(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135309
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置および見積方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045932
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】西野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】伊名波 孝公
(72)【発明者】
【氏名】金川 大祐
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB55
5L049BB55
(57)【要約】
【課題】リース事業者のリスクを抑制しつつ、料金面で有利なカーリースサービスを実現する技術を提供する。
【解決手段】リース管理装置11は、車両のリース料の見積要求を受け付ける。リース管理装置11は、中古車市場での上記車両の売却価格に基づいて、リース終了時における上記車両の残価を決定する。リース管理装置11は、リース終了時に必要になり得る原状回復作業の補償料を上記車両の残価に反映する。リース管理装置11は、上記車両の残価に基づいてリース料を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のリース料の見積要求を受け付ける見積要求受付部と、
中古車市場での前記車両の売却価格に基づいて、リース終了時における前記車両の残価を決定する残価決定部と、
前記車両の残価に基づいて前記リース料を決定するリース料決定部と、
を備え、
前記残価決定部は、リース終了時に必要になり得る原状回復作業の補償料を前記車両の残価に反映する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記車両または顧客に関する属性情報を受け付ける属性情報受付部をさらに備え、
前記リース料決定部は、前記属性情報に基づいて、前記リース料を増減させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記原状回復作業の補償が利用されたことに関する補償利用情報を受け付ける補償利用情報受付部と、
前記補償利用情報に基づいて、前記補償料を増減させる補償料調整部と、
をさらに備える請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
車両のリース料の見積要求を受け付けるステップと、
中古車市場での前記車両の売却価格に基づいて、リース終了時における前記車両の残価を決定するステップと、
前記車両の残価に基づいて前記リース料を決定するステップと、
をコンピュータが実行し、
前記残価を決定するステップは、リース終了時に必要になり得る原状回復作業の補償料を前記車両の残価に反映するステップを含む、
見積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に情報処理装置および見積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のカーメーカーが提供する車両の中から、購入予定者が選択した主要装備が搭載されたまたは搭載可能な車種を提示するカーリースのシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リース契約満了時、返却される車両の7割は、顧客の自己負担で原状回復がなされているが、返却される車両の3割は、補修が不十分である。補修が不十分な車両を返却した顧客に対してリース事業者が追徴金を請求することは実際には難しく、リース事業者が補修費用を負担することが多かった。そのため、リース事業者は、返却された車両の補修費用を自らが負担するリスクを想定して車両の残価を低めに設定し、結果、顧客が支払うリース料が高くなることがあった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、リース事業者のリスクを抑制しつつ、料金面で有利なカーリースサービスを実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の情報処理装置は、車両のリース料の見積要求を受け付ける見積要求受付部と、中古車市場での車両の売却価格に基づいて、リース終了時における車両の残価を決定する残価決定部と、車両の残価に基づいてリース料を決定するリース料決定部とを備える。残価決定部は、リース終了時に必要になり得る原状回復作業の補償料を車両の残価に反映する。
【0007】
本開示の別の態様は、見積方法である。この方法は、車両のリース料の見積要求を受け付けるステップと、中古車市場での車両の売却価格に基づいて、リース終了時における車両の残価を決定するステップと、車両の残価に基づいてリース料を決定するステップとをコンピューターが実行する。残価を決定するステップは、リース終了時に必要になり得る原状回復作業の補償料を車両の残価に反映するステップを含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、リース事業者のリスクを抑制しつつ、料金面で有利なカーリースサービスを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】従来のリース料と実施例のリース料を対比して示す図である。
