(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135249
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/90 20190101AFI20240927BHJP
【FI】
G06F16/90 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045843
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】507228172
【氏名又は名称】株式会社JSOL
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小村 裕美
(72)【発明者】
【氏名】山野 洋一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賢
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175EA01
(57)【要約】
【課題】相談対応の効率化を支援する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ユーザからの相談事項に関する第1情報を取得する手段、第1情報を解析する手段、第1情報の解析結果に基づいて、相談事項を補足する情報をユーザから引き出すためのシステム応答を生成する手段、システム応答を出力する手段、システム応答の出力後に相談事項に関する第2情報を取得する手段、第1情報および第2情報を出力する手段、として機能させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザからの相談事項に関する第1情報を取得する手段、
前記第1情報を解析する手段、
前記第1情報の解析結果に基づいて、前記相談事項を補足する情報を前記ユーザから引き出すためのシステム応答を生成する手段、
前記システム応答を出力する手段、
前記システム応答の出力後に前記相談事項に関する第2情報を取得する手段、
前記第1情報および前記第2情報を出力する手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記解析する手段は、前記第1情報に基づいて前記相談事項の相談種別を判定し、前記第1情報のうち当該相談種別に関連付けられている確認項目に対応する情報を特定し、
前記システム応答を生成する手段は、前記確認項目のうち対応する情報が特定されなかった欠損項目に基づいて前記システム応答を生成する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータを、前記ユーザもしくは前記ユーザが所属するグループによる過去の相談事例が記録された履歴情報、前記ユーザもしくは前記グループに関する相談者関連情報、または回答の検討に有用なナレッジの少なくとも1つを参照し、前記欠損項目の情報を特定する手段として機能させる、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記解析する手段は、さらに、前記第2情報のうち前記相談種別に関連付けられている確認項目に対応する情報を特定し、
前記システム応答を生成する手段は、前記確認項目について所定の条件が成立するまで前記システム応答を繰り返し生成する、
請求項2に記載のプログラム。
【請求項5】
前記解析する手段は、前記第1情報が添付ファイルを含む場合に、当該添付ファイルの内容に対応するテキストを、自然言語処理を用いて解析する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、前記ユーザの特性、または前記ユーザが所属するグループの特性に関する特性情報を取得する手段、としてさらに機能させ、
前記システム応答を生成する手段は、前記特性情報にさらに基づいて、前記システム応答を生成する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記システム応答を生成する手段は、前記ユーザ、または前記ユーザが所属するグループによる過去の相談事例が蓄積された履歴情報を参照し、前記ユーザまたは前記グループと前記相談事項における関係者との関係にさらに基づいて、前記システム応答を生成する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項8】
前記システム応答を生成する手段は、前記ユーザ、または前記ユーザが所属するグループによる過去の相談事例が蓄積された履歴情報を参照し、前記相談事項と同一または類似の対象を扱った過去の相談事例にさらに基づいて、前記システム応答を生成する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項9】
前記システム応答を生成する手段は、前記ユーザもしくは前記グループに関する相談者関連情報、または回答の検討に有用なナレッジの少なくとも1つをさらに参照し、前記システム応答を生成する、
請求項7または請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記システム応答を生成する手段は、外部システムによる前記第1情報の処理結果にさらに基づいて、前記システム応答を生成する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項11】
ユーザからの相談事項に関する第1情報を取得する手段と、
前記第1情報を解析する手段と、
前記第1情報の解析結果に基づいて、前記相談事項を補足する情報を前記ユーザから引き出すためのシステム応答を生成する手段と、
前記システム応答を出力する手段と、
前記システム応答の出力後に前記相談事項に関する第2情報を取得する手段と、
前記第1情報および前記第2情報を出力する手段と
を具備する情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータが、
ユーザからの相談事項に関する第1情報を取得するステップと、
前記第1情報を解析するステップと、
前記第1情報の解析結果に基づいて、前記相談事項を補足する情報を前記ユーザから引き出すためのシステム応答を生成するステップと、
前記システム応答を出力するステップと、
前記システム応答の出力後に前記相談事項に関する第2情報を取得するステップと、
