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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135319
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】自動水栓及びキッチン
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/05 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E03C1/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045945
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 稜也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 康浩
(72)【発明者】
【氏名】滝 宣広
(72)【発明者】
【氏名】永田 雅昭
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB07
2D060BC07
2D060CA04
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で満水時に正確に止水できる自動水栓を提供する。
【解決手段】検出光を用いて検知対象との距離を検出するセンサ部と、検出光の反射光を受光した受光量に応じて検知対象が物か水面かを判別する判別部と、吐水と止水とを切り替える切替部と、センサ部の検出結果に応じて切替部を制御する制御部と、を備える。制御部は、センサ部が検出する距離のうち、検知対象が水面であると判別された所定時間の距離の変動量が所定のしきい値よりも小さいときに止水に切り替えさせる自動止水モードを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出光を用いて検知対象との距離を検出するセンサ部と、
前記検出光の反射光を受光した受光量に応じて前記検知対象が物か水面かを判別する判別部と、
吐水と止水とを切り替える切替部と、
前記センサ部の検出結果に応じて前記切替部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記センサ部が検出する距離のうち、前記検知対象が前記水面であると判別された所定時間の距離の変動量が所定のしきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる自動止水モードを有する、自動水栓。
【請求項2】
前記判別部は、所定の受光量しきい値を用いて前記物か前記水面かを判別し、
前記受光量しきい値は、前記検知対象との距離に応じて変化する、
請求項1に記載の自動水栓。
【請求項3】
前記受光量しきい値は、前記検知対象との距離が長くなるにつれて小さくなり、前記検知対象との距離が短くなるにつれて大きくなる、
請求項2に記載の自動水栓。
【請求項4】
前記制御部は、前記自動止水モードのときに前記検知対象が前記水面であると判別された前記所定時間の距離の変動量が連続して複数回、前記しきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる、
請求項1に記載の自動水栓。
【請求項5】
前記制御部は、前記自動止水モードにおいて前記センサ部が検出する距離のうち、前記検知対象が前記物であると判別された距離の変動量が前記所定時間よりも長い時間、または第2のしきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる、
請求項1に記載の自動水栓。
【請求項6】
吐水口を有する吐水管を備え、
前記センサ部は、前記吐水管における前記吐水口よりも手前側に設けられる、
請求項1に記載の自動水栓。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の自動水栓と、
シンクと、
を有し、
前記自動水栓の下端は、前記シンクにおける縁の上面に設けられているキッチン。
【請求項8】
前記自動水栓は、前記センサ部が前記上面の高さよりも下側の前記シンクの内部をセンシング可能な位置に設けられている、
請求項7に記載のキッチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動水栓及びキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
