前記第2方向の一端から前記下面の前記第2方向の他端まで延在しており、
前記第2凹部は、前記下面の前記第2方向の一端から前記下面の前記第2方向の他端まで延在している、
請求項1又は2に記載のマットレス芯材。
【請求項4】
前記第2凹部の深さは前記第1凹部の深さよりも深い、
請求項1又は2に記載のマットレス芯材。
【請求項5】
前記第1凹部の前記第1方向の長さは、前記第2凹部の前記第1方向の長さより長い、
請求項1又は2に記載のマットレス芯材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マットレス芯材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、寝返り補助パッドが記載されている。寝返り補助パッドは、使用者の上半身側が載置される第1パッドと、使用者の下半身側が載置される第2パッドとからなる。第1パッドと第2パッドとは身長方向に一列に配置されて構成されている。第1パッドは、その幅方向中央部において身長方向に延びる第1支持部と、第1支持部の両側に配置される第1の硬度勾配部とを備える。第2パッドは、その幅方向中央部において身長方向に延びる第2支持部と、第2支持部の両側に配置される第2の硬度勾配部とを備える。
【0003】
第1の硬度勾配部の下面には第1の硬度調整手段が設けられており、第2の硬度勾配部の下面には第2の硬度調整手段が設けられている。第1の硬度調整手段は、第1の硬度勾配部の下面から窪む複数の凹溝によって構成されている。複数の凹溝は幅方向に沿って並んでおり、幅方向の両端側に向かうに従って凹溝の深さが深くなっている。第2の硬度調整手段は、第2の硬度勾配部の下面から窪む複数の凹溝によって構成されている。この複数の凹溝も幅方向に沿って並んでおり、幅方向の両端側に向かうに従って凹溝の深さが深くなっている。
【0004】
上記のように、第1の硬度勾配部及び第2の硬度勾配部では、幅方向の両端側に向かうに従って凹溝の深さが深くなっているので、幅方向の両端側に向かうに従って見かけの硬度が小さくなっている。この寝返り補助パッドでは、幅方向の両端側の硬度を幅方向の中央の硬度より小さくすることにより、筋力が低下した使用者による自力での寝返りを支援する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-67342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、マットレス芯材においては、心地良い睡眠を得るために寝姿勢を良好にすることが求められうる。マットレス芯材としては、上面に凹凸構造が形成されており、当該凹凸構造によって体圧を分散させるものが知られている。この種のマットレス芯材では、当該凹凸構造によって仰向け時における体圧を効果的に分散させることができる。
【0007】
しかしながら、横向き寝時における体圧分散性においては改善の余地がある。横向き寝時には、上腕骨及び腸骨等、身体の硬い部位がマットレス芯材に載せられる。マットレスに硬い部位が載せられたときにマットレスが十分に沈まない場合、当該硬い部位にかかる圧力が大きくなって寝姿勢が悪くなる可能性がある。従って、横向け時において身体の硬い部位が載せられても良好な寝姿勢を維持できることが求められる。
【0008】
本開示は、横向き寝時において身体の硬い部位が載せられても良好な寝姿勢を維持できるマットレス芯材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るマットレス芯材は、(1)使用者の身体が延びる方向である第1方向、及び第1方向に交差する第2方向に沿って延在すると共に、第1方向及び第2方向の双方に交差する第3方向に厚みを有するマットレス芯材である。マットレス芯材は、横向き寝時における使用者の腸骨が載せられる腸骨支持部、及び、横向き寝時における使用者の上腕骨が載せられる上腕骨支持部を有する上面と、上面とは反対を向く下面と、を備える。下面は、腸骨支持部と第3方向に沿って並ぶと共に下面において第3方向に窪む第1凹部と、上腕骨支持部と第3方向に沿って並ぶと共に下面において第3方向に窪む第2凹部と、を有する。
【0010】
このマットレス芯材は、身体が延びる方向である第1方向、及び第2方向に延在すると共に、第3方向に厚みを有する。マットレス芯材は、身体が載せられる上面と、上面とは反対を向く下面とを有する。上面には、横向き寝時における使用者の腸骨が載せられる腸骨支持部と、横向き寝時における使用者の上腕骨が載せられる上腕骨支持部とが形成されている。下面には、腸骨支持部の下方において窪む第1凹部と、上腕骨支持部の下方において窪む第2凹部とが形成されている。腸骨支持部の下方に第1凹部が形成されていることにより、横向き寝時に使用者の腸骨が腸骨支持部に載せられたときに腸骨支持部を他の部位よりも大きく沈ませることができる。上腕骨支持部の下方に第2凹部が形成されていることにより、横向き寝時に使用者の上腕骨が上腕骨支持部に載せられたときに上腕骨支持部を他の部位よりも大きく沈ませることができる。このように、腸骨支持部と上腕骨支持部を他の部位よりも大きく沈ませることができるので、横向き寝時に腸骨及び上腕骨にかかる圧力を効果的に分散できる。従って、横向き寝時に身体の硬い部位が載せられても効果的に体圧分散できるので、横向き寝時でも良好な寝姿勢を維持することができる。
【0011】
