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  • 特開-舗装表面処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135221
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】舗装表面処理方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 7/35 20060101AFI20240927BHJP
   E01C 19/34 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E01C7/35
E01C19/34 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045796
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 雅嘉
【テーマコード(参考)】
2D051
2D052
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AB03
2D051AF03
2D051AG01
2D051AH01
2D051AH05
2D051EA03
2D051EA07
2D052AA01
2D052AA03
2D052AB01
2D052AD12
2D052BC02
(57)【要約】
【課題】簡便に舗装の表面を研掃する舗装表面処理方法を提供する。
【解決手段】開粒度アスファルト混合物からなる舗装の空隙にセメントミルクを充填固化したのち、鉄球飛散防止具で施工範囲を囲い、前記施工範囲内に鉄球を撒いて、前記鉄球の上からランマーにより打撃し、前記鉄球を介して舗装表面を打撃して該舗装表面を研掃する、舗装表面処理方法。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開粒度のアスファルト混合物からなる舗装の空隙にセメントミルクを充填固化したのち、
鉄球飛散防止具で施工範囲を囲い、
前記施工範囲内に鉄球を撒いて、
前記鉄球の上からランマーにより打撃し、
前記鉄球を介して舗装表面を打撃して該舗装表面を研掃する、
舗装表面処理方法。
【請求項2】
前記ランマーの転圧板に鉄板を取付け、前記鉄板により前記鉄球を介して前記舗装表面を打撃して該舗装表面を研掃する、
請求項1に記載の舗装表面処理方法。
【請求項3】
前記施工範囲内に撒いた鉄球の上に鉄板部材を配置し、
前記ランマーの転圧板で前記鉄板部材の上から前記鉄球を打撃し、前記鉄球を介して舗装表面を打撃して該舗装表面を研掃する、
請求項1に記載の舗装表面処理方法。
【請求項4】
前記鉄球飛散防止具が前記施工範囲を囲う木製型枠で形成される、
請求項1に記載の舗装表面処理方法。
【請求項5】
前記舗装表面を打撃して該舗装表面を研掃したのち、前記鉄球飛散防止具で囲んだ施工範囲内の残留鉄球を清掃用具又は磁石を用いて除去する、
請求項1に記載の舗装表面処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開粒度のアスファルト混合物からなる舗装の内部の空隙にセメントミルクを充填し、セメントミルクを固化させたあと、舗装の表面を研掃することによって、舗装に含まれる骨材を露出させる舗装表面処理の技術があった。特許文献1は、セメントミルクが充填された舗装の表面に施工範囲に対して、ショットブラスト機械を用いることで、舗装の表面が有する骨材の表面のアスファルト、骨材の表面、及びセメントミルクの表面を削り取って、骨材を露出する舗装表面処理の技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-92096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、施工範囲の面積の大きさに関わらずショットブラスト機械を用いる必要があり、ショットブラスト機械は大型であるため、施工範囲の面積が小さい場合、舗装表面処理を簡便に行えないという課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡便に舗装の表面を研掃する舗装表面処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る舗装表面処理方法は、開粒度のアスファルト混合物からなる舗装の空隙にセメントミルクを充填固化したのち、鉄球飛散防止具で施工範囲を囲い、前記施工範囲内に鉄球を撒いて、前記鉄球の上からランマーにより打撃し、前記鉄球を介して舗装表面を打撃して該舗装表面を研掃する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ランマーを用いることで舗装の表面の研掃に必要な機械を小型化でき、簡便に舗装の表面を研掃できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】床版上の表層除去機の斜視図。