容器への吐水時に満水を検知して止水する自動水栓として、特許文献1が開示されている。特許文献1における自動水栓は、距離センサから2つの距離を同時に取得し、1つの距離が時間経過によって変化せず、もう1つの距離が時間経過によって短くなったときに、その短くなった距離を水面までの距離、変化しない距離を容器の淵までの距離と判定し、2つの距離差に基づいて自動止水し、意図しない長時間の吐水を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-66730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された装置は、複数の距離を同時検出可能なセンサを用いる必要があるとともに、容器の上端と水面の距離を同時取得で精度を出すことが困難である。1つの距離を検出可能なセンサを用いた場合には、物が入った容器へ吐水したときに水面より先に物を検知し続けると、吐水中の測距値変動が小さいため満水でない状況にもかかわらず誤止水してしまうという問題が生じる。
【0005】
本開示は、簡単な構造で満水時に正確に止水できる自動水栓及び自動水栓を備えたキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様は、検出光を用いて検知対象との距離を検出するセンサ部と、前記検出光の反射光を受光した受光量に応じて前記検知対象が物か水面かを判別する判別部と、吐水と止水とを切り替える切替部と、前記センサ部の検出結果に応じて前記切替部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサ部が検出する距離のうち、前記検知対象が前記水面であると判別された所定時間の距離の変動量が所定のしきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる自動止水モードを有する、自動水栓である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態の自動水栓を示す概略構成図である。
図2】本開示の自動水栓を示す概略構成図である。
図3】本開示の自動水栓を示す概略構成図である。
図4】検知対象までの距離と、しきい値となる受光量の関係を示す図である。
図5】第1実施形態の自動止水モードのフローチャートである。
図6】吐水の経過時間と水位との関係を示す図である。
図7】第2実施形態の自動止水モードのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の自動水栓及びキッチンの実施の形態を、図1から図7を参照して説明する。以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺等を異ならせている。
【0009】
[自動水栓1の第1実施形態]
図1及び図2に示すように、第1実施形態の自動水栓1は、キッチン40のシンク等に設置されるものである。自動水栓1は、洗面所及び浴室等に設けられてもよい。自動水栓1は、電気駆動により、湯水の吐水と止水の切り替え及び温度調整が可能に構成されている。
【0010】
自動水栓1は、切替レバー2と、吐水管3と、電磁弁6と、センサ部10と、電磁弁制御部20と、判別部21と、を備えている。切替レバー2及び吐水管3は、下端がシンク7における縁の上面7Aに設けられている。切替レバー2は、手動操作によって湯水の吐水と止水の切り替え及び吐水における湯と水の切り替え等が可能である。
【0011】
吐水管3は、先端に吐水口4と光用開口部5とを有する。吐水管3は、吐水口4が下側を向くU字状に形成されている。吐水管3は、給水路8から送られる水を吐水口4から吐出可能である。吐水口4は、給水路8から供給される水を吐水するための開口を形成する。切替レバー2及び吐水管3は、下端がシンク7における縁の上面7Aに設けられた際に、吐水口4は上面7Aよりも手前に位置する。吐水口4からの吐水方向は、下方に設定される。吐水口4からの吐水方向は、切替レバー2から離れる方向に延びる斜め下方に設定される。自動水栓1がキッチン40に取り付けられた際には、吐水口4の下方の先にシンク7が位置する。給水路8から吐水口4を介して供給される水によって、シンク7における水受槽7Bに載置された容器30に水が溜められる。容器30は、特に限定されないが、例えば鍋、ボウル、コップ、洗面器等が挙げられる。
【0012】
給水路8は、吐水口4から吐水するための水を供給する配管である。給水路8は、一例として、湯と水を混合した混合水を供給する配管である。給水路8は、水のみを供給する配管であってもよい。以下では、水を供給する配管であるとして説明する。給水路8は、吐水口4、吐水管3及びシンク7の内部を順次通るように設けられている。給水路8の先端は、吐水口4に位置する。給水路8の末端は、電磁弁6に接続されている。
【0013】
電磁弁6は、給水路8への通水を切り替える。電磁弁6の開閉制御によって、給水路8への水の通水が制御される。電磁弁6の開閉制御によって、吐水口4からの吐水と止水とを切り替えることができる。電磁弁6は、切替部に対応する。
【0014】
センサ部10は、吐水管3の先端に設けられている。センサ部10は、吐水管3における吐水口4よりも手前側に設けられている。吐水口4よりも手前側とは、吐水口4に対して切替レバー2とは逆側である。センサ部10は、検知対象との距離を検出する距離センサである。検知対象は、例えば、容器30に溜められた水の水面9、容器30に収容された物31、食器、食材及びユーザの手等である。物31は、水以外であれば特に限定されないが、例えば、野菜、果物等の食材、食器、吐水口4の下側に位置する手指等が挙げられる。野菜、果物等の食材、食器、吐水口4の下側に位置する手指等は、容器30に収容されていない場合でも、センサ部10との距離の検知対象になる。
