(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135325
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】加熱調理用食品およびその中具ならびにそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 19/12 20160101AFI20240927BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
A23L19/12 A
A23L35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045952
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】福壽 孝介
(72)【発明者】
【氏名】劉 沁瑶
(72)【発明者】
【氏名】木村 佳幹
(72)【発明者】
【氏名】保坂 直人
【テーマコード(参考)】
4B016
4B036
【Fターム(参考)】
4B016LC02
4B016LE03
4B016LG06
4B016LP01
4B016LP04
4B016LP06
4B016LP13
4B036LC01
4B036LF13
4B036LH30
4B036LP01
4B036LP03
4B036LP04
4B036LP05
4B036LP12
4B036LP14
(57)【要約】
【課題】じゃがいもを原料として用いる中具および該中具を被覆する衣を有する加熱調理用食品において、じゃがいもの好ましい食感と風味とを両立させる。
【解決手段】加熱調理用食品の中具の製造において、粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、細断処理された加熱済みの皮を有するじゃがいもとを混合する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理用食品の中具を製造する方法であって、
(a)粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもを準備する工程、
(b)細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもを準備する工程、および
(c)前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとを混合する工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記中具におけるじゃがいもの皮の含有量が、中具の総質量に対して0.2~5質量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもにおいて、最大粒径が8~25mmであるじゃがいもの質量が、前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもの総質量に対して60~100質量%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもにおいて、最大粒径が1~5mmであるじゃがいもの質量が、前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもの総質量に対して60~100質量%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記中具における、前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとの質量比が、6:4~9:1である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記中具における、前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもおよび前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもの総含有量が、中具の総質量に対して50~100質量%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の方法で製造される前記中具を衣材で被覆する工程を含む、加熱調理用食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理用食品およびその中具、ならびにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、じゃがいもを原料として用いる食品において、じゃがいもの食感や風味を生かす工夫がなされている。例えば、じゃがいもを皮が付いたまま用いることにより、食品におけるじゃがいもの風味を向上させるアプローチが検討されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、じゃがいもの皮がじゃがいものホクホクとした食感を妨げるという問題がある。
【0005】
本発明者らは、じゃがいもを原料として用いる中具および該中具を被覆する衣を有する加熱調理用食品の製造において、異なる特定の方法で処理された2種類のじゃがいもを中具に用いることにより、得られる加熱調理用食品を加熱調理した食品におけるじゃがいものホクホクとした食感とじゃがいもの風味とを両立させ得ることを見出した。本開示はこのような知見に基づくものである。
【0006】