前記第1情報および前記第2情報を出力するステップと
を実行する方法。
【請求項13】
第1情報処理装置と、第2情報処理装置とを具備するシステムであって、
前記第1情報処理装置は、
ユーザからの相談事項に関する第1情報を前記第2情報処理装置から取得する手段と、
前記第1情報を解析する手段と、
前記第1情報の解析結果に基づいて、前記相談事項を補足する情報を前記ユーザから引き出すためのシステム応答を生成する手段と、
前記システム応答を出力する手段と、
前記システム応答の出力後に前記相談事項に関する第2情報を取得する手段と、
前記第1情報および前記第2情報を出力する手段と
を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
相談者が相談したいトピックについて知見や経験が不足している場合に、情報を整理できないまま回答者に相談を持ち込むことがある。相談者から提供される情報が不十分であると、回答者は相談事項について直ちに判断を下すことができず、論点を整理して相談者に詳細を確認するなどの手間が生じる。
【0003】
特許文献1には、質問確認画面の表示と検索用語の取得とを段階的に行うことで、相談者の質問内容を短時間で特定することを企図した技術的思想が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術的思想では、相談者の質問内容が回答事例テーブルに既に登録されている質問文と同様である場合には、質問対応の時間を短縮する効果がある可能性がある。しかしながら、この技術的思想では、個別具体的な契約相談のように、回答事例テーブルに予め網羅的に登録しておくことが困難な質問内容の扱いには不向きである。
【0006】
本開示の目的は、相談対応の効率化を支援する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ユーザからの相談事項に関する第1情報を取得する手段、第1情報を解析する手段、第1情報の解析結果に基づいて、相談事項を補足する情報をユーザから引き出すためのシステム応答を生成する手段、システム応答を出力する手段、システム応答の出力後に相談事項に関する第2情報を取得する手段、第1情報および第2情報を出力する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の相談者端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態の回答者端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の相談履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【
図7】本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
【
図8】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図9】本実施形態の情報処理における情報の解析を例示する図である。
【
図10】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、相談者端末10と、サーバ30と、回答者端末50とを備える。
【0012】
相談者端末10及びサーバ30は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
回答者端末50及びサーバ30は、ネットワークNWを介して接続される。
サーバ30及び外部システム70は、ネットワークNWを介して接続される。
【0013】
相談者端末10は、情報処理装置の一例である。相談者端末10は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。相談者端末10のユーザは、サーバ30を介して相談を行う者(以下、「相談者」という)である。
【0014】
サーバ30は、情報処理装置の一例である。サーバ30は、例えば、サーバコンピュータである。
【0015】
回答者端末50は、情報処理装置の一例である。回答者端末50は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。回答者端末50のユーザは、サーバ30を介して、相談者から寄せられた相談に回答する者(以下、「回答者」という)である。
【0016】
外部システム70は、例えば契約書のリーガルチェックサービス、チャットボット、FAQシステム、などの外部サービスを提供する。ただし、サーバ30が後述するシステム応答を生成するために外部サービスを利用しない場合には、サーバ30は、外部システム70と接続されなくてよい。
【0017】
(1-1)相談者端末の構成
相談者端末の構成について説明する。
図2は、本実施形態の相談者端末の構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示すように、相談者端末10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。相談者端末10は、ディスプレイ21に接続される。
【0019】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0020】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、または専用アプリケーション)のプログラム
【0021】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0022】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、相談者端末10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Gate Array)
【0023】
入出力インタフェース13は、相談者端末10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、相談者端末10に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像または音声)を出力するように構成される。
