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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135292
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240927BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/14 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20240927BHJP
   F24H 15/31 20220101ALI20240927BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
F24H15/196 301L
F24H15/14
F24H15/238
F24H15/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045911
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】岩間 優子
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【テーマコード(参考)】
3L024
【Fターム(参考)】
3L024CC03
3L024DD35
3L024DD50
(57)【要約】
【課題】より簡易な構成で貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制することを可能とする浴槽洗浄装置を提供する。
【解決手段】浴槽洗浄装置は、貯留タンクへの湯水の供給路として第1、第2、第3の供給路を有する。第1供給路又は第2供給路に第1開閉弁が設けられ、第3供給路に第2開閉弁が設けられる。第2供給路には湯水流量をポンプ作動時のポンプ吐出流量よりも少ない流量に調整する定流量弁が設けられ、第1供給路及び第3供給路は定流量弁が設けられない。第3供給路は、第1供給路及び第2供給路よりも流路断面積が小さく湯水の流通抵抗が大きく構成され、且つ、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の下限値である下限圧力において、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁したときに流れる第2供給路と第3供給路の合計の湯水流量がポンプ吐出流量よりも多い流量となるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内に設けられた洗浄ノズルと、湯水を貯留する貯留タンクと、貯留タンク内の湯水を所定のポンプ吐出流量で洗浄ノズルへ供給するポンプと、貯留タンクへ湯水供給源で生成した湯水を供給する供給路とを備え、
供給路は、第1供給路と、第2供給路と、第3供給路とを有し、
第1供給路は、一端が湯水供給源側に接続され、他端が第2供給路と第3供給路との分岐部に接続され、
第2供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第3供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第1供給路又は第2供給路に第1開閉弁が設けられ、第3供給路に第2開閉弁が設けられている構成を有し、
第2供給路には、第2供給路を流れる湯水流量を前記ポンプの作動時における前記ポンプ吐出流量よりも少ない流量に調整する定流量弁が設けられ、
第1供給路及び第3供給路は、定流量弁が設けられない構成とされ、
第3供給路は、第1供給路及び第2供給路よりも流路断面積が小さく湯水が通過する際の流通抵抗が大きくなるように構成され、且つ、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の下限値である下限圧力において、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁したときに流れる第2供給路と第3供給路の合計の湯水流量が前記ポンプ吐出流量よりも多い流量となるように構成される、浴槽洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽洗浄装置において、
前記第1供給路には、湯水供給源として燃焼式の給湯器が接続され、
前記定流量弁は、さらに、給湯器が燃焼を開始する流量である作動水量以上及び給湯器が燃焼を停止する流量である消火水量以上の流量に調整する、浴槽洗浄装置。
【請求項3】
浴槽内に設けられた洗浄ノズルと、湯水を貯留する貯留タンクと、貯留タンク内の湯水を所定のポンプ吐出流量で洗浄ノズルへ供給するポンプと、貯留タンクへ湯水供給源で生成した湯水を供給する供給路とを備え、
供給路は、第1供給路と、第2供給路と、第3供給路とを有し、
第1供給路は、一端が湯水供給源側に接続され、他端が第2供給路と第3供給路との分岐部に接続され、
第2供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第3供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第1供給路又は第2供給路に第1開閉弁が設けられ、第3供給路に第2開閉弁が設けられている構成を有し、
第1供給路には、第1供給路を流れる湯水流量を前記ポンプの作動時における前記ポンプ吐出流量よりも多い流量に調整する定流量弁が設けられ、
第2供給路及び第3供給路は、定流量弁が設けられない構成とされ、
第2供給路は、第1供給路及び第3供給路よりも流路断面積が小さく湯水が通過する際の流通抵抗が大きくなるように構成され、且つ、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の上限値である上限圧力において、第1開閉弁を開弁したときに流れる第2供給路の湯水流量が前記ポンプ吐出流量よりも少ない流量となるように構成される、浴槽洗浄装置。
【請求項4】
請求項3に記載の浴槽洗浄装置において、
前記第1供給路には、湯水供給源として燃焼式の給湯器が接続され、