本開示の一つの態様によれば、加熱調理用食品の中具を製造する方法であって、
(a)粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもを準備する工程、
(b)細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもを準備する工程、および
(c)前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとを混合する工程、
を含む方法が提供される。
【0007】
本開示の別の態様によれば、上記の方法で製造される中具を衣材で被覆する工程含む加熱調理用食品の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、じゃがいもを原料として用いる中具および該中具を衣材で被覆した加熱調理済み食品において、中具のじゃがいもの食感とじゃがいもの風味とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、中具を製造するための従来の一般的な処理のフローチャートの一例である。
図1Bは、本開示の中具を製造するための処理のフローチャートの一例である。
図1Aのステップ1~3および5(S1~3および5)は、それぞれ
図1BのS1~S3および5に対応する。
図1AのS4は
図1BのNS1および3に対応する。
図1BのNS2および4はいずれも
図1Aに対応するものがないステップである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示において、「じゃがいもの食感」と言う場合、特段の説明がない限り、蒸かしたじゃがいものホクホクとした好ましい食感を意味する。また、「じゃがいもの風味」という場合、特段の説明がない限り、蒸かしたじゃがいもの好ましい風味を意味する。
【0011】
[加熱調理用食品の中具の製造方法]
本開示の一つの態様によれば、加熱調理用食品に用いられる中具(以下、「本開示の中具」ともいう。)の製造方法(以下、「本開示の中具の製造方法」ともいう。)が提供される。本開示の中具は、加熱調理用食品の中具として用いられる。本開示の中具が用いられる加熱調理用食品の種類は特に限定されず、例えば、加熱調理用のポテトコロッケ、ハッシュドポテト、マッシュポテト成型食品(マッシュ済みのじゃがいもを成形して加熱調理用としたもの)等が挙げられる。
【0012】
本開示の中具の製造方法は、粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもを準備する工程(工程(a))、細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもを準備する工程(工程(b))、および工程(a)で準備される粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、工程(b)で準備される細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとを混合する工程(工程(c))を含む。以下、工程(a)~(c)のそれぞれについて詳細に説明する。
【0013】
<工程(a)>
工程(a)では、粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいも(以下、「粗砕き処理じゃがいも」ともいう。)が準備される。本開示の中具が粗砕き処理じゃがいもを含むことにより、本開示の中具を含む加熱調理済み食品において、中具におけるじゃがいもの好ましい食感(特にホクホクとした食感)を得ることができる。
【0014】
粗砕き処理されるじゃがいもとしては、皮を有しないじゃがいもが用いられる。皮を有するじゃがいもを粗砕き処理して中具とすると、じゃがいも皮の大きな断片が中具に含まれることになり食感を損なうおそれがあるが、皮を有しないじゃがいもを粗砕き処理して中具とすることによって、じゃがいもの好ましい食感を得ることができる。なお、本開示において、「皮を有しないじゃがいも」とは、皮剥き処理されたじゃがいもをいうが、すべての皮が除去されたじゃがいもに限られず、剥き残しのわずかな皮を有するじゃがいもであってよく、詳細には、後述する細断処理されたじゃがいも由来の皮断片以下の小さい皮が少量含まれることは許容される。
【0015】
粗砕き処理じゃがいもは、加熱処理された、皮を有しないじゃがいもを粗く破砕することにより得ることができる。じゃがいもを加熱処理する方法としては、食品の製造において通常用いられる加熱処理の方法であれば特に限定されず、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜選択することができる。じゃがいもを加熱処理する方法としては、例えば、蒸し、茹で、焼き、蒸し焼き等の方法が挙げられる。
【0016】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、粗砕き処理じゃがいもを得るためのじゃがいもの加熱処理は、好ましくはじゃがいもを蒸すことにより行われる。その場合における蒸す条件は特に限定されず、温度は、例えば80~100℃、90~100℃等とすることができ、時間は、例えば15~35分、20~30分等とすることができる。
【0017】
加熱処理されたじゃがいもを粗砕き処理する方法としては、食品の製造において通常用いられる方法であれば特に限定されないが、例えば、裏ごし器等を用いた裏ごし、マッシャー、金網等を用いた押し潰し等の方法が挙げられる。
