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特開2024-135302情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135302
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045925
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】小野 謙次
(72)【発明者】
【氏名】大槻 知史
(72)【発明者】
【氏名】重松 宗一郎
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本実施の形態の情報処理装置は、複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する作成部を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、前記複数回のデマンドレスポンス要請に際して、前記複数の需要家に対して前記供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する作成部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記作成部は、前記アグリゲータの収益を最大化する最適化条件にさらに基づいて、前記デマンドレスポンス分配計画を作成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記作成部は、指定の収益評価方式における前記アグリゲータの収益を最大化する条件である、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記作成部は、複数の前記供給力遷移シナリオに基づいて、複数の前記デマンドレスポンス分配計画を作成し、
複数の前記デマンドレスポンス分配計画を統合して統合デマンドレスポンス分配計画を作成する統合部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の前記デマンドレスポンス分配計画に基づいて、前記統合デマンドレスポンス分配計画の予想収益を評価する評価指標を算出する評価部をさらに備える、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記複数の需要家について、該複数の需要家の受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データに基づいて、供給力の遷移データを作成する、遷移データ作成部をさらに備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記複数の需要家について、前記供給力の遷移データを模倣する第1の供給力遷移モデルを作成する、第1のモデル作成部をさらに備える、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1の供給力遷移モデルは回帰モデルである、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記複数の需要家を、該需要家に対応する前記第1の供給力遷移モデルの適合度に基づいて、調整可能需要家またはランダム需要家のいずれかに分類する、分類部をさらに備える、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記分類部は、前記第1の供給力遷移モデルの適合度が所定の閾値以上の需要家を前記調整可能需要家に分類し、前記第1の供給力遷移モデルの適合度が前記閾値未満の需要家を前記ランダム需要家に分類する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記ランダム需要家の供給力の遷移データを束ねた領域を計算し、該領域を模倣する第2の供給力遷移モデルを作成する、第2のモデル作成部をさらに備える、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2の供給力遷移モデルは非回帰モデルである、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記第1の供給力遷移モデルおよび前記第2の供給力遷移モデルの少なくとも一方を用いて、前記供給力遷移シナリオを生成するシナリオ生成部をさらに備える、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、前記複数回のデマンドレスポンス要請に際して、前記複数の需要家に対して前記供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成するステップを含む、情報処理方法。
【請求項15】
複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、前記複数回のデマンドレスポンス要請に際して、前記複数の需要家に対して前記供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成するステップをコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デマンドレスポンス技術では、電力事業者によってデマンドレスポンス要請が行われると、アグリゲート事業者(アグリゲータ)は、当該デマンドレスポンス要請を予め契約している複数の需要家に分配し、各需要家に対して供給力の提供要請を行う。供給力とは、需要家に対して節電要請を行う場合には節電電力のことであり、需要家に対して発電要請を行う場合には発電電力のことである。アグリゲータは、電力事業者の要求を満たす供給力を確保できた場合には報酬(インセンティブ)が得られ、要求を満たす供給力を確保できない場合には損失(ペナルティ)が発生する。
