IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 伊藤鉄工株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社長谷工コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-災害用トイレ装置 図1
  • 特開-災害用トイレ装置 図2
  • 特開-災害用トイレ装置 図3
  • 特開-災害用トイレ装置 図4
  • 特開-災害用トイレ装置 図5
  • 特開-災害用トイレ装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135311
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】災害用トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A47K11/00 112
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045935
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000118590
【氏名又は名称】伊藤鉄工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】弁理士法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 光男
(72)【発明者】
【氏名】藤繁 俊五
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正道
(72)【発明者】
【氏名】関口 拓也
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036AA03
2D036BA32
2D036BA33
2D036BA36
2D036CA00
2D036CB00
2D036DA20
(57)【要約】
【課題】多大な建設コストかけることなく設置することができる災害用トイレを提供する。
【解決手段】
災害用トイレ装置は、仮設便器と連通する開口部を具備するベース部と、し尿を固形分と液体とに分離する分離部と、を有し、分離部は、ベース部に吊り下げるとともに、開口部から落下するし尿を固形分と液体と分離するというものである。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設便器と連通する開口部を具備するベース部と、
し尿を固形分と液体とに分離する分離部と、を有し、
前記分離部は、前記ベース部に吊り下げるとともに、前記開口部から落下するし尿を固形分と液体と分離する災害用トイレ装置。
【請求項2】
仮設便器と連通する開口部を具備するベース部と、
し尿を固形分と液体とに分離する分離部と、を有し、
前記ベース部は、第1ベース部材と第2ベース部材とを有し、
前記第1ベース部材と前記第2ベース部材とは、ヒンジによって、折り畳み可能に接続され、
前記分離部は、前記ベース部に吊り下げるとともに、前記開口部から落下するし尿を固形分と液体と分離するとともに、前記ベース部は折り畳み可能な災害用トイレ装置。
【請求項3】
前記分離部は、開口し、平面視環状を呈する上部と、平面視環状を呈するとともに、下方に配置する下部と、を有し、
前記上部から前記下部にかけて縮径する請求項1または2に記載の災害用トイレ装置。
【請求項4】
前記分離部は、開口する上部と、下方に配置する下部と、
前記上部と前記下部に貼り付ける本体部と、を有し、
前記本体部は、前記上部から前記下部にかけて縮径するとともに、網目状を呈する請求項1または2に記載の災害用トイレ装置。
【請求項5】
前記分離部は、開口する上部と、中間部と、下方に配置する下部と、
前記上部と前記下部に貼り付ける本体部と、を有し、
前記本体部は、前記上部から前記下部にかけて縮径するとともに、網目状を呈し、
前記網目状の網目の大きさは4ミリメートルから10ミリメートル間隔である請求項1または2に記載の災害用トイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の災害が発生したときに使用する災害用トイレ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、地震等の災害が発生したときに使用する災害用トイレとして、いわゆる仮設トイレが知られている。この仮設トイレでは、貯蔵タンクにし尿を貯蔵し、一定期間使用したのちは、バキュームカーによってそのし尿を回収することで使用し続けることができる。
