(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135212
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】貯湯タンクユニット
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20240927BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20240927BHJP
【FI】
F24H9/00 E
F24H1/18 G
F24H9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045782
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】谷地田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】林 純平
(72)【発明者】
【氏名】米山 正敏
(72)【発明者】
【氏名】大桃 正己
【テーマコード(参考)】
3L036
3L122
【Fターム(参考)】
3L036AB09
3L122AA02
3L122AA63
3L122AA64
3L122AB22
3L122AB41
(57)【要約】
【課題】気泡供給ユニットを有した貯湯タンクユニットにおいて、浴槽に供給する湯水の温度低下を抑制させる。
【解決手段】気泡供給経路22には、水に気体を溶解させる溶解タンク25と、溶解タンク25に気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁28と、溶解タンク25よりも上流側に設けられている加圧ポンプ24とを備えた貯湯タンクユニット1において、気体導入弁28に空気吸い込み口29を備え、溶解タンク25は、コーナー部Cに配置され、溶解タンク25の空気吸い込み口29は、少なくとも貯湯タンク2に向けて配置させた。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクユニットは天板と、底板と、前面板と、下部前面板と、配管接続板と、後面板と、左右側面板とで構成され、
前記下部前面板と前記左右側面板の内一つの側面板により内側にコーナー部を有した長方体形状しており、
前記貯湯タンクユニット内には
加熱手段によって沸き上げた湯水を貯湯する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクに給水する給水管と、
前記給水管から枝分かれした給水バイパス管と、
前記貯湯タンク上部から湯を供給する出湯管と、
前記給水バイパス管からの水と前記出湯管からの湯を混合する混合弁と、
混合した湯水を浴槽へ供給する風呂配管と、
貯湯タンク内の湯水が放熱しないように前記貯湯タンクの外周を覆う略一定の厚みをもった成型断熱材とを備え、
前記風呂配管途中には、前記風呂配管から分岐し、前記風呂配管に合流する気泡供給経路が設けられ、
前記気泡供給経路には、
水に気体を溶解させる溶解タンクと
前記溶解タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、
前記溶解タンクよりも上流側に設けられている加圧ポンプとを備えた貯湯タンクユニットにおいて、
前記気体導入弁に空気吸い込み口を備え、
前記溶解タンクは、前記コーナー部に配置され、
前記溶解タンクの前記空気吸い込み口は、少なくとも前記貯湯タンクに向けて配置させたことを特徴とする貯湯タンクユニット。
【請求項2】
前記溶解タンクが配置されている前記空気吸い込み口付近の前記成型断熱材の厚みを前記略一定の厚みよりも薄くしたことを特徴とする請求項1記載の貯湯タンクユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、気泡供給ユニットを有した貯湯タンクユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種の気泡供給ユニットは、水に空気を溶解させる溶解タンクと、溶解タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、溶解タンクに水を圧送する加圧ポンプと、外部から空気を吸い込む空気吸い込み口とを備え、浴室内や室外に設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-64762号公報
