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特開2024-135299ブリッジ回路のドライバ回路、それを用いたモータ駆動装置、電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135299
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】ブリッジ回路のドライバ回路、それを用いたモータ駆動装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20240927BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240927BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240927BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240927BHJP
【FI】
H03K17/16 L
H03K17/16 H
H03K17/687 F
H02M1/08 A
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045920
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】杉江 尚
【テーマコード(参考)】
5H740
5H770
5J055
【Fターム(参考)】
5H740BA11
5H740BA12
5H740BB05
5H740BB08
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5H770BA01
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770GA13
5H770GA14
5H770LB02
5J055AX23
5J055AX27
5J055AX54
5J055AX63
5J055BX16
5J055CX20
5J055DX13
5J055DX59
5J055EX07
5J055EX25
5J055EZ32
5J055FX05
5J055FX18
5J055FX21
5J055FX31
(57)【要約】
【課題】プリドライバにおける貫通電流を防止し、かつ誤動作を防止する。
【解決手段】第1オフセンサ412は、第1トランジスタM1のゲートソース間電圧Vgs1が所定のしきい値レベルVth1より小さいときに第1オフ検出信号Soff1をアサートする。第2オフセンサ414は、第2トランジスタM2のゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルVth2より小さいときに第2オフ検出信号Soff2をアサートする。第1ラッチ416、第2ラッチ418は、第1オフ検出信号Soff1、第2オフ検出信号Soff2のアサートをラッチする。第1制御回路420は、ハイサイドトランジスタMHのオン、オフを指示するハイサイド制御信号HCTRL、第1ラッチ416の出力Slatch1、第2ラッチ418の出力Slatch2を受け、第1トランジスタM1のゲート信号VG1および第2トランジスタM2のゲート信号VG2を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nチャンネルのハイサイドトランジスタを駆動するドライバ回路であって、
前記ハイサイドトランジスタのオン、オフを指示するハイサイド制御信号に応じて、前記ハイサイドトランジスタを駆動するハイサイドプリドライバを備え、
前記ハイサイドプリドライバは、
ドレインが前記ハイサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第1トランジスタと、
ドレインが前記ハイサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第1オフ検出信号を生成する第1オフセンサと、
前記第2トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第2オフ検出信号を生成する第2オフセンサと、
前記第1オフ検出信号のアサートをラッチする第1ラッチと、
前記第2オフ検出信号のアサートをラッチする第2ラッチと、
前記ハイサイド制御信号、前記第1ラッチの出力、前記第2ラッチの出力を受け、前記第1トランジスタのゲート信号および前記第2トランジスタのゲート信号を生成する第1制御回路と、
を含む、ドライバ回路。
【請求項2】
前記第1ラッチは、前記ハイサイド制御信号に応じてリセットされ、
前記第2ラッチは、前記ハイサイド制御信号の反転信号に応じてリセットされる、請求項1に記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記第1ラッチおよび前記第2ラッチはSRラッチである、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項4】
前記SRラッチは、
セット入力ノード、リセット入力ノードおよび出力ノードと、
第1入力が前記出力ノードと接続され、第2入力が前記セット入力ノードと接続されたORゲートと、
第1入力が前記ORゲートの出力と接続され、第2入力が前記リセット入力ノードと接続されたANDゲートと、
を含む、請求項3に記載のドライバ回路。
【請求項5】
前記ドライバ回路は、前記ハイサイドトランジスタとともにブリッジ回路を形成するNチャンネルのローサイドトランジスタをさらに駆動するように構成され、
前記ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するローサイド制御信号に応じて、前記ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバをさらに備え、
前記ローサイドプリドライバは、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、
前記第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、
前記第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、
前記第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、
前記第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、
