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特開2024-135208光学検査装置、光学検査方法、及び、光学検査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135208
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】光学検査装置、光学検査方法、及び、光学検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045778
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 博司
(72)【発明者】
【氏名】高梨 健太
(72)【発明者】
【氏名】加納 宏弥
(72)【発明者】
【氏名】岡野 英明
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE11
2G059FF01
2G059GG01
2G059GG02
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH03
2G059JJ01
2G059JJ19
2G059JJ30
2G059KK01
2G059MM01
(57)【要約】
【課題】 光の方向分布に関する情報を得ることができる、光学検査装置を提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、光学検査装置は、シングルピクセル受光素子と、結像光学素子と、光線選択部とを備える。結像光学素子は、物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される。光線選択部は、結像光学素子とシングルピクセル受光素子との間に設けられ、物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長を選択的に遮蔽する。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シングルピクセル受光素子と、
物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点を前記シングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される結像光学素子と、
前記結像光学素子と前記シングルピクセル受光素子との間に設けられ、前記物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長を選択的に遮蔽する第1の光線選択部と
を備える、光学検査装置。
【請求項2】
前記第1の光線選択部は、光を遮蔽する遮蔽領域を少なくとも一つ備える、
請求項1に記載の光学検査装置。
【請求項3】
前記第1の光線選択部は、前記第1の光線選択部に入射する光の複数の異なる波長スペクトルから少なくとも一つの波長スペクトルの光を通過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する波長選択領域を少なくとも一つ備える、
請求項1に記載の光学検査装置。
【請求項4】
前記第1の光線選択部は、
前記複数の異なる波長スペクトルに含まれる第1の波長スペクトルの光を通過させ、前記第1の波長スペクトルの光と異なる少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第1の波長選択領域と、
前記複数の異なる波長スペクトルに含まれる、前記第1の波長スペクトルの光とは異なる第2の波長スペクトルの光を通過させ、前記第2の波長スペクトルの光と異なる少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第2の波長選択領域と
を備える、請求項3に記載の光学検査装置。
【請求項5】
前記第1の光線選択部は、偏光板である偏光選択領域を少なくとも一つ備える、
請求項1に記載の光学検査装置。
【請求項6】
前記第1の光線選択部は、前記結像光学素子の焦点面あるいはその近傍に配置される、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学検査装置。
【請求項7】
前記シングルピクセル受光素子は、1又は複数の異なる波長スペクトルの光を受光信号として取得する、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学検査装置。
【請求項8】
前記シングルピクセル受光素子で取得した受光信号を取得し、
前記受光信号に基づいて、前記物点からの光の方向分布に関する情報を算出する、
処理部を有する、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学検査装置。
【請求項9】
前記シングルピクセル受光素子で取得した受光信号を取得し、
前記受光信号に基づいて、前記物点を含む前記物体に関する情報を算出する、
処理部を有する、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学検査装置。
【請求項10】
時間が経過するごとに異なるパターン光を物体に向けて照射する照明部と、
前記パターン光を前記照明部から照射したときの前記パターン光と、前記パターン光を前記照明部から照射したときの前記シングルピクセル受光素子における受光信号との相関に基づいて、前記物体の画像を取得する処理部と
を備える、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学検査装置。
【請求項11】
前記照明部は、照明光学素子を備え、
前記照明光学素子の焦点面あるいはその近傍には、
前記照明部からの第1の波長スペクトルの光を通過させ、前記第1の波長スペクトルの光と異なる残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第1の波長選択領域と、
前記照明部からの、前記第1の波長スペクトルの光とは異なる第2の波長スペクトルの光を通過させ、前記第2の波長スペクトルの光と異なる残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第2の波長選択領域と
を有する、波長選択部が配置される、
請求項10に記載の光学検査装置。
【請求項12】
前記照明部は、
照明光学素子と、
前記照明光学素子の焦点面に設けられる第2の光線選択部と
を備え、
前記照明部は、電気的な変調により前記第2の光線選択部を光の投影像として形成する、
請求項10に記載の光学検査装置。
【請求項13】
前記照明部は電気的に動作するプロジェクターである、
請求項10に記載の光学検査装置。
【請求項14】
物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される結像光学素子と前記シングルピクセル受光素子との間に設けられ、前記物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長の光を選択的に遮蔽する第1の光線選択部とを通して前記シングルピクセル受光素子で受光される受光信号に基づいて前記物点からの光の方向分布に関する情報を取得する、光学検査方法。
【請求項15】
物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される結像光学素子と前記シングルピクセル受光素子との間に設けられ、前記物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長の光を選択的に遮蔽する第1の光線選択部とを通して前記シングルピクセル受光素子で受光される受光信号に基づいて、前記物点を含む前記物体に関する情報を算出する、光学検査方法。
【請求項16】
時間が経過するごとに異なるパターン光を前記物体に向けて照射させ、
前記パターン光を前記物体に向けて照射したときの前記パターン光と、前記パターン光を前記物体に向けて照射したときの前記シングルピクセル受光素子における前記受光信号との相関に基づいて、前記物体の画像を取得する、
請求項14又は請求項15に記載の光学検査方法。
【請求項17】
物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される結像光学素子と前記シングルピクセル受光素子との間に設けられ、前記物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長の光を選択的に遮蔽する第1の光線選択部とを通して前記シングルピクセル受光素子で受光される受光信号に基づいて前記物点からの光の方向分布に関する情報を取得することをコンピュータに実行させる、光学検査プログラム。
【請求項18】