【0003】
電力事業者によって複数回のデマンドレスポンス要請が行われる場合には、各デマンドレスポンス要請を各需要家にどのように分配し、各需要家に対して供給力の提供要請を行うかが、アグリゲータの収益に直結する。また、需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際には、最初の数回の要請の際には、比較的大きな供給力が期待できるが、要請の回数が多くなるに従って、提供される供給力が減少していく傾向があることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6779800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施の形態は、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本実施の形態に係る情報処理装置は、複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する作成部を備える。
【0007】
また、本実施の形態に係る情報処理方法は、複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成するステップを含む。
【0008】
また、本実施の形態に係るコンピュータプログラムは、複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成するステップをコンピュータに実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るデマンドレスポンス分配システムの構成を示す図。
図2】デマンドレスポンス分配計画の一例を示す図。
図3】情報処理装置の機能的な構成を示す図。
図4】供給力遷移シナリオの一例を示す図。
図5】実施の形態1に係る情報処理装置におけるデマンドレスポンス分配計画の作成処理の詳細を説明するフローチャート。
図6】入出力インターフェースのGUIの一例を示す図。
図7】入出力インターフェースのGUIの一例を示す図。
図8】入出力インターフェースのGUIの一例を示す図。
図9】各需要家の供給力の時間遷移プロファイルの一例を示す図。
図10】実施の形態2に係る情報処理装置の構成を示す図。
図11】実施の形態2に係る情報処理装置における統合デマンドレスポンス分配計画の作成処理の詳細を説明するフローチャート。
図12】入出力インターフェースのGUIの一例を示す図。
図13】入出力インターフェースのGUIの一例を示す図。
図14】入出力インターフェースのGUIの一例を示す図。
図15】実施の形態3に係る情報処理装置の構成を示す図である。
図16】実施の形態3に係る情報処理装置における供給力遷移シナリオの作成処理の詳細を説明するフローチャート。
図17】需要家の供給力の遷移データの一例を示す図。
図18】需要家の供給力の遷移データを束ねて形成される領域の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。図面において同一または対応する要素には同じ参照符号を付して、詳細な説明は適宜省略する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るデマンドレスポンス分配システムの構成を示す図である。電力事業者1によってデマンドレスポンス要請(DR要請)が行われると、アグリゲータ2は、当該デマンドレスポンス要請を予め契約している複数の需要家A~Cに分配し、各需要家に対して供給力の提供要請を行う。この際、アグリゲータ2は、常にすべての需要家に対して供給力の提供要請を行うのではなく、予め情報処理装置100を用いて作成されるデマンドレスポンス分配計画(DR分配計画)に基づいて、各需要家に対して供給力の提供要請を行う。
【0012】
情報処理装置100は、電力事業者1によって要請される複数回のデマンドレスポンス要請に際して、各需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する。例えば、デマンドレスポンス分配計画は、アグリゲータ2の収益を最大化するように作成される。
【0013】
図2は、情報処理装置100によって作成されるデマンドレスポンス分配計画の一例である。この図の例では、1回目のデマンドレスポンス要請の際には、需要家Aに対してのみ供給力の提供要請が行われる。2回目のデマンドレスポンス要請の際には、需要家AおよびCに対して供給力の提供要請が行われる。3回目のデマンドレスポンス要請の際には、需要家A~Cに対して供給力の提供要請が行われる。
【0014】
図3は、情報処理装置100の機能的な構成を示す図である。情報処理装置100は、入出力インターフェース10と、第1の取得部11と、第2の取得部12と、第3の取得部13と、シナリオ格納部14と、条件格納部15と、作成部16と、分配計画格納部17と、出力部18とを備えている。ただし、図3に示される構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、情報処理装置100の各機能は、物理的に分離された複数の構成に分散して実装されてもよい。