【特許文献2】特開2022-181903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、浴室内に気泡供給ユニットが設けられている場合、溶解タンクで混ぜ合わせる空気を空気吸い込み口から吸い込むとき、比較的温かい空気を吸い込むことができるが、室外に設置されている貯湯タンクユニット内に気泡供給ユニットが設けられている場合は、外気温度の影響を受けやすく、外気温度が低いと、吸い込んだ空気の温度も低くなり、比較的冷たい空気と湯とを溶解タンクで混ぜ合わせると、湯水の温度が下がってしまい浴槽に流入する温度が低くなり、入浴者が不快と感じてしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、貯湯タンクユニットは天板と、底板と、前面板と、下部前面板と、配管接続板と、後面板と、左右側面板とで構成され、前記下部前面板と前記左右側面板の内一つの側面板により内側にコーナー部を有した長方体形状しており、前記貯湯タンクユニット内には加熱手段によって沸き上げた湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクに給水する給水管と、前記給水管から枝分かれした給水バイパス管と、前記貯湯タンク上部から湯を供給する出湯管と、前記給水バイパス管からの水と前記出湯管からの湯を混合する混合弁と、混合した湯水を浴槽へ供給する風呂配管と、貯湯タンク内の湯水が放熱しないように前記貯湯タンクの外周を覆う略一定の厚みをもった成型断熱材とを備え、前記風呂配管途中には、前記風呂配管から分岐し、前記風呂配管に合流する気泡供給経路が設けられ、前記気泡供給経路には、水に気体を溶解させる溶解タンクと前記溶解タンクに気体を導入する気体導入路を開閉する気体導入弁と、前記溶解タンクよりも上流側に設けられている加圧ポンプとを備えた貯湯タンクユニットにおいて、前記気体導入弁に空気吸い込み口を備え、前記溶解タンクは、前記コーナー部に配置され、前記溶解タンクの前記空気吸い込み口は、少なくとも前記貯湯タンクに向けて配置させた。
【0006】
また、前記溶解タンクが配置されている前記空気吸い込み口部分の前記成型断熱材の厚みを前記略一定の厚みよりも薄くした。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、貯湯タンクからの放熱で温められた空気を空気吸い込み口から取り込むことで、浴槽に供給する湯水の温度低下を抑制させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】この発明の貯湯タンクユニットの外観斜視図。
【
図3】この発明の貯湯タンクユニットの内部斜視図。
【
図4】この発明の気泡供給ユニットの要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次にこの発明の1実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づいて説明する。
1は貯湯タンクユニットで内方には、湯水を貯湯する貯湯タンク2と、該貯湯タンク2の上部に接続された出湯管3と、貯湯タンク2の下部に接続された給水管4と、出湯管3からの高温水と給水管4から分岐された給水バイパス管5からの低温水とをミキシングする風呂混合弁6と、該風呂混合弁6の下流に接続された湯張り管7に設けられた風呂温度センサ8及び風呂流量を検出する風呂流量センサ9とが備えられている。
【0010】
10は加熱手段であり、加熱手段10内部には、圧縮機と凝縮器としての水冷媒熱交換器と電子式の膨張弁と室外ファンを有し空気と熱交換する蒸発器としての空気熱交換器とが備えられている。前記貯湯タンク2内の湯水を加熱往き管11及び加熱戻り管12から成る加熱循環回路13を介して加熱手段10に循環させる循環ポンプ14と、それらの駆動を制御するヒートポンプ制御部とを備えており、加熱手段10には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、冷媒に二酸化炭素を用いているので、低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げるこ とが可能になっている。
【0011】
15は湯張り管7を浴槽と連通させて、浴槽に湯を供給させる湯張り弁、16は湯張り管7に設けられ、浴槽の湯が貯湯タンク2内に流入するのを防止する逆止弁である。
【0012】