物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される結像光学素子と前記シングルピクセル受光素子との間に設けられ、前記物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長の光を選択的に遮蔽する第1の光線選択部とを通して前記シングルピクセル受光素子で受光される受光信号に基づいて、前記物点を含む前記物体に関する情報を算出することをコンピュータに実行させる、光学検査プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学検査装置、光学検査方法、及び、光学検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業において物体の非接触での光学検査が重要となっている。そのような光学検査の手法として、多数のパターン光を物体に次々に照射し、高感度な一つの受光素子(シングルピクセル)で取得した時系列信号を取得し、パターン光と信号の相関を取ることによりイメージングするシングルピクセルイメージングがある。シングルピクセルイメージングは、受光素子が一つであるため、高感度で大型な受光素子を使用することができる。これにより、微弱光でも検知できるという利点がある。このような従来のシングルピクセルイメージングは、物体の透過率分布あるいは反射率分布を画像化することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】G. M. Gibson, et. al., “Single-pixel imaging 12 years on: a review,” Optics Express, vol. 28, No. 19, 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、光の方向分布に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、光学検査装置は、シングルピクセル受光素子と、結像光学素子と、光線選択部とを備える。結像光学素子は、物体の少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子で受光させる位置に配置される。光線選択部は、結像光学素子とシングルピクセル受光素子との間に設けられ、物点からの光に含まれる少なくとも一つの波長を選択的に遮蔽する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図2図1に示す光学検査装置の処理部を用いて光学検査処理を行う際の処理フローチャート。
図3】第1実施形態の変形例1に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図4図3に示す光学検査装置を用いて物体の画像を取得する際の処理フローチャート。
図5】第1実施形態の変形例2に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図6】第2実施形態に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図7】第2実施形態の変形例に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図8図7中の光源とDMDとの間に設けられる第2の光線選択部(カラーホイール)を示す概略的な正面図。
図9】第3実施形態に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図10】第4実施形態に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図11】第5実施形態に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
図12】第6実施形態に係る光学検査装置を示す概略的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る光学検査装置10について、図1および図2を参照して説明する。
【0009】
本明細書において、光は電磁波の一種であり、ガンマ線、X線、紫外線、可視光、赤外線、電波なども含まれるとする。本実施形態において、光は可視光であるとし、例えば波長は400nmから750nmの領域にあるとする。
【0010】
図1には、本実施形態に係る光学検査装置10の模式的な断面図を示す。
【0011】
本実施形態に係る光学検査装置10は、撮像部12と、処理部14とを有する。
【0012】
撮像部12は、シングルピクセル受光素子22と、結像光学素子24と、光線選択部26とを有する。
【0013】
シングルピクセル受光素子22は、例えば、フォトダイオード(PD)である。PDの材料は、例えば、Si、InGaAs、Ge、Si/InGaAsなどでよい。受光できる波長域は例えば、200nmから2600nmまでなどでよい。本実施形態においては、シングルピクセル受光素子22は、少なくとも可視光である白色色を受光できるとする。ただし、シングルピクセル受光素子22はこれに限らず、一つの受光面(1画素)を持つものならば、どのような波長域の光を受光するものでもよい。また、シングルピクセル受光素子22は、例えば、光電子増倍管など高感度のものでよい。
【0014】
処理部14は、撮像部12のシングルピクセル受光素子22を制御するとともに、後述する、光の方向分布についての情報を取得する処理を行う。
【0015】
処理部14は、例えば、コンピュータ等から構成され、プロセッサ(処理回路)及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加え、非一時的な補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ等の書き込み及び読み出しが随時に可能な不揮発性メモリが挙げられる。
【0016】
処理部14では、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。処理部14では、プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を行う。また、処理部14のプロセッサによって実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークを介して処理部14に接続されたコンピュータ(サーバ)、又は、クラウド環境のサーバ等に格納されてもよい。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。ここでは、処理部14には、光学検査プログラムが実装されているものとする。
【0017】
処理部14での、シングルピクセル受光素子22からの画像取得、シングルピクセル受光素子22から取得した画像に基づく各種算出処理は、プロセッサ等によって実行され、記憶媒体が、データ記憶部として機能する。
【0018】
また、処理部14による処理の少なくとも一部が、クラウド環境に構成されるクラウドサーバによって実行されてもよい。クラウド環境のインフラは、仮想CPU等の仮想プロセッサ及びクラウドメモリによって、構成される。ある一例では、シングルピクセル受光素子22からの画像取得、シングルピクセル受光素子22から取得した画像に基づく各種算出処理が、仮想プロセッサによって実行され、クラウドメモリが、データ記憶部として機能する。
【0019】
なお、本実施形態では、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を制御するとともに、シングルピクセル受光素子22から得た像データに対して各種の演算を行う。
【0020】
処理部14では、シングルピクセル受光素子22で取得した画素における複数のカラーチャンネルの受光信号強度(画素値)から、例えば、第1の波長スペクトルの光あるいは第2の波長スペクトルの光が撮像されたかを区別する。さらに、処理部14では、各カラーチャンネルの画素値にもとづき、第1の波長スペクトルの光と第2の波長スペクトルの光が同時に撮像されたか、あるいはどちらか一方のみが撮像されたかを識別することができる。つまり、処理部14では、各画素において、第1の波長スペクトルのみが撮像されたか、あるいは、第2の波長スペクトルのみが撮像されたか、あるいはそれらが同時に撮像されたか、あるいは、どちらも撮像されていないか、のいずれかを識別することができる。
【0021】
本実施形態に係る光学検査装置10の照明光は、特別な光源を用意しても良いが、必ずしもその必要はない。例えば、オフィスなどの環境光や太陽光などの自然光でよい。あるいは、照明光は光源からの光でもよく、例えば、レーザー光源、LD(Laser Diode)光源、LED(Light Emitting Diode)光源、フィラメント光源、ハロゲンランプ、キセノンランプなど、光を発するものならばなんでもよい。本実施形態において、照明光は、天井灯からの環境光とする。物体Oと天井までの距離は十分に遠く、数メートルほど離間されており、物体Oに平行度の高いビーム状の白色光が到達する。白色光の波長スペクトルは、450nmから750nmまでの波長範囲で有意な強度を持つとする。
【0022】
結像光学素子24は、例えば結像レンズである。図1において、結像レンズ24は模式的に一つのレンズで代表して描いているが、複数のレンズから構成される組レンズであってもよい。あるいは、結像光学素子24は、凹面ミラーや凸面ミラー、あるいはそれらの組み合わせでもよい。あるいは、結像光学素子24は、GRINレンズなどの屈折率分布媒質で構成されるものでもよい。あるいは、結像光学素子24は、回折レンズでもよい。つまり、結像光学素子24は、物体Oの一点、つまり物点O1,O2から発した光線群をそれぞれ共役な像点I1,I2に集める機能を有する光学素子であればなんでもよい。結像光学素子24によって物体Oの例えば表面の物点O1,O2から発した光線群がそれぞれ像点I1,I2に集められる(集光される)ことを結像という。あるいは、結像とは、物点O1,O2が像点(物点の共役点)I1,I2にそれぞれ移されるともいう。また、十分に遠い物点から発せられた光線群が結像光学素子24によって移される共役点の集合面を、結像光学素子24の焦点面と呼ぶ。また、焦点面に垂直な線であり、結像光学素子24の中心を通るものを光軸OAとする。このとき、この光線によって移される物点O1,O2の共役な像点I1,I2を焦点と呼ぶ。ただし、この場合は、像点I1,I2は一致する。
【0023】
撮像部12は、物点O1からの光を光軸OAに沿って像点I1に写し、物点O2からの光を光軸OAに沿って像点I2に写す。ただし、光軸OAはミラーで折り返されたり、ビームスプリッターなどで分岐されたりしてもよい。つまり、光軸OAは複数に折り返されたものでもよく、複数の数でもよい。