(2)上記(1)において、上面は、上面において第3方向に突出する上面凸部と、上面において第3方向に窪む上面凹部とを有してもよい。第1凹部の第1方向の長さは、上面凹部の第1方向の長さの最大値より長くてもよい。第2凹部の第1方向の長さは、上面凹部の第1方向の長さの最大値より長くてもよい。この場合、腸骨支持部の下方に位置する第1凹部の第1方向の長さ、及び上腕骨支持部の下方に位置する第2凹部の第1方向の長さ、のそれぞれが上面凹部の第1方向の長さの最大値より長い。このように下面に形成された第1凹部及び第2凹部の長さが長いことにより、腸骨支持部及び上腕骨支持部をより深く沈ませることができる。従って、腸骨及び上腕骨における体圧分散性を更に良好にすることができる。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)において、第1凹部は、下面の第2方向の一端から下面の第2方向の他端まで延在していてもよい。第2凹部は、下面の第2方向の一端から下面の第2方向の他端まで延在していてもよい。この場合、第1凹部及び第2凹部のそれぞれが第2方向に貫通しているので、第2方向の全体において腸骨支持部及び上腕骨支持部を沈ませることが可能となる。従って、横向き寝時における更なる体圧分散性の向上に寄与する。
【0013】
(4)上記(1)~(3)のいずれかにおいて、第2凹部の深さは第1凹部の深さよりも深くてもよい。ところで、一般的に人の身体において、腸骨は上腕骨よりも重い。よって、腸骨支持部の下方に位置する第1凹部が深すぎると、腸骨支持部が沈みすぎることが想定される。一方、上腕骨支持部の下方に位置する第2凹部が浅すぎると、上腕骨支持部が十分に沈まないということが想定される。よって、第2凹部の深さが第1凹部の深さよりも深い場合には、腸骨支持部及び上腕骨支持部を適度に沈ませることができる。従って、横向き寝時における寝姿勢を更に良好にすることができる。
【0014】
(5)上記(1)~(4)のいずれかにおいて、第1凹部の第1方向の長さは、第2凹部の第1方向の長さより長くてもよい。ところで、マットレス芯材の上面において、上腕骨が載せられる位置は人によってあまり変わらないが、腸骨が載せられる位置は人によって大きく変わりうる。すなわち、腸骨が載せられる部位は、人の身長及び体格によって大幅に変わりうる。よって、腸骨支持部の下方に位置する第1凹部の第1方向の長さが、上腕骨支持部の下方に位置する第2凹部の第1方向の長さよりも長い場合、種々の身長、及び種々の体格の人が横たわっても腸骨支持部を効果的に沈ませることができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、横向き寝時において身体の硬い部位が載せられても良好な寝姿勢を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るマットレス芯材を収容するカバー及びマットレスを示す斜視図である。
図2】実施形態に係るマットレス芯材を示す斜視図である。
図3】(a)は、実施形態に係るマットレス芯材の上面凸部及び上面凹部を示す平面図である。(b)及び(c)のそれぞれは、図3(a)の上面凸部及び上面凹部の縦断面図である。
図4】(a)及び(b)は、身体の体圧分散の測定結果の例を示す図である。
図5】実施形態に係るマットレス芯材を示す側面図である。
図6】マットレス芯材の上で横たわる人の身体を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照しながら本開示に係るマットレス芯材の実施形態について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0018】
実施形態に係るマットレス芯材は、カバーに収容される。「マットレス芯材」とは、マットレスを構成する芯材を示している。カバーに収容されて用いられる「芯材」とは、カバー等の内部に収容されるものを示しており、中材又は内容物とも称される。「カバー」は、物を収容する袋体を示している。
【0019】
図1は、本実施形態に係るマットレス芯材10を収容するカバー2を備えたマットレス1を示す斜視図である。図2は、マットレス芯材10を示す斜視図である。マットレス1は、直方体状を呈する。マットレス1は、マットレス1の長手方向である第1方向D1、及びマットレス1の短手方向(幅方向)である第2方向D2の双方に延在すると共に、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する第3方向D3に厚みを有する。
【0020】
マットレス1は、第1方向D1に沿って延在する複数の長辺1bと、第2方向D2に沿って延在する複数の第1短辺1cと、第3方向D3に沿って延在する複数の第2短辺1dとを有する。マットレス1は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在する上面1fと、上面1fとは反対を向く下面1gとを有する。更に、マットレス1は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する第1側面1hと、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する第2側面1jとを有する。
【0021】
マットレス1は、マットレス1の第1方向D1の中央を含む領域に位置しており下面1gから第3方向D3に凹む第1窪み1kと、第1窪み1kから見てマットレス1の第1方向D1の端部側に位置する第2窪み1pとを有する。第1窪み1kはマットレス芯材10の後述する第1凹部11にカバー2が当てられて形成されており、第2窪み1pはマットレス芯材10の後述する第2凹部12にカバー2が当てられて形成されている。
