(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135297
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】雨樋
(51)【国際特許分類】
E04D 13/064 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E04D13/064 501M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045918
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】細谷 卓人
(72)【発明者】
【氏名】三宅 慶昌
(57)【要約】
【課題】対向する補強シート間の距離を保てる雨樋を提供する。
【解決手段】雨樋20は、底板22、底板の幅方向Zの第1側Z1の端部から底板の厚さ方向Yの第1側Y1に向かう第1側板23、底板の幅方向の第2側Z2の端部から厚さ方向の第1側に向かう第2側板24、及び第1側板における底板とは反対側の端部に設けられた耳部25Aを有する樋部材21と、樋部材内に配置された複数の補強シート41,42とを備え、複数の補強シートの一の第1補強シート41は、耳部内に配置される第1部分45と、第1部分以外であって、少なくとも第1側板内に配置される第2部分46と、を有し、複数の補強シートの他の一の第2補強シート42は、底板、第1側板、及び第2側板内で、底板、第1側板、及び第2側板を間に挟んで、第2部分に対向し、第1部分における第1片45aは、第1部分における第1片以外の一部である第2片45c、又は第2部分と対向する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、前記底板の幅方向の第1側の端部から前記底板の厚さ方向の第1側に向かって延びる第1側板、前記底板の前記幅方向の第2側の端部から前記厚さ方向の前記第1側に向かって延びる第2側板、及び前記第1側板における前記底板とは反対側の端部に設けられた耳部を有する樋部材と、
前記樋部材内に配置された複数の補強シートと、
を備え、
前記複数の補強シートの一つである第1補強シートは、
前記耳部内に配置される第1部分と、
前記第1部分以外の部分であって、少なくとも前記第1側板内に配置される第2部分と、を有し、
前記複数の補強シートのうち、前記第1補強シート以外の一つである第2補強シートは、前記底板、前記第1側板、及び前記第2側板の少なくとも一つ内で、前記底板、前記第1側板、及び前記第2側板の少なくとも一つを間に挟んで、前記第2部分に対向し、
前記第1部分における第1片は、前記第1部分における前記第1片以外の一部である第2片、又は前記第2部分と対向する、雨樋。
【請求項2】
前記樋部材は、前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分に、前記樋部材の内側及び外側の少なくとも一方に突出する肉厚部を有する、請求項1に記載の雨樋。
【請求項3】
前記樋部材は、前記第1側板と前記底板との接続部分を含む中空部を有し、
前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分は、前記中空部の外側に配置されている、請求項1又は2に記載の雨樋。
【請求項4】
前記樋部材は、前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分に、前記樋部材の内側及び外側の少なくとも一方に突出し、前記中空部に外側から連なる肉厚部を有する、請求項3に記載の雨樋。
【請求項5】
前記樋部材の長手方向に見たときに、
前記第1側板と前記底板との接続部分は、円弧状の円弧状部を有し、
前記円弧状部から、前記第1側板又は前記底板に沿って直線状の直状部が連なり、
前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分は、前記直状部内に配置されている、請求項1又は2に記載の雨樋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨樋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樋部材内に一対の補強シートが埋設された軒樋(雨樋)が知られている(例えば、特許文献1参照)。一対の補強シートは、樋部材内で底板の一部を介して互いに対向するように配置されている。樋部材は、合成樹脂で形成されている。