【0015】
入出力インターフェース10は、ユーザと情報処理装置100との間の各種情報のやり取りを可能にする。入出力インターフェース10は、例えば、液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、およびタッチパネル等によって構成されている。なお、ユーザとは、例えば、アグリゲータ2の従業員が想定される。
【0016】
第1の取得部11は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって指定されるデマンドレスポンス要請の予想回数を取得する。
【0017】
第2の取得部12は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって選択される需要家の集合を取得する。第2の取得部12は、当該需要家の集合に対応する1つまたは複数の供給力遷移シナリオをシナリオ格納部14から取得する。
【0018】
シナリオ格納部14には、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオが多数格納されている。図4は、供給力遷移シナリオの一例である。この図の例では、供給力遷移シナリオは、需要家A~Cの予想される供給力の時間遷移プロファイルを含んでおり、各時間遷移プロファイルは、6個のタイムスロットを含んでいる。
【0019】
図4の例では、需要家A、B、Cともに、最初の数回の供給力の提供要請の際には、比較的大きな供給力が予想されるが、要請の回数が多くなるに従って、予想される供給力が減少していく。これは供給力の提供要請の回数が多くなるに従って、需要家の供給力の提供意欲が低下していく傾向を反映している。
【0020】
第3の取得部13は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって選択される収益評価方式を取得する。第3の取得部13は、当該収益評価方式に対応する最適化条件を条件格納部15から取得する。条件格納部15には、デマンドレスポンスの各種の収益評価方式に対応する最適化条件が格納されている。
【0021】
作成部16は、デマンドレスポンス要請の予想回数、供給力遷移シナリオおよび最適化条件に基づいて、デマンドレスポンス分配計画を作成する。先述したように、デマンドレスポンス分配計画は、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、各需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示す情報である。
【0022】
分配計画格納部17には、作成部16によって作成されたデマンドレスポンス分配計画が格納される。出力部18は、入出力インターフェース10を介して、分配計画格納部17に格納されたデマンドレスポンス分配計画をユーザに提示する。
【0023】
次に、本実施の形態1に係る情報処理装置100におけるデマンドレスポンス分配計画の作成処理の詳細について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
ステップS101において、情報処理装置100の第1の取得部11は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって指定されるデマンドレスポンス要請の予想回数を取得する。図6は、この際の入出力インターフェース10のGUIの一例である。本実施の形態1では、デマンドレスポンス要請の予想回数をDで表す。Dは2以上の自然数であり、図6の例では、D=4回と指定されている。
【0025】
ステップS102において、情報処理装置100の第2の取得部12は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって選択される収益評価方式および需要家の集合を取得する。図7は、この際の入出力インターフェース10のGUIの一例である。この図の例では、収益評価方式としてB方式が選択され、需要家の集合として、需要家AおよびCを含む集合が選択されている。
【0026】
ステップS103において、情報処理装置100の第2の取得部12は、上記のステップS102で選択された需要家の集合に対応する1つまたは複数の供給力遷移シナリオをシナリオ格納部14から取得する。本実施の形態1では、供給力遷移シナリオは、需要家iに対するn回目の供給力の提供要請の際のt個目のタイムスロットにおける供給力として、Ri,n,t[kW]の形式で表現される。図7の例では、i=A、Cであり、n=1~Dであり、t=1~Tである。ただし、Tは1以上の自然数であり、図4の例ではT=6である。
【0027】
ステップS104において、情報処理装置100の第3の取得部13は、上記のステップS102で選択された収益評価方式に対応する最適化条件を条件格納部15から取得する。
【0028】
例えば、容量市場の設計を想定したB方式においては、d回目のデマンドレスポンス要請の際のt個目のタイムスロットにおける各需要家の供給力の総和(「総供給力」)をvt,d[kW]、d回目のデマンドレスポンス要請の際のt個目のタイムスロットにおけるkW換算でのインバランス単価をBt,d[円/kW]、基本料金をF[円]、契約容量をC[kW]とするとき、アグリゲータ2のインセンティブIc[円]およびペナルティPc[円]は、以下のように計算される。
