(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135239
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】高周波半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20240927BHJP
H03K 17/693 20060101ALI20240927BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H03K17/00 E
H03K17/693 A
H03K17/687 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045829
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺口 貴之
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX02
5J055AX54
5J055BX04
5J055CX03
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX44
5J055EX07
5J055EY01
5J055EY21
5J055GX01
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】スイッチング制御に伴うインピーダンスの変動を抑制し、スイッチング速度を向上する。
【解決手段】実施形態によれば、高周波半導体集積回路は、第1入力端子RFCと、第2入力端子CTRLと、第1出力端子RF1と、第2出力端子RF2と、第1スイッチ回路SW1aと、第2スイッチ回路SW2aと、第3スイッチ回路SW1bと、第4スイッチ回路SW2bとを含む。第1入力端子の接続先を第1出力端子から第2出力端子に切り替える場合、第1スイッチ回路をオン状態からオフ状態にする第1切り替え動作及び第2スイッチ回路をオフ状態からオン状態にする第2切り替え動作が完了した後に、第3スイッチ回路をオン状態からオフ状態にする第3切り替え動作及び第4スイッチ回路をオフ状態からオン状態にする第4切り替え動作が完了する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を受信する第1入力端子と、
制御信号を受信する第2入力端子と、
前記高周波信号を出力する第1出力端子と、
前記高周波信号を出力する第2出力端子と、
前記第1入力端子と前記第1出力端子との電気的接続を制御する第1スイッチ回路と、
前記第1入力端子と前記第2出力端子との電気的接続を制御する第2スイッチ回路と、
前記第1入力端子と前記第1出力端子との電気的接続を制御し、前記第1スイッチ回路と並列に接続された第3スイッチ回路と、
前記第1入力端子と前記第2出力端子との電気的接続を制御し、前記第2スイッチ回路と並列に接続された第4スイッチ回路と
を備え、
前記第1入力端子の接続先を前記第1出力端子から前記第2出力端子に切り替える場合、前記第1スイッチ回路をオン状態からオフ状態にする第1切り替え動作及び前記第2スイッチ回路をオフ状態からオン状態にする第2切り替え動作が完了した後に、前記第3スイッチ回路をオン状態からオフ状態にする第3切り替え動作及び前記第4スイッチ回路をオフ状態からオン状態にする第4切り替え動作が完了する、
高周波半導体集積回路。
【請求項2】
前記第1スイッチ回路の前記第1切り替え動作及び前記第3スイッチ回路の前記第3切り替え動作は、前記制御信号に基づいてそれぞれ実行され、
前記第2スイッチ回路の前記第2切り替え動作及び前記第4スイッチ回路の前記第4切り替え動作は、前記制御信号の反転信号に基づいてそれぞれ実行される、
請求項1に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項3】
前記第3スイッチ回路の前記第3切り替え動作の切り替え時間は、前記第1スイッチ回路の前記第1切り替え動作の切り替え時間よりも長く、前記第4スイッチ回路の前記第4切り替え動作の切り替え時間は、前記第2スイッチ回路の前記第2切り替え動作の切り替え時間よりも長い、
請求項1に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項4】
前記第1スイッチ回路は、直列に接続された複数の第1トランジスタ及び前記複数の第1トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第1抵抗素子を含み、
前記第2スイッチ回路は、直列に接続された複数の第2トランジスタ及び前記複数の第2トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第2抵抗素子を含み、
前記第3スイッチ回路は、直列に接続され複数の第3トランジスタ及び前記複数の第3トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第3抵抗素子を含み、
前記第4スイッチ回路は、直列に接続され複数の第4トランジスタ及び前記複数の第4トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第4抵抗素子を含み、
前記複数の第1トランジスタ及び前記複数の第2トランジスタの各々のゲート幅は、前記複数の第3トランジスタ及び前記複数の第4トランジスタの各々のゲート幅よりも短い、
請求項3に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項5】
前記複数の第1抵抗素子、前記複数の第2抵抗素子、前記複数の第3抵抗素子、及び前記複数の第4抵抗素子の各々の抵抗値は同じである、
請求項4に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項6】
前記第1スイッチ回路は、直列に接続された複数の第1トランジスタ及び前記複数の第1トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第1抵抗素子を含み、
前記第2スイッチ回路は、直列に接続された複数の第2トランジスタ及び前記複数の第2トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第2抵抗素子を含み、
前記第3スイッチ回路は、直列に接続され複数の第3トランジスタ及び前記複数の第3トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第3抵抗素子を含み、
前記第4スイッチ回路は、直列に接続され複数の第4トランジスタ及び前記複数の第4トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第4抵抗素子を含み、
前記複数の第1抵抗素子及び前記複数の第2抵抗素子の各々の抵抗値は、前記複数の第3抵抗素子及び前記複数の第4抵抗素子の各々の抵抗値よりも小さい、
請求項3に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項7】
前記複数の第1トランジスタ、前記複数の第2トランジスタ、前記複数の第3トランジスタ、及び前記複数の第4トランジスタの各々のゲート幅は同じである、
請求項6に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項8】
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を受信する第3入力端子、前記第1スイッチ回路に接続され前記制御信号を出力する第3出力端子、及び前記第2スイッチ回路に接続され前記制御信号の前記反転信号を出力する第4出力端子を含む第1バッファと、
一方の端子が前記第1バッファの前記第3出力端子に接続され、他方の端子が前記第3スイッチ回路に接続された第5抵抗素子と、
一方の端子が前記第1バッファの前記第4出力端子に接続され、他方の端子が前記第4スイッチ回路に接続された第6抵抗素子と
を更に備える、
請求項2に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項9】
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を受信する第4入力端子、前記第1スイッチ回路に接続され前記制御信号を出力する第5出力端子、及び前記第2スイッチ回路に接続され前記制御信号の前記反転信号を出力する第6出力端子を含む第2バッファと、
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を遅延させる第1遅延回路と、
前記第1遅延回路に接続され、前記第1遅延回路により遅延された前記制御信号を受信する第5入力端子、前記第3スイッチ回路に接続され、前記第1遅延回路により遅延された前記制御信号を出力する第7出力端子、及び前記第4スイッチ回路に接続され、前記第1遅延回路により遅延された前記制御信号の前記反転信号を出力する第8出力端子を含む第3バッファと
を更に備える、
請求項2に記載の高周波半導体集積回路。
【請求項10】
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を受信する第6入力端子、前記第1スイッチ回路に接続され前記制御信号を出力する第9出力端子、及び前記第2スイッチ回路に接続され前記制御信号の前記反転信号を出力する第10出力端子を含む第4バッファと、
前記第9出力端子に接続され、前記第3スイッチ回路に、前記制御信号を遅延して送信する第2遅延回路と、
前記第10出力端子に接続され、前記第4スイッチ回路に、前記制御信号の前記反転信号を遅延して送信する第3遅延回路と
を更に備える、
請求項2に記載の高周波半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、高周波半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波半導体集積回路の1つとして、高周波信号に対応した半導体スイッチ回路が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-201069号公報
【特許文献2】特開2013-48390号公報
【特許文献3】特表2015-523810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング制御に伴うインピーダンスの変動を抑制し、スイッチング速度を向上できる高周波半導体集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る高周波半導体集積回路は、高周波信号を受信する第1入力端子と、制御信号を受信する第2入力端子と、高周波信号を出力する第1出力端子と、高周波信号を出力する第2出力端子と、第1入力端子と第1出力端子との電気的接続を制御する第1スイッチ回路と、第1入力端子と第2出力端子との電気的接続を制御する第2スイッチ回路と、第1入力端子と第1出力端子との電気的接続を制御し、第1スイッチ回路と並列に接続された第3スイッチ回路と、第1入力端子と第2出力端子との電気的接続を制御し、第2スイッチ回路と並列に接続された第4スイッチ回路とを含む。第1入力端子の接続先を第1出力端子から第2出力端子に切り替える場合、第1スイッチ回路をオン状態からオフ状態にする第1切り替え動作及び第2スイッチ回路をオフ状態からオン状態にする第2切り替え動作が完了した後に、第3スイッチ回路をオン状態からオフ状態にする第3切り替え動作及び第4スイッチ回路をオフ状態からオン状態にする第4切り替え動作が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る高周波半導体集積回路の備えるスイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る高周波半導体集積回路の備えるスイッチ回路の切り替え動作を示すグラフである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る高周波半導体集積回路の切り替え動作において立ち上がり時間の長さと立ち下がり時間の長さとが同じである場合の切り換え順序を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る高周波半導体集積回路の切り替え動作において立ち上がり時間の長さが立ち下がり時間の長さよりも短い場合の切り換え順序を示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る高周波半導体集積回路の切り替え動作において立ち上がり時間の長さが立ち下がり時間の長さよりも長い場合の切り換え順序を示す図である。
【
図7】
図7は、SPDTスイッチの並列数と、切り替え動作の順序との関係の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例に係る高周波半導体集積回路におけるゲート幅WgaとWgbとの関係を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例に係る高周波半導体集積回路におけるゲート幅WgaとWgbとの分割比とスイッチ回路SW1a及びSW2aがオン状態にある場合のRFCインピーダンスとの関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係る高周波半導体集積回路の備えるスイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係る高周波半導体集積回路の備えるスイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係る高周波半導体集積回路の備える遅延回路の回路図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図16】
