(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135245
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】無線通信制御装置、無線通信システム、無線通信制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 24/02 20090101AFI20240927BHJP
H04W 16/32 20090101ALI20240927BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20240927BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W16/32
H04W88/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045839
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 慶
(72)【発明者】
【氏名】圓谷 悠
(72)【発明者】
【氏名】水口 修平
(72)【発明者】
【氏名】竹川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】関 佐和香
(72)【発明者】
【氏名】吉川 英希
(72)【発明者】
【氏名】谷沢 康太
(72)【発明者】
【氏名】細尾 絵梨
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】通信エリア間の重なりによる干渉を避けつつ帯域幅制限を最適化する。
【解決手段】無線通信制御装置(103)は、端末(140)の情報を取得する情報取得部(101)と、基地局(100)が複数の無線子局(120~129)の各々を複数の個別のセル(130~139)として機能させるか、複数の無線子局(120~129)を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、端末(140)の情報に基づいて実行する切り替え制御部(102)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御装置であって、
前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、
前記無線通信制御装置は、
前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得する情報取得部と、
前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する切り替え制御部と、を備えている、
無線通信制御装置。
【請求項2】
前記端末の情報は、前記端末の位置情報である、
請求項1に記載の無線通信制御装置。
【請求項3】
前記位置情報は、前記重複領域に位置するか否かを示す情報である、
請求項2に記載の無線通信制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記重複領域に位置する前記端末の数が所定の値未満であれば前記切り替えを行う、
請求項3に記載の無線通信制御装置。
【請求項5】
前記端末の情報は、前記端末が要求する帯域量である、
請求項1に記載の無線通信制御装置。
【請求項6】
前記端末の情報は、前記端末の通信速度であり、
前記制御部は、前記単一のセルに位置する端末の前記通信速度のうち最も遅い予測値と、前記複数の個別のセルに位置する端末の前記通信速度のうち最も遅い予測値とを比較し、比較した予測値の高いセルを選択できるよう前記切り替えを行う、
請求項1に記載の無線通信制御装置。
【請求項7】
分配器をさらに備え、
前記分配器は、制御部からの信号に基づいて前記単一のセルとしての機能と前記複数の個別のセルとしての機能とを切り替える、
請求項1に記載の無線通信制御装置。
【請求項8】
各々が通信エリアを有する複数の無線子局と、
前記複数の無線子局と接続される基地局と、
前記基地局が前記複数の無線子局の各々を個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを行う切替部と、
前記複数の無線子局と接続された端末の情報を取得する情報取得部と、
前記端末の情報に基づいて前記切り替えを行う制御部と、を備える無線通信制御装置と、
を備える無線通信システム。
【請求項9】
複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御方法であって、
前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、
前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得し、
前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する、
ことを特徴とする無線通信制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御装置として機能させるプログラムであって、
前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、
前記プログラムは、前記コンピュータを、
前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得する情報取得手段と、
前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する切り替え制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信制御装置、無線通信システム、無線通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、複数の通信装置がそれぞれセルを形成し、端末からの情報などに基づいて、複数の通信装置の切り替えを行う技術が開示されている。(例えば特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-29842号公報