【0024】
光線選択部26は、物点O1,O2から結像光学素子24を通過する光線が占める領域内に配置される。つまり、光線選択部26は撮像部12の光軸OA上に配置される。ただし、必ずしも光線選択部26と光軸OAが交差する必要はない。つまり、光線選択部26が光軸OA上に配置されるとは、撮像部12に向かって結像光学素子24を通過する光線が占める領域内に光線選択部26が配置されることを意味する。光線選択部26は、結像光学素子24の焦点面あるいはその近傍に配置することが望ましいが、その限りではない。光線選択部26は、ここでは、例えば、結像光学素子24の焦点面の近傍に焦点面と平行に配置される。そして、光線選択部26は、物点O1,O2からの光の少なくとも一つの波長を選択的に遮蔽する。これと同じ意味として、物点O1,O2に対する光を選択的に遮蔽する、と述べることもある。
【0025】
光線選択部26は、例えば、第1の選択領域26aを備える。ただし、選択領域の数はその限りではなく、少なくとも一つの選択領域を持てばいくつでもよい。第1の選択領域26aは光を遮蔽する遮蔽領域である。光は遮蔽領域26aを通過しない。つまり、遮蔽領域26aは、物点O1からの光をシングルピクセル受光素子22に到達させない。言い換えれば、遮蔽領域26aは、光を反射あるいは吸収することにより、遮蔽する。ただし、光線選択部26はこの限りではなく、波長選択領域であってもよい。波長選択領域は、複数の異なる波長スペクトルの光を含む照明光のうち、異なる領域ごとに異なる波長スペクトルの光を通過させる。ここで、光を通過させるとは、シングルピクセル受光素子22に向かわせることを意味する。このことを、波長選択領域は光を選択的に通過させる、あるいは、波長選択領域は光を選択的に通す、と述べることもある。すなわち、波長選択領域は、照明光の波長スペクトルのうち、少なくとも一つの波長の光が遮蔽された波長スペクトルの光を通過させる。これについて、後述する変形例2で説明する。例えば、波長選択領域が遮蔽領域26aを備えており、遮蔽領域26aは照明光が持つ波長スペクトルの光を全て遮蔽する。一方、照明光が持つ波長スペクトルに含まれない波長スペクトルの光を通過させてもよい。これにより、波長選択領域の遮蔽領域26aを照明光は通過することができず、各物点O1,O2における光の方向分布(BRDF)に関する情報を取得できるという効果がある。光線選択部26は、波長選択領域に限らず、あるいは偏光板で形成される偏光選択領域であってもよい。本実施形態において、照明は無偏光の環境光なので、照明の偏光はS偏光とP偏光を重ね合わせたものとなる。偏光選択領域は、照明光の偏光それ自体とは異なる偏光の光を通過させる。つまり、偏光選択領域は、照明光が含む無偏光の光のうち、所定の偏光の光を通過させる。例えば、偏光選択領域が遮蔽領域26aを持つとする。そして、照明光が無偏光ではなく直線偏光を持ち、その偏光をS偏光とする場合、遮蔽領域26aは、それとは直交する偏光(P偏光とする)のみを通過させる。一方、照明光と同じS偏光は遮蔽する。これにより、偏光選択領域の遮蔽領域26aを照明光は通過することができず、各物点O1,O2における光の方向分布(BRDF)に関する情報を取得できるという効果がある。
【0026】
なお、光線選択部26の第1の選択部26aは、例えば小径の円板状に形成される。光線選択部26の第1の選択部26aは、例えば、焦点面において、焦点に集まる光を遮蔽するが、焦点面において焦点から離れて通過する光をシングルピクセル受光素子22に到達させるような大きさに形成される。
【0027】
本実施形態に係る光学検査装置10の動作を述べる。
【0028】
物体Oは透明であっても、不透明であってもよい。本実施形態では、物体Oは薄い厚さを持ち、かつ、均一な屈折率を持つ媒質の透明体とする。ただし、この限りではない。物体Oが不透明であるとき、照明は撮像側から照射して反射光を観察する。このとき、照明光は、ビームスプリッター(ハーフミラー)などで折り返してもよい。
【0029】
物体O内に微小欠陥がある場合、つまり、不均一な微小領域が局所的にある場合、微小欠陥に照明光が入射すると光は散乱され、光の方向分布(BRDF)は一般的に広がる。一方、物体O内に微小欠陥が無い均一な屈折率を持つ媒質であれば、光は散乱されずに光の方向分布(BRDF)は入射時と同じままで通過する。以降では、均一な屈折率を持つ媒質を均一媒質と呼ぶ。ただし、物体Oが均一媒質であっても、物体Oの界面で光は反射する。この反射はフレネル反射となる。
【0030】
第1の物点O1は均一媒質上であるとし、第2の物点O2に微小欠陥が存在するとする。すると、第1の物点O1からの光は、光の方向分布が広がらないために、結像光学素子24を通過した後、第1の選択領域26aで遮蔽される。一方、第2の物点O2からの光は、散乱されて光の方向分布が広がるため、結像光学素子24を通過した後、第1の選択領域26aで遮蔽されずにシングルピクセル受光素子22に到達する成分が生じる。つまり、第1の物点O1からの光はシングルピクセル受光素子22で受光されず、第2の物点O2からの光はシングルピクセル受光素子22で受光される。
【0031】
逆に、第1の物点O1に微小欠陥があれば、光の方向分布が広がり、シングルピクセル受光素子22で受光される。また、第2の物点O2に微小欠陥が無く、均一な媒質上であれば、光の方向は広がらず、シングルピクセル受光素子22で受光されない。これにより、2つの物点O1,O2の少なくともどちらかに微小欠陥があれば、シングルピクセル受光素子22で光が受光される。一方、2つの物点O1,O2のどちらにも微小欠陥が無く、均一な媒質上であれば、シングルピクセル受光素子22で光が受光されない。
【0032】
つまり、処理部14は、シングルピクセル受光素子22で得られる1回の(瞬間的な)信号(図2に示す、受光のあり/なしの判定:ステップS11)から、2つの物点O1,O2における微小欠陥の検知が可能となる。つまり、処理部14は、シングルピクセル受光素子22への信号の入力の有無により、2つの物点O1,O2のどちらかに微小欠陥が存在するか、あるいはどちらにも存在しないか、を識別できるという効果がある。
【0033】
同様に、シングルピクセル受光素子22で受光できる物体面OSの各物点O1,O2において、上記のように光の方向分布(BRDF)に感度を持つような構成にすれば、シングルピクセル受光素子22で得られる1回の(瞬間的な)信号から、物体面OS全体の微小欠陥検査が可能になる。
【0034】
本実施形態に係る光学検査装置10を用いて情報を取得する対象として、物体Oの微小欠陥を例にしたが、微小欠陥の代わりに光を散乱させるものならば何でもよい。対象として、例えば、物体Oの表面粗さが異常なものを欠陥としてもよい。あるいは、空孔や、異物、表面凹凸など、光を散乱させるものならば何でもよい。あるいは、光をいったん吸収して発光する蛍光領域を欠陥としてもよい。つまり、光の方向分布(BRDF)の広がりの変化が他の領域と異なるものならばなんでもよい。本実施形態により、光の方向分布(BRDF)の広がりの変化に基づいて、これらを検知することができる。
【0035】
したがって、本実施形態に係る光学検査方法によれば、物体Oの少なくとも2つの異なる物点に対する像点をシングルピクセル受光素子22で受光させる位置に配置される結像光学素子24とシングルピクセル受光素子22との間に設けられ、物点O1,O2からの光に含まれる少なくとも一つの波長(の光)を選択的に遮蔽する光線選択部26とを通してシングルピクセル受光素子22で受光される受光信号に基づいて、物点O1,O2を含む物体に関する情報を算出する。又は、本実施形態に係る光学検査方法によれば、物体Oの少なくとも2つの異なる物点O1,O2に対する像点をシングルピクセル受光素子22で受光させる位置に配置される結像光学素子24とシングルピクセル受光素子22との間に設けられ、物点O1,O2からの光に含まれる少なくとも一つの波長(の光)を選択的に遮蔽する光線選択部26とを通してシングルピクセル受光素子22で受光される受光信号に基づいて物点O1,O2からの光の方向分布(BRDF)に関する情報を取得する。
【0036】
このように、本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0037】
なお、本実施形態の光学検査装置10では、1つのシングルピクセル受光素子22を用いる例について説明した。光学検査装置10は、複数のシングルピクセル受光素子22を空間的に複数並べて配置してもよい。この場合、複数のシングルピクセル受光素子22を空間的に複数並べたものは、イメージセンサー(エリアセンサー又はラインセンサー)として用いることができる。その場合、処理部14は、少なくとも2つ以上の物点を含む物体の領域のそれぞれにおいて、光の方向分布(BRDF)に関する情報を取得することができるという効果がある。これは、後述する第2実施形態から第6実施形態に係る光学検査装置10においても同様である。
【0038】
(変形例1)
変形例1に係る光学検査装置10について図3及び図4を用いて説明する。ここでは、光学検査装置10は、照明部30を有する。
【0039】
本変形例1において、例えば処理部14は、図3に示す照明部30から、時間の経過とともに、照明光をパターン光として次々に投射させる。パターン光とは、照明に照度分布を持つものである。照明部30は、例えば、様々なランダムパターン光やアダマール(Hadamard)パターン光(非特許文献1参照)を次々に投射し得る。なお、ランダムパターン光は、次々に投射するパターンに相関がない。
【0040】