図16は、第5実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】
図17は、第5実施形態に係る高周波半導体集積回路の備えるスイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの回路構成の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、第5実施形態に係る高周波半導体集積回路の切り替え動作において立ち上がり時間の長さと立ち下がり時間の長さとが同じである場合の切り換え順序を示す図である。
【
図19】
図19は、第5実施形態に係る高周波半導体集積回路の切り替え動作において立ち上がり時間の長さが立ち下がり時間の長さよりも短い場合の切り換え順序を示す図である。
【
図20】
図20は、第5実施形態に係る高周波半導体集積回路の切り替え動作において立ち上がり時間の長さが立ち下がり時間の長さよりも長い場合の切り換え順序を示す図である。
【
図21】
図21は、第6実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】
図22は、第7実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図23】
図23は、第8実施形態に係る高周波半導体集積回路の全体構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に実施形態が図面を参照して記述される。以下の記述において、略同一の機能及び構成を有する構成要素は同一符号を付され、繰り返しの説明は省略される場合がある。また、ある実施形態についての記述は全て、明示的に又は自明的に排除されない限り、別の実施形態の記述としても当てはまる。
【0008】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある第1要素が別の第2要素に「接続されている」とは、第1要素が直接的又は常時あるいは選択的に導電性となる要素を介して第2要素に接続されていることを含む。
【0009】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る高周波半導体集積回路1について説明する。本実施形態では、高周波半導体集積回路1として、単極双投(SPDT; Single Pole Double Throw)スイッチを例に説明する。SPDTスイッチは、1つの入力端子と2つの出力端子を有する高周波信号の切り替えスイッチである。例えば、SPDTスイッチは、SOI(Silicon On Insulator)基板上に形成される。なお、高周波半導体集積回路1は、SPDTスイッチに限定されない。3つの出力端子を有するスイッチIC(Integrated Circuit)にも適用できる。例えば、高周波半導体集積回路1は、SP3Tスイッチであってもよい。
【0010】
1.1 構成
まず、
図1を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図1は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、高周波半導体集積回路1は、外部から高周波信号を受信する入力端子(高周波信号入力端子)RFC、外部から制御信号を受信する入力端子(制御信号入力端子)CTRL、並びに高周波信号を外部に出力する2つの出力端子(高周波信号出力端子)RF1及びRF2を有する。高周波半導体集積回路1は、入力端子CTRLから入力された制御信号に基づいて、入力端子RFCと、出力端子RF1またはRF2とを電気的に接続する。
【0012】
高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a及び2b、並びにバッファ3を含む。
【0013】
スイッチングユニット2a及び2bは、各々が1つのSPDTスイッチとして機能し得る。スイッチングユニット2a及び2bは、並列に接続される。すなわち、高周波半導体集積回路1は、二並列のSPDTスイッチを含む。換言すれば、SPDTスイッチが2段に分割されている。例えば、スイッチングユニット2aにおける接続の切り替え時間は、スイッチングユニット2bにおける接続の切り替え時間よりも短い。すなわち、スイッチングユニット2aのスイッチング速度は、スイッチングユニット2bのスイッチング速度よりも速い。このため、例えば、入力端子RFCの接続先を切り替える場合、スイッチングユニット2aにおける切り替え動作が完了したあとに、スイッチングユニット2bにおける切り替え動作が完了する。すなわち、接続の切り替え動作は、二段階で実行される。以下、スイッチングユニット2a及び2bのいずれかを限定しない場合は、「スイッチングユニット2」と表記する。なお、スイッチングユニット2は、3つ以上設けられてもよい。すなわち、SPDTスイッチは、3並列以上設けられてもよい。
【0014】
スイッチングユニット2aは、2つのスイッチ回路SW1a及びSW2aを含む。スイッチ回路SW1a及びSW2aは、制御信号に基づいて、どちらか一方がオン状態とされ、他方がオフ状態とされる。
【0015】
スイッチ回路SW1aは、バッファ3の正転出力端子(+)から入力された制御信号に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF1とを電気的に接続する。スイッチ回路SW1aの電流経路の一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF1に接続される。
【0016】
スイッチ回路SW2aは、バッファ3の反転出力端子(-)から入力された制御信号の反転信号に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF2とを電気的に接続する。スイッチ回路SW2aの電流経路の一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF2に接続される。
【0017】
例えば、制御信号が“High”(“H”)レベルの場合、スイッチ回路SW1aはオン状態とされ、スイッチ回路SW2aはオフ状態とされる。また、例えば、制御信号が“Low”(“L”)レベルの場合、スイッチ回路SW1aはオフ状態とされ、スイッチ回路SW2aはオン状態とされる。
【0018】
スイッチングユニット2bは、2つのスイッチ回路SW1b及びSW2bを含む。スイッチ回路SW1b及びSW2bは、制御信号に基づいて、どちらか一方がオン状態とされ、他方がオフ状態とされる。
【0019】
スイッチ回路SW1bは、バッファ3の正転出力端子(+)から入力された制御信号に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF1とを電気的に接続する。スイッチ回路SW1bの電流経路の一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF1に接続される。スイッチングユニット2aのスイッチ回路SW1aと、スイッチングユニット2bのスイッチ回路SW1bとは、入力端子RFCと出力端子RF1との間に並列に接続される。
【0020】
スイッチ回路SW2bは、バッファ3の反転出力端子(-)から入力された制御信号の反転信号に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF2とを電気的に接続する。スイッチ回路SW2bの電流経路の一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF2に接続される。スイッチングユニット2aのスイッチ回路SW2aと、スイッチングユニット2bのスイッチ回路SW2bとは、入力端子RFCと出力端子RF2との間に並列に接続される。
【0021】
例えば、制御信号が“High”(“H”)レベルの場合、スイッチ回路SW1bはオン状態とされ、スイッチ回路SW2bはオフ状態とされる。また、例えば、制御信号が“Low”(“L”)レベルの場合、スイッチ回路SW1bはオフ状態とされ、スイッチ回路SW2bはオン状態とされる。
【0022】
バッファ3は、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3の入力端子は、入力端子CTRLに接続される。バッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1a及びSW1bに接続される。バッファ3の反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2a及びSW2bに接続される。バッファ3は、正転出力端子(+)から制御信号を出力し、反転出力端子(-)から制御信号の反転信号を出力する。
【0023】
1.2 スイッチ回路の回路構成
次に、
図2を参照して、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成の一例について説明する。
図2は、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの一例を示す回路図である。なお、以下の説明では、トランジスタのソース及びドレインを限定しない場合、トランジスタのソースまたはドレインのいずれか一方を「トランジスタの一端」と表記し、トランジスタのソースまたはドレインのいずれか他方を「トランジスタの他端」と表記する。
【0024】
まず、スイッチ回路SW1aについて説明する。
【0025】
図2に示すように、スイッチ回路SW1aは、複数のn型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)11a、複数の抵抗素子12a、及び複数の抵抗素子13aを含む。トランジスタ11aは、スイッチング素子として機能する。スイッチ回路SW1aに含まれるトランジスタ11a、抵抗素子12a、及び抵抗素子13aの個数は同じである。
【0026】
複数のトランジスタ11aは、入力端子RFCと出力端子RF1との間に直列に接続される。トランジスタ11aのゲートは、抵抗素子13aの一方の端子に接続される。トランジスタ11aの個数及びトランジスタサイズは、例えば、送信する高周波信号の振幅レベル等に基づく。また、例えば、トランジスタ11aのゲート幅Wgaは、高周波信号を送信するときの挿入損失(IL: Insertion Loss)等に基づいて決定される。
【0027】
抵抗素子12aは、トランジスタ11aと並列に接続される。より具体的には、抵抗素子12aの一方の端子は、トランジスタ11aの一端に接続され、他方の端子は、トランジスタ11aの他端に接続される。以下、抵抗素子12aの抵抗値をRdsと表記する。
【0028】
抵抗素子13aは、例えば、トランジスタ11aのゲート側への電流(高周波信号)の漏れを抑制するために配置される。抵抗素子13aの一方の端子は、トランジスタ11aのゲートに接続され、他方の端子は、バッファ3の正転出力端子(+)に接続される。以下、抵抗素子13aの抵抗値をRggaと表記する。
【0029】
次に、スイッチ回路SW1bについて説明する。スイッチ回路SW1bは、複数のn型MOSFET11b、複数の抵抗素子12b、及び複数の抵抗素子13bを含む。スイッチ回路SW1bに含まれるトランジスタ11b、抵抗素子12b、及び抵抗素子13bの個数は同じである。例えば、スイッチ回路SW1bは、スイッチ回路SW1aのトランジスタ11aと同じ個数のトランジスタ11bを含む。
【0030】
複数のトランジスタ11bは、入力端子RFCと出力端子RF1との間に直列に接続される。トランジスタ11bのゲートは、抵抗素子13bの一方の端子に接続される。以下、トランジスタ11bのゲート幅をWgbと表記する。
【0031】
抵抗素子12bは、トランジスタ11bと並列に接続される。より具体的には、抵抗素子12bの一方の端子は、トランジスタ11bの一端に接続され、他方の端子は、トランジスタ11bの他端に接続される。抵抗素子12bの抵抗値は、抵抗素子12aと同じ抵抗値Rdsである。
【0032】
抵抗素子13bの一方の端子は、トランジスタ11bのゲートに接続され、他方の端子は、バッファ3の正転出力端子(+)に接続される。以下、抵抗素子13bの抵抗値をRggbと表記する。
【0033】
次に、スイッチ回路SW2aについて説明する。スイッチ回路SW2aは、複数のn型MOSFET21a、複数の抵抗素子22a、及び複数の抵抗素子23aを含む。スイッチ回路SW2aに含まれるトランジスタ21a、抵抗素子22a、及び抵抗素子23aの個数は同じである。例えば、スイッチ回路SW2aは、スイッチ回路SW1aのトランジスタ11aと同じ個数のトランジスタ21aを含む。
【0034】
複数のトランジスタ21aは、入力端子RFCと出力端子RF2との間に直列に接続される。トランジスタ21aのゲートは、抵抗素子23aの一方の端子に接続される。トランジスタ21aのゲート幅は、トランジスタ11aと同じゲート幅Wgaである。
【0035】
抵抗素子22aは、トランジスタ21aと並列に接続される。より具体的には、抵抗素子22aの一方の端子は、トランジスタ21aの一端に接続され、他方の端子は、トランジスタ21aの他端に接続される。抵抗素子22aの抵抗値は、抵抗素子12aと同じ抵抗値Rdsである。