【特許文献2】特開2020-17815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の無線通信システムにおいては、複数の通信装置の切り替えをそれぞれのトラフィック量に基づいていずれか一つの通信部に接続するため、セルの重なりによる干渉と帯域幅制限に対応できないという問題があった。
【0005】
また、特許文献2に記載の中継装置においては、無線制御装置と無線装置間の信号の分配/合成及び機能分割に応じた中継装置の入れ替えに着目しているため、セルの重なりによる干渉と帯域幅制限には何ら配慮していないという問題があった。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、セル間の重なりによる干渉を避けつつ帯域幅制限を最適化するという制御技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る無線通信制御装置は、複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御装置であって、前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、前記無線通信制御装置は、前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得する情報取得部と、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する切り替え制御部と、を備えている。
【0008】
本発明の一態様に係る無線通信システムは、各々が通信エリアを有する複数の無線子局と、前記複数の無線子局と接続される基地局と、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを行う切替部と、前記複数の無線子局と接続された端末の情報を取得する情報取得部と、前記端末の情報に基づいて前記切り替えを行う制御部と、を備える無線通信制御装置と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る無線通信制御方法は、複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御方法であって、前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得し、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する。
【0010】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御装置として機能させるプログラムであって、前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、前記プログラムは、前記コンピュータを、前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得する情報取得手段と、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する切り替え制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、セル間の重なりによる干渉を適切に避けつつ帯域幅制限を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係る個別のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る単一のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る無線通信制御方法の流れを示すフロー図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る個別のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る単一のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施形態3に係る個別のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の実施形態3に係る単一のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施形態4に係る個別のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態4に係る単一のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の実施形態5に係る個別のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態5に係る単一のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の実施形態6に係る個別のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態6に係る単一のセルが形成される無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【
図14】本発明のソフトウェアによる実現例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0014】
(無線通信システム及び無線通信制御装置の構成)
本例示的実施形態に係る無線通信システム10及び無線通信制御装置103の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、個別のセルが形成される無線通信システム10の構成を示すブロック図である。第1の例示的実施形態における無線通信システム10は、例えばローカル5G(generation)による無線通信回線であってよい。
