(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135273
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240927BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B25F5/02
B25F5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045880
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】322003732
【氏名又は名称】パナソニック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関野 文昭
(72)【発明者】
【氏名】大川 敦司
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA06
3C064BA12
3C064BB02
3C064BB42
3C064BB43
3C064BB44
3C064BB45
3C064BB71
3C064BB77
3C064BB79
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA25
3C064CA27
3C064CA53
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB33
3C064CB36
3C064CB37
3C064CB39
3C064CB62
3C064CB72
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させることができる電動工具を提供すること。
【解決手段】電動工具100は、モータ1と、保持部3と、ファン4と、ハウジング2と、を備える。保持部3は、モータ1から回転力が伝達される先端工具を保持する。ファン4は、モータ1と保持部3との間に配置され、モータ1を冷却するための風を生成する。ハウジング2は、モータ1及びファン4を収容する。ハウジング2は、ハウジング側部211と、吸気ガイド部9と、を有する。ハウジング側部211は、風の流入口である吸気孔214が設けられている。吸気ガイド部9は、吸気孔214から流入した風をモータ1に対して保持部3とは反対側に誘導する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータから回転力が伝達される先端工具を保持する保持部と、
前記モータと前記保持部との間に配置され、前記モータを冷却するための風を生成するファンと、
前記モータ及び前記ファンを収容するハウジングと、を備え、
前記ハウジングは、
前記風の流入口である吸気孔が設けられているハウジング側部と、
前記吸気孔から流入した前記風を前記モータに対して前記保持部とは反対側に誘導する吸気ガイド部と、を有する、
電動工具。
【請求項2】
前記吸気ガイド部は、
前記吸気孔から流入した前記風を前記モータに対して前記保持部とは反対側に誘導する筒状のガイド側部と、
前記ガイド側部の前記保持部とは反対側の開口を覆うガイド底部と、
前記ガイド底部に設けられるガイド孔と、を具備し、
前記ガイド底部は、前記ハウジングの後端と前記モータとの間に配置されている、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記モータに流れる駆動電流を制御するスイッチ素子が配置されている駆動基板を更に備え、
前記駆動基板は、前記モータに対して前記保持部とは反対側に配置され、
前記吸気ガイド部は、前記風を前記駆動基板に対して前記保持部とは反対側に誘導する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記吸気ガイド部は、
前記吸気孔から流入した前記風を前記駆動基板に対して前記保持部とは反対側に誘導する筒状のガイド側部と、
前記ガイド側部の前記保持部とは反対側の開口を覆うガイド底部と、
前記ガイド底部に設けられるガイド孔と、を具備し、
前記ガイド底部は、前記ハウジングの後端と前記駆動基板との間に配置されている、
請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記駆動基板は、