【0015】
センサ部10は、例えば、光学式、電磁波式、超音波式等を用いることができるが、自動水栓1においてはパルス投光した検出光Lとしてのレーザー光が検知対象である水面9において反射して返ってくるまでの時間と光の速さを基に距離を検出するToF(Time of Flight)式の距離センサが搭載されている。
【0016】
自動水栓1は、センサ部10が上面7Aの高さよりも下側のシンク7の内部をセンシング可能な位置に設けられている。センサ部10は、図1に示すように、発光部11と、受光部12と、演算部13と、測距制御部14と、を有する。発光部11は、測距制御部14の制御によって、光用開口部5を介して検出光Lを下方に向けて発光する。検出光Lの発光方向は、切替レバー2から離れる方向に延びる斜め下方である。検出光Lは、下方に向かうにつれて拡がる円錐状である。検出光Lの検知範囲と、吐水口4からの吐水範囲は、重ならない位置関係に設定されている。この位置関係により、吐水による悪影響を抑制できるため、センサ部10による良好な検知を可能とする。なお、検出光Lの検知範囲は斜め下方として説明したが、検出光Lの検知範囲と吐水範囲とが重ならない範囲の位置関係である場合には必ずしも検出光Lの検知範囲は斜め下方である必要はなく、例えば鉛直下方に向けてもよい。また、センサ部10によって検知できれば必ずしも検出光Lの検知範囲と吐水範囲とが重ならない範囲の位置関係である必要はなく、一部の範囲が重なっていてもよい。
【0017】
受光部12は、検知対象で反射した検出光Lを、光用開口部5を介して受光する。演算部13は、測距制御部14から取得した発光部11が検出光Lを発光した時間と、受光部12から取得した検出光Lを受光した時間とを用いて演算を行い、検知対象までの距離を算出する。演算部13は、受光部12が受光した検知対象からの反射光の受光量と、算出した検知対象までの距離を判別部21に出力する。
【0018】
判別部21は、検出光Lの反射光を受光した受光量に応じて検知対象が水面9か物31かを判別する。図1及び図2に示すように、検知対象が水面9の場合、吐水によって揺れが生じ検出光Lが水面9において乱反射するため、受光部12の受光量が低下する。図3に示すように、検知対象が物31の場合、吐水によって揺れが生じづらいため、受光量の低下は検知対象が水面9の場合よりも小さい。判別部21は、受光量の大小に応じて検知対象が水面9か物31かを判別する。
【0019】
判別部21は、受光量が所定のしきい値よりも小さいときに検知対象が水面9であると判別し、受光量が所定のしきい値よりも大きいときに検知対象が物31であると判別する。判別部21は、受光量が所定のしきい値と一致するときに、例えば、検知対象が物31であると判別する。受光量は、逆2乗の法則によって発光部11からの距離の2乗に反比例するため、図4に示すように、所定のしきい値となる受光量は、検知対象までの距離に応じて変化する。所定のしきい値となる受光量は、検知対象との距離が長くなるにつれて小さくなり、検知対象との距離が短くなるにつれて大きくなる。判別部21が判別した検知対象の結果は、電磁弁制御部20に出力される。
【0020】
電磁弁制御部20は、電磁弁6の開閉を制御する。電磁弁制御部20は、センサ部10が検出した検知対象までの距離に応じて電磁弁6の開閉を制御することによって、吐水と止水とを切り替える。電磁弁制御部20は、センサ部10が検出した検知対象までの距離に基づき、容器30への吐水時に容器30に溜められた水が満水になったことを検知したときに止水する自動止水モードを有する。自動止水モードにおいて電磁弁制御部20は、センサ部10が検出する検知対象までの所定時間の距離の変動量が所定の第1のしきい値よりも小さいときに止水に切り替えさせる。第1のしきい値は、しきい値に対応する。センサ部10が検出する検知対象までの距離の変動量が第1のしきい値以上となる時間を経過時間ΔTと呼ぶ。
【0021】
電磁弁制御部20は、一例として、プロセッサと、記憶部と、を有する。プロセッサは、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより、上述の処理を行う。記憶部は、必要なパラメータ、上記の処理を記述したプログラムなどが記憶されたメモリにより構成される。プロセッサは、マイコン(マイクロコンピュータ)やDSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウエア回路に論理構成されたプロセッサにより構成される。電磁弁制御部20は、複数のプロセッサおよび複数の記憶部が連携して上記機能を実行してもよい。
【0022】
自動止水モードは、吐水中に常時動作する。自動止水モードは、ユーザの動作によって常時動作から動作終了に移行する。自動止水モード終了のユーザの動作としては、一例として、音声による自動止水モード終了の指示、光用開口部5の下方に手をかざしてセンサ部10が検出する距離が、予め設定された自動止水モード開始パターンに一致させることが挙げられる。光用開口部5の下方に手をかざすことによって、自動止水モードを終了させる場合、センサ部10が吐水管3における吐水口4よりも手前側に設けられているため、光用開口部5の下方に手を移動させる距離が短くなり、迅速に自動止水モードを終了させることができる。