【0022】
第2窪み1pは、マットレス1の第1方向D1の端部寄りの位置において下面1gから第3方向D3に凹んでいる。マットレス1は、第1方向D1に沿って並ぶ一対の第2窪み1pと、一対の第2窪み1pの間に位置する第1窪み1kとを有する。例えば、第2方向D2に沿って見たときに、第1窪み1k及び第2窪み1pのそれぞれは円弧状に凹んでいる。
【0023】
第1窪み1k及び第2窪み1pのそれぞれは、マットレス1の第2方向D2の一端から他端まで延在している。第1窪み1k及び第2窪み1pが形成されていることにより、第2方向D2への空気流路が形成されるので、マットレス1の下面1gにおける通気性を良好にすることができる。
【0024】
例えば、マットレス1は、一般的なマットレスよりも厚手のマットレスである。マットレス1の厚さT1は、15cm以上且つ30cm以下である。カバー2は、下方に向けられる下カバー部3と、上方に向けられる上カバー部4とを有する。例えば、マットレス1は、下カバー部3に対して上カバー部4を着脱可能とする着脱部材5を備える。着脱部材5は、下カバー部3と上カバー部4との境界部Bに配置されている。一例として、着脱部材5は全周ファスナーである。この場合、着脱部材5は、ロの字ファスナーとも称される。
【0025】
着脱部材5は、第1方向D1に沿って延びる第1エレメント部5bと、第1エレメント部5bの端部から第2方向D2に沿って延びる第2エレメント部5cと、第1エレメント部5b及び第2エレメント部5cに沿って移動するスライダ部5dとを有する。例えば、着脱部材5は2つのスライダ部5dを有し、2つのスライダ部5dを第1エレメント部5b及び第2エレメント部5cに沿って移動させる。
【0026】
スライダ部5dが移動することにより、下カバー部3に対する上カバー部4の着脱が可能となる。例えば、着脱部材5によって上カバー部4は下カバー部3から完全に分離される。この場合、上カバー部4を外して、上カバー部4のみ、又は下カバー部3のみを洗濯することができる。
【0027】
例えば、下カバー部3は、高伸縮性生地によって構成されている。「高伸縮性生地」とは、手で引き伸ばせる程度の伸縮性を有する生地を示している。「高伸縮性生地」は、例えば、伸び率が20%以上である生地を示している。下カバー部3が高伸縮性生地によって構成されている場合、下カバー部3を引き延ばしてマットレス芯材10を収容できると共に、下カバー部3でマットレス芯材10を締め付けることができるのでマットレス芯材10を安定させることができる。例えば、下カバー部3はマットレス芯材10にはり付いている。下カバー部3がマットレス芯材10を締め付けることによって第1窪み1k及び第2窪み1pが形成される。
【0028】
下カバー部3は、メッシュ生地又はダブルラッセル生地によって構成されていてもよい。この場合、下カバー部3の通気性を高めることができる。上カバー部4の材料は、例えば、下カバー部3の材料と同一である。この場合、上カバー部4からは上記の下カバー部3の効果と同様の効果が得られる。しかしながら、上カバー部4の材料は下カバー部3の材料とは異なっていてもよい。
【0029】
続いて、マットレス芯材10について説明する。図2に示されるように、マットレス芯材10は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在する上面13と、上面13とは反対を向く下面14とを有する。更に、マットレス芯材10は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する第1側面15と、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する第2側面16とを有する。マットレス芯材10は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の第1側面15と、第1方向D1に沿って並ぶ一対の第2側面16とを有する。
【0030】
マットレス芯材10は、柔軟性素材によって構成されている。柔軟性素材とは、身体の載置によって変形する柔らかさを備えた素材を示している。マットレス芯材10は、例えば、発泡ウレタンによって構成されている。また、マットレス芯材10は、バイオマスウレタン、軟質発泡性樹脂素材(低反発フォーム、ポリエチレンフォーム、無膜フォーム、若しくはラテックス(天然ゴム)、ポリエステル固綿素材、又は2次元加工機でカッティングできるもの)によって構成されていてもよい。
【0031】
上面13には、例えば、複数の上面凸部17、及び複数の上面凹部18が形成されている。複数の上面凸部17は、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに沿って並んでいる。すなわち、複数の上面凸部17は、マットレス芯材10の上面13において格子状に配列されている。
【0032】
図3(a)は、複数の上面凸部17を拡大した平面図である。図3(b)は、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延びる平面に沿って切断した複数の上面凸部17の縦断面図である。図3(c)は、第2方向D2及び第3方向D3の双方に延びる平面に沿って切断した複数の上面凸部17の縦断面図である。図3(a)、図3(b)及び図3(c)に示されるように、上面凸部17は、頂面17bが平坦状とされた台形状を呈する。側面視(第2方向D2又は第1方向D1に沿って見た場合)において、上面凸部17は角部に丸みを帯びた台形状を呈していてもよい。