【0018】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、加熱処理されたじゃがいもを粗砕き処理する方法としては、好ましくは加熱処理されたじゃがいもを金網に押し付けることにより行うことができる。粗砕き処理に金網を用いる場合、金網のメッシュサイズは、好ましくは8~25mm、より好ましくは10~20mm、より一層好ましくは15~20mmである。
【0019】
本開示の中具において、最大粒径が大きい加熱済みじゃがいもの占める割合が大きいほど、中具におけるじゃがいもの好ましい食感を得ることができる。したがって、例えば、粗砕き処理じゃがいものうち、後述する最大粒径が3~50mm、4~40mm、5~30mm等であるじゃがいもの質量が、粗砕き処理じゃがいもの総質量に対して60~100質量%、75~100質量%、90~100質量%、95~100質量%等となるように、加熱済みじゃがいもが粗砕き処理される。
【0020】
一方で、加熱調理用食品を加熱調理して得られる食品(加熱調理済み食品)において、最大粒径が過剰に大きいじゃがいもが中具に含まれると、加熱調理済み食品の食べやすさが損なわれる場合がある。したがって、好ましい実施形態において、粗砕き処理じゃがいものうち、最大粒径が50mm以上、40mm以上、30mm以上等であるじゃがいもの質量が、粗砕き処理じゃがいもの総質量に対して、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0質量%等となるように、加熱済みじゃがいもが粗砕き処理される。このように、最大粒径が過剰に大きいじゃがいもの占める割合が小さくなるように加熱済みじゃがいもを砕くことにより、加熱調理済み食品の食べやすさを損ねることなく中具のじゃがいもの好ましい食感を得ることができる。
【0021】
本開示において、粗砕き処理じゃがいもの粒径は、上述した粗砕き処理方法に用いられる器具や装置等の目(網目)の大きさ、すなわち金網や目皿の網目の径により制御することができる。粗砕き処理じゃがいもの「最大粒径」は、粗砕き処理に用いられる器具や装置等の目(網目)の大きさ、すなわち金網や目皿の網目の径のうち最も大きい径にほぼ等しい。
【0022】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、粗砕き処理じゃがいものうち、最大粒径が好ましくは8~25mm、より好ましくは10~20mm、より一層好ましくは15~20mmであるじゃがいもの質量が、粗砕き処理じゃがいもの総質量に対して、好ましくは60~100質量%、より好ましくは75~100質量%、より一層好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95~100質量%となるように、加熱済みじゃがいもが粗砕き処理される。さらに、好ましい実施形態において、粗砕き処理じゃがいものうち、最大粒径が50mm以上、好ましくは40mm以上、より好ましくは30mm以上、より一層好ましくは25mm超であるじゃがいもの質量が、粗砕き処理じゃがいもの総質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より一層好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0質量%となるように、加熱済みじゃがいもが粗砕き処理される。中具における粗砕き処理じゃがいもの最大粒径を上述した範囲に調整することにより、加熱調理用のコロッケを加熱調理して得られるコロッケの食べやすさを損ねることなく中具のじゃがいもの好ましい食感を得ることができる。
【0023】
<工程(b)>
工程(b)では、細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいも(以下、「細断処理じゃがいも」ともいう。)が準備される。本開示の中具が細断処理じゃがいもを含むと中具が成型しやすく、また、本開示の中具を含む加熱調理済み食品の食感が軟化して喫食(嚥下)しやすくできる。さらに、通常は廃棄されるようなじゃがいもの部分についても細断処理じゃがいもとして用いることができるため、歩留りの向上やフードロスの削減の効果も期待される。
【0024】
細断処理じゃがいもとしては、皮を有するじゃがいもを用いる。なお、本開示において、「皮を有するじゃがいも」とは、皮剥き処理されていないじゃがいもに限られず、一部皮剥き処理されているじゃがいも(すなわち、一部の皮が残っているじゃがいも)、皮剥き処理で分離した皮(ほぼ皮のみのじゃがいもであってもよい)、またはこれら2種以上の混合物であってもよい。じゃがいもの皮や皮に接する(皮のすぐ内側の)本体部分がじゃがいもの風味を強く有しているため、本開示の中具がそのような部分を含む細断処理じゃがいもを含むことにより、細断処理じゃがいもを含まない中具に比べて風味のよい中具を得ることができる。
【0025】
細断処理じゃがいもは、加熱処理された、皮を有するじゃがいもを細かく切断することにより得ることができる。また、細断処理じゃがいもは、加熱処理された、皮を有さないじゃがいもと、加熱処理された皮とをそれぞれ細かく切断し、細断されたじゃがいもと皮とを混合することにより得ることもできる。じゃがいもを加熱処理する方法は、上述した工程(a)において粗砕き処理じゃがいもについて説明したのと同様の方法とすることができる。