【0029】
【数1】
【0030】
したがって、容量市場方式におけるアグリゲータ2の収益を最大化する最適化条件は、上記のインセンティブIcとペナルティPnとの差を用いて、以下のように定式化することができる。
【0031】
【数2】
【0032】
ただし、上式においてI=Iadjust∪Idispatchであり、Iadjustはデマンドレスポンス分配計画の対象となる需要家の集合であり、Idispatchはデマンドレスポンス分配計画において常にデマンドレスポンス要請を行う需要家である。
【0033】
また、上記の定式化における決定変数は、バイナリ変数xi,d、yi,d,n、およびzi,d,nであり、これらのバイナリ変数は、1がTRUE、0がFALSEに対応する。詳細には、xi,dは、d回目のデマンドレスポンス要請の際に、需要家iに対して供給力の提供要請を行うか否かを示すバイナリ変数である。yi,d,nは、d回目のデマンドレスポンス要請までに、需要家iに対して合計n回の供給力の提供要請を行ったか否かを示すバイナリ変数である。zi,d,nは、d回目のデマンドレスポンス要請の際に、需要家iに対してちょうど合計n回の供給力の提供要請を行ったか否かを示すバイナリ変数である。
【0034】
ステップS105において、情報処理装置100の作成部16は、上記のステップS101で取得されたデマンドレスポンス要請の予想回数(D)と、上記のステップS103で取得された供給力遷移シナリオ(Ri,n,t)と、上記のステップS104で取得された最適化条件とに基づいて、デマンドレスポンス分配計画を作成する。この際、上記のステップS103で複数の供給力遷移シナリオが取得された場合には、各供給力遷移シナリオに対応して、複数のデマンドレスポンス分配計画が作成される。
【0035】
なお、最適化には、整数最適化問題を解くことができるソルバを使用することができる。例えば、フリーソフトウェアであるCoin-or Cbc、あるいは有償のソフトウェアであるGurobiやXpress等を使用することができる。
【0036】
本実施の形態1では、デマンドレスポンス分配計画は、d回目のデマンドレスポンス要請の際に、需要家iに対して供給力の提供要請を行うか否かを示すバイナリ値として、(xi,d)の形式で表現される。
【0037】
ステップS106において、情報処理装置100の作成部16は、上記のステップS105で作成されたデマンドレスポンス分配計画(xi,j)を分配計画格納部17に格納する。
【0038】
ステップS107において、情報処理装置100の出力部18は、入出力インターフェース10を介して、上記のステップS106で分配計画格納部17に格納されたデマンドレスポンス分配計画(xi,d)をユーザに提示する。図8は、この際の入出力インターフェース10のGUIの一例である。
【0039】
図8のデマンドレスポンス分配計画では、電力事業者1からの1回目および2回目のデマンドレスポンス要請の際には、アグリゲータ2は、事業家Aに対してのみ供給力の提供要請を行う。また、電力事業者1からの3回目および4回目のデマンドレスポンス要請の際には、アグリゲータ2は、事業家AおよびCに対して供給力の提供要請を行う。
【0040】
図9は、図8のデマンドレスポンス要請に従って、需要家AおよびCに対して供給力の提供要請が行われた場合の各需要家の供給力の時間遷移プロファイルの一例である。この図の例では、電力事業者1からの1回目および2回目のデマンドレスポンス要請の際には、需要家Aの1回目および2回目の供給力に余裕があるため、需要家Cに対する供給力の提供要請は行われない。
【0041】
その後、電力事業者1からの3回目および4回目のデマンドレスポンス要請の際には、需要家Aの供給力だけでは不十分となるため、需要家Cに対する1回目および2回目の供給力の提供要請が行われる。換言すれば、需要家Cに対する1回目および2回目の供給力の提供要請が、3回目のデマンドレスポンス要請の時までスライドされている(図4を比較参照のこと)。
【0042】
アグリゲータ2は、デマンドレスポンス分配計画に従って、各需要家に対して供給力の提供要請を行うことにより、自己の収益を最大化することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施の形態1に係る情報処理装置100は、複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数、供給力遷移シナリオ、および最適化条件に基づいて、複数回のデマンドレスポンス要請に際して、複数の需要家に対して供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成することができる。
【0044】
上記のような特徴により、本実施の形態1に係る情報処理装置100によれば、アグリゲータ2は、デマンドレスポンス分配計画に従って各需要家に対して供給力の提供要請を行うことにより、実際に行われる複数回のデマンドレスポンス要請を複数の需要家に分配することができる。
【0045】
また、情報処理装置100は、各種の収益評価方式におけるアグリゲータ2の収益が最大化されるように、デマンドレスポンス分配計画を作成する。これにより、アグリゲータ2は、デマンドレスポンス分配計画に従って各需要家に対して供給力の提供要請を行うことにより、各種の収益評価方式における自己の収益を最大化することができる。
【0046】
(実施の形態2)