【0033】
例えば、上面凸部17は、頂面17bと、頂面17bから斜め下方に延在する複数の傾斜面17cと、傾斜面17cの下端において窪むくびれ部17dとを有する。例えば、頂面17bは長方形状(一例として正方形状)を呈する。上面凸部17は、例えば、4つの傾斜面17cを有し、各傾斜面17cは頂面17bから離隔するに従って広がる台形状を呈する。
【0034】
上面凸部17におけるくびれ部17dの第1方向D1(又は第2方向D2)の長さは、上面凸部17における傾斜面17cの下端の第1方向D1(又は第2方向D2)の長さよりも短い。すなわち、上面凸部17のくびれ部17dが形成された部分は、上面凸部17の傾斜面17cの下端の部分よりも細い。くびれ部17dが形成されていることにより、上面凸部17をより変形させて上面13の柔軟性を更に高めることができる。
【0035】
例えば、上面凹部18は、スリット状を呈する。複数の上面凹部18は、上面13において窪むと共に第2方向D2に沿って延在する複数の第1スリット30と、上面13において窪むと共に第1方向D1に沿って延在する複数の第2スリット40とを含む。
【0036】
第1スリット30は、上面凸部17の根元から下方に延びると共に、第1方向D1に沿って並ぶ2つの上面凸部17の間において第2方向D2に延びる。第2スリット40は、上面凸部17の根元から下方に延びると共に、第2方向D2に沿って並ぶ2つの上面凸部17の間において第1方向D1に延びる。「凸部の根元」は、凸部の下端部を示しており、例えば、くびれ部17dを示している。
【0037】
本実施形態において、複数の上面凹部18を構成する複数のスリットのいずれかは、第3方向D3に沿って直線状に延びる部分を有する。このように、スリットが第3方向D3に沿って直線状に延びる部分を有することにより、複数の上面凸部17をより柔軟に変形させることができる。
【0038】
複数の第1スリット30は、第1大スリット31と、第1大スリット31よりも第3方向D3の長さが短い第1小スリット32とを含む。第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在する平面に沿ってマットレス芯材10を切断した断面において、2つの上面凸部17の間に第1大スリット31又は第1小スリット32が形成されている。第1大スリット31及び第1小スリット32は、第1方向D1に沿って交互に配置されている。
【0039】
第1小スリット32は第2方向D2に沿って延在している。第1小スリット32は、例えば、第1方向D1の一方側に位置する第1平坦面32bと、第1方向D1の他方側に位置する第2平坦面32cとを有する。第1平坦面32b及び第2平坦面32cのそれぞれは、上面凸部17の根元から下方に延在している。第1平坦面32bの下端は、第2平坦面32cの下端に接続している。
【0040】
第1平坦面32b及び第2平坦面32cは、上方に向かうに従って互いに離れるように第3方向D3に対して傾斜している。第1小スリット32が第1平坦面32b及び第2平坦面32cによって形成されていることにより、上面凸部17を変形しやすくすることができる。
【0041】
第1大スリット31は、第1方向D1に沿って並ぶ一対の第1小スリット32の間において第2方向D2に沿って延在している。第1大スリット31は、くびれ部17dの下方から第3方向D3に沿って延びる延在部31bと、延在部31bの下端から第1方向D1に拡張する拡張空間部31cとを有する。
【0042】
拡張空間部31cが、例えば、第1大スリット31の下端において菱形状に拡張している。この場合、拡張空間部31cは複数の平面によって画成されているので、上面凸部17をより撓ませやすくすることができる。しかしながら、拡張空間部31cは、例えば、第1大スリット31の下端において円形状又は長円形状に拡張していてもよい。「拡張」とは広がっていることを示しており、「拡張空間部」はある箇所から広がった空間を示している。
【0043】
複数の第2スリット40は、第2大スリット41と、第2大スリット41よりも第3方向D3の長さが短い第2小スリット42とを含む。第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在する平面に沿ってマットレス芯材10を切断した断面において、2つの上面凸部17の間に第2大スリット41又は第2小スリット42が形成されている。第2大スリット41及び第2小スリット42は、第2方向D2に沿って交互に配置されている。
【0044】
第2小スリット42は第1方向D1に沿って延在している。第2小スリット42は、例えば、第2方向D2の一方側に位置する第1平坦面42bと、第2方向D2の他方側に位置する第2平坦面42cとを有する。第1平坦面42b及び第2平坦面42cの形状は、例えば、前述した第1平坦面32b及び第2平坦面32cの形状と同一である。
【0045】
第2大スリット41は、第2方向D2に沿って並ぶ一対の第2小スリット42の間において第1方向D1に沿って延在している。第2大スリット41は、くびれ部17dの下方から第3方向D3に沿って延びる延在部41bと、延在部41bの下端から第2方向D2に拡張する拡張空間部41cとを有する。延在部41b及び拡張空間部41cの形状は、例えば、前述した延在部31b及び拡張空間部31cの形状と同一である。
【0046】