前記スイッチ素子が配置されている基部と、
前記基部で発生した熱を放出する放熱フィンと、を有し、
前記放熱フィンは、前記ガイド孔と前記基部との間に配置されている、
請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記モータを支持する円環状のリブを有し、
前記リブの内面には、少なくとも1つの溝が設けられている、
請求項1に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電動工具に関する。より詳細には、本開示は、モータを備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、モータと、回路基板と、放熱部材と、冷却ファンと、冷却風路と、を備える電動工具が開示されている。モータは、胴部ハウジング内に、ロータを筒型のステータで囲んで成る。回路基板は、ロータの回転を制御するスイッチング素子を有する。放熱部材は、スイッチング素子から伝熱される。冷却ファンは、冷却風を生じさせる。冷却風路は、冷却風が通過する。冷却風路は、放熱部材の中央側部分から外周部分へと流れた後に、回路基板の前面を経由して流れるように設ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電動工具では、冷却ファンが生じさせる冷却風の流入口が電動工具の後端面に設けられている。そのため、電動工具を使用して締付作業を行う際に、後端面に手を添えると、冷却風の流入口を手で塞いでしまい、電動工具の内部を冷却できなくなってしまうことが考えられる。すなわち、電動工具を使用して締付作業を行う際に、後端面に手を添えることができず、作業性が高くなかった。
【0005】
本開示の目的とするところは、作業性を向上させることができる電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電動工具は、モータと、保持部と、ファンと、ハウジングと、を備える。前記保持部は、前記モータから回転力が伝達される先端工具を保持する。前記ファンは、前記モータと前記保持部との間に配置され、前記モータを冷却するための風を生成する。前記ハウジングは、前記モータ及び前記ファンを収容する。前記ハウジングは、ハウジング側部と、吸気ガイド部と、を有する。前記ハウジング側部は、前記風の流入口である吸気孔が設けられている。前記吸気ガイド部は、前記吸気孔から流入した前記風を前記モータに対して前記保持部とは反対側に誘導する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業性を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電動工具における上方から見た場合のA-A線要部断面図である。
【
図2】
図2は、同上の電動工具の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電動工具における右方から見た場合のB-B線要部断面図である。
【
図4】
図4は、同上の電動工具における後方から見た場合のC-C線断面図である。
【
図5】
図5は、同上の電動工具における要部の斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の電動工具における上方から見た場合のA-A線断面を拡大した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る電動工具について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
(本実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る電動工具100の概要について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0011】
本実施形態に係る電動工具100は、
図1に示すように、モータ1と、ハウジング2と、保持部3と、ファン4と、を備える。一例として、電動工具100は、電池パックA1(
図2参照)等の動力原からの動力(電力等)によって動作するインパクトドライバである。なお、本実施形態では、作業者が締付対象(電化製品、家具等)に締付部品(ネジ、ボルト、ナット等)を締め付ける締付作業に電動工具100を用いる場合を想定する。また、電動工具100は、作業者が締付対象から締付部品を緩める取り外し作業に用いられてもよい。