【0026】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、細断処理じゃがいもを得るためのじゃがいもの加熱処理は、好ましくはじゃがいもを蒸すことにより行われる。その場合における蒸す条件は特に限定されず、温度および時間のいずれも、上述した粗砕き処理じゃがいもを得るためのじゃがいもの加熱処理と同様とすることができる。
【0027】
加熱処理されたじゃがいもを細断処理する方法としては、食品の製造において通常用いられる方法であれば特に限定されないが、例えば、フードプロセッサー、サイレントカッター、チョッパー等を用いた切断等の方法が挙げられる。
【0028】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、加熱処理されたじゃがいもを細断処理する方法としては、好ましくはミートチョッパーを用いて行うことができる。細断処理にミートチョッパーを用いる場合、目皿(プレート)の穴径は、好ましくは1~5mm、より好ましくは、1~3mm、より一層好ましくは1~2mmである。
【0029】
本開示の中具において、細断処理じゃがいものうち、後述する最大粒径が0.5~15mm、0.7~10mm、1~8mm等であるじゃがいもの質量が、細断処理じゃがいもの総質量に対して60~100質量%、75~100質量%、90~100質量%、95~100質量%等となるように、加熱済みじゃがいもが細断処理されると好ましい。
【0030】
細断処理じゃがいもの最大粒径が過剰に大きいと、それに伴い粒径が比較的大きい皮が中具中に存在することになる。したがって、加熱調理済み食品において、最大粒径が過剰に大きい細断処理じゃがいもが中具に含まれると、中具中に存在する粒径が比較的大きい皮に起因して、加熱調理済み食品の食べやすさや食感が損なわれる場合がある。具体的には、例えば、加熱調理済み食品を喫食した際に、じゃがいもの皮が口の中でざらついたり残ったりして、食感や食べやすさが損なわれる等の不具合が生じ得る。したがって、好ましい実施形態において、細断処理じゃがいものうち、最大粒径が15mm以上、10mm以上、8mm以上等であるじゃがいもの質量が、細断処理じゃがいもの総質量に対して、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0質量%等となるように、加熱済みじゃがいもが細断処理される。このように、最大粒径が比較的大きいじゃがいもの占める割合が小さくなるように加熱済みじゃがいもを細断することにより、加熱調理済み食品の食べやすさや食感を損ねることなく中具のじゃがいもの好ましい風味を得ることができる。
【0031】
本開示において、細断処理じゃがいもの粒径は、上述した細断処理方法に用いられる器具や装置等の目(網目)の大きさ、すなわち金網や目皿の網目の径により制御することができる。細断処理じゃがいもの「最大粒径」は、細断処理に用いられる器具や装置等の目(網目)の大きさ、すなわち金網や目皿の網目の径のうち最も大きい径にほぼ等しい。
【0032】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、細断処理じゃがいものうち、最大粒径が好ましくは1~5mm、より好ましくは1~3mm、より一層好ましくは1~2mmであるじゃがいもの質量が、細断処理じゃがいもの総質量に対して、好ましくは60~100質量%、より好ましくは75~100質量%、より一層好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95~100質量%となるように、加熱済みじゃがいもが細断処理される。さらに、好ましい実施形態において、細断処理じゃがいものうち、最大粒径が15mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは8mm以上、より一層好ましくは5mm超であるじゃがいもの質量が、細断処理じゃがいもの総質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より一層好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0質量%となるように、加熱済みじゃがいもが細断処理される。中具における細断処理じゃがいもの最大粒径を上述した範囲に調整することにより、加熱調理用のコロッケを加熱調理して得られるコロッケの食べやすさや食感を損ねることなく中具のじゃがいもの好ましい風味を得ることができる。
【0033】
<工程(c)>
工程(c)では、工程(a)により準備される粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、工程(b)により準備される細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとを混合することにより、加熱調理用食品の中具が調製される。
【0034】
粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいも(すなわち、粗砕き処理じゃがいも)と、細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいも(すなわち、細断処理じゃがいも)とを混合する方法としては、食品の製造において通常用いられる混合方法であれば特に限定されず、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感、粗砕き処理じゃがいもの量や硬さ(粘度)、細断処理じゃがいもの量や硬さ(粘度)等に応じて適宜選択することができる。粗砕き処理じゃがいもと細断処理じゃがいもとの混合方法としては、例えば、ミキサー等を用いた混合等の方法が挙げられる。