【0023】
自動止水モードにおいて、センサ部10が検出した検知対象までの距離に基づき、容器30に溜められた水が満水になったことを検知する動作について図5から図6を参照して説明する。
【0024】
図5に示すように、自動止水モードが開始されると、ステップS1において電磁弁制御部20は、センサ部10が検出した距離を取得する。電磁弁制御部20は、ステップS2において、水栓が吐水しているかを判断し、水栓が吐水していない場合には、自動止水モードを停止させる。センサ部10が検出した距離を取得した電磁弁制御部20は、ステップS2において水栓が吐水していると判断すると、ステップS3において、受光部12が受光した受光量を取得する。
【0025】
センサ部10が検出した距離及び受光部12が受光した受光量を取得した判別部21は、ステップS4において、取得した受光量が距離に応じた受光量しきい値よりも小さいかを判断する。取得した受光量が距離に応じた受光量しきい値以上の場合、判別部21は、検出された距離の検知対象が図3に示すように、物31であると判別し、ステップS1に戻り距離の取得を継続する。
【0026】
ステップS4において、取得した受光量が距離に応じた受光量しきい値よりも小さい場合、判別部21は、ステップS5において、検知対象が図2に示すように、水面9であると判別し、検知対象の判別結果及びセンサ部10が検出した距離を電磁弁制御部20に出力する。
【0027】
検知対象の判別結果及び距離を取得した電磁弁制御部20は、ステップS6において、所定時間、距離を取得したかを判断する。電磁弁制御部20は、所定時間、距離を取得していないと判断すると、ステップS1に戻り距離の取得以降の処理を実行させる。吐水されて容器30に溜められた水の水位は、図6に示すように、満水になるまで吐水開始からの経過時間に応じて上昇し、センサ部10が検出した水面9までの距離は短くなる。
【0028】
ステップS6において、所定時間、距離を取得した場合に、電磁弁制御部20は、ステップS7において、距離の変動量を算出する。電磁弁制御部20は、算出した距離の変動量が第1のしきい値未満であるかをステップS8において判断する。電磁弁制御部20は、算出した距離の変動量が第1のしきい値以上である場合、容器30内の水が満水に至っていないことからステップS1に戻り距離の取得以降の処理を実行させる。
【0029】
電磁弁制御部20は、算出した距離の変動量が第1のしきい値未満の場合には、ステップS9において、所定時間の距離の変動量が第1のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生したかを判断する。電磁弁制御部20は、所定時間の距離の変動量が第1のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生していない場合、容器30内の水が満水に至っていないことからステップS1に戻り距離の取得以降の処理を実行させる。満水の判断としては、所定時間における第1のしきい値未満の距離の変動量が、連続して複数回発生したかを判断することに限定されず、単数回発生での判断でもよい。満水の判断としては、例えば5回中4回、第1のしきい値未満の変動が発生したときなど、確率等の統計的手法を用いた判定を行ってもよい。
【0030】
電磁弁制御部20は、ステップS9において経過時間ΔTである所定時間の距離の変動量が第1のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生したときに、容器30に溜められた水が満水であると判断する。電磁弁制御部20は、ステップS10において電磁弁6を介して止水に切り替えさせる。電磁弁制御部20は、容器30に溜められた水が満水であり、溢れによって止水していることを、ステップS11において、例えば音声によってユーザに通知する。
【0031】
自動水栓1においては、検出光Lの反射光を受光した受光量に応じて検知対象が物31か水面9かを判別部21が判別するため、検知対象が物31であったときに満水でない状況にもかかわらず誤止水してしまうということを抑制でき、簡単な構造で満水時に正確に止水することができる。
【0032】
自動水栓1においては、センサ部10が検出する所定時間の距離の変動量が第1のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生したときに止水に切り替えさせるため、センサ部10による検知対象が1つのみであり容器30までの距離を検出することなく、自動止水を実行できる。
【0033】
自動水栓1においては、容器30が満水の状態であり吐水の経過時間によって距離が短くならない場合でも、距離の変動量が第1のしきい値よりも小さいことを検出することによって自動止水を実行できる。自動水栓1においては、簡単な構造で満水時に正確に止水でき、吐水時に意図しない長時間の吐水を抑制することができる。