【0012】
保持部3は、モータ1から回転力が伝達される先端工具を保持する。ここでいう先端工具は、締付部品と直接嵌合する工具であり、例えば、ドライバビットである。ファン4は、モータ1及び保持部3との間に配置され、モータ1を冷却するための風を生成する。ハウジング2は、モータ1及びファン4を収容する。
【0013】
ハウジング2は、
図1に示すように、ハウジング側部211と、吸気ガイド部9と、を有する。ハウジング側部211は、
図2に示すように、風の流入口である吸気孔214が設けられている。吸気ガイド部9(
図1参照)は、吸気孔214から流入した風をモータ1に対して保持部3とは反対側に誘導する。
【0014】
従来の電動工具は、モータの後方から風を効率的に流入するために、吸気孔がハウジングの後端面に設けられていることが多い。このため、作業者が従来の電動工具を使用して締付作業を行う際にハウジングの後端面に手を添えた場合に、吸気孔を手で塞いでしまうことが考えられる。しかし、本実施形態の電動工具100は吸気ガイド部9を有するため、吸気孔214は、ハウジング2の後端面ではなく、ハウジング側部211に設けられている。この結果、本実施形態の電動工具100は、作業者が電動工具100を使用して締付作業を行う際に後端面に手を添えた場合に、吸気孔214を手で塞いでしまうことを抑制することができる。すなわち、本実施形態の電動工具100は、作業者が電動工具100を使用して締付作業を行う際に後端面に手を添えることが可能になる。その結果、本実施形態の電動工具100は、作業性を向上させることができるという利点がある。
【0015】
(2)詳細な構成
(2-1)全体の構成
以下に、本実施形態の電動工具100の詳細な構成について、
図1~
図6を参照して説明する。
【0016】
電動工具100は、
図1及び
図3に示すように、モータ1と、ハウジング2と、保持部3と、ファン4と、伝達機構5と、駆動基板6と、制御部7と、操作部8と、を備える。
【0017】
以下の説明では、
図1に示すように、モータ1と保持部3とが並んでいる方向を前後方向と規定し、モータ1から見て保持部3側を前と規定し、保持部3から見てモータ1側を後と規定する。また、以下の説明では、
図2に示すように、後述する本体部21と後述するグリップ部22とが並んでいる方向を上下方向と規定し、グリップ部22から見て本体部21側を上と規定し、本体部21から見てグリップ部22側を下と規定する。また、前後方向及び上下方向と直交する方向を、左右方向と規定する。ただし、これらの規定は、電動工具100の使用方向を規定する趣旨ではない。
【0018】
図1は、電動工具100における上方から見た場合のA-A線(
図2参照)の断面図である。一方、
図3は、電動工具100における右方から見た場合のB-B線(
図2参照)の断面図である。
【0019】
(2-2)ハウジング
ハウジング2は、
図3に示すように、モータ1と、保持部3の少なくとも一部と、ファン4と、伝達機構5と、駆動基板6と、制御部7と、を収容する。
【0020】
ハウジング2は、
図2及び
図3に示すように、本体部21と、グリップ部22と、電池装着部23と、吸気ガイド部9と、を有する。吸気ガイド部9の詳細な構成については、後述の「(2-6)吸気ガイド」の欄で説明する。
【0021】
(本体部)
本体部21は、
図1及び
図3に示すように、モータ1と、保持部3の少なくとも一部と、ファン4と、伝達機構5と、駆動基板6と、を収容する。
【0022】
本体部21は、ハウジング側部211と、ハウジング底部212a、212bと、リブ213と、を有する。
【0023】
ハウジング側部211の形状は、筒状である。より詳細には、ハウジング側部211の形状は、円筒状である。2つのハウジング底部212a、212bのそれぞれは、筒状のハウジング側部211の前後方向において形成されている開口を覆うように配置されている。すなわち、本体部21は、有底筒体である。2つのハウジング底部212a、212bの形状は、円盤状である。2つのハウジング底部212a、212bの厚さ方向は、前後方向に沿っている。
図2に示すように、2つのハウジング底部212a、212bのうち一方のハウジング底部212aは、貫通孔2121を有する。本実施形態では、貫通孔2121は、ハウジング底部212aの中心に設けられている。貫通孔2121には、保持部3が通されている。