【0035】
本開示の中具は、細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもを含むことから、加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮を含む。中具における加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の含有量は、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜設定することができる。一つの実施形態において、本開示の中具における加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の含有量は、中具の総質量に対して0.2~5質量%に調整される。また、本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、中具における加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の含有量は、中具の総質量に対して、好ましくは0.2~5質量%、より好ましくは0.3~4質量%、より一層好ましくは0.4~3質量%、特に好ましくは0.5~2質量%である。中具における加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の含有量を上述した範囲に調整することにより、加熱調理済み食品の食べやすさを損ねることなく中具のじゃがいもの好ましい食感および好ましい風味を得ることができる。
【0036】
加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の大きさ(細断の程度)は、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜選択することができる。本開示の中具において、知覚できる程度の大きさの加熱処理および細断処理されたじゃがいも皮の占める割合が大きいほど、中具におけるじゃがいもの風味をより向上させることができる。したがって、例えば、中具は、後述する最大粒径が0.5~15mm、0.7~10mm、1~8mm等である加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の質量が、加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の総質量に対して60~100質量%、75~100質量%、90~100質量%、95~100質量%等となるように調整される。
【0037】
一方で、加熱調理済み食品において、最大粒径が過剰に大きい加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮が中具に含まれると、そのような皮に起因して、その中具を含む加熱調理済み食品の食べやすさや食感が損なわれる場合がある。具体的には、例えば、加熱調理済み食品を喫食した際に、じゃがいもの皮が口の中でざらついたり残ったりして、食感や食べやすさが損なわれる等の不具合が生じ得る。したがって、好ましい実施形態において、中具は、最大粒径が15mm以上、10mm以上、8mm以上等である加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の質量が、加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の総質量に対して、10質量%以下、5質量%以下、1質量%以下、0質量%等となるように調整される。
【0038】
本開示の中具が加熱調理用のコロッケの中具である場合、中具は、最大粒径が好ましくは1~5mm、より好ましくは1~3mm、より一層好ましくは1~2mmである加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の質量が、加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の総質量に対して、好ましくは60~100質量%、より好ましくは75~100質量%、より一層好ましくは90~100質量%、特に好ましくは95~100質量%となるように調整される。さらに、好ましい実施形態において、中具は、最大粒径が15mm以上、好ましくは10mm以上、より好ましくは8mm以上、より一層好ましくは5mm超である加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の質量が、加熱処理および細断処理されたじゃがいもの総質量に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、より一層好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0質量%となるように調整される。中具における加熱処理および細断処理されたじゃがいもの皮の最大粒径および含有量を上述した範囲に調整することにより、加熱調理用のコロッケを加熱調理して得られるコロッケの食べやすさや食感を損ねることなく中具のじゃがいもの風味を向上させることができる。具体的には、加熱調理用のコロッケを加熱調理して得られるコロッケを喫食した際に、じゃがいもの皮が口の中でざらついたり残ったりして、食感や食べやすさが損なわれる等の不具合が生じ得る。
【0039】