17aは湯張り管7と接続された風呂循環路、17bは風呂循環路17aと浴槽とを接続する第一水路、17cは風呂循環路17aと第一切替弁27Aと第二切替弁27Bとを接続する第二水路、17dは第二切替弁27Bを介して第二水路17cと浴槽を接続する第三水路、17eは風呂熱交換器30を介して浴槽の湯水を加熱する追い焚き経路である。18は風呂循環路17に設けられた風呂循環ポンプである。17a~17dは浴槽と加熱手段10を接続する風呂配管である。
【0013】
19は浴槽の水位を検出する水位センサ、20は風呂循環ポンプ18を駆動したときに浴槽から水が流れてくるかどうかを検出する流水センサである。
【0014】
次に、浴槽に供給させる湯水に気泡を内包させる気泡供給ユニット21について説明する。
22aは風呂循環路17aと溶解タンク25の上流側とを接続する湯水供給路、22bは溶解タンク25の下流側と第二切替弁27Bと接続する湯水排出路である。この湯水供給路22aと湯水排出路22bとの経路で構成された気泡供給経路22である。
【0015】
気泡供給経路に22には、気泡供給経路22に流入させる水量を制御する水量サーボ23と、上流側に配置され、下流に向けて湯水を圧送する加圧ポンプ24Aと、下流側に配置され、下流に向けて湯水を圧送する加圧ポンプ24Bと、圧送された湯水に空気を溶解させる溶解タンク25と、溶解タンク25への逆流を防止する逆止弁26と、三方弁27とが設けられている。
【0016】
溶解タンク25には、溶解タンク25内に空気を取り入れる気体導入路を開閉する弁である気体導入弁28と、空気を取り入れる空気吸い込み口29とを備えている。
【0017】
200は風呂温度センサ8、風呂流量センサ9、水位センサ19、流水センサ20の検出値が入力されると、風呂混合弁6、循環ポンプ14、湯張り弁15、風呂循環ポンプ18、三方弁27、気体導入弁28、加熱手段10の作動を予め記憶されたプログラムに従って制御する制御装置である。
【0018】
また、制御装置200は、図示しないリモコンと通信可能に接続され、リモコンを介してユーザーから指示された運転を行うと共に、予め記憶されたプログラムに従って各種運転を行う。
【0019】
次に、沸き上げ運転について説明する。
沸き上げ要求があると、制御装置200は、貯湯タンク2と加熱手段10を繋ぐ加熱循環回路13の途中にある循環ポンプ14を駆動して、貯湯タンク2内下部から水をくみ上げ、加熱手段10で温めて貯湯タンク2上部に戻す動作を続ける事により徐々に貯湯タンク2内の水が高温水へと沸き上げる。
【0020】
次に湯張り動作について説明する。
図示しないリモコンでユーザーが湯張り運転を指示すると、制御装置200は湯張り弁15を開弁し、給水管4から給水を供給し、貯湯タンク2下部に流入すると共に給水バイパス管5を通り、貯湯タンク1上部から押し出された高温水と給水バイパス管5の給水が風呂混合弁6で混ぜ合わされ、予め設定された風呂設定温度と風呂温度センサ8で検出された温度が同じになるように調整された湯水が、湯張り管7、風呂循環路17a、第一水路17bを通って浴槽に流入されることで湯張りが開始される。そして、風呂流量センサ9で流れた流量を検出して、流れた流量の合計積算値が予め設定された湯張り設定量分流れたら制御装置200が湯張り弁15を閉状態にすることで湯張りを完了する。また、風呂循環路17aには、第一水路17bを介して浴槽へ供給する流路と、第三水路17d及び第二水路17cを介して浴槽へ供給する流路との2本の経路があるが、2本の配管から同時に給湯して湯張り運転を行う高速湯張り運転を行うこともできる。
【0021】
次に気泡供給運転について説明する。
図示しないリモコンでユーザーが気泡供給運転を指示すると、制御装置200は、気体導入弁28を開き、第一切替弁27Aは第一水路17bを連通状態に切り替え、第二切替弁27Bは湯水排出路22bと第二水路17cを連通状態に切り替え、第三切替弁27Cを風呂熱交換器30側に切り替え、風呂循環ポンプ18を駆動する。これにより、制御装置200は、溶解タンク25内の湯水を、湯水排出路22b、第二水路17c、風呂循環路17a、追い焚き経路17e、風呂熱交換器30、追い焚き経路17e、風呂循環路17a、第一水路17b、浴槽の順に排出させる気泡供給の給気動作を行う。気泡供給運転の準備動作を行うことで、配管の内部に残存していた冷めた湯水が、沸き上げられながら、浴槽へと排出され、溶解タンク25内の湯水を排水して溶解タンク25内に空気を供給することができる。
【0022】