【0015】
無線通信システム10は、基地局100と複数の無線子局120-129を含む。基地局100は、無線通信システム10を制御する無線通信制御装置103を備えている。本例示的実施形態においては、無線通信制御装置103が基地局100に備えられているが、基地局100とは別の独立した装置として無線通信制御装置103が設けられてもよい。無線通信制御装置103は、端末の情報を取得する情報取得部101と制御部102とを備えている。
【0016】
基地局100には、複数の無線子局120-129が接続されている。無線子局120は、無線子局120の通信エリアにセル130を形成する。同様に、無線子局121-129も、無線子局121-129の通信エリアにセル131-139をそれぞれ形成する。なお、無線子局の通信エリアとは、当該無線子局との通信が可能な端末の位置の範囲である。
図1における無線子局120-129はそれぞれが独立したセル130-139を形成するように制御されている。ここで、無線子局120-129の通信エリアには、隣接する通信エリア間において通信エリアが互いに重なっている重複領域がある。そのため、セル130-139においても、セル間で領域が重複する重複エリアが存在する。例えば
図1に示されるように、セル130とセル131との間では重複領域150が形成されている。
【0017】
セル130の範囲内には複数の端末140が位置している。端末140は、無線子局120を介して基地局100及び無線通信制御装置103と接続されている。無線通信制御装置103の情報取得部101は、端末140の情報を取得する。
【0018】
無線通信制御装置103の制御部102は、情報取得部101から端末の情報を受け取る。制御部102は、受け取った端末の情報に基づいて、無線子局120-129の各々を複数の個別のセルを形成するよう機能させるか、無線子局120-129が単一のセルを形成するよう機能させるかの切り替えを実行する。
図1において、制御部102は無線子局120-129の各々が個別のセル130-139を形成するよう機能させている。
【0019】
次に、本例示的実施形態において単一のセルが形成される場合について説明する。
図2は、単一のセルが形成される無線通信システム10の構成を示すブロック図である。
図2において、
図1と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2において、制御部102は無線子局120-129が単一のセル130aを形成するよう機能させている。即ち、単一のセル130aは重複領域を有さない。
【0020】
単一のセル130aには全体として周波数帯域が割り当てられる。仮にセル130aに全体として特定の周波数帯域(例えば100MHz)が割り当てられているとすると、個別のセルが形成された場合に比べて、セル130aに接続する端末に割り当て可能な周波数帯域は少なくなる。
【0021】
本発明の第1の例示的実施形態において制御部102は、
図1で説明したように無線子局120-129の各々が個別のセル130-139を形成するよう機能させるか、
図2で説明したように無線子局120-129が単一の通信エリア130aを形成するよう機能させるかを、端末140、141、142、149からの情報によって切り替える。
【0022】
(無線通信制御方法の流れ)
本例示的実施形態に係る無線通信制御方法S1の流れについて、
図3を参照して説明する。
図3は、無線通信制御方法S1の流れを示すフロー図である。
【0023】
まず、ステップS301によって無線通信制御方法が開始される。次に、ステップS302によってセルが形成される。このセルは複数の無線子局120-129によって形成される。ここで形成されるセルは、個別の複数のセル130-139又は単一のセル130aのいずれかである。なお、個別の複数のセル130-139が形成された場合、それぞれが重なっている重複領域(例えば重複領域150)が形成される。
【0024】
次に、ステップS303において端末情報が取得される。このステップS303において、情報取得部101は、個別のセル130-139又は単一のセル130aのいずれかに位置する端末140の情報を取得する。端末140は移動可能であるため、端末の位置情報は時間とともに変化する。
【0025】
次に、ステップS304においてセルの切り替え・維持が行われる。このステップS304において、個別のセルが形成されている場合、単一のセルを形成するように切り替えるか、個別のセルを維持するかを端末140の情報によって決定する。
【0026】
またステップS304において、単一のセルが形成されている場合、単一のセルを維持するか、個別のセルを形成するよう切り替えるかを端末140の情報によって決定する。
【0027】
ステップS304においてセルの切り替え・維持が行われた後、無線通信制御方法は終了する(ステップS305)。
【0028】
以上のように、本例示的実施形態に係る無線通信制御装置103は、端末の情報に基づいて単一のセルを形成させるか、個別のセルを形成させるかを決定する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る無線通信制御装置103によれば、最適な帯域が割り当てられるセルを確保できるという効果が得られる。
【0029】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0030】
(無線通信システム及び無線通信制御装置の構成)
本例示的実施形態に係る無線通信システム20及び無線通信制御装置203の構成について、
図4を参照して説明する。
図4は、個別のセルが形成される無線通信システム20の構成を示すブロック図である。第2の例示的実施形態における無線通信システム20は、例えばローカル5G(generation)による無線通信回線であってよい。
【0031】