図10は、実施の形態2に係る情報処理装置200の構成を示す図である。情報処理装置200は、複数の供給力遷移シナリオに基づいて、複数のデマンドレスポンス分配計画を作成し、これらを統合して統合デマンドレスポンス分配計画を作成する機能を備えている。
【0047】
詳細には、情報処理装置200は、上記の実施の形態1に係る情報処理装置100の各構成要素に加えて、統合部219と、統合計画格納部220と、評価部221と、評価指標格納部222とを備えている。また、情報処理装置200は、出力部18に代えて、出力部218を備えている。
【0048】
統合部219は、分配計画格納部17に格納されている複数のデマンドレスポンス分配計画を統合し、統合デマンドレスポンス分配計画を作成する。統合部219によって作成された統合デマンドレスポンス分配計画は、統合計画格納部220に格納される。
【0049】
評価部221は、統合計画格納部220に格納されている統合デマンドレスポンス分配計画に基づいて、1つまたは複数の評価指標を算出する。評価部221によって算出された1つまたは複数の評価指標は、評価指標格納部222に格納される。
【0050】
出力部218は、入出力インターフェース10を介して、統合計画格納部220に格納されている統合デマンドレスポンス分配計画、および評価指標格納部222に格納されている1つまたは複数の評価指標をユーザに提示する。
【0051】
図11は、本実施の形態2に係る情報処理装置200における統合デマンドレスポンス分配計画の作成処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0052】
ステップS101において、情報処理装置200の第1の取得部11は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって指定されるデマンドレスポンス要請の予想回数(D)を取得する。
【0053】
ステップS102において、情報処理装置200の第2の取得部12は、入出力インターフェース10を介して、ユーザによって選択される収益評価方式および需要家の集合を取得する。図12は、この際の入出力インターフェース10のGUIの一例である。この図の例では、収益評価方式としてB方式が選択され、需要家の集合として、需要家AおよびCを含む集合が選択されている。また、需要家AおよびCを含む集合に対応する供給力遷移シナリオの数が20個であることが示されている。
【0054】
ステップS103において、情報処理装置200の第2の取得部12は、上記のステップS102で選択された需要家の集合に対応する複数の供給力遷移シナリオ(R(k) i,n,t)をシナリオ格納部14から取得する。ただし、kは1~Kであり、Kは供給力遷移シナリオの数である。図12の例では、需要家AおよびCを含む集合に対応するK=20個の供給力遷移シナリオ(R(k) i,n,t)が取得される。
【0055】
ステップS104において、情報処理装置200の第3の取得部13は、上記のステップS102で選択された収益評価方式に対応する最適化条件を条件格納部15から取得する。図12の例では、B方式に対応する最適化条件が取得される。
【0056】
ステップS105において、情報処理装置200の作成部16は、デマンドレスポンス要請の予想回数(D)、複数の供給力遷移シナリオ(R(k) i,n,t)、および最適化条件に基づいて、複数のデマンドレスポンス分配計画(x(k) i,d)を作成する。
【0057】
ステップS106において、情報処理装置200の作成部16は、上記のステップS105で作成された複数のデマンドレスポンス分配計画(x(k) i,d)を分配計画格納部17に格納する。
【0058】
ステップS207において、情報処理装置200の統合部219は、上記のステップ106で分配計画格納部17に格納された複数のデマンドレスポンス分配計画(x(k) i,d)を統合し、統合デマンドレスポンス分配計画(Xi,d)を作成する、
【0059】
詳細には、統合部219は、複数のデマンドレスポンス分配計画(x(k) i,d)の各要素について、以下の式に従って合計値を算出する。
【0060】
【数3】
【0061】
次に、統合部219は、合計値(Si,d)が所定の閾値以上の場合には、統合デマンドレスポンス分配計画(Xi,d)の対応する要素に1(TRUE)を格納し、合計値(Si,d)が所定の閾値未満の場合には、統合デマンドレスポンス分配計画(Xi,d)の対応する要素に0(FALSE)を格納する。本実施の形態2では、所定の閾値は、例えばK/2に設定される。
【0062】
ステップS208において、情報処理装置200の統合部219は、上記のステップS207で作成された統合デマンドレスポンス分配計画(Xi,d)を統合計画格納部220に格納する。
【0063】
ステップS209において、評価部221は、分配計画格納部17に格納されている複数のデマンドレスポンス分配計画(x(k) i,d)に基づいて、統合デマンドレスポンス分配計画(Xi,d)の予想収益を評価する1つまたは複数の評価指標を算出する。本実施の形態2では、評価指標として、通常ケース、楽観ケース、および悲観ケースの3つの評価指標が算出される。
【0064】
詳細には、評価部221は、上記のステップS207で分配計画格納部17に格納された複数のデマンドレスポンス分配計画(x(k) i,d)のそれぞれについて、以下の式に従って予想収益を算出する。
【0065】
【数4】
【0066】