【
図2】実施例の情報処理システムの構成を示す図である。
【
図3】
図2のリース管理装置の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図4】実施例のリース管理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがコンピュータプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、コンピュータプログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC、LSI等)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的な記録媒体に記録される。コンピュータプログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0012】
以下、本開示の技術を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0013】
まず、実施例の概要を説明する。
図1は、従来のリース料と実施例のリース料を対比して示す。従来、リース料決定時には、貸出の対象となる車両(以下「リース車両」とも呼ぶ。)の将来のリース終了時点(例えば5年後)における中古車市場での売却価格(
図1の想定売却価格)を想定した。そして、想定売却価格から事業者収益とリスク想定額を減算して、リース車両の残存価格(以下「残価」と呼ぶ、)を算出した。リスク想定額は、返却された車両の補修費用をリース事業者自らが負担するリスクを想定した金額である。例えば、リスク想定額は、返却される車両の3割が補修不十分であり、その補修費用がリース事業者の負担になるという想定の下、算出された金額である。
図1の従来例では、想定売却価格から事業者収益とリスク想定額を引いた57万円が残価となる。
【0014】
リース車両の現在時点での市場価格(「現在価格」とも呼ぶ。)から残価を引いた残りがリース料となる。
図1の例では、車両の現在価格を255万円とする。従来例では、5年のリース期間におけるリース料月額は約3.3万円((255万円-57万円)÷(12か月×5年))になる。
【0015】
実施例では、リスク想定額に代えて少額板金補償料を想定売却価格から控除する。従来は想定外のリスクが発生する可能性も含め、大きく余裕を持たせたリスク想定額を算出する必要があったところ、少額板金補償料では実態に合致した適切なリスク見積りを行うことができるため、大幅に減額が可能となる。少額板金補償料は、小傷補償料とも言え、例えば、10万円までの板金代(言い換えれば保守費用)を補償するためのものである。少額板金補償料は、5年のリース期間の場合、例えば6千円~1万円であり、
図1の例では1万円である。実施例での残価は、想定売却価格から事業者収益および少額板金補償料を減算したものであり、従来例の残価より大きくなる。
図1の例では、想定売却価格から事業者収益と少額板金補償料を引いた68万円が残価となる。5年のリース期間におけるリース料月額は約3.1万円((255万円-68万円)÷(12か月×5年))になる。このように、実施例のカーリースサービスでは、従来より残価を大きくでき、その結果、従来よりリース料を低減できる。
【0016】
実施例の詳細を説明する。
図2は、実施例の情報処理システム10の構成を示す。情報処理システム10は、リース管理装置11、SS端末12、顧客端末13、中古車情報管理装置14を備える。これらの装置は、LAN・WAN・インターネットを含む通信網15を介して接続される。
【0017】
SS端末12は、サービスステーション(SS)の従業員により操作される情報処理装置である。実施例のサービスステーションは、カーリースサービスの窓口であり、車両のリース料の見積を顧客に提供する。また、サービスステーションは、リース車両の貸出と返却の受け付けを行う。また、サービスステーションは、車両のエネルギー源(例えば燃料)を商品として販売する店舗を兼ねてよい。例えば、サービスステーションは、給油所、水素ステーション、充電スタンドであってもよい。
【0018】
顧客端末13は、カーリースサービスの顧客により操作される情報処理装置である。SS端末12および顧客端末13は、例えば、PC、タブレット端末、スマートフォンであってもよい。中古車情報管理装置14は、中古車市場における中古車売却価格を含む中古車情報を管理する情報処理装置である。リース管理装置11は、カーリースサービスを管理する情報処理装置である。
【0019】
図3は、
図2のリース管理装置11の機能ブロックを示すブロック図である。リース管理装置11は、制御部20、記憶部22、通信部24を備える。制御部20は、カーリースサービスの管理(見積作成を含む)に関する各種情報処理を実行する。記憶部22は、制御部20により参照または更新されるデータを記憶する。通信部24は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。制御部20は、通信部24を介して、SS端末12、顧客端末13、中古車情報管理装置14とデータを送受信する。