【0024】
リブ213は、
図1及び
図3に示すように、モータ1を支持する。より詳細には、リブ213は、モータ1の後述する固定子12を支持する。リブ213は、
図4に示すように、円環状である。
図4は、電動工具100における後方から見た場合のC-C線(
図3参照)の断面図である。
【0025】
より具体的には、リブ213は、
図1に示すように、厚さ方向が前後方向に沿っており、前後方向に対向するように並んでいる複数の円環状の板部材である。リブ213である複数の円環状の板部材は、内面でモータ1を支持する。本実施形態のリブ213は、吸気ガイド部9の前端に当接している。この結果、本実施形態のリブ213は、後述する吸気孔214を通過し吸気ガイド部9とハウジング側部211との隙間に流入した風が、モータ1と本体部21との隙間を通過し、モータ1の前側に流動することを抑制する。
【0026】
リブ213の内面には、少なくとも1つの溝2131が設けられている。本実施形態では、
図4に示すように、リブ213の内面には、4つの溝2131が設けられている。4つの溝2131のうち2つの溝2131は、リブ213の内面の上部において、左右方向に対向する位置に設けられており、残りの2つの溝2131は、リブ213の内面の下部において、左右方向に対向する位置に設けられている。リブ213の内面に少なくとも1つの溝2131が設けられていることによって、ファン4によって生成された風が、当該溝2131を通過しモータ1の外側に当たることで、モータ1の外側を冷却することができるという利点がある。
【0027】
ハウジング側部211は、
図1及び
図2に示すように、複数の吸気孔214と、複数の排気孔215と、を有する。複数の吸気孔214は、ファン4が生成する風の流入口である。言い換えれば、複数の吸気孔214は、ファン4が生成する風がハウジング2の内部空間に流入する際に通る孔である。すなわち、電動工具100は、ハウジング2の外部空間の空気を複数の吸気孔214から吸気する。一方、排気孔215は、ファン4が生成する風の流出口である。言い換えれば、複数の排気孔215は、ファン4が生成する風がハウジング2の内部空間から流出する際に通る孔である。すなわち、電動工具100は、ハウジング2の内部空間の空気を複数の排気孔215から排気する。
【0028】
複数の吸気孔214は、
図1に示すように、ハウジング側部211の左右方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。より詳細には、複数の吸気孔214は、左右方向から見た場合に駆動基板6に重なるように、ハウジング側部211の左右方向に対向する位置にそれぞれ設けられている。また、複数の吸気孔214は、
図2に示すように、ハウジング側部211において、ハウジング側部211の周方向に沿って並んでいる孔群を形成するように、設けられている。
【0029】
一方、複数の排気孔215は、
図1に示すように、ハウジング側部211の左右方向に対向する位置に設けられている。より詳細には、複数の排気孔215は、左右方向から見た場合にファン4に重なるように、ハウジング側部211の左右方向に対向する位置に設けられている。また、複数の排気孔215は、
図2に示すように、ハウジング側部211において、ハウジング側部211の周方向に沿って並んでいる孔群を形成するように、設けられている。
【0030】
複数の吸気孔214は、ハウジング側部211において、複数の排気孔215の後方に設けられている。
【0031】
(グリップ部)
グリップ部22は、本体部21から突出している。より詳細には、グリップ部22は、
図2に示すように、本体部21から下方に突出している。作業者は、グリップ部22を掴んでねじ締め等の作業を行うことができる。
【0032】
(電池装着部)
電池装着部23の形状は、略直方体状である。電池装着部23は、
図2に示すように、グリップ部22の下端につながっている。電池装着部23には、充電式の電池パックA1(
図2参照)が着脱可能に取り付けられる。電動工具100は、電池パックA1を電源として動作する。すなわち、電池パックA1は、モータ1を駆動する電力を供給する電源である。電池パックA1は、電動工具100の構成要素ではない。ただし、電動工具100は、電池パックA1を備えていてもよい。電池パックA1は、複数の二次電池(例えば、リチウムイオン電池)を直列接続して構成された組電池と、組電池を収容したケースと、を備えている。