前記ローサイド制御信号、前記第3ラッチの出力、前記第4ラッチの出力を受け、前記第3トランジスタのゲート信号および前記第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、
を含む、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項6】
Nチャンネルのローサイドトランジスタを駆動するドライバ回路であって、
前記ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するローサイド制御信号に応じて、前記ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバを備え、
前記ローサイドプリドライバは、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、
前記第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、
前記第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、
前記第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、
前記第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、
前記ローサイド制御信号、前記第3ラッチの出力、前記第4ラッチの出力を受け、前記第3トランジスタのゲート信号および前記第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、
を含む、ドライバ回路。
【請求項7】
前記第3ラッチは、前記ローサイド制御信号に応じてリセットされ、
前記第4ラッチは、前記ローサイド制御信号の反転信号に応じてリセットされる、請求項6に記載のドライバ回路。
【請求項8】
前記第3ラッチおよび前記第4ラッチはSRラッチである、請求項6または7に記載のドライバ回路。
【請求項9】
前記SRラッチは、
セット入力ノード、リセット入力ノードおよび出力ノードと、
第1入力が前記出力ノードと接続され、第2入力が前記セット入力ノードと接続されたORゲートと、
第1入力が前記ORゲートの出力と接続され、第2入力が前記リセット入力ノードと接続されたANDゲートと、
を含む、請求項8に記載のドライバ回路。
【請求項10】
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタの少なくとも一方を駆動する請求項1,2,6のいずれかに記載のドライバ回路と、
を備える、モータ駆動装置。
【請求項11】
モータと、
前記モータを駆動する請求項10に記載のモータ駆動装置と、
を備える、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ブリッジ回路のドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
モータドライバ回路やDC/DCコンバータ、電力変換装置などにおいて、パワートランジスタを用いたハーフブリッジ回路、Hブリッジ回路、三相ブリッジ回路(以下、ブリッジ回路と総称する)が多用されている。
【0003】
ブリッジ回路は、電源端子と接地端子の間に直列に設けられた上アームおよび下アームを備える。上アームは、並列に接続されるハイサイドトランジスタおよびフライホイルダイオードを含む。下アームは、並列に接続されるローサイドトランジスタおよびフライホイルダイオードを含む。
【0004】
ブリッジ回路は、ドライバ回路によって制御され、ハイサイドトランジスタがオン、ローサイドトランジスタがオフであるハイ出力状態、ハイサイドトランジスタがオフ、ローサイドトランジスタがオンであるロー出力状態が切替可能である。ハイ出力状態とロー出力状態の間で遷移する際に、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタが同時にオンすると、好ましくない貫通電流が流れる。これを防止するために、ブリッジ回路は、ハイ出力状態とロー出力状態の間の遷移に際して、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタが両方オフとなるハイインピーダンス状態を経由させる。このブリッジ回路がハイインピーダンス状態となる期間をデッドタイムと称する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライバ回路は、ハイサイドトランジスタを駆動するプリドライバと、ローサイドトランジスタを駆動するプリドライバと、を備える。プリドライバは、駆動対象のパワートランジスタ(ハイサイドトランジスタまたはローサイドトランジスタ)に接続されるPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタを備える。このような構成において、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタが同時にオンすると、貫通電流が流れる。
【0006】
本開示は係る課題に鑑みてなされたものあり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、プリドライバにおける貫通電流を防止し、かつ誤動作を防止可能なドライバ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある態様は、Nチャンネルのハイサイドトランジスタを駆動するドライバ回路に関する。ドライバ回路は、ハイサイドトランジスタのオン、オフを指示するハイサイド制御信号に応じて、ハイサイドトランジスタを駆動するハイサイドプリドライバを備える。ハイサイドプリドライバは、ドレインがハイサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第1トランジスタと、ドレインがハイサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第2トランジスタと、第1トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第1オフ検出信号を生成する第1オフセンサと、第2トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第2オフ検出信号を生成する第2オフセンサと、第1オフ検出信号のアサートをラッチする第1ラッチと、第2オフ検出信号のアサートをラッチする第2ラッチと、ハイサイド制御信号、第1ラッチの出力、第2ラッチの出力を受け、第1トランジスタのゲート信号および第2トランジスタのゲート信号を生成する第1制御回路と、を含む。