無線通信システム20は、基地局200と複数の無線子局120-129を含む。基地局200は、無線通信システム20を制御する無線通信制御装置203を備えている。本例示的実施形態においては、無線通信制御装置203が基地局200に備えられているが、基地局200とは別の独立した装置として無線通信制御装置203が設けられてもよい。無線通信制御装置203は、端末の情報を取得する情報取得部201と制御部202とを備えている。
【0032】
基地局200には、複数の無線子局120-129が接続されている。無線子局120-129は独立したセル130-139を形成するように制御されており、重複領域150が形成されている点は第1の例示的実施形態と同じである。
【0033】
セル130-139の範囲内には複数の端末140、141、142、149が位置している。これらの端末140、141、142、149は、無線子局120、121、129を介して基地局200及び無線通信制御装置203と接続されている。無線通信制御装置203の情報取得部201は、端末140、141、142、149の位置情報を取得する。なお、端末140、141、142、149は移動可能であるため、端末の位置情報は時間とともに変化する。
【0034】
無線通信制御装置203の制御部202は、情報取得部101から端末の位置情報を受け取る。制御部202は、受け取った端末の位置情報に基づいて、無線子局120-129の各々を複数の個別のセルを形成するよう機能させるか、無線子局120-129が単一のセルを形成するよう機能させるかの切り替えを実行する。
図4において、制御部202は無線子局120-129の各々が個別のセル130-139を形成するよう機能させている。
【0035】
第1の例示的実施形態でも説明したように、重複領域150は互いに隣接するセルの辺縁部(セルエッジ)にあり、両方のセルに含まれるため、セルエッジ干渉が発生する。そのため、端末141は、セルエッジ干渉の影響を受けている。一方で、個別のセル130-139においては、それぞれ周波数帯域が割り当てられる。仮にそれぞれのセル130-139において特定の周波数帯域(例えば、100MHz)が割り当てられているとすると、個別のセル130-139に接続する端末に割り当て可能な周波数帯域(またはチャンネル数)は、単一のセル130aが形成される場合よりも大きくなる。
【0036】
次に、本例示的実施形態において単一のセルが形成される場合について説明する。
図5は、単一のセルが形成される無線通信システム20の構成を示すブロック図である。
図5において、
図4と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、制御部202は無線子局120-129が単一のセル130aを形成するよう機能させている。即ち、単一のセル130aは重複領域を有さない。
【0037】
単一のセル130aに位置する端末140、141、142、149には、セルエッジ干渉の影響は発生しない。一方で、単一のセル130aには全体として周波数帯域が割り当てられる。仮にセル130aに全体として特定の周波数帯域(例えば、100MHz)が割り当てられているとすると、個別のセルが形成された場合に比べて、セル130aに接続する端末に割り当て可能な周波数帯域(またはチャンネル数)は小さくなる。
【0038】
本発明の第1の例示的実施形態において制御部202は、
図4で説明したように無線子局120-129の各々が個別のセル130-139を形成するよう機能させるか、
図5で説明したように無線子局120-129が単一のセル130aを形成するよう機能させるかを、端末140、141、142、149からの位置情報によって切り替える。
【0039】
具体的には、個別のセルを形成している場合に重複領域150に位置する端末141が存在するという位置情報を情報取得部201が取得した場合、制御部202は単一のセルを形成するように無線子局120-129の各々を制御する。一方、個別のセルを形成している場合に重複領域150に位置する端末が存在しないという位置情報を情報取得部201が取得した場合、制御部202は個別のセルを維持するように無線子局120-129の各々を制御する。
【0040】
また、単一のセルを形成している場合には、個別のセルを形成時に重複領域150となる仮想重複領域に位置する端末141が存在するという位置情報を情報取得部201が取得した場合、制御部202はそのまま単一のセルを維持するように無線子局120-129の各々を制御する。一方、上述の仮想重複領域に位置する端末が存在しないという情報を情報取得部201が取得した場合、制御部202は個別のセルを形成するように無線子局120-129の各々を制御する。
【0041】
以上のように、本例示的実施形態に係る無線通信制御装置203は、端末が重複領域150(または仮想重複領域)に位置する場合は単一のセルを形成させ、端末が重複領域150(または仮想重複領域)に位置しない場合は個別のセルを形成させる構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る無線通信制御装置103によれば、セルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保できるという効果が得られる。
【0042】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0043】
図6は、個別のセルが形成される第3の例示的実施形態における無線通信システム30の構成を示すブロック図である。無線通信システム30は、例えばローカル5Gによる無線通信回線であってよい。
【0044】
無線通信システム30は、基地局300と複数の無線子局120-129を含む。基地局300は、無線通信システム30を制御する無線通信制御装置303を備えている。本例示的実施形態においては、無線通信制御装置303が基地局300に備えられているが、基地局300とは別の独立した装置として無線通信制御装置303が設けられてもよい。無線通信制御装置203は、端末の情報を取得する情報取得部301と制御部302とを備えている。
【0045】
