(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135324
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ及びコネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20240927BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045950
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 雄太
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC31
5E021FC40
5E021HB02
5E021HB04
5E021HB05
5E087EE02
5E087LL04
5E087LL17
5E087MM06
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】耐水性を向上できるレバー式コネクタ及びコネクタ装置を提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング20と、前記ハウジング20に変位可能に取り付けられ、前記ハウジング20に対して第1位置から第2位置に回動することによって相手コネクタ60を引き寄せるレバー40と、を備え、前記ハウジング20には、前記レバー40のアーム部41に形成されたカム溝45に前記相手コネクタ60のカムピン64を通す通し孔26Hが形成され、前記レバー40は、前記ハウジング20に対して前記第1位置から前記第2位置に移動した後、前記第2位置から第3位置に移動可能であり、前記第3位置において前記通し孔26Hを塞ぐ突起部49を有している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに変位可能に取り付けられ、前記ハウジングに対して第1位置から第2位置に変位することによって相手コネクタを引き寄せるレバーと、を備え、
前記ハウジングには、前記レバーのアーム部に形成されたカム溝に前記相手コネクタのカムピンを通す通し孔が形成され、
前記レバーは、前記ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置に移動した後、前記第2位置から第3位置に移動可能であり、前記第3位置において前記通し孔を塞ぐ突起部を有している、レバー式コネクタ。
【請求項2】
前記第2位置から前記第3位置への移動方向は、前記相手コネクタとの嵌合方向と同じ方向であり、
前記突起部は、前記第3位置において、前記通し孔に入り込んでいる、請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングに取り付けられる電線カバーを備え、
前記電線カバーは、前記ハウジングの電線引き出し面を覆うカバー面を有し、
前記レバーは、前記第3位置において、前記カバー面に形成された隙間を塞ぐ、請求項1または請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項4】
前記第2位置から前記第3位置への移動を案内するガイド部を有している、請求項1または請求項2に記載のレバー式コネクタ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のレバー式コネクタと、
前記相手コネクタが固定される金属製のケースと、を備えたコネクタ装置であって、
前記相手ハウジングは、前記ハウジングと嵌合可能な相手フード部を有し、
前記ケースは、前記相手フード部の外周面を覆う筒状部を有し、
前記ハウジングは、前記筒状部に被さる張出壁部を有し、
前記通し孔は、前記張出壁部に形成されている、コネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レバー式コネクタ及びコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1~4には、レバーを操作することによって、小さい操作力でコネクタを確実に嵌合させ得るレバー式コネクタが記載されている。下記特許文献1に記載されたレバー式コネクタは、互いに嵌合可能な雄コネクタと雌コネクタとを有している。レバーは雌コネクタに回動可能に取り付けられている。雌コネクタには、雄コネクタのカムピンをレバーのカム溝に案内するための通し孔が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-13129号公報