【0024】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイクロホン、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0025】
通信インタフェース14は、相談者端末10と外部装置(例えばサーバ30)との間の通信を制御するように構成される。
【0026】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0027】
(1-2)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図3は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0028】
図3に示すように、サーバ30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。
【0029】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0030】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0031】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0032】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0033】
入出力インタフェース33は、サーバ30に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ30に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像)を出力するように構成される。
【0034】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0035】
通信インタフェース34は、サーバ30と外部装置(例えば、相談者端末10または回答者端末50)との間の通信を制御するように構成される。
【0036】
(1-3)回答者端末の構成
回答者端末の構成について説明する。
図4は、本実施形態の回答者端末の構成を示すブロック図である。
【0037】
図4に示すように、回答者端末50は、記憶装置51と、プロセッサ52と、入出力インタフェース53と、通信インタフェース54とを備える。回答者端末50は、ディスプレイ61に接続される。
【0038】
記憶装置51は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置51は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0039】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ウェブブラウザ、または専用アプリケーション)のプログラム
【0040】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0041】
プロセッサ52は、記憶装置51に記憶されたプログラムを起動することによって、回答者端末50の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ52は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0042】
入出力インタフェース53は、回答者端末50に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、回答者端末50に接続される出力デバイスに情報(例えば、画像または音声)を出力するように構成される。
【0043】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、マイクロホン、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ61、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0044】
通信インタフェース54は、回答者端末50と外部装置(例えばサーバ30)との間の通信を制御するように構成される。
【0045】
ディスプレイ61は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ61は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0046】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図5は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0047】
図5に示すように、相談者端末10は、相談を行いたいユーザUS1(相談者)から相談事項に関する情報(以下、「相談情報」という)を受け付ける。相談者端末10は、相談情報をサーバ30へ送信する。
【0048】
サーバ30は、相談情報を解析する。サーバ30は、相談情報の解析結果に基づいて、ユーザUS1からの相談事項を補足する情報を当該ユーザUS1から引き出すためのシステム応答を生成する。一例として、サーバ30は、相談事項に対する回答の検討に必要な項目のうち、対応する情報を相談情報から特定することができなかった項目について詳細を尋ねる質問文をシステム応答として生成する。サーバ30は、生成したシステム応答を相談者端末10へ出力する。
【0049】
相談者端末10は、システム応答をユーザUS1に提示する。ユーザUS1は、システム応答を認識し、相談事項に対する回答をもらうために要求されている情報を把握することになる。相談者端末10は、ユーザUS1から相談事項を補足する情報(以下、「補足情報」という)を受け付ける。相談者端末10は、補足情報をサーバ30へ送信する。
【0050】
サーバ30は、相談情報および補足情報を回答者端末50へ送信する。回答者端末50は、相談情報および補足情報を提示する。
【0051】