例えば、マットレス芯材10は、第3方向D3に沿って並ぶ複数の層を備える。当該複数の層では、例えば、硬度が互いに異なっている。一例として、マットレス芯材10は、第1層10b及び第2層10cを含む2層構造を有する。第1層10b及び第2層10cは、この順で上面13から下面14に向かって並んでいる。第1層10b及び第2層10cのそれぞれは、第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。
【0047】
例えば、第1層10bは、上面凸部17を構成する層である。この場合、上面凸部17は第1層10bによって構成されている。上面凹部18(第1大スリット31、第1小スリット32、第2大スリット41及び第2小スリット42)は、第2層10cの途中部分まで達している。例えば、第2層10cは、第1層10bよりも硬い層である。例えば、第1層10bは、第2層10cより弾性(反発弾性)が強く、且つ第2層10cより通気性が高い層である。しかしながら、第1層10b及び第2層10cの硬度、弾性及び通気性は上記の例に限られない。更に、マットレス芯材10は、第1層10b及び第2層10cのいずれかを有しないマットレス芯材であってもよい。
【0048】
マットレス芯材10は、例えば、二次元加工によって製造される。この場合、例えば、ソフトウェアに読み込ませた形状通りに刃物を稼働させることによって、種々の形状のマットレス芯材10を製造できる。マットレス芯材10の二次元加工は、例えば、第1層10b及び第2層10cが貼り合わされた後に実行される。しかしながら、貼り合わせの前に二次元加工が実行されてもよく、貼り合わせと二次元加工の順序は適宜変更可能である。
【0049】
ところで、マットレス芯材が使用者M(図6参照)の身体の荷重を受けたときに、身体の各部からマットレス芯材への圧力は身体の部位ごとに異なっている。図4(a)は仰向け時におけるマットレス芯材への圧力分布の測定結果を示しており、図4(b)は横向き寝時におけるマットレス芯材への圧力分布の測定結果を示している。各測定結果において、色彩が濃い箇所は高い圧力がかかっている箇所を示しており、色彩が薄い箇所は低い圧力がかかっている箇所を示している。
【0050】
図4(a)に示されるように、仰向け時においては、身体の肩甲骨の部分P1、肘の部分P2、仙骨の部分P3、及びかかとの部分P4からマットレス芯材が高い圧力を受けていることが分かる。図4(b)に示されるように、横向き寝時においては、身体の肩の部分P5、大転子の部分P6、大腿部外側上顆の部分P7、及びくるぶしの部分P8からマットレス芯材が高い圧力を受けていることが分かる。
【0051】
しかしながら、部分P1~P8の間では、圧力の強さ、及び平面視における圧力分布の広さが互いに異なっている。例えば、仙骨の部分P3は、他の部分と比較して高い圧力の部分が広くなっている。そして、くるぶしの部分P8は、他の部分と比較して高い圧力の部分が狭くなっている。
【0052】
上記の部分P1~P8等、圧力の強さ、及び平面視における圧力分布の広さが互いに異なる複数の部分からの圧力を適切に分散させるためには、互いに種類が異なる複数の上面凸部17のブロックを備えることが望ましい。そこで、図3(a)に示されるように、マットレス芯材10は、平面視において、第1方向D1に沿って互いに隣接する一対の第1大スリット31、及び第2方向D2に沿って互いに隣接する一対の第2大スリット41に囲まれた複数の大領域G1と、平面視において大領域G1の内部に形成された複数の中領域G2及び複数の小領域G3とを有する。
【0053】
中領域G2は、平面視において、第1大スリット31、第1小スリット32、第2大スリット41及び第2小スリット42に囲まれた領域である。すなわち、中領域G2は、平面視における上面凸部17の全体の領域である。小領域G3は、上面凸部17の頂面17bによって形成された領域である。
【0054】
本実施形態において、大領域G1は複数(例えば4つ)の上面凸部17からなる大ブロックであり、中領域G2は大領域G1よりも狭い中ブロックである。大ブロックを構成する上面凸部17の数は、中ブロックを構成する上面凸部17の数よりも多い。例えば、中領域G2は1つの上面凸部17からなる中ブロックであり、小領域G3は1つの頂面17bからなる小ブロックである。
【0055】
例えば、平面視において、大領域G1、中領域G2及び小領域G3は正方形状を呈する。しかしながら、平面視における大領域G1、中領域G2及び小領域G3の形状は、正方形状に限られず、長方形状であってもよい。例えば、大領域G1の第1方向D1への最大幅Y1は3cm以上且つ15cm以下であり、中領域G2の第1方向D1への最大幅Y2は2cm以上且つ8cm以下であり、小領域G3の第1方向D1への最大幅Y3は1cm以上且つ4cm以下である。
【0056】
以上の大領域G1、中領域G2及び小領域G3が設けられることにより、マットレス芯材10では、身体の各部の体圧を適切に分散できる。例えば、くるぶしの部分P8等、他の部分と比較して高い圧力がかかっている部分の面積が小さい箇所、又は骨の凸部分では、小領域G3によって適切に圧力分散できる。
【0057】
肩甲骨の部分P1等、高い圧力がかかっている部分の面積が比較的大きい箇所(例えば骨全体)では、中領域G2によって適切に圧力分散できる。そして、仙骨の部分P3又は筋肉等、高い圧力がかかっている部分の面積が更に大きい箇所では、大領域G1によって適切に圧力分散できる。このように、マットレス芯材10では、身体の各部の圧力を大領域G1、中領域G2及び小領域G3によって多段階的に且つ適切に分散させることができる。