そして、制御装置200は、気体導入弁28を閉じ、第一切替弁27Aは第一水路17bと第二水路17cとを連通状態に切り替え、第二切替弁27Bは第三水路17dと湯水排出路22bを連通状態に切り替え、第三切替弁27Cを風呂熱交換器30側に切り替え、加圧ポンプ24Aと加圧ポンプ24Bを駆動し、風呂循環ポンプ18を駆動する。これにより、制御装置200は、浴槽の湯水を、第一水路17b、第二水路17c、風呂循環路17a、追い焚き経路17e、風呂熱交換器30、追い焚き経路17e、風呂循環路17a、湯水供給路22a、溶解タンク25、湯水排出路22b、第三水路17d、浴槽の順に循環させる気泡供給運転の給水動作を行う。気泡供給運転の給水動作を行うことで、溶解タンク25に加圧ポンプ24で加圧された水が給水され、溶解タンク25内で湯水に空気を加圧溶解し、湯水に空気を内包させながら浴槽に供給する。
【0023】
この給水動作と給気動作を交互に行なうことで、空気が内包させた湯水を浴槽へ供給する気泡供給運転を行う。
【0024】
次に、貯湯タンクユニット1について
図4に基づいて説明する。
貯湯タンクユニット1は、天板101と、底板102と、前面板103と、管の接続口となる配管接続板103bと、前面下部を覆う下部前面板103Bと、右側面板104と、左側面板105と、後面板106で四方を囲まれた略長方体形状をしている。また、107は貯湯タンクユニット1を支える脚部である。
【0025】
貯湯タンクユニット1内に内包された貯湯タンク2には、貯湯タンク2内の湯の放熱を防ぐため貯湯タンク2の外周を覆う略一定の厚みをもった成型断熱材108が設けられている。
【0026】
貯湯タンクユニット1内には下部前面板103Bと、右側面板104または左側面板105の内一つの側面板とにより、内側にコーナー部Cを有し、コーナー部Cには気泡供給ユニット21が設けられている。
【0027】
次に
図5、
図6、
図7に基づいてコーナー部Cに設けられた気泡供給ユニット21の配置について詳しく説明する。
【0028】
109は左側面板105に取り付けられた溶解タンク取付金具であり、溶解タンク取付金具109は、左側面板105に取り付ける壁固定部109aと、溶解タンク25を固定するタンク固定部109bで構成されている。
【0029】
110は底板102に取り付けられた加圧ポンプ取付金具であり、加圧ポンプ取付金具110は、加圧ポンプ24Aを固定するポンプ固定部110aと、加圧ポンプ24Bを固定するポンプ固定部110bと、底板102に取り付ける床固定部110cとで構成されている。
【0030】
次に溶解タンク25の配置について詳しく説明する。
溶解タンク25は前面板103と左側面板105の内側のコーナー部Cに設けられ、空気吸い込み口29は、貯湯タンク2が配置されている方向を向けて配置されている。
【0031】
また、空気吸い込み口29が配置されている位置には、成型断熱材108の厚みを薄くした薄肉部108aが設けられている。
【0032】
このように、溶解タンク25が貯湯タンクユニット1に内に設けられている機種では、外気温度の影響を受けやすく、外気温度が低い場合は、冷たい外気を空気吸い込み口29から取り込み、溶解タンク25で浴槽に供給する湯水と冷たい空気とを混ぜ合わせると、浴槽に供給する湯水の温度が低下してしまうが、貯湯タンク2からの放熱で温められた空気を取り込むことで、浴槽に供給する湯水の温度低下を抑制させることができる。
【0033】
また、空気吸い込み口29付近の成型断熱材108の厚みを薄くすることで、貯湯タンク2から放熱しやすくすることができ、空気吸い込み口29から暖かい空気を吸い込むことで、浴槽に供給する湯水の温度低下を抑制させることができる。好ましくは、薄肉部108aで、成型断熱材108の凹の中に空気吸い込み口29を配置することで、効率的に温かい空気を吸い込むことができる。
【0034】
また、溶解タンク25を含む気泡供給ユニット21をコーナー部Cに設けることで、気泡供給ユニット21をメンテナンスや交換する際は、下部前面板103Bを外して、容易に作業をすることができる。
【0035】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変する事を妨げるものではなく、例えば、貯湯タンク2内の湯水の沸き上げは、ヒートポンプ式の加熱手段10を用いているが、電熱ヒータで貯湯タンク2を沸き上げる電気温水器でも良い。
【符号の説明】
【0036】
1 貯湯タンクユニット
2 貯湯タンク
3 出湯管
4 給水管
5 給水バイパス管
6 風呂混合弁
7 湯張り管
17a風呂往き管
17b風呂戻り管
18 風呂循環ポンプ
21 気泡供給ユニット
22 気泡供給経路
24A加圧ポンプ
24B加圧ポンプ
25 溶解タンク
28 気体導入弁
29 空気吸い込み口
101 天板
102 底板
103C下部前面板
104 右側面板
105 左側面板
106 後面板
108 成型断熱材
C コーナー部