これにより、ユーザUS2(回答者)は、相談事項に対する回答を検討するにあたり、ユーザUS1が最初に自発的に提供した相談情報のみならず、ユーザUS1から引き出された補足情報をさらに入手できる。故に、相談事項のトピックにユーザUS1が不慣れであるなどして相談情報が整理されていなかったとしても、ユーザUS2は相談対応を効率的に行うことができる。すなわち、当システムがユーザUS1から引き出した補足情報を用いて直ちに回答案を検討したり、ユーザUS1に改めて確認しなければならない情報を削減したりすることができる。ユーザUS2が直接、または情報処理システム1を介して回答を提供し、ユーザUS1は当該回答を参考にして相談事項の解決を図る。
【0052】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。以下のデータベースは、記憶装置31に記憶される。
【0053】
(3-1)相談履歴データベース
本実施形態の相談履歴データベースについて説明する。
図6は、本実施形態の相談履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【0054】
相談履歴データベースには、相談履歴情報が格納される。相談履歴情報は、過去に行われた相談対応の履歴に関する情報である。サーバ30は、情報処理システム1の介在した相談対応の相談履歴情報を相談情報、補足情報、回答者からの回答情報、相談者と回答者とのやり取り(経過情報)、および相談の結果情報に基づいて作成し、相談履歴データベースに登録してもよい。さらに、サーバ30は、情報処理システム1の介在しなかった相談対応(例えば、相談者と回答者との間で直接行われた相談対応)の相談履歴情報を相談者、回答者または第三者からの報告入力に基づいて作成し、相談履歴データベースに登録してもよい。あるいは、メールやチャットなどの外部システムから相談者と回答者との間で直接行われた相談対応のデータを抽出し、相談履歴データベースに登録してもよい。
【0055】
図6に示すように、相談履歴データベースは、「ID」フィールドと、「相談者」フィールドと、「回答者」フィールドと、「相談種別」フィールドと、「関係者」フィールドと、「対象」フィールドと、「詳細」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0056】
「ID」フィールドには、履歴IDが格納される。履歴IDは、相談履歴を識別する。
【0057】
「相談者」フィールドには、相談者情報が格納される。相談者情報は、相談者、相談者が属するグループ(例えば、相談者が属する部門、相談者が属する会社、などであり、以下、「相談側グループ」という)、またはそれらの組み合わせに関する情報である。
【0058】
相談者情報は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・相談者ID
・相談側グループID
・相談者特性情報
・相談側グループ特性情報
【0059】
相談者IDは、相談者を識別する。
相談者側グループIDは、相談側グループを識別する。
【0060】
相談者特性情報は、例えば以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・相談者の経験(例えば、勤続年数、職位、相談側グループに属してからの経過年数、過去の相談経験)
・相談者のスキルセット
【0061】
相談側グループ特性情報は、例えば以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・相談側グループの種別または業務内容
・相談側グループの経験(例えば、過去の相談経験)
・相談側グループの構成員(例えば、有識者が存在するか、部下の面倒見がよいか)
【0062】
なお、「相談者」フィールドには、相談者情報として相談者IDのみが格納されてもよい。この場合に、相談者IDと相談側グループIDおよび相談者特性情報とは別のデータベースにおいて関連付けられ、相談側グループIDと相談側グループ特性情報とはさらなる別のデータベースにおいて関連付けられてよい。
【0063】
「回答者」フィールドには、回答者情報が格納される。回答者情報は、回答者、回答者が属するグループ(例えば、回答者が属する部門、回答者が属する会社、などであり、以下、「回答側グループ」という)、またはそれらの組み合わせに関する情報である。
【0064】
回答者情報は、典型的には回答者IDである。回答者IDは、回答者を識別する。
ただし、相談者情報と同様に回答者情報を定義することも可能である。つまり、回答者情報は、回答者ID、回答側グループID、回答者特性情報、または回答側グループ特性情報の少なくとも1つを含んでもよい。
【0065】
「相談種別」フィールドには、相談種別情報が格納される。相談種別情報は、相談事項の種別(パターン)に関する情報である。相談事項の種別は様々な定義が可能である。具体的には、「契約」と広く定義することも可能であるし、より細分化した典型契約(例えば、「売買契約」、「NDA」、「利用規約」、など)毎に定義することも可能である。また、1つの相談事項に対して複数の相談種別が該当することもあり得る。
【0066】
「関係者」フィールドには、関係者情報が格納される。関係者情報は、相談事項の関係者に関する情報である。関係者は、例えば契約当事者、取引先、利害関係人、などを含むことができる。関係者情報には、関係者の特性に関する情報(「関係者特性情報」という)を含むことができる。関係者特性情報は、例えば、関係者に対する相談者もしくは相談側グループの評価、または関係者とのトラブルの有無、に関する情報を含むことができる。
【0067】
「対象」フィールドには、対象情報が格納される。対象情報は、相談事項の対象(例えば、契約の対象となる財(物またはサービスを含み得る))に関する情報である。また、対象情報は、対象の特性に関する情報(「対象特性情報」という)を含むことができる。対象特性情報は、例えば、対象に対する相談者もしくは相談側グループの評価、対象に関わるトラブルの有無、対象の規模、対象の新規性、または対象の制約(例えば、クラウドシステムを利用するか、ライセンス数、コスト、など)に関する情報を含むことができる。
【0068】
「詳細」フィールドには、詳細情報が格納される。詳細情報は、相談対応の詳細に関する情報である。詳細情報は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・相談情報
・補足情報
・回答情報
・経過情報
・結論情報
・相談情報、補足情報、回答情報、または結論情報を加工した情報(解析結果を含み得る)
【0069】
回答情報は、回答者から受け付けた相談事項に対する回答に関する情報である。