【0033】
(2-3)モータ
モータ1は、
図1及び
図3に示すように、本体部21の後部に収容されている。モータ1は、回転軸111及び永久磁石を有する回転子11と、複数のコイルを有する固定子12と、を含んでいる。回転軸111の軸方向は、前後方向に沿っている。永久磁石と複数のコイルの各々との電磁的相互作用により、回転子11は、固定子12に対して回転する。具体的には、駆動基板6に配置されているスイッチ素子が複数のコイルの各々に流れる駆動電流を切り替えることで、永久磁石と電流が交互に流れるコイルとの電磁的相互作用により、回転子11は、固定子12に対して回転する。
【0034】
また、モータ1は、サーボモータである。モータ1のトルク及び回転速度は、制御部7による制御に応じて変化する。より詳細には、制御部7は、モータ1のトルク及び回転速度を目標値に近づけるように制御するフィードバック制御により、モータ1の動作を制御している。
【0035】
(2-4)駆動基板
駆動基板6は、モータ1に流れる駆動電流を制御するスイッチ素子が配置されている基板である。言い換えれば、駆動基板6は、モータ1に流れる駆動電流を制御するスイッチ素子が実装されている基板である。駆動基板6は、上記のスイッチ素子に加え、モータ1を駆動する複数の電子部品が実装されている。一例として、「モータ1を駆動する複数の電子部品」とは、コンデンサ、トランジスタ、及びダイオード等である。
【0036】
駆動基板6は、
図1及び
図3に示すように、本体部21の後部に収容されている。本実施形態では、駆動基板6は、前後方向において、モータ1に対して保持部3とは反対側に配置されている。すなわち、駆動基板6は、前後方向においてモータ1の後方に配置されている。要するに、駆動基板6は、前後方向において、モータ1とハウジング2の後端(ハウジング2の本体部21のハウジング底部212b)との間に配置されている。
【0037】
駆動基板6は、
図1及び
図3に示すように、基部60と、放熱フィン61と、を有する。
【0038】
基部60は、板部材である。基部60は、スイッチ素子が配置されている。より詳細には、基部60の前面は、スイッチ素子が配置されている。基部60は、前後方向から見た場合に、モータ1の少なくとも一部が重なるように配置されている。本実施形態では、基部60の厚さ方向は、前後方向に沿っている。
【0039】
本実施形態の駆動基板6の基部60は、複数のスイッチ素子が実装されている。複数のスイッチ素子は、モータ1に流れる電流を制御する、具体的には、モータ1に流れる電流を切り替える。より詳細には、複数のスイッチ素子の各々は、モータ1の複数のコイルの各々に対応し、対応するコイルに電流が流れるか否かを切り替える。複数のスイッチ素子の各々は、例えば、FET(Field Effect Transistor)素子であり、駆動基板6は、FET基板である。
【0040】
放熱フィン61は、基部60で発生した熱を放出する。より詳細には、放熱フィン61は、基部60で発生した熱を放出する。放熱フィン61は、基部60の後面に設けられる。本実施形態の放熱フィン61は、
図3及び
図5に示すように、左右方向に延びており、上下方向に対向するように配置されている複数の板部材である。
【0041】
(2-5)ファン
ファン4は、モータ1を冷却するための風を生成する。ファン4は、前後方向において、モータ1と保持部3との間に配置されている。言い換えれば、ファン4は、前後方向において、モータ1に対して保持部3側に配置されている。すなわち、ファン4は、モータ1の前方に配置されている。
【0042】
ファン4は、モータ1の回転軸111に連結されている。ファン4は、回転軸111と共に回転する。本実施形態のファン4は、ハウジング2の内部空間において、ファン4の後方の空気を吸気し、ファン4の径方向(左右方向及び上下方向)に排気する。すなわち、本実施形態のファン4は、遠心ファンであり、より具体的には、ラジアルファンである。
【0043】
上記の構成より、本実施形態のファン4は、複数の吸気孔214から流入し複数の排気孔215から流出する風を生成する。これにより、ファン4は、ハウジング2の内部空間を空冷することによって、モータ1を冷却する。