本工程により調製される中具は、工程(a)により準備される粗砕き処理じゃがいもと、工程(b)により準備される細断処理じゃがいもとの質量比(工程(a)により準備される粗砕き処理じゃがいもの質量:工程(b)により準備される細断処理じゃがいもの質量)が、好ましくは6:4~9:1、より好ましくは7:3~8:2となるように混合される。粗砕き処理じゃがいもと細断処理じゃがいもとの質量比を上述した範囲に調整することにより、中具のじゃがいもの好ましい食感を損なうことなく、じゃがいもの好ましい風味を得ることができる。
【0040】
本工程により調製される中具における工程(a)により準備される粗砕き処理じゃがいもおよび工程(b)により準備される細断処理じゃがいもの総含有量は、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜調整することができる。粗砕き処理じゃがいもおよび細断処理じゃがいもの総含有量は、中具の総質量に対して、好ましくは50~100質量%、より好ましくは60~80質量%、より一層好ましくは70質量%に調整される。
【0041】
本開示の中具には、本開示の効果を妨げない範囲において、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて、工程(a)および(b)のそれぞれにより準備されるじゃがいもに加えて、その他の材料を添加してもよい。その他の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、中具におけるその他の材料の含有量は、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜調整することができる。
【0042】
その他の材料は、食品の製造において通常用いられる材料であれば特に限定されず、例えば、水、調味料、香辛料、香料、増粘剤、糖類、アミノ酸およびその塩、油脂、乳類、具材等が挙げられる。調味料としては、例えば、化学調味料、人工甘味料、砂糖、塩、酢、醤油、みそ、みりん、酒、ソース等が挙げられる。また、香辛料としては、例えば、胡椒、柚子胡椒、唐辛子、チリパウダー、山椒、カレー粉、ガラムマサラ、各種ハーブ等が挙げられる。また、香料としては、例えば、水溶性香料、油溶性香料、乳化香料、粉末香料等が挙げられる。
【0043】
具材としては、食品の製造において通常用いられる材料またはその加工物であって、加熱調理用食品の具材として用いられ得るものであれば特に限定されず、例えば、食肉類、魚介類、野菜類、きのこ類、豆類、種実類、乳類等およびそれらの加工物が挙げられる。具材は予め調理されていてもよく、または調理されていなくてもよい。具材の形態としては、例えば、固形状具材、流動状具材等が挙げられる。固形状具材としては、例えば、上述した食肉類、魚介類、野菜類、きのこ類、豆類、種実類等を含むものが挙げられる。また、流動状具材としては、例えば、上述したソース、乳類の加工物(例えば、チーズ等)等を含むものが挙げられる。
【0044】
本開示の中具にその他の材料を添加する時期は特に限定されず、工程(a)、(b)および/または(c)と同時またはその前後であり得る。好ましい実施形態において、本開示の中具にその他の材料を添加する時期は、工程(c)と同時である。
【0045】
[加熱調理用食品の製造方法]
本開示の一つの態様によれば、中具および該中具を被覆する衣を有する加熱調理用食品(以下、「本開示の加熱調理用食品」ともいう。)の製造方法(以下、「本開示の加熱調理用食品の製造方法」ともいう。)が提供される。本開示の加熱調理用食品の種類は、じゃがいもを中具の材料として用いる加熱調理用食品であれば特に限定されず、例えば、加熱調理用のポテトコロッケ、ハッシュドポテトマッシュポテト成型食品(マッシュ済みのじゃがいもを成形して加熱調理用としたもの)等が挙げられる。
【0046】
本開示の加熱調理用食品が衣で被覆されたポテトコロッケ等の食品である場合、その製造方法は、粗砕き処理じゃがいもを準備する工程(工程(a))、細断処理じゃがいもを準備する工程(工程(b))、工程(a)で準備される粗砕き処理じゃがいもと工程(b)で準備される細断処理じゃがいもとを混合して中具を得る工程(工程(c))、および工程(c)で得られた中具を衣材で被覆する工程(工程(d))を含む。
【0047】
<工程(a)~(c)>
本開示の加熱調理用食品の製造方法において、工程(a)~(c)は、それぞれ上述した加熱調理用食品の中具の製造方法について説明した工程(a)~(c)と同様することができる。一つの実施形態において、本開示の加熱調理用食品の製造方法で用いられる中具は、上述した本開示の中具の製造方法により製造される中具である。以下、工程(d)について詳細に説明する。
【0048】
<工程(d)>
工程(d)では、工程(c)により得られた中具を衣材で被覆することにより、加熱調理用食品が調製される。「衣材」とは、加熱調理用食品の中具を覆う衣の原料となる材料をいい、例えば、パン粉、シリアル粉、クラッカ粉、アーモンドスライス、あられ、湯葉、春雨、そうめん、クルトン等が挙げられる。なお、衣材には、中具に付着させる小麦粉や片栗粉等の穀粉類を主体とする打ち粉、打ち粉の上に付着させる、溶き卵、小麦粉等の穀粉類を水溶きしたバッター等も包含される。衣材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。コストの観点や加熱調理済み食品のサクサクした食感に優れることから、衣材としては、好ましくは打ち粉、バッターおよびパン粉が組み合わせて用いられる。具体的には、打ち粉を中具に付着させ、打ち粉の上にバッターを付着させ、さらにその上にパン粉を付着させる。