処理部14は、例えば照明部30とシングルピクセル受光素子22とを同期させ、照明光を照射する都度、照明部30の照明光と、シングルピクセル受光素子22で得られる受光信号との相関を取る。これにより、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を用いて物体面OSの画像が得られるという効果がある。また、シングルピクセル受光素子22は、第1の波長W1と第2の波長W2を分光できるとする。つまり、それぞれに対して独立な信号を受光できるとする。つまり、シングルピクセル受光素子22は分光性能を有するとする。ここで例えば、第1の波長W1と第2の波長W2はそれぞれ、450nmと650nmとする。
【0041】
第1の波長W1は第1のパターンを持ち、第2の波長W2は第2のパターンを持つ。処理部14は、シングルピクセル受光素子22から、それら2つのパターンを含む第1のパターン光PR1の第1の波長W1の光の強度分布A0(X)、第1のパターン光PR1の第2の波長W2の光の強度分布B0(X)を取得する。また、第1の波長W1は第3のパターンを持ち、第2の波長W2は第4のパターンを持つ。そして、処理部14は、シングルピクセル受光素子22から、それら2つのパターンを含む第2のパターン光PR2の第1の波長W1の光の強度分布C0(X)、第2のパターン光PR2の第2の波長W2の光の強度分布D0(X)を取得する(S101)。処理部14は、シングルピクセル受光素子22から、第1のパターン光PR1に含まれる第1のパターンを持つ第1の波長W1の光の信号強度IA、第1のパターン光PR1に含まれる第2のパターンを持つ第2の波長W2の光の信号強度IB、第2のパターン光PR2に含まれる第3のパターンを持つ第1の波長W1の光の信号強度IC、第2のパターン光PR2に含まれる第4のパターンを持つ第2の波長W2の光の信号強度IDを取得する(S102)。処理部14は、4つの信号強度(IA,IB,IC,ID)と4つの強度分布(A0(X),B0(X),C0(X),D0(X))との相関をとる(S103)。これにより、処理部14は、物体Oの情報T(X)を算出する(S104)。以上により、物体Oの情報T(X)が取得されるため、光学検査装置10では、物体Oの画像情報T(X)を取得できる。すなわち、処理部14は、パターン光を照明部30から照射したときのパターン光と、パターン光を照明部30から照射したときのシングルピクセル受光素子22における受光信号との相関に基づいて、物体Oの画像(物体Oに関する情報)を取得する。
【0042】
なお、例えば、処理部14は、照明部30が各パターン光を物体面Oに照射するのに同期して、ステップS102において第1のパターン光PR1の信号強度(IA,IB)、及び、第2のパターン光PR2の信号強度(IC,ID)をそれぞれ取得するとき、図2に示すフローに示す光学検査処理にしたがって、物体面Oについて、光学検査を行うことができる。
【0043】
画像の解像度は、照明部30のパターン光の解像度と同等となる。これは、一般的にゴーストイメージング法と呼ばれることもある。また、本変形例1に係る光学検査装置10は、処理部14を用いて、光の方向分布(BRDF)の差異が各画素(ゴーストイメージング法で得られる画像の画素)ごとに識別できるという効果がある。つまり、光の方向分布(BRDF)が狭い物点に対応する像点のみを含む画素は、光線選択部26によって光が遮蔽されるため、シングルピクセル受光素子22を通して処理部14で取得される画像には写らない(画素値が実質的に有意な値を持たない)。一方、光の方向分布(BRDF)が広い物点に対応する像点を一つでも含む画素は、光線選択部26を光が通過できるため、シングルピクセル受光素子22を通して処理部14で取得される画像に写る(画素値が有意な値を持つ)。このため、本変形例1に係る光学検査装置10は、微小欠陥がどこにあるか特定できるという効果がある。
【0044】
本変形例1によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0045】
(変形例2)
変形例2に係る光学検査装置10について、図5を用いて説明する。
【0046】
照明光は、第1の波長スペクトルの光に加えて、他の波長スペクトルの光を含む。すなわち、照明光は、少なくとも2つの異なる波長スペクトルの光を含む。光線選択部26は、第1の選択領域26aと、第2の選択領域26bとを有する。本変形例2での第1の選択領域26aは、遮蔽領域に限らず、第1の波長スペクトルの光を通過させ、残りの波長スペクトルの光を遮蔽する波長選択領域を用いる。第2の選択領域26bは、波長選択領域26aの波長の光の補色となるフィルターを用いる。波長選択領域26aは、照明光の波長スペクトル自体とは異なり、一部の波長の光が遮蔽された波長スペクトルの光を通過させる。つまり、波長選択領域26aは、第1の波長スペクトルの光を通過させる。第1の波長スペクトルは、例えば、波長450nmにピークを持つ青光とする。
【0047】
また、本変形例2のシングルピクセル受光素子22は、第1の波長スペクトルの光に感度を持たないとする。シングルピクセル受光素子22は、第1の波長スペクトルとは補色となる波長スペクトルの光にのみ感度を持つものとする。例えば、シングルピクセル受光素子22は、第2の選択領域26bとして、その受光面に第1の波長スペクトルの補色のみを透過させる波長フィルターを貼り付けたもので構成されていてもよい。
【0048】
これにより、各物点O1,O2において、照明光が散乱されて方向分布が広がった光のみがシングルピクセル受光素子22で受光される。つまり、物点O1で散乱されず、方向分布が狭い光(青光及び他の波長の光)は、波長選択領域26aを青光が通過するが、補色のフィルター26bで遮蔽されるため、シングルピクセル受光素子22で受光されない。一方、方向分布が広がった光(青光及び他の波長の光)は、波長選択部26aで波長選択部26a以外の領域を通過し、青光の補色の波長スペクトルの光が補色のフィルター26bを通過するため、シングルピクセル受光素子22で受光される。これにより、処理部14は、光(青光の補色)の受光の有無により、各物点O1,O2における光の方向分布(BRDF)の広がりの差異を識別できるという効果がある。したがって、図2に示す光学検査処理のフローにしたがって、光学検査装置10は、物体面Oの光学検査を行うことができる。
【0049】
本変形例2によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0050】
(第2実施形態)
以下、本実施形態に係る光学検査装置10について、図6を参照して説明する。本実施形態に係る光学検査装置10の基本構造は第1実施形態に係る光学検査装置10と同じである。以下では差分を述べる。
【0051】
図6には、本実施形態に係る光学検査装置10の断面図を示す。図6の断面図は、撮像部12の光軸(撮像光軸)OAを含む。また、本実施形態に係る光学検査装置10は、照明部30とビームスプリッター40とを備えている。また、本実施形態に係る光線選択部26は、シングルピクセル受光素子22に入射される光が全て光線選択部26を通る大きさに形成される。光線選択部26は結像光学素子24の焦点面(撮像側焦点面)FPに配置される。
【0052】
シングルピクセル受光素子22は、一つの受光面を持つ分光器であるとする。分光器は、例えば、走査型マイケルソン干渉計を用いた光スペクトルアナライザや、ツェルニ・ターナー型のものでもよい。ただし、これに限らず、シングルピクセル受光素子22は、一つの受光面を備え、少なくとも異なる2つの波長に対する光強度の信号を独立に取得できるものならば何でもよい。
【0053】
照明部30は、光源32とリフレクター34とを備える。照明部30からの照明光は、ビームスプリッター40を介して物体面OSに照射される。ビームスプリッター40は無偏光ビームスプリッターでもよく、ハーフミラーでもよく、偏光ビームスプリッターでもよい。ビームスプリッター40として偏光ビームスプリッターを用いた場合、物体面OSから散乱されて偏光が回転(変化)したもののみがシングルピクセル受光素子22で受光される。そのため、ビームスプリッター40として偏光ビームスプリッターを用いる場合、シングルピクセル受光素子22では、散乱光のみを抽出できるという効果がある。
【0054】
第1実施形態では、物体Oでの光の透過を用いる例について説明した。本実施形態では、物体Oでの光の反射を用いる例について説明する。本実施形態の光学検査装置10の検査対象としての物体Oは、不透明なものとし、物体Oの表面で光が反射するものとする。以降で述べる実施形態において、物体Oが透明の場合でも不透明の場合でも、同様な効果を得ることができる。表面反射を考える場合、物体Oの表面に局所的に光の散乱特性が変化する領域がない場合、物体Oは均一媒質であるとする。つまり、物体Oの表面においてBRDF(Bidirectional Reflectance Distribution Function)が局所的に異なる領域を欠陥(あるいは微小欠陥)とし、そのような領域が無い領域を均一媒質であるとする。
【0055】
照明部30の光源32は例えば白色LEDとする。ただし、この限りではなく、照明部30の光源32は、光を発するものならばレーザー光でも何でもよい。
【0056】
照明部30のリフレクター34は、例えば、軸外し放物面ミラーとする。光源32はリフレクター34の焦点に配置される。これにより、光源32から射出された光は、リフレクター34によって平行光に変換される。リフレクター34は、光の正反射を利用し、幾何学的な形状で光の方向を変化させる。これにより、リフレクター34による平行光への変換は、光の波長に依存しないという特徴を持つ。つまり、リフレクター34は、白色光の全ての波長の光を平行光にすることができるという効果がある。一方、リフレクター34の代わりにレンズを用いると、レンズの屈折率分散により、波長ごとにわずかに光の屈折角が異なる。そのため、レンズを用いると、照明光に色収差が発生することがある。
【0057】
