(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135326
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01F 1/38 20060101AFI20240927BHJP
G01L 9/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01F1/38
G01L9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045953
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】日野 賢一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 努
(72)【発明者】
【氏名】周 瑞
(72)【発明者】
【氏名】湯本 淳志
(72)【発明者】
【氏名】神谷 陽平
【テーマコード(参考)】
2F030
2F055
【Fターム(参考)】
2F030CA04
2F030CD15
2F030CD17
2F030CE09
2F055BB05
2F055CC02
2F055CC51
2F055EE23
2F055FF16
2F055FF34
2F055GG47
(57)【要約】
【課題】流路を流れる流体の流量の測定精度を向上させることが可能な測定装置を提供する。
【解決手段】本開示に係る測定装置1は、流路Fを流れる流体の流量の測定に寄与する測定装置1であって、流路Fの複数の箇所にそれぞれ配置されている複数の圧力センサ部10と、複数の圧力センサ部10の各々に共通の電圧基準を提供する単一の基準電源20と、複数の圧力センサ部10の各々から出力される出力信号の周波数であって、流量に関連付けられる、対応する箇所での流体の圧力を算出するための周波数を共通してカウントする単一のカウンタ回路40と、カウンタ回路40に周波数基準を提供する単一の励振源50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を流れる流体の流量の測定に寄与する測定装置であって、
前記流路の複数の箇所にそれぞれ配置されている複数の圧力センサ部と、
前記複数の圧力センサ部の各々に共通の電圧基準を提供する単一の基準電源と、
前記複数の圧力センサ部の各々から出力される出力信号の周波数であって、前記流量に関連付けられる、対応する前記箇所での前記流体の圧力を算出するための前記周波数を共通してカウントする単一のカウンタ回路と、
前記カウンタ回路に周波数基準を提供する単一の励振源と、
を備える、
測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記カウンタ回路によってカウントされた前記周波数に基づいて、対応する前記箇所での前記流体の圧力を算出する単一の演算回路をさらに備える、
測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の測定装置であって、
前記演算回路は、前記複数の箇所の間での前記流体の圧力差に基づいて前記流量を算出する、
測定装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の測定装置であって、
前記演算回路による演算結果を外部装置に送信する通信部をさらに備える、
測定装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記複数の圧力センサ部の各々は、前記流体の圧力を受けるダイアフラムと、前記ダイアフラムで受けた前記圧力に応じた前記周波数の前記出力信号を出力するセンサ素子と、を有する、
測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記センサ素子は、前記出力信号を出力する2つの振動子と、周囲の温度に比例する電圧を出力する1つのダイオードと、を有する、
測定装置。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の測定装置であって、
前記複数の圧力センサ部は、第1圧力センサ部と第2圧力センサ部とを含み、
前記単一のカウンタ回路は、前記第1圧力センサ部が配置されている第1箇所での前記流体の第1圧力を算出するための第1周波数と、前記第2圧力センサ部が配置されている第2箇所での前記流体の第2圧力を算出するための第2周波数と、を共通してカウントする、
測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流路の複数の箇所にそれぞれ配置されている複数の圧力計を用いて、当該流路を流れる流体の流量を測定するための測定装置に関連する技術が知られている。このような圧力計は、ダイアフラムと振動子を有するセンサ素子とに基づいて、設置された箇所での流体の圧力を測定する。
【0003】
例えば、特許文献1には、振動子の安定な振動と、ノイズ除去による物理量の測定精度向上及び振動子の歩留まり向上とを実現する振動式センサ測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
流体の流量を測定するための従来の測定装置では、複数の圧力計の各々が、特許文献1に記載のようなダイアフラム及び振動子を個別に有していた。加えて、複数の圧力計の各々は、振動子と固定電極との間に印加されるバイアス電圧を提供するための基準電源も個別に有していた。さらには、複数の圧力計の各々は、振動子を有するセンサ素子から出力される出力信号の周波数をカウントするカウンタ回路及び当該カウンタ回路に周波数基準を提供するための励振源も個別に有していた。以上により、圧力計ごとの特性の個体差が大きくなり、流量の測定精度が低下していた。
【0006】
本開示は、流路を流れる流体の流量の測定精度を向上させることが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る測定装置は、流路を流れる流体の流量の測定に寄与する測定装置であって、前記流路の複数の箇所にそれぞれ配置されている複数の圧力センサ部と、前記複数の圧力センサ部の各々に共通の電圧基準を提供する単一の基準電源と、前記複数の圧力センサ部の各々から出力される出力信号の周波数であって、前記流量に関連付けられる、対応する前記箇所での前記流体の圧力を算出するための前記周波数を共通してカウントする単一のカウンタ回路と、前記カウンタ回路に周波数基準を提供する単一の励振源と、を備える。
