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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135257
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】衣服ハンガー
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/34 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A47G25/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045854
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】515217834
【氏名又は名称】上野 文仁
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上野 文仁
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA01
3K099AA07
3K099BA04
3K099BA15
3K099CA01
3K099CA49
3K099CA63
3K099DA05
3K099DA09
3K099DA13
(57)【要約】
【課題】衣服を衣服ハンガーの左右両側から着脱する際に、衣服の首周りの生地が伸びにくく、使い勝手の良い衣服ハンガーを提供する。
【解決手段】衣服SHを支持体11に対して吊り下げるための衣服ハンガー1であって、左右のうちの一方側に位置して衣服の一方側の肩部分LSを支持する第1支持部位3と、左右のうちの他方側に位置して衣服の他方側の肩部分RSを支持する第2支持部位4と、第1支持部位3に隣接して設けられ衣服の一方側の首周り縁部LEが進入し得る第1進入部7と、第2支持部位4に隣接して設けられ衣服の他方側の首周り縁部REが進入し得る第2進入部9と、を備えている衣服ハンガー。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣服を支持体に対して吊り下げるための衣服ハンガーであって、
左右のうちの一方側に位置して前記衣服の前記一方側の肩部分を支持する第1支持部位と、
左右のうちの他方側に位置して前記衣服の前記他方側の肩部分を支持する第2支持部位と、
前記第1支持部位に隣接して設けられ前記衣服の前記一方側の首周り縁部が進入し得る第1進入部と、
前記第2支持部位に隣接して設けられ前記衣服の前記他方側の首周り縁部が進入し得る第2進入部と、を備えている衣服ハンガー。
【請求項2】
前記第1進入部は水平方向に沿って前記他方側へ延びる凹部であり、
前記第2進入部は水平方向に沿って前記一方側へ延びる凹部である、請求項1に記載の衣服ハンガー。
【請求項3】
前記支持体に掛け止めされる掛止部と、
前記掛止部の下部から前記他方側へ延び、下方へ曲がりつつ前記一方側へ折り返して延びる第1曲がり部位と、
前記第1曲がり部位から連続して前記一方側へ延び、下方へ曲がりつつ前記他方側へ折り返して延びる第2曲がり部位と、を備えており、
前記第1進入部は前記第1曲がり部位の内側に生じる凹部であり、
前記第2進入部は前記第2曲がり部位の内側に生じる凹部である、請求項1に記載の衣服ハンガー。
【請求項4】
前記第1進入部は左右の中心線よりも前記他方側へ延びる凹部であり、
前記第2進入部は左右の中心線よりも前記一方側へ延びる凹部である、請求項1に記載の衣服ハンガー。
【請求項5】
前記第2進入部である凹部の下縁を規定する部位と前記第2支持部位との接続部に、上へ突出する凸部が形成されている請求項1に記載の衣服ハンガー。
【請求項6】