【0003】
しかしながら地震等の災害時は広域にわたることが多く、このような仮設トイレでは数に限りがあり、多くに被災者がその仮設トイレを使用できるとは限らない。また、地震等によって道路が破壊されている場合がありそのような場合は、バキュームカーによりし尿の回収を行うことができない。
【0004】
そこで、例えば、特開2009-77773号公報において、「地中に埋設しておき災害発生時に利用する災害用トイレであって、屎尿の投入口、及び投入口を介して投入される屎尿を流す流路を有する流路コンクリートブロックと、前記流路に連通し底版面が当該流路よりも低位置にある溜桝コンクリートブロックとを連結している災害用トイレ。」が開示されている。
【0005】
しかしながら、上述の災害用トイレは、屎尿を流す流路を有する流路コンクリートブロックを、あらかじめ地中に埋設しておくというものである。すなわち、通常時には使用しないものの常設のトイレと同様にあらかじめ流路コンクリートブロックと、溜桝コンクリートブロックとを埋設しておく必要があるために多大な建設コストがかかるとともに、その設置場所についても、制限がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-77773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、多大な建設コストかけることなく設置することができる災害用トイレを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、第1観点の災害用トイレ装置は、仮設便器と連通する開口部を具備するベース部と、し尿を固形分と液体とに分離する分離部と、を有し、分離部は、ベース部に吊り下げるとともに、開口部から落下するし尿を固形分と液体と分離するといものである。
【0009】
また、第2観点の災害用トイレ装置は、仮設便器と連通する開口部を具備するベース部と、し尿を固形分と液体とに分離する分離部と、を有し、ベース部は、第1ベース部材と第2ベース部材とを有し、第1ベース部材と第2ベース部材とは、ヒンジによって、折り畳み可能に接続され、分離部は、ベース部に吊り下げるとともに、開口部から落下するし尿を固形分と液体と分離するとともに、ベース部は折り畳み可能というものである。
【0010】
また、第3観点の災害用トイレ装置は、第1観点または第2観点において、分離部は、開口し、平面視環状を呈する上部と、平面視環状を呈するとともに、下方に配置する下部と、を有し、上部から下部にかけて縮径するというものである。
【0011】
また、第4観点の災害用トイレ装置は、第1観点または第2観点において、分離部は、開口する上部と、下方に配置する下部と、上部と下部に貼り付ける本体部と、を有し、本体部は、上部から下部にかけて縮径するとともに、網目状を呈するというものである。
【0012】
また、第5観点の災害用トイレ装置は、第1観点または第2観点において、分離部は、開口する上部と、中間部と、下方に配置する下部と、上部と下部に貼り付ける本体部と、を有し、本体部は、上部から下部にかけて縮径するとともに、網目状を呈し、その網目状の網目の大きさは4ミリメートルから10ミリメートル間隔であるというものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のように構成され、かつ、作用するものであるから、多大な建設コストかけることなく設置することができる災害用トイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例の災害用トイレ装置の側面図である。
図2図1のII-II線断面図である。
図3】Aは、ベース部の平面図である。Bは、ベース部の側面図である。
図4】Aは、分離部の平面図である。Bは、分離部の側面図である。
図5】高圧洗浄機のホースを取り付け、水を噴射することで分離部に滞留した固形分を溶解しつつマンホールから、図示しない下水道に排出する様子を示した状態図側面図である。
図6図5のVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図示の実施形態を参照して、第1実施例の災害用トイレ装置10について説明する。本実施例の災害用トイレ装置10は、ベース部50と分離部100とを有するものであり、すでに設置されている既存のマンホール200に取り付けるものである。
【0016】