【0044】
(2-6)吸気ガイド
吸気ガイド部9は、ハウジング2の本体部21に収容されている。
図1及び
図3に示すように、ハウジング2の本体部21の後部に収容されている。吸気ガイド部9は、複数の吸気孔214から流入した風をモータ1に対して保持部3とは反対側に誘導する。言い換えれば、吸気ガイド部9は、複数の吸気孔214から流入した風をモータ1に対してハウジング2の後端側(ハウジング2の本体部21のハウジング底部212b側)に誘導する。要するに、吸気ガイド部9は、複数の吸気孔214から流入した風をモータ1の後方に誘導する。
【0045】
本実施形態では、駆動基板6が前後方向においてモータ1に対して保持部3とは反対側に配置され、吸気ガイド部9は、複数の吸気孔214から流入した風を駆動基板6に対して保持部3とは反対側に誘導する。上記の構成によると、複数の吸気孔214から流入した風は、モータ1に加え、駆動基板6を冷却することができるという効果を奏する。この結果、本実施形態の電動工具100は、熱による駆動基板6の不具合を抑制することができるという利点がある。
【0046】
吸気ガイド部9は、
図5に示すように、ガイド側部91と、ガイド底部92と、ガイド孔93と、を有する。
図5は、吸気ガイド部9、モータ1、及びファン4を図示できるように、ハウジング2の本体部21の後部を省略した電動工具100の要部斜視図である。
【0047】
ガイド側部91は、複数の吸気孔214から流入した風をモータ1に対して保持部3とは反対側に誘導する。本実施形態のガイド側部91は、複数の吸気孔214から流入した風を駆動基板6に対して保持部3とは反対側に誘導する。ガイド側部91は、筒状である。より詳細には、ガイド側部91は、略円筒状である。ガイド側部91の径寸法は、本体部21のハウジング側部211の径寸法より小さい。この結果、ガイド側部91の外面とハウジング側部211の内面との間には隙間が形成され、複数の吸気孔214から流入した風は、当該隙間を通過して保持部3とは反対側に誘導される。上記の構成によると、複数の吸気孔214を、ハウジング2の本体部21のハウジング底部212bに設けることなく、複数の吸気孔214から流入した風によってモータ1及び駆動基板6を冷却することができるという効果を奏する。この結果、本実施形態の電動工具100は、作業者が電動工具100を使用して締付作業を行う際にハウジング底部212bの後面に手を添えることが可能になる。この結果、本実施形態の電動工具100は、作業性を向上させることができるという利点がある。
【0048】
ガイド底部92は、ガイド側部91の保持部3とは反対側の開口を覆う。要するに、ガイド底部92は、ガイド側部91の前後方向において形成されている開口のうち後側の開口を覆うように配置されている。ガイド底部92の厚さ方向は、前後方向に沿っている。ガイド底部92は、前後方向において、ハウジング2の後端(ハウジング2の本体部21のハウジング底部212b)とモータ1との間に配置されている。本実施形態のガイド底部92は、前後方向において、ハウジング2の後端(ハウジング2の本体部21のハウジング底部212b)と駆動基板6との間に配置されている。すなわち、本実施形態では、ハウジング2の後端とモータ1との間に、駆動基板6が配置されている。
【0049】
ガイド孔93は、ガイド底部92に設けられている孔である。より詳細には、ガイド孔93は、ガイド底部92の左右方向の中央部分に設けられている。
図3に示すように、前後方向においてガイド孔93と駆動基板6の基部60との間に、放熱フィン61が配置されている。上記の構成によると、放熱フィン61が基部60で発生した熱を放出しやすくなるという効果を奏する。この結果、電動工具100の冷却効率が向上するという利点がある。
【0050】
ガイド孔93の形状は、長尺の矩形状である。より具体的には、ガイド孔93の形状は、角が丸い長尺の矩形状である。ガイド孔93の長手方向は、上下方向に沿っており、放熱フィン61である板部材と交差(ここでは、直交)するように設けられている。上記の構成によると、放熱フィン61が基部60で発生した熱をより放出しやすくなるという効果を奏する。この結果、電動工具100の冷却効率がより向上するという利点がある。
【0051】
以下、吸気ガイド部9が複数の吸気孔214から流入した風をどのように誘導するのかについて、
図6を用いてより具体的に説明する。