前記第2供給路は、さらに、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の下限値である下限圧力において、第1開閉弁を開弁したときに第2供給路に流れる湯水流量が、給湯器が燃焼を開始する流量である作動水量以上及び給湯器が燃焼を停止する流量である消火水量以上の流量となるように構成されている、浴槽洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を貯留する貯留タンクを備えた浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽洗浄装置として、給湯器で生成した湯水を貯留する貯留タンクを備え、この貯留タンク内の湯水をポンプによって浴槽の洗浄ノズルへ供給するものが知られている。このような浴槽洗浄装置において、給湯器からの湯水を貯留タンクに供給する供給路を2本に分岐させ、各分岐流路のそれぞれに電磁開閉弁及び定流量弁を設け、貯留タンク内の湯水の水位に応じて、貯留タンクへの湯水のタンク供給流量を大小2段階に切替えることで、貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制するという技術がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-22110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術の浴槽洗浄装置では、タンク供給流量を大小2段階に切替える手段として、供給路に、複数の分岐流路、複数の電磁開閉弁、複数の定流量弁を設けるため、部品点数が多く、供給路における構成が複雑となり、また、コストアップとなる。浴槽洗浄装置の製品開発を行う上では、コスト低減が重要であり、また、更なる簡易な構成で貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制できるようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてされたものであり、より簡易な構成で貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制することを可能とする浴槽洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1に係る浴槽洗浄装置は、
浴槽内に設けられた洗浄ノズルと、湯水を貯留する貯留タンクと、貯留タンク内の湯水を所定のポンプ吐出流量で洗浄ノズルへ供給するポンプと、貯留タンクへ湯水供給源で生成した湯水を供給する供給路とを備え、
供給路は、第1供給路と、第2供給路と、第3供給路とを有し、
第1供給路は、一端が湯水供給源側に接続され、他端が第2供給路と第3供給路との分岐部に接続され、
第2供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第3供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第1供給路又は第2供給路に第1開閉弁が設けられ、第3供給路に第2開閉弁が設けられている構成を有し、
第2供給路には、第2供給路を流れる湯水流量を前記ポンプの作動時における前記ポンプ吐出流量よりも少ない流量に調整する定流量弁が設けられ、
第1供給路及び第3供給路は、定流量弁が設けられない構成とされ、
第3供給路は、第1供給路及び第2供給路よりも流路断面積が小さく湯水が通過する際の流通抵抗が大きくなるように構成され、且つ、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の下限値である下限圧力において、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁したときに流れる第2供給路と第3供給路の合計の湯水流量が前記ポンプ吐出流量よりも多い流量となるように構成される。
【0007】
前記構成より、第1開閉弁のみを開弁させることで、湯水供給源からの湯水は、第1供給路から第2供給路を流通して貯留タンクに供給される。このとき、湯水が第2供給路の定流量弁を通過するため、貯留タンクへの湯水のタンク供給流量は、ポンプ吐出流量よりも少ない流量(以下、第1流量)となる。従って、第1開閉弁のみを開弁して第1流量とすることで、貯留タンクのオーバーフローを抑制できる。一方、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁させることで、湯水供給源からの湯水は、第1供給路から第2供給路及び第3供給路を流通して貯留タンクに供給される。このとき、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の下限値である下限圧力においても、第2供給路と第3供給路の合計の湯水流量、すなわち貯留タンクへの湯水のタンク供給流量がポンプ吐出流量よりも多い流量(以下、第2流量)となるように構成されている。従って、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁して第2流量とすることで、貯留タンクの渇水を抑制できる。
【0008】
以上のように、定流量弁を1つ設けるだけでも、第1開閉弁と第2開閉弁とを開閉制御することでタンク供給流量を第1流量と第2流量とに適宜切り替えることができ、貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制できる。さらに、第3供給路は、第1供給路及び第2供給路よりも流路断面積が小さく形成されて湯水の流通抵抗が大きくなるように構成されているため、定流量弁を設けていなくても、第3供給路を流れる湯水の流量を抑制できる。そのため、ポンプ吐出流量よりも多い第2流量が過度に多くなることを抑制でき、貯留タンクのオーバーフローを容易に予防できる。よって、本発明1によれば、供給路に定流量弁を複数設けることなく簡易な構成で貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制できる。
【0009】
本発明1の浴槽洗浄装置において、
前記第1供給路には、湯水供給源として燃焼式の給湯器が接続され、
前記定流量弁は、さらに、給湯器が燃焼を開始する流量である作動水量以上及び給湯器が燃焼を停止する流量である消火水量以上の流量に調整する構成とすることができる。
【0010】
前記構成より、第2供給路の定流量弁は、第2供給路を流れる湯水流量を給湯器の作動水量以上及び消火水量以上の流量に調整するため、定流量弁によってタンク供給流量をポンプ吐出流量よりも少ない第1流量とした場合においても、給湯器の作動を維持させて加熱された湯水を貯留タンクに供給できる。そのため、タンク供給流量が第2流量から第1流量に切り替わった場合においても、給湯器の燃焼が消火することなく貯留タンクに加熱された湯水の供給を継続することができる。従って、貯留タンク内の湯水の温度及び洗浄ノズルから噴射される湯水の温度を安定させることができ、浴槽洗浄装置による洗浄性能の低下を防止できる。さらに、第1流量と第2流量との間の切り替えによっても給湯器が作動と停止を頻繁に繰り返すことなく作動状態を継続させることができるため、給湯器の耐久性を向上させることができる。
【0011】
本発明2に係る浴槽洗浄装置は、
浴槽内に設けられた洗浄ノズルと、湯水を貯留する貯留タンクと、貯留タンク内の湯水を所定のポンプ吐出流量で洗浄ノズルへ供給するポンプと、貯留タンクへ湯水供給源で生成した湯水を供給する供給路とを備え、
供給路は、第1供給路と、第2供給路と、第3供給路とを有し、
第1供給路は、一端が湯水供給源側に接続され、他端が第2供給路と第3供給路との分岐部に接続され、