【特許文献2】特開平11-3743号公報
【特許文献3】特開2002-231379号公報
【特許文献4】特開2018-113266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなレバー式コネクタにおいて、金属製のケースに対して組み付けられるコネクタの場合、カムピンを通す通し孔からコネクタの内部に水を入りにくくし、耐水性を向上させたい、という要望があった。
【0005】
そこで、本開示は、耐水性を向上できるレバー式コネクタ及びコネクタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに変位可能に取り付けられ、前記ハウジングに対して第1位置から第2位置に変位することによって相手コネクタを引き寄せるレバーと、を備え、前記ハウジングには、前記レバーのアーム部に形成されたカム溝に前記相手コネクタのカムピンを通す通し孔が形成され、前記レバーは、前記ハウジングに対して前記第2位置から第3位置に移動可能であり、前記第3位置において前記通し孔を塞ぐ突起部を有しているものである。
【0007】
本開示のコネクタ装置は、前記レバー式コネクタと、前記相手コネクタが固定される金属製のケースと、を備えたコネクタ装置であって、前記相手ハウジングは、前記ハウジングと嵌合可能な相手フード部を有し、前記ケースは、前記相手フード部の外周面を覆う筒状部を有し、前記ハウジングは、前記筒状部に被さる張出壁部を有し、前記通し孔は、前記張出壁部に形成されているものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、耐水性を向上できるレバー式コネクタ及びコネクタ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかるコネクタ装置であって、レバーが第2位置にある状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、コネクタ装置を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、コネクタと相手コネクタとの嵌合状態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、コネクタと相手コネクタとの嵌合状態においてレバーが第2位置にある状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、コネクタと相手コネクタとの嵌合状態においてレバーが第3位置にある状態を示す断面図である。
【
図6】
図6は、レバーが第3位置にある状態を示す断面図であって、レバーロック部及びレバーロック受け部を拡大して示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示のレバー式コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに変位可能に取り付けられ、前記ハウジングに対して第1位置から第2位置に変位することによって相手コネクタを引き寄せるレバーと、を備え、前記ハウジングには、前記レバーのアーム部に形成されたカム溝に前記相手コネクタのカムピンを通す通し孔が形成され、前記レバーは、前記ハウジングに対して前記第1位置から前記第2位置に移動した後、前記第2位置から第3位置に移動可能であり、前記第3位置において前記通し孔を塞ぐ突起部を有している。このような構成によれば、カムピンの通し孔に水を入りにくくできるから耐水性を向上できる。
(2)上記(1)に記載されたレバー式コネクタにおいて、前記第2位置から前記第3位置への移動方向は、前記相手コネクタとの嵌合方向と同じ方向であり、前記突起部は、前記第3位置において、前記通し孔に入り込んでいるものでもよい。このような構成によれば、レバーを第3位置におくことによって、レバー式コネクタにおいて相手コネクタとの嵌合方向の大きさをコンパクトにできる。
(3)上記(1)又は(2)に記載されたレバー式コネクタにおいて、前記ハウジングに取り付けられる電線カバーを備え、前記電線カバーは、前記ハウジングの電線引き出し面を覆うカバー面を有し、前記レバーは、前記第3位置において、前記カバー面に形成された隙間を塞ぐものとしてもよい。このような構成によれば、電線引き出し面に水をかかりにくくできるから、耐水性を向上できる。