すなわち、既存のマンホール200の上端部201は、すでに設置されている既存のマンホール枠としての枠部300とその枠部300に、マンホール200の蓋となる図示しない蓋体を載置されている。この蓋体を取り外して、枠部300における平面視円形の開口部320に、そのベース部50を取り付け、そのベース部50に分離部100を吊り下げるというものである。したがって本実施例の災害用トイレ装置10を取り付ける枠部300は、従来周知のものであってもよい。
【0017】
本実施例の災害用トイレ装置10は、上述の通りベース部50と分離部100とを有するものであり、さらに仮設便器400とテント450とを有する場合がある。仮設便器400を、ベース部50上に載置するとともに、外部からの視線を遮るために仮設便器400をそのテント450で囲うように設置することが好ましい。なお仮設便器400は、伊藤鉄工株式会社製のYT型が好ましい。また、テント450も同様に伊藤鉄工株式会社製のALT型が好ましい。また、仮設便器400は、し尿を通過するための図示しない通路を有し、その通路は、枠部300における平面視円形の開口部320及び、後述するベース部50における開口部54と接続されている。
【0018】
また、仮設便器400は、台となる基部510を有し、その基部510は、上述のテント450と接続されている場合がある。またテント450は、その基礎となる基礎部500、500を有し、その基礎部500、500はロープ520、520と接続されている。また、基礎部500、500は、いわばアンカーとして。地中に埋め込まれるように配置することも好ましい。この基礎部500、500によって、テント450を固定することができる。
【0019】
ベース部50は、第1ベース部材60と第2ベース部材70とからなり、第1ベース部材60と第2ベース部材70とは蝶番となるヒンジ80、80で接続されている。したがって、ベース部50は、そのヒンジ80、80によって、第1ベース部材60と第2ベース部材70は、折り畳み可能に構成されている。
【0020】
第1ベース部材60は、矩形状を呈する板状のものであって、材質は鉄、ステンレス、アルミニウム類からなる金属類を使用することできる。また、第1ベース部材60の裏面60aには、長手方向Uに平行であってL字状を呈する第1アングル61と、その第1アングル61の一端部61a付近において、その第1アングル61に対して垂直方向に配置するL字状を呈する第2アングル62と、その第1アングル61の他端部61b付近においてその第1アングル61に対して垂直方向に配置するL字状を呈する第3アングル63と、を有する。これらは、第1ベース部材60の強度を確保するために配置されている。
【0021】
また、第1ベース部材60は、半円状の第1切り欠き部64を有している。この半円状の第1切り欠き部64は、ベース部50における開口部54の一部を構成するものである。これについては、後述する。
【0022】
また、第1ベース部材60の裏面60aには、分離部100を吊り下げるための、吊り下げ部67、67を有する。吊り下げ部67、67は、環状を呈する金具が好ましい。吊り下げ部67、67は、例えば、アイナットを使用することができる。ここに後述する分離部100を持ち上げるための吊り下げ用のフック118、118、を取り付けることができる。
【0023】
また、第1ベース部材60の裏面60aには、枠部300における平面視円形の開口部320と係合する位置決め具69、69を有する。
【0024】
第2ベース部材70は、矩形状を呈する板状のものであって、材質は鉄、ステンレス、アルミニウムからなる金属類を使用することできる。また、第2ベース部材70の裏面70aには、長手方向Uに平行であってL字状を呈する第4アングル71と、その第4アングル71の一端部71a付近において、その第4アングル71に対して垂直方向に配置するL字状を呈する第5アングル72と、その第4アングル71の他端部71b付近においてその第4アングル71に対して垂直方向に配置するL字状を呈する第6アングル73と、を有する。これらは、第2ベース部材70の強度を確保するために配置されている。第5アングル72は、上述の第2アングル62と連なるように配置されている。また、第6アングル73は、上述の第3アングル63と連なるように配置されている。
【0025】
また、第2ベース部材70は、半円状の第2切り欠き部74を有している。この半円状の第2切り欠き部74は、ベース部50における開口部54の一部を構成するものである。すなわち、上述の第1ベース部材60における平面視半円状の第1切り欠き部64と、第2ベース部材70における平面視半円状の第2切り欠き部74とは、ベース部50における平面視ほぼ円形状の開口部54を構成する。この開口部54は、上記の通り仮設便器400において、し尿を通過するための図示しない通路と接続するというものである。