第2供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第3供給路は、一端が分岐部で第1供給路に接続され、他端が貯留タンクに接続され、
第1供給路又は第2供給路に第1開閉弁が設けられ、第3供給路に第2開閉弁が設けられている構成を有し、
第1供給路には、第1供給路を流れる湯水流量を前記ポンプの作動時における前記ポンプ吐出流量よりも多い流量に調整する定流量弁が設けられ、
第2供給路及び第3供給路は、定流量弁が設けられない構成とされ、
第2供給路は、第1供給路及び第3供給路よりも流路断面積が小さく湯水が通過する際の流通抵抗が大きくなるように構成され、且つ、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の上限値である上限圧力において、第1開閉弁を開弁したときに流れる第2供給路の湯水流量が前記ポンプ吐出流量よりも少ない流量となるように構成される。
【0012】
前記構成より、第1開閉弁のみを開弁させることで、湯水供給源からの湯水は、第1供給路から第2供給路を流通して貯留タンクに供給される。このとき、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の上限値である上限圧力においても、第2供給路の湯水流量が、ポンプ吐出流量よりも少ない流量(以下、第1流量)となるように構成されているため、第1供給路に定流量弁が設けられていても、貯留タンクへの湯水のタンク供給流量は、第1流量となる。従って、第1開閉弁のみを開弁して第1流量とすることで、貯留タンクのオーバーフローを抑制できる。一方、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁させることで、湯水供給源からの湯水は、第1供給路から第2供給路及び第3供給路を流通して貯留タンクに供給される。このとき、第1供給路の定流量弁で調整された湯水が第2供給路及び第3供給路から流出されるため、この定流量弁で調整された貯留タンクへの湯水のタンク供給流量は、ポンプ吐出流量よりも多い流量(以下、第2流量)となる。従って、第1開閉弁及び第2開閉弁を開弁して第2流量とすることで、貯留タンクの渇水を抑制できる。なお、第3供給路が、湯水をポンプ吐出流量よりも少ない流量とならないように流出させる構成を有する場合、第2開閉弁のみを開弁させることでも、タンク供給流量を第2流量とすることができる。
【0013】
以上のように、定流量弁を1つ設けるだけでも、第1開閉弁及び第2開閉弁を開閉制御することでタンク供給流量を第1流量と第2流量とに適宜切り替えることができ、貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制できる。さらに、第2供給路は、第1供給路及び第3供給路よりも流路断面積が小さく形成されて湯水の流通抵抗が大きくなるように構成されているため、定流量弁を設けていなくても、第2供給路を流れる湯水の流量を抑制できる。特に、第2供給路を流れる湯水は、上流流路である第1供給路の定流量弁にてポンプ吐出流量よりも多い第2流量に調整された上で、より流通抵抗の大きい第2供給路に供給されるため、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の上限値である上限圧力においてもポンプ吐出流量よりも少ない第1流量とすることを容易に実現できる。また、上流流路である第1供給路に定流量弁を設けることで、ポンプ吐出流量よりも多い第2流量が過度に多くなることを抑制できる。そのため、貯留タンクのオーバーフローを容易に予防できる。よって、本発明2によれば、供給路に定流量弁を複数設けることなく簡易な構成で貯留タンクのオーバーフロー及び渇水を抑制できる。
【0014】
本発明2に係る浴槽洗浄装置において、
前記第1供給路には、湯水供給源として燃焼式の給湯器が接続され、
前記第2供給路は、さらに、湯水供給源から第1供給路に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置の許容する作動圧力の下限値である下限圧力において、第1開閉弁を開弁したときに第2供給路に流れる湯水流量が、給湯器が燃焼を開始する流量である作動水量以上及び給湯器が燃焼を停止する流量である消火水量以上の流量となるように構成することができる。
【0015】
前記構成より、第2供給路は、第2供給路に流れる湯水流量が給湯器の作動水量以上及び消火水量以上の流量となるように構成されているため、湯水を第2供給路に流通させることによってタンク供給流量をポンプ吐出流量よりも少ない第1流量とした場合においても、給湯器の作動を維持させて加熱された湯水を貯留タンクに供給できる。そのため、タンク供給流量が第2流量から第1流量に切り替わった場合においても、給湯器の燃焼が消火することなく貯留タンクに加熱された湯水の供給を継続することができる。従って、貯留タンク内の湯水の温度及び洗浄ノズルから噴射される湯水の温度を安定させることができ、浴槽洗浄装置による洗浄性能の低下を防止できる。さらに、第1流量と第2流量との間の切り替えによっても給湯器が作動と停止を頻繁に繰り返すことなく作動状態を継続させることができるため、給湯器の耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1による浴槽洗浄装置のシステム構成を示す模式図である。
図2】実施形態1の浴槽洗浄装置における供給路の構成を示す模式図である。
図3】実施形態1における第3供給路のPQ特性を示すグラフである。
図4】実施形態2の浴槽洗浄装置における供給路の構成を示す模式図である。
図5】実施形態2における第2供給路のPQ特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、実施形態1の浴槽洗浄装置1は、主な構成として、洗浄ノズル2、洗浄ユニット3及び制御装置4を備えている。浴槽洗浄装置1は、湯水供給源である給湯器5に接続され、給湯器5から湯水が導入される。
【0018】
給湯器5は、燃焼式の給湯器5であり、バーナを有する燃焼部(不図示)と伝熱管を有する熱交換器(不図示)とを備えている。給湯器5は、ガス供給管51から供給される燃料ガスを燃焼部のバーナで燃焼させて燃焼排ガスを熱交換器に送り、給水管52から供給される水を熱交換器で加熱して湯水を生成し、この湯水を出湯管53に送り出す。給湯器5は、給水管52の水量が作動水量(点火水量)以上になるとバーナを点火し燃焼させて湯水を生成し、給水管52又は出湯管53の水量が消火水量未満になるとバーナの燃焼を消火し湯水の生成を停止する。すなわち、作動水量は、給湯器5が燃焼を開始する流量であり、消火水量は、給湯器5が燃焼を停止させる流量である。例えば、実施形態1における給湯器5では、作動水量は3L/min、消火水量は2.5L/minに設定されている。給湯器5には、給湯器5を遠隔操作するための台所リモコン57及び浴室リモコン58が通信線又は無線により通信可能に接続されている。なお、浴室リモコン58は、浴槽洗浄装置1をも遠隔操作することができる。