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載されたレバー式コネクタにおいて、前記第2位置から前記第3位置への移動を案内するガイド部を有しているものとしてもよい。このような構成によれば、レバーは、ガイド部に沿って第2位置から第3位置へ移動するから、第2位置から第3位置への移動を容易に行うことができる。
(5)本開示のコネクタ装置は、上記(1)から(4)のいずれかに記載されたレバー式コネクタと、前記相手コネクタが固定される金属製のケースと、を備えたコネクタ装置であって、前記相手ハウジングは、前記ハウジングと嵌合可能な相手フード部を有し、前記ケースは、前記相手フード部の外周面を覆う筒状部を有し、前記ハウジングは、前記筒状部に被さる張出壁部を有し、前記通し孔は、前記張出壁部に形成されているものである。このような構成によれば、通し孔を突起部で塞ぐことによって、ケースに水をかかりにくくできるから、水によるケースの腐蝕を抑制できる。
【0011】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のレバー式コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0012】
[実施形態1]
レバー式コネクタ10は、
図1及び
図2に示すように、ハウジング20と、電線カバー30と、レバー40と、を備えている。以後、レバー式コネクタ10を単にコネクタ10と称する。レバー40は、ハウジング20に回動可能に取り付けられている。レバー40は、第1位置から第2位置に回動することによってコネクタ10と相手コネクタ60とを引き寄せる。第1位置は、コネクタ10と相手コネクタ60との嵌合を開始する位置である。第2位置は、コネクタ10と相手コネクタ60とが正規の嵌合状態となった位置である。正規の嵌合状態においてコネクタ10の図示しない端子金具は、相手端子金具68と導通接続される。
【0013】
以下、各構成部材において、
図1における下側を下方、上側を上方として説明する。各図においてX軸の正方向側を右側、X軸の負方向側を左側、Y軸の正方向側を下側、Y軸の負方向側を上側、Z軸の正方向側を前側、Z軸の負方向側を後側とする。Y軸は、コネクタ10と相手コネクタ60との嵌合方向と平行である。「平行」は、厳密に平行な状態に加えて、概ね平行な状態を含む。
【0014】
相手コネクタ60は、金属製のケース62に固定される。図面には、ケース62の一部のみを示す。相手コネクタ60は、合成樹脂製の相手ハウジング61を備えている。相手ハウジング61は、相手端子金具68を保持している。相手端子金具68は、図示しない回路基板に接続される。相手ハウジング61は、
図2に示すように、相手フード部63を有している。相手フード部63は、上方に開口した筒状をなしている。相手フード部63は、2つのカムピン64を有している。2つのカムピン64は、相手フード部63の左右両面に突出して設けられている。相手フード部63は、
図3に示すように、ケース62の開口部65から上方に突出している。
【0015】
ケース62はアルミダイカスト等で成形されている。ケース62は、開口部65の全周からから上方に突出した筒状部66を有している。筒状部66は、左右方向よりも前後方向に長い長円形状である。筒状部66は、相手ハウジング61の外周面の一部を覆っている。筒状部66の内周面と相手ハウジング61の外周面との間は、相手シール部材67によってシールされている。
【0016】
ハウジング20は、図示しない端子金具を収容している。端子金具は、導電金属製である。端子金具の後端部には図示しない電線が接続されている。電線は、ハウジング20の上面から上方に引き出される。ハウジング20の上面は、電線引き出し面21である。
【0017】
ハウジング20は、
図3に示すように、第1ハウジング20Fと、第2ハウジング20Sとを備えている。第1ハウジング20F及び第2ハウジング20Sはいずれも合成樹脂製である。第1ハウジング20Fは、外壁部22と、張出壁部25とを有している。外壁部22は、角筒状をなしている。外壁部22は、相手フード部63の外周側に嵌合する。外壁部22の後端部には、
図2に示すように、複数のカバーロック受け部23が設けられている。外壁部22の左右両面には、支軸24が突出して形成されている。支軸24は、略円柱状をなしている。
【0018】