前記第1進入部及び前記第2進入部の少なくとも一方は、斜め下方へ延びる凹部である、請求項1に記載の衣服ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載のハンガーが知られている。このハンガーは、本体部の左側の上縁から右斜め下に向けて延在する切り込み部を備えている。このハンガーには、次の手順で、丸首シャツをセットすることができる。まず、ハンガーの左側を丸首シャツの首部開口に挿入し、丸首シャツの首部開口の縁を一時的に切り込み部に入れた状態で、ハンガーの右側を首部開口にくぐらせる。この手順により、丸首シャツの首部開口を伸ばさずに、ハンガーにセットすることができる旨が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-8681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のハンガーには、左にのみ切り込み部が備えられている。したがって、利用者がハンガーから衣服を着脱する際に、衣服の左側の首部開口の縁を切り込み部に入れることで、衣服の左側の首部開口の縁をハンガーの右側に寄せることはできるが、衣服の右側の首部開口の縁を切り込み部に入れることはできないので、衣服の右側の首部開口の縁をハンガーの左側に寄せることはできない。
【0005】
本発明の目的は、衣服を衣服ハンガーの左右両側から着脱する際に、衣服の首周りの生地が伸びにくく、使い勝手の良い衣服ハンガーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る衣服ハンガーの特徴は、衣服を支持体に対して吊り下げるための衣服ハンガーであって、左右のうちの一方側に位置して前記衣服の前記一方側の肩部分を支持する第1支持部位と、左右のうちの他方側に位置して前記衣服の前記他方側の肩部分を支持する第2支持部位と、前記第1支持部位に隣接して設けられ前記衣服の前記一方側の首周り縁部が進入し得る第1進入部と、前記第2支持部位に隣接して設けられ前記衣服の前記他方側の首周り縁部が進入し得る第2進入部と、を備えている点にある。
【0007】
本発明であれば、利用者が衣服ハンガーから衣服を着脱する際に、一方側の首周り縁部を他方側に寄せることと、他方側の首周り縁部を一方側に寄せることの、両方が可能になる。これにより、利用者が衣服を衣服ハンガーの左右両側から取り外すことができる。したがって、衣服ハンガーの使い勝手が良くなる。
【0008】
本発明においては、前記第1進入部は水平方向に沿って前記他方側へ延びる凹部であり、前記第2進入部は水平方向に沿って前記一方側へ延びる凹部であると好適である。
【0009】
本構成によると、第1支持部位と、第1支持部位に隣接して設けられた第1進入部と、でなす角度が鈍角になり、かつ、第2支持部位と、第2支持部位に隣接して設けられた第2進入部と、でなす角度が鈍角になるので、利用者が衣服を衣服ハンガーの左右両側から着脱する際に、衣服が衣服ハンガーに引っ掛かりづらくなり、衣服の首周り縁部を第1進入部または第2進入部に進入させやすくなる。
また、第1支持部位と第1進入部とでなす角度と、第2支持部位と第2進入部とでなす角度と、が同じになるので、衣服ハンガーの左側から衣服を着脱するときと、衣服ハンガーの右側から衣服を着脱するときと、で作業のしやすさが同じになる。これにより、衣服ハンガーの使い勝手がよくなる。
【0010】
本発明においては、前記支持体に掛け止めされる掛止部と、前記掛止部の下部から前記他方側へ延び、下方へ曲がりつつ前記一方側へ折り返して延びる第1曲がり部位と、前記第1曲がり部位から連続して前記一方側へ延び、下方へ曲がりつつ前記他方側へ折り返して延びる第2曲がり部位と、を備えており、前記第1進入部は前記第1曲がり部位の内側に生じる凹部であり、前記第2進入部は前記第2曲がり部位の内側に生じる凹部であると好適である。
【0011】
第1進入部と第2進入部とが長く延ばされると、第1進入部と第2進入部とが干渉してしまう場合がある。本構成によると、第1進入部及び第2進入部が、第1曲がり部位と、第1曲がり部位と連続した第2曲がり部位と、の内側に生じる凹部であるので、第1進入部と第2進入部とが干渉しづらくなる。
【0012】
本発明においては、前記第1進入部は左右の中心線よりも前記他方側へ延びる凹部であり、前記第2進入部は左右の中心線よりも前記一方側へ延びる凹部であると好適である。
【0013】
本構成によると、利用者が衣服ハンガーから衣服を着脱する際に、一方側の首周り縁部を左右の中心線よりも他方側に寄せることと、他方側の首周り縁部を左右の中心線よりも一方側に寄せることの、両方が可能になる。これにより、利用者が衣服を衣服ハンガーの左右両側から簡単に着脱することができる。したがって、衣服ハンガーの使い勝手が良くなる。