【0019】
浴槽6の上面開放部は、浴槽洗浄運転時にはユーザによって浴槽蓋61が浴槽6上に配置されて閉じられる。浴槽6の底壁には、湯水(洗剤を混合した湯水も含む。)を噴射する洗浄ノズル2と、浴槽6内の浴槽水を貯留又は排水させる排水栓62とが設けられている。浴槽6の上面フランジ壁には、排水栓62の排水スイッチ63及び排水栓開閉駆動部64と、洗剤原液を貯留する洗剤タンク65とが設置されている。排水栓開閉駆動部64は、給湯器5や浴槽洗浄装置1からの指令により、また、ユーザの排水スイッチ63の操作により、排水栓62を開閉させる。洗剤タンク65は、底面に洗剤導入管66が接続されており、洗剤導入管66の下流端が洗浄ユニット3に接続されている。浴槽6の側壁には、浴槽水の供給口及び循環口となる循環アダプタ67が設けられている。循環アダプタ67には、給湯器5との間で風呂往き管54及び風呂戻り管55が接続されており、風呂往き管54及び風呂戻り管55を介して浴槽6への湯はり又は浴槽水の追焚きが行われる。
【0020】
洗浄ユニット3は、浴槽6の側面のエプロン内に設けられており、湯水を貯留する貯留タンク30と、貯留タンク30内の湯水を洗浄ノズル2へ供給するポンプ32と、供給路7、送出路33及び洗剤供給路34等の配管類とを備えている。
【0021】
貯留タンク30には、貯留タンク30内の湯水の水位を検出する水位検出器35が設けられており、水位検出器35により貯留タンク30内の湯水の低水位と高水位とが検出される。水位検出器35は、フロート式、電極式等の任意の水位検出器を使用できる。また、貯留タンク30には、湯水の溢れ出しを防止するため高水位の位置よりも上方かつ供給路7の下流端が接続される位置よりも下方の位置にオーバーフロー管31が設けられている。この貯留タンク30の容量は、満水時で430mLであるが、任意の大きさの貯留タンクを使用できる。貯留タンク30の上面部には、供給路7の下流端が接続されている。供給路7の上流端は、給湯器5の出湯管53から引き出された湯水導入管56と接続されている。従って、貯留タンク30内には、供給路7からの湯水のタンク供給流量Qinに応じて湯水が流入される。なお、供給路7の構成の詳細は、後述する。貯留タンク30の底部には、送出路33の上流端が接続されている。送出路33の下流端は、洗浄ノズル2に連結された洗浄管68が接続されている。送出路33には、上流側から、ポンプ32、流量センサ36、2つの逆止弁37a,37b、洗剤混合部38がこの順に設けられている。
【0022】
ポンプ32は、貯留タンク30内の湯水を一定流量のポンプ吐出流量Qoutで送出路33に圧送して洗浄管68を通して洗浄ノズル2に供給する。従って、貯留タンク30内の湯水は、ポンプ32の作動によりポンプ吐出流量Qoutに応じて流出される。
【0023】
流量センサ36は、ポンプ32の作動によって送出路33を流れる湯水の流量を検出する。この流量センサ36の検出値に基づいてポンプ吐出流量Qoutが一定流量となるように制御装置4によってポンプ32の動作が制御される。洗剤混合部38は、ベンチュリ管又はオリフィスで構成されており、洗剤タンク65の洗剤原液と送出路33を流れる湯水とを混合して洗剤を含む湯水を生成する。洗剤混合部38には、洗剤供給路34の下流端が接続されている。洗剤供給路34の上流端は、洗剤タンク65の底部から延出された洗剤導入管66が接続されている。洗剤供給路34には、電磁開閉弁である洗剤弁69が設けられており、この洗剤弁69を開弁することで洗剤タンク65内の洗剤原液が洗剤導入管66及び洗剤供給路34を通って洗剤混合部38に供給される。2つの逆止弁37a,37bは、下流側の洗浄管68、送出路33及び洗剤混合部38から湯水等が上流側の送出路33に逆流することを防止する。
【0024】
制御装置4は、浴槽洗浄装置1に電力を供給するとともに、浴槽洗浄装置1の動作を制御する。制御装置4は、マイクロコンピュータ等の演算処理手段、RAMやROM等の記憶手段、時間経過をカウントするタイマー等を備えている。記憶手段には、浴槽洗浄運転に関するプログラム、各種の情報等が記憶されている。制御装置4は、洗浄ユニット3、排水栓開閉駆動部64、給湯器5の制御部(不図示)等と通信線又は無線により通信可能に接続されており、排水栓62及び洗浄ユニット3等の動作を制御する。なお、制御装置4には、浴槽洗浄装置1を遠隔操作するための洗浄専用リモコンが通信線又は無線により通信可能に接続されていてもよい。
【0025】
ユーザによって浴室リモコン58又は洗浄専用リモコン(不図示)のスイッチ操作で浴槽洗浄運転の開始操作が行われると、制御装置4は、浴槽洗浄運転を実行させ、浴槽洗浄運転の各工程の動作を制御する。浴槽洗浄運転は、貯留タンク30に湯水を供給させながらポンプ32を作動させて、湯水のみを洗浄ノズル2から噴射して浴槽6の内壁面を湯水で洗浄する予備洗浄工程と、洗剤を混合した湯水(洗浄水)を洗浄ノズル2から噴射して浴槽6の内壁面を洗浄水で洗浄する本洗浄工程と、湯水のみを洗浄ノズル2から噴射して浴槽6の内壁面に付着した洗浄水を洗い流すすすぎ工程とを、この順に実行する。なお、浴槽6内に浴槽水が溜まっている場合に備えて、予備洗浄工程の前に排水栓62を開栓状態にして所定の排水待機時間の経過を待って浴槽6内の浴槽水を排水させる排水工程を行うようにしてもよい。この場合、排水工程の間、ポンプ32の停止状態で貯留タンク30に湯水を供給するようにしてもよい。
【0026】
次に、供給路7の構成について、説明する。
図2に示すように、供給路7は、第1供給路71と、第2供給路72と、第3供給路73とを有し、これら第1、第2、第3の各供給路71,72,73は、分岐部70で接続されている。第1供給路71は、分岐部70より上流側の上流流路であり、第2供給路72と第3供給路73は、分岐部70より下流側の下流流路である。第1供給路71は、上流端が給湯器5から延出する湯水導入管56に接続され、下流端が分岐部70に接続されている。第2供給路72は、上流端が分岐部70で第1供給路71に接続され、下流端が貯留タンク30に接続されている。第3供給路73は、上流端が分岐部70で第1供給路71に接続され、下流端が貯留タンク30に接続されている。
【0027】
第2供給路72には、上流側から順に第1電磁開閉弁(第1開閉弁)81と定流量弁9とが設けられている。なお、第1電磁開閉弁81は、上流流路の第1供給路71に設けるようにしてもよい。定流量弁9は、流量を一定流量に保持する手段であり、ガバナ等が使用される。第2供給路72に設けた定流量弁9は、第2供給路72から流出する湯水流量をポンプ32の作動時におけるポンプ吐出流量Qoutよりも少ない流量に調整する。例えば、ポンプ吐出流量Qoutは、6L/minに設定されており、定流量弁9は、5.5L/minの流量に調整する。従って、第1電磁開閉弁81を開弁したとき、第2供給路72から流出する湯水流量は、定流量弁9により、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも少ない5.5L/minの流量に調整される。