光線選択部26は、第1の選択領域26aとして、光線選択部26に入射する複数の異なる波長スペクトルを含む光から特定の波長スペクトルの光を通過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する波長選択領域を少なくとも一つ備える。光線選択部26の波長選択領域26aは、第1の波長選択領域51、第2の波長選択領域52、第3の波長選択領域53を備える。第1の波長選択領域51は、第1の波長スペクトルの光を通過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する。第2の波長選択領域52は、第2の波長スペクトルの光を通過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する。つまり、第1の波長選択領域51、第2の波長選択領域52を通過した光は互いに異なる波長スペクトルの光となる。第1の波長選択領域51を通過した光の波長スペクトルを第1の波長スペクトルとし、第2の波長選択領域52を通過した光の波長スペクトルを第2の波長スペクトルとする。本実施形態では、第3の波長選択領域53は、第2の波長選択領域と形状は異なるものの、第2の波長スペクトルの光と同じ波長スペクトルの光を通過させる。つまり、第3の波長選択領域53は、第2の波長スペクトルの光を通過させるとする。ただし、この限りではなく、波長選択領域は少なくとも2つの異なる波長スペクトルの光を通過させる領域があればどのようなものでもよい。第1の波長選択領域51は、光軸OAと交差するとし、第2の波長選択領域52及び第3の波長選択領域53は、光軸OAから外れた位置にあるとする。一例として、第1の波長選択領域51は、図6の紙面に直交する方向に延びる。同様に、第2の波長選択領域52及び第3の波長選択領域53は、図6の紙面に直交する方向に延びる。
【0058】
第1の波長スペクトルは例えば波長450nmをピークに持つ青光とする。また、第2の波長スペクトルは例えば波長650nmをピークに持つ赤光とする。ただし、この限りではなく、第1の波長スペクトルと第2の波長スペクトルとが異なればなんでもよい。
【0059】
シングルピクセル受光素子22は、青光(第1の波長スペクトル)と赤光(第2の波長スペクトル)の両者を識別(分光)できる。つまり、シングルピクセル受光素子22は、波長450nmと波長650nmの光を識別(分光)できるとする。
【0060】
以上の構成のもとで、本実施形態に係る光学検査装置10の動作を述べる。
【0061】
例えば処理部14に制御される照明部30の光源32から射出され、リフレクター34により平行光となった光は全て、物体Oが均一媒質であれば、撮像部12の結像光学素子24によって撮像側の焦点に到達する。一方、光が物体Oによって散乱されると、撮像側の焦点面FPにおいて焦点から離れた位置に到達する。
【0062】
例えば、第1の物点O1は均一媒質上とし、第2の物点O2には微小欠陥が存在するとする。
【0063】
このとき、第1の物点O1からの光のうち、青光は第1の波長選択領域51を通過し、第1の像点I1に到達し、シングルピクセル受光素子22で受光される。処理部14に制御されるシングルピクセル受光素子22は青光を検知する。つまり、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を用いて、青光のピーク波長に対する光強度(画素値)を受光信号として取得する。
【0064】
一方、第2の物点O2からの光は、微小欠陥によって散乱され、光の方向分布が広がる。そして、方向分布が広がった光は、第1の波長選択領域51と第2の波長選択領域52と第3の波長選択領域53とに到達する。このとき、第1の波長選択領域51を通過した光は青光となり、第2の波長選択領域52及び第3の波長選択領域53を通過した光は赤光となる。さらに、これらの光は第2の像点I2に到達し、シングルピクセル受光素子22で受光される。処理部14に制御されるシングルピクセル受光素子22は、青光および赤光の2つの異なるピーク波長に対する光強度(画素値)を受光信号としてそれぞれ取得する。つまり、シングルピクセル受光素子22は、2つのピーク波長に対する光強度をそれぞれ受光する。これにより、処理部14は、平行光で照明された物体面において微小欠陥が存在することがわかる。
【0065】
一方、第1の物点O1と第2の物点O2がそれぞれ均一媒質であり、微小欠陥が存在しないとする。このとき、シングルピクセル受光素子22では青光のピーク波長に対する光強度のみを取得し、赤光のピーク波長に対する光強度は得られない。つまり、シングルピクセル受光素子22では、物点O1,O2のどちらかに微小欠陥が存在する場合とは異なる信号を検知する。これにより、処理部14は、シングルピクセル受光素子22での受光信号が青光のみの信号であれば、平行光Lで照明された物体面OSにおいて微小欠陥が存在しないことがわかる。
【0066】
以上により、本実施形態に係る光学検査装置10を用いることにより、平行光Lで照明された物体面OSにおいて、光の方向分布の広がりの情報が得られる。そして、本実施形態に係る光学検査装置10は、その情報に基づき、微小欠陥の有無を識別することができるという効果がある。
【0067】
なお、本実施形態では、照明部30から照明光Lが物体Oに照射されると、青光、又は、青光と赤光の両方を受光する。このため、図2におけるステップS1において、「受光あり?」を「青光と赤光の両方の受光あり?」とすると、同様のフローを用いることができる。
【0068】
本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0069】
また、本実施形態において、図3(第1実施形態の変形例)を用いて説明したように、照明部30の照明光(平行光)Lをパターン光としてもよい。処理部14は、照明部30と同期し、照明光を照射する都度、照明部30の照明光と、シングルピクセル受光素子22で得られる受光信号との相関を取る。これにより、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を用いて物体面OSの画像が得られるという効果がある。
【0070】
画像の解像度は、照明部30のパターン光の解像度と同等となる。これは、一般的にゴーストイメージング法と呼ばれることもある。また、本実施形態に係る光学検査装置10は、処理部14を用いて、光の方向分布(BRDF)に関する情報が画素ごとに識別できるという効果がある。つまり、各画素において、光の方向分布(BRDF)に関する情報が色(分光)によって識別できるという効果がある。これにより、本実施形態に係る光学検査装置10は、パターン光を用いることで、微小欠陥がどこにあるか特定できるという効果がある。
【0071】
(変形例)
本実施形態の変形例に係る光学検査装置10について、図7及び図8を用いて述べる。図7には、本変形例の光学検査装置10の断面図を示す。図7の断面図は、撮像側の光軸OAを含むとする。本変形例では、第2の光線選択部28を備える。一方、撮像側の光線選択部を第1の光線選択部26とする(図6で示したものと同じ)。
【0072】
撮像部12のシングルピクセル受光素子22は、光を受光して受光信号を得る。ただし、本変形例のシングルピクセル受光素子22は、光を分光することはできず、光の波長ごとに独立な受光信号を得ることはできないとする。すなわち、本変形例のシングルピクセル受光素子22は、図6で示したものと同じ配置であるが、素子は異なる。または、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を制御し、特定の波長スペクトルの光のみを受光するようにしてもよい。例えば、処理部14は、シングルピクセル受光素子22が、R、G、Bの3つの波長を受光信号として形成されているとき、例えばR信号のみ、G信号のみ、又は、B信号のみを受光可能としてもよい。また、シングルピクセル受光素子22が、R、G、Bの3つの波長を受光信号として形成されているとき、処理部14は、R信号のみ、G信号のみ、又は、B信号のみを受光信号として用いてもよい。
【0073】
撮像側の第1の光線選択部26は、第2実施形態の基本構成と同様に、第1の選択領域51、第2の選択領域52、第3の選択領域53を備える。つまり、これらはそれぞれ、第2実施形態と同じ、第1の波長選択領域51、第2の波長選択領域52、第3の波長選択領域53である。第1の波長選択領域51は青光を通過させ、第2の波長選択領域52及び第3の波長選択領域53は赤光を通過させる。ここで、第2の選択領域52と第3の選択領域53は、形状が異なるものの、同じ波長スペクトルの光を通過させるとする。
【0074】
照明部30には、第2の光線選択部28が設けられる。第2の光線選択部28はカラーホイールとなっており、回転軸60を中心に回転する。ただし、第2の光線選択部28の回転軸60の回転角についてはエンコーダー(図示せず)によって電気的に把握できるとする。なお、第2の光線選択部28の回転角は、処理部14で受信できるものとする。
【0075】
また、図8には、第2の光線選択部28であるカラーホイールの正面図を示す。第2の光線選択部28は、回転軸60の周囲に、第2-1の波長選択領域61、第2-2の波長選択領域62、第2-3の波長選択領域63を備える。第2-1の波長選択領域61は、青光を通過させ、第2-2の波長選択領域62は、赤光を通過させ、第2-3の波長選択領域63は、緑光を通過させる。ただし、緑光は波長550nmをピーク波長とする。
【0076】
照明部30は、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)36を備える。光源32から射出された光はカラーホイール(第2の光線選択部28)の特定の波長選択領域61,62,63のいずれかを通過し、当該波長選択領域61,62,63のいずれかの波長スペクトルの光となって、DMD36で反射される。DMD36によって、時間の経過とともに、さまざまなパターン光を生成することができる。ただし、各パターン光の波長スペクトルは、その時刻における第2の光線選択部28(カラーホイール)の回転角で決定される。