経過情報は、前記回答に付随して発生した相談者と回答者のやり取りの記録情報である。相談によっては、回答をもって即解決はせず、決着に至るまでに相談者と回答者の間で更なるやり取りが発生するものがある。例えば、最初の回答を受けた相談者からの応答の中から別の問題が浮かび上がってきたり、相談後の状況変化から追加の確認事項が発生したり、回答に従って対応した結果として追加の対応が必要となったり(例として、契約相談において、契約内容の交渉先から新たなコメントが返ってきた場合)といったことがある。経過情報は、これら相談が決着に至るまでのやり取りや経緯・経過の記録を保持するものである。この経過情報の一部または全体は、後述する相談事項関連データベース群に格納してもよい。
結論情報は、相談者または相談側グループが相談事項に対して下した結論(例えば、契約の締結、修正提案、取り止め、更新、または解除、など)に関する情報である。
【0070】
図示されていないが、相談履歴情報には、日時に関する情報(以下、「日時情報」という)がさらに含まれてもよい。日時情報は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・相談がなされた日時に関する情報
・回答がなされた日時に関する情報
・結論が下された日時に関する情報
【0071】
(3-2)相談事項関連データベース群
相談履歴データベースに加えて、情報処理システム1が利用する情報およびデータを格納するものを相談事項関連データベース群という。
相談事項関連データベース群は、例えば以下の情報を格納することができる。
・相談者関連情報
・相談対象関連情報
【0072】
相談者関連情報は、前述の相談履歴データベースの「相談者」フィールドの説明において別データベースに関連付けられてよいとした、相談者特性情報、相談側グループ特性情報を含むものである。
相談対象関連情報は、当情報処理システム1が受け付ける相談対象、相談テーマやその分野に関する情報(情報処理システム1が取り扱う相談に対する回答の検討に有用なナレッジ)を累積したものである。例えば、企業内の契約相談を対象とするシステムを例とすれば、過去の契約書の記録一覧(相談の有無にかかわらない)、契約先の営業記録、契約先とのトラブルの記録、法令・ガイドライン等の情報、企業内規則・ルールの情報、あるいは他社の事例を蓄積したものなどが格納される。情報へのアクセス効率を高めるためにインデックスが付与されていることが好適である。インデックスの例として、例えば、契約書の記録一覧に対しては契約書類型、締結先名などがインデックスとして付与できる。
【0073】
上記データベース群は、情報処理システム1に固有のデータベースとして情報を保持しているものに限定されず、外部で管理されているアクセス可能なデータベースやAPIを通して利用可能なサービスからのデータを含めた概念としてもよい。例えば、相談者特性情報の一つとして、相談者の対象業務についての習熟度評価を外部の人材管理システムから取り出す場合がこれに該当する。
【0074】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
図7は、本実施形態の情報処理の全体フローを示す図である。
図8は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図9は、本実施形態の情報処理における情報の解析を例示する図である。
図10は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0075】
図7の処理は、例えば相談者端末10が、所定のプログラム(例えば、相談対応を扱うアプリケーション)を実行することで開始し得る。或いは、相談者端末10が、所定のWebページ(例えば、相談対応を扱うSaaS(Software as a Service)のページ)にアクセスすることで開始してもよい。
【0076】
図7に示すように、相談者端末10は、情報の受け付け(S110)を実行する。
具体的には、相談者端末10は、相談者から相談情報を受け付ける。相談者端末10は、受け付けた相談情報をサーバ30へ送信する。相談者端末10は、さらに、相談者情報を取得し、サーバ30へ送信してもよい。
【0077】
一例として、相談者端末10は、
図8の画面をディスプレイ21に表示する。
図8の画面は、オブジェクトJ20~J25を含む。
【0078】
オブジェクトJ20は、相談事項のタイトルのテキスト入力を受け付け、受け付けた内容を表示する。
オブジェクトJ21は、相談事項の本文のテキスト入力を受け付け、受け付けた内容を表示する。
【0079】
オブジェクトJ22は、相談事項に含めるファイル(添付ファイル)として選択済みであるファイルのアイコンおよび名称を表示する。
オブジェクトJ23は、添付ファイルを指定するためのユーザ指示を受け付ける。相談者は、必要に応じて、オブジェクトJ23を操作し、例えば契約書ドラフト、利用規約などの添付ファイルを選択できる。これにより、オブジェクトJ22に添付ファイルのアイコンおよび名称が表示される。
【0080】
オブジェクトJ24は、前画面に戻るためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ24が選択されると、相談者端末10は、前画面をディスプレイ21に表示する。
【0081】
オブジェクトJ25は、相談情報をサーバ30へ送信するためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ25が選択されると、相談者端末10は、オブジェクトJ20およびオブジェクトJ21により受け付けたテキスト(つまり、タイトルおよび本文)とオブジェクトJ22に表示されているアイコンおよび名称に対応する添付ファイルとをサーバ30へ送信する。
【0082】
さらに、後述するシステム応答の提示(S111)が繰り返される度に、相談者端末10は、相談者から補足情報を受け付ける。相談者端末10は、受け付けた補足情報をサーバ30へ送信する。補足情報の受け付けの例は後述する。
【0083】
ステップS110の後に、サーバ30は、情報の取得(S130)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS110において送信された相談情報(および相談者情報)、または補足情報を受信する。
【0084】