【0008】
本開示の別の態様は、Nチャンネルのローサイドトランジスタを駆動するドライバ回路に関する。ドライバ回路は、ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するローサイド制御信号に応じて、ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバを備える。ローサイドプリドライバは、ドレインがローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、ドレインがローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、ローサイド制御信号、第3ラッチの出力、第4ラッチの出力を受け、第3トランジスタのゲート信号および第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、を含む。
【0009】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本開示のある態様によれば、誤動作を抑制しつつ、プリドライバにおける貫通電流を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
図2図2は、実施形態に係るハイサイドプリドライバのブロック図である。
図3図3は、実施形態に係るローサイドプリドライバのブロック図である。
図4図4は、実施形態に係るドライバ回路の動作波形図である。
図5図5は、比較技術に係るドライバ回路の回路図である。
図6図6は、比較技術に係るドライバ回路の動作波形図である。
図7図7は、実施形態に係るドライバ回路の動作波形図である。
図8図8は、ドライバ回路の一部の具体的な構成例を示す回路図である。
図9図9は、SRラッチの構成例を示す回路図である。
図10図10は、実施形態に係るスイッチング回路を備えるモータ駆動装置の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0013】
この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。その唯一の目的は、後で提示するより詳細な説明の前置きとして、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化した形で提示することである。
【0014】
本開示のある態様は、Nチャンネルのハイサイドトランジスタを駆動するドライバ回路に関する。ドライバ回路は、ハイサイドトランジスタのオン、オフを指示するハイサイド制御信号に応じて、ハイサイドトランジスタを駆動するハイサイドプリドライバを備える。ハイサイドプリドライバは、ドレインがハイサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第1トランジスタと、ドレインがハイサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第2トランジスタと、第1トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第1オフ検出信号を生成する第1オフセンサと、第2トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第2オフ検出信号を生成する第2オフセンサと、第1オフ検出信号のアサートをラッチする第1ラッチと、第2オフ検出信号のアサートをラッチする第2ラッチと、ハイサイドトランジスタのオン、オフを指示するハイサイド制御信号、第1ラッチの出力、第2ラッチの出力を受け、第1トランジスタのゲート信号および第2トランジスタのゲート信号を生成する第1制御回路と、を含む。
【0015】
この構成によれば、ハイサイドトランジスタをターンオンする際には、第2オフ検出信号がアサートされた後、すなわち第2トランジスタのターンオフが検出された後に、第1トランジスタをターンオンすることにより、貫通電流を防止できる。またハイサイドトランジスタがターンオンした後に、ノイズ等の影響で第2オフ検出信号がネゲートされた場合に、第2ラッチの出力は変化しないため、ハイサイドトランジスタのオン状態を維持でき、誤動作を防止できる。
【0016】
同様に、ハイサイドトランジスタをターンオフする際には、第1オフ検出信号がアサートされた後、すなわち第1トランジスタのターンオフが検出された後に、第2トランジスタをターンオンすることにより、貫通電流を防止できる。またハイサイドトランジスタがターンオフした後に、ノイズ等の影響で第1オフ検出信号がネゲートされた場合に、第1ラッチの出力は変化しないため、ハイサイドトランジスタのオフ状態を維持でき、誤動作を防止できる。
【0017】
一実施形態において、第1ラッチは、ハイサイド制御信号に応じてリセットされ、第2ラッチは、ハイサイド制御信号の反転信号に応じてリセットされてもよい。
【0018】
一実施形態において、第1ラッチおよび第2ラッチはSRラッチであってもよい。
【0019】
一実施形態において、SRラッチは、セット入力ノード、リセット入力ノードおよび出力ノードと、第1入力が出力ノードと接続され、第2入力がセット入力ノードと接続されたORゲートと、第1入力がORゲートの出力と接続され、第2入力がリセット入力ノードと接続されたANDゲートと、を含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、ドライバ回路は、ハイサイドトランジスタとともにブリッジ回路を形成するNチャンネルのローサイドトランジスタをさらに駆動するように構成されてもよい。ドライバ回路は、ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するローサイド制御信号に応じて、ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバをさらに備えてもよい。ローサイドプリドライバは、ドレインがローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、ドレインがローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、ローサイド制御信号、第3ラッチの出力、第4ラッチの出力を受け、第3トランジスタのゲート信号および第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、を含んでもよい。