【0014】
本発明においては、前記第2進入部である凹部の下縁を規定する部位と前記第2支持部位との接続部に、上へ突出する凸部が形成されていると好適である。
【0015】
衣服が衣服ハンガーに支持されている際に、他方側の首周り縁部が第2進入部へ進入しやすくなりすぎると、風による揺れなどによって他方側の首周り縁部が第2進入部に意図せず進入してしまい、衣服が衣服ハンガーから外れてしまう場合がある。本構成によると、第2進入部の下縁を規定する部位と第2支持部位との接続部が水平に延びている構成と比較して、他方側の首周り縁部が凸部によって第2進入部への進入がある程度抑制されるため、衣服が衣服ハンガーから意図せず外れにくくなる。
【0016】
本発明においては、前記第1進入部及び前記第2進入部の少なくとも一方は、斜め下方へ延びる凹部であると好適である。
【0017】
例えば、衣服が衣服ハンガーによって、床面からの高さが比較的高い位置に掛け止めされている場合は、利用者が衣服ハンガーから衣服を取り外す際に、衣服を下方に引っ張ることが多くなる。本構成によると、利用者が衣服ハンガーから衣服を取り外す際に、衣服を下方に引っ張ることで、衣服の首周り縁部を第1進入部または第2進入部に進入させやすくなる。したがって、衣服ハンガーの使い勝手がよくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】衣服ハンガーに支持された衣服を示す正面図である。
図2】衣服ハンガーの一例を示す正面図である。
図3】衣服ハンガーから衣服を取り外す例を示す図である。
図4】衣服ハンガーから衣服を取り外す例を示す図である。
図5】衣服ハンガーの別の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態に係る衣服ハンガーを図面の記載に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Uの方向を「上方」、矢印Dの方向を「下方」、矢印Lの方向を「左方」、矢印Rの方向を「右方」とする。
【0020】
本実施形態において、左側が特許請求項の範囲における「一方側」に対応する。また、右側が特許請求の範囲における「他方側」に対応する。
【0021】
図1は、衣服ハンガー1によって、支持体11に吊り下げられた衣服SHを示す図である。本実施形態において、支持体11は、水平方向に延びるハンガーバーや物干し竿である。これに限らず、支持体11は、衣服ハンガー1に掛け止め可能であれば、他の形態でもよい。例えば、支持体11は、壁に固定されたフックであってもよい。図1に示すように、衣服SHは、上半身用の衣服である。衣服SHは、正面視で衣服SHの左側に位置する左側の肩部分LSと、正面視で衣服SHの右側に位置する右側の肩部分RSと、首周開口の縁に位置する首周り縁部Eと、を有する。本実施形態において、衣服SHは、Tシャツである。
【0022】
首周り縁部Eは、利用者が衣服SHを着た際に、首周りに位置する部位である。首周り縁部Eは、衣服SHの胸部分よりも上側に位置している。首周り縁部Eは、正面視で衣服SHの左右中央よりも左側に位置する左側の首周り縁部LEと、正面視で衣服SHの左右中央よりも右側に位置する右側の首周り縁部REと、を有する。左側の首周り縁部LEは、左側の肩部分LSに対して衣服SHの左右中央側に隣接している。右側の首周り縁部REは、右側の肩部分RSに対して衣服SHの左右中央側に隣接している。本実施形態において、首周り縁部Eは、正面視で半円状の丸首である。
【0023】
図2において、一点鎖線で示される中心線CRは、衣服ハンガー1の左右中心を通って上下方向に延びる仮想線である。図1図2、に示されるように、衣服ハンガー1は、衣服SHを支持体11に対して吊り下げるためのハンガーである。衣服ハンガー1は、支持体11に掛け止めされる掛止部2と、正面視で掛止部2の左側に位置して、衣服SHの左側の肩部分LSを支持する第1支持部位3と、正面視で掛止部2の右側に位置して、衣服SHの右側の肩部分RSを支持する第2支持部位4と、第1支持部位3と第2支持部位4とを連結する連結部5と、第1支持部位3に隣接して設けられ、衣服SHの左側の首周り縁部LEが進入し得る第1進入部7と、第2支持部位4に隣接して設けられ、衣服SHの右側の首周り縁部REが進入し得る第2進入部9と、を備えている。