【0028】
第3供給路73には、第2電磁開閉弁(第2開閉弁)82が設けられており、定流量弁は設けられていない。なお、第1供給路71には、湯水の温度を検知するサーミスタ39(図1参照)が設けられ、定流量弁は設けられていない。サーミスタ39により貯留タンク30内の湯水の温度や洗浄ノズル2から噴射する湯水の温度を監視して浴槽洗浄運転の動作制御に利用することができる。
【0029】
また、第3供給路73は、第1供給路71及び第2供給路72よりも流路断面積が小さく湯水が通過する際の流通抵抗が大きくなるように、第1供給路71及び第2供給路72よりも細い配管により構成されている。この第3供給路73は、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力が、浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力(作動水圧)の下限値に定められた下限圧力(下限水圧)において、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁したときに、第2供給路72と第3供給路73とに流れる湯水流量の合計(Qin)がポンプ吐出流量Qoutよりも多い流量となるように構成されている。すなわち、第3供給路73は、浴槽洗浄装置1が許容する作動圧力の下限圧力においても、ポンプ吐出流量Qoutと第2供給路72から流出する湯水流量との差よりも多い流量の湯水を流出させることができる。例えば、ポンプ吐出流量Qoutが6L/min、第2供給路72から流出する湯水流量が5.5L/minの場合、第3供給路73は、0.5L/mimよりも多い流量で湯水を流出させるように構成されている。
【0030】
一方、第1供給路71は、第3供給路73よりも大きい流路断面積を有する配管であり、この第1供給路71の配管としては、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の前記下限圧力において、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁したときに、第1供給路71に流れる湯水流量がポンプ吐出流量Qout(例えば、6L/min)よりも多い流量となるように構成されている。また、第2供給路72は、第3供給路73よりも大きい流路断面積を有する配管であり、この第2供給路72の配管としては、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の前記下限圧力において、第1電磁開閉弁81を開弁したときに、第2供給路72に流れる湯水流量が給湯器5の作動水量以上及び消火水量以上の流量となるように構成されている。なお、第2供給路72を構成する配管は、定流量弁9により調整される流量(例えば、5.5L/min)よりも多い流量となるように構成されるのがより好ましい。例えば、第1供給路71と第2供給路72とは、同じ流路断面積(管径)を有する配管により構成することができる。前述において、浴槽洗浄装置1が許容する作動圧力とは、浴槽洗浄装置1に供給する湯水の圧力として洗浄ノズル2から湯水を噴射して所期の洗浄性能を発揮するのに必要な一定の範囲に設定される湯水の圧力である。給湯器5から浴槽洗浄装置1に供給される湯水の圧力は、実施形態1では、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力であり、この第1供給路71に供給される湯水の圧力は、第2供給路72と第3供給路73との分岐部70に対して上流側から作用する。
【0031】
図3には、実施形態1における第3供給路73のPQ特性(圧力流量特性)を示す。このPQ特性より、第3供給路73は、水圧(湯水の圧力)が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の範囲として50~500kPaの範囲において1~5L/minの流量で水(湯水)が流出される。この場合、給湯器5から第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の下限圧力(50kPa)においても、第3供給路73から流出する湯水流量は、1L/minとなる。従って、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させることで、定流量弁9で調整された第2供給路72から流出する5.5L/minの湯水流量に、第3供給路73から流出する1L/min以上の湯水流量が追加されることで、第2供給路72及び第3供給路73から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinが6.5L/min以上となり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも多い流量とすることができる。また、給湯器5から第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の上限圧力(500kPa)においては、第3供給路73から流出する湯水流量は5L/minとなる。従って、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させたときのタンク供給流量Qinは10.5L/minとなり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも過度に流量が多くなることを抑制できる。なお、前記PQ特性を有する第3供給路73を構成するには、例えば、配管の太さ、長さ、曲がり具合等を任意に設定することで実現できる。
【0032】
次に、浴槽洗浄運転時において制御装置4による第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82の開閉制御について説明する。浴槽洗浄運転の開始時には、貯留タンク30は、ほぼ空の状態にある。従って、浴槽洗浄運転の開始が指示されると、制御装置4は、ポンプ32の停止状態で、第1電磁開閉弁81のみ開弁させて第2供給路72を開通させる。すると、給湯器5では、作動水量以上の水が流れてバーナを点火し燃焼させて湯水を生成する。この給湯器5の湯水が第1供給路71から第2供給路72を流通して貯留タンク30に供給され、貯留タンク30に湯水が溜められる。このときの貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、湯水が第2供給路72の定流量弁9を通過することで一定流量(5.5L/min)に調整される。
【0033】