【0036】
抵抗素子23aの一方の端子は、トランジスタ21aのゲートに接続され、他方の端子は、バッファ3の反転出力端子(-)に接続される。抵抗素子23aの抵抗値は、抵抗素子13aと同じ抵抗値Rggaである。
【0037】
次に、スイッチ回路SW2bについて説明する。スイッチ回路SW2bは、複数のn型MOSFET21b、複数の抵抗素子22b、及び複数の抵抗素子23bを含む。スイッチ回路SW2bに含まれるトランジスタ21b、抵抗素子22b、及び抵抗素子23bの個数は同じである。例えば、スイッチ回路SW2bは、スイッチ回路SW1aのトランジスタ11aと同じ個数のトランジスタ21bを含む。
【0038】
複数のトランジスタ21bは、入力端子RFCと出力端子RF1との間に直列に接続される。トランジスタ21bのゲートは、抵抗素子23bの一方の端子に接続される。トランジスタ21bのゲート幅は、トランジスタ11bと同じゲート幅Wgbである。
【0039】
抵抗素子22bは、トランジスタ21bと並列に接続される。より具体的には、抵抗素子22bの一方の端子は、トランジスタ21bの一端に接続され、他方の端子は、トランジスタ21bの他端に接続される。抵抗素子22bの抵抗値は、抵抗素子12aと同じ抵抗値Rdsである。
【0040】
抵抗素子23bの一方の端子は、トランジスタ21bのゲートに接続され、他方の端子は、バッファ3の反転出力端子(-)に接続される。以下、抵抗素子23bの抵抗値は、抵抗素子13bと同じ抵抗値Rggbである。
【0041】
本実施形態では、例えば、ゲート幅Wga及びWgb並びに抵抗値Rgga及びRggbは、Wga=Wgb且つRgga<Rggbの関係、または、Wga<Wgb且つRgga=Rggbの関係にある。なお、ゲート幅Wga及びWgb並びに抵抗値Rgga及びRggbは、Wga<Wgb且つRgga<Rggbの関係であってもよい。
【0042】
以下、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bのいずれかを限定しない場合は、スイッチ回路SWと表記する。
【0043】
1.3 スイッチ回路の動作特性
次に、
図3を参照して、スイッチ回路SWの動作特性について説明する。
図3は、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの切り替え動作を示すグラフである。グラフの縦軸は、ゲート電圧Vg(制御信号の電圧)を示している。グラフの横軸は、時間を示している。
図3において、実線は、スイッチ回路SW1aのトランジスタ11a及びスイッチ回路SW2aのトランジスタ21aを示している。破線は、スイッチ回路SW1bのトランジスタ11b及びスイッチ回路SW2bのトランジスタ21bを示している。
【0044】
スイッチ回路SWの切り替え動作において、トランジスタをオフ状態からオン状態に切り替える場合、またはトランジスタをオン状態からオフ状態に切り替える場合、切り替え時間は、トランジスタのゲート容量とゲート抵抗とによるCR時定数に比例する。例えば、ゲート容量は、トランジスタのゲート幅に比例する。また、ゲート抵抗は、トランジスタのゲートに接続された抵抗素子の抵抗値が増加すると、増加する。
【0045】
以下、トランジスタのゲート電圧Vgが閾値電圧以上となり、トランジスタ(スイッチ回路SW)がオフ状態からオン状態に切り替わるまでの立ち上げ時間の長さをTonとする。また、トランジスタのゲート電圧Vgが閾値電圧未満となり、トランジスタ(スイッチ回路SW)がオン状態からオフ状態に切り替わるまでの立ち下げ時間の長さをToffとする。
【0046】
図3に示すように、スイッチ回路SW1b及びSW2bにおけるCR時定数は、スイッチ回路SW1a及びSW2aにおけるCR時定数よりも大きい。この場合、スイッチ回路SW1b及びSW2bの立ち上がり時間Ton及び立ち下がり時間Toffは、スイッチ回路SW1a及びSW2aの立ち上がり時間Ton及び立ち下がり時間Toffよりも長くなる。
【0047】
より具体的には、トランジスタ11a及び21aのゲート幅Wga、トランジスタ11b及び21bのゲート幅Wgb、抵抗素子13a及び23aの抵抗値Rgga、並びに抵抗素子13b及び23bの抵抗値Rggbは、Wga=Wgbであり且つRgga<Rggbである関係、またはWga<Wgbであり且つRgga=Rggbである関係にある。このため、スイッチ回路SW1b及びSW2bにおけるCR時定数は、スイッチ回路SW1a及びSW2aにおけるCR時定数よりも大きい。
【0048】
従って、スイッチ回路SW1b及びSW2bの切り替え動作(スイッチング速度)は、スイッチ回路SW1a及びSW2aの切り替え動作(スイッチング速度)より遅い。すなわち、スイッチ回路SW1b及びSW2bは、スイッチ回路SW1a及びSW2aに対して遅延される。換言すれば、スイッチングユニット2bの切り替え動作(スイッチング速度)は、スイッチングユニット2aの切り替え動作(スイッチング速度)に対して遅延される。
【0049】
なお、立ち上げ時間Ton及び立ち下げ時間Toffは、製造ばらつきまたは動作温度等による閾値電圧の変動により、ばらつきが生じる。このため、例えば、スイッチングユニット2aのスイッチ回路SW1a(トランジスタ11a)の立ち上げ動作と、スイッチ回路SW2a(トランジスタ21a)の立ち下げ動作とを同時に開始しても、各々の動作が完了するタイミングには、ずれが生じ得る。スイッチングユニット2bも同様である。
【0050】
1.4 スイッチング動作の具体例
次に、
図4乃至
図6を参照して、入力端子RFCの接続を出力端子RF1から出力端子RF2に切り替える場合の切り替え順序の具体例について説明する。
図4は、切り替え動作において立ち上がり時間Tonの長さと立ち下がり時間Toffの長さとが同じである場合の切り換え順序を示している。すなわち、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作とトランジスタのオフ動作とが同じタイミングで完了する場合を示している。
図5は、切り替え動作において立ち上がり時間Tonの長さが立ち下がり時間Toffの長さよりも短い場合の切り換え順序を示している。すなわち、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作がトランジスタのオフ動作よりも早く完了する場合を示している。
図6は、切り替え動作において立ち上がり時間Tonの長さが立ち下がり時間Toffの長さよりも長い場合の切り換え順序を示している。すなわち、スイッチングユニット2内のトランジスタのオフ動作がトランジスタのオン動作よりも早く完了する場合を示している。
図4乃至
図6の例では、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの各々のオン抵抗Ronを10Ωとする。入力端子RFCと、出力端子RF1またはRF2のいずれかと、が接続されている状態の特性インピーダンスを50Ωとする。また、例えば、抵抗値Rggaと抵抗値RggbとはRgga<Rggbの関係にあり、且つゲート幅Wgaとゲート幅WgbとはWga=Wgbの関係にある。
【0051】
まず、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作とトランジスタのオフ動作とが同じタイミングで完了する場合について説明する。
【0052】
図4に示すように、ステップ0では、入力端子RFCは出力端子RF1に接続されている。このため、スイッチ回路SW1a及びSW1bは、オン状態とされ、スイッチ回路SW2a及びSW2bは、オフ状態とされている。例えば、このときの入力端子RFCにおけるポートインピーダンス(以下、「RFCインピーダンス」と表記する)は55Ωである。
【0053】
ステップ1は、入力端子RFCが出力端子RF1及びRF2の両方に接続されている状態(以下、「同時オン状態」とも表記する)にするためのステップである。ステップ1において、スイッチングユニット2aにおける切り替え動作が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1aは、オン状態からオフ状態とされる。そして、スイッチ回路SW2aは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1b及びSW2aは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは30Ωに低減する。
【0054】
ステップ2において、スイッチングユニット2bにおける切り替え動作が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1bは、オン状態からオフ状態とされる。そして、スイッチ回路SW2bは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW2a及びSW2bは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF2に接続される。RFCインピーダンスは、55Ωである。
【0055】
次に、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作がトランジスタのオフ動作よりも早く完了する場合について説明する。
【0056】
図5に示すように、スイッチングユニット2a及び2bにおいて、トランジスタがオン状態に遷移するタイミングとオフ状態に遷移するタイミングが異なる。このため、ステップ0とステップ1との間、及びステップ1とステップ2との間に中間のステップが発生する。以下、ステップ0とステップ1との間のステップをステップ0.5と表記する。また、ステップ1とステップ2との間のステップをステップ1.5と表記する。
【0057】
【0058】
次に、ステップ0.5において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ21aのオン状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1aは、オン状態を維持している。スイッチ回路SW2aは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1a、SW1b、及びSW2aは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは29Ωに低減する。
【0059】
ステップ1において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ11aのオフ状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの状態は、
図4と同様である。
【0060】
次に、ステップ1.5において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ21bのオン状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1bは、オン状態を維持している。スイッチ回路SW2bは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1b、SW2a、及びSW2bは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは29Ωに低減する。
【0061】
ステップ2において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ11bのオフ状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの状態は、
図4と同様である。
【0062】
次に、スイッチングユニット2内のトランジスタのオフ動作がトランジスタのオン動作よりも早く完了する場合について説明する。
【0063】
図6に示すように、スイッチングユニット2a及び2bにおいて、トランジスタがオン状態に遷移するタイミングとオフ状態に遷移するタイミングが異なる。このため、ステップ0とステップ1との間、及びステップ1とステップ2との間に中間のステップが発生する。
【0064】
【0065】
次に、ステップ0.5において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ11aのオフ状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1aは、オン状態からオフ状態とされる。スイッチ回路SW2aは、オフ状態を維持している。この結果、スイッチ回路SW1bは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1に接続される。RFCインピーダンスは60Ωに増加する。
【0066】
ステップ1において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ21aのオン状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの状態は、
図4と同様である。
【0067】
次に、ステップ1.5において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ11bのオフ状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1bは、オン状態からオフ状態とされる。スイッチ回路SW2bは、オフ状態を維持している。この結果、スイッチ回路SW2aは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF2に接続される。RFCインピーダンスは60Ωに増加する。