【0021】
この構成によれば、ローサイドトランジスタをターンオンする際には、第4オフ検出信号がアサートされた後、すなわち第4トランジスタのターンオフが検出された後に、第3トランジスタをターンオンすることにより、貫通電流を防止できる。またハイサイドトランジスタがターンオンした後に、ノイズ等の影響で第4オフ検出信号がネゲートされた場合に、第4ラッチの出力は変化しないため、ローサイドトランジスタのオン状態を維持でき、誤動作を防止できる。
【0022】
同様に、ローサイドトランジスタをターンオフする際には、第3オフ検出信号がアサートされた後、すなわち第3トランジスタのターンオフが検出された後に、第4トランジスタをターンオンすることにより、貫通電流を防止できる。またローサイドトランジスタがターンオフした後に、ノイズ等の影響で第3オフ検出信号がネゲートされた場合に、第3ラッチの出力は変化しないため、ローサイドトランジスタのオフ状態を維持でき、誤動作を防止できる。
【0023】
一実施形態に係るドライバ回路は、Nチャンネルのローサイドトランジスタを駆動するドライバ回路に関する。ドライバ回路は、ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するローサイド制御信号に応じて、ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバを備える。ローサイドプリドライバは、ドレインがローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、ドレインがローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、ローサイド制御信号、第3ラッチの出力、第4ラッチの出力を受け、第3トランジスタのゲート信号および第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、を含む。
【0024】
一実施形態において、第3ラッチは、ローサイド制御信号に応じてリセットされ、第4ラッチは、ローサイド制御信号の反転信号に応じてリセットされてもよい。
【0025】
一実施形態において、第3ラッチおよび第4ラッチはSRラッチであってもよい。
【0026】
一実施形態において、SRラッチは、セット入力ノード、リセット入力ノードおよび出力ノードと、第1入力が出力ノードと接続され、第2入力がセット入力ノードと接続されたORゲートと、第1入力がORゲートの出力と接続され、第2入力がリセット入力ノードと接続されたANDゲートと、を含んでもよい。
【0027】
一実施形態に係るモータ駆動装置は、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むブリッジ回路と、ブリッジ回路を駆動する上述のいずれかのドライバ回路と、を備えてもよい。
【0028】
一実施形態に係る電子機器は、モータと、モータを駆動する上述のモータ駆動装置と、を備える。
【0029】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0030】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0031】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0032】
なお本明細書において参照する波形図やタイムチャートの縦軸および横軸は、理解を容易とするために適宜拡大、縮小したものであり、また示される各波形も、理解の容易のために簡略化され、あるいは誇張もしくは強調されている。
【0033】
図1は、実施形態に係るスイッチング回路100の回路図である。スイッチング回路100は、ブリッジ回路110およびドライバ回路400を備える。ここでは、スイッチング回路100の一相分の構成のみを示すが、スイッチング回路100は、三相であってもよいし、Hブリッジ回路であってもよい。
【0034】
入力ライン102には、直流の入力電圧VINが供給される。ブリッジ回路110は、入力ライン(電源ライン)102と出力端子(出力ライン)104の間に設けられる上アーム112と、出力ライン104と接地ライン106の間に設けられる下アーム114を備える。上アーム112は、並列に接続されるハイサイドトランジスタMHとフライホイルダイオード(還流ダイオード)Diを含む。下アーム114は、並列に接続されるローサイドトランジスタMLとフライホイルダイオードDiを含む。本実施形態において、ハイサイドトランジスタMHおよびローサイドトランジスタMLは、NチャンネルMOSFETであり、それぞれのボディダイオードが、フライホイルダイオードDiを兼ねている。
【0035】
ドライバ回路400は、ブリッジ回路110の上アーム112および下アーム114を制御する。ドライバ回路400は、上アーム112がオン、下アーム114がオフであるハイ出力状態φ、上アーム112がオフ、下アーム114がオンであるロー出力状態φの2状態を切りかえる。ブリッジ回路110は、上アーム112、下アーム114が両方オフであるハイインピーダンス状態φHZをとる場合もある。
【0036】
ドライバ回路400は、ハイサイドプリドライバ410およびローサイドプリドライバ430を備える。ハイサイドプリドライバ410の出力は、HG出力端子を介してハイサイドトランジスタMHのゲートと接続される。ローサイドプリドライバ430の出力は、LG出力端子を介してローサイドトランジスタMLのゲートと接続される。ドライバ回路400のスイッチング端子SWは、出力ライン104と接続される。
【0037】
ハイサイドプリドライバ410は、ハイサイド制御信号HCTRLにもとづいて、ハイサイドトランジスタMHを駆動する。具体的にはハイサイドプリドライバ410は、ハイサイド制御信号HCTRLがハイ・ローの所定の一方であるオンレベル(ここではハイとする)のときに、ハイサイドトランジスタMHがオンするように、ハイサイドトランジスタMHのゲートソース間、すなわちHG端子とスイッチング端子SWの間に、パワートランジスタのゲートしきい値電圧Vgs(th)より大きな駆動電圧VHGを発生する。
【0038】
またハイサイドプリドライバ410は、ハイサイド制御信号HCTRLがハイ・ローの所定の他方であるオフレベル(ここではローとする)のときに、ハイサイドトランジスタMHがオフするように、ハイサイドトランジスタMHのゲートソース間、すなわちHG端子とスイッチング端子SWの電位差をゼロとする。
【0039】