そして、貯留タンク30内の湯水の水位が高水位になったことを水位検出器35が検知すると、制御装置4は、ポンプ32を作動させて、貯留タンク30に溜まった湯水を一定流量のポンプ吐出流量Qout(6L/min)で洗浄ノズル2へ供給する。これにより、洗浄ノズル2から湯水が噴射される。この状態では、供給路7(第2供給路72)から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、定流量弁9で調整された5.5L/minであり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも少ない流量(以下、第1流量)である。そのため、貯留タンク30内の湯水は、オーバーフローすることなく徐々に減少して水位が低下する。なお、浴槽洗浄運転の開始時には、ポンプ32の停止状態で第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁し、貯留タンク30内の湯水の水位が高水位になった時点で、第2電磁開閉弁82を閉弁し第1電磁開閉弁81のみ開弁させた状態でポンプ32を作動させるようにしてもよい。
【0034】
貯留タンク30内の湯水の水位が低水位に低下したことを水位検出器35が検知すると、制御装置4は、第2電磁開閉弁82を開弁させ、第1電磁開閉弁81と第2電磁開閉弁82の両方を開弁させる。このとき、給湯器5からの湯水は、第1供給路71から第2供給路72及び第3供給路73を流通するため、第2供給路72と第3供給路73とに流れる湯水流量を合計したタンク供給流量Qinで貯留タンク30に供給される。この状態では、供給路7(第2供給路72及び第3供給路73)から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、第2供給路72からの湯水流量(5.5L/min)に、第3供給路73からの湯水流量(1L/min以上)が追加されて6.5L/min以上となり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも多い流量(以下、第2流量)となる。そのため、貯留タンク30内の湯水は、渇水することなく徐々に増加して水位が上昇する。
【0035】
貯留タンク30内の湯水の水位が高水位に上昇したことを水位検出器35が検知すると、制御装置4は、第2電磁開閉弁82を閉弁して、第1電磁開閉弁81のみを開弁させる。このとき、給湯器5からの湯水は、第1供給路71から第2供給路72を流通するため、定流量弁9により一定流量に調整されたタンク供給流量Qin(5.5L/min)で貯留タンク30に供給される。従って、供給路7(第2供給路72)から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、定流量弁9で調整された5.5L/minとなり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも少ない第1流量となる。そのため、貯留タンク30内の湯水は、オーバーフローすることなく徐々に減少して水位が低下する。
【0036】
浴槽洗浄運転中は、以上のような第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82の開閉制御を行って、貯留タンク30内の湯水の水位が高水位と低水位との間でタンク供給流量Qinを第1流量と第2流量とに切り替える動作を繰り返す。浴槽洗浄運転の終了時は、ポンプ32を作動させた状態で、第1電磁開閉弁81と第2電磁開閉弁82の両方を閉弁して、貯留タンク30内の湯水の水位が低水位になった時点から所定時間経過した時点又は低水位になった時点でポンプ32の作動を停止させ、貯留タンク30をほぼ空の状態とする。
【0037】
以上のように、本実施形態1によれば、貯留タンク30内の湯水の水位が高水位になると、第1電磁開閉弁81のみを開弁させることで、湯水が第2供給路72の定流量弁9を通過するため、供給路7から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinはポンプ吐出流量Qoutよりも少ない第1流量となる。従って、第1電磁開閉弁81のみ開弁して第1流量とすることで、貯留タンク30のオーバーフローを抑制できる。一方、貯留タンク30内の湯水の水位が低水位になると、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させることで、第2供給路72と第3供給路73の合計の湯水流量、すなわち供給路7から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinはポンプ吐出流量Qoutよりも多い第2流量となるように構成されている。従って、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁して第2流量とすることで、貯留タンク30の渇水を抑制できる。このように、定流量弁9を1つ設けるだけでも、第1電磁開閉弁81と第2電磁開閉弁82とを開閉制御することでタンク供給流量Qinを第1流量と第2流量とに適宜切り替えることができ、貯留タンク30のオーバーフロー及び渇水を抑制できる。
【0038】
さらに、第3供給路73は、第1供給路71及び第2供給路72よりも流路断面積が小さく形成されて湯水の流通抵抗が大きくなるように構成されているため、定流量弁を設けていなくても、第3供給路73を流れる湯水の流量を抑制することができる。そのため、ポンプ吐出流量Qoutよりも多い第2流量が過度に多くなることを抑制でき、貯留タンク30のオーバーフローを容易に予防することができる。詳述すると、本実施形態1では、タンク供給流量Qinとして、第2供給路72のみから湯水を供給する第1流量と、第2供給路72と第3供給路73とから湯水を供給する第2流量とに切り替える構成とするが、第2流量が第1流量に比べて過度に多い場合、貯留タンク30内の湯水の水位が高水位を検知して第2流量から第1流量に切り替わる際の切替動作の遅延等により貯留タンク30内の湯水がオーバーフロー管31からオーバーフローしてしまうおそれが懸念される。しかし、本実施形態1では、第3供給路73は、第2供給路72よりも流路断面積が小さく形成されて湯水の流通抵抗が大きくなるように構成されているため、この第3供給路73を流れる湯水流量が第2供給路72から供給する湯水流量(5.5L/min)よりも少ない流量(1~5L/min、図3参照)となる。従って、第1流量と第2流量との流量差を少なくすることができる。例えば、第2流量は、第1流量の2倍未満とする。そのため、第2流量から第1流量への切り替わりが少々遅延しても貯留タンク30からの湯水のオーバーフローを容易に予防することができる。
【0039】
以上より、実施形態1によれば、供給路7に定流量弁を複数設けることなく簡易な構成で貯留タンク30のオーバーフロー及び渇水を抑制することができる。なお、本実施形態1では、一方の下流流路である第2供給路72の湯水流量を定流量弁9により一定流量に調整してポンプ吐出流量Qoutよりも少ない第1流量とし、他方の下流流路である第3供給路73は湯水流量が第2供給路72からの湯水流量と合計してポンプ吐出流量Qoutよりも多い第2流量となるように構成して定流量弁を不要としたものであり、従来技術(特開2022-22110号公報)のように、大小2段階に流量を切り替えるため、2つの分岐通路に対してそれぞれ定流量弁を設けて流量を設定するものとは異なる。