本実施の形態2では、評価部221は、複数の予想収益の平均値を通常ケースの予想収益とし、最大値を楽観ケースの予想収益とし、最小値を悲観ケースの予想収益とする。
【0067】
ステップS210において、情報処理装置200の評価部221は、上記のステップS209で算出された3つの評価指標を評価指標格納部222に格納する。
【0068】
ステップS211において、情報処理装置200の出力部218は、入出力インターフェース10を介して、上記のステップS208で統合計画格納部220に格納された統合デマンドレスポンス分配計画(Xi,d)をユーザに提示する。図13および図14は、この際の入出力インターフェース10のGUIの一例である。
【0069】
以上説明したように、本実施の形態2に係る情報処理装置200は、複数の供給力遷移シナリオに基づいて複数のデマンドレスポンス分配計画を作成し、これらを統合して統合デマンドレスポンス分配計画を作成する。
【0070】
上記のような特徴により、本実施の形態2に係る情報処理装置200によれば、複数の供給力遷移シナリオの可能性を考慮して、実際に行われる複数回のデマンドレスポンス要請を分配することができる。
【0071】
また、情報処理装置200は、統合デマンドレスポンス分配計画の予想収益を評価する評価指標、具体的には、通常ケースの予想収益、楽観ケースの予想収益、および悲観ケースの予想収益を算出する。これにより、アグリゲータ2は、統合デマンドレスポンス分配計画によって得られる収益を事前に把握することができる。
【0072】
(実施の形態3)
図15は、実施の形態3に係る情報処理装置300の構成を示す図である。情報処理装置300は、各需要家の実際の受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データに基づいて、供給力遷移シナリオを生成する機能を備えている。
【0073】
詳細には、情報処理装置300は、上記の実施の形態1に係る情報処理装置100の各構成要素に加えて、需要家データ格納部323と、遷移データ作成部324と、第1のモデル作成部325と、分類部326と、第2のモデル作成部327と、シナリオ生成部328とを備えている。
【0074】
需要家データ格納部323には、各需要家の実際の受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データが格納されている。
【0075】
遷移データ作成部324は、需要家データ格納部323に格納されている各需要家の受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データに基づいて、各需要家の供給力の遷移データを作成する。
【0076】
第1のモデル作成部325は、各需要家の供給力の遷移データを模倣する第1の供給力遷移モデルを作成する、
【0077】
分類部326は、各需要家を第1の供給力遷移モデルの適合度に基づいて、調整可能需要家またはランダム需要家のいずれかに分類する。
【0078】
第2のモデル作成部327は、ランダム需要家の供給力の遷移データを束ねた領域を計算し、当該領域を模倣する第2の供給力遷移モデルを作成する。
【0079】
シナリオ生成部328は、第1の供給力遷移モデルおよび第2の供給力遷移モデルを用いて、供給力遷移シナリオを生成する。
【0080】
図16は、本実施の形態3に係る情報処理装置300における供給力遷移シナリオの生成処理の詳細を説明するフローチャートである。
【0081】
ステップS312において、情報処理装置300の遷移データ作成部324は、需要家データ格納部323に格納されている各需要家の受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データに基づいて、需要家A~Cの供給力の遷移データを作成する。
【0082】
詳細には、遷移データ作成部324は、需要家A~Cの各ベースラインを計算し、受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データとベースラインとの差分から、各需要家の供給力の遷移データを作成する。ここで、ベースラインの計算には、例えば、エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するガイドライン(https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200601001/20200601001.html)に記載されている方法に基づいて計算してもよいし、あるいは独自の需要予測に基づいて計算してもよい。
【0083】
ステップS313において、情報処理装置300の第1のモデル作成部325は、需要家A~Cの供給力の遷移データを模倣する第1の供給力遷移モデル(M1(A) n,t、M1(B) n,t、M1(C) n,t)を作成する、
【0084】
詳細には、第1のモデル作成部325は、上記のステップS312で作成された需要家A~Cの供給力の遷移データを模倣する回帰モデルをそれぞれ作成する。図17は、需要家Aの供給力の遷移データの一例である。本実施の形態3では、このような遷移データを模倣する回帰モデルとして、供給力の提供要請の各回における供給力の平均値の遷移を模倣するモデルと、供給力の提供要請の特定回における平均値の付近の供給力の遷移を模倣するモデルとを組み合わせた複合モデルを考える。
【0085】
前者のモデルとしては、例えば、以下のようなシグモイド関数に基づくモデルを考えることができる。
【0086】
【数5】
【0087】