【0024】
掛止部2は、衣服ハンガー1の左右中央に位置している。掛止部2は、先端がフック形状の棒状部材である。掛止部2は、中心線CRに沿って上下方向に延びる基端部位2aを有する。また、掛止部2は、基端部位2aから中心線CRよりも右側を通って中心線CRよりも左側まで湾曲して延びるフック形状の先端部位2bを有する。換言すると、先端部位2bは、弧状に形成されている。
【0025】
先端部位2bは、支持体11に掛け止めされる。具体的には、支持体11は、基端部位2aと先端部位2bとの間の開口Hから、掛止部2の内側に案内される。これにより、衣服SHが衣服ハンガー1によって支持体11に吊り下げられる。正面視で開口Hは、中心線CRよりも左側に位置する。換言すると、掛止部2は、正面視で左に向かって開口している。
【0026】
第1支持部位3は、左から右へ上り傾斜状に延びる棒状部材である。第2支持部位4は、右から左へ上り傾斜状に延びる棒状部材である。第1支持部位3の水平に対する傾斜角度と、第2支持部位4の水平に対する傾斜角度と、は同じである。連結部5は、左右方向に水平に延びる棒状部材である。連結部5は、第1支持部位3の下部と第2支持部位4の下部とを連結している。
【0027】
〔第1曲がり部〕
図1図2に示すように、衣服ハンガー1は、掛止部2の下部から右側へ延び、下方へ曲がりつつ左側へ折り返して延びる第1曲がり部位6を備える。換言すると、第1曲がり部位6は、U字状に曲がっている。第1曲がり部位6は、正面視でU字状の頂点が衣服ハンガー1の右側に位置している。つまり、第1曲がり部位6は、U字状の頂点が掛止部2を挟んで開口Hとは左右反対側に突出している。
【0028】
これにより、第1曲がり部位6のU字状の頂点が左右のうち開口Hと同じ側に突出している構成と比較して、支持体11が、開口Hから掛止部2の内側に案内される際に、支持体11が第1曲がり部位6に当たりにくい。つまり、衣服ハンガー1が支持体11に引掛けられる際に、第1曲がり部位6が邪魔にならない。
【0029】
〔第1進入部〕
図1図2に示すように、第1進入部7は、第1曲がり部位6の内側に生じる凹部である。具体的には、第1進入部7は、正面視で水平方向に沿って右側へ延びる凹部である。第1進入部7は、中心線CRよりも右側へ延びている。第1進入部7の凹部の上縁から下縁までの長さは、衣服SHの首周り縁部Eの上下方向の厚みよりも大きい。
【0030】
第1曲がり部位6の下部は、第1支持部位3の上部と接続されている。つまり、第1進入部7は、第1支持部位3の上部に隣接して設けられている。具体的には、第1進入部7は、第1支持部位3の上部に対して衣服ハンガー1の左右中央側に隣接している。衣服SHが衣服ハンガー1に支持された状態において、左側の首周り縁部LEは、第1支持部位3の上部に支持される。つまり、左側の首周り縁部LEは、第1進入部7に隣接した状態となる。これにより、利用者が衣服ハンガー1から衣服SHを取り外す際に、利用者が衣服SHを右側に人為的に引っ張るだけで、左側の首周り縁部LEが第1進入部7に案内されるので、衣服ハンガー1の使い勝手が良くなる。
【0031】
〔第2曲がり部位〕
図1図2に示すように、衣服ハンガー1は、第1曲がり部位6から連続して左側へ延び、下方へ曲がりつつ右側へ折り返して延びる第2曲がり部位8を備える。換言すると、第2曲がり部位8は、正面視でU字状に曲がっている。第2曲がり部位8は、正面視でU字状の頂点が衣服ハンガー1の左側に位置している。つまり、第2曲がり部位8は、U字状の頂点が第1曲がり部位6とは左右反対側に突出している。第2曲がり部位8は、第1曲がり部位6よりも下側に位置する。
【0032】
〔第2進入部〕
図1図2に示すように、第2進入部9は第2曲がり部位8の内側に生じる凹部である。具体的には、第2進入部9は、正面視で水平方向に沿って左側へ延びる凹部である。第2進入部9は、中心線CRよりも左側へ延びている。第2進入部9の凹部の上縁から下縁までの長さは、衣服SHの首周り縁部Eの上下方向の厚みよりも大きい。
【0033】