【0068】
ステップ2において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ21bのオン状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの状態は、
図4と同様である。
【0069】
1.5 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、スイッチング制御に伴うインピーダンスの変動を抑制し、スイッチング速度を向上できる高周波半導体集積回路を提供できる。
図7を参照して、本効果について説明する。
【0070】
図7は、SPDTスイッチの並列数と、切り替え動作の順序との関係の一例を示す図である。
図7の(a)は、比較例として、SPDTスイッチの並列数が1(SPDTスイッチ一段)である場合を示している。
図7の(b)は、本実施形態において説明したSPDTスイッチの並列数が2(SPDTスイッチ二段)である場合を示している。
図7の(b)の構成は、第1実施形態と同様である。なお、
図7の例は、入力端子RFCの接続を出力端子RF1から出力端子RF2に切り替える場合を示している。
図7の(a)において、スイッチ回路SW1及びSW2の各々のオン抵抗Ronを5Ωとする。
図7の(b)におけるスイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの各々のオン抵抗Ronを10Ωとする。また、
図7の例は、説明を簡略化するため、トランジスタの立ち上がり時間Tonと立ち下がり時間Toffの長さが同じである場合を示している。
【0071】
SPDTスイッチ等の高周波スイッチ回路では、例えば、電力入力状態のまま出力端子を切り替える場合(ホットスイッチとも呼ばれる)、あるいは入力端子の前段の素子の発振を抑制したい場合など、用途によって切り替え動作時のインピーダンスの変動を抑制したい場合がある。入力端子と各出力端子との接続の切り替え動作の制御を行わないと、入力端子がいずれの出力端子にも接続されていない状態(以下、「同時オフ状態」と表記する)が発生する可能性がある。同時オフ状態になると、インピーダンスが非常に大きくなる(オープン状態)。このため、入力端子と各出力端子との接続の切り替え順序が制御される。
【0072】
例えば、SPDTスイッチでは、同時オフ状態を回避するため、
図7の(a)のステップ1に示すように、2つの出力端子が入力端子に接続されている状態(同時オン状態)を経て、接続が切り替えられる(
図7の(a)のステップ2)。例えば、同時オン状態のRFCインピーダンスは、入力端子が出力端子の一方に接続されている状態(例えば、55Ω)の半分(例えば、27.5Ω)となる。このように、同時オフ状態が発生しない制御とするために、スイッチング素子(トランジスタ)の立ち上り動作と立ち下がり動作とに時間差が設けられる。より具体的には、トランジスタの立ち上がり動作のタイミングが立ち下がり動作のタイミングよりも早くなるように制御される。このため、切り替え動作の制御が複雑となる。更に、立ち下がりのタイミングを遅延させるための遅延回路が必要とされる。この場合、トランジスタの閾値電圧の変動による立ち上がり時間の長さ及び立ち下がり時間の長さの変動を考慮してマージンをもった遅延時間とする必要あり、切り替え動作に要する時間が比較的長くなる。
【0073】
これに対し、本実施形態に係る構成であれば、
図7の(b)に示すように、高周波半導体集積回路1は、入力端子と各出力端子との接続を切り替えるスイッチングユニット2を複数並列に設けることができる。そして、各スイッチングユニット2における切り替え動作の完了を異なるタイミングに設定できる。これにより、切り替え動作における同時オフ状態の発生を防止できる。より具体的には、例えば、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a及び2bを含む。スイッチングユニット2bのスイッチ回路SW1b及びSW2bの切り替え動作の完了のタイミングは、スイッチングユニット2aのスイッチ回路SW1a及びSW2aの切り替え動作の完了のタイミングよりも遅い。切り替え動作において、スイッチングユニット2aの切り替え動作が先に完了することにより、同時オン状態となる(
図7の(b)のステップ1)。この後、スイッチングユニット2bの切り替え動作が完了することにより、切り替え動作が完了する(
図7の(b)のステップ2)。スイッチングユニット2aと2bとの間で切り替え動作のタイミングに遅延を発生させることができる。このため、トランジスタの立ち上がり時間の長さと立ち下がり時間の長さとが異なる場合においても、同時オフ状態の発生を防止できる。すなわち、トランジスタの閾値電圧の変動を考慮した遅延時間の設定は不要にできる。よって、スイッチング速度を向上できる。
【0074】
更に、本実施形態に係る構成であれば例えば、
図7に示すように、SPDTスイッチが二並列である場合、SPDTスイッチが一並列である場合とRFCインピーダンスを揃えるため、各スイッチ回路の各トランジスタのオン抵抗Ronは、SPDTスイッチが一並列である場合の2倍にできる。これにより、同時オン状態におけるRFCインピーダンスは、SPDTスイッチが一並列である場合よりも高くできる。すなわち、切り替え動作におけるRFCインピーダンスの変動を抑制できる。
【0075】
更に、本実施形態に係る構成であれば、オン抵抗Ronを2倍にするために、SPDTスイッチが一並列である場合のゲート幅Wgに対してゲート幅Wga及びWgbを減少できる。これにより、トランジスタのゲート容量(CR時定数)が低減される。このため、トランジスタのスイッチング速度(遷移時間)は、SPDTスイッチが一並列である場合に対して低減できる。よって、高周波半導体集積回路1のスイッチング速度を向上できる。
【0076】
更に、本実施形態に係る構成であれば、各スイッチングユニット2におけるCR時定数を最適化することにより、スイッチングユニット2における切り替え動作完了のタイミングを遅延させることができる。よって、遅延回路を省略できる。よって、高周波半導体集積回路1のチップ面積の増加を抑制できる。
【0077】
1.6 第1実施形態の変形例
次に、
図8及び
図9を参照して、ゲート幅Wgaとゲート幅Wgbとの分割比とRFCインピーダンスとの関係について説明する。
図8は、ゲート幅WgaとWgbとの関係を示す高周波半導体集積回路1の模式図である。
図9は、ゲート幅WgaとWgbとの分割比とスイッチ回路SW1a及びSW2aがオン状態にある場合のRFCインピーダンスとの関係を示すグラフである。
【0078】
図8に示すように、例えば、
図7の(a)で説明したSPDTスイッチが一並列である場合のゲート幅Wgを“1”として、ゲート幅Wgをゲート幅Wga及びWgbに分割した場合の分割比をXとする。この場合、ゲート幅WgaをWXで表し、ゲート幅WgbをW(1-X)で表すことができる。すなわち、Wg=(WX+W(1-X))の関係にある。なお、Wg=(WX+W(1-X))の関係になくてもよい。
【0079】
図9に示すように、分割比Xを0.1から0.9まで変動させた場合、スイッチ回路SW1a及びSW2aがオン状態(同時オン状態)にある場合のRFCインピーダンスは、X=0.5を中心とした線対称のグラフとなる。X=0.5のときのRFCインピーダンスは30Ωとなり、他の分割比Xと比較すると最も低い。そして、Xが減少または増加にするに伴い、RFCインピーダンスは30Ωから増加する傾向にある。
図9の破線は、SPDTスイッチが一並列である場合のRFCインピーダンス(27.5Ω)を示している。SPDTスイッチが二並列である場合、いずれの条件においても、RFCインピーダンスは、30Ω以上となり、SPDTスイッチが一並列である場合のRFCインピーダンス(27.5Ω)よりも大きくなる。すなわち、SPDTスイッチを並列に配置することにより、同時オン状態にある場合のRFCインピーダンスは、SPDTスイッチが一並列である場合よりも高くなる。すなわち、切り替え動作によるインピーダンスの変動は減少する。
【0080】
1.7 第1実施形態の変形例に係る効果
本実施形態の変形例に係る構成であれば、ゲート幅Wga及びWgbの分割比Xを制御することにより、スイッチ回路SW1a及びSW2aがオン状態(同時オン状態)にある場合のRFCインピーダンスを制御できる。これにより、同時オン状態にある場合のRFCインピーダンスの変動を抑制できる。
【0081】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる高周波半導体集積回路1の構成について説明する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0082】
2.1 構成
まず、
図10を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図10は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0083】
図10に示すように、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a及び2b、バッファ3、並びに抵抗素子4_1及び4_2を含む。
【0084】
本実施形態では、スイッチングユニット2bをスイッチングユニット2aに対して遅延させるために、バッファ3とスイッチングユニット2bとの間に抵抗素子4が設けられている。より具体的には、バッファ3の正転出力端子(+)は、抵抗素子4_1を介して、スイッチ回路SW1bに接続される。バッファ3の反転出力端子(-)は、抵抗素子4_2を介して、スイッチ回路SW2bに接続される。例えば、抵抗素子4_1及び4_2は、同じ抵抗値Rcnを有する。抵抗素子4_1及び4_2により、スイッチングユニット2bは、スイッチングユニット2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。
【0085】
その他の構成は同じである。
【0086】
2.2 スイッチ回路の回路構成
次に、
図11を参照して、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成の一例について説明する。
図11は、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの一例を示す回路図である。
【0087】
図11に示すように、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの構成は、第1実施形態の
図2と同様である。
【0088】
スイッチ回路SW1bの複数の抵抗素子13bの一方の端子は、複数のトランジスタ11bのゲートにそれぞれ接続される。複数の抵抗素子13bの他方の端子は、抵抗素子4_1の一方の端子に共通に接続される。抵抗素子4_1の他方の端子は、バッファ3の正転出力端子(+)に接続される。
【0089】
スイッチ回路SW2bの複数の抵抗素子23bの一方の端子は、複数のトランジスタ21bのゲートにそれぞれ接続される。複数の抵抗素子23bの他方の端子は、抵抗素子4_2の一方の端子に共通に接続される。抵抗素子4_2の他方の端子は、バッファ3の反転出力端子(-)に接続される。
【0090】
本実施形態では、抵抗素子4_1及び4_2により、スイッチ回路SW1b及びSW2bは、スイッチ回路SW1a及びSW2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。このため、例えば、トランジスタ11a、11b、21a、及び21b並びに抵抗素子13a、13b、23a、及び23bは、Wga=Wgb且つRgga=Rggbの関係であってもよい。
【0091】
2.3 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0092】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1及び第2実施形態と異なる高周波半導体集積回路1の構成について説明する。以下、第1及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0093】
3.1 構成
まず、
図12を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図12は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0094】
図12に示すように、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a及び2b、バッファ3a及び3b、並びに遅延回路5を含む。
【0095】
スイッチングユニット2a及び2bは、第1実施形態の
図1と同様である。
【0096】
バッファ3aは、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3aの入力端子は、入力端子CTRLに接続される。バッファ3aの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1aに接続される。バッファ3aの反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2aに接続される。バッファ3aは、正転出力端子(+)から制御信号を出力し、反転出力端子(-)から制御信号の反転信号を出力する。
【0097】