ただし、上式において、xは、供給力の提供要請の各回における供給力の平均値である。また、a、k、x、およびcは、モデルパラメータである。
【0088】
また、後者のモデルとしては、例えば、以下のような多項式モデルを考えることができる。
【0089】
【数6】
【0090】
ただし、上式において、xは、供給力の提供要請の特定回において、平均値を0とした時の各タイムスロットにおける供給力である。また、a、b、c、およびdは、モデルパラメータである。
【0091】
ステップS314において、情報処理装置300の分類部326は、上記のステップS313で作成された第1の供給力遷移モデル(M1(A) n,t、M1(B) n,t、M1(C) n,t)の適合度に基づいて、需要家A~Cを調整可能需要家またはランダム需要家のいずれかに分類する。
【0092】
詳細には、分類部326は、第1の供給力遷移モデル(M1(i) n,t)の適合度が所定の閾値以上の需要家iを調整可能需要家に分類し、第1の供給力遷移モデルの(M1(i) n,t)の適合度が所定の閾値未満の需要家iをランダム需要家に分類する。すなわち、調整可能需要家とは、その需要家の供給力の遷移データを上記の回帰モデルによって模倣することが可能な需要家である。一方、ランダム需要家とは、その需要家の供給力の遷移データを上記の回帰モデルによって模倣することが困難な需要家である。
【0093】
モデルの適合度は、例えば、以下のような誤差RMSrrの逆数、すなわち1/RMSrrとして定義することができる。
【数7】
【0094】
ただし、上式において、ydata(x)は、供給力の遷移データの値であり、ymodel(x)は、上記の複合モデルを用いて計算される供給力の値である。また、Cは契約容量、Nは供給力の提供要請の回数、Tは1回の提供要請に含まれるタイムスロットの数である。図17の例では、N=5、T=6である。
【0095】
以降の説明では、一例として、需要家Aが調整可能需要家に分類され、需要家BおよびCがランダム需要家に分類されたものとして説明する。
【0096】
ステップS315において、情報処理装置300の第2のモデル作成部327は、上記のステップS314でランダム需要家に分類された需要家BおよびCの実際の供給力の遷移を束ねて形成される領域を計算し、当該領域を模倣する第2の供給力遷移モデル(M2(B、C) n,t)を作成する。
【0097】
図18は、需要家BおよびCの実際の供給力の遷移を束ねて形成される領域の一例である。このような領域を模倣するモデルとして、例えば、以下のようなτ分位点q(τ)を用いた非回帰モデルを考えることができる。
【0098】
【数8】
【0099】
ただし、上式において、F(y)=Pr(Y≧y)は、Yという確率変数を考えた際に、Yから生じる値yを小さい順に累積して規格化した累積分布関数である。また、τ分位点q(τ)とは、τ∈[0,1]として、Yという確率変数から生じる分布をτ:1-τで分けた際に、その値に対応する確率値である。
【0100】
これにより、ある確率分布Yと確率値yとが与えられた際に、そのyがτ分位点のどこに位置するのかを調べることにより、yという値がどれくらいの確率で生じるのかを定量的に評価することができる。
【0101】
なお、所与のデータからτ分位点q(τ)を求める際には、以下のような式にデータの実現値を代入し、右辺を最小にするaを数値的に求めればよいことが知られている。最小化には、例えば勾配ブースティング法を使用してもよいし、他のアルゴリズムを使用してもよい。
【0102】
【数9】
【0103】
ただし、上式において、ρτは、以下のような式で与えられるロス関数である。
【0104】
【数10】
【0105】
ステップS316において、情報処理装置300のシナリオ生成部328は、上記のステップS313で作成された第1の供給力遷移モデル(M1(A) )、および上記のステップS315で作成された第2の供給力遷移モデル(M2(B、C) n,t)を用いて、供給力遷移シナリオ(Ri,n,t)を必要な数だけ生成する。ただし、i=AまたはRandomである。
【0106】
詳細には、シナリオ生成部328は、調整可能需要家に分類された需要家Aについては、上記のステップS313で作成された複合モデルの定義式を直接用いて、供給力遷移シナリオ(RA,n,t)を生成する。
【0107】
また、シナリオ生成部328は、ランダム需要家に分類された需要家BおよびCについては、上記のステップS315で作成された領域を模倣するモデルに一様乱数を代入することにより、供給力遷移シナリオ(Rrandom,n,t)を生成する。
【0108】
ステップS317において、情報処理装置300のシナリオ生成部328は、上記のステップS316で生成された供給力遷移シナリオ(Ri,n,t)をシナリオ格納部14に格納する。
【0109】
以上説明したように、本実施の形態3に係る情報処理装置300は、各需要家の供給力の遷移データを模倣する第1の供給力遷移モデルおよび第2の供給力遷移モデルを作成し、これらを用いて供給力遷移シナリオを生成する。
【0110】
上記のような特徴により、本実施の形態3に係る情報処理装置300によれば、デマンドレスポンス分配計画を作成する際に用いられる供給力遷移シナリオを必要な数だけ生成することができる。
【0111】