一対の補強シート間の底板の一部が一対の補強シートそれぞれに接続されることで、底板による一対の補強シート間の接続強度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の軒樋において、一対の補強シート間の距離が狭くなると、一対の補強シート間に底板の一部が入り込まなくなり、底板による接続強度が低下する虞がある。一方で、一対の補強シート間の距離が広くなると、樋部材の長手方向における熱収縮を一対の補強シートで保持し難くなる。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、対向する補強シート間の距離をより確実に保つことができる雨樋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、底板、前記底板の幅方向の第1側の端部から前記底板の厚さ方向の第1側に向かって延びる第1側板、前記底板の前記幅方向の第2側の端部から前記厚さ方向の前記第1側に向かって延びる第2側板、及び前記第1側板における前記底板とは反対側の端部に設けられた耳部を有する樋部材と、前記樋部材内に配置された複数の補強シートと、を備え、前記複数の補強シートの一つである第1補強シートは、前記耳部内に配置される第1部分と、前記第1部分以外の部分であって、少なくとも前記第1側板内に配置される第2部分と、を有し、前記複数の補強シートのうち、前記第1補強シート以外の一つである第2補強シートは、前記底板、前記第1側板、及び前記第2側板の少なくとも一つ内で、前記底板、前記第1側板、及び前記第2側板の少なくとも一つを間に挟んで、前記第2部分に対向し、前記第1部分における第1片は、前記第1部分における前記第1片以外の一部である第2片、又は前記第2部分と対向する、雨樋である。
【0007】
この発明では、第1補強シートの第1部分は耳部内に配置されているとともに、第1部分における第1片は、第1部分における第1片以外の一部である第2片、又は第2部分と対向している。このため、底板、第1側板、及び第2側板に対する第1補強シートの第2部分の位置が安定する。従って、底板、第1側板、及び第2側板の少なくとも一つ内で、底板、第1側板、及び第2側板の少なくとも一つを間に挟んで対向する、第1補強シートの第2部分と第2補強シートとの間の距離をより確実に保つことができる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分に対応する位置の前記樋部材は、前記樋部材の内側及び外側の少なくとも一方に、肉厚部を有する、(1)に記載の雨樋であってもよい。
この発明では、第1補強シートの第2部分及び第2補強シートが対向する部分に対応する位置の樋部材の強度を向上させることができる。
【0009】
(3)本発明の態様3は、前記樋部材は、前記第1側板と前記底板との接続部分を含む中空部を有し、前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分は、前記中空部の外側に配置されている、(1)又は(2)に記載の雨樋であってもよい。
この発明では、例えば、雨樋を押出し成形により製造した場合に、中空部内の空気層に補強シートが露出する。このため、第1補強シートの第2部分及び第2補強シートが対向する部分が中空部にあると、これらの補強シートが樋部材により接続され難くなる。従って、第1補強シートの第2部分及び第2補強シートが対向する部分が中空部の外側に配置されていることで、第2部分及び第2補強シートをより確実に接続することができる。
【0010】
(4)本発明の態様4は、前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分に対応する位置の前記樋部材は、前記樋部材の内側及び外側の少なくとも一方に、前記中空部に外側から連なる肉厚部を有する、(3)に記載の雨樋であってもよい。
この発明では、第2部分及び第2補強シートをより確実に接続するとともに、第1補強シートの第2部分及び第2補強シートが対向する部分に対応する位置の樋部材の強度を向上させることができる。
【0011】
(5)本発明の態様5は、前記樋部材の長手方向に見たときに、前記第1側板と前記底板との接続部分は円弧状の円弧状部であり、前記円弧状部から、前記第1側板又は前記底板に沿って直線状の直状部が連なり、前記第1補強シートの前記第2部分及び前記第2補強シートが対向する部分は、前記直状部内に配置されている、(1)から(4)のいずれか一に記載の雨樋であってもよい。
この発明では、第1補強シートの第2部分及び第2補強シートが対向する部分が円弧状部内に配置されていると、両補強シートにおける対向する部分を円弧状に曲げる必要があるため、両補強シートが露出しやすくなる。両補強シートが対向する部分が直状部内に配置されているため、両補強シートを確実に接続することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の雨樋では、対向する補強シート間の距離をより確実に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態の雨樋を備える雨樋システムの斜視図である。
【
図2】同雨樋を正面視して模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の第1変形例の雨樋における要部の断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の第2変形例の雨樋における要部の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の第3変形例の雨樋における要部の断面図である。