ステップS130の後に、サーバ30は、情報の解析(S131)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS130において取得した相談情報、または補足情報を解析する。サーバ30は、テキスト形式の相談情報、またはテキスト形式の補足情報に対して自然言語処理を用いた解析を行う。
【0085】
なお、取得した相談情報、または補足情報が音声である場合に、サーバ30は音声認識処理を行うことで、情報をテキスト化してもよい。取得した相談情報、または補足情報が画像である場合に、サーバ30は文字認識処理(例えばOCR(Optical Character Recognition)処理)を行うことで、情報をテキスト化してもよい。また、サーバ30は、相談情報、または補足情報が添付ファイルを含む場合に、当該添付ファイルを開くことで得られるテキスト、音声、または画像を同様に扱うことができる。
【0086】
一例として、サーバ30は、テキスト形式の相談情報に基づいて、相談事項の相談種別を判定する。相談種別の判定は、キーワードの組み合わせによる判定、知識工学に基づくモデルによる判定、統計的手法を用いた特徴語抽出を用いた判定、深層学習を用い訓練されたAIによる判定など、既存の技術あるいはその組み合わせが利用可能であり、その方法は問わない。
【0087】
ここで、各相談種別は、予め1以上の確認項目(チェックリスト)と、当該確認項目に対応するシステム応答とに関連付けられているものとする。各相談種別に関連付けられる確認項目およびシステム応答を当該相談種別のテンプレートという。例えば、相談種別「利用規約」には、
図9に示すように、「利用対象」、「提供者」、「利用者」、「契約者」、「目的」、および「クラウドシステム」の確認項目が定義され得る。
【0088】
相談種別のテンプレートは、相談対象分野に精通した人がシステムに入力して作成してもよいし、相談履歴と相談事項関連データベース群のデータを解析しその結果をインプットとして作成してもよい。また、テンプレートはあらかじめ作成され保管される静的な形態に限らず、相談の入力を受けた際に相談情報に基づいてテンプレートを動的に生成するようにしてもよい。例えば、相談履歴および相談対象関連情報で訓練された大規模言語モデルに基づくAIを活用して確認項目を生成してもよい。このことにより、最新の情報を用いてAIの再訓練を定期的に実施する運用とすることで、人手による定期的な見直しの手間をかけずに最新の情報に基づいたテンプレートが利用可能となる。
【0089】
システム応答の生成についても同様であり、
図9では確認項目ごとに固定のメッセージ部分をあらかじめ作成しておく形態を例示したが、動的に応答文を生成してもよい。例えば、大規模言語モデルに基づくAIにプロンプトチューニングを施し、相談種別、確認項目、値から生成した問いを入力することでシステム応答を生成してもよい。
【0090】
サーバ30は、確認項目毎に、対応する情報を相談情報、またはその後に取得した補足情報から探索することで、確認項目に対応する情報(値)を特定する。
図9の例では、確認項目「利用対象」が「サービスA」であること、確認項目「提供者」が「ベンダーX」であること、確認項目「利用者」が「利用者U」であること、ならびに確認項目「契約者」が「(空白)」であることが特定されている。さらに、確認項目「クラウドシステム」が「YES」であるため、サーバ30は、相談種別「クラウドシステム」に関連付けられている確認項目(図示せず)も処理対象に追加し、対応する情報を相談情報または補足情報から探索する。他方、
図9の例では、確認項目「目的」に対応する情報は特定されなかった。かかる確認項目を欠損項目という。また、確認項目「契約者」は、「(空白)」であると特定されたものの、かかる値は契約者として適切ではないので、サーバ30は、確認項目「契約者」を欠損項目と同様に扱い得る。
【0091】
さらに、サーバ30は、相談履歴データベース(
図6)を参照し、欠損項目の情報を特定してもよい。一例として、サーバ30は、同一の相談者、または同一の相談側グループによる過去の相談事例情報に基づいて欠損項目の情報を特定してもよい。さらに相談事項関連データベース群の情報に基づいて欠損項目の情報を特定してもよい。
或いは、サーバ30は、例えば外部システム70から取得した外部情報に基づいて欠損項目の情報を特定してもよい。
【0092】
ステップS131の後に、サーバ30は、情報の解析結果について所定の条件が成立したか否かを判定する。所定の条件が成立している場合に、サーバ30は、後述する情報の出力(S134)を実行する。他方、所定の条件が成立していない場合に、サーバ30は、システム応答の生成(S132)を実行する。
【0093】
例えば、所定の条件は、ステップS131において判定された相談種別に対応する確認項目のうち対応する情報が特定された項目(以下、「確認済み項目」という)について定められてよい。一例として、所定の条件は、ステップS131において判定された相談種別に対応する確認項目の全体に占める確認済み項目の割合が閾値を超えること、であってもよいし、ステップS131において判定された相談種別に対応する確認項目のうち必須と指定された項目に対応する情報が特定されていること、であってもよい。或いは、所定の条件は、全ての欠損項目についてのシステム応答を出力済みであること、であってもよい。
【0094】
システム応答の生成(S132)の一例として、サーバ30は、ステップS130において確認項目のうち対応する情報が特定されなかった欠損項目に基づいてシステム応答を生成する。
図9の例では、確認項目「目的」が欠損項目に該当する。サーバ30は、欠損項目に対応するシステム応答として、「サービスAの利用目的について説明してください。」を生成する。
【0095】
サーバ30は、相談者特性情報または相談側グループ特性情報を取得し、取得した特性情報にさらに基づいてシステム応答を生成してもよい。
【0096】
特性情報に基づくシステム応答の生成の第1例として、相談者の経験値が低く、かつ相談者のスキルとの関連性が低いトピックの相談である場合に、サーバ30は、参考情報の所在を示すURL(Uniform Resource Locator)とともに、「OOについて下記を参照の上、疑問点があれば質問ください」というシステム応答を生成し、相談者に基本的事項の確認を促してもよい。
【0097】