【0020】
記憶部22は、中古車情報記憶部30、顧客情報記憶部32、補償料記憶部34を含む。中古車情報記憶部30は、中古車情報管理装置14から提供された中古車情報を記憶する。顧客情報記憶部32は、カーリースサービスの顧客に関する顧客情報を記憶する。補償料記憶部34は、リース車両返却時の原状回復作業の補償料(実施例では
図1の少額板金補償料)を定めた情報を記憶する。
【0021】
制御部20は、取得部40、残価決定部50、リース料決定部52、見積情報提供部54、補償料調整部56を含む。取得部40は、外部装置から各種データを取得し、または、外部装置から送信された各種データを受け付ける。取得部40は、見積要求受付部42、属性情報受付部44、補償利用情報受付部46、中古車情報取得部48を含む。
【0022】
見積要求受付部42は、SS端末12または顧客端末13から送信された、車両のリース料の見積要求を受け付ける。属性情報受付部44は、SS端末12または顧客端末13から送信された、リース車両または顧客に関する属性情報を受け付ける。
【0023】
補償利用情報受付部46は、リース車両の原状回復作業を行う業者の端末(実施例ではSS端末12とする)から送信された、リース車両の返却時に原状回復作業の補償が利用されたことに関する補償利用情報を受け付ける。中古車情報取得部48は、中古車情報管理装置14から中古車情報を取得し、中古車情報記憶部30に記憶された中古車情報を更新する。
【0024】
残価決定部50は、中古車市場でのリース車両の売却価格に基づいて、将来のリース終了時におけるリース車両の残価を決定する。残価決定部50は、リース終了時に必要になりうる原状回復作業の補償料(実施例では補償料記憶部34に記憶された少額板金補償料)をリース車両の残価に反映する。
【0025】
リース料決定部52は、残価決定部50により決定された残価に基づいて、車両のリース料を決定する。リース料決定部52は、リース車両または顧客に関する属性情報に基づいて、車両のリース料を増減させる。見積情報提供部54は、車両のリース料を含む見積情報を、見積要求元のSS端末12または顧客端末13へ送信する。
【0026】
補償料調整部56は、補償利用情報受付部46により受け付けられた補償利用情報に基づいて、原状回復作業の補償料(実施例では補償料記憶部34に記憶された少額板金補償料)を増減させる。
【0027】
図4は、実施例のリース管理装置11の動作を示すフローチャートである。リース管理装置11は、
図4に示す処理を繰り返し実行する。以下、
図4を参照しつつ、実施例の情報処理システム10の動作を説明する。
【0028】
顧客は、リース終了時、リース車両をサービスステーションに返却する。返却されたリース車両の原状回復が不十分な場合、サービスステーションでは、リース開始時に支払われた少額板金補償料を原資として、返却されたリース車両の原状回復作業が実施される。SS端末12は、少額板金補償が利用されたことを示す補償利用情報をリース管理装置11へ送信する。
【0029】
リース管理装置11の補償利用情報受付部46は、SS端末12から送信された補償利用情報を受け付ける(S10のY)。リース管理装置11の補償料調整部56は、少額板金補償の利用率を保持し、補償利用情報に基づいて、その利用率を更新する。補償料調整部56は、少額板金補償の利用率が高くなるほど、顧客情報記憶部32に記憶された少額板金補償料を大きくする。また、補償料調整部56は、少額板金補償の利用率が低くなるほど、顧客情報記憶部32に記憶された少額板金補償料を小さくする(S11)。補償料調整部56は、少額板金補償の利用率に関して予め定められた複数の閾値を保持してもよく、利用率がどの閾値以上になるかに応じて、少額板金補償料を段階的に増減させてもよい。補償利用情報を受け付けなければ(S10のN)、S11の処理をスキップする。
【0030】
中古車情報管理装置14は、中古車市場におけるリース車両の最新の売却価格を示す中古車情報を定期的にリース管理装置11へ送信する。リース管理装置11の中古車情報取得部48は、中古車情報管理装置14から送信された中古車情報を受け付ける(S12のY)。中古車情報取得部48は、受け付けた中古車情報が示す中古車市場でのリース車両の売却価格を、
図1に示した想定売却価格として中古車情報記憶部30に格納する(S13)。中古車情報を受け付けなければ(S12のN)、S13の処理をスキップする。
【0031】
顧客は、サービスステーションの従業員にカーリースサービスの見積を依頼する。SS端末12は、サービスステーションの従業員の操作に応じて、カーリースサービスの見積要求をリース管理装置11へ送信する。見積要求は、顧客に関する属性情報(顧客属性情報)と、リース車両に関する属性情報(車両属性情報)を含む。顧客属性情報は、リース車両の運転者の情報とも言え、例えば、年齢、性別、免許証の色を含む。車両属性情報は、例えば、リース終了後の外装精算割合(言い換えれば補修の実施率)、月間走行距離、車両の型式(言い換えれば車両の車種やモデル)を含む。
【0032】
変形例として、見積要求は、顧客端末13からリース管理装置11へ送信されてもよい。また、見積要求に含まれるデータのうち一部のデータが、顧客端末13からリース管理装置11へ送信されてもよい。例えば、車両属性情報は、SS端末12からリース管理装置11へ送信される一方、顧客属性情報は、顧客端末13からリース管理装置11へ送信されてもよい。