第2曲がり部位8の下部は、第2支持部位4の上端部と接続されている。つまり、第2進入部9は、第2支持部位4の上部に隣接して設けられている。具体的には、第2進入部9は、第2支持部位4の上部に対して衣服ハンガー1の左右中央側に隣接している。衣服SHが衣服ハンガー1に支持された状態において、右側の首周り縁部REは、第2支持部位4の上部に支持される。つまり、右側の首周り縁部REは、第2進入部9に隣接した状態となる。これにより、利用者が衣服ハンガー1から衣服SHを取り外す際に、利用者が衣服SHを左側に人為的に引っ張るだけで、右側の首周り縁部REが第2進入部9に案内されるので、衣服ハンガー1の使い勝手が良くなる。
【0034】
図2に示すように、衣服ハンガー1は、掛止部2と、第1支持部位3と、第2支持部位4と、連結部5と、第1曲がり部位6と、第2曲がり部位8と、が樹脂によって一体成形されている。第1曲がり部位6の下部と第2曲がり部位8の左側端部と第1支持部位3の上部とは、接続されている。衣服ハンガー1は、掛止部2と、第1支持部位3と、第2支持部位4と、連結部5と、第1曲がり部位6と、第2曲がり部位8と、が同一平面上に位置している。
【0035】
本実施形態において、第1進入部7と、第2進入部9と、は互いに平行である。これに限らず、第1進入部7と、第2進入部9と、は互いに平行でなくてもよい。
【0036】
〔凸部〕
図2に示すように、第2進入部9である凹部の下縁を規定する部位と第2支持部位4との接続部に、上へ突出する弧状の凸部10が形成されている。具体的には、第2曲がり部位8の下部は、左から右へ延びつつ上方に曲がってから、下方に曲がって第2支持部位4に接続されている。
【0037】
図2において、一点鎖線で示される線L3は、第2曲がり部位8と第2支持部位4との接続部における変曲点を通る接線である。また、一点鎖線で示される線L4は、第2支持部位4の右側面に沿って延びる仮想線である。L3とL4とによってなす角度θは、鈍角である。具体的には、角度θは、略120度である。角度θが小さくなると、凸部10によって、右側の首周り縁部REの第2進入部9への進入が抑制される。しかしながら、これによって、衣服ハンガー1の使い勝手が悪くなってしまう場合がある。
【0038】
また、角度θが大きくなると、右側の首周り縁部REが第2進入部9に進入しやすくなる。しかしながら、右側の首周り縁部REが第2進入部9に進入しやすくなりすぎると、衣服SHが衣服ハンガー1から、風による揺れなどによって、意図せず外れやすくなる場合がある。角度θが一定の角度に保たれることで、右側の首周り縁部REの第2進入部9への進入しやすさと、右側の首周り縁部REの第2進入部9への進入の抑制と、の適切なバランスが保たれる。
【0039】
これに限らず、例えば、直線状に延びる第2曲がり部位8の下部と、直線状に延びる第2支持部位4と、の接続部に、上へ突出するL字状の凸部10が形成されていれば、角度θは、第2曲がり部位8の下部の上面と、第2支持部位4の右側面と、でなす角度であってもよい。
【0040】
〔第1進入部の深さについて〕
以下では、第1進入部7の深さについて、図2図3に基づいて説明する。図2において、二点鎖線で示される線RLは、衣服ハンガー1の右側端部を示す点P4を通って上下方向に延びる仮想線である。また、点P5は、基端部位2aと第1曲がり部位6との接続部分の左側端部を示している。
【0041】
利用者が衣服SHを衣服ハンガー1に支持させる際には、衣服ハンガー1が衣服SHの首開口に上方から挿し込まれて、衣服ハンガー1が衣服SHの首開口を通過することで、第1支持部位3が衣服SHの左側の肩部分LSを支持可能な位置に衣服ハンガー1が移動され、かつ、第2支持部位4が衣服SHの右側の肩部分RSを支持可能な位置に衣服ハンガー1が移動される。以上により、衣服SHが衣服ハンガー1に支持される。
【0042】
衣服ハンガー1が衣服SHの首開口に挿し込まれる際に、衣服ハンガー1の左右幅は、衣服SHの首開口の最大幅よりも大きいので、衣服ハンガー1はそのままの姿勢では衣服SHの首開口を通過できない。したがって、衣服ハンガー1は、斜めに傾けられた姿勢で衣服SHの首開口を通過する。例えば、衣服ハンガー1は、衣服ハンガー1の点P1の部分が最初に衣服SHの首開口に挿し込まれて、次に衣服ハンガー1の点P5の部分が衣服SHの左側の首周り縁部LEに当たる位置まで挿し込まれる。