【0077】
例えば第2の光線選択部28を通した照明光が赤光のときを考える。このとき、物点O2で広く散乱された赤光が第1の光線選択部26の第2の波長選択領域52及び第3の波長選択領域53を通過してシングルピクセル受光素子22で受光される。一方、物点O1で散乱されずに反射される、方向分布が狭い赤光は、第1の光線選択部26の第1の波長選択領域51に到達し、遮蔽される。そのため、シングルピクセル受光素子22で受光されない。つまり、処理部14は、シングルピクセル受光素子22で、赤光に相当する受光信号が得られれば、少なくとも一つの物点O2で光が散乱され、光の方向分布が広がった物点があることを検知できるという効果がある。
【0078】
また、照明光が青光のとき、第1の波長選択領域51は青光を通過させる。このとき、物点O1,O2で光は、散乱されたか否かにかかわらず、シングルピクセル受光素子22で常に受光される。青光の受光信号は、物体面OSが均一媒質上であり、光を異常に散乱させるようなものが無い場合に一番大きくなる。一方、物体面OSに光を散乱させる領域が大きいほど、あるいは、ある物点で光が散乱されて広く広がるほど、受光信号は小さくなる。つまり、処理部14は、青光の受光信号の強度変化(画素値)に基づいて、光の散乱特性を推定できるという効果がある。
【0079】
また、照明光が緑光のとき、物体面OSから結像光学素子24を通過してシングルピクセル受光素子22に向かう光は、光線選択部26によって遮蔽される。これにより、もしこのときにシングルピクセル受光素子22で緑光の信号が得られれば、それはノイズである。つまり、照明が緑光のときの信号値からノイズを推定できるという効果がある。処理部14は、ノイズが得られれば、シングルピクセル受光素子22の受光信号からそのノイズをオフセットするなどして、検知の精度を高くすることができるという効果がある。
【0080】
本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0081】
(第3実施形態)
以下、本実施形態に係る光学検査装置10について、図9を参照して詳細に説明する。本実施形態の光学検査装置10の基本構造は第2実施形態の光学検査装置10と同じである。以下では差分を述べる。
【0082】
本実施形態の光学検査装置10において、照明部30はPJ(プロジェクター)70を備えている。本実施形態では、シングルピクセル受光素子22は、可視光を受光できるが、分光はできない。つまり、シングルピクセル受光素子22はモノクロ信号を取得する。光線選択部26は、第1の選択領域26aが全て遮蔽領域で構成されるものとする。つまり、光線選択部26の中心(撮像光軸OAおよびその近傍)に遮蔽領域26aを備える。そして、光線選択部26は、遮蔽領域26aよりも外側の光を一部通過させる。さらに外側には、再び遮蔽領域26cを備える。
【0083】
PJ70は、光源72と、合波部74と、照明光学素子76とを備える。
【0084】
光源72は白色LEDとする。ただし、この限りではなく、光源72は光を発するものならば何でもよい。
【0085】
照明光学素子76は、フレネルレンズであるとする。フレネルレンズは結像光学素子であり、光を物点から像点に結像する。ただし、この限りではなく、照明光学素子76は、本実施形態では光を結像できるものならば何でもよい。照明光学素子76の光軸を照明光軸OAbとし、撮像光軸OAaとは区別する。撮像光軸OAa及び照明光軸OAbの両者は一致してもよいが、異なっていてもよい。
【0086】
合波部74は、2つのダイクロイックミラー81,82と、3つのミラー83,84,85と、一つのクロスダイクロイックプリズム86と、透過型LCD(液晶ディスプレイ)パネル87,88,89とを備える。
【0087】
クロスダイクロイックプリズム86の3つの面には、透過型LCD(液晶ディスプレイ)パネル87,88,89がそれぞれ配置される。ただし、この限りではなく、LCDは、DMD(Digital Micromirror Device)でもよく、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)でもよい。つまり、LCDの代わりに、空間を変調して光の投影像を作りだす空間変調器ならば何でもよい。空間変調器は、機械的に動作するものでもよいが、電気的に動作するほうが望ましい。
【0088】
次に、本実施形態に係る光学検査装置10の動作を述べる。
【0089】
PJ70の光源72から発した光は合波部74に入射し、第1のダイクロイックミラー81で青光と緑光が透過され、赤光が反射される。赤光は、第3のミラー85で反射され、透過型LCDパネル87を通過する。第1のダイクロイックミラー81を透過した青光と緑光は、第2のダイクロイックミラー82に到達し、青光は透過し、緑光は反射される。第2のダイクロイックミラー82で反射された緑光は、透過型LCDパネル88を通過する。第2のダイクロイックミラー82を透過した青光はさらに、第1のミラー83、第2のミラー84で反射され、透過型LCDパネル89を通過する。このとき、LCDパネル87,88,89のパターンに応じてパターン光が生成される。緑光と赤光も同様にパターン光になる。そして、青光、緑光、赤光は全て、クロスダイクロイックプリズム86によって合波され、多波長(白色)パターン光となってPJ70から射出される。多波長パターン光は、照明側において、照明光学素子76によってLCDパネル87,88,89上の物点から像点へと投射(投影)される。この像点は、撮像側では物体の物点に相当する。
【0090】
物体Oが均一媒質であるとき、物体Oで光はわずかに散乱され、狭い方向分布の光となる。一方、物体Oに異物などの微小欠陥があると光は広く散乱される。このような散乱を特異散乱と呼ぶ。
【0091】
光線選択部26の遮蔽領域26aは、物点で光が特異散乱されない場合、その光を遮蔽するように配置される。一方、遮蔽領域26aは、物点によって光が特異散乱されて方向分布が広がると、その光を通過するようにも形成されている。つまり、微小欠陥によって光が特異散乱されて光の方向分布が広がるとき、遮蔽領域26aと26cの間を光が通過できる。以上により、物体Oに微小欠陥が無ければ、各物点からの光はシングルピクセル受光素子22で受光されない。一方、物点に微小欠陥が存在する場合、シングルピクセル受光素子22で受光される。これにより、処理部14は、物体面OSにおける微小欠陥の有無を識別することができるという効果がある。
【0092】
本実施形態において、パターン光はアダマールパターン光(非特許文献1参照)とする。照明部30は、時間の経過とともに、パターン光を次々に投射し得る。処理部14は、照明光を照射する都度、シングルピクセル受光素子22で得られる受光信号との相関を取る。これにより、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を用いて画像(物体Oの表面の情報)が得られるという効果がある。画像の解像度は、照明部30のパターン光の解像度と同等となる。これは、一般的にゴーストイメージング法と呼ばれることもある。本実施形態に係る光学検査装置10は、処理部14を用いて、物体面において、光の散乱特性が推定できるという効果がある。つまり、光の方向分布が狭い物点は光線選択部26によって遮蔽されるため、シングルピクセル受光素子22を通して処理部14で取得される画像には写らない。一方、光の方向分布が広い物点は光線選択部を通過できるため、シングルピクセル受光素子22を通して処理部14で取得される画像に写る。このため、本実施形態に係る光学検査装置10は、微小欠陥がどこにあるか特定できるという効果がある。
【0093】
本実施形態の処理部14で得られる画像は暗視野画像であり、微小欠陥の画素値を均一媒質のものよりも大きくできるため、S/Nが向上するという効果がある。
【0094】
本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0095】
(第4実施形態)
以下、本実施形態に係る光学検査装置10について、図10を参照して説明する。本実施形態の光学検査装置10の基本構造は第3実施形態の光学検査装置10と同じである。以下では差分を述べる。
【0096】
図10には、本実施形態に係る光学検査装置10の模式的な断面図を示す。図10の断面図は、照明光軸OAbと撮像光軸OAaを同時に含むとする。
【0097】
照明光は、第1、第2、第3の波長スペクトルを含む複数の波長スペクトルで構成される光とする。光線選択部26は、第1の波長スペクトルの光を透過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第1の波長選択領域51、第2の波長スペクトルの光を透過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第2の波長選択領域52、第3の波長スペクトルの光を透過させ、残りの少なくとも一つの波長スペクトルの光を遮蔽する第3の波長選択領域53を持つ。ただし、光線選択部26の第1の波長選択領域51、第2の波長選択領域52、第3の波長選択領域53は、撮像光軸OAaに対してそれぞれ同心円状(同軸)であるとする。つまり、光線選択部26は、撮像光軸OAaに対して離れたところから撮像光軸(中心)OAaに向かって、第1の波長選択領域51、第2の波長選択領域52、第3の波長選択領域53の順に配置されているとする。なお、第1の波長スペクトルの光を青光とし、第2の波長スペクトルの光を赤光とし、第3の波長スペクトルの光を緑光とする。つまり、光線選択部26の中心は緑光を通過させ、その外側は赤光を通過させ、さらに外側は青光を通過させる。