【0033】
リース管理装置11の見積要求受付部42は、SS端末12から送信された見積要求を受け付ける(S14のY)。リース管理装置11の属性情報受付部44は、見積要求に含まれる顧客属性情報と車両属性情報を取得する。リース管理装置11の残価決定部50は、中古車情報記憶部30に記憶されたリース車両の想定売却価格から、予め定められた事業者収益額(
図1の例では6万円)と、補償料記憶部34に記憶された少額板金補償料(
図1の例では1万円)を引いた金額を、リース終了時点でのリース車両の残価として決定する(S15)。
【0034】
リース管理装置11のリース料決定部52は、予め定められたリース車両の現在価格から、S15で決定したリース車両の残価を引いた残りを、リース期間(例えば60か月)で割ることにより、リース料月額の基準値(以下「リース料基準値」とも呼ぶ。)を導出する(S16)。リース料決定部52は、見積要求に含まれる顧客属性情報および車両属性情報と、予め定められたリース料調整規則とに基づいて、リース料基準値を調整し、顧客に提示するリース料月額(以下「リース料提示額」とも呼ぶ。)を決定する。
【0035】
図5は、リース料調整規則の例を示す。例えば、リース料決定部52は、顧客の年齢が35歳未満の場合、予め定められた1より大きい調整率(例えば1.02)をリース料基準値に乗じることによりリース料提示額を大きくする。一方、顧客の年齢が35歳以上の場合、リース料決定部52は、予め定められた1より小さい調整率(例えば0.98)をリース料基準値に乗じることによりリース料提示額を小さくする。
【0036】
図6は、リース料調整の具体例を示す。リース料決定部52は、複数の属性情報に対応する、予め定められた複数の調整率を保持する。リース料決定部52は、各顧客の複数の属性情報に対応する複数の調整率を特定し、それら複数の調整率を合成(例えば乗算)することにより、顧客ごとに、リース料基準値に対するリース料提示額の割合を決定する。リース料決定部52は、顧客A~顧客Cそれぞれのリース料基準値に、各顧客の上記割合を乗じることにより、各顧客に対するリース料提示額を決定する。リース料決定部52は、リース料基準値を100とする場合に、リース料提示額の上限値を100とし、かつ、リース料提示額の下限値を90とするように、リース料提示額を決定してもよい。
【0037】
図4に戻り、リース管理装置11の見積情報提供部54は、リース料決定部52により決定されたリース料提示額を含む見積情報をSS端末12へ送信する(S17)。サービスステーションの従業員は、見積情報を顧客に提示する。変形例として、見積要求元が顧客端末13である場合、見積情報提供部54は、見積情報を顧客端末13へ送信してもよい。見積要求を受け付けなければ(S14のN)、S15~S17の処理をスキップする。
【0038】
実施例のリース管理装置11によると、
図1に示したように、将来時点におけるリース車両の想定売却価格から、従来のリスク想定額に代えて少額板金補償料を控除した額を残価とすることで、従来より残価を大きくでき、従来よりリース料を低減できる。それとともに、少額板金補償によりリース車両の返却状態も良好になるため、事業者負担のリスクも抑制できる。また、リース管理装置11によると、リース車両および顧客の属性情報に基づいて、顧客に提示するリース料を適切に設定できる。さらにまた、リース管理装置11によると、少額板金補償の利用状況に応じて少額板金補償料を調整することにより、適切な残価を設定しやすくなる。
【0039】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。実施例は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0040】
変形例を説明する。上記実施例では言及していないが、顧客属性と車両属性の一方または両方を含む組(ここでは単に顧客属性と呼ぶ。)ごとに少額板金補償料が定められてもよい。リース管理装置11の補償料記憶部34は、複数の顧客属性に対応する複数の少額板金補償料を記憶してもよい。リース管理装置11の残価決定部50は、見積要求が示す顧客属性に対応する少額板金補償料を用いてリース車両の残価を決定してもよい。リース管理装置11の補償料調整部56は、複数の顧客属性に対応する複数の少額板金補償料のうち、補償利用情報が示す顧客属性(すなわち少額板金補償を利用した顧客属性)に対応する少額板金補償料の値を調整してもよい。この変形例によると、顧客属性ごとの適切な少額板金補償料を管理できる。
【0041】
別の変形例を説明する。上記実施例のリース管理装置11の機能は、複数の装置に分散して実装されてもよい。そして、それら複数の装置が互いに通信し、システムとして連携することによって、上記実施例のリース管理装置11と同様の処理を実行してもよい。
【0042】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0043】
10 情報処理システム、 11 リース管理装置、 42 見積要求受付部、 44 属性情報受付部、 46 補償利用情報受付部、 50 残価決定部、 52 リース料決定部、 54 見積情報提供部、 56 補償料調整部。