【0058】
前述では、大領域G1が2×2個の上面凸部17によって構成されており、中領域G2が1個の上面凸部17によって構成されており、小領域G3が1つの頂面17bによって構成されている例について説明した。しかしながら、大領域G1、中領域G2及び小領域G3を構成する上面凸部17の数及び配置態様は、上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0059】
図5は、第2方向D2に沿ってマットレス芯材10を見たマットレス芯材10の側面図である。図5に示されるように、マットレス芯材10は、マットレス芯材10を使用する使用者の身体が延びる方向である第1方向D1、及び第2方向D2に延在すると共に、第3方向D3に厚みを有する。
【0060】
図6は、マットレス芯材10に横たわる使用者Mの様子を模式的に示す平面図である。図5及び図6に示されるように、マットレス芯材10の上面13は、横向き寝時における使用者Mの腸骨M1を支持する腸骨支持部13bと、横向き寝時における使用者Mの上腕骨M2を支持する上腕骨支持部13cとを有する。例えば、上面13は一対の上腕骨支持部13cを有し、一対の上腕骨支持部13cの間に腸骨支持部13bが配置されている。
【0061】
一例として、一対の上腕骨支持部13cは、平面視におけるマットレス芯材10の中心10dを通ると共に第2方向D2に沿って延在する基準線Lに対して対称となる位置に配置されている。この場合、第1方向D1へのマットレス芯材10の向きを反転させてマットレス芯材10を用いることが可能となる。
【0062】
腸骨支持部13bは、平面視におけるマットレス芯材10の中心10dを通ると共に第2方向D2に沿って延在する基準線Lを含む領域である。例えば、腸骨支持部13bは、複数の大領域G1を含んでいる。一例として、腸骨支持部13bには、第1方向D1に沿って並ぶ複数の大領域G1、及び第2方向D2に沿って並ぶ複数の大領域G1が含まれる。
【0063】
例えば、腸骨支持部13bにおいて、第1方向D1に沿って並ぶ大領域G1の数は2以上且つ6以下(一例として4)である。この場合、腸骨支持部13bにおいて、第1方向D1に沿って並ぶ上面凸部17の数は、4以上且つ12以下(一例として8)である。腸骨支持部13bは、上面13において第2方向D2に沿って延在している。例えば、腸骨支持部13bは、上面13の第2方向D2の一端から上面13の第2方向D2の他端まで延在している。
【0064】
一般的な使用者Mの場合、腸骨M1は基準線L付近に位置することが多いが、腸骨M1の位置は使用者Mの体格等によってばらつきが大きい。従って、腸骨支持部13bの第1方向D1の長さA1を長くすることによって、多くの使用者Mの腸骨M1が腸骨支持部13bに支持されることとなる。
【0065】
上腕骨支持部13cは、腸骨支持部13bと第2側面16との間に位置する。例えば、上腕骨支持部13cは、大領域G1を含んでいる。一例として、上腕骨支持部13cには、第2方向D2に沿って並ぶ複数の大領域G1が含まれる。例えば、上腕骨支持部13cにおいて、第1方向D1に沿って1以上且つ3以下の大領域G1が並んでいてもよい。この場合、上腕骨支持部13cにおいて、第1方向D1に沿って並ぶ上面凸部17の数は、2以上且つ6以下(一例として4)である。
【0066】
上腕骨支持部13cは、上面13において第2方向D2に沿って延在している。例えば、上腕骨支持部13cは、上面13の第2方向D2の一端から上面13の第2方向D2の他端まで延在している。上腕骨M2は、腸骨M1と比較して、使用者Mの体格等によるばらつきが小さい。従って、上腕骨支持部13cの第1方向D1の長さA2がある程度短くても、多くの使用者Mの上腕骨M2が上腕骨支持部13cに支持されることとなる。
【0067】
マットレス芯材10の下面14は、腸骨支持部13bと第3方向D3に沿って並ぶ第1凹部11と、上腕骨支持部13cと第3方向D3に沿って並ぶ第2凹部12とを有する。第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれは、下面14において第3方向D3に沿って窪んでいる。例えば、下面14は、第1凹部11と、第1凹部11を挟む位置に配置される一対の第2凹部12とを有する。例えば、平面視において、第1凹部11の位置は腸骨支持部13bの位置と同一であり、第2凹部12の位置は上腕骨支持部13cの位置と同一である。
【0068】
例えば、第1凹部11は、腸骨支持部13bの直下に位置する。例えば、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延びる平面に沿って切断したときにおける第1凹部11の断面は、円弧状を呈する。しかしながら、当該断面は、円弧状以外の形状であってもよい。例えば、当該断面の形状は、放物線状、U字状又は角形状であってもよく、特に限定されない。
【0069】
例えば、第1凹部11は、下面14の第2方向D2の一端から下面14の第2方向D2の他端まで延びている。しかしながら、第1凹部11は、当該一端から当該他端まで延びていなくてもよい。第1凹部11の第1方向D1の長さE1は、上面13に形成された上面凹部18の第1方向D1の長さの最大値よりも長い。例えば、第1凹部11の第1方向D1の長さE1は、40cm以上且つ60cm以下である。例えば、第1凹部11の深さF1(深さの最大値)は、1cm以上且つ3cm以下(一例として2cm)である。
【0070】