【0098】
シングルピクセル受光素子22は分光器であるとし、青光のピーク波長、緑光のピーク波長、赤光のピーク波長をそれぞれ異なる独立の信号として取得できる。
【0099】
本実施形態では、光源72とPJ70の合波部74との間に照明光学素子76が配置される。照明光学素子76は、フレネルレンズであるとする。フレネルレンズは光源72を焦点に配置することにより、平行光を作り出すことができる。平行光は実質的に平行な光であればよく、わずかに発散角を持っていてもよい。ただし、この限りではなく、光源72からの光を平行光に変換できるものならば何でもよい。光源72からの光を平行光に変換する照明光学素子76としては、例えば、CPC(Compound Parabolic Concentrator: 複合放物面型集光器)でもよい。CPCは非結像の光学系であることが知られている。つまり、CPCは物点を像点に結像する機能を持たない。照明光学素子76は非結像系の光学素子でもよい。
【0100】
次に、本実施形態に係る光学検査装置10の動作を述べる。
【0101】
光源72から発光した光は照明光学素子(フレネルレンズ)76に到達し、平行光へと変換される。平行光は、PJ70の合波部74に入射し、第1のダイクロイックミラー81で青光と緑光が透過され、赤光が反射される。赤光は、第3のミラー85で反射され、透過型LCDパネル87を通過する。第1のダイクロイックミラー81を透過した青光と緑光は、さらに第2のダイクロイックミラー82に到達し、青光は透過し、緑光は反射する。第2のダイクロイックミラー82を反射した緑光は、透過型LCDパネル88を通過する。第2のダイクロイックミラー82を透過した青光はさらに、第1のミラー83、第2のミラー84で反射され、透過型LCDパネル89を通過する。このとき、LCDパネルのパターンに応じてパターン光が生成される。緑光と赤光も同様にパターン光になる。そして、青光、緑光、赤光は全て、クロスダイクロイックプリズム86によって合波され、多波長(白色)パターン光となってPJ70から射出される。ここで、多波長パターン光は照明光軸に沿った平行光である。
【0102】
LCDパネルの空間変調の画素(解像度)のサイズに応じ、照明光軸OAbと方向が異なる回折光が生じることがある。つまり、照明光軸OAbに対して方向が傾斜したパターン光が生成され得る。しかし、PJ70と物体Oとを十分遠ざけることにより、空間変調器で生じた回折光はシングルピクセル受光素子22で受光されないように構成することができる。
【0103】
光線選択部26が結像光学素子24の焦点面(撮像側焦点面)FPに配置されるため、各物点O1,O2において、撮像光軸OAaに対する光線方向に応じて光線選択部26を通過する位置が定まる。つまり、物点Oにおいて撮像光軸OAaに平行な光線は、焦点(撮像側焦点)を通過する。そのため第3の波長選択領域53に到達する。このとき、光線と撮像光軸OAaの成す角を第3の角度α3≒0°とする。また、物点Oにおいて、撮像光軸OAaに対して少し傾斜する光線は、焦点面(撮像側焦点面)FPにおいて、焦点から少し離れた第2の波長選択領域52に到達する。このとき、光線と撮像光軸OAaの成す角を第2の角度α2とする。また、撮像光軸OAaに対して大きく傾斜する光線は、焦点面(撮像側焦点面)FPにおいて、焦点から大きく離れた第1の波長選択領域51に到達する。このとき、光線と撮像光軸OAaの成す角を第1の角度α1とする。以上により、光線と撮像光軸OAaの成す角に応じて光線選択部26を通過する光の波長スペクトルが異なる。つまり、撮像光軸OAaとの成す角が0°=第3の角度α3(図示せず)のとき、光線選択部26を通過する光の波長スペクトルは緑光となる。撮像光軸OAaとの成す角が第2の角度α2になるとき、光線選択部26を通過する光の波長スペクトルは赤光となり、撮像光軸Oaとの成す角が第1の角度α1になるとき、光線選択部26を通過する光の波長スペクトルは青光となる。
【0104】
シングルピクセル受光素子22は分光器であるため、青光、赤光、緑光のピーク波長に対して独立に信号強度(画素値)を取得できる。そのため、処理部14は、それらの信号から、光の方向を推定することができる。また、処理部14は、光の方向分布(BRDF)の広がりも推定することができる。
【0105】
本実施形態において、パターン光はランダムパターン光(非特許文献1参照)とする。時間の経過とともに、パターン光を次々に投射し得る。処理部14は、照明光を照射する都度、照明部30の照明光と、シングルピクセル受光素子22で得られる受光信号との相関を取る。これにより、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を用いて画像(物体Oの表面の情報)が得られるという効果がある。画像の解像度は、照明部30のパターン光の解像度と同等となる。これは、一般的にゴーストイメージング法と呼ばれることもある。
【0106】
以上により、処理部14は、各物点ごとの光の方向分布を、シングルピクセル受光素子22で受光される波長ごとの信号で識別できるという効果がある。つまり、処理部14は、青光、赤光、緑光のピーク波長ごとに独立に受光される信号の強度から、光の方向、光の方向分布、あるいは光の方向分布の広がりが識別できるという効果がある。つまり、処理部14は、光の散乱情報、あるいは透過(反射)方向情報、透過(反射)方向分布情報、透過(反射)方向分布の広がり情報を取得できる。また、これにより、処理部14は、物体面の形状、性状、異物の有無などを検査することが可能になるという効果がある。
【0107】
本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0108】
(第5実施形態)
以下、本実施形態に係る光学検査装置について、図11を参照して説明する。本実施形態に係る光学検査装置10の基本構造は第4実施形態の光学検査装置10と同じである。以下では差分を述べる。
【0109】
図11には、本実施形態に係る光学検査装置10の断面図を示す。図11に示す断面図は、撮像光軸OAaと照明光軸OAbとを含む。
【0110】
照明部30としては、PJ70を備える。本実施形態に係るPJ70は、空間変調器91と照明光学素子92とを備える。空間変調器91は、LCDでも、LCOSでも、DMDでもなんでもよい。つまり、空間変調器91は、電気的な変調により光の投影像を作りだすものならば何でもよい。ここでは、空間変調器91は、LCDとする。
【0111】
照明光学素子92は、結像光学素子とし、例えば、アクロマティックレンズであるとする。アクロマティックレンズを用いると照明光Lの色収差を低減できる。アクロマティックレンズの光軸を照明光軸OAbとする。
【0112】
第1の光線選択部(撮像側光線選択部)26は、例えば結像光学素子24とシングルピクセル受光素子22との間の撮像側に設けられる。また、第2の光線選択部(照明側光線選択部)28は、PJ70の空間変調器91と、照明光学素子92との間の照明側に設けられる。撮像側光線選択部26は、撮像光軸OAaを軸として同心円の遮蔽領域を備える。
【0113】
照明側光線選択部28は、照明光軸OAbを軸として同心円の波長選択領域を備える。光源(図示せず)からの光の波長スペクトルは、少なくとも第1、第2、第3の波長スペクトルの光を含むとする。これらを、第2-1の波長選択領域64、第2-2の波長選択領域65、第2-3の波長選択領域66とする。第2-1の波長選択領域64は、第1の波長スペクトルの光として青光を通過させ、青光とは異なる残りの第2と第3の波長スペクトルの波長を遮蔽する。第2-2の波長選択領域65は、第2の波長スペクトルの光として緑光を通過させ、緑光とは異なる残りの第1と第3の波長スペクトルの光を遮蔽する。第2-3の波長選択領域66は、第3の波長スペクトルの光として赤光を通過させ、赤光とは異なる残りの第1と第2の波長スペクトルの光を遮蔽する。
【0114】
撮像側光線選択部26は、撮像側の結像光学素子24の焦点面FPaに配置される。撮像側光線選択部26は、撮像光軸OAaに沿った位置が開口され、その外側に遮蔽領域26dを有する。
【0115】
照明側光線選択部28は、照明側の照明光学素子92の焦点面FPbに配置される。照明側において、照明側光線選択部28が照明光学素子92の焦点面FPbに配置されるため、照明側光線選択部28を通過する位置と、通過した光線の照明光軸OAbとの成す角とを対応づけることができる。つまり、照明側焦点FPbを通過する青光は、照明光軸OAbに平行となって撮像側の物体面Oに到達する。このとき、青光の照明光軸OAbとの成す角を第1の角度β1(図示せず)とすると、角度β1は0°(β1≒0°でよい)となる。また、照明側焦点面FPbにおいて、焦点から少し離れた位置を通過する緑光は、照明光軸OAbとの成す角が第2の角度β2となる。同様に、照明側焦点面FPbにおいて、焦点から大きく離れた位置を通過する赤光は、照明光軸OAbとの成す角が第3の角度β3となる。ここで、第3の角度β3のほうが、第2の角度β2よりも大きくなる。
【0116】
シングルピクセル受光素子22は分光器とし、青光、緑光、赤光のピーク波長に対して独立に信号強度を取得できる。
【0117】
以下に本実施形態の光学検査装置10の動作を述べる。
【0118】
本実施形態において、パターン光はアダマールパターン光(非特許文献1参照)とする。例えば処理部14はPJ70の空間光変調器91を制御し、時間の経過とともに、パターン光を次々に投射し、その都度シングルピクセル受光素子で得られる受光信号との相関を取る。ただし、処理部14は、画像相関を青光、緑光、赤光のそれぞれに対して行う。これにより、処理部14は、シングルピクセル受光素子22を用いて画像が得られるという効果がある。画像の解像度は、パターン光の解像度と同等となる。これは、一般的にゴーストイメージング法と呼ばれることもある。