【0043】
この時、衣服SHの首開口を通過する衣服ハンガー1の最大幅である首開口最大通過幅は、点P5から点P4までの距離D3に相当する。この距離D3は、衣服SHの首開口の最大幅である首開口最大幅を示す距離D5(図3参照)よりも大きいので、衣服ハンガー1が衣服SHの首開口を通過する際に、衣服ハンガー1が首周り縁部Eに引っ掛かり、距離D3と距離D5との差分だけ衣服SHの首周りの生地が伸ばされる。
【0044】
図2図3において、点P6は第1進入部7の最奥の位置を示している。つまり、点P6と、点P4と、の距離D4は、左側の首周り縁部LEが点P6の位置まで進入した場合の衣服ハンガー1の首開口最大通過幅を示す。
【0045】
図2において、一点鎖線で示される円C2は、距離D3を半径とする円を示す仮想線である。距離D4は、距離D3よりも小さい。つまり、点P6は、円C2の内側に位置している。換言すると、第1進入部7は、点P6が円C2の内側に位置する程度の深さを有している。これにより、衣服ハンガー1の首開口最大通過幅が距離D3よりも小さくなるので、衣服ハンガー1が首周り縁部Eに引っ掛かりにくくなる。
【0046】
図3に示すように、衣服ハンガー1は、支持体11に掛止部2が掛け止めされており、衣服SHは、支持体11に吊り下げられた状態である。利用者は、衣服SHを右側に人為的に引っ張ることで、左側の首周り縁部LEがP6の位置まで第1進入部7に進入する。これが、左側の首周り縁部LEが衣服ハンガー1の右側に寄せられた状態である。距離D4は、距離D5よりも小さくなる。これにより、衣服ハンガー1の首開口最大通過幅が距離D5よりも小さくなるので、衣服ハンガー1が首周り縁部Eに引っ掛かりにくくなり、利用者は衣服SHを衣服ハンガー1の右側から簡単に取り外すことができる。
【0047】
〔第2進入部の深さについて〕
以下では、第2進入部9の深さについて、図2図4に基づいて説明する。本実施形態において、図2において、二点鎖線で示される線LLは、衣服ハンガー1の左側端部を示す点P1を通って上下方向に延びる仮想線である。また、点P2は、基端部位2aと第1曲がり部位6との接続部分の右側端部を示している。
【0048】
衣服ハンガー1が衣服SHの上方から首開口に挿し込まれる場合、衣服ハンガー1の左右幅は、衣服SHの首開口の最大幅よりも大きいので、衣服ハンガー1は、斜めに傾いた姿勢で衣服SHの首開口を通過する。例えば、衣服ハンガー1は、衣服ハンガー1の点P4の部分が最初に衣服SHの首開口に挿し込まれて、次に衣服ハンガー1の点P2の部分が衣服SHの右側の首周り縁部REに当たる位置まで挿し込まれる。
【0049】
この時、衣服ハンガー1の首開口最大通過幅は、点P2から点P1までの距離D1に相当する。この距離D1は、衣服SHの首開口最大幅を示す距離D5(図4参照)よりも大きいので、衣服ハンガー1が衣服SHの首開口を通過する際に、衣服ハンガー1が首周り縁部Eに引っ掛かり、距離D1と距離D5との差分だけ衣服SHの首周りの生地が伸ばされる。
【0050】
図2図4において、点P3は、第2進入部9の最奥の位置を示している。つまり、点P3と、点P1と、の距離D2は、右側の首周り縁部REが点P3の位置まで進入した場合の衣服ハンガー1の首開口最大通過幅を示す。
【0051】
図2において、一点鎖線で示される円C1は、距離D1を半径とする円を示す仮想線である。距離D2は、距離D1よりも小さい。つまり、点P3は、円C1の内側に位置している。換言すると、第2進入部9は、点P3が円C1の内側に位置する程度の深さを有している。これにより、衣服ハンガー1の首開口最大通過幅が距離D1よりも小さくなるので、衣服ハンガー1が首周り縁部Eに引っ掛かりにくくなる。
【0052】
図4に示すように、掛止部2が支持体11に掛け止めされており、衣服SHは、支持体11に吊り下げられた状態である。利用者は、衣服SHを左側に人為的に引っ張ることで、右側の首周り縁部REがP3の位置まで第2進入部9に進入する。これが、右側の首周り縁部REが衣服ハンガー1の左側に寄せられた状態である。距離D2は、距離D5よりも小さくなる。これにより、衣服ハンガー1の首開口最大通過幅が距離D5よりも小さくなるので、衣服ハンガー1が首周り縁部Eに引っ掛かりにくくなり、利用者は、衣服SHを衣服ハンガー1の左側から簡単に取り外すことができる。