【
図7】本発明の一実施形態の第4変形例の雨樋の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る雨樋の一実施形態を備える雨樋システムを、
図1から
図9を参照しながら説明する。
図1に示すように、例えば、この雨樋システム1は、物流倉庫等の建築物200に用いられる大型の雨樋システムである。なお、
図1では、建築物200を二点鎖線で示す。
雨樋システム1の構成は、特に限定されない。この例では、雨樋システム1は、本実施形態の雨樋20と、ドレン部材55と、竪樋60と、を備えている。なお、
図1では、後述する補強シート41,42を示していない。
図1及び
図2に示すように、例えば、雨樋20は、上方が開口するU字形に形成されている。雨樋20は、長手方向Xに延びている。
図2は、雨樋20を長手方向Xに見た図である。
図1及び
図2に示すように、雨樋20は、樋部材21と、2枚の補強シート41,42と、を備えている。
樋部材21は、長手方向Xに延びている。樋部材21は、底板22と、第1側板23と、第2側板24と、第1耳部(耳部)25Aと、第2耳部25Bと、第1中空部(中空部)26Aと、第2中空部26Bと、肉厚部27と、を備えている。底板22、第1側板23、及び第2側板24は、それぞれ平板状に形成され、長手方向Xに延びている。
なお、雨樋20は、中空部26A,26Bを備えなくてもよい。
【0015】
図2に示すように、底板22は、底板22の厚さ方向Yが鉛直方向に沿うように配置されている。厚さ方向Yは、底板22の上方の外面(主面)22aに直交する方向である。ここで、長手方向X及び厚さ方向Yにそれぞれ直交する方向を、底板22の幅方向Zと言う。
第1側板23は、底板22の幅方向Zの第1側Z1(以下では単に、第1側Z1とも言う)の端部から厚さ方向Yの第1側Y1(以下では単に、第1側Y1とも言う)に向かって延びている。第2側板24は、底板22の幅方向Zにおける第1側Z1とは反対側の第2側Z2(以下では単に、第2側Z2とも言う)の端部から第1側Y1に向かって延びている。第1側板23及び第2側板24は、第1側Y1に向かうに従い漸次、互いに離間するように配置されている。
より具体的には、第1側板23は、第1側Y1に向かうに従い漸次、第1側Z1に向かうように傾斜している。第2側板24は、第1側Y1に向かうに従い漸次、第2側Z2に向かうように傾斜している。
【0016】
この例では、第1側板23の厚さ方向Yの長さは、第2側板24の厚さ方向Yの長さよりも長い。
雨樋20は、第1側Y1が上方を向くように配置されている。
なお、第1側板23の厚さ方向Yの長さ、及び第2側板24の厚さ方向Yの長さは、互いに等しくてもよい。
【0017】
なお、底板22は、2枚の補強シート41,42により、樋部材21の内側の内側底板22bと、樋部材21の外側の外側底板22cと、2枚の補強シート41,42の間の底板接続部(単層部)22dと、に区画される。外側底板22cは、内側底板22bよりも第1側Z1及び第2側Z2にそれぞれ突出している。
第1側板23は、2枚の補強シート41,42により、樋部材21の内側の第1内側側板23aと、樋部材21の外側の第1外側側板23bと、に区画される。第1外側側板23bは、第1内側側板23aよりも、厚さ方向Yにおける第1側Y1とは反対側の第2側Y2(以下では単に、第2側Y2とも言う)に突出している。この例では、第2側Y2は下方である。
第1外側側板23bの第2側Y2の端部は、外側底板22cの第1側Z1の端部に接続されている。第1内側側板23aの第2側Y2の端部は、内側底板22bの第1側Z1の端部から離間している。
第2側板24は、2枚の補強シート41,42により、樋部材21の内側の第2内側側板24aと、樋部材21の外側の第2外側側板24bと、に区画される。
【0018】
本実施形態では、第1耳部25Aの構成と第2耳部25Bの構成とは、幅方向Zに直交する基準面S1に対し、厚さ方向Yの位置以外、面対称である。このため、第1耳部25Aの構成を、符号の数字に英大文字「A」を付加することで示す。第2耳部25Bのうち第1耳部25Aに対応する構成を、第1耳部25Aの符号と同一の数字に英大文字「B」を付加することで示す。これにより、重複する説明を省略する。
例えば、第1耳部25Aの後述する第1板片29Aと2耳部25Bの第1板片29Bとは、互いに同一の構成である。
【0019】
第1耳部25Aは、第1側板23における底板22とは反対側の端部に設けられている。第1耳部25Aは、第1側板23よりも、第1側板23の幅方向のいずれかの側かに突出した部分である。この例では、第1耳部25Aは、第1側板23よりも、側板23,24の外側に向かって突出している。第1耳部25Aは、第1板片29Aと、第2板片30Aと、第3板片31Aと、第4板片32Aと、を有する。
第1板片29Aは、第1内側側板23aの第1側Y1の端部から、第1内側側板23aに沿って突出している。第2板片30Aは、第1板片29Aの上端部から、第1側Z1に向かって突出している。