図6は、電動工具100において、
図1に示す破線で囲った領域における電動工具100の拡大断面図である。
【0052】
まず、複数の吸気孔214からハウジング2の内部空間に流入した風は、吸気ガイド部9のガイド側部91の外面に当たり、経路X1に沿ってガイド側部91の外面と本体部21のハウジング側部211の内面との間に形成された隙間を通過して、後方に誘導される。その後、後方に誘導された風は、本体部21のハウジング底部212bの前面に当たり、ハウジング底部212bの前面と吸気ガイド部9のガイド底部92の後面との間に形成された隙間を通過して、ハウジング2の内部空間における左右方向の中央側に誘導される。左右方向の中央側に誘導された風は、経路X2に沿ってガイド孔93を通過する。ガイド孔93を通過した風は、モータ1及び駆動基板6に当たることで、モータ1及び駆動基板6を冷却する。
【0053】
本実施形態の吸気ガイド部9は、上述のようなガイド底部92及びガイド孔93を有するため、吸気ガイド部9によって誘導された風は、駆動基板6の特定の部位に効果的に当たる。この結果、本実施形態の電動工具100は、駆動基板6の特定の部位を効果的に冷却することができるという利点がある。ここでいう「駆動基板6の特定の部位」とは、前後方向から見た場合、ガイド孔93と重なる駆動基板6の部位であり、本実施形態では、駆動基板6の中央部分である。
【0054】
(2-7)伝達機構
伝達機構5は、モータ1の回転軸111が機械的に接続されている。伝達機構5は、回転軸111の回転力を所定の減速比で減速して、保持部3に伝達する。
【0055】
(2-8)保持部
保持部3は、先端工具を保持する。より具体的には、保持部3は、先端工具が着脱可能に設けられている。また、保持部3に先端工具が一体に形成されていてもよい。先端工具は、締付部品と直接嵌合する工具であり、例えば、ドライバビットである。
【0056】
保持部3は、伝達機構5から伝達される回転力を先端工具に伝達する。これにより、モータ1の回転軸111が回転すると、先端工具が回転する。先端工具が締結部材に当てられた状態で先端工具が回転することにより、締付部品を締め付ける又は緩めるといった作業が可能となる。本実施形態では、先端工具は、電動工具100の構成に含まれていない。ただし、先端工具は、電動工具100の構成に含まれていてもよい。
【0057】
(2-9)操作部
図2に示すように、操作部8は、グリップ部22から突出している。操作部8は、モータ1の回転軸111の回転を制御するための操作を受け付ける。操作部8を引く操作により、モータ1のオンオフを切替可能である。また、操作部8を引く操作の引込み量で、回転軸111の回転速度を調整可能である。上記引込み量が大きいほど、回転軸111の回転速度が速くなる。
【0058】
(2-10)制御部
制御部7は、操作部8を引く操作の引込み量に応じて、回転軸111を回転又は停止させ、また、回転軸111の回転速度を制御する。
【0059】
制御部7は、例えば、マイクロコントローラを含む。制御部7は、回転軸111の回転速度を変化させることにより、保持部3及び先端工具の回転速度を変化させることができる。制御部7は、例えば、モータ1に供給する電力を変化させることで、回転軸111の回転速度を変化させる。
【0060】
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されていてもよい。
【0061】
上述の実施形態では、電動工具100はインパクトドライバであるが、インパクトドライバのみに限定されない。例えば、電動工具100の種類は、インパクトレンチ、ハンマードリル、バンドソー、パワーカッター、サンダー及びディスクグラインダ等であってもよい。
【0062】
上述の実施形態では、駆動基板6は、前後方向において、モータ1に対して保持部3とは反対側に配置されているが、モータ1に対して保持部3側に配置されていてもよい。上記の場合、ガイド底部92は、前後方向において、ガイド底部92とモータ1との間に駆動基板6が配置されていない状態で、ハウジング2の後端とモータ1との間に配置されている。上記の構成によると、吸気ガイド部9によって誘導された風は、モータ1の特定の部位に効果的に当たる。この結果、本実施形態の電動工具100は、モータ1の特定の部位に効果的に冷却することができるという利点がある。ここでいう「モータ1の特定の部位」とは、前後方向から見た場合、ガイド孔93と重なるモータ1の部位であり、本実施形態では、モータ1の中央部分(具体的には、モータ1の回転子11)である。