【0053】
特に、クローゼットなどでは、支持体11の奥側に壁が設けられている場合がある。衣服ハンガー1は、支持体11が延びる方向と直交する水平方向に、衣服ハンガー1の左右方向が沿う姿勢で支持体11に掛け止めされている。例えば、図3において、衣服ハンガー1の左側に位置する壁が、紙面に直交する方向に延びている場合は、利用者は、第1進入部7によって、壁とは反対側である衣服ハンガー1の右側から衣服SHを取り外すことができる。
【0054】
また、図4において、衣服ハンガー1の右側に位置する壁が紙面と直交する方向に延びている場合は、利用者は、第2進入部9によって、壁とは反対側である衣服ハンガー1の左側から衣服SHを取り外すことができる。
【0055】
以上により、衣服ハンガー1の左側に壁が位置する場合と、衣服ハンガー1の右側に壁が位置する場合と、のどちらの場合でも、利用者は、第1進入部7または第2進入部9によって、壁とは反対側に衣服SHを衣服ハンガー1から取り外すことができるので、衣服ハンガー1の使い勝手が良くなる。
【0056】
衣服ハンガー1は、伸びやすい生地を有する衣服SHに使用されることで、衣服SHの首周りの生地が伸びないという効果を奏する。例えば、衣服ハンガー1は、Tシャツの他、ニットなどに使用されることで上記効果を奏する。
【0057】
衣服ハンガー1は、着脱の際にボタンを掛け外す必要がある衣服SHに使用されることで、ボタンの掛け外しがなくとも、衣服ハンガー1から衣服SHの着脱が可能であるという効果を奏する。例えば、衣服ハンガー1は、ワイシャツなどに使用されることで上記効果を奏する。
【0058】
衣服ハンガー1は、首開口が狭い首周り縁部Eを有する衣服SHに使用されることで、衣服ハンガー1の左右両側から衣服SHを容易に着脱できるという効果を奏する。例えば、丸首の首周り縁部Eを有する衣服SHの他に、正面視で上方に突出する凸状のタートルネックを有する衣服SHに使用されることで上記効果を奏する。
【0059】
一方で、衣服ハンガー1は、首開口が広い首周り縁部Eを有する衣服SHに使用されても上記効果を奏さない。例えば、衣服ハンガー1は、正面視でV字状のVネックの首周り縁部Eを有する衣服SHやテーラードジャケットなどに使用されても上記効果を奏さない。
【0060】
〔別実施形態〕
本発明は、上述した実施形態に限られない。例えば、以下の別実施形態のように構成しても良い。以下に説明する別実施形態では、実施形態と同じ構成には、実施形態と共通の番号、符号を付している。
【0061】
〔1〕上述の実施形態において、左側が特許請求項の範囲における「一方側」に対応する。また、右側が特許請求の範囲における「他方側」に対応する。これに限らず、右側が特許請求項の範囲における「一方側」に対応し、左側が特許請求の範囲における「他方側」に対応してもよい。
【0062】
〔2〕上述の実施形態において、第1進入部7は、水平方向に沿って右側へ延びる凹部であり、第2進入部9は、水平方向に沿って左側へ延びる凹部である。これに限らず、第1進入部7は、点P6が円C2の内側に位置するならば別の形態でもよい。また、第2進入部9は、点P3が円C1の内側に位置するならば別の形態でもよい。例えば、第1進入部7及び第2進入部9の少なくとも一方は、斜め下方へ延びる凹部でもよい。具体的には、図5に示すように、第1進入部7は、正面視で斜め下方へ右側に延びており、第2進入部9は、正面視で斜め下方に左側に延びていてもよい。また、第1進入部7及び第2進入部9の少なくとも一方は、斜め上方へ延びる凹部でもよい。
【0063】
さらに、第1進入部7及び第2進入部9の少なくとも一方は、一部が曲がっていてもよい。具体的には、図5に示すように、第2進入部9は、第2支持部位4の上部に隣接した位置から、斜め下方に左方向に曲がりながら延びていてもよい。
【0064】
〔3〕上述の実施形態において、第1進入部7は、中心線CRよりも右側へ延びている。これに限らず、第1進入部7は、点P6が円C2の内側に位置していれば、中心線CRよりも右側へ延びていなくてもよい。
【0065】
〔4〕上述の実施形態において、第2進入部9は、中心線CRよりも左側へ延びている。これに限らず、第2進入部9は、点P3が円C1の内側に位置していれば、中心線CRよりも左側へ延びていなくてもよい。