特性情報に基づくシステム応答の生成の第2例として、相談情報の記述が具体的でなく(例えば、欠損項目が多いなど情報が少なすぎる)、かつ相談側グループに関連するトピックの有識者が存在する場合に、サーバ30は、「まずOOさんに相談してみていただけますか?」というシステム応答を生成し、相談者に相談側グループ内での基本的事項の整理を促してもよい。
【0098】
特性情報に基づくシステム応答の生成の第3例として、相談側グループの業務内容と、相談対象との関係性が低い場合に、サーバ30は、「OOは何のためですか?」というシステム応答を生成し、相談側グループにおける相談対象の位置づけ(意義)の整理を促してもよい。
【0099】
サーバ30は、相談履歴データベース(
図6)を参照し、相談者、または相談側グループと相談事項における関係者との関係にさらに基づいてシステム応答を生成してもよい。加えて相談事項関連データベース群を参照し、システム応答の生成に利用してもよい。
一例として、相手先との間に過去にトラブルが発生した、またはトラブルの発生頻度が閾値を超える場合に、サーバ30は、「OO社とは過去にトラブルが発生していますが、その後問題はありませんか?」というシステム応答を生成し、相談者に相手先が適切であるかの検討(特に、リスク評価)を促してもよい。
別の例として、過去に相談側グループが同一の相手先との類似の案件(例えば、契約、取引など)で相談があった場合に、サーバ30は、「X年X日にOOしてますが、変わったことはありますか?」、「OO社との契約XXとは関係はありますか?」というシステム応答を生成し、相談者に相手先との経緯に関する情報を伝えるように促してもよい。
【0100】
サーバ30は、相談履歴データベース(
図6)を参照し、相談事項と同一または類似の対象を扱った過去の相談事例にさらに基づいてシステム応答を生成してもよい。加えて相談事項関連データベース群を参照し、システム応答の生成に利用してもよい。
一例として、相談側グループが同一または類似の対象を扱った過去の相談事例がない場合に、サーバ30は、「OOは過去に実績がありませんが、懸念点はないですか?」というシステム応答を生成し、相談者に対象が適切であるかの検討(特に、リスク評価)を促してもよい。
別の例として、対象がクラウドシステムを利用する場合に、サーバ30は、参考情報の所在を示すURLとともに、「クラウド利用の注意点は下記を参照の上、疑問点があれば質問ください」というシステム応答を生成し、相談者にクラウドシステムに特有の事項の確認を促してもよい。
【0101】
サーバ30は、外部システムによる相談情報、補足情報、またはこれらの組み合わせの処理結果にさらに基づいてシステム応答を生成してもよい。
一例として、サーバ30は、リーガルチェックサービスによる相談情報のチェック結果を添付し、「サービスAの免責事項のリスクは添付の通りです。同意できない点はありますか?」というシステム応答を生成し、相談者に基本的事項の確認を促してもよい。
【0102】
なお、サーバ30は、例えば過去の相談事例に基づいてシステム応答を生成する場合に、当該相談事例からの環境変化(例えば、法令または制度の改正など)をさらに考慮してもよい。また、サーバ30は、関係者または対象に関するWeb情報(例えば、公開資料、またはニュースなど)を考慮してシステム応答を生成してもよい。例えば、クラウドシステムの情報漏洩事件が報道されている場合に、「サービスA」のセキュリティ対策に関するの確認項目を追加してもよい。
【0103】
サーバ30は、複数のシステム応答が生成可能である場合に、個別事情(例えば、相談者特性、相談側特性、関係者特性、対象特性、など)に関するシステム応答を一般事情に関するシステム応答よりも優先して生成してもよい。例えば、前記特性情報に基づくシステム応答の生成の第1例、第2例の場合に個別のシステム応答を優先して生成することができる。
【0104】
ステップS132の後に、サーバ30は、システム応答の出力(S133)を実行する。
具体的には、サーバ30は、ステップS132において生成したシステム応答を相談者端末10へ送信する。サーバ30は、複数のシステム応答が生成された場合に、その一部のみを出力してもよいし、全部を出力してもよい。
【0105】
ステップS133の後に、相談者端末10は、システム応答の提示(S111)を実行する。
具体的には、相談者端末10は、ステップS133において送信されたシステム応答を受信する。相談者端末10は、受信したシステム応答を例えばディスプレイ21に表示することで相談者に提示する。或いは、相談者端末10は、システム応答を音声としてスピーカから出力することで相談者に提示してもよい。その後に、相談者端末10は、情報の受け付け(S110)を再実行し、補足情報を相談者から取得する。
【0106】
一例として、相談者端末10は、
図10の画面をディスプレイ21に表示する。
図10の画面は、オブジェクトJ30a~J30b,J31~J34を含む。
【0107】
オブジェクトJ30a,J30bは、システム応答を表示する。
オブジェクトJ31は、相談者が入力した補足情報を表示する。
【0108】
オブジェクトJ32は、直近のシステム応答(
図10の例では、オブジェクトJ30bに表示されるシステム応答)に対する補足情報の入力を受け付ける。
【0109】
オブジェクトJ33は、前画面に戻るためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ33が選択されると、相談者端末10は、前画面をディスプレイ21に表示する。
【0110】
オブジェクトJ34は、補足情報をサーバ30へ送信するためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ34が選択されると、相談者端末10は、オブジェクトJ32により受け付けた補足情報をサーバ30へ送信する。
【0111】
ステップS135において、サーバ30は、ステップS130において取得した情報(つまり、相談情報、または相談情報と補足情報との組み合わせ)を回答者端末50へ送信する。回答者端末50は、情報をディスプレイ61に表示することで、または情報を音声として出力することで、回答者に提示してもよい。情報の提示は、アプリ画面、またはウェブサイト画面上で行われてもよいし、メールまたはその他のメッセージ(例えば、SNS(Social Networking Service)メッセージ、SMS(Short Message Service)メッセージ、など)を用いて行われてもよい。また、情報の提示は、例えば電子掲示板、チャットツール、またはSNSにメッセージを特定人または不特定人が閲覧可能な形式で投稿することによる告知を含み得る。