【0049】
衣材には、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じてその他の材料を添加してもよい。その他の材料は、上述した加熱調理用食品の中具の製造方法について説明したのと同様のものを用いることができる。
【0050】
本開示の加熱調理用食品の製造方法に用いられる衣材は、加熱調理用食品の製造において通常用いられる方法において製造してもよく、市販品を入手してもよい。
【0051】
中具を衣材で被覆する方法は特に限定されず、加熱調理用食品の製造において通常用いられる方法を用いることができる。衣材は、中具の表面全部を被覆するように付着させてもよく、中具の表面の一部を被覆するように付着させてもよい。
【0052】
好ましい実施形態において、本開示の加熱調理用食品における中具の含有量は、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜選択することができるが、例えば、加熱調理用食品の総質量に対して10~35質量%となるように調整される。
【0053】
好ましい実施形態において、本開示の加熱調理用食品における衣材の含有量は、目的とする加熱調理用食品の種類、味、風味、食感等に応じて適宜選択することができるが、例えば、加熱調理用食品の総質量に対して60~90質量%となるように調整される。
【0054】
本開示の加熱調理用食品は、そのままの状態、または常温、冷蔵状態もしくは冷凍状態で保存、流通、販売等することができる。さらに、本開示の加熱調理用食品を加熱調理した後に常温、冷蔵状態もしくは冷凍状態で保存、流通、販売等することもできる。すなわち、本開示の加熱調理用食品は、上述した工程(a)~(d)を経て製造された後、そのままの状態、または加熱調理をせずもしくは加熱調理をした後に常温、冷蔵状態もしくは冷凍状態で提供することができる。好ましい実施形態において、本開示の加熱調理用食品は、冷凍状態の加熱調理用食品(冷凍食品)として提供される。
【0055】
本開示の加熱調理用食品は、喫食前に、その種類、大きさ、所望の加熱調理状態に応じた方法により加熱調理されて加熱調理済み食品とすることができる。加熱調理用食品を加熱調理する条件は、加熱調理用食品を加熱調理して得られる加熱調理済み食品の種類、味、風味、食感、大きさ、所望の加熱調理状態に応じて適宜設定することができる。
【0056】
別の好ましい実施形態によれば、本開示の加熱調理用食品は、喫食前に、その種類、大きさ、所望の加熱調理状態に応じた方法により加熱調理することができる。加熱調理としては、例えば、油ちょう、オーブンやフライパン等による焼き(例えば、オーブンによる焼成、フライパンによる揚げ焼き等)、電子レンジ等によるマイクロ波処理、スチームによる蒸し等が挙げられる。加熱調理用食品を加熱調理する条件は、加熱調理用食品を加熱調理して得られる加熱調理済み食品の種類、味、風味、食感、大きさ、所望の加熱調理状態に応じて適宜設定することができる。
【0057】
本開示によれば、以下の各発明が提供される。
[1]加熱調理用食品の中具を製造する方法であって、
(a)粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもを準備する工程、
(b)細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもを準備する工程、および
(c)前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとを混合する工程、
を含む、方法。
[2]前記中具におけるじゃがいもの皮の含有量が、中具の総質量に対して0.2~5質量%である、[1]に記載の方法。
[3]前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもにおいて、最大粒径が8~25mmであるじゃがいもの質量が、前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもの総質量に対して60~100質量%である、[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもにおいて、最大粒径が1~5mmであるじゃがいもの質量が、前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもの総質量に対して60~100質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[5]前記中具における、前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもと、細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもとの質量比が、6:4~9:1である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記中具における、前記粗砕き処理された加熱済みの、皮を有しないじゃがいもおよび前記細断処理された加熱済みの、皮を有するじゃがいもの総含有量が、中具の総質量に対して50~100質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の方法で製造される前記中具を衣材で被覆する工程を含む、加熱調理用食品の製造方法。
【実施例0058】