【0040】
実施形態1では、第1流量(5.5L/min)及び第2流量(6.5~10.5L/min)は、ポンプ吐出流量Qout(6L/min)に近似した流量とすることができ、貯留タンク30内の湯水の水位の上昇及び下降とも緩やかとなり、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82の開閉の頻度を少なくすることができる。
【0041】
また、第2供給路72の定流量弁9は、給湯器5の作動水量以上及び消火水量以上の一定流量となるように設定されている。実施形態1では、給湯器5は、作動水量が3L/min、消火水量が2.5L/minに設定されている。一方、第2供給路72の定流量弁9は、5.5L/minの流量に調整される。そのため、湯水を第2供給路72の定流量弁9に流通させてタンク供給流量Qinをポンプ吐出流量Qoutよりも少ない第1流量(5.5L/min)とした場合においても、給湯器5には作動水量以上及び消火水量以上の水が流れ、給湯器5の作動を維持させて加熱された湯水を貯留タンク30に供給することができる。従って、タンク供給流量Qinが第2流量から第1流量に切り替わった場合においても、給湯器5のバーナの燃焼が消火することなく貯留タンク30に加熱された湯水の供給を継続することができる。よって、貯留タンク30内の湯水の温度及び洗浄ノズル2から噴射される湯水の温度を安定させることができ、浴槽洗浄装置1による洗浄性能の低下を防止することができる。さらに、第1流量と第2流量との間の切り替えによっても給湯器5が作動と停止(バーナの点火と消火)を頻繁に繰り返すことなく作動状態(バーナ燃焼状態)を継続させることができるため、給湯器5の耐久性を向上させることができる。
【0042】
(実施形態2)
実施形態2は、図4に示すように、供給路7における構成が実施形態1とは異なり、それ以外は実施形態1と実質的に同様の構成を有する。この実施形態2における供給路7では、第1供給路71に定流量弁9Aが設けられ、第2供給路72及び第3供給路73には定流量弁は設けられていない構成である。
【0043】
第1供給路71に設けた定流量弁9Aは、第1供給路71を流れる湯水流量をポンプ32の作動時におけるポンプ吐出流量Qoutよりも多い流量に調整する。例えば、定流量弁9Aは、8L/minの流量に調整する。ポンプ吐出流量Qoutは、実施形態1と同じく6L/minに設定されている。
【0044】
第2供給路72は、第1供給路71及び第3供給路73よりも流路断面積が小さく湯水が通過する際の流通抵抗が大きくなるように、第1供給路71及び第3供給路73よりも細い配管により構成されている。この第2供給路72は、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の上限値に定められた上限圧力において、第1電磁開閉弁81を開弁したときに、第2供給路72に流れる湯水流量がポンプ吐出流量Qoutよりも少ない流量となるように構成されている。すなわち、第2供給路72は、浴槽洗浄装置1が許容する作動圧力の上限圧力においても、ポンプ吐出流量Qoutよりも少ない流量で湯水を流出させることができる。
【0045】
図5には、実施形態2における第2供給路72のPQ特性(圧力流量特性)を示す。このPQ特性より、第2供給路72は、水圧(湯水の圧力)が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の範囲として50~500kPaの範囲において3.5~5.5L/minの流量で水(湯水)が流出される。この場合、給湯器5から第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の上限圧力(500kPa)においても、第2供給路72から流出する湯水流量は、5.5L/minとなる。従って、第1電磁開閉弁81のみを開弁させることで、第2供給路72から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、5.5L/min以下となり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも少ない第1流量とすることができる。
【0046】
第1供給路71は、第2供給路72よりも大きい流路断面積を有する配管であり、この第1供給路71の配管としては、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力が、浴槽洗浄装置1が許容する作動圧力の下限圧力においても、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁したときにはポンプ吐出流量Qout(6L/min)よりも多い流量が流出されるように構成されている。また、第3供給路73は、第2供給路72よりも大きい流路断面積を有する配管であり、この第3供給路73の配管としては、給湯器5から湯水導入管56を通して第1供給路71に供給される湯水の圧力が、浴槽洗浄装置1が許容する作動圧力の下限圧力においても、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁したときにはポンプ吐出流量Qoutよりも多い流量(例えば、8L/min以上)が流出されるように構成されている。例えば、第3供給路73は、第1供給路71と同じ流路断面積又は第1供給路71よりも大きい流路断面積を有する配管を使用することができる。従って、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させることで、第2供給路72及び第3供給路73から貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、上流流路である第1供給路71の定流量弁9Aで調整された8L/minとなり、ポンプ吐出流量Qoutの6L/minよりも多い第2流量となる。
【0047】
以上の供給路7の構成より、貯留タンク30への湯水のタンク供給流量Qinは、第1電磁開閉弁81のみを開弁させることで、第2供給路72に流れる湯水流量、すなわちポンプ吐出流量Qoutよりも少ない第1流量となり、一方、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させることで、上流流路の第1供給路71の定流量弁9Aにより調整されて第2供給路72及び第3供給路73に流れる合計の湯水流量、すなわちポンプ吐出流量Qoutよりも多い第2流量となる。
【0048】