第3板片31Aは、第2板片30Aの第1側Z1の端部から第2側Y2に向かって突出している。第4板片32Aは、第3板片31Aの第2側Y2の端部から第2側Z2に向かって突出し、第1外側側板23bの第1側Y1の端部に接続されている。
【0020】
第2耳部25Bは、第2側板24における底板22とは反対側の端部に設けられている。第2耳部25Bは、第2側板24よりも、側板23,24の外側に向かって突出している。
第2耳部25Bは、第1耳部25Aの第1板片29A、第2板片30A、第3板片31A、第4板片32Aと同様に構成された第1板片29B、第2板片30B、第3板片31B、第4板片32Bを有する。
【0021】
第1中空部26Aは、第1側板23と底板22との接続部分から樋部材21の内側に向かって突出している。第1中空部26Aは、外側底板22cの第1側Z1の部分と、第1外側側板23bの第2側Y2の部分と、第1板片35Aと、第2板片36Aと、を有する。外側底板22cの第1側Z1の部分及び第1外側側板23bの第2側Y2の部分は、第1側板23と底板22の第1接続部分(接続部分)21aを構成する。
図2に示すように、樋部材21を長手方向Xに見たときに、第1接続部分21aは、円弧状の円弧状部21bを有する。円弧状部21bから底板22に沿って、底板22の一部である直状部21cが連なっている。直状部21cは、直線状に延びている。
【0022】
例えば、円弧状部21bの中心軸の曲率半径は、20mm以下であり、直状部21cの中心軸の曲率半径は、20mmを超える。
なお、直状部は、円弧状部21bから第1側板23に沿って直線状に延びてもよい。
第1板片35Aは、内側底板22bの第1側Z1の端部から第1側Y1に向かって突出している。
第2板片36Aは、第1板片35Aの第1側Y1の端部から、第1側Z1に向かって突出している。第2板片36Aは、第1内側側板23aの第2側Y2の端部に接続されている。第1接続部分21a、第1板片35A、及び第2板片36Aにより囲われた部分に、空気層L1が形成される。空気層L1には、空気がある。
【0023】
図2に示すように、第2中空部26Bは、第1中空部26Aの第1接続部分21a、第1板片35A、第2板片36Aと同様に構成された、第2接続部分21d、第1板片35B、第2板片36Bを有している。
図3に示すように、肉厚部27は、後述する2枚の補強シート41,42が対向する部分(対向部52)の底板22から、樋部材21の内側(第1側Y1)に向かって突出している。肉厚部27は、第1中空部26Aの第1板片35Aに、第1中空部26Aの外側(第2側Z2)から連なっている。この場合、底板接続部22dに対する樋部材21の内側に、肉厚部27が形成される。
なお、肉厚部27は、底板22から、樋部材21の外側(第2側Y2)に突出していてもよいし、樋部材21の内側及び外側の両方に突出していてもよい。
樋部材21が中空部26A,26Bを有することで、樋部材21の強度が向上する。
【0024】
例えば、外側底板22c、第1外側側板23b、及び第2外側側板24bは、基材層の補強シート41,42側となる一方の面に、接着剤層が設けられて構成されている。この接着剤層が、補強シート41,42に接着している。
例えば、内側底板22b、第1内側側板23a、及び第2内側側板24aは、基材層の補強シート41,42側となる一方の面に接着剤層が設けられ、他方の面に、表層が設けられて構成されている。
【0025】
例えば、基材層は、塩化ビニル系樹脂成形体からなる塩化ビニル層である。例えば、基材層の線膨張係数は、7.0×10-5(1/℃)未満である。この線膨張係数は、6.5×10-5(1/℃)以下が好ましく、3.0×10-5(1/℃)以下がより好ましい。
なお、基材層は、塩化ビニル等の樹脂や、アスファルト等で形成されてもよい。
【0026】
表層として、例えばAES(アクリロニトリル・エチレン-プロピレン-ジエン・スチレン)樹脂等の高耐候性特殊樹脂を用いることができる。
接着剤層には、適宜の材質を採用できる。接着剤層には、例えばホットメルト型接着剤や反応性接着剤が用いられる。ホットメルト型接着剤としては、例えば、ウレタン系ホットメルト型接着剤、ポリエステル系ホットメルト型接着剤、ゴム系ホットメルト型接着剤、オレフィン系ホットメルト型接着剤、アクリル系ホットメルト型接着剤、アミド系ホットメルト接着剤等が挙げられる。また、反応性接着剤としては、例えば、シリコーン系接着剤、変成シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤等が挙げられる。
樋部材21の表面(基材層及び表層の表面)には、シボ、ヘアライン、ローレット等を施してもよい。
なお、底板22及び側板23,24は、延伸熱可塑性樹脂シートでそれぞれ形成することができる。
【0027】
図2に示すように、2枚の補強シート41,42は、樋部材21内に配置されている。2枚の補強シート41,42の一つは、第1補強シート41である。第1補強シート41は、第1部分45と、第2部分46と、を有する。
第1部分45は、第1耳部25A内に配置されている。第1部分45は、第1片45aと、連結片45bと、第2片45cと、を有する。