張出壁部25は、第1ハウジング20Fの下端部に設けられている。張出壁部25は、外壁部22の外周面から外周側に張り出している。張出壁部25は、第1壁部25F及び第2壁部25Sを有している。第1壁部25Fは、外壁部22の外周面からXZ平面に平行に張り出している。第1壁部25Fを上方から見た外形は、筒状部66の形状に沿った長円形状をなしている。第2壁部25Sは、第1壁部25Fの外周縁から下方に突出している。第2壁部25Sは、ケース62の筒状部66の外周側に嵌合する。第2壁部25Sは、筒状部66の外周面を覆う。
【0019】
第1ハウジング20Fには、
図2に示すように、カムピン64を通す通し部26が形成されている。通し部26は、第1ハウジング20Fの左右両側に形成されている。通し部26は、第1ハウジング20Fの前後方向中央部に設けられている。
【0020】
各通し部26は、
図2に示すように、通し孔26H及び通し溝26Mを有している。通し孔26Hは、張出壁部25に形成されている。通し孔26Hは、張出壁部25の第1壁部25Fを上下方向に貫通している。通し孔26Hは、上方から見ると、方形状をなしている。通し溝26Mは、外壁部22に形成されている。通し溝26Mは、通し孔26Hと連通し、通し孔26Hから上方に直線状に延びている。通し溝26Mは、外壁部22を内外方向に貫通している。支軸24は、通し溝26Mの真上に位置している。
【0021】
第2ハウジング20Sは、
図3に示すように、第1ハウジング20Fの内側に収容されている。第2ハウジング20Sは、インナハウジングであり、第1ハウジング20Fは、アウタハウジングである。第1ハウジング20Fと第2ハウジング20Sとの間には、第1シール部材11が配置されている。
【0022】
第2ハウジング20Sは、相手フード部63の内側に嵌合する。第2ハウジング20Sの外周面には第2シール部材12が装着されている。第2シール部材12は、相手コネクタ60との嵌合状態において、第2ハウジング20Sの外周面と相手フード部63の内周面とに密着する。
【0023】
電線カバー30は合成樹脂製である。電線カバー30は、カバーロック部31と、電線引き出し部32と、カバー面36と、を有している。カバーロック部31は、ハウジング20のカバーロック受け部23に係止する。カバーロック部31とカバーロック受け部23とのの係止によって、電線カバー30は、第1ハウジング20Fに固定される。
【0024】
電線引き出し部32は、右方へ延びている。電線は、ハウジング20の電線引き出し面21から上方に延び、電線カバー30の内側で屈曲させられ、電線引き出し部32に沿って右方へ引き出される。
【0025】
カバー面36は、ハウジング20の電線引き出し面21の上方を覆う。カバー面36は、
図3に示すように、レバーロック受け部33を有している。レバーロック受け部33は、カバー面36に形成された隙間34を有している。隙間34は、左右方向に細長く延びている。
【0026】
レバー40は、てこの原理によって相手コネクタ60との嵌合および離脱を補助する。レバー40は合成樹脂製である。レバー40は、
図2に示すように、左右一対のアーム部41と、一対のアーム部41同士を連結する操作部42と、突起部49とを備えている。一対のアーム部41は、外壁部22の左右両面に沿う。一対のアーム部41は、左右に対向している。
【0027】
一対のアーム部41の対向面43には、軸孔44及びカム溝45が形成されている。軸孔44は、支軸24を受け入れる。軸孔44は、アーム部41を左右方向に貫通する略円形の孔である。レバー40は、軸孔44に嵌められた支軸24を中心として、第1位置と第2位置との間で回動する。第2位置に回動したレバー40は、第2位置から第3位置へ移動する。第2位置から第3位置への移動は、第2位置のレバー40を下方へ押し込むことによってなされる。第2位置から第3位置への移動方向は、Y軸と平行である。
【0028】
カム溝45は、
図4に示すように、カムピン64を受け入れる。カム溝45は、カムピン64の進入を許容するカム進入口46を有している。カム溝45は、カム進入口46からカム奥端47に向かって延びている。カム溝45は、カム進入口46からカム奥端47に向かって湾曲している。カム進入口46は、第1位置において通し部26と左右方向に連通する。相手ハウジング61のカムピン64は、通し孔26Hから通し溝26M及びカム進入口46に入り込む。レバー40が回動されると、カムピン64はカム溝45の溝面を摺動し、コネクタ10と相手コネクタ60との嵌合が進行する。
【0029】
軸孔44は、