バッファ3bは、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3bの入力端子は、遅延回路5の出力端子に接続される。バッファ3bの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1bに接続される。バッファ3bの反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2bに接続される。バッファ3bは、正転出力端子(+)から制御信号を出力し、反転出力端子(-)から制御信号の反転信号を出力する。
【0098】
遅延回路5は、制御信号を遅延させてバッファ3bに送信する。遅延回路5の入力端子は、入力端子CTRLに接続される。遅延回路5の出力端子は、バッファ3bの入力端子に接続される。
【0099】
本実施形態では、遅延回路5により、スイッチングユニット2bは、スイッチングユニット2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。
【0100】
3.2 スイッチ回路の回路構成
次に、
図13を参照して、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成の一例について説明する。
図13は、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの一例を示す回路図である。
【0101】
図13に示すように、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの構成は、第1実施形態の
図2と同様である。
【0102】
スイッチ回路SW1aの複数の抵抗素子13aの一方の端子は、複数のトランジスタ11aのゲートにそれぞれ接続される。複数の抵抗素子13aの他方の端子は、バッファ3aの正転出力端子(+)に共通に接続される。
【0103】
スイッチ回路SW1bの複数の抵抗素子13bの一方の端子は、複数のトランジスタ11bのゲートにそれぞれ接続される。複数の抵抗素子13bの他方の端子は、バッファ3bの正転出力端子(+)に共通に接続される。
【0104】
スイッチ回路SW2aの複数の抵抗素子23aの一方の端子は、複数のトランジスタ21aのゲートにそれぞれ接続される。複数の抵抗素子23aの他方の端子は、バッファ3aの反転出力端子(-)に共通に接続される。
【0105】
スイッチ回路SW2bの複数の抵抗素子23bの一方の端子は、複数のトランジスタ21bのゲートにそれぞれ接続される。複数の抵抗素子23bの他方の端子は、バッファ3bの反転出力端子(-)に接続される。
【0106】
本実施形態では、遅延回路5により、スイッチ回路SW1b及びSW2bは、スイッチ回路SW1a及びSW2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。このため、例えば、トランジスタ11a、11b、21a、及び21b並びに抵抗素子13a、13b、23a、及び23bは、Wga=Wgb且つRgga=Rggbの関係であってもよい。
【0107】
3.3 遅延回路の回路構成
次に、
図14を参照して、遅延回路5の回路構成の一例について説明する。
図14は、遅延回路5の回路図である。
【0108】
図14に示すように、遅延回路は、例えば、インバータ51及び52、抵抗素子53、及び容量素子54を含む。
【0109】
インバータ51の入力端子は、入力端子CTRLに接続される。インバータ51の出力端子は、抵抗素子53の一方の端子及び容量素子54の一方の電極に接続される。
【0110】
インバータ52の入力端子は、抵抗素子53の他方の端子に接続される。インバータ52の出力端子は、バッファ3bの入力端子に接続される。
【0111】
容量素子54の他方の電極は、接地される(接地電圧配線に接続される)。
【0112】
抵抗素子53と容量素子54との組によるCR時定数により、制御信号は遅延される。設定される遅延時間に基づいて、抵抗素子53の抵抗値と容量素子54の容量値は任意に設定される。なお、設定される遅延時間に基づいて、抵抗素子53と容量素子54の組が複数組直列にされてもよいし、遅延回路5が複数個、直列に設けられてもよい。
【0113】
3.4 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0114】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態では、第1乃至第3実施形態と異なる高周波半導体集積回路1の構成について説明する。以下、第1乃至第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0115】
4.1 構成
図15を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図15は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0116】
図15に示すように、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a及び2b、バッファ3、並びに遅延回路5_1及び5_2を含む。
【0117】
スイッチングユニット2a及び2bは、第1実施形態の
図1と同様である。
【0118】
バッファ3は、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3の入力端子は、入力端子CTRLに接続される。本実施形態のバッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1a及び遅延回路5_1の入力端子に接続される。バッファ3の反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2a及び遅延回路5_2の入力端子に接続される。
【0119】
遅延回路5_1は、バッファ3から受信した制御信号を遅延させてスイッチ回路SW1bに送信する。遅延回路5_1の出力端子は、スイッチ回路SW1bに接続される。
【0120】
遅延回路5_2は、バッファ3から受信した制御信号の反転信号を遅延させてスイッチ回路SW2bに送信する。遅延回路5_2の出力端子は、スイッチ回路SW2bに接続される。
【0121】
遅延回路5_1及び5_2の構成は、互いに同じであってもよい。また、遅延回路5_1及び5_2の構成は、第3実施形態の
図14と同様であってもよい。
【0122】
本実施形態では、スイッチ回路SW1bは、遅延回路5_1により、スイッチ回路SW1aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。また、スイッチ回路SW2bは、遅延回路5_2により、スイッチ回路SW2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。
【0123】
4.2 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0124】
5.第5実施形態
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態では、3つのスイッチングユニット2が三並列に設けられている場合について説明する。
【0125】
5.1 構成
まず、
図16を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図16は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0126】
図16に示すように、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a、2b、及び2c、並びにバッファ3を含む。
【0127】
スイッチングユニット2a、2b、及び2cは、各々が1つのSPDTスイッチとして機能し得る。スイッチングユニット2a、2b、及び2cは、並列に接続される。すなわち、高周波半導体集積回路1は、三並列のSPDTスイッチを含む。換言すれば、SPDTスイッチが3段に分割されている。例えば、スイッチングユニット2aにおけるスイッチの切り替え時間の長さは、スイッチングユニット2bにおけるスイッチの切り替え時間の長さよりも短い。スイッチングユニット2bにおけるスイッチの切り替え時間の長さは、スイッチングユニット2cにおけるスイッチの切り替え時間の長さよりも短い。このため、例えば、入力端子RFCの接続先を切り替える場合、スイッチングユニット2aにおける切り替え動作が完了したあとに、スイッチングユニット2bにおける切り替え動作が完了する。そして、スイッチングユニット2bにおける切り替え動作が完了したあとに、スイッチングユニット2cにおける切り替え動作が完了する。すなわち、切り替え動作は、三段階で実行される。以下、スイッチングユニット2a、2b、及び2cのいずれかを限定しない場合は、「スイッチングユニット2」と表記する。
【0128】
スイッチングユニット2a及び2bの構成は、第1実施形態の
図1と同様である。
【0129】
スイッチングユニット2cは、2つのスイッチ回路SW1c及びSW2cを含む。スイッチ回路SW1c及びSW2cは、制御信号に基づいて、どちらか一方がオン状態とされ、他方がオフ状態とされる。
【0130】
スイッチ回路SW1cは、バッファ3の正転出力端子(+)から入力された制御信号に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF1とを電気的に接続する。スイッチ回路SW1cの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF1に接続される。
【0131】
スイッチ回路SW2cは、バッファ3の反転出力端子(-)から入力された制御信号の反転信号に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF2とを電気的に接続する。スイッチ回路SW2cの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF2に接続される。
【0132】
例えば、制御信号が“H”レベルの場合、スイッチ回路SW1cはオン状態とされ、スイッチ回路SW2cはオフ状態とされる。また、例えば、制御信号が“L”レベルの場合、スイッチ回路SW1cはオフ状態とされ、スイッチ回路SW2cはオン状態とされる。
【0133】
バッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1a、SW1b、及びSW1cに接続される。バッファ3の反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2a、SW2b、及びSW2cに接続される。
【0134】
5.2 スイッチ回路の回路構成
次に、
図17を参照して、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの回路構成の一例について説明する。
図17は、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの一例を示す回路図である。なお、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成は、第1実施形態の
図2と同様である。このため、
図17の例では、説明を簡略化するため、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW2a、及びSW2bの回路構成は、省略されている。
【0135】
まず、スイッチ回路SW1cについて説明する。
【0136】
図17に示すように、スイッチ回路SW1cは、複数のn型MOSFET11c、複数の抵抗素子12c、及び複数の抵抗素子13cを含む。スイッチ回路SW1cに含まれるトランジスタ11c、抵抗素子12c、及び抵抗素子13cの個数は同じである。例えば、スイッチ回路SW1cは、スイッチ回路SW1aのトランジスタ11aと同じ個数のトランジスタ11cを含む。
【0137】
複数のトランジスタ11cは、入力端子RFCと出力端子RF1との間に直列に接続される。トランジスタ11cのゲートは、抵抗素子13cの一方の端子に接続される。以下、トランジスタ11cのゲート幅をWgcと表記する。
【0138】
抵抗素子12cは、トランジスタ11cと並列に接続される。より具体的には、抵抗素子12cの一方の端子は、トランジスタ11cの一端に接続され、他方の端子は、トランジスタ11cの他端に接続される。抵抗素子12cの抵抗値は、抵抗素子12aと同じ抵抗値Rdsである。
【0139】
抵抗素子13cの一方の端子は、トランジスタ11cのゲートに接続され、他方の端子は、バッファ3の正転出力端子(+)に接続される。以下、抵抗素子13cの抵抗値をRggcと表記する。
【0140】
次に、スイッチ回路SW2cについて説明する。スイッチ回路SW2cは、複数のn型MOSFET21c、複数の抵抗素子22c、及び複数の抵抗素子23cを含む。スイッチ回路SW2cに含まれるトランジスタ21c、抵抗素子22c、及び抵抗素子23cの個数は同じである。例えば、スイッチ回路SW2cは、スイッチ回路SW1aのトランジスタ11aと同じ個数のトランジスタ21cを含む。
【0141】
複数のトランジスタ21cは、入力端子RFCと出力端子RF1との間に直列に接続される。トランジスタ21cのゲートは、抵抗素子23cの一方の端子に接続される。トランジスタ21cのゲート幅は、トランジスタ11cと同じゲート幅Wgcである。
【0142】