【0034】
[自動水栓1の第2実施形態]
自動水栓1の第2実施形態について、図7を参照して説明する。この図において、図1から図6に示す第1実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
自動水栓1の第1実施形態は、検知対象が水面9であり、容器30の満水時に止水する構成としたが、例えば、検知対象が物31であり、食器洗い、手洗い時等に吐水させ、洗いの完了を検知したときに止水させることも可能である。
【0036】
図7に示すように、自動水栓1において自動止水モードが開始されると、判別部21は、ステップS1において、センサ部10が検出した距離を取得した後に、ステップS2において、水栓が吐水しているかを判断し、水栓が吐水していない場合には、自動止水モードを停止させる。判別部21は、ステップS2において水栓が吐水していると判断すると、ステップS3において、受光部12が受光した受光量を取得する。
【0037】
センサ部10が検出した距離及び受光部12が受光した受光量を取得した判別部21は、ステップS4において、取得した受光量が距離に応じた受光量しきい値よりも小さいかを判断する。
【0038】
ステップS4において、取得した受光量が距離に応じた受光量しきい値よりも小さい場合、判別部21は、ステップS5において、検知対象が水面9であると判別し、検知対象の判別結果及びセンサ部10が検出した距離を電磁弁制御部20に出力する。
【0039】
検知対象の判別結果及び距離を取得した電磁弁制御部20は、ステップS12Aにおいて、水面9に対応した第1のしきい値を設定する。ステップS12Aにおいて設定される第1のしきい値は、第1実施形態で説明した所定の第1のしきい値と同様である。水面9に対応した第1のしきい値が設定されると、電磁弁制御部20は、第1実施形態で説明したステップS6からS11を順次実行し、止水に切り替えさせた後に容器30に溜められた水が満水であり、溢れによって止水していることを例えば音声によってユーザに通知する。
【0040】
ステップS4において、取得した受光量が距離に応じた受光量しきい値以上の場合、判別部21は、ステップS5Bにおいて、検出された距離の検知対象が物31であると判別し、検知対象が物31である判別結果及びセンサ部10が検出した距離を電磁弁制御部20に出力する。
【0041】
検知対象が物31である判別結果及び距離を取得した電磁弁制御部20は、ステップS12Bにおいて、物31に対応した第2のしきい値を設定する。ステップS12Bにおいて設定される物31の距離の変動量の第2のしきい値は、例えば、検知対象が水面9であるときに設定した距離の変動量の第1のしきい値よりも小さくする。第2のしきい値を第1のしきい値よりも小さくすることによって、物31を検知したときは第2のしきい値が小さいため、水面9の検知時と比較して止水しにくくなる。
【0042】
物31に対応した第2のしきい値が設定されると、電磁弁制御部20は、ステップS6Bにおいて、所定時間、距離を取得したかを判断する。電磁弁制御部20は、所定時間、距離を取得していないと判断すると、ステップS1に戻り距離の取得以降の処理を実行させる。
【0043】
ステップS6Bにおいて、所定時間、距離を取得した場合に、電磁弁制御部20は、ステップS7Bにおいて、距離の変動量を算出する。電磁弁制御部20は、算出した距離の変動量が第2のしきい値未満であるかをステップS8Bにおいて判断する。電磁弁制御部20は、算出した距離の変動量が第2のしきい値以上である場合、例えば、手洗い、食器洗いが継続中の可能性があるため、ステップS1に戻り距離の取得以降の処理を実行させる。
【0044】
電磁弁制御部20は、算出した距離の変動量が第2のしきい値未満の場合には、ステップS9Bにおいて、所定時間の距離の変動量が第2のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生したときかを判断する。検知対象が物31である場合、例えば、手洗い、食器洗いの可能性があることから、誤止水を抑制するために、第2のしきい値未満の変動が連続して複数回発生したかを判断する時間を、経過時間ΔTである所定時間の距離の変動量が第2のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生したときとする。
【0045】
一例として、検知対象が水面9の場合は差分をとる所定時間を0.5秒後として、物31の場合は差分をとる所定時間を4秒後に設定する。この設定によって、検知対象が水面9の場合は差分の変動量を算出する最短時間は0.5秒後になるが、物31の場合は差分の変動量を算出する最短時間は4秒後となり、止水判定をしにくくなる。
【0046】
電磁弁制御部20は、ステップS9Bにおいて所定時間の距離の変動量が第2のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生していない場合、例えば、手洗い、食器洗いが継続中の可能性があるため、ステップS1に戻り距離の取得以降の処理を実行させる。
【0047】