図2図1のII矢視図。
図3】施工範囲Pの概要図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.実施形態の構成]
図1は、ランマー1の斜視図である。図2は、図1のII矢視図である。なお、説明のために図2では後述する支持軸9を図示していない。
【0009】
図1に示すように、ランマー1は、エンジンの原動機2と、原動機2に接続された起振体5と、打撃部3とを備える。起振体5の下部にある打撃部3には、ベローズ7を介して、支持軸9が取付けられている。支持軸9の下部には転圧板10が取付けられ、転圧板10には、図2に示す板状のゴムシート34を挟んで、アタッチメント11が取付けられている。原動機2は、内燃機関に限定されず、電動機であってもよい。転圧板10は木製である。
【0010】
転圧板10の前部分である転圧板反り部10Uは上方へ折り曲げられている。折り曲げ形成された転圧板10の表面に沿うように、アタッチメント11の前部分である鉄板反り部12Uは上方へ折り曲げられている。鉄板反り部12Uは打撃部3の進行方向の前方に位置している。
【0011】
アタッチメント11は、図1及び図2に示すように、前方に前壁16と、後方に後壁18と、左右に1つずつ、計2つの側壁20を備える。すなわち、アタッチメント11は蓋のない箱形部材となっており、転圧板10は、前壁16と、後壁18と、側壁20とに囲まれるように配置される。
【0012】
アタッチメント11は上方に開口部15を有する箱形部材13を備える。また、転圧板10の側面は、4辺の壁部、すなわち前壁16と、後壁18と、側壁20とによって囲まれている。転圧板10の側面は、前壁16と、後壁18と、側壁20とに接するか、近傍に位置する。
【0013】
前壁16は、上部に前押さえ板22を備え、前壁16の上面と前押さえ板22との間に前高さ変更板26を備える。後壁18は、上部に後押さえ板24を備え、後壁18の上面と後押さえ板24との間に後高さ変更板28を備える。
【0014】
前押さえ板22及び後押さえ板24には、それぞれ3つの貫通孔30が設けられており、前壁16及び後壁18には各貫通孔30に対応する数のねじ穴32が形成されている。また、前高さ変更板26及び後高さ変更板28には、各貫通孔30に対応する位置に貫通孔が設けられている。
【0015】
前押さえ板22及び後押さえ板24は、3つの貫通孔30を介して3つの固定具40により、前壁16及び後壁18に固定される。前押さえ板22及び後押さえ板24の短手方向の幅は、支持軸9の下部に干渉しない程度の大きさである。
【0016】
転圧板10は、前押さえ板22及び後押さえ板24によって箱形部材13の内側に押さえつけられることで固定される。箱形部材13の内側には、ゴムシート34が配置され、ゴムシート34の上に転圧板10が配置される。
【0017】
前壁16及び前高さ変更板26を含む高さと、後壁18及び後高さ変更板28を含む高さとが、ゴムシート34の上に配置された転圧板10の上面より若干低くなるように形成されている。前高さ変更板26と、後高さ変更板28とは、ゴムシート34や転圧板10の厚さに応じ、異なる厚さの変更板に変更すればよい。前高さ変更板26と、後高さ変更板28との厚さは変更せずに、ゴムシート34の厚さで調整してもよい。
【0018】
前押さえ板22及び後押さえ板24を複数の固定具40によって締め付けることで、ゴムシート34が圧迫され、転圧板10は、箱形部材13の内側に固定される。この構成によれば、アタッチメント11の取付けに当たり、転圧板10に突起やボルト孔などを加工する必要がなく、一般のランマーをそのまま転用でき、汎用性が高められる。また、アタッチメント11の内側に、ゴムシート34が圧迫されて配置されるため、作業者への衝撃が緩和され、騒音の発生を低減できる。
【0019】
ゴムシート34は、図2に示すように、鉄板12の上面12Aに接するように配置される。ゴムシート34の前部は、転圧板反り部10Uと、鉄板反り部12Uとに沿うように折り曲げられており、ゴムシート反り部34Uが形成されている。
【0020】
ゴムシート34の厚さは、転圧板10の厚さの5分の1程度である。例えば、転圧板10の厚さが50mmであるとき、ゴムシート34の厚さは10mmである。ゴムシート34の材質は、例えば硬質ゴムが好適である。平面視において、ゴムシート34の大きさは、転圧板10の大きさよりも小さい。
【0021】
転圧板10は、図1に示すように、その上面に、左右に1つずつ、計2つの押さえ金14を備える。押さえ金14は、転圧板10の剛性を高め、平面視では略矩形である。押さえ金14は、転圧板10の上面に3つの固定具42で固定されている。
アタッチメント11は、前壁16と、後壁18と、2つの側壁20と、を備え、前壁16と、後壁18とには、前押さえ板22、前高さ変更板26、及び後押さえ板24、後高さ変更板28が配置されている。この構成によれば、アタッチメント11の断面係数が大きくなり、アタッチメント11の曲げ応力に対する剛性が高められる。
【0022】
[2.作用]