ローサイドプリドライバ430は、ローサイド制御信号LCTRLにもとづいて、ローサイドトランジスタMLを駆動する。具体的にはローサイドプリドライバ430は、ローサイド制御信号LCTRLがハイ・ローの所定の一方であるオンレベル(ここではハイとする)のときに、ローサイドトランジスタMLがオンするように、ローサイドトランジスタMLのゲートソース間、すなわちLG端子に、パワートランジスタのゲートしきい値電圧Vgs(th)より大きな駆動電圧VLGを発生する。
【0040】
またローサイドプリドライバ430は、ローサイド制御信号LCTRLがハイ・ローの所定の他方であるオフレベル(ここではローとする)のときに、ローサイドトランジスタMLがオフするように、ローサイドトランジスタMLのゲートソース間、すなわちLG端子に、0Vを発生する。
【0041】
以上がスイッチング回路100およびドライバ回路400の全体構成である。続いてドライバ回路400の構成を説明する。
【0042】
図2は、実施形態に係るハイサイドプリドライバ410のブロック図である。ハイサイドプリドライバ410は、第1トランジスタM1、第2トランジスタM2、第1オフセンサ412、第2オフセンサ414、第1ラッチ416、第2ラッチ418、制御回路420を備える。
【0043】
第1トランジスタM1はPチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、ドレインがHG出力端子、すなわちハイサイドトランジスタMHのゲートと接続される。第1トランジスタM1のソースには、入力電圧VINよりも高い電圧VHHが供給される。第2トランジスタM2は、NチャンネルMOSFETであり、ドレインがHG出力端子、すなわちハイサイドトランジスタMHのゲートと接続される。第2トランジスタM2のソースは、スイッチング端子SWと接続される。
【0044】
第1オフセンサ412は、第1トランジスタM1のゲートソース間電圧Vgs1が所定のしきい値レベルVth1より小さいときにアサートされる第1オフ検出信号Soff1を生成する。第2オフセンサ414は、第2トランジスタM2のゲートソース間電圧Vgs2が所定のしきい値レベルVth2より小さいときにアサートされる第2オフ検出信号Soff2を生成する。
【0045】
第1ラッチ416は、第1オフ検出信号Soff1のアサートをラッチする。第2ラッチ418は、第2オフ検出信号Soff2のアサートをラッチする。第1ラッチ416は、ハイサイドトランジスタMHのターンオフ動作に先立ってリセットされる。第2ラッチ418は、ハイサイドトランジスタMHのターンオン動作に先立ってリセットされる。たとえばこのリセットは、ハイサイド制御信号HCTRLを利用して行ってもよい。
【0046】
第1制御回路420は、ハイサイドトランジスタMHのオン、オフを指示するハイサイド制御信号HCTRL、第1ラッチ416の出力(第1ラッチ信号という)Slatch1、第2ラッチ418の出力(第2ラッチ信号という)Slatch2を受け、第1トランジスタM1のゲート信号VG1および第2トランジスタM2のゲート信号VG2を生成する。
【0047】
ゲート信号VG1は、ハイレベルVH1とローレベルVL1の間で変化する。ハイレベルVH1は第1トランジスタM1がオフとなる電圧であり、ローレベルVL1は第1トランジスタM1がオンとなる電圧である。ハイレベルVH1は、電圧VHHと等しい。ローレベルVL1は、スイッチング電圧VSWと等しくてもよいし、電圧VHHよりも所定電圧幅(たとえば5V)低い電圧であってもよい。
【0048】
ゲート信号VG2は、ハイレベルVH2とローレベルVL2の間で変化する。ハイレベルVH2は第2トランジスタM2がオンとなる電圧であり、ローレベルVL2は第2トランジスタM2がオフとなる電圧である。ローレベルVL2は、スイッチング電圧VSWと等しい。ハイレベルVH2は、電圧VHHと等しくてもよいし、スイッチング電圧VSWよりも所定電圧幅(たとえば5V)高い電圧であってもよい。
【0049】
第1制御回路420は、ハイサイド制御信号HCTRLがローからハイに遷移すると、第2トランジスタM2のゲート電圧VG2を、ハイレベルVH2からローレベルVL2に切り替える。そして、第2ラッチ418の出力Slatch2がアサートされると、第1トランジスタM1のゲート電圧VG1をローレベルVL1からハイレベルVH1に切り替える。
【0050】
また第1制御回路420は、ハイサイド制御信号HCTRLがハイからローに遷移すると、第1トランジスタM1のゲート電圧VG1をハイレベルVH1からローレベルVL1に切り替える。そして、第1ラッチ416の出力Slatch1がアサートされると、第2トランジスタM2のゲート電圧VG2をローレベルVL2からハイレベルVH2に切り替える。
【0051】
図3は、実施形態に係るローサイドプリドライバ430のブロック図である。ローサイドプリドライバ430は、第3トランジスタM3、第4トランジスタM4、第3オフセンサ432、第4オフセンサ434、第3ラッチ436、第4ラッチ438、制御回路440を備える。
【0052】
第3トランジスタM3はPチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であり、ドレインがLG出力端子、すなわちローサイドトランジスタMLのゲートと接続される。第3トランジスタM3のソースには、電源電圧VDDが供給される。第4トランジスタM4はNチャンネルMOSFETであり、ドレインがLG出力端子、すなわちローサイドトランジスタMLのゲートと接続される。第4トランジスタM4のソースは、接地端子GNDと接続される。
【0053】
第3オフセンサ432は、第3トランジスタM3のゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号Soff3を生成する。第4オフセンサ434は、第4トランジスタM4のゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号Soff4を生成する。
【0054】
第3ラッチ436は、第3オフ検出信号Soff3のアサートをラッチする。第4ラッチ438は、第4オフ検出信号Soff4のアサートをラッチする。第3ラッチ436は、ローサイドトランジスタMLのターンオフ動作に先立ってリセットされる。第4ラッチ438は、ローサイドトランジスタMLのターンオン動作に先立ってリセットされる。たとえばこのリセットは、ローサイド制御信号LCTRLを利用して行ってもよい。
【0055】
第2制御回路440は、ローサイドトランジスタMLのオン、オフを指示するローサイド制御信号LCTRL、第3ラッチ436の出力(第3ラッチ信号という)Slatch3、第4ラッチ438の出力(第4ラッチ信号という)Slatch4を受け、第3トランジスタM3のゲート信号VG3および第4トランジスタM4のゲート信号VG4を生成する。