抵抗素子22cは、トランジスタ21cと並列に接続される。より具体的には、抵抗素子22cの一方の端子は、トランジスタ21cの一端に接続され、他方の端子は、トランジスタ21cの他端に接続される。抵抗素子22cの抵抗値は、抵抗素子12aと同じ抵抗値Rdsである。
【0143】
抵抗素子23cの一方の端子は、トランジスタ21cのゲートに接続され、他方の端子は、バッファ3の反転出力端子(-)に接続される。以下、抵抗素子23cの抵抗値は、抵抗素子13cと同じ抵抗値Rggcである。
【0144】
本実施形態では、例えば、ゲート幅Wga、Wgb、及びWgc並びに抵抗値Rgga、Rggb、及びRggcは、Wga=Wgb=Wgc且つRgga<Rggb<Rggcの関係、または、Wga<Wgb<Wgc且つRgga=Rggb=Rggcの関係にある。なお、ゲート幅Wga、Wgb、及びWgc並びに抵抗値Rgga、Rggb、及びRggcは、Wga<Wgb<Wgc且つRgga<Rggb<Rggcの関係であってもよい。CR時定数は、(スイッチ回路SW1a(トランジスタ11a)及びスイッチ回路SW2a(トランジスタ21a)のCR時定数)<(スイッチ回路SW1b(トランジスタ11b)及びスイッチ回路SW2b(トランジスタ21b)のCR時定数)<(スイッチ回路SW1c(トランジスタ11c)及びスイッチ回路SW2c(トランジスタ21c)のCR時定数)の関係にあればよい。
【0145】
以下、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cのいずれかを限定しない場合は、スイッチ回路SWと表記する。
【0146】
5.3 スイッチング動作の具体例
次に、
図18乃至
図20を参照して、入力端子RFCの接続を出力端子RF1から出力端子RF2に切り替える場合の切り替え順序の具体例について説明する。
図18は、切り替え動作において立ち上がり時間Tonの長さと立ち下がり時間Toffの長さとが同じである場合の切り換え順序を示している。すなわち、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作とトランジスタのオフ動作とが同じタイミングで完了する場合を示している。
図19は、切り替え動作において立ち上がり時間Tonの長さが立ち下がり時間Toffの長さよりも短い場合の切り換え順序を示している。すなわち、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作がトランジスタのオフ動作よりも早く完了する場合を示している。
図20は、切り替え動作において立ち上がり時間Tonの長さが立ち下がり時間Toffの長さよりも長い場合の切り換え順序を示している。すなわち、スイッチングユニット2内のトランジスタのオフ動作がトランジスタのオン動作よりも早く完了する場合を示している。
図18乃至
図20の例では、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの各々のオン抵抗Ronを15Ωとする。入力端子RFCと、出力端子RF1またはRF2のいずれかと、が接続されている状態の特性インピーダンスを50Ωとする。また、例えば、ゲート幅Wga、Wgb、及びWgc並びに抵抗値Rgga、Rggb、及びRggcは、Wga<Wgb<Wgc且つRgga=Rggb=Rggcの関係にある。
【0147】
まず、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作とトランジスタのオフ動作とが同じタイミングで完了する場合について説明する。
【0148】
図18に示すように、ステップ0では、入力端子RFCは出力端子RF1に接続されている。このため、スイッチ回路SW1a、SW1b、及びSW1cは、オン状態とされ、スイッチ回路SW2a、SW2b、及びSW2cは、オフ状態とされている。例えば、RFCインピーダンスは55Ωである。
【0149】
まず、ステップ1において、スイッチングユニット2aにおける切り替え動作が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1aは、オン状態からオフ状態とされる。そして、スイッチ回路SW2aは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1b、SW1c、及びSW2aは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは30.5Ωに低減する。
【0150】
ステップ2において、スイッチングユニット2bにおける切り替え動作が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1bは、オン状態からオフ状態とされる。そして、スイッチ回路SW2bは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1c、SW2a、及びSW2bは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは、30.5Ωである。
【0151】
ステップ3において、スイッチングユニット2cにおける切り替え動作が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1cは、オン状態からオフ状態とされる。そして、スイッチ回路SW2cは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW2a、SW2b、及びSW2cは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF2に接続される。RFCインピーダンスは、55Ωである。
【0152】
スイッチングユニット2(SPDTスイッチ)を三並列にする場合、オン抵抗Ronは、例えば、SPDTスイッチが一並列である場合の3倍に設定できる。このため、SPDTスイッチが一並列である場合のゲート幅Wgに対してゲート幅Wga、Wgb、及びWgcを減少できる。これにより、トランジスタのゲート容量(CR時定数)は約1/3に低減され得る。従って、トランジスタのスイッチング速度(遷移時間)は、SPDTスイッチが一並列である場合に対して、約1/3にできる。
【0153】
次に、スイッチングユニット2内のトランジスタのオン動作がトランジスタのオフ動作よりも早く完了する場合について説明する。
【0154】
図19に示すように、スイッチングユニット2a、2b、及び2cにおいて、トランジスタがオン状態に遷移するタイミングとオフ状態に遷移するタイミングが異なる。このため、ステップ0とステップ1との間、ステップ1とステップ2との間、及びステップ2とステップ3との間に中間のステップが発生する。以下、ステップ0とステップ1との間のステップをステップ0.5と表記する。ステップ1とステップ2との間のステップをステップ1.5と表記する。ステップ2とステップ3との間のステップをステップ2.5と表記する。
【0155】
【0156】
次に、ステップ0.5において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ21aのオン状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1aは、オン状態を維持している。スイッチ回路SW2aは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、及びSW2aは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは30Ωに低減する。
【0157】
ステップ1において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ11aのオフ状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの状態は、
図18と同様である。
【0158】
次に、ステップ1.5において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ21bのオン状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1bは、オン状態を維持している。スイッチ回路SW2bは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1b、SW1c、SW2a、及びSW2bは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは29Ωに低減する。
【0159】
ステップ2において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ11bのオフ状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの状態は、
図18と同様である。
【0160】
次に、ステップ2.5において、スイッチングユニット2cにおけるトランジスタ21cのオン状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1cは、オン状態を維持している。スイッチ回路SW2cは、オフ状態からオン状態とされる。この結果、スイッチ回路SW1c、SW2a、SW2b、SW2cは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは30Ωである。
【0161】
ステップ3において、スイッチングユニット2cにおけるトランジスタ11cのオフ状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの状態は、
図18と同様である。
【0162】
次に、スイッチングユニット2内のトランジスタのオフ動作がトランジスタのオン動作よりも早く完了する場合について説明する。
【0163】
図20に示すように、スイッチングユニット2a、2b、及び2cにおいて、トランジスタがオン状態に遷移するタイミングとオフ状態に遷移するタイミングが異なる。このため、ステップ0とステップ1との間、ステップ1とステップ2との間、及びステップ2とステップ3との間に中間のステップが発生する。
【0164】
【0165】
次に、ステップ0.5において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ11aのオフ状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1aは、オン状態からオフ状態とされる。スイッチ回路SW2aは、オフ状態を維持している。この結果、スイッチ回路SW1b及びSW1cは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1に接続される。RFCインピーダンスは57.5Ωに増加する。
【0166】
ステップ1において、スイッチングユニット2aにおけるトランジスタ21bのオン状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの状態は、
図18と同様である。
【0167】
次に、ステップ1.5において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ11bのオフ状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1bは、オン状態からオフ状態とされる。スイッチ回路SW2bは、オフ状態を維持している。この結果、スイッチ回路SW1c及びSW2aは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF1及びRF2に接続される。RFCインピーダンスは32.5Ωである。
【0168】
ステップ2において、スイッチングユニット2bにおけるトランジスタ21bのオン状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの状態は、
図18と同様である。
【0169】
次に、ステップ2.5において、スイッチングユニット2cにおけるトランジスタ11cのオフ状態への遷移が完了する。より具体的には、スイッチ回路SW1cは、オン状態からオフ状態とされる。スイッチ回路SW2cは、オフ状態を維持している。この結果、スイッチ回路SW2a及びSW2bは、オン状態とされる。これにより、入力端子RFCは、出力端子RF2に接続される。RFCインピーダンスは57.5Ωに増加する。
【0170】
ステップ3において、スイッチングユニット2cにおけるトランジスタ21cのオン状態への遷移が完了する。各スイッチ回路SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、及びSW2cの状態は、
図18と同様である。
【0171】
例えば、本実施形態の具体例の
図18乃至
図20と、第1実施形態の具体例の
図4乃至
図6とを比較すると、並列に接続されるスイッチングユニット2(スイッチ回路SW)の個数が増加すると、切り替え動作におけるRFCインピーダンスの変動が抑制され、遷移時間が短縮される。
【0172】
5.4 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0173】
更に、本実施形態に係る構成であれば、高周波半導体集積回路1は、並列に配置されるスイッチングユニット2の個数が増加することにより、更なるインピーダンス変動の抑制とスイッチング速度の向上とができる。
【0174】
6.第6実施形態