図4に示すように、拡張部44Kを有している。軸孔44の拡張部44Kは、軸孔44と連通している。拡張部44Kは、第2位置において軸孔44から上方に広がっている。軸孔44の拡張部44Kは、支軸24の外形に沿った形状をなしている。軸孔44と拡張部44Kとの境界には、前後方向の幅を狭める絞り部53が設けられている。
【0030】
カム溝45は、
図4に示すように、拡張部45Kを有している。カム溝45の拡張部45Kは、第2位置においてカム奥端47から上側に広がっている。拡張部45Kは、カムピン64の外形に沿った形状をなしている。
【0031】
操作部42は、
図3に示すように、レバーロック部48を有している。レバーロック部48は、第2位置において操作部42の下面から下方に突出している。レバーロック部48は、第3位置においてレバーロック受け部33の隙間34に入り込む(
図6参照)。レバーロック部48はレバーロック受け部33に係止し、レバー40は、第3位置から第2位置への移動、及び第2位置から第1位置への回動を制限される。
【0032】
突起部49は、
図2に示すように、アーム部41の外周面から外周側に突出している。突起部49は、第2位置においてアーム部41の下端に位置している。突起部49は、通し孔26Hに入り込む大きさである。突起部49の断面形状は、通し孔26Hを塞ぐ方形状をなしている。塞ぐとは、完全に通し孔26Hの隙間を無くすほどでなくてよい。
【0033】
コネクタ10は、第2位置から前記第3位置への移動を案内するガイド部13を有している。ガイド部13は、電線カバー30に設けられたガイド突起35と、レバー40に設けられたガイド溝52とを有している。
【0034】
ガイド突起35は、
図2に示すように、電線カバー30の右側面から右方に突出している。ガイド突起35は、円形断面を有するピン形状をなしている。ガイド突起35は、電線引き出し部32の後側に設けられている。
【0035】
ガイド溝52は、右側のアーム部41の対向面43に形成されている。ガイド溝52は、第2位置において上下方向に延びている。ガイド溝52の前後両縁は、上下方向に直線状に延びている。ガイド溝52は対向面43に形成された溝部51と連なっている(
図4参照)。溝部51には、ガイド突起35がガイド溝52に至る直前に乗り越え可能な山部54が形成されている。
【0036】
次に、コネクタ10と相手コネクタ60とを嵌合する作業の一例について説明する。コネクタ10と相手コネクタ60との嵌合開始時には、レバー40を第1位置に保持し、コネクタ10と相手コネクタ60とを浅く嵌合させる。すると、相手コネクタ60のカムピン64は通し孔26Hを通ってカム進入口46に入る。
【0037】
レバー40を、第1位置から第2位置まで回動させると、カム溝45とカムピン64とのカム作用によって相手コネクタ60とコネクタ10とは相対的に引き寄せられる。レバー40が第2位置に近づくと、ガイド突起35は対向面43の溝部51に入る。ガイド突起35は、レバー40が第2位置に到達する直前で山部54に差し掛かる。ガイド突起35が山部54を乗り越えると、レバー40は第2位置に到達する。ガイド突起35が山部54を乗り越えるときに、作業者は手応えを感じる。これによって、作業者は、レバー40の第2位置への移動を知ることができる。
【0038】
図4に示すように、レバー40が第2位置に到達すると、コネクタ10と相手コネクタ60とは正規の嵌合位置に至る。このとき、ガイド突起35は、ガイド溝52の真下に位置する。レバーロック部48はレバーロック受け部33の真上に配置される(
図3参照)。
【0039】
次いで、レバー40を第2位置から第3位置まで押し込む。レバー40の操作部42を下方に押すと、
図5に示すように、ガイド突起35はガイド溝52に入り込む。レバー40の移動は、ガイド突起35とガイド溝52との接触によって案内される。軸孔44の絞り部53は支軸24を乗り越え、軸孔44の拡張部44Kは支軸24に嵌合し、カム溝45の拡張部45Kはカムピン64に嵌合する。軸孔44の絞り部53が支軸24を乗り越えるときに、作業者は手応えを感じる。これによって、作業者は、レバー40の第3位置への移動を知ることができる。
【0040】
レバー40が第3位置に至ると、
図5に示すように、突起部49の突出端面49Tは通し孔26Hに入る。レバー40を第3位置に移動させることによって、コネクタ10の上下方向の寸法を小さくできる。通し孔26Hに入り込んだ突起部49は、通し孔26Hを塞いでいる。これにより、通し孔26Hの開口面積は格段に小さくなり、通し孔26Hからケース62の筒状部66と相手ハウジング61との間に水を入りにくくできる。また、レバー40が第3位置に至ると、レバーロック部48はレバーロック受け部33に係合する(