【0056】
ゲート信号VG3は、ハイレベルVH3とローレベルVL3の間で変化する。ハイレベルVH3は第3トランジスタM3がオフとなる電圧であり、ローレベルVL3は第3トランジスタM3がオンとなる電圧である。ハイレベルVH3は、電圧VDDと等しい。ローレベルVL3は、接地電圧0Vと等しくてもよいし、電圧VDDよりも所定電圧幅(たとえば5V)低い電圧であってもよい。
【0057】
ゲート信号VG4は、ハイレベルVH4とローレベルVL4の間で変化する。ハイレベルVH4は第4トランジスタM4がオンとなる電圧であり、ローレベルVL4は第4トランジスタM4がオフとなる電圧である。ローレベルVL4は、接地電圧0Vと等しい。ハイレベルVH4は、電圧VDDと等しくてもよいし、接地電圧0Vよりも所定電圧幅(たとえば5V)高い電圧であってもよい。
【0058】
具体的には、第2制御回路440は、ローサイド制御信号LCTRLがローからハイに遷移すると、第4トランジスタM4のゲート電圧VG4をハイレベルVH4からローレベルVL4に切り替える。そして、第4ラッチ438の出力Slatch4がアサートされると、第3トランジスタM3のゲート電圧VG3をローレベルVL3からハイレベルVH4に切り替える。
【0059】
また第2制御回路440は、ローサイド制御信号LCTRLがハイからローに遷移すると、第3トランジスタM3のゲート電圧VG3をハイレベルVH3からローレベルVL3に切り替える。そして、第3ラッチ436の出力Slatch3がアサートされると、第4トランジスタM4のゲート電圧VG4をローレベルVL4からハイレベルVH4に切り替える。
【0060】
以上がドライバ回路400の構成である。続いてその動作を説明する。
【0061】
図4は、実施形態に係るドライバ回路400の動作波形図である。ここではローサイドプリドライバ430が、ローサイドトランジスタMLをターンオンするときの動作を説明する。時刻tに、ローサイド制御信号LCTRLがローからハイに遷移する。このタイミングで第4オフセンサ434はリセットされる。
【0062】
ローサイド制御信号LCTRLがハイに遷移すると、第2制御回路440は、第4トランジスタM4のゲート電圧VG4を時間とともに低下させる。時刻tに、ゲート電圧VG4がしきい値レベルVth4を下回ると、第4トランジスタM4のターンオフを示す第4オフ検出信号Soff4がアサートされる。第4オフ検出信号Soff4のアサートに応答して、第4ラッチ信号Slatch4がアサートされる。第4ラッチ信号Slatch4のアサートに応答して、第2制御回路440は、第3トランジスタM3のゲート電圧VG3を時間とともに低下させる。そして時刻tに第3トランジスタM3がターンオンすると、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGが上昇し、ローサイドトランジスタMLがターンオンする。
【0063】
時刻t~tの区間は、第3トランジスタM3と第4トランジスタM4が両方オフとなるデッドタイムとなる。このデッドタイムによって、第3トランジスタM3と第4トランジスタM4が同時にオンとなり貫通電流が流れるのを防止できる。
【0064】
ドライバ回路400のさらなる利点は比較技術との対比によって明確となる。そこで比較技術について説明する。
【0065】
図5は、比較技術に係るドライバ回路400Rの回路図である。ドライバ回路400Rのローサイドプリドライバ430Rは、第3ラッチ436および第4ラッチ438を備えておらず、第3オフ検出信号Soff3および第4オフ検出信号Soff4が直接、第2制御回路440に供給される。ハイサイドプリドライバ410Rについても同様であり、第1ラッチ416および第2ラッチ418が省略される。
【0066】
図6は、比較技術に係るドライバ回路400Rの動作波形図である。時刻t~tの動作は、実施形態と同様である。
【0067】
時刻tに、ノイズの影響によって第4トランジスタM4のゲート電圧VG4が上昇し、第4オフ検出信号Soff4がネゲート(ロー)となる。第2制御回路440Rは、第4オフ検出信号Soff4がネゲートされると、第4トランジスタM4がオン状態であると誤検知し、第3トランジスタM3と第4トランジスタM4の同時オンを防止するために、第3トランジスタM3のゲート電圧VG3を上昇させ、第3トランジスタM3をターンオフする。その結果、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGは、時間ともに低下していき、ローサイド制御信号LCTRLがハイであるにもかかわらず、ローサイドトランジスタMLがターンオフしてしまう。
【0068】
図4に戻り、実施形態に係るドライバ回路400の動作を説明する。時刻tにノイズの影響によって第4トランジスタM4のゲート電圧VG4が上昇し、第4オフ検出信号Soff4がネゲート(ロー)となるが、第4ラッチ信号Slatch4はアサート(ハイ)を維持する。そのため、第2制御回路440は、第4トランジスタM4がオフ状態であると正しく検知しているため、第3トランジスタM3のゲート電圧VG3はローレベルVL3を維持する。これにより、ローサイド制御信号LCTRLがハイの期間、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGをハイレベルVDDに維持することができる。
【0069】
ここではローサイドプリドライバ430について、ローサイドトランジスタMLをターンオンする動作を説明したが、ローサイドトランジスタMLをターンオフする際も、同様に動作する。
【0070】
図7は、実施形態に係るドライバ回路400の動作波形図である。ここではローサイドプリドライバ430が、ローサイドトランジスタMLをターンオフするときの動作を説明する。
【0071】
時刻tに、ローサイド制御信号LCTRLがローからハイに遷移する。このタイミングで第3オフセンサ432はリセットされる。
【0072】
ローサイド制御信号LCTRLがローに遷移すると、第2制御回路440は、第3トランジスタM3のゲート電圧VG3を時間とともに上昇させる。時刻tに、ゲート電圧VG3がしきい値レベルVth3を超えると、第3トランジスタM3のターンオフを示す第3オフ検出信号Soff3がアサートされる。第3オフ検出信号Soff3のアサートに応答して、第3ラッチ信号Slatch3がアサートされる。第3ラッチ信号Slatch3のアサートに応答して、第2制御回路440は、第4トランジスタM4のゲート電圧VG4を時間とともに上昇させる。そして時刻tに第4トランジスタM4がターンオンすると、ローサイドトランジスタMLのゲート電圧VLGが低下し、ローサイドトランジスタMLがターンオフする。