基地局300には、複数の無線子局120-129が接続されている。無線子局120-129、セル130-139、130a、重複領域150、端末140-149は第1の例示的実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0046】
無線通信制御装置303の情報取得部301は、端末140、141、142、149の情報である重複領域150に位置する端末141の数を取得する。
図6においては、重複領域150における端末の数は1である。無線通信制御装置303の制御部302は、情報取得部301から重複領域における端末の数の情報を受け取る。
【0047】
制御部302は、受け取った端末の情報(数)に基づいて、無線子局120-129の各々を複数の個別のセルを形成するよう機能させるか、無線子局120-129が単一のセルを形成するよう機能させるかの切り替えを実行する。
図6において、制御部302は無線子局120-129の各々が個別のセル130-139を形成するよう機能させている。
【0048】
次に、本例示的実施形態において単一のセルが形成される場合について説明する。
図7は、単一のセルが形成される無線通信システム30の構成を示すブロック図である。
図7において、
図6と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7において、制御部302は無線子局120-129が単一のセル130aを形成するよう機能させている。単一のセル130aは重複領域を有さないが、個別のセルを形成時に重複領域150となる仮想重複領域は存在する。
【0049】
図7おいて、この仮想重複領域には2台の端末141a、141bが位置している。したがって、情報取得部301は端末の情報(数)として2という情報を取得している。
【0050】
本発明の第3の例示的実施形態において制御部302は、個別のセルを形成している場合に重複領域150に位置する端末が2台以上存在するという情報を情報取得部301が取得した場合、制御部302は単一のセルを形成するように無線子局120-129の各々を制御する。一方、個別のセルを形成している場合に重複領域150に位置する端末が1台以下存在するという情報を情報取得部301が取得した場合、制御部302は個別の通信エリアを維持するように無線子局120-129の各々を制御する。
【0051】
また、単一のセルを形成している場合に、仮想重複領域に位置する端末が2台以上存在するという情報を情報取得部301が取得した場合、制御部302はそのまま単一のセルを維持するように無線子局120-129の各々を制御する。一方、仮想重複領域に位置する端末が1台以下存在するという情報を情報取得部301が取得した場合、制御部202は個別のセルを形成するように無線子局120-129の各々を制御する。
【0052】
なお、第3の例示的実施形態においては、重複領域150(または仮想重複領域)に位置する端末数が1以下の場合個別のセルを形成させ、重複領域150(または仮想重複領域)に位置する端末数が2以上の場合単一のセルを形成させるよう制御部202が制御していた。この制御の分岐点となる重複領域150(または仮想重複領域)に位置する端末数については、セルエッジ干渉を小さくすることと最適な帯域が割り当てられるセルを確保することとの見合いとなっており、これらの比較検討によって分岐点となる重複領域の端末数は変更させてよい。
【0053】
即ち、重複領域に位置する端末数が所定台数になるまではセルエッジ干渉による影響を受けてもいいという限度からの観点と、個別のセルの設定によって最適な帯域が割り当てられるという観点とを比較することによって、最適な端末数を設定することができる。
【0054】
第3の例示的実施形態において、無線通信制御装置303の情報取得部301は、端末140、141、142、149の情報であるそれぞれの端末140、141、142、149の位置情報を取得し、単一のセルと個別のセルとを切り替える際にハンドオーバーが発生する端末の数を取得してもよい。ハンドオーバーが発生する端末の数は、どのセルのIDを用いるかで異なるため、選択したセルのIDに基づいて判断することが好ましい。単一のセルと個別のセルとを切り替える際に、ハンドオーバーが発生する端末の数が所定台数以上であれば切り替えを行わずに現在のセルの形式を維持する構成としてもよい。
【0055】
このように、ハンドオーバーが発生する端末の数に基づいて切り替えの判断を行うことで、全体に対して最適な通信を提供することができる。
【0056】
以上のように、第3の例示的実施形態に係る無線通信制御装置303は、所定数以上の端末が重複領域150(または仮想重複領域)に位置する場合は単一のセルを形成させ、所定数未満の端末しか重複領域150(または仮想重複領域)に位置しない場合は個別のセルを形成させる構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る無線通信制御装置303によれば、セルエッジ干渉を限度内に留め最適な帯域が割り当てられるセルを確保できるという効果が得られる。
【0057】
〔例示的実施形態4〕
本発明の第4の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0058】
図8は、個別のセルが形成される第4の例示的実施形態における無線通信システム40の構成を示すブロック図である。無線通信システム40は、例えばローカル5Gによる無線通信回線であってよい。
【0059】
無線通信システム40は、基地局400と複数の無線子局120-129を含む。基地局400は、無線通信システム40を制御する無線通信制御装置403を備えている。本例示的実施形態においては、無線通信制御装403が基地局400に備えられているが、基地局400とは別の独立した装置として無線通信制御装置403が設けられてもよい。無線通信制御装置403は、端末の情報を取得する情報取得部401と制御部402とを備えている。
【0060】
基地局400には、複数の無線子局120-129が接続されている。無線子局120-129、通信エリア130-139、130a、重複領域150、端末140-149は第2の例示的実施形態と同様であるので、その説明は省略するが、第4の例示的実施形態においては、重複領域150に端末は位置していないことが前提となっている。