【0119】
物体が均一媒質であるとき、物体で光の散乱は起こらない。一方、物体に異物などの微小欠陥があると光は散乱される。
【0120】
撮像側の第1の光線選択部26は、物体が均一媒質であるとき、各物点を通過する緑光と赤光を遮蔽領域26dで遮蔽し、青光のみを遮蔽領域26dの中心軸(光軸OAa)及びその近傍に設けられた開口を通過させる。一方、微小欠陥によって光が散乱されて光の方向分布が広がるとき、緑光あるいは赤光のそれぞれの一部も遮蔽領域26dの開口を通過させる。以上により、物体Oに微小欠陥が無ければ、各物点からの光はシングルピクセル受光素子22で青光のみが受光される。一方、微小欠陥が存在する物点は、シングルピクセル受光素子22で青光に加えて、緑光あるいは赤光、すなわち、2つ又は3つの波長スペクトルの光も受光される。これにより、処理部14は、物体面OSにおける各物点において、微小欠陥の有無を識別することができるという効果がある。また、処理部14は、緑光と赤光が同時に検知された場合、緑光のみが検知された場合と比べて物点における光の方向分布の広がりが広いと推定できるという効果がある。つまり、処理部14は、光の散乱の大きさに関する情報を各物点で得ることができる。これにより、処理部14は、物体の形状、性状、異物の有無などの光学検査が可能となる。
【0121】
本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0122】
(第6実施形態)
以下、本実施形態に係る光学検査装置10について、図12を参照して詳細に説明する。本実施形態の光学検査装置10の基本構造は第5実施形態の光学検査装置10と同じである。以下では差分を述べる。
【0123】
本実施形態に係る光学検査装置10の断面図を図7に示す。図7の断面図は、撮像光軸OAaと照明光軸OAbとを含む。
【0124】
光学検査装置10は、照明側には照明光学素子90を備える。第1の照明光学素子90は結像光学素子である。例えば、第1の照明光学素子90はフレネルレンズであるとする。第1の照明光学素子90は、第1の照明側焦点面FPbを持つ。照明光軸OAbは、第1の照明光学素子90の光軸とする。
【0125】
光学検査装置10は、照明側にはPJ70を備える。PJ70は、空間変調器91と第2の照明光学素子92を備える。空間変調器91は、LCDでも、LCOSでも、DMDでもなんでもよい。つまり、空間変調器91は、電気的な変調により光の投影像を作りだすものならば何でもよい。ここでは、空間変調器91は、LCDとする。第2の照明光学素子92の光軸は、第1の照明光学素子90の光軸(照明光軸)OAbと異なってもよい。第2の照明光学素子92は、結像光学素子とし、例えば、アクロマティックレンズであるとする。アクロマティックレンズを用いると、照明光の色収差を低減できる。
【0126】
光線選択部26は、撮像側の結像光学素子24の焦点面FPaに配置される。これを第1の光線選択部とする。あるいは、撮像側光線選択部とする。撮像側光線選択部26は、撮像光軸OAaを軸として同心円の波長選択領域を備える。本実施形態では、撮像側光線選択部26は、第1-1の波長選択領域51、第1-2の波長選択領域52、及び、第1-3の波長選択領域53を有する。
【0127】
照明側の光線選択部28は、PJ70を用いて第1の照明光学素子90の焦点面FPbに像を投影することによって生成する。このようにPJ70によって投影された像を照明側光線選択部(第2の光線選択部)28とする。しかし、照明側光線選択部28は、実際には実体があるわけではなく、あくまでもPJ70で投影された像である。照明側光線選択部28は、照明光軸OAbを軸として同心円の波長選択領域を備える。照明側光線選択部28は、第2-1の波長選択領域67、第2-2の波長選択領域68、及び、第2-3の波長選択領域69とする。第2-1の波長選択領域67は青光であり、第2-2の波長選択領域68は緑光であり、第2-3の波長選択領域69は赤光である。このように、第2の光線選択部28をPJ70によって投影された像とすることにより、自由に光線選択部を変化させたり、拡大・縮小させたりすることが可能になるという効果がある。このため、光軸OAbに沿って、中心軸から外側に向かって、青光、緑光、赤光の同心状の照明が第1の照明光学素子90を通して物体Oの各物点で形成される。
【0128】
実体がないため、第1の照明側焦点面FPbには何も配置しなくてもよいが、第1の照明側焦点面FPbには光拡散部を配置してもよい。光拡散部は光を拡散させる機能を有する。光拡散部としては、例えば、摺りガラスでもよい。ただし、これに限らず、光拡散部としては、透過型でも反射型でもよい。また、光拡散部としては、波長を変換して発散光を生成する蛍光体でもよい。光拡散部を第1の照明側焦点面FPbに配置することで、各物点において様々な方向の光を入射させることができる。もし、光拡散部を配置しない場合、物点ごとに入射立体角を占める光線の数が大きく変動したり、物点によっては入射立体角を占める光線数が少ないものが存在したりしてしまう。そのため、光拡散部を配置することにより、各物点の入射立体角を占める光線の数を増やし、各物点ごとの変動を抑えるという効果がある。
【0129】
第1の光線選択部(撮像側光線選択部)26の第1-1の波長選択領域51、第1-2の波長選択領域52、第1-3の波長選択領域53は、それぞれ、青光、緑光、赤光を遮蔽し、かつ青光、緑光、赤光の補色を通過させる。つまり、第1-1の波長選択領域51は、青光を遮蔽するが、緑光と赤光は通過させる。第1-2の波長選択領域52は、緑光を遮蔽するが、青光と赤光は通過させる。第1-3の波長選択領域53は、赤光を遮蔽するが、青光と緑光は通過させる。
【0130】
照明側において、第2の光線選択部28が第1の照明光学素子90の焦点面(第1の照明側焦点面)FPbへの投影によって形成されるため、光線選択部28を通過する光の位置と、光線選択部28を通過した通過後に物点に向かう光の照明光軸OAbとの成す角を対応づけることができる。つまり、照明側焦点を通過する青光は、照明光軸OAbと平行になる。青光の照明光軸OAbとの成す角を第1の角度γ1(図示せず)とすると、角度は0°(γ1≒0°でよい)となる。また、照明側焦点面FPbにおいて、焦点から少し離れた位置を通過する緑光は、照明光軸OAbとの成す角が第2の角度γ2となる。同様に、照明側焦点面FPbにおいて、焦点から大きく離れた位置を通過する赤光は、照明光軸OAbとの成す角が第3の角度γ3となる。ここで、第3の角度γ3のほうが、第2の角度γ2よりも大きくなる。
【0131】
シングルピクセル受光素子22はモノクロ信号を受光するものとし、分光はできないものとする。
【0132】
以下に本実施形態の動作を述べる。
【0133】
本実施形態において、パターン光はアダマールパターン光(非特許文献1参照)とする。処理部14は、照明部30を制御して、時間の経過とともに、パターン光を次々に投射し、その都度シングルピクセル受光素子22で得られる受光信号との相関を取る。これにより、シングルピクセル受光素子22を用いて画像が得られるという効果がある。画像の解像度は、パターン光の解像度と同等となる。これは、一般的にゴーストイメージング法と呼ばれることもある。
【0134】
物体が均一媒質であるとき、物体で光の散乱は起こらない。一方、物体に異物などの微小欠陥があると光は散乱される。
【0135】
物体が均一媒質であるとき、撮像側の第1の光線選択部26は、青光、緑光、赤光を遮蔽し、青光、緑光、赤光の補色を通過させるため、全ての照明光を遮蔽する。一方、微小欠陥によって光が散乱されて光の方向分布が広がるとき、青光の補色あるいは緑光の補色あるいは赤光の補色のいずれか、あるいは全てを通過させる。以上により、物体Oに微小欠陥が無ければ、シングルピクセル受光素子22で照明光は受光されない。一方、物体Oに微小欠陥が存在する物点は、シングルピクセル受光素子22で照明光が受光される。これにより、物体面OSにおける各物点において、処理部14は、微小欠陥の有無を識別することができるという効果がある。つまり、処理部14は、光の散乱の大きさに関する情報を各物点で得ることができる。これにより、光学検査装置10は、物体の形状、性状、異物の有無などの光学検査が可能となる。
【0136】
本実施形態では、PJ70によって投影された像を第2の光線選択部28とする。これにより、第2の光線選択部28を電気的に自由に変更することができる。そのため、物体面へ入射する照明の立体角と光の色(青光、緑光、赤光)との対応関係を変化させることができるという効果がある。つまり、光の方向分布の広がりに対する感度を調整し、最適化することができるという効果がある。
【0137】
本実施形態によれば、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる、シングルピクセルを用いた光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムを提供することができる。
【0138】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の光学検査装置10、光学検査方法、及び、光学検査プログラムによれば、シングルピクセルを用いて、光の方向分布(BRDF)に関する情報を得ることができる。
【0139】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0140】
10…光学検査装置、12…撮像部、14…処理部、22…シングルピクセル受光素子、24…結像光学素子、26…第1の光線選択部(撮像側光線選択部)、26a…第1の選択領域、28…第2の光線選択部(照明側光線選択部)、30…照明部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12