【0073】
時刻t~tの区間は、第3トランジスタM3と第4トランジスタM4が両方オフとなるデッドタイムとなる。このデッドタイムによって、第3トランジスタM3と第4トランジスタM4が同時にオンとなり貫通電流が流れるのを防止できる。
【0074】
また、第3ラッチ436を設けたことにより、ノイズによって第3オフセンサ432が誤動作した場合に、ローサイドトランジスタMLがターンオンするのを防止できる。
【0075】
ここではローサイドプリドライバ430の動作について説明したが、ハイサイドプリドライバ410も同様に動作し、同様の効果を得ることができる。
【0076】
続いて第1ラッチ416、第2ラッチ418、第3ラッチ436、第4ラッチ438の構成例を説明する。
【0077】
図8は、ドライバ回路400の一部の具体的な構成例を示す回路図である。
【0078】
この構成例において、第1ラッチ416、第2ラッチ418、第3ラッチ436、第4ラッチ438は、SRラッチで構成することができる。第1ラッチ416は、ハイサイドトランジスタMHのターンオフ動作に先だってリセットされる。第1ラッチ416のリセット信号として、ハイサイド制御信号HCTRLのネガティブエッジを利用することができる。インバータINV1は、ハイサイド制御信号HCTRLを反転し、第1ラッチ416のリセット端子に供給する。
【0079】
第2ラッチ418は、ハイサイドトランジスタMHのターンオン動作に先だってリセットされる。第2ラッチ418のリセット信号として、ハイレベル制御信号HCTRLのポジエッジを利用することができる。
【0080】
第3ラッチ436は、ローサイドトランジスタMLのターンオフ動作に先だってリセットされる。リセット信号として、ローサイド制御信号LCTRLのネガティブエッジを利用することができる。インバータINV3は、ローサイド制御信号LCTRLを反転し、第3ラッチ436のリセット端子に供給する。
【0081】
第4ラッチ438は、ローサイドトランジスタMLのターンオン動作に先だってリセットされる。第4ラッチ438のリセット信号として、ローサイド制御信号LCTRLのポジエッジを利用することができる。
【0082】
図9は、SRラッチの構成例を示す回路図である。SRラッチは、セット入力ノードS、リセット入力ノードR、出力ノードOUT、ORゲートOR1およびANDゲートAND1を含む。ORゲートOR1は、第1入力が出力ノードOUTと接続され、第2入力がセット入力ノードSと接続される。ANDゲートAND1は、第1入力がORゲートOR1の出力と接続され、第2入力がリセット入力ノードRと接続される。なおSRラッチの構成はこれに限定されず、公知のさまざまな回路を採用することができる。
【0083】
続いて、スイッチング回路100の用途を説明する。スイッチング回路100は、モータの駆動回路に好適に用いることができる。
【0084】
図10は、実施形態に係るスイッチング回路100を備えるモータ駆動装置300の回路図である。モータ駆動装置300は、負荷である三相モータ302を駆動し、回転状態を制御する。
【0085】
モータ駆動装置300は、ブリッジ回路110および駆動回路200を備える。ブリッジ回路110は、三相インバータであり、U相、V相、W相のレグを有し、各相のレグは、上アームおよび下アームを有する。
【0086】
駆動回路200は、制御回路210およびハイサイドプリドライバ220U~220W、ローサイドプリドライバ260U~260Wを備える。制御回路210は、負荷である三相モータ302の状態にもとづいて、ブリッジ回路110を構成する6個のアームの状態を示す制御信号を生成する。
【0087】
ハイサイドプリドライバ220U~220Wは、上述のハイサイドプリドライバ410と同様に構成される。ローサイドプリドライバ260U~260Wは、上述のローサイドプリドライバ430と同様に構成される。
【0088】
ここでは三相モータを例としたが、単相モータであってもよい。この場合、ブリッジ回路110はHブリッジ回路となる。
【0089】
続いてモータ駆動装置300の用途を説明する。モータ駆動装置300は、ハードディスクのスピンドルモータの制御、撮像デバイスのレンズ駆動用モータの制御に利用できる。あるいは、プリンタのヘッドの駆動用モータ、あるいは紙送り用モータの駆動に用いることができる。あるいはモータ駆動装置300は、電気自動車やハイブリッド自動車などのモータの駆動に利用できる。
【0090】
実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示あるいは本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0091】
(変形例1)
実施形態では、ブリッジ回路110がディスクリート部品で構成されたが、その限りでなく、ブリッジ回路110はドライバ回路400に集積化されていてもよい。
【0092】
(変形例2)
上アーム112および下アーム114は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成してもよい。
【0093】
(変形例3)
スイッチング回路100の用途はモータ駆動装置300には限定されない。たとえばスイッチング回路100は、スイッチングレギュレータ(DC/DCコンバータ)、各種電力変換装置(インバータやコンバータ)、放電灯の点灯用インバータ、デジタルオーディオアンプなどに好適に利用できる。したがってスイッチング回路100は、電子機器や家電製品を含む民生機器、自動車や車載部品、産業車両や産業機械に用いることができる。
【0094】
実施形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0095】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0096】
(項目1)
Nチャンネルのハイサイドトランジスタを駆動するドライバ回路であって、
前記ハイサイドトランジスタのオン、オフを指示するハイサイド制御信号に応じて、前記ハイサイドトランジスタを駆動するハイサイドプリドライバを備え、
前記ハイサイドプリドライバは、
ドレインが前記ハイサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第1トランジスタと、
ドレインが前記ハイサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第2トランジスタと、