【0061】
無線通信制御装置403の情報取得部401は、端末140、142、149の情報である各端末の帯域要求量を取得する。
図8においては、端末140、142、149のそれぞれが70MHzの帯域量を要求している。無線通信制御装置403の制御部402は、情報取得部401から各端末の帯域要求量の情報を受け取る。
【0062】
制御部402は、受け取った各端末の帯域要求量に基づいて、無線子局120-129の各々を複数の個別のセルを形成するよう機能させるか、無線子局120-129が単一のセルを形成するよう機能させるかの切り替えを実行する。
図8において、無線子局120-129の各々が個別のセル130-139を形成した場合、各セル130-139に割り当てられる周波数帯域は100MHzである。したがって、各端末が要求している帯域量は、個別のセルを形成した場合の周波数帯域を超えないため、ユーザの通信を担保することができる。したがって、制御部402は無線子局120-129の各々が個別の通信エリア130-139を形成する(維持する)よう機能する。
【0063】
次に、本例示的実施形態において単一のセルが形成されている場合について説明する。
図9は、単一のセルが形成される無線通信システム40の構成を示すブロック図である。
図9において、
図8と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図9において、制御部402は無線子局120、121、129が単一のセル130aを形成するよう機能させている。単一のセル130aに割り当てられる周波数帯域は100MHzである。
【0064】
図9においても、端末140、142、149のそれぞれが70MHzの帯域量が要求している。端末140、142、149が単一のセル130aにおいて要求している帯域量は合計で210Mであり、割り当てられる帯域量100Mを超えている。
【0065】
本発明の第4の例示的実施形態において、単一のセル130aに位置する端末が要求している帯域量の合計が単一のセル130aに割り当てられる周波数帯域を超えているため、制御部402は単一のセルから切り替えて個別のセルを形成するように無線子局120-129の各々を制御する。
【0066】
なお、第4の例示的実施形態においては、端末が要求している帯域量の合計が単一のセルに割り当てられる周波数帯域を超えているため、個別のセルに切り替えを行う例を示したが、端末が要求している帯域量の合計が単一のセルに割り当てられる周波数帯域を超えていない場合、制御部302は単一のセルを維持するように制御する。これは、セルの切り替えによるハンドオーバーの発生を低減させるために必要である。
【0067】
以上のように、第4の例示的実施形態に係る無線通信制御装置403は、端末が要求する帯域量を取得して、その帯域量に基づいて個別のセルを形成させるか、単一のセルを形成するかを判断する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る無線通信制御装置403によれば、ハンドオーバーの発生を低減させ、最適な帯域が割り当てられるセルを確保できるという効果が得られる。
【0068】
〔例示的実施形態5〕
本発明の第5の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0069】
図10は、個別のセルが形成される第5の例示的実施形態における無線通信システム50の構成を示すブロック図である。無線通信システム50は、例えばローカル5Gによる無線通信回線であってよい。
【0070】
無線通信システム50は、基地局500と複数の無線子局120-129を含む。基地局500は、無線通信システム50を制御する無線通信制御装置503を備えている。本例示的実施形態においては、無線通信制御装置503が基地局500に備えられているが、基地局400とは別の独立した装置として無線通信制御装置503が設けられてもよい。無線通信制御装置503は、端末の情報を取得する情報取得部501と制御部502とを備えている。
【0071】
基地局500には、複数の無線子局120-129が接続されている。無線子局120-129、通信エリア130-139、130a、重複領域150、端末140-149は第5の例示的実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0072】
無線通信制御装置503の情報取得部501は、端末140a、140b、141、142、143、147、148、149の情報である各端末の通信速度を取得する。重複領域150に位置する端末141はセルエッジ干渉のために最も遅い通信速度を有している可能性が高い。無線通信制御装置503の制御部502は、情報取得部501から受け取った各端末の通信速度のうち、最も遅い通信速度を記録する。
【0073】
次に、本例示的実施形態において単一のセルが形成される場合について説明する。
図11は、単一のセルが形成される無線通信システム50の構成を示すブロック図である。
図11において、
図10と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図11において、無線通信制御装置503の情報取得部501は、端末140a、140b、141、142、143、144、147,148、149の情報である各端末の通信速度を取得する。無線通信制御装置503の制御部502は、情報取得部501から受け取った各端末の通信速度のうち、最も遅い通信速度を記録する。
【0074】
その後無線通信制御装置503の制御部502は、単一のセルが形成される場合の端末の最も遅い通信速度と個別のセルが形成される場合の端末の最も遅い通信速度とを比較して通信速度が速い方のセルの形成を選択して維持又は切り替えを行う。
【0075】