【0008】
これにより、流路を流れる流体の流量の測定精度を向上させることが可能である。測定装置は、単一の基準電源と、単一のカウンタ回路と、単一の励振源とを有することで、これらを複数の圧力センサ部に対して共通に配置可能である。したがって、測定装置は、圧力センサ部ごとに同期した同時測定を可能にする。
【0009】
加えて、測定装置は、圧力センサ部ごとの特性の個体差を低減し、流量の測定精度を向上させることが可能である。例えば、各圧力センサ部に対して共通の基準電源が配置されていることで、基準電源に基づくセンサ素子間の出力の相対精度が向上する。例えば、各圧力センサ部に対して共通の励振源が配置されていることで、励振源に起因する相対的な量子化誤差が低減する。さらに、基準電源及び励振源に起因する長期安定性も向上するため、経過時間ごとの相対精度の低下が抑制される。
【0010】
測定装置は、複数の圧力センサ部に対し電気回路部分を共有化することで、基板面積の削減にも寄与できる。したがって、測定装置を含む測定システムの小型化が容易となる。
【0011】
一実施形態における測定装置は、前記カウンタ回路によってカウントされた前記周波数に基づいて、対応する前記箇所での前記流体の圧力を算出する単一の演算回路をさらに備えてもよい。
【0012】
これにより、測定装置は、複数の圧力センサ部と演算回路とを同一装置内に配置することが可能となる。したがって、測定装置は、圧力センサ部ごとに同期した同時測定を可能にしつつ、測定装置を含む測定システムが占有するスペースを低減してその小型化に寄与できる。
【0013】
一実施形態における測定装置では、前記演算回路は、前記複数の箇所の間での前記流体の圧力差に基づいて前記流量を算出してもよい。これにより、測定装置は、流路を流れる流体の流量を精度良く測定可能である。
【0014】
一実施形態における測定装置は、前記演算回路による演算結果を外部装置に送信する通信部をさらに備えてもよい。
【0015】
これにより、測定装置は、演算回路による演算結果を必要に応じて情報として外部装置に提供可能である。したがって、測定装置は、外部装置に演算結果を情報として表示させ、当該情報の確認をユーザに促すことも可能となる。測定装置は、演算回路により算出された各圧力、圧力差、及び流量などの測定パラメータを外部装置に表示させて、当該測定パラメータの確認をユーザに促すことも可能となる。
【0016】
一実施形態における測定装置では、前記複数の圧力センサ部の各々は、前記流体の圧力を受けるダイアフラムと、前記ダイアフラムで受けた前記圧力に応じた前記周波数の前記出力信号を出力するセンサ素子と、を有してもよい。
【0017】
これにより、測定装置は、ダイアフラムで受けた圧力に応じた周波数の出力信号を複数の圧力センサ部の各々から出力可能である。したがって、測定装置は、流路における複数の箇所の間での流体の圧力差に基づいて流体の流量を算出可能である。
【0018】
一実施形態における測定装置では、前記センサ素子は、前記出力信号を出力する2つの振動子と、周囲の温度に比例する電圧を出力する1つのダイオードと、を有してもよい。これにより、測定装置は、2つの共振周波数及び1つのダイオードオン電圧の情報を演算回路において受けて、後述する式(1)乃至(3)に基づき圧力センサ部ごとに圧力を算出可能である。
【0019】
一実施形態における測定装置では、前記複数の圧力センサ部は、第1圧力センサ部と第2圧力センサ部とを含み、前記単一のカウンタ回路は、前記第1圧力センサ部が配置されている第1箇所での前記流体の第1圧力を算出するための第1周波数と、前記第2圧力センサ部が配置されている第2箇所での前記流体の第2圧力を算出するための第2周波数と、を共通してカウントしてもよい。これにより、測定装置は、2つの圧力センサ部を単一の装置内に有し、2つの圧力の同時測定を可能にする。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、流路を流れる流体の流量の測定精度を向上させることが可能な測定装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態に係る測定装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図1の測定装置のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の変形例に係る測定装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図4】従来の測定システムの概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
従来技術の背景及び問題点についてより詳細に説明する。
【0023】
図4は、従来の測定システム100の概略構成を示す模式図である。測定システム100は、流路Fを流れる流体の流量を測定する。流路Fは、第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3を含む。第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3は、ガス及び液体などの流体の流路を示す。第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3は、互いに形状などが異なっている。したがって、これらの流路における流路抵抗は、互いに異なる。第2流路F2は、例えば、第2流路F2の左右両端に流体の圧力差が生じているときに、既知の流量で流体が流れる、既知の流路抵抗を有する流路である。
【0024】