【0026】
また、第2ベース部材70の裏面70aには、分離部100を吊り下げるための、吊り下げ部77、77を有する。吊り下げ部77、77は、環状を呈する金具が好ましい。吊り下げ部77、77は、上述の第1ベース部材60における吊り下げ部66、66と同様のものである。したがって吊り下げ部77、77も例えば、アイナットを使用することができる。ここに後述する分離部100を持ち上げるための吊り下げ用のフック118、118、を取り付けることができる。
【0027】
また、第2ベース部材70の裏面70aには、枠部300における平面視円形の開口部320と係合する位置決め具79、79を有する。
【0028】
また、その第2ベース部材70における位置決め具79、79と、第1ベース部材60における位置決め具69、69は、ベース部50の中心Cにおいてそれぞれ平面視点対象となるように配置されている。
【0029】
分離部100は、いわば籠状のものであって、網状の本体部110を有する。本体部110の網目の間隔が4ミリメートルから10ミリメートルのものが好ましい。し尿のうち、固形分(大便)を一時的に保持するとともに液体(小便)を下方に流すというものであり、その後固形部については清掃する際に容易に流すことができるからである。なお、これについては後述する。
【0030】
また、分離部100の上端に配置する開口する上部130と、下端に配置する下部160と、その間に配置する中間部140を有している。また、上部130と、中間部140と、下部160に貼り付けるように上述の本体部110を有している。
【0031】
また、分離部100は、上部130から中間部140を経て下部160にかけて徐々に縮径する構成である。すなわち本体部110は側面視においてテーパー状を呈している。
【0032】
また、上部130は、分離部100を持ち上げるための取っ手となる取っ手部131を4か所配置している。
【0033】
本体部110は、網目状を呈することが好ましく、網目の間隔が4ミリメートルから10ミリメートルのものが好ましい。固形分を一時的に保持することができるからである。なお、これについては後述する。
【0034】
また、上部130は平面視円形状を呈し横に広がることを阻止するためのものであり、ロープを環状に構成したものであることが好ましい。また、中間部140は平面視円形状を呈し、ロープを環状に構成したものであることが好ましい。また、下部160は平面視円形状を呈し、ロープを環状に構成したものであることが好ましい。また、上部130、中間部140、下部160にかけて徐々に縮径するように構成されている。また、環状の下部160の内側は網状の下部網部165を有している。よって、環状を呈する上部130と中間部140と下部160とに網状の本体部110を取り付けることで、分離部100を構成することができる。したがって分離部100は、側面視において上部130が大であり、下部160が小のいわばテーパー状を呈している。
【0035】
上述の通り、上部130、中間部140、下部160はそれぞれ例えば、ポリエチレン製が好ましく、そのポリエチレン製のロープのうちポリエチレン製のロープを環状に構成した場合にあっては伸びが少なく、その形状を維持することができるとともに、不使用においては、折りたたんで収納することができる。
【0036】
本体部110は、側面ロープ115を4本有している。この側面ロープ115は、下部160に配置され、中間部140を経て、上部130の上方に至るものでありその上端116は、吊り下げ用のフック118を着脱可能に取り付けることができる。
【0037】
この4本の側面ロープ115は、本体部110における平面視において、45度、135度、225度、315度の方向にそれぞれ配置されており、本体部110を補強している。また、側面ロープ115の上端である上端部116は、環状に縫着し、吊り下げ用のフック118を取り外し可能に取り付けることができる。
【0038】
また、この4本の側面ロープ115のうち、45度と225度の方向に配置した側面ロープ115は、下部160において一体となり、135度と315度の方向に配置した側面ロープ115は、下部160において一体となっている。したがって、それらは平面視において下部網部165において十字に交差するように配置されている。
【0039】
分離部100は、ベース部50に吊り下げることができる。すなわち、分離部100における、吊り下げ用のフック118、118、118、118を、ベース部50における吊り下げ部67、67、および吊り下げ部77、77に取り付けることができる。また上述の通り、仮設便器400と、テント450を配置することができる(図1参照)。