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態では、第5実施形態と異なる高周波半導体集積回路1の構成について説明する。以下、第5実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0175】
6.1 構成
図21を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図21は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0176】
図21に示すように、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a、2b、及び2c、バッファ3、並びに遅延回路6_1、6_2、7_1、及び7_2を含む。
【0177】
スイッチングユニット2a、2b、及び2cは、第5実施形態の
図16と同様である。
【0178】
バッファ3は、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3の入力端子は、入力端子CTRLに接続される。本実施形態のバッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1a及び遅延回路6_1の入力端子に接続される。バッファ3の反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2a及び遅延回路6_2の入力端子に接続される。
【0179】
遅延回路6_1は、バッファ3から受信した制御信号を遅延させてスイッチ回路SW1b及び遅延回路7_1の入力端子に送信する。遅延回路6_1の出力端子は、スイッチ回路SW1b及び遅延回路7_1の入力端子に接続される。
【0180】
遅延回路6_2は、バッファ3から受信した制御信号の反転信号を遅延させてスイッチ回路SW2b及び遅延回路7_2の入力端子に送信する。遅延回路6_2の出力端子は、スイッチ回路SW2b及び遅延回路7_2の入力端子に接続される。遅延回路6_2における遅延量は、遅延回路6_1と同様である。
【0181】
遅延回路7_1は、遅延回路6_1から受信した遅延された制御信号を更に遅延させてスイッチ回路SW1cに送信する。すなわち、遅延回路7_1は、遅延回路6_1及び遅延回路7_1により遅延された制御信号を出力する。遅延回路7_1の出力端子は、スイッチ回路SW1cに接続される。
【0182】
遅延回路7_2は、遅延回路6_2から受信した遅延された制御信号の反転信号を更に遅延させてスイッチ回路SW2cに送信する。すなわち、遅延回路7_2は、遅延回路6_2及び遅延回路7_2により遅延された制御信号の反転信号を出力する。遅延回路7_2の出力端子は、スイッチ回路SW2cに接続される。遅延回路7_2における遅延量は、遅延回路7_1と同様である。遅延回路7_1及び7_2における遅延量は、遅延回路6_1及び6_2と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、遅延回路6_1、6_2、7_1、及び7_2の構成は、例えば、第3実施形態の
図14と同様であってもよい。更に、遅延回路6_1、6_2、7_1、及び7_2の代わりに、第2実施形態と同様に抵抗素子が配置されてもよい。
【0183】
本実施形態では、遅延回路6_1により、スイッチ回路SW1bは、スイッチ回路SW1aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。そして、遅延回路7_1により、スイッチ回路SW1cは、スイッチ回路SW1bに対して、切り替え動作の遅延を生じる。同様に、遅延回路6_2により、スイッチ回路SW2bは、スイッチ回路SW2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。そして、遅延回路7_2により、スイッチ回路SW2cは、スイッチ回路SW2bに対して、切り替え動作の遅延を生じる。
【0184】
6.2 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0185】
7.第7実施形態
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態では、第5及び第6実施形態と異なる高周波半導体集積回路1の構成について説明する。以下、第5及び第6実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0186】
7.1 構成
図22を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図22は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0187】
図22に示すように、高周波半導体集積回路1は、スイッチングユニット2a、2b、及び2c、バッファ3a、3b、及び3c、並びに遅延回路8及び9を含む。
【0188】
スイッチングユニット2a、2b、及び2cは、第5実施形態の
図16と同様である。
【0189】
バッファ3aは、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3aの入力端子は、入力端子CTRLに接続される。本実施形態のバッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1aに接続される。バッファ3aの反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2aに接続される。
【0190】
バッファ3bは、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3bの入力端子は、遅延回路8を介して、入力端子CTRLに接続される。本実施形態のバッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1bに接続される。バッファ3bの反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2bに接続される。
【0191】
バッファ3cは、入力端子、正転出力端子(+)、及び反転出力端子(-)を含む。バッファ3cの入力端子は、遅延回路8及び9を介して、入力端子CTRLに接続される。本実施形態のバッファ3の正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1cに接続される。バッファ3cの反転出力端子(-)は、スイッチ回路SW2cに接続される。
【0192】
遅延回路8は、バッファ3から受信した制御信号を遅延させてバッファ3b及び遅延回路9の入力端子に送信する。遅延回路8の入力端子は、入力端子CTRLに接続される。遅延回路8の出力端子は、バッファ3bの入力端子及び遅延回路9の入力端子に接続される。
【0193】
遅延回路9は、遅延回路8から受信した遅延された制御信号を更に遅延させてバッファ3cに送信する。すなわち、遅延回路9は、遅延回路8及び遅延回路9により遅延された制御信号を出力する。遅延回路9の出力端子は、バッファ3cの入力端子に接続される。遅延回路8における遅延量は、遅延回路9における遅延量と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、遅延回路8及び9の構成は、例えば、第3実施形態の
図14と同様であってもよい。
【0194】
本実施形態では、遅延回路8により、スイッチ回路SW1b及びSW2bは、スイッチ回路SW1a及びSW2aに対して、切り替え動作の遅延を生じる。そして、遅延回路9により、スイッチ回路SW1c及びSW2cは、スイッチ回路SW1b及びSW2bに対して、切り替え動作の遅延を生じる。
【0195】
7.2 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第5実施形態と同様の効果が得られる。
【0196】
8.第8実施形態
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態では、高周波半導体集積回路1がSP3Tスイッチである場合について説明する。SP3Tスイッチは、1つの入力端子と3つの出力端子を有する高周波信号の切り替えスイッチである。
【0197】
8.1 構成
図23を参照して、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例について説明する。
図23は、高周波半導体集積回路1の全体構成の一例を示すブロック図である。
【0198】
図23に示すように、高周波半導体集積回路1は、高周波信号の入力端子RFC、制御信号の入力端子CTRL、並びに3つの出力端子RF1、RF2、及びRF3を有する。高周波半導体集積回路1は、入力端子CTRLから入力された制御信号に基づいて、入力端子RFCと、出力端子RF1、RF2、及びRF3の少なくとも1つとを電気的に接続する。
【0199】
高周波半導体集積回路1は、2つのスイッチングユニット2a及び2b、デコーダ101、3個の遅延回路111~113、並びに6個のバッファ121a、121b、122a、122b、123a、及び123bを含む。
【0200】
本実施形態のスイッチングユニット2aは、3つのスイッチ回路SW1a、SW2a、及びSW3aを含む。
【0201】
スイッチ回路SW1aは、バッファ121aの正転出力端子(+)から入力された制御信号CS1に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF1とを電気的に接続する。スイッチ回路SW1aの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF1に接続される。
【0202】
スイッチ回路SW2aは、バッファ122aの正転出力端子(+)から入力された制御信号CS2に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF2とを電気的に接続する。スイッチ回路SW2aの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF2に接続される。
【0203】
スイッチ回路SW3aは、バッファ123aの正転出力端子(+)から入力された制御信号CS3に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF3とを電気的に接続する。スイッチ回路SW3aの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF3に接続される。
【0204】
本実施形態のスイッチングユニット2bは、3つのスイッチ回路SW1b、SW2b、及びSW3bを含む。
【0205】
スイッチ回路SW1bは、バッファ121bの正転出力端子(+)から入力された制御信号CS1に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF1とを電気的に接続する。スイッチ回路SW1bの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF1に接続される。
【0206】
スイッチ回路SW2bは、バッファ122bの正転出力端子(+)から入力された制御信号CS2に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF2とを電気的に接続する。スイッチ回路SW2bの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF2に接続される。
【0207】
スイッチ回路SW3bは、バッファ123bの正転出力端子(+)から入力された制御信号CS3に基づいて、入力端子RFCと出力端子RF3とを電気的に接続する。スイッチ回路SW3bの一端は、入力端子RFCに接続され、他端は出力端子RF3に接続される。
【0208】
第1実施形態と同様に、スイッチングユニット2aにおける切り替え動作の完了のタイミングは、スイッチングユニット2bにおける切り替え動作の完了のタイミングよりも速い。すなわち、スイッチ回路SW1aにおける切り替え動作の完了のタイミングは、スイッチ回路SW1bにおける切り替え動作の完了のタイミングよりも早い。スイッチ回路SW2aにおける切り替え動作の完了のタイミングは、スイッチ回路SW2bにおける切り替え動作の完了のタイミングよりも早い。スイッチ回路SW3aにおける切り替え動作の完了のタイミングは、スイッチ回路SW3bにおける切り替え動作の完了のタイミングよりも早い。
【0209】
デコーダ101は、入力端子CTRLから受信した信号をデコードして、制御信号CS1、CS2、及びCS3を生成する。制御信号CS1は、スイッチ回路SW1a及びSW1bを制御する信号である。制御信号CS2は、スイッチ回路SW2a及びSW2bを制御する信号である。制御信号CS3は、スイッチ回路SW3a及びSW3bを制御する信号である。例えば、デコーダ101は、スイッチ回路SW1a及びSW1bをオン状態にする場合、“H”レベルの制御信号CS1を出力する。制御信号CS2及びCS3も同様である。デコーダ101は、制御信号CS1、CS2、及びCS3をそれぞれ出力する3つの出力端子T1、T2、及びT3を含む。なお、デコーダ101は、高周波半導体集積回路1の外部に設けられてもよい。この場合、高周波半導体集積回路1は、制御信号CS1~CS3が入力される3つの信号入力端子を有する。
【0210】
遅延回路111は、制御信号CS1を遅延させる回路である。遅延回路111の入力端子は、デコーダ101の出力端子T1に接続される。遅延回路111の出力端子は、バッファ121bの入力端子に接続される。遅延回路111は、遅延させた制御信号CS1をバッファ121bに送信する。