図6参照)。これによって、電線カバー30の隙間34は塞がれる。以上により、コネクタ10と相手コネクタ60とを嵌合する作業は完了する。
【0041】
次に、上記のように構成された実施例の作用および効果について説明する。コネクタCは、ハウジング20と、レバー40と、を備えている。レバー40は、ハウジング20に回動可能に取り付けられている。レバー40は、第1位置から第2位置に回動することによって相手コネクタ60を引き寄せる。ハウジング20には、レバー40のアーム部41に形成されたカム溝45に相手コネクタ60のカムピン64を通す通し孔26Hが形成されている。レバー40は、第2位置から第3位置に移動可能である。レバー40は、第3位置において通し孔26Hを塞ぐ突起部49を有している。この構成によれば、カムピン64の通し孔26Hに水を入りにくくできるから耐水性を向上できる。
【0042】
第2位置から第3位置への移動方向は、相手コネクタ60との嵌合方向と同じ方向である。突起部49は、第3位置において、通し孔26Hに入り込んでいる。この構成によれば、レバー40を第3位置におくことによって、コネクタ10において相手コネクタ60との嵌合方向の大きさをコンパクトにできる。
【0043】
コネクタ10は、ハウジング20に取り付けられる電線カバー30を備えている。電線カバー30は、ハウジング20の電線引き出し面21を覆うカバー面36を有している。レバー40は、第3位置において、カバー面36に形成された隙間34を塞ぐ。この構成によれば、電線引き出し面21に水をかかりにくくできるから、耐水性を向上できる。
【0044】
コネクタ10は、第2位置から第3位置への移動を案内するガイド部13を有している。この構成によれば、レバー40は、ガイド部13に沿って第2位置から第3位置へ移動するから、第2位置から第3位置への移動を容易に行うことができる。
【0045】
相手コネクタ60は、金属製のケース62に固定されるものである。相手ハウジング61は、ハウジング20と嵌合可能な相手フード部63を有している。ケース62は、相手フード部63の外周面を覆う筒状部66を有している。ハウジング20は、筒状部66に被さる張出壁部25を有している。通し孔26Hは、張出壁部25に形成されている。この構成によれば、通し孔26Hを突起部49で塞ぐことによって、ケース62に水をかかりにくくできるから、水によるケース62の腐蝕を抑制できる。
【0046】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、突起部49は通し孔26Hに入り込むが、他の実施形態としては、突起部は通し孔に入り込まないで通し孔に被さるだけでも良い。
上記実施形態の場合、カバー面36に形成された隙間34はレバーロック受け部33を構成しているが、他の実施形態としては、カバー面の隙間はレバーロック受け部を構成しない隙間であってもよい。
上記実施形態の場合、ガイド突起35は電線カバー30に設けられ、ガイド溝52はレバー40に設けられているが、他の実施形態としては、電線カバーにガイド溝を設け、レバーにガイド突起を設けてもよい。また他の実施形態としては、ハウジングにガイド溝またはガイド突起を設けてもよい。
上記実施形態の場合、レバー40はハウジング20に回動可能に取り付けられているが、他の実施形態としては、レバーはハウジングに直線状にスライドするものでもよい。
【符号の説明】
【0047】
C…コネクタ
10…コネクタ(レバー式コネクタ)
11…第1シール部材
12…第2シール部材
13…ガイド部
20…ハウジング
20F…第1ハウジング
20S…第2ハウジング
21…電線引き出し面
22…外壁部
23…カバーロック受け部
24…支軸
25…張出壁部
25F…第1壁部
25S…第2壁部
26…通し部
26H…通し孔
26M…通し溝
30…電線カバー
31…カバーロック部
32…電線引き出し部
33…レバーロック受け部
34…隙間
35…ガイド突起
36…カバー面
40…レバー
41…アーム部
42…操作部
43…対向面
44…軸孔
44K…拡張部
45…カム溝
45K…拡張部
46…カム進入口
47…カム奥端
48…レバーロック部
49…突起部
49T…突出端面
51…溝部
52…ガイド溝
53…絞り部
54…山部
60…相手コネクタ
61…相手ハウジング
62…ケース
63…相手フード部
64…カムピン
65…開口部
66…筒状部
67…相手シール部材
68…相手端子金具