第1片45aは、第1側Y1に向かうに従い漸次、第1側Z1に向かうように傾斜して突出している。第1片45aは、第1耳部25Aの第1板片29Aに、第1板片29Aの第1側Z1から接続されている。
【0028】
連結片45bは、第1片45aの第1側Y1の端部から第1側Z1に向かって突出している。連結片45bは、第1耳部25Aの第2板片30Aに、第2板片30Aの第2側Y2から接続されている。
第2片45cは、第1部分45における第1片45a以外の一部である。第1部分45の第2片45cは、連結片45bの第1側Z1の端部から第2側Y2に向かって突出している。第2片45cは、第1耳部25Aの第3板片31Aに、第3板片31Aの第2側Z2から接続されている。
【0029】
第1片45aは、第2片45cと対向している。ここで言う第1片45aと第2片45cとが対向するとは、第1片45aと第2片45cとが互いに接触せずに、所定の距離を隔てて向かい合うことを意味する。
なお、第1片45a(第2片45c)は、第2部分46と対向するように配置されてもよい。
【0030】
第2部分46は、第1補強シート41における第1部分45以外の部分である。この例では、第2部分46は、第1側板23及び底板22内に配置され、第1側板23及び底板22に沿って、肉厚部27まで延びている。
なお、第2部分46は、第1側板23のみの内部に配置されてもよいし、第1側板23、底板22、及び第2側板24内にそれぞれ配置されてもよい。
【0031】
2枚の補強シート41,42のうち、第1補強シート41以外の一つが、第2補強シート42である。第2補強シート42は、底板22、第2側板24、第2耳部25B内に配置されている。第2補強シート42は、肉厚部27から、底板22及び第2側板24に沿って、第2耳部25Bまで延びている。
第2補強シート42は、底板22内で、底板22の底板接続部22d(一部)を間に挟んで、第1補強シート41の第2部分46に対向している。樋部材21は、第1補強シート41の第2部分46及び第2補強シート42が対向する部分である対向部52に、肉厚部27を有する。幅方向Zにおいて、対向部52は、肉厚部27の範囲内に配置され、肉厚部27の中心に配置されることが好ましい。
【0032】
対向部52は、第1中空部26A及び第2中空部26Bの外側に、第1中空部26A及び第2中空部26Bを避けて配置されている。対向部52は、直状部21c内に配置されている(
図2参照)。
第2補強シート42は、第1補強シート41の第1部分45と同様に構成された第1部分49を有する。第1部分49は、第2耳部25B内に配置されている。
【0033】
補強シート41,42は芯材であり、基材層より線膨張係数が小さく高強度である。
補強シート41,42として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂、熱耐久性等に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂等を使用できる。特に、線膨張係数が6.5×10-5(1/℃)と小さく、軽量で耐衝撃性、耐久性等に優れた熱可塑性ポリエステル系樹脂が、補強シート41,42として好ましい。本実施形態では、補強シート41,42としてポリエチレンテレフタレートを一軸延伸した熱可塑性ポリエチレンテレフタレートを用いるものとする。補強シート41,42の線膨張係数は3.0×10-5(1/℃)未満であり、高強度で、低伸縮性及び耐熱性に優れている。一軸延伸した熱可塑性ポリエチレンテレフタレートとしては、線膨張係数が2.5×10-5(1/℃)以下のものがより好ましい。一軸延伸した熱可塑性ポリエチレンテレフタレートとしては、線膨張係数が1.2×10-5(1/℃)以下のものがさらに好ましく、-0.1×10-5(1/℃)以下のものが最も好ましい。
補強シート41,42の線膨張係数は、-1.5×10-5(1/℃)以上2.0×10-5(1/℃)以下であることが好ましい。
【0034】
なお、補強シート41,42は金属で形成されてもよい。補強シート41,42には、例えば、溶融亜鉛めっき鋼板、塗装溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛、アルミニウム合金めっき鋼板、塗装溶融亜鉛、アルミニウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板、ポリ塩化ビニル被覆金属板、冷間圧延ステンレス鋼板、塗装ステンレス鋼板、チタン板又はチタン合金板、高耐候性圧延鋼板、アスファルト又は樹脂被覆鋼板、アルミニウム合金板等を用いることできる。
【0035】
例えば、補強シート41,42の厚さは、0.3mm以上1.0mm以下の範囲に設定され、0.4mm以上0.8mm以下の範囲が好ましい。本実施形態では、補強シート41,42の厚さは、一例として0.7mmである。
補強シート41,42の厚さを0.3mm以上1.0mm以下程度の範囲に設定することで、補強シート41,42を含む多層構造体は曲げ易くなる上に高強度、低伸縮性、耐熱性という特性を良好に発揮できる。