本例示的実施形態においては、個別のセルが形成される場合と単一のセルが形成される場合の両者において各端末の通信速度を実測して比較したが、実際にはいずれかの形成されたセルの実測値と、切り替えた場合に形成されるセルの予測値とを比較すると効率はいい。しかしながら、予測値の信頼度が低い場合には実測値で比較することが望ましい。
【0076】
以上のように、第5の例示的実施形態に係る無線通信制御装置503は、個別のセルが形成される場合と単一のセルが形成される場合とにおける端末の通信速度が最も遅い通信速度になることを避けることができるため、最適なセルの形成を選択できるという効果が得られる。
【0077】
〔例示的実施形態6〕
本発明の第6の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態2にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0078】
図12は、個別のセルが形成される第6の例示的実施形態における無線通信システム60の構成を示すブロック図である。無線通信システム60は、例えばローカル5Gによる無線通信回線であってよい。
【0079】
無線通信システム60は、基地局600と、分配器110と、複数の無線子局120-129とを含む。基地局600は、端末の情報を取得する情報取得部601と制御部602とを備えている。本例示的実施形態においては、情報取得部601と制御部602とが基地局500に備えられているが、基地局500とは別に設けられてもよい。
【0080】
また、第5の例示的実施形態においては、情報取得部601と制御部602と分配器110とで無線通信制御装置603を構成している。しかしながら、分配器110は、無線通信制御装置603から独立した構成であってもよい。
【0081】
基地局600には、分配器110を介して複数の無線子局120、121、129が接続されている。無線子局120-129、セル130-139、130a、重複領域150、端末140-149は第2の例示的実施形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0082】
無線通信制御装置603の情報取得部601は、端末140、141、142、149の情報を分配器110を介して取得する。制御部602は、受け取った端末の情報に基づいて、分配器110を制御する命令を与える。分配器110は制御部602からの命令に基づいて無線子局120-129の各々を複数の個別のセルを形成するよう機能させるか、無線子局120-129が単一のセルを形成するよう機能させるかの切り替えを実行する。
【0083】
次に、本例示的実施形態において単一のセルが形成される場合について説明する。
図13は、単一のセルが形成される無線通信システム60の構成を示すブロック図である。
図13において、
図12と同一部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
本発明の第6の例示的実施形態において制御部602は、形成するセルを制御する命令を分配器110に与える。分配器110はこの命令に従い、無線子局120-129が単一のセル130aを形成するように切り替える。
【0085】
本例示的実施形態においては、個別のセルが形成される場合と単一のセルが形成される場合の両者において、制御部602からの命令に従い分配器110が切り替えを行う。なお、端末の情報によってこの切り替えを行うのは、第1の実施形態と同じであるためその説明は省略する。分配器110は、フロントホール回線を多重するフロントホールマルチプレクサ(FHM:FrontHaul Multiplexer)であってよい。FHMは例えば、下り信号をセル単位でコピーし、複数の無線子局120、121、129に分配する。また、FHMは例えば、複数の無線子局から上り信号を合成し、基地局600に送信する。
【0086】
以上のように、第6の例示的実施形態に係る無線通信制御装置603は、分配器110によって無線子局120、121、129を切り替えることができるため、高速に信号処理を処理することができるという効果が得られる。
【0087】
〔ソフトウェアによる実現例〕
無線通信システム及び無線通信制御装置の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0088】
後者の場合、無線通信システム及び無線通信制御装置は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図12に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを無線通信システム及び無線通信制御装置として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、無線通信システム及び無線通信制御装置の各機能が実現される。
【0089】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0090】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0091】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0092】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0093】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
(付記1)
複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御装置であって、前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、前記無線通信制御装置は、前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得する情報取得部と、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する切り替え制御部と、を備えている、無線通信制御装置。