【0211】
遅延回路112は、制御信号CS2を遅延させる回路である。遅延回路112の入力端子は、デコーダ101の出力端子T2に接続される。遅延回路112の出力端子は、バッファ122bの入力端子に接続される。遅延回路112は、遅延させた制御信号CS2をバッファ122bに送信する。
【0212】
遅延回路113は、制御信号CS3を遅延させる回路である。遅延回路113の入力端子は、デコーダ101の出力端子T3に接続される。遅延回路113の出力端子は、バッファ123bの入力端子に接続される。遅延回路113は、遅延させた制御信号CS3をバッファ123bに送信する。
【0213】
バッファ121aは、制御信号CS1をスイッチ回路SW1aに送信する。バッファ121aの入力端子は、デコーダ101の出力端子T1に接続される。バッファ121aの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1aに接続される。
【0214】
バッファ121bは、遅延された制御信号CS1をスイッチ回路SW1bに送信する。バッファ121bの入力端子は、遅延回路111に接続される。バッファ121bの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW1bに接続される。
【0215】
バッファ122aは、制御信号CS2をスイッチ回路SW2aに送信する。バッファ122aの入力端子は、デコーダ101の出力端子T2に接続される。バッファ122aの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW2aに接続される。
【0216】
バッファ122bは、遅延された制御信号CS2をスイッチ回路SW2bに送信する。バッファ122bの入力端子は、遅延回路112に接続される。バッファ122bの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW2bに接続される。
【0217】
バッファ123aは、制御信号CS3をスイッチ回路SW3aに送信する。バッファ123aの入力端子は、デコーダ101の出力端子T3に接続される。バッファ123aの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW3aに接続される。
【0218】
バッファ123bは、遅延された制御信号CS3をスイッチ回路SW3bに送信する。バッファ123bの入力端子は、遅延回路113に接続される。バッファ123bの正転出力端子(+)は、スイッチ回路SW3bに接続される。
【0219】
8.2 本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0220】
9.変形例等
実施形態は上記説明した形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0221】
上記実施形態において、抵抗値またはゲート幅が同じである場合には、製造ばらつきによる誤差を含み得る。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0223】
<付記>
なお、上記各実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下に限られるものではない。
【0224】
(付記1)
高周波信号を受信する第1入力端子(RFC)と、
制御信号を受信する第2入力端子(CTRL)と、
前記高周波信号を出力する第1出力端子(RF1)と、
前記高周波信号を出力する第2出力端子(RF2)と、
前記第1入力端子と前記第1出力端子との電気的接続を制御する第1スイッチ回路(SW1a)と、
前記第1入力端子と前記第2出力端子との電気的接続を制御する第2スイッチ回路(SW2a)と、
前記第1入力端子と前記第1出力端子との電気的接続を制御し、前記第1スイッチ回路と並列に接続された第3スイッチ回路(SW1b)と、
前記第1入力端子と前記第2出力端子との電気的接続を制御し、前記第2スイッチ回路と並列に接続された第4スイッチ回路(SW2b)と
を備え、
前記第1入力端子の接続先を前記第1出力端子から前記第2出力端子に切り替える場合、前記第1スイッチ回路及び前記第2スイッチ回路の切り替え動作が完了した後に、前記第3スイッチ回路及び前記第4スイッチ回路の前記切り替え動作が完了する、
高周波半導体集積回路。
【0225】
(付記2)
前記第1スイッチ回路及び前記第3スイッチ回路は、前記制御信号に基づいて前記切り替え動作を実行し、
前記第2スイッチ回路及び前記第4スイッチ回路は、前記制御信号の反転信号に基づいて前記切り替え動作を実行する、
付記1に記載の高周波半導体集積回路。
【0226】
(付記3)
前記第1入力端子の接続先を前記第1出力端子から前記第2出力端子に切り替える場合、前記第1スイッチ回路及び前記第3スイッチ回路がオン状態とされ且つ前記第2スイッチ回路及び前記第4スイッチ回路がオフ状態とされた状態から、前記第1スイッチ回路がオフ状態とされ且つ前記第2スイッチ回路がオン状態とされた後に、前記第3スイッチ回路がオフ状態とされ且つ前記第4スイッチ回路がオン状態とされる、
付記1に記載の高周波半導体集積回路。
【0227】
(付記4)
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を受信する第3入力端子、前記制御信号を出力する第3出力端子(+)、及び前記制御信号の前記反転信号を出力する第4出力端子(-)を含む第1バッファ(3)と、
一方の端子が前記第1バッファの前記第3出力端子に接続され、他方の端子が前記第3スイッチ回路に接続された第5抵抗素子(4_1)と、
一方の端子が前記第1バッファの前記第4出力端子に接続され、他方の端子が前記第4スイッチ回路に接続された第6抵抗素子(4_2)と
を更に備える、
付記2に記載の高周波半導体集積回路。
【0228】
(付記5)
前記第1スイッチ回路は、直列に接続された複数の第1トランジスタ(11a)及び前記複数の第1トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第1抵抗素子(13a)を含み、
前記第2スイッチ回路は、直列に接続された複数の第2トランジスタ(21a)及び前記複数の第2トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第2抵抗素子(23a)を含み、
前記第3スイッチ回路は、直列に接続され複数の第3トランジスタ(11b)及び前記複数の第3トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第3抵抗素子(13b)を含み、
前記第4スイッチ回路は、直列に接続され複数の第4トランジスタ(21b)及び前記複数の第4トランジスタのゲートにそれぞれ接続された複数の第4抵抗素子(23b)を含み、
前記複数の第1抵抗素子、前記複数の第2抵抗素子、前記複数の第3抵抗素子、及び前記複数の第4抵抗素子の各々の抵抗値は同じであり、
前記複数の第1トランジスタ、前記複数の第2トランジスタ、前記複数の第3トランジスタ、及び前記複数の第4トランジスタの各々のゲート幅は同じである、
付記4に記載の高周波半導体集積回路。
【0229】
(付記6)
前記第1入力端子と前記第1出力端子との電気的接続を制御し、前記第1スイッチ回路及び前記第3スイッチ回路と並列に接続された第5スイッチ回路(SW1c)と、
前記第1入力端子と前記第2出力端子との電気的接続を制御し、前記第2スイッチ回路及び前記第4スイッチ回路と並列に接続された第6スイッチ回路(SW2c)と
更に備え、
前記第5スイッチ回路は、前記制御信号に基づいて前記切り替え動作を実行し、
前記第6スイッチ回路は、前記制御信号の前記反転信号に基づいて前記切り替え動作を実行し、
前記第1入力端子の接続先を前記第1出力端子から前記第2出力端子に切り替える場合、
前記第3スイッチ回路及び前記第4スイッチ回路の前記切り替え動作が完了した後に、前記第5スイッチ回路及び前記第6スイッチ回路の前記切り替え動作が完了する、
付記4に記載の高周波半導体集積回路。
【0230】
(付記7)
前記第5スイッチ回路の切り替え時間は、前記第3スイッチ回路の前記切り替え時間よりも長く、前記第3スイッチ回路の前記切り替え時間は、前記第1スイッチ回路の前記切り替え時間よりも長く、
前記第6スイッチ回路の前記切り替え時間は、前記第4スイッチ回路の前記切り替え時間よりも長く、前記第4スイッチ回路の前記切り替え時間は、前記第2スイッチ回路の前記切り替え時間よりも長い、
付記6に記載の高周波半導体集積回路。
【0231】
(付記8)
前記第1入力端子の接続先を前記第1出力端子から前記第2出力端子に切り替える場合、前記第1スイッチ回路、前記第3スイッチ回路、及び前記第5スイッチ回路がオン状態とされ且つ前記第2スイッチ回路、前記第4スイッチ回路、及び前記第6スイッチ回路がオフ状態とされた状態から、前記第1スイッチ回路がオフ状態とされ且つ前記第2スイッチ回路がオン状態とされた後、前記第3スイッチ回路がオフ状態とされ且つ前記第4スイッチ回路がオン状態とされ、前記第3スイッチ回路がオフ状態とされ且つ前記第4スイッチ回路がオン状態とされた後、前記第5スイッチ回路がオフ状態とされ且つ前記第6スイッチ回路がオン状態とされる、
付記6に記載の高周波半導体集積回路。
【0232】
(付記9)
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を受信する第7入力端子、前記制御信号を出力する第11出力端子(+)、及び前記制御信号の反転信号を出力する第12出力端子(-)を含む第5バッファ(3)と、
前記第11出力端子に接続され、前記第3スイッチ回路に、前記制御信号を遅延して送信する第4遅延回路(6_1)と、
前記第12出力端子に接続され、前記第4スイッチ回路に、前記制御信号の前記反転信号を遅延して送信する第5遅延回路(6_2)と、
前記第4遅延回路に接続され、前記第5スイッチ回路に、前記第4遅延回路により遅延された前記制御信号を更に遅延して送信する第6遅延回路(7_1)と、
前記第5遅延回路に接続され、前記第6スイッチ回路に、前記第5遅延回路により遅延された前記制御信号の前記反転信号を更に遅延して送信する第7遅延回路(7_2)と
を更に備える、
付記6に記載の高周波半導体集積回路。
【0233】
(付記10)
前記第2入力端子から受信した前記制御信号を前記第1スイッチ回路に送信し、前記制御信号の反転信号を前記第2スイッチ回路に送信する第6バッファ(3a)と、
前記第2入力端子に接続され、前記制御信号を遅延させる第8遅延回路(8)と、
前記第8遅延回路に接続され、前記第8遅延回路により遅延された前記制御信号を前記第3スイッチ回路に送信し、前記第8遅延回路により遅延された前記制御信号の前記反転信号を前記第4スイッチ回路に送信する第7バッファ(3b)と、
前記第8遅延回路に接続され、前記第8遅延回路により遅延された前記制御信号を更に遅延させる第9遅延回路(9)と、
前記第9遅延回路に接続され、前記第8遅延回路及び前記第9遅延回路により遅延された前記制御信号を前記第5スイッチ回路に送信し、前記第8遅延回路及び前記第9遅延回路により遅延された前記制御信号の前記反転信号を前記第6スイッチ回路に送信する第8バッファ(3c)と
を更に備える、
付記6に記載の高周波半導体集積回路。
【0234】
(付記11)
前記高周波信号を出力する第13出力端子(RF3)と、
前記第1入力端子と前記第13出力端子との電気的接続を制御する第7スイッチ回路(SW3a)と、
前記第1入力端子と前記第13出力端子との電気的接続を制御し、前記第7スイッチ回路と並列に接続された第8スイッチ回路(SW3b)と、
前記第1スイッチ回路及び前記第3スイッチ回路を制御する第1信号(CS1)、前記第2スイッチ回路及び前記第4スイッチ回路を制御する第2信号(CS2)、前記第7スイッチ回路及び前記第8スイッチ回路を制御する第3信号(CS1)を出力するデコーダ(101)と、
前記第1信号を遅延させる第10遅延回路(111)と、
前記第2信号を遅延させる第11遅延回路(112)と、
前記第3信号を遅延させる第12遅延回路(113)と、
前記デコーダから受信した前記第1信号を前記第1スイッチ回路に送信する第9バッファ(121a)と、
前記デコーダから受信した前記第2信号を前記第2スイッチ回路に送信する第10バッファ(122a)と、
前記デコーダから受信した前記第2信号を前記第7スイッチ回路に送信する第11バッファ(123a)と、
前記第10遅延回路から受信した遅延された前記第1信号を前記第3スイッチ回路に送信する第12バッファ(121b)と、
前記第11遅延回路から受信した遅延された前記第2信号を前記第4スイッチ回路に送信する第13バッファ(122b)と、
前記第12遅延回路から受信した遅延された前記第3信号を前記第8スイッチ回路に送信する第14バッファ(123b)と、
を更に備える、
付記6に記載の高周波半導体集積回路。
【符号の説明】
【0235】
1…高周波半導体集積回路、2、2a、2b、2c…スイッチングユニット、3、3a、3b、3c、121a、121b、122a、122b、123a、123b…バッファ、4_1、4_2、12、12a、12b、12c、13a、13b、13c、22、22a、22b、22c、23a、23b、23c、53…抵抗素子、5、5_1、5_2、6~9、111~113…遅延回路、11a、11b、11c、21a、21b、21c…トランジスタ、51、52…インバータ、54…容量素子、101…デコーダ、SW1、SW1a、SW1b、SW1c、SW2a、SW2b、SW2c…スイッチ回路