【0040】
第1実施例の災害用トイレ装置10における分離部100に適用する網目の大きさについて以下の実験をした。この実験は、分離部100として使用する網目の大きさによってその分離部100が水と固形分を分離し、その固形分が、どの程度その分離部100に残留するかを見出すためのものである。なお、し尿に代えて、液体である水(小便の代用、液体)と固形分である味噌(大便の代用、固形分)を混合したものを使用した。なお、経験的に大便の粘度が同様のものと考えられていることから、味噌を使用したものである。
【0041】
水0.1リットルと味噌200gを1回分として、それを10回分、網目のサイズが、4ミリメートル間隔のもの、10ミリメートル間隔のもの、14ミリメートル間隔のもの、に投入したときの残留量を計測した表である。
【0042】
【0043】
尚、上記の実験1、2、3においてそれぞれ水と味噌の混合物の重量に相違があるのは、投入時の誤差によるものである。もっともそれを差し引いても、網目の間隔4ミリメートルと網目の間隔10ミリメートルのものについてはほぼ差がなかったことが判明した。なお14ミリメートルのものは、残留量が少なく固形分が流出していることが判明した。
【0044】
このように網目の間隔4ミリメートルから網目の間隔10ミリメートルであれば、し尿のうち液体(水、代用の小便)が落下するものの、ほとんどの固形分(味噌、代用の大便)は、残留するので、このような網目のものを、分離部100における本体部110と、下部160の内側の下部網部165に適用することで、固形分と液体を分離しつつ、固形分を分離部100に残留させることができる。したがって、第1実施例の災害用トイレ装置10は、固形分を分離部100に残留させつつマンホール200内にその液体を落下させることで、分離部100に補足されるし尿全体の量を、落下させた液体の分だけ減少させることができる。したがって分離部100に滞留するし尿が減少することで使用回数の増加を図ることができる。
【0045】
なお、ここでいう網目の間隔とは、網目を構成する縦糸同士の間隔と横糸同士の間隔が、それぞれ4ミリメートルから10ミリメートルの間隔が好ましいが、例えば、横糸同士の間隔が12ミリメートル縦糸同士の間隔が10ミリメートルのものも網目が10ミリメートルの間隔に含まれるものである。上述の実験結果の範囲内と考えられるからである。
【0046】
次に、使用後の第1実施例の災害用トイレ装置10の清浄方法について説明する。仮設便器400とテント450を取り外し、矩形状を有する板部材600を取り付ける。板部材600は、孔となる孔部610を有し、その孔部610から、水や高圧洗浄機のホース700を取り付け、水を噴射することで分離部100に滞留した固形分G(大便)を溶解しつつマンホール200から、図示しない下水道に排出する。このために、トイレ装置を使用する排せつ時においては水洗用水の確保や水源の設置が必ずしも必要ではなくなる。なお、固形分Gは、大便のみならず、トイレットペーパーが含まれる場合がある。
【0047】
また、上述のとおり、水や高圧洗浄機のホースを取り付け、水を噴射することで容易に洗浄することができるので、上下水道復旧時にバキュームカーでし尿を取り除く必要がなく、容易に通常の状態に回復することができる。また、第1実施例の災害用トイレ装置10は、図示しない蓋体を取り外せばマンホール200に容易に取り付けることができるので、従来の災害用トイレに必要とされた水洗用の設備が不要となり、設置コストを大幅に削減することができる。このように第1実施例の災害用トイレ装置10は、従来の災害用トイレにおいて水の無いマンホール内に汚物を落とすと、汚物がマンホール内に堆積し、上水復旧時に排水を流せなくなるという問題を解決することができる。また、さらに堆積した汚物が固化した場合、バキュームカーでの回収が困難となるという問題をも解決することができる。また、汚物がマンホール内に堆積した場合において、上水が復旧したときにその汚物の堆積よる排水障害(閉塞)を回避することができる。
【0048】
また、第1実施例の災害用トイレ装置10におけるベース部50と分離部100は、不使用時には取り外して保管することができ、それらを取り外し、図示しないマンホール蓋をマンホール200に取り付ければ元の状態に戻すことができる。
【符号の説明】
【0049】
10 第1実施例の災害用トイレ装置
50 ベース部
54 開口部
60 第1ベース部材
70 第2ベース部材
100 分離部
130 上部
140 中間部
160 下部
300 マンホール
400 仮設便器
450 テント
図1
図2
図3
図4
図5
図6