電磁弁制御部20は、ステップS9Bにおいて所定時間の距離の変動量が第2のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生した場合、例えば、手洗い、食器洗いが完了したと判断する。電磁弁制御部20は、ステップS10において電磁弁6を介して止水に切り替えさせる。電磁弁制御部20は、止水していることをステップS11において、例えば音声によってユーザに通知する。
【0048】
自動水栓1においては、第1実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、検知対象が物31であり、食器洗い、手洗い時等に吐水させ、洗いの完了を検知したときに止水させることが可能である。
【0049】
自動水栓1においては、積みあがった食器等の検知によって意図しない長時間の吐水を抑制できる。
【0050】
自動水栓1においては、検知対象が水面9であるときに所定時間の距離の変動量が第1のしきい値よりも小さいときが連続して複数回発生したかを判断する時間を、検知対象が物31であるときに第2のしきい値未満の変動が連続して複数回発生したかを判断する時間よりも短いため、水面検知時は素早く止水させることができる。
【0051】
自動水栓1においては、検知対象が物31であるときに差分を取る所定時間を、検知対象が水面9であるときに差分を取る所定時間よりも長くすることによって止水判定をしにくくなり、洗い物などの日常動作における誤止水を抑制することができる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0053】
例えば、自動水栓1においては、水位変動を検出する時間及び溢れと判定する距離の第1のしきい値は予め設定される構成を例示したが、この構成に限定されない。水位変動を検出する時間及び溢れと判定する距離の第1のしきい値は、例えば、外部デバイスから再設定する構成であってもよい。
【0054】
自動水栓1においては、止水後のユーザへの通知が音声である構成を例示したが、この構成に限定されない。ユーザへの通知は、ブザーやLEDの発光等の他の報知手段を用いてもよい。
【0055】
自動水栓1においてユーザへの通知は、視覚及び聴覚を介して通知する構成に限定されない、例えば、流量変更、温度変更、ストレート吐水とシャワー吐水の切り替え等、水の出し方の変更、浄水と原水の変更、外部デバイスへの通知を用いてもよい。
【0056】
本開示は下記の態様を含む。
【0057】
[1]検出光を用いて検知対象との距離を検出するセンサ部と、前記検出光の反射光を受光した受光量に応じて前記検知対象が物か水面かを判別する判別部と、吐水と止水とを切り替える切替部と、前記センサ部の検出結果に応じて前記切替部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記センサ部が検出する距離のうち、前記検知対象が前記水面であると判別された所定時間の距離の変動量が所定のしきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる自動止水モードを有する、自動水栓。
【0058】
[2]前記判別部は、所定の受光量しきい値を用いて前記物か前記水面かを判別し、前記受光量しきい値は、前記検知対象との距離に応じて変化する、前記[1]に記載の自動水栓。
【0059】
[3]前記受光量しきい値は、前記検知対象との距離が長くなるにつれて小さくなり、前記検知対象との距離が短くなるにつれて大きくなる、前記[2]に記載の自動水栓。
【0060】
[4]前記制御部は、前記自動止水モードのときに前記検知対象が前記水面であると判別された前記所定時間の距離の変動量が連続して複数回、前記しきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる、前記[1]から前記[3]のいずれか一項に記載の自動水栓。
【0061】
[5]前記制御部は、前記自動止水モードにおいて前記センサ部が検出する距離のうち、前記検知対象が前記物であると判別された距離の変動量が前記所定時間よりも長い時間、または第2のしきい値よりも小さいときに前記止水に切り替えさせる、前記[1]から前記[4]のいずれか一項に記載の自動水栓。
【0062】
[6]吐水口を有する吐水管を備え、前記センサ部は、前記吐水管における前記吐水口よりも手前側に設けられる、前記[1]から前記[5]のいずれか一項に記載の自動水栓。
【0063】
[7]前記[1]から前記[6]のいずれか一項に記載の自動水栓と、シンクと、を有し、前記自動水栓の下端は、前記シンクにおける縁の上面に設けられているキッチン。
【0064】
[8]前記自動水栓は、前記センサ部が前記上面の高さよりも下側の前記シンクの内部をセンシング可能な位置に設けられている、前記[7]に記載のキッチン。
【符号の説明】
【0065】
1…自動水栓、3…吐水管、4…吐水口、6…電磁弁、9…水面、10…センサ部、20…電磁弁制御部、21…判別部、31…物、40…キッチン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7