幾つかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は例として提示したものであり、実施の形態の範囲を限定することは意図していない、これらの実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせ等を行うことができる。また、これらの実施の形態の説明に記載された数式についても、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせ等を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、実施の形態の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれるものである。
【0112】
なお、本実施の形態は、以下のような構成を取ることもできる。
[項目1](実1、実2、実3)
複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、前記複数回のデマンドレスポンス要請に際して、前記複数の需要家に対して前記供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成する作成部を備える、情報処理装置。
[項目2](実1)
前記作成部は、前記アグリゲータの収益を最大化する最適化条件にさらに基づいて、前記デマンドレスポンス分配計画を作成する、項目1に記載の情報処理装置。
[項目3](実1)
前記最適化条件は、指定の方式における前記アグリゲータの収益を最大化する条件である、項目2に記載の情報処理装置。
[項目4](実2)
前記作成部は、複数の前記供給力遷移シナリオに基づいて、複数の前記デマンドレスポンス分配計画を作成し、
複数の前記デマンドレスポンス分配計画を統合して統合デマンドレスポンス分配計画を作成する統合部をさらに備える、項目1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目5](実2)
複数の前記デマンドレスポンス分配計画に基づいて、前記統合デマンドレスポンス分配計画の予想収益を評価する評価指標を算出する評価部をさらに備える、項目4に記載の情報処理装置。
[項目6](実3)
前記複数の需要家について、該複数の需要家の受電電力および発電電力の少なくとも一方の遷移データに基づいて、供給力の遷移データを作成する、遷移データ作成部をさらに備える、項目1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目7](実3)
前記複数の需要家について、前記供給力の遷移データを模倣する第1の供給力遷移モデルを作成する、第1のモデル作成部をさらに備える、項目6に記載の情報処理装置。
[項目8](実3)
前記第1の供給力遷移モデルは回帰モデルである、項目7に記載の情報処理装置。
[項目9](実3)
前記複数の需要家を、該需要家に対応する前記第1の供給力遷移モデルの適合度に基づいて、調整可能需要家またはランダム需要家のいずれかに分類する、分類部をさらに備える、項目7または8に記載の情報処理装置。
[項目10](実3)
前記分類部は、前記第1の供給力遷移モデルの適合度が所定の閾値以上の需要家を前記調整可能需要家に分類し、前記第1の供給力遷移モデルの適合度が前記閾値未満の需要家を前記ランダム需要家に分類する、項目9に記載の情報処理装置。
[項目11](実3)
前記ランダム需要家の供給力の遷移データを束ねた領域を計算し、該領域を模倣する第2の供給力遷移モデルを作成する、第2のモデル作成部をさらに備える、項目9または10に記載の情報処理装置。
[項目12](実3)
前記第2の供給力遷移モデルは非回帰モデルである、項目11に記載の情報処理装置。
[項目13](実3)
前記第1の供給力遷移モデルおよび前記第2の供給力遷移モデルの少なくとも一方を用いて、前記供給力遷移シナリオを生成するシナリオ生成部をさらに備える、項目11または12に記載の情報処理装置。
[項目14](実1、実2、実3)
複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、前記複数回のデマンドレスポンス要請に際して、前記複数の需要家に対して前記供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成するステップを含む、情報処理方法。
[項目15](実1、実2、実3)
複数回のデマンドレスポンス要請の予想回数と、複数の需要家に対して複数回の供給力の提供要請を行う際に予想される供給力の時間遷移プロファイルを表現する供給力遷移シナリオとに基づいて、前記複数回のデマンドレスポンス要請に際して、前記複数の需要家に対して前記供給力の提供要請を行うか否かを示すデマンドレスポンス分配計画を作成するステップをコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0113】
1 電力事業者
2 アグリゲータ
10 入出力インターフェース
11 第1の取得部
12 第2の取得部
13 第3の取得部
14 シナリオ格納部
15 条件格納部
16 作成部
17 分配計画格納部
18 出力部
100 情報処理装置
200 情報処理装置
218 出力部
219 統合部
220 統合計画格納部
221 評価部
222 評価指標格納部
300 情報処理装置
323 需要家データ格納部
324 遷移データ作成部
325 第1のモデル作成部
326 分類部
327 第2のモデル作成部
328 シナリオ生成部
A 需要家
B 需要家
C 需要家
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18