測定システム100は、流路Fを流れる流体の流量を測定するために、既知の流路抵抗を有する第2流路F2の両端において第1圧力計110及び第2圧力計120を有する。測定システム100は、第2流路F2の両端の圧力差を、第1圧力計110及び第2圧力計120を用いて測定する。測定システム100は、測定された圧力差と、第2流路F2の既知の流路抵抗と、に基づいて第2流路F2を流れる流体の流量を測定する。
【0025】
測定システム100は、流体の流量の測定に必要な2つの圧力計を第2流路F2の両端にそれぞれ配置し、得られた各圧力の圧力差を、第1圧力計110及び第2圧力計120とは別に配置される演算器130を用いて算出する。測定システム100は、演算器130により得られた演算結果を、通信可能に接続されている外部装置に必要に応じて送信する。
【0026】
第1圧力計110及び第2圧力計120は、第2流路F2の左右両端の圧力差を測定するために用いられる。第1圧力計110は、第1流路F1側から順に、ダイアフラム111、センサ素子112、基準電源113、アンプ114、カウンタ回路115、励振源116、及び演算回路117を有する。第2圧力計120は、第3流路F3側から順に、ダイアフラム121、センサ素子122、基準電源123、アンプ124、カウンタ回路125、励振源126、及び演算回路127を有する。
【0027】
ダイアフラム111は、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1を受けて、所定の張力でしなる。ダイアフラム111の変形量は、第1圧力P1に依存する。センサ素子112は、ダイアフラム111の変形量に依存、すなわち第1圧力P1に依存した共振周波数の電流を出力信号として出力する。電流の共振周波数は、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1の変化に応じて変化する。
【0028】
基準電源113は、このような共振周波数を有する電流をセンサ素子112から出力させるためにセンサ素子112にバイアス電圧を印加する。アンプ114は、センサ素子112からの出力信号を増幅する。カウンタ回路115は、センサ素子112から出力されてアンプ114により増幅された出力信号の共振周波数をカウントする。励振源116は、カウンタ回路115に周波数基準を提供する。演算回路117は、カウンタ回路115でカウントされた共振周波数に基づいて、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1を算出する。
【0029】
以上のようにして第1圧力計110により測定された第1圧力P1は、第1圧力計110が有する通信機能を用いて上位の演算器130に情報として送信される。
【0030】
第2圧力計120に含まれる各構成は、第1圧力計110に含まれる対応する構成と同一の機能を有する。第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1を、第1圧力計110を用いて測定するための上記の方法は、第3流路F3を流れる流体の第2圧力P2を、第2圧力計120を用いて測定するときにも同様に当てはまる。
【0031】
しかしながら、従来の測定システム100において、第1圧力計110と第2圧力計120とは、互いに独立している。これにより、圧力計ごとの特性の個体差に基づいて流量の測定精度が低下していた。第1圧力計110と第2圧力計120との間で特性を完全に同一とすることは困難であり、必然的に特性に差が生じる。例えば、各圧力計において、基準電源及び励振源が個別に配置されている。これにより、第1圧力計110と第2圧力計120との間で、基準電源の違いに基づくセンサ素子間の出力の相対精度が低下したり、励振源の違いに起因する相対的な量子化誤差が顕著に発生したりする。これらに起因する長期安定性も低下するため、経過時間ごとに相対精度がさらに低下する。
【0032】
加えて、従来の測定システム100では、圧力差を算出するために上位の演算器130を第1圧力計110及び第2圧力計120とは別に配置する必要があった。また、第1圧力計110及び第2圧力計120を個別に配置する必要があり、測定システム100の全体が占有するスペースも大きくなる。例えば、1つの圧力計に対し、基準電源、カウンタ回路、励振源、及び演算回路をそれぞれ設ける必要があり、圧力計ごとに占有されるスペースも大きくなる。
【0033】
本開示は、以上のような問題点を解決して、流路Fを流れる流体の流量の測定精度を向上させることが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【0034】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0035】
図1は、本開示の一実施形態に係る測定装置1の構成の一例を示す模式図である。
図2は、
図1の測定装置1のより詳細な構成の一例を示すブロック図である。
図1及び
図2を参照しながら、一実施形態に係る測定装置1の構成について主に説明する。
【0036】
測定装置1は、流路Fを流れる流体の流量の測定に寄与する。測定装置1は、流路Fを流れる流体の流量を測定する。本開示において、「流体」は、ガス及び液体などを含む。流路Fは、第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3を含む。第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3は、流体の流路を示す。第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3は、互いに形状などが異なっている。したがって、これらの流路における流路抵抗は、互いに異なる。第2流路F2は、例えば、第2流路F2の左右両端に流体の圧力差が生じているときに、既知の流量で流体が流れる、既知の流路抵抗を有する流路である。流体は、例えば、第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3の順に流路Fの内部を流れる。
【0037】
測定装置1は、複数の圧力センサ部10と、単一の基準電源20と、複数のアンプ30と、単一のカウンタ回路40と、単一の励振源50と、単一の演算回路60と、単一の通信部70と、を有する。後述するとおり、複数の圧力センサ部10の各々は、