一方、補強シート41,42の厚さが1.0mmを超えると、その強度と剛性が大きくなり曲げ難くなる。また、補強シート41,42の厚さが0.3mm未満であると強度が低下し、低伸縮性と耐熱性という特性を発揮しにくい。
【0036】
第1側板23の厚さ方向Yの長さが第2側板24の厚さ方向Yの長さよりも長く、2枚の補強シート41,42の幅(
図1の断面における長さ)が互いに等しい場合、肉厚部27及び対向部52は、第2中空部26Bよりも第1中空部26Aに近い位置に配置される。
第1側板23の厚さ方向Yの長さ、及び第2側板24の厚さ方向Yの長さが互いに等しい場合について説明する。竪樋60を支持する竪樋支持具(不図示)の強度を確保するために、雨樋20の設置位置はできるだけ、建築物200から近い(出寸法が小さい)方が良い。竪樋支持具の出寸法が小さくなると、基準面S1よりもドレン部材55は、建築物200側(第2側板24側)に設置されることになる。
肉厚部27(対向部52)が第2側板24側にあると、ドレン部材55が設置できなくなる可能性があるため、肉厚部27は第1側板23側に設けられている方が望ましい。
【0037】
耳部25A,25B、中空部26A,26B、及び肉厚部27以外の樋部材21の厚さは、例えば1.9mmである。
雨樋20は、押出し成形等により成形されている。
例えば、中空部26A,26Bが形成されない場合の底板22の幅方向Zの長さは、200mm以上である。
樋部材21の底板22における幅方向Zの中央部には、貫通孔22eが形成されている。例えば、貫通孔22eは、厚さ方向Yに見たときに円形状を呈している。
対向部52は、貫通孔22eを形成する範囲から、幅方向Zの外側に外れていることが好ましい。
【0038】
例えば、貫通孔22eはホールソー等で形成され、貫通孔22eの直径は125mmである。対向部52が貫通孔22eを形成する範囲から外れている場合には、ホールソーの刃が対向部52における補強シート41,42の端に引っ掛かり難くなり、ホールソー等により貫通孔22eを形成する作業性が向上する。
【0039】
図1に示すように、雨樋20は、建築物200の軒下に配置されている。すなわち、雨樋20は、建築物200の屋根201の端201aの下方に配置されている。この際に、第2側板24は、第1側板23よりも建築物200寄りに配置されている。
雨樋20は、図示しない吊り具等により建築物200に固定されている。
底板接続部22dに日光が当たると、底板接続部22dは蛇行するように変形しやすい。樋部材21において、第1側板23には底板22よりも日光が当たりやすいため、対向部52は、第1側板23よりも底板22に設けることが好ましい。
この例では、雨樋20は、建築物200の屋根201の端201aに沿って配置される軒樋である。なお、雨樋は谷樋であってもよい。
【0040】
ドレン部材55は、樋部材21の底板22の貫通孔22eに配置された状態で、底板22に取付けられている。なお、この例では、ドレン部材55は、サイフォンドレン部材としているが、ドレン部材55は、サイフォンドレン部材に限定されない。ドレン部材55の形状も、これに限定されない。図示はしないが、ドレン部材55は複数の部材に分割可能である。これら複数の部材は、底板22における貫通孔22eの周縁部を厚さ方向Yに挟んでいる。
ドレン部材55は、公知の構成の部材である。ドレン部材55は、大雨時に多量の雨水が流入した時、空気を吸い込むことがなく、竪樋60を満水状態として水封する。その結果、下流側にサイフォン現象を発生させて高排水機能を奏することができる。
【0041】
竪樋60は、軸線が鉛直方向に沿うように配置されている。竪樋60の上端部は、ドレン部材55に接続されている。竪樋60の下端部は、図示はしないが、地面に接続されている。竪樋60の下端部は、地中に埋設された公知の集水マスに接続されている。集水マスは、連結管を介して下水管等の排水構造に接続されている。
【0042】
ここで、雨樋20における好ましい寸法の一例について説明する。
図3に示すように、底板接続部22d(対向部52)の幅方向Zの長さL6は、2mmである。長さL6は、10mm以下であることが好ましい。長さL6が2mm以下だと、補強シート41,42の間に底板接続部22dが介在し難くなり、補強シート41,42の接続強度が低下する。一方で、長さL6が10mm以上だと、補強シート41,42による樋部材21の補強効果が低減し、雨樋20の強度が低下する。
肉厚部27の幅方向Zの長さL7は、6mmである。すなわち、長さL6に対する長さL7の比(L7/L6)は、3倍程度であることが好ましい。
円弧状部21bの外径L9は、6mmである。円弧状部21bに接続された第1補強シート41の第2部分46の内径L10は、7mmである。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の雨樋20では、第1補強シート41の第1部分45は第1耳部25A内に配置されているとともに、第1部分45における第1片45aは、第1部分45における第2片45cと対向している。このため、底板22、第1側板23、及び第2側板24に対する第1補強シート41の第2部分46の位置が安定する。従って、底板22内で、底板22の一部を間に挟んで対向する、第1補強シート41の第2部分46と第2補強シート42との間の距離をより確実に保つことができる。