【0094】
上記の構成によれば、セルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
【0095】
(付記2)
前記端末の情報は、前記端末の位置情報であることを特徴とする付記1に記載の無線通信制御装置。
【0096】
上記の構成によれば、端末の位置情報に基づいてセルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
【0097】
(付記3)
前記位置情報は、前記重複領域に位置するか否かを示す情報である付記1又は付記2に記載の無線通信制御装置。
【0098】
上記の構成によれば、重複領域に位置するか否かを示す情報に基づいてセルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
【0099】
(付記4)
前記制御部は、前記重複領域に位置する前記端末の数が所定の値未満であれば前記切り替えを行う、付記1ないし付記3に記載の無線通信制御装置。
【0100】
上記の構成によれば、セルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
【0101】
(付記5)
前記端末の情報は、前記端末が要求する帯域量である、付記1に記載の無線通信制御装置。
【0102】
上記の構成によれば、ハンドオーバーの発生を低減させ、最適な帯域が割り当てられるセルを確保できる。
【0103】
(付記6)
前記端末の情報は、前記端末の通信速度であり、前記制御部は、前記単一のセルに位置する端末の前記通信速度のうち最も遅い予測値と、前記複数の個別のセルに位置する端末の前記通信速度のうち最も遅い予測値とを比較し、比較した予測値の高いセルを選択できるよう前記切り替えを行う付記1に記載の無線通信制御装置。
【0104】
上記の構成によれば、最適なセルの形成を選択できる。
【0105】
(付記7)
分配器をさらに備え、前記分配器は、制御部からの信号に基づいて前記単一のセルとしての機能と前記複数の個別のセルとしての機能とを切り替える、付記1ないし付記6に記載の無線通信制御装置。
【0106】
上記の構成によれば、高速に信号処理を行うことができる。
【0107】
(付記8)
各々が通信エリアを有する複数の無線子局と、前記複数の無線子局と接続される基地局と、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを行う切り替部と、前記複数の無線子局と接続された端末の情報を取得する情報取得部と、前記端末の情報に基づいて前記切り替えを行う制御部と、を備える無線通信制御装置と、を備える無線通信システム。
【0108】
上記の構成によれば、セルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
【0109】
(付記9)
複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御方法であって、前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得し、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する、ことを特徴とする無線通信制御方法。
【0110】
上記の構成によれば、セルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
【0111】
(付記10)
コンピュータを、複数の無線子局と前記複数の無線子局と接続される基地局とを備える無線通信システムを制御する無線通信制御装置として機能させるプログラムであって、前記複数の無線子局の通信エリアは、前記無線子局間で通信エリアが重なっている重複領域を含み、前記プログラムは、前記コンピュータを、前記無線通信システムに接続した端末の情報を取得する情報取得手段と、前記基地局が前記複数の無線子局の各々を複数の個別のセルとして機能させるか、前記基地局が前記複数の無線子局を単一のセルとして機能させるかの切り替えを、前記端末の情報に基づいて実行する切り替え制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【0112】
上記の構成によれば、セルエッジ干渉を防いで最適な帯域が割り当てられるセルを確保することができる。
(付記11)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、通信エリアが重なっている重複領域を含む複数の通信エリアを形成する処理と、前記通信エリアにおいて接続された端末の情報を取得する処理と、前記取得した端末の情報の基づき、前記複数の通信エリアの各々を個別のセルとして機能させるか、前記複数の通信エリアを単一のセルとして機能させるかを切り替える処理とを実行する無線通信制御装置。
なお、この無線通信制御装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記通信エリアが重なっている重複領域を含む複数の通信エリアを形成する処理と、前記通信エリアにおいて接続された端末の情報を取得する処理と、前記取得した端末の情報の基づき、前記複数の通信エリアの各々を個別のセルとして機能させるか、前記複数の通信エリアを単一のセルとして機能させるかを切り替える処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10,20,30,40,50 ・・・無線通信システム
100,200,300,400,500,600 ・・・基地局
101,201,301,401,501,601 ・・・情報取得部
102,202,302,402,502,602 ・・・制御部
103,203,303,403,503,603 ・・・無線通信制御装置
110 ・・・分配器
120-129 ・・・無線子局
130-139 ・・・個別のセル
130a ・・・単一のセル
140,140a,140b,140c,141,142,143,144,146,147,148,149 ・・・端末
150 ・・・重複エリア