前記第1トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第1オフ検出信号を生成する第1オフセンサと、
前記第2トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第2オフ検出信号を生成する第2オフセンサと、
前記第1オフ検出信号のアサートをラッチする第1ラッチと、
前記第2オフ検出信号のアサートをラッチする第2ラッチと、
前記ハイサイド制御信号、前記第1ラッチの出力、前記第2ラッチの出力を受け、前記第1トランジスタのゲート信号および前記第2トランジスタのゲート信号を生成する第1制御回路と、
を含む、ドライバ回路。
【0097】
(項目2)
前記第1ラッチは、前記ハイサイド制御信号に応じてリセットされ、
前記第2ラッチは、前記ハイサイド制御信号の反転信号に応じてリセットされる、項目1に記載のドライバ回路。
【0098】
(項目3)
前記第1ラッチおよび前記第2ラッチはSRラッチである、項目1または2に記載のドライバ回路。
【0099】
(項目4)
前記SRラッチは、
セット入力ノード、リセット入力ノードおよび出力ノードと、
第1入力が前記出力ノードと接続され、第2入力が前記セット入力ノードと接続されたORゲートと、
第1入力が前記ORゲートの出力と接続され、第2入力が前記リセット入力ノードと接続されたANDゲートと、
を含む、項目3に記載のドライバ回路。
【0100】
(項目5)
前記ドライバ回路は、前記ハイサイドトランジスタとともにブリッジ回路を形成するNチャンネルのローサイドトランジスタをさらに駆動するように構成され、
前記ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するハイサイド制御信号に応じて、前記ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバをさらに備え、
前記ローサイドプリドライバは、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、
前記第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、
前記第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、
前記第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、
前記第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、
前記ローサイド制御信号、前記第3ラッチの出力、前記第4ラッチの出力を受け、前記第3トランジスタのゲート信号および前記第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、
を含む、項目1または2に記載のドライバ回路。
【0101】
(項目6)
Nチャンネルのローサイドトランジスタを駆動するドライバ回路であって、
前記ローサイドトランジスタのオン、オフを指示するローサイド制御信号に応じて、前記ローサイドトランジスタを駆動するローサイドプリドライバを備え、
前記ローサイドプリドライバは、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたPチャンネルの第3トランジスタと、
ドレインが前記ローサイドトランジスタのゲートと接続されたNチャンネルの第4トランジスタと、
前記第3トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第3オフ検出信号を生成する第3オフセンサと、
前記第4トランジスタのゲートソース間電圧が所定のしきい値レベルより小さいときにアサートされる第4オフ検出信号を生成する第4オフセンサと、
前記第3オフ検出信号のアサートをラッチする第3ラッチと、
前記第4オフ検出信号のアサートをラッチする第4ラッチと、
前記ローサイド制御信号、前記第3ラッチの出力、前記第4ラッチの出力を受け、前記第3トランジスタのゲート信号および前記第4トランジスタのゲート信号を生成する第2制御回路と、
を含む、ドライバ回路。
【0102】
(項目7)
前記第3ラッチは、前記ローサイド制御信号に応じてリセットされ、
前記第4ラッチは、前記ローサイド制御信号の反転信号に応じてリセットされる、項目5または6に記載のドライバ回路。
【0103】
(項目8)
前記第3ラッチおよび前記第4ラッチはSRラッチである、項目5から7のいずれかに記載のドライバ回路。
【0104】
(項目9)
前記SRラッチは、
セット入力ノード、リセット入力ノードおよび出力ノードと、
第1入力が前記出力ノードと接続され、第2入力が前記セット入力ノードと接続されたORゲートと、
第1入力が前記ORゲートの出力と接続され、第2入力が前記リセット入力ノードと接続されたANDゲートと、
を含む、項目8に記載のドライバ回路。
【0105】
(項目10)
ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタを含むブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の前記ハイサイドトランジスタおよび前記ローサイドトランジスタの少なくとも一方を駆動する項目1から9のいずれかに記載のドライバ回路と、
を備える、モータ駆動装置。
【0106】
(項目11)
モータと、
前記モータを駆動する項目10に記載のモータ駆動装置と、
を備える、電子機器。
【符号の説明】
【0107】
100 スイッチング回路
102 入力ライン
104 出力ライン
106 接地ライン
110 ブリッジ回路
112 上アーム
114 下アーム
MH ハイサイドトランジスタ
ML ローサイドトランジスタ
Di フライホイルダイオード
400 ドライバ回路
410 ハイサイドプリドライバ
412 第1オフセンサ
414 第2オフセンサ
416 第1ラッチ
418 第2ラッチ
420 第1ロジック回路
430 ローサイドプリドライバ
432 第3オフセンサ
434 第4オフセンサ
436 第3ラッチ
438 第4ラッチ
440 第2ロジック回路
HCTRL ハイサイド制御信号
LCTRL ローサイド制御信号
M1 第1トランジスタ
M2 第2トランジスタ
M3 第3トランジスタ
M4 第4トランジスタ
Soff1 第1オフ検出信号
Soff2 第2オフ検出信号
Soff3 第3オフ検出信号
Soff4 第4,オフ検出信号
300 モータ駆動装置
302 三相モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10