浴槽洗浄運転中、制御装置4により、貯留タンク30内の湯水の水位が高水位になったことを水位検出器35が検知すると、第1電磁開閉弁81のみ開弁させてタンク供給流量Qinを第1流量とし、貯留タンク30内の湯水の水位が低水位になったことを水位検出器35が検知すると、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させてタンク供給流量Qinを第2流量とするように制御し、第1流量と第2流量とに切り替える動作を繰り返す。従って、実施形態2によれば、定流量弁9Aを1つ設けるだけでも、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開閉制御することでタンク供給流量Qinを第1流量と第2流量とに適宜切り替えることができ、貯留タンク30のオーバーフロー及び渇水を抑制できる。
【0049】
さらに、第2供給路72は、第1供給路71及び第3供給路73よりも流路断面積が小さく形成されて湯水の流通抵抗が大きくなるように構成されているため、定流量弁を設けていなくても、第2供給路72を流れる湯水の流量を抑制できる。特に、第2供給路72を流れる湯水は、第2供給路72の上流流路である第1供給路71の定流量弁9Aにてポンプ吐出流量Qoutよりも多い第2流量に調整された上で、より流通抵抗の大きい第2供給路72に供給されるため、給湯器5から第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の上限圧力においても、ポンプ吐出流量Qoutよりも少ない第1流量とすることを容易に実現できる。また、上流流路である第1供給路71に定流量弁9Aを設けることで、ポンプ吐出流量Qoutよりも多い第2流量が過度に多くなることを抑制できる。そのため、貯留タンク30のオーバーフローを容易に予防できる。よって、実施形態2によれば、供給路7に定流量弁を複数設けることなく簡易な構成で貯留タンク30のオーバーフロー及び渇水を抑制できる。
【0050】
また、第2供給路72は、図5に示すPQ特性より、給湯器5から第1供給路71に供給される湯水の圧力が浴槽洗浄装置1の許容する作動圧力の下限圧力において、第1電磁開閉弁81を開弁したときに第2供給路72に流れる湯水流量が給湯器5の作動水量(3L/min)以上及び消火水量(2.5L/min)以上である3.5L/minの流量となるように構成されている。そのため、湯水を第2供給路72に流通させることによってタンク供給流量Qinをポンプ吐出流量Qoutよりも少ない第1流量(3.5~5.5L/min)とした場合においても、給湯器5には作動水量以上及び消火水量以上の水が流れ、給湯器5の作動を維持させて加熱された湯水を貯留タンク30に供給できる。従って、タンク供給流量Qinが第2流量から第1流量に切り替わった場合においても、給湯器5のバーナの燃焼が消火することなく貯留タンク30に加熱された湯水の供給を継続することができる。よって、貯留タンク30内の湯水の温度及び洗浄ノズル2から噴射される湯水の温度を安定させることができ、浴槽洗浄装置1による洗浄性能の低下を防止できる。さらに、第1流量と第2流量との間の切り替えによっても給湯器5が作動と停止を頻繁に繰り返すことなく作動状態を継続させることができるため、給湯器5の耐久性を向上させることができる。
【0051】
なお、第3供給路73は、浴槽洗浄装置1における作動圧力の下限圧力においても湯水流量がポンプ吐出流量Qout(6L/min)よりも多い流量(8L/min以上)となる構成を有するため、第2電磁開閉弁82のみを開弁させてタンク供給流量Qinを第2流量とする制御を行うようにしてもよい。
【0052】
以上が本発明の実施形態であるが、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことが可能である。
例えば、実施形態1では、第1電磁開閉弁81のみを開弁させてタンク供給流量Qinを第1流量とする制御構成であるが、第3供給路73は、図3に示すPQ特性より、浴槽洗浄装置1における作動圧力の上限圧力(500kPa)においても湯水流量(5L/min)がポンプ吐出流量Qout未満(6L/min未満)である構成を有するため、第2電磁開閉弁82のみを開弁させてタンク供給流量Qinを第1流量とする制御を行う構成としてもよい。この場合、好ましくは、第3供給路73は、浴槽洗浄装置1における作動圧力の下限圧力でも、給湯器5の作動水量以上及び消火水量以上の湯水流量が得られる構成とすることで、給湯器5の作動と停止の繰り返しを抑制し、給湯器5の耐久性を向上させることができる。
【0053】
浴槽洗浄運転の際、予備洗浄工程から本洗浄工程、本洗浄工程からすすぎ工程のように次工程に移行する間は、洗浄ノズル2からの湯水の噴射を停止するため、ポンプ32の作動を一時停止させる。また、各工程内(例えば、本洗浄工程内)において洗浄ノズル2からの湯水の噴射と噴射停止とを交互に複数回行う場合、湯水の噴射停止時にポンプ32の作動を一時停止する。このようなポンプ32の作動停止時には、第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82とも閉弁して、供給路7から貯留タンク30への湯水の供給も停止するが、ポンプ32の作動を停止する場合、貯留タンク30の湯水の水位が高水位となるまでは貯留タンク30への湯水の供給は停止しないようにしてもよい。これにより、給湯器5の作動停止を抑制できる。例えば、浴槽洗浄運転中におけるポンプ32の作動停止時には、第1電磁開閉弁81のみ開弁させて第1流量とし、貯留タンク30の湯水の水位が高水位となるまでにポンプ32の作動を再開させた場合、ポンプ32の作動開始時に第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を開弁させて第2流量としてもよい。また、ポンプ32の作動開始時に貯水タンク30の湯水の水位が低水位となるまでは第1電磁開閉弁81のみ開弁させて第1流量を継続させてもよい。なお、貯留タンク30の湯水の水位が高水位となってもポンプ32を作動させない場合、貯留タンク30のオーバーフローを防止するため、貯留タンク30の湯水の水位が高水位となった時点で第1電磁開閉弁81及び第2電磁開閉弁82を閉弁状態とし、供給路7から貯留タンク30への湯水の供給を停止させる。
【符号の説明】
【0054】
1 浴槽洗浄装置
2 洗浄ノズル
3 洗浄ユニット
4 制御装置
5 給湯器(湯水供給源)
6 浴槽
7 供給路
9,9A 定流量弁
30 貯留タンク
31 オーバーフロー管
32 ポンプ
33 送出路
34 洗剤供給路
35 水位検出器
36 流量センサ
37a,37b 逆止弁
38 洗剤混合部
39 サーミスタ
51 ガス供給管
52 給水管
53 出湯管
54 風呂往き管
55 風呂戻り管
56 湯水導入管
57 台所リモコン
58 浴室リモコン
61 浴槽蓋
62 排水栓
63 排水スイッチ
64 排水栓開閉駆動部
65 洗剤タンク
66 洗剤導入管
67 循環アダプタ
68 洗浄管
69 洗剤弁
70 分岐部
71 第1供給路
72 第2供給路
73 第3供給路
81 第1電磁開閉弁(第1開閉弁)
82 第2電磁開閉弁(第2開閉弁)

図1
図2
図3
図4
図5