以下、実施例に基づいて本開示について具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特段の記載のない限り、本開示における各パラメータの測定方法および単位は、JIS(日本産業規格)に従うものとする。
【0059】
製造例1:中具の作製
以下の手順に従って、加熱調理用食品(加熱調理用コロッケ)の中具を作製した。なお、本製造例において用いられるじゃがいもは、いずれも北海道産の男爵(8~11月収穫)である。
まず、粗砕き処理じゃがいも(皮なし)を以下の手順に従って作製した。
土が付いたままのじゃがいもを洗浄し(
図1BのS1に対応する手順)、ピーラーを用いて皮を剥いた(
図1BのS2に対応する手順)。皮を剥いたじゃがいもを、その中心部まで加熱されるようにスチーマーを用いて100℃で20分加熱した(
図1BのS3に対応する手順)。加熱されたじゃがいもを、マッシャーを用いて約15mmのダイス状になるように破砕処理して、粗砕き処理じゃがいも(皮なし)を得た(
図1BのNS1に対応する手順)。
【0060】
上述した、粗砕き処理された加熱済みじゃがいもとは別に、細断処理じゃがいも(皮あり)を以下の手順に従って作製した。
土が付いたままのじゃがいもを洗浄し(
図1BのS1に対応する手順)、ピーラーを用いて皮を剥いた(
図1BのS2に対応する手順)。皮を剥いたじゃがいもを、その中心部まで加熱されるようにスチーマーを用いて100℃で20分加熱した(
図1BのS2に対応する手順)。一方、得られた皮を、その中心部まで加熱されるようにスチーマーを用いて100℃で20分加熱した(
図1BのNS2に対応する手順)。加熱されたじゃがいもと皮とを混合して、皮の含有量が0.5質量%、0.6質量%および0.7質量%の混合物をそれぞれ得た。得られた各混合物を、株式会社なんつね製のミートチョッパーMD-22および目(穴)のサイズ2.4mmの目皿(プレート)を用いて細断して、細断処理じゃがいも(皮あり)を得た(
図1BのNS3に対応する手順)。また、上述した加熱されたじゃがいもに皮を混合せず、加熱されたじゃがいもを上記と同様にして細断して、皮を含まない細断処理じゃがいもを得た。
【0061】
上述の各手順により得られた粗砕き処理じゃがいも(皮なし)と細断処理じゃがいも(皮あり)または皮を含まない細断処理じゃがいもとを、表1に示す質量となるように混合して中具を得た(
図1BのNS4に対応する手順)。なお、混合は、株式会社愛工舎製作所の卓上ミキサーKENMIX-CHEF XL PROを用いて、MIN回転の回転速度で30秒行った。
【0062】
製造例2:加熱調理用食品および加熱調理済み食品の作製
以下の手順に従って、加熱調理用食品(加熱調理用コロッケ)を作製した。
表1に示す中具の組成となるように、上述した製造例1の手順に従って作製した各中具60gを、手で小判型に成形した(
図1AおよびBのS5に対応する手順)。成形された中具の表面全体に、小麦粉2gを概ね均一になるように付着させた。小麦粉を付着させた中具を、小麦粉と水とを1:1の質量比で混合して得たバッターにくぐらせて、その表面に15gのバッターを付着させた。バッターを付着させた中具の表面全体に、生パン粉10gを概ね均一になるように付着させて、試験区1~5の各加熱調理用食品を得た。得られた試験区1~5各加熱調理用食品を、作製直後に約-35℃の凍結庫内に静置して急速凍結した。各加熱調理用食品の中具の組成を、下記の表1に示す。
【0063】
急速凍結した各加熱調理用食品を、170℃の油で7分加熱調理(油ちょう)して、各加熱調理用食品に対応する加熱調理済み食品(コロッケ)を得た。
【0064】
実施例1:加熱調理済み食品の官能評価
製造例2の手順に従って作製した各加熱調理用食品に対応する加熱調理済み食品について、訓練された4名の専門パネルによる官能評価を行った。官能評価の評価項目は、「じゃがいもの風味」(蒸かしたじゃがいもの好ましい風味)および「じゃがいもの食感」(蒸かしたじゃがいものホクホク感)の2項目とした。以下に、各評価項目についての具体的な評価基準を示す。
【0065】
各加熱調理済み食品のじゃがいもの風味に関し、細断処理された加熱済みじゃがいも(皮あり)の皮以外のみを含む中具を用いた加熱調理済み食品(試験区1)のじゃがいもの風味を「スコア3.0」とした場合の比較で評価を行った。なお、スコアが3.0よりも高いほど試験区1の加熱調理済み食品と比較して蒸かしたじゃがいもの好ましい風味が強かったことを示す。
【0066】
各加熱調理済み食品のじゃがいもの食感に関し、細断処理じゃがいも(皮あり)の皮以外のみを含む中具を用いた加熱調理済み食品(試験区1)のじゃがいもの食感を「スコア3.0」とした場合の比較で評価を行った。なお、スコアが3.0よりも高いほど試験区1の加熱調理済み食品と比較して蒸かしたじゃがいもの好ましい食感が強かったことを示す。
【0067】
下記の表1に、各試験区の加熱調理済み食品について官能評価結果をまとめて示す。なお、官能評価結果のスコアはいずれも平均値±標準偏差として示す。
【0068】
【0069】
表1に示される結果から、粗砕き処理じゃがいもと細断処理じゃがいもとを含む試験区3~5の加熱調理済み食品では、いずれも細断処理じゃがいもの皮以外のみを含む試験区1の加熱調理済み食品と比較してじゃがいもの風味および食感のいずれもが向上していることが分かった。また、試験区3~5の加熱調理済み食品では、いずれも粗砕き処理じゃがいもと細断処理じゃがいもの皮以外とを含む試験区2の加熱調理済み食品と比較してじゃがいもの風味が向上していることが分かった。なお、試験区2~5の各加熱調理済み食品は、その断面が、粗砕きじゃがいもによるゴロゴロとした固形感のある外観を呈していた。