図3は、施工範囲Pの概要を示す図である。
作業者はランマー1を用いて、空隙に充填されたセメントミルクが固化した開粒度のアスファルト混合物からなる舗装Gの表面の施工範囲Pを研掃する。本発明に係る舗装表面処理方法では、図3に示すように、最初に施工範囲Pの決定のために型枠50を設置する施工範囲形成工程が行われる。例えば、施工範囲Pの面積は、最大で略10平方メートルの面積である。施工範囲Pは、型枠50に囲われた舗装Gの表面である。型枠50は板状に形成されており、施工範囲Pを囲う木製型枠で形成される。型枠50は、支柱50Aによって舗装Gの垂直方向に立つように支持されている。また、型枠50は、コンクリート釘などにより舗装Gに直接固定するようにしてもよい。
【0023】
施工範囲形成工程で施工範囲Pを形成したあと、図3に示すように、施工範囲Pに研掃材52を散布する散布工程が行われる。研掃材52は、ショットブラスト機械で用いられる研掃材であり、鉄球である。研掃材は、例えば直径1mmである。研掃材52の材質、大きさは、適宜変更可能である。
【0024】
研掃材は施工範囲Pに全体に亘って均一に散布されることが好ましいが、図3に示すように、隙間54があってもよい。
【0025】
散布工程で研掃材52を散布したあと、研掃工程が行われる。ランマー1は、図1に示すように、原動機2により起振体5を動作させ、ベローズ7を介して、支持軸9の方向に転圧板10を振動させる。
【0026】
転圧板10が振動することで、図3に模式的に示す鉄板12が、施工範囲Pの舗装Gの表面を打撃する。作業者がランマー1を駆動し、鉄板12を図3に仮想線で示すように移動させることで、施工範囲Pの全体を打撃する。施工範囲Pを打撃する時間は、例えば10分である。
【0027】
研掃工程において、研掃材52が均一に散布されていない隙間54を打撃する場合は、作業者が箒等で研掃材52を均してもよい。また、研掃材52の量が不足している場合、研掃工程の途中に再び散布工程を行ってもよい。研掃工程により、施工範囲Pの骨材が露出し、舗装Gの景観性が向上する。
【0028】
研掃工程の後に、施工範囲Pに残留した研掃材52を清掃用具を用いて除去する清掃工程を行う。研掃材52が鉄球である場合、研掃材52を磁石で除去することもできる。
【0029】
なお、研掃工程において、アタッチメント11及び鉄板12を備えないランマー1を用いてもよい。その場合、鉄板部材を施工範囲Pに静置し、静置された鉄板部材を転圧板10で打撃する。この場合、作業者は鉄板部材を施工範囲P内で移動させることと、転圧板10で打撃することを繰り返して研掃工程を行う。
すなわち、施工範囲P内に撒いた研掃材52の上に鉄板部材を配置し、ランマー1の転圧板10で鉄板部材の上から研掃材52を打撃し、研掃材52を介して舗装Gの表面を打撃して該舗装Gの表面を研掃する。
【0030】
転圧板10と鉄板12との間には、ゴムシート34が挟まれており、ゴムシート34は振動を吸収する。また、アタッチメント11は、前壁16と、後壁18と、側壁20とを備えるので、転圧板10の側面と、ゴムシート34とが覆われる。そのため、転圧板10及びゴムシート34が摩耗することを防止できる。
【0031】
[3.効果]
以上説明したように、本実施形態において、開粒度のアスファルト混合物からなる舗装Gの空隙にセメントミルクを充填固化したのち、型枠50(鉄球飛散防止具)で施工範囲Pを囲い、施工範囲P内に研掃材52(鉄球)を撒いて、研掃材52の上からランマー1により打撃し、研掃材52を介して舗装Gの表面を打撃して該舗装Gの表面を研掃する、舗装表面処理方法。
この構成によれば、ランマーを用いることで舗装の表面の研掃に必要な機械を小型化でき、簡便に舗装の表面を研掃できる。
【0032】
また、本実施形態において、ランマー1の転圧板10に鉄板12を取付け、鉄板12により研掃材52を介して舗装Gの表面を打撃して該舗装Gの表面を研掃してもよい。
この構成によれば、研掃材52による転圧板10の損傷を防止できる。
【0033】
また、本実施形態において、施工範囲P内に撒いた研掃材52の上に鉄板部材を配置し、ランマー1の転圧板10で鉄板部材の上から研掃材52を打撃し、研掃材52を介して舗装Gの表面を打撃して該舗装Gの表面を研掃してもよい。
この構成によれば、研掃材52による転圧板10の損傷を防止できる。
【0034】
また、本実施形態において、型枠50が施工範囲Pを囲う木製型枠で形成される。
この構成によれば、研掃材が施工範囲Pの外に散逸することを防止できる。
【0035】
また、本実施形態において、舗装Gの表面を打撃して該舗装Gの表面を研掃したのち、型枠50で囲んだ施工範囲P内の残留研掃材52を清掃用具又は磁石を用いて除去する。
この構成によれば、簡便に研掃材を除去できる。
【0036】
[4.他の実施形態]
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 ランマー
3 打撃部
10 転圧板
11 アタッチメント
12 鉄板
50 型枠(鉄球飛散防止具)
52 研掃材(鉄球)
図1
図2
図3