【0063】
上述の実施形態では、吸気ガイド部9は、ガイド側部91と、ガイド底部92と、ガイド孔93と、を有するが、ガイド側部91のみを有していてもよい。上記の構成によると、吸気ガイド部9を複雑な構成にすることなく、電動工具100の作業性を向上させることができるという利点がある。
【0064】
(まとめ)
第1の態様の電動工具(100)は、モータ(1)と、保持部(3)と、ファン(4)と、ハウジング(2)と、を備える。保持部(3)は、モータ(1)から回転力が伝達される先端工具を保持する。ファン(4)は、モータ(1)と保持部(3)との間に配置され、モータ(1)を冷却するための風を生成する。ハウジング(2)は、モータ(1)及びファン(4)を収容する。ハウジング(2)は、ハウジング側部(211)と、吸気ガイド部(9)と、を有する。ハウジング側部(211)は、風の流入口である吸気孔(214)が設けられている。吸気ガイド部(9)は、吸気孔(214)から流入した風をモータ(1)に対して保持部(3)とは反対側に誘導する。
【0065】
この態様によれば、作業性を向上させることができる、という利点がある。
【0066】
第2の態様の電動工具(100)は、第1の態様において、吸気ガイド部(9)は、ガイド側部(91)と、ガイド底部(92)と、ガイド孔(93)と、を具備する。ガイド側部(91)は、吸気孔(214)から流入した風をモータ(1)に対して保持部(3)とは反対側に誘導する筒状をなす。ガイド底部(92)は、ガイド側部(91)の保持部(3)とは反対側の開口を覆う。ガイド孔(93)は、ガイド底部(92)に設けられる。ガイド底部(92)は、ハウジング(2)の後端とモータ(1)との間に配置されている。
【0067】
この態様によれば、モータ(1)の特定の部位を効果的に冷却することができる、という利点がある。
【0068】
第3の態様の電動工具(100)は、第1の態様において、モータ(1)に流れる駆動電流を制御するスイッチ素子が配置されている駆動基板(6)を更に備える。駆動基板(6)は、モータ(1)に対して保持部(3)とは反対側に配置されている。吸気ガイド部(9)は、風を駆動基板(6)に対して保持部(3)とは反対側に誘導する。
【0069】
この態様によれば、熱による駆動基板(6)の不具合を抑制することができる、という利点がある。
【0070】
第4の態様の電動工具(100)では、第3の態様において、吸気ガイド部(9)は、ガイド側部(91)と、ガイド底部(92)と、ガイド孔(93)と、を具備する。ガイド側部(91)は、吸気孔(214)から流入した風を駆動基板(6)に対して保持部(3)とは反対側に誘導する筒状をなす。ガイド底部(92)は、ガイド側部(91)の保持部(3)とは反対側の開口を覆う。ガイド孔(93)は、ガイド底部(92)に設けられる。ガイド底部(92)は、ハウジング(2)の後端と駆動基板(6)との間に配置されている。
【0071】
この態様によれば、駆動基板(6)の特定の部位を効果的に冷却することができる、という利点がある。
【0072】
第5の態様の電動工具(100)では、第4の態様において、駆動基板(6)は、基部(60)と、放熱フィン(61)と、を有する。基部(60)は、スイッチ素子が配置されている。放熱フィン(61)は、基部(60)で発生した熱を放出する。放熱フィン(61)は、ガイド孔(93)と基部(60)との間に配置されている。
【0073】
この態様によれば、電動工具(100)の冷却効率が向上する、という利点がある。
【0074】
第6の態様の電動工具(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、ハウジング(2)は、モータ(1)を支持する円環状のリブ(213)を有する。リブ(213)の内面には、少なくとも1つの溝(2131)が設けられている。
【0075】
この態様によれば、モータ(1)の外側を冷却することができる、という利点がある。
【符号の説明】
【0076】
100 電動工具
1 モータ
2 ハウジング
211 ハウジング側部
213 リブ
2131 溝
214 吸気孔
3 保持部
4 ファン
6 駆動基板
60 基部
61 放熱フィン
9 吸気ガイド部
91 ガイド側部
92 ガイド底部
93 ガイド孔