【0044】
樋部材21は、対向部52に肉厚部27を有する。従って、対向部52に対応する位置の樋部材21の強度を向上させることができる。
樋部材21は、第1中空部26Aを有し、対向部52は第1中空部26Aの外側に配置されている。雨樋20を押出し成形により製造した場合に、第1中空部26A内の空気層L1に第1補強シート41が露出する。このため、対向部52が第1中空部26Aにあると、これらの補強シート41,42が樋部材21により接続され難くなる。従って、対向部52が第1中空部26Aの外側に配置されていることで、第1補強シート41の第2部分46及び第2補強シート42をより確実に接続することができる。
【0045】
樋部材21は、対向部52に、第1中空部26Aに外側から連なる肉厚部27を有する。従って、第1補強シート41の第2部分46及び第2補強シート42をより確実に接続するとともに、対向部52に対応する位置の樋部材21の強度を向上させることができる。 対向部52は、直状部21c内に配置されている。対向部52が円弧状部21b内に配置されていると、両補強シート41,42における対向する部分を円弧状に曲げる必要があるため、両補強シート41,42が露出しやすくなる。対向部52が直状部21c内に配置されているため、両補強シート41,42を確実に接続することができる。
【0046】
本実施形態の雨樋20は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
図4に示す第1変形例の雨樋65のように、本実施形態の雨樋20の各構成に対して、中空部26A,26Bを有さなくてもよい。この場合、底板22の内側底板22b及び第1側板23の第1内側側板23aは、互いに接続される。
【0047】
なお、
図4中に二点鎖線で示すように、第1変形例の雨樋65では、肉厚部27を備えず、対向部52の底板22に、凹部22fが形成されてもよい。この例では、凹部22fは、樋部材21の内側に形成されている。凹部22fは、長手方向Xに筋状に延びる。
なお、凹部は、樋部材21の外側に形成されてもよいし、樋部材21の内側及び外側の両方に形成されてもよい。
複数の補強シートを被覆樹脂で押出しながら雨樋65を成形する場合、底板接続部22dで樹脂が合流したりするため、凹部22fが形成されやすい。
ただし、樋部材21の外面は外観を良好に保つために、バキュームユニット等を用いて、金型の転写性を向上させてもよい。
【0048】
図5に示す第2変形例の雨樋70のように、樋部材71及び第1補強シート76が構成されてもよい。樋部材71の第1耳部72Aでは、長手方向Xに見たときに、第1板片29Aと第2板片30Aとの接続部分、第2板片30Aと第3板片31Aとの接続部分が、それぞれ円弧状である。
第1補強シート76の第1部分77は、第1耳部72A内に配置されている。第1部分77は、第1片45aと、連結片77bと、第2片45cと、を有する。連結片77bは、第1側Z1(上方)に向かって凸となるように湾曲している。連結片77bは、第1片45aの第1側Z1の端部、及び第2片45cの第1側Z1の端部にそれぞれ接続されている。
【0049】
図6に示す第3変形例の雨樋80のように、樋部材81及び第1補強シート86が構成されてもよい。樋部材81の第1耳部82Aでは、長手方向Xに見たときに、第2板片30Aと第3板片31Aとの接続部分が円弧状である。
第1補強シート86の第1部分87は、第1耳部82A内に配置されている。第1部分87は、第1片87aと、連結片87bと、第2片87cと、を有する。
【0050】
第1片87aは、第2部分46の第1側Y1の端部から第1側Z1に向かって突出している。第1片87aは、第1耳部82Aの第4板片32Aに、第4板片32Aの第1側Y1から接続されている。
連結片87bは、第1片87aの第1側Z1の端部から第1側Y1に向かって突出している。第1片87aにおける第1側Y1の部分は、第2板片30Aと第3板片31Aとの接続部分に沿って、第2側Z2に向かって湾曲している。連結片87bは、第1耳部82Aの第3板片31Aに、第3板片31Aの第2側Z2から接続されている。
第2片87cは、連結片87bの第2側Z2の端部から、第2側Z2に向かって突出している。第2片87cは、第1耳部82Aの第2板片30Aに、第2板片30Aの第2側Y2から接続されている。
第1片87aは、第2片87cと対向している。
【0051】
以上のように構成された雨樋65,70,80によっても、本実施形態の雨樋20と同様の効果を奏することができる。
【0052】
図7及び
図8に示す第4変形例の雨樋90のように、第2変形例の雨樋70の各構成に加えて、第2肉厚部91を備えてもよい。なお、第2肉厚部91が雨樋90の内側に向かって突出している部分は、補強シート41,42が対向する部分である対向部とはなっていない。
第2肉厚部91は、底板22から樋部材71の内側(第1側Y1)に向かって突出している。第2肉厚部91は、第2中空部26Bの第1板片35Bに、第2中空部26Bの外側(第1側Z1)から連なっている。
【0053】