【0112】
図示していないが、ステップS134の後に、回答者端末50は、回答情報を回答者から受け付け、当該回答情報をサーバ30へ送信してもよい。そして、サーバ30は、送信された回答情報を受信し、相談者端末10へ送信してもよい。相談者端末10は、送信された回答情報を相談者に提示してもよい。
【0113】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のサーバ30は、相談者からの相談事項に関する相談情報を取得し、当該相談情報を解析し、当該解析結果に基づいて、相談事項を補足する情報を相談者から引き出すためのシステム応答を生成する。サーバ30は、生成したシステム応答を出力し、当該システム応答の出力後に相談事項に関する補足情報を取得し、相談情報および補足情報を出力する。これにより、情報の出力先となる回答者は、相談事項に対する回答を検討するにあたり、相談者が最初に自発的に提供した相談情報のみならず、相談者から引き出された補足情報をさらに入手できる。故に、相談事項のトピックに相談者が不慣れであるなどして相談情報が整理されていなかったとしても、回答者は相談対応を効率的に行うことができる。すなわち、直ちに回答案を検討したり、相談者に改めて確認しなければならない情報を削減したりすることができる。
【0114】
サーバ30は、相談情報に基づいて相談事項の相談種別を判定し、相談情報のうち当該相談種別に関連付けられている確認項目に対応する情報を特定し、確認項目のうち対応する情報が特定されなかった欠損項目に基づいてシステム応答を生成してもよい。これにより、相談事項に対する回答の検討に必要である可能性が高い項目のうち情報が不足している項目について、相談者から情報を引き出すことができる。
【0115】
サーバ30は、相談者もしくは相談者が所属する相談側グループによる過去の相談事例が記録された相談履歴データベース、または相談事項関連データベース群の少なくとも1つを参照し、欠損項目の情報を特定してもよい。これにより、過去の相談事例から暗黙的に特定可能な情報について、相談者に入力の負担をかけることなく特定することができる。
【0116】
サーバ30は、さらに、補足情報のうち相談種別に関連付けられている確認項目に対応する情報を特定し、確認項目について所定の条件が成立するまでシステム応答を繰り返し生成してもよい。これにより、回答者が検討に必要な材料が揃うまで相談者から補足情報を引き出すことができるので、回答者は相談対応を効率的に行うことができる。
【0117】
サーバ30は、相談情報が添付ファイルを含む場合に、当該添付ファイルの内容に対応するテキストを、自然言語処理を用いて解析してもよい。これにより、相談者は、添付ファイルに記載されている内容の入力を求められないので、負担が軽減される。
【0118】
サーバ30は、相談者の特性、または相談側グループの特性に関する特性情報を取得し、当該特性情報にさらに基づいて、システム応答を生成してもよい。これにより、相談者または相談側グループの個別事情を考慮したシステム応答を提示し、相談者から回答の検討に有用な補助情報を引き出すことができる。
【0119】
サーバ30は、相談履歴データベースを参照し、相談者または相談側グループと相談事項における関係者との関係にさらに基づいて、システム応答を生成してもよい。これにより、上記関係の個別事情を考慮したシステム応答を提示し、相談者から回答の検討に有用な補助情報を引き出すことができる。
【0120】
サーバ30は、相談履歴データベースを参照し、相談事項と同一または類似の対象を扱った過去の相談事例にさらに基づいて、システム応答を生成してもよい。これにより、相談事項の対象の個別事情を考慮したシステム応答を提示し、相談者から回答の検討に有用な補助情報を引き出すことができる。
【0121】
サーバ30は、相談事項関連データベース群をさらに参照し、システム応答を生成してもよい。これにより、例えば相談者もしくは相談側グループの特性、または回答の検討に必要なナレッジを踏まえたシステム応答を提示し、相談者から回答の検討に有用な補助情報を引き出すことができる。
【0122】
サーバ30は、外部システム70による相談情報の処理結果にさらに基づいて、システム応答を生成してもよい。これにより、相談者に基本的事項の確認を促すことができる。
【0123】
(6)その他の変形例
記憶装置11は、ネットワークNWを介して、相談者端末10と接続されてもよい。ディスプレイ21は、相談者端末10と一体化されていてもよい。記憶装置31は、ネットワークNWを介して、サーバ30と接続されてもよい。記憶装置51は、ネットワークNWを介して、回答者端末50と接続されてもよい。ディスプレイ61は、回答者端末50と一体化されていてもよい。
【0124】
上記の情報処理の各ステップは、相談者端末10、サーバ30及び回答者端末50の何れでも実行可能である。例えば、いずれかの装置によって行われるとして説明された処理が別の装置によって行われたり、複数の装置のやり取りによって行われるとして説明された処理が単一の装置によって行われたりしてもよい。上記説明では、各処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。
【0125】
上記説明では、サーバ30が、所定の条件が成立するか否かを判定し、所定の条件が成立するまで補足情報の収集を継続する例を示した。しかしながら、サーバ30は、かかる判定を省略し、または所定の条件が成立する前に、相談情報および補足情報を回答者端末50へ出力してもよい。そして、回答者が、情報が不十分であると判断した場合に、回答者端末50を介して補足情報の収集の継続を指示し、サーバ30は当該指示に応じて補足情報の収集を継続してもよい。
【0126】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 :情報処理システム
10 :相談者端末
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
30 :サーバ
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
50 :回答者端末
51 :記憶装置
52 :プロセッサ
53 :入出力インタフェース
54 :通信インタフェース
61 :ディスプレイ
70 :外部システム