例えば、第2凹部12は、上腕骨支持部13cの直下に位置する。例えば、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延びる平面に沿って切断したときにおける第2凹部12の断面は、円弧状を呈する。しかしながら、当該断面の形状は、第1凹部11の場合と同様、特に限定されない。
【0071】
例えば、第2凹部12は、下面14の第2方向D2の一端から下面14の第2方向D2の他端まで延びている。しかしながら、第2凹部12も、当該一端から当該他端まで延びていなくてもよい。第2凹部12の第1方向D1の長さE2は、上面13に形成された上面凹部18の第1方向D1の長さの最大値よりも長い。例えば、第2凹部12の第1方向D1の長さE2は、20cm以上且つ30cm以下である。例えば、第2凹部12の深さF2(深さの最大値)は、4cm以上且つ6cm以下(一例として5cm)である。
【0072】
第1凹部11の第1方向D1の長さE1は、第2凹部12の第1方向D1の長さより長い。例えば、長さE1は、長さE2の1倍より大きく且つ3倍以下(一例として2倍)である。第2凹部12の深さF2は、第1凹部11の深さF1より深い。例えば、深さF2は、深さF1の1倍より大きく且つ5倍以下(一例として2.5倍)である。
【0073】
例えば、マットレス芯材10の厚さH1(第3方向D3の長さ)に対する深さF1の割合は、5%以上且つ20%以下である。厚さH1に対する深さF2の割合は、10%以上且つ50%以下である。以上、第1凹部11及び第2凹部12の各部の長さ等の例について説明した。しかしながら、第1凹部11及び第2凹部12の各部の長さ等は、上記の数値とは異なっていてもよい。
【0074】
次に、本実施形態に係るマットレス芯材10から得られる作用効果について説明する。マットレス芯材10は、身体が延びる方向である第1方向D1、及び第2方向D2に延在すると共に、第3方向D3に厚みを有する。マットレス芯材10は、身体が載せられる上面13と、上面13とは反対を向く下面14とを有する。上面13には、横向き寝時における使用者Mの腸骨M1が載せられる腸骨支持部13bと、横向き寝時における使用者Mの上腕骨M2が載せられる上腕骨支持部13cとが形成されている。下面14には、腸骨支持部13bの下方において窪む第1凹部11と、上腕骨支持部13cの下方において窪む第2凹部12とが形成されている。腸骨支持部13bの下方に第1凹部11が形成されることにより、横向き寝時に使用者Mの腸骨M1が腸骨支持部13bに載せられたときに腸骨支持部13bを他の部位よりも大きく沈ませることができる。
【0075】
上腕骨支持部13cの下方に第2凹部12が形成されていることにより、横向き寝時に使用者Mの上腕骨M2が上腕骨支持部13cに載せられたときに上腕骨支持部13cを他の部位よりも大きく沈ませることができる。このように、腸骨支持部13bと上腕骨支持部13cを他の部位よりも大きく沈ませることができるので、横向き寝時に腸骨M1及び上腕骨M2にかかる圧力を効果的に分散できる。従って、横向き寝時に身体の硬い部位が載せられても効果的に体圧分散できるので、横向き寝時でも良好な寝姿勢を維持することができる。
【0076】
本実施形態において、上面13は、上面13において第3方向D3に突出する上面凸部17と、上面13において第3方向D3に窪む上面凹部18とを有する。第1凹部11の第1方向D1の長さE1は、上面凹部18の第1方向D1の長さより長い。第2凹部12の第1方向D1の長さE2は、上面凹部18の第1方向D1の長さより長い。よって、腸骨支持部13bの下方に位置する第1凹部11の第1方向D1の長さE1、及び上腕骨支持部13cの下方に位置する第2凹部12の第1方向D1の長さE2、のそれぞれが上面凹部18の第1方向D1の長さより長い。このように下面14に形成された第1凹部11及び第2凹部12の長さE1,E2が長いことにより、腸骨支持部13b及び上腕骨支持部13cをより深く沈ませることができる。従って、腸骨M1及び上腕骨M2における体圧分散性を更に良好にすることができる。
【0077】
本実施形態において、第1凹部11は、下面14の第2方向D2の一端から下面14の第2方向D2の他端まで延在している。第2凹部12は、下面14の第2方向D2の一端から下面14の第2方向D2の他端まで延在している。よって、第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれが第2方向D2に貫通しているので、第2方向D2の全体において腸骨支持部13b及び上腕骨支持部13cを沈ませることが可能となる。従って、横向き寝時における更なる体圧分散性の向上に寄与する。
【0078】
本実施形態において、第2凹部12の深さF2は第1凹部11の深さF1よりも深い。ところで、一般的に人の身体において、腸骨M1は上腕骨M2よりも重い。よって、腸骨支持部13bの下方に位置する第1凹部11が深すぎると、腸骨支持部13bが沈みすぎることが想定される。一方、上腕骨支持部13cの下方に位置する第2凹部12が浅すぎると、上腕骨支持部13cが十分に沈まないということが想定される。よって、第2凹部12の深さF2が第1凹部11の深さF1よりも深い場合には、腸骨支持部13b及び上腕骨支持部13cを適度に沈ませることができる。従って、横向き寝時における寝姿勢を更に良好にすることができる。
【0079】