雨樋90が第2肉厚部91を備えると、雨樋90の剛性が上がり、高強度な雨樋90が得られる。第2肉厚部91が第2中空部26B(雨樋70が第2中空部26Bを備えない場合には、底板22と第2側板24との接続部)に連なると、この効果が高まる。
底板22及び第2側板24が接続される、中空状のコーナー部は、底板22及び第2側板24と比べ、樹脂が充填しづらい。第2肉厚部91が第2中空部26Bに連なることで、樹脂が、コーナー部に加えて、対向部にも流動しやすくなる。
【0054】
雨樋90が肉厚部27及び第2肉厚部91を備えると、肉厚部27及び第2肉厚部91それぞれの効果を奏することができる。さらに、雨樋90を押出し成形で製造する際に、樋部材を形成する樹脂のバランスが取りやすく、雨樋90を製造しやすい。
このように、雨樋90は、肉厚部27及び第2肉厚部91の両方を備えてもよいし、第2肉厚部91のみを備えてもよい。
【0055】
図9に示すように、雨樋システム2は、ドレン部材55よりも下流側の樋構造として、樋構造95、樋構造105、及び樋構造120を選択的に備えてもよい。
樋構造95は、ドレン部材55から下方に向かって雨水を流す構造である。樋構造95は、竪継手96と、サイフォン誘発部材97と、竪樋98と、T型継手99と、竪樋100と、を有する。
竪継手96は、ドレン部材55に接続される。図示はしないが、サイフォン誘発部材97の内径は縮径されている。すなわち、サイフォン誘発部材97は縮径部を有する。樋構造95に雨水が流れると、サイフォン誘発部材97内が雨水で満水となる。なお、サイフォン誘発部材97は、雨水の流入前後で外径が変化するレデューサーであってもよいし、内径だけが縮径し、外径には変化のない継手でもよい。サイフォン誘発部材97内には、雨水が整流するように整流フィンを設けてもよい。
例えば、竪樋100は、バンド101により支持される。竪樋100の下端部は、排水管カバー102により封止可能である。
【0056】
樋構造105は、ドレン部材55から建築物200に向かって、一度斜め下方に向かって雨水を流してから、下方に向かって流す構造である。樋構造105は、エルボ106と、竪樋107と、エルボ108と、を有する。エルボ106,108は、自身の両端部に設けられる受け口の軸線同士のなす角度が135°のエルボである。エルボ108には、延長構造109及び延長構造110が選択的に接続される。
延長構造109は、サイフォン誘発部材112と、竪樋113と、を有する。サイフォン誘発部材112は、サイフォン誘発部材97と同様に構成されている。
延長構造110は、竪樋115と、竪異径継手116と、竪樋117と、を有する。竪樋117の内径は、竪樋115の内径より小さい。
【0057】
樋構造120は、ドレン部材55から建築物200に向かって、一度水平面に沿って雨水を流してから、下方に向かって流す構造である。樋構造120は、エルボ121と、竪樋122と、エルボ123と、を有する。エルボ121,123は、自身の両端部に設けられる受け口の軸線同士のなす角度が91°のエルボである。エルボ123には、延長構造124及び延長構造125が選択的に接続される。
延長構造124は、サイフォン誘発部材127と、竪樋128と、を有する。サイフォン誘発部材127は、サイフォン誘発部材97と同様に構成されている。
延長構造125は、竪樋130と、伸縮竪継手131と、竪樋132と、を有する。
【0058】
エルボ108とサイフォン誘発部材112との距離、エルボ123とサイフォン誘発部材127との距離は、それぞれ2m以内であることが好ましい。
【0059】
以上、本発明の一実施形態、及びその変形例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、肉厚部27は、第1中空部26Aに連ならず、第1中空部26Aから離間していてもよい。第2補強シート42は、第1部分49を有さなくてもよい。
【0060】
樋部材21は、第2耳部25B、肉厚部27を有さなくてもよい。
対向部は、底板22、第1側板23、及び第2側板24の少なくとも一つ内に配置されればよい。この場合、第2補強シート42は、底板22、第1側板23、及び第2側板24の少なくとも一つを間に挟んで、第1補強シート41の第2部分46に対向する。
雨樋は、3枚以上の補強シートを備えてもよい。例えば、雨樋が3枚の補強シートを備える場合には、底板22、第1側板23、及び第2側板24のそれぞれ内に補強シートが配置される。そして、対向部52以外に、第2中空部26Bの第1側Z1の部分に、対向部が形成される。
【符号の説明】
【0061】
20,65,70,80,90 雨樋
21,71,81 樋部材
21a 第1接続部分(接続部分)
21b 円弧状部
21c 直状部
22 底板
23 第1側板
24 第2側板
25A,72A,82A 第1耳部(耳部)
26A 第1中空部(中空部)
27 肉厚部
41,76,86 第1補強シート(補強シート)
42 第2補強シート(補強シート)
45,77,87 第1部分
45a,87a 第1片
45c,87c 第2片
46 第2部分
Y 厚さ方向
Y1,Z1 第1側
Z 幅方向
Z2 第2側