【0066】
〔5〕上述の実施形態において、掛止部2は、中心線CRに沿って上下方向に延びる基端部位2aを有する。これに限らず、基端部位2aは他の形態でもよい。例えば、基端部位2aは、図5に示すように斜め上方に延びていてもよい。
【0067】
〔6〕上述の実施形態において、第1進入部7及び第2進入部9は凹部である。これに限らず、第1進入部7及び第2進入部9の少なくとも一方は、衣服ハンガー1の一部を切り欠くことで形成されてもよい。
【0068】
〔7〕上述の実施形態において、掛止部2は、衣服ハンガー1の左右中央に位置しており、先端部位2bが弧状のフック形状である。これに限らず、掛止部2は、別の形態でもよい。例えば、先端部位2bの複数箇所がL字状に屈曲されたフック形状でもよい。
【0069】
また、掛止部2は、対向する複数の部位で支持体11を挟むことで、支持体11に掛け止めされてもよい。さらに、掛止部2は、左右中央から左右に偏倚した位置にあってもよい。
【0070】
〔8〕上述の実施形態において、衣服ハンガー1は、樹脂によって形成されている。これに限らず、衣服ハンガー1は、別の形態であってもよい。例えば、衣服ハンガー1は、スチール製、アルミ製、木製等でもよい。
【0071】
〔9〕上述の実施形態において、衣服ハンガー1は、掛止部2と、第1支持部位3と、第2支持部位4と、連結部5と、第1曲がり部位6と、第2曲がり部位8と、が一体成形されている。これに限らず、衣服ハンガー1は、掛止部2と、第1支持部位3と、第2支持部位4と、連結部5と、第1曲がり部位6と、第2曲がり部位8と、のうち少なくとも一部が別体であって、それらが組み立てられていてもよい。
【0072】
〔10〕上述の実施形態において、第1曲がり部位6及び第2曲がり部位8は、U字状に湾曲している。これに限らず、第1曲がり部位6及び第2曲がり部位8の少なくとも一方は、L字状に屈曲していてもよい。
【0073】
〔11〕上述の実施形態において、第1曲がり部位6の下部は、第1支持部位3の上部と接続されている。これに限らず、第1曲がり部位6は、別の形態でもよい。例えば、第1曲がり部位6は、第1支持部位3の上下中間部に接続されてもよい。この場合、掛止部2の下部と第1支持部位3とが接続されており、第1曲がり部位6は、掛止部2及び第2曲がり部位8と接続されていなくてもよい。点P5は、掛止部2と第1支持部位3との接続部分の左側端部を示す。
【0074】
〔12〕上述の実施形態において、第2曲がり部位8の下部は、第2支持部位4の上部と接続されている。これに限らず、第2曲がり部位8は、別の形態でもよい。例えば、第2曲がり部位8は、第2支持部位4の上下中間部に接続されてもよい。この場合、掛止部2の下部と第2支持部位4とが接続されており、第2曲がり部位8は、第1曲がり部位6と接続されていなくてもよい。点P2は、掛止部2と第2支持部位4との接続部分の右側端部を示す。
【0075】
〔13〕上述の実施形態において、距離D4は、距離D3及び距離D5よりも小さい。これに限らず、距離D4は、距離D3よりも小さければ、距離D5よりも大きくてもよい。
【0076】
〔14〕上述の実施形態において、距離D2は、距離D1及び距離D5よりも小さい。これに限らず、距離D2は、距離D1よりも小さければ、距離D5よりも大きくてもよい。
【0077】
〔15〕上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用でき、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、衣服ハンガーに適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 :衣服ハンガー
2 :掛止部
3 :第1支持部位
4 :第2支持部位
6 :第1曲がり部位
7 :第1進入部
8 :第2曲がり部位
9 :第2進入部
10 :凸部
11 :支持体
CR :中心線
LE :左側の首周り縁部(一方側の首周り縁部)
RE :右側の首周り縁部(他方側の首周り縁部)
LS :左側の肩部分(一方側の肩部分)
RS :右側の肩部分(他方側の肩部分)
SH :衣服
図1
図2
図3
図4
図5