本実施形態において、第1凹部11の第1方向D1の長さE1は、第2凹部12の第1方向D1の長さE2より長い。ところで、マットレス芯材10の上面13において、上腕骨M2が載せられる位置は人によってあまり変わらないが、腸骨M1が載せられる位置は人によって大きく変わりうる。すなわち、腸骨M1が載せられる部位は、人の身長及び体格によって大幅に変わりうる。よって、腸骨支持部13bの下方に位置する第1凹部11の第1方向D1の長さE1が、上腕骨支持部13cの下方に位置する第2凹部12の第1方向D1の長さE2よりも長い場合、種々の身長、及び種々の体格の人が横たわっても腸骨支持部13bを効果的に沈ませることができる。
【0080】
本実施形態において、マットレス芯材10は、柔軟性素材によって構成されており、且つ、複数の上面凸部17、及び複数の上面凹部18を上面13に有する。図3(a),図3(b)及び図3(c)に示されるように、複数の上面凹部18のうち、第1スリット30は第2方向D2に沿って延在しており、第2スリット40は第1方向D1に沿って延在している。複数の第1スリット30は、複数の第1大スリット31と、第1大スリット31よりも浅い複数の第1小スリット32とを含み、複数の第2スリット40は、複数の第2大スリット41と、第2大スリット41よりも浅い複数の第2小スリット42とを含む。第1大スリット31及び第1小スリット32は第1方向D1に沿って交互に配置されており、第2大スリット41及び第2小スリット42は第2方向D2に沿って交互に配置されている。
【0081】
マットレス芯材10は、大領域G1と、平面視における面積が大領域G1よりも小さい中領域G2と、平面視における面積が中領域G2よりも小さい小領域G3とを有する。大領域G1は、互いに隣接する一対の第1大スリット31、及び互いに隣接する一対の第2大スリット41によって囲まれた領域である。中領域G2は、大領域G1の内部に形成された領域であって、第1大スリット31、第1小スリット32、第2大スリット41及び第2小スリット42(上面凸部17)によって囲まれた領域である。小領域G3は、上面凸部17の頂面17bによって形成されている。従って、小領域G3によって身体の急峻に突出した部分の体圧を分散し、中領域G2で身体の緩やかに突出した部分の体圧を分散し、大領域G1で身体の大きく硬い部分の体圧を分散することができる。よって、マットレス芯材10では、身体の種々の部分で適切且つ高効率に体圧を分散させることができる。
【0082】
以上、本開示に係るマットレス芯材の実施形態について説明した。しかしながら、本開示に係るマットレス芯材は、前述した実施形態の内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨の範囲内において適宜変形されたものであってもよい。すなわち、本開示に係るマットレス芯材の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、上記の要旨の範囲内において適宜変更可能である。
【0083】
例えば、前述した実施形態では、台形状を呈する上面凸部17を備えたマットレス芯材10について説明した。しかしながら、上面凸部の形状は、台形状以外の形状であってもよい。上面凸部の形状は、例えば、放物線状であってもよく、特に限定されない。前述した実施形態では、複数の上面凹部18が第1スリット30及び第2スリット40を含んでおり、更に、第1スリット30が第1大スリット31及び第1小スリット32を含み、第2スリット40が第2大スリット41及び第2小スリット42を含む例について説明した。しかしながら、上面凹部の形状及び大きさについても適宜変更可能である。
【0084】
例えば、前述した実施形態では、マットレス芯材10と、マットレス芯材10を収容するカバー2とを備えたマットレス1について説明した。そして、カバー2は下カバー部3、上カバー部4及び着脱部材5を備えており、着脱部材5によって上カバー部4が下カバー部3から分離される例について説明した。この場合、上カバー部4のみ、又は下カバー部3のみを分離して洗濯を容易に行うことができる。しかしながら、本開示に係るマットレス芯材を収容するカバーは、下カバー部3、上カバー部4及び着脱部材5を備えるものに限定されない。すなわち、本開示に係るマットレス芯材は、種々のカバーに収容することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…マットレス、1b…長辺、1c…第1短辺、1d…第2短辺、1f…上面、1g…下面、1h…第1側面、1j…第2側面、1k…第1窪み、1p…第2窪み、2…カバー、3…下カバー部、4…上カバー部、5…着脱部材、5b…第1エレメント部、5c…第2エレメント部、5d…スライダ部、10…マットレス芯材、10b…第1層、10c…第2層、10d…中心、11…第1凹部、12…第2凹部、13…上面、13b…腸骨支持部、13c…上腕骨支持部、14…下面、15…第1側面、16…第2側面、17…上面凸部、17b…頂面、17c…傾斜面、17d…くびれ部、18…上面凹部、30…第1スリット、31…第1大スリット、31b…延在部、31c…拡張空間部、32…第1小スリット、32b…第1平坦面、32c…第2平坦面、40…第2スリット、41…第2大スリット、41b…延在部、41c…拡張空間部、42…第2小スリット、42b…第1平坦面、42c…第2平坦面、B…境界部、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、G1…大領域、G2…中領域、G3…小領域、L…基準線、M…使用者、M1…腸骨、M2…上腕骨、P1,P2,P3,P4,P5,P6,P7,P8…部分、Y1,Y2,Y3…最大幅。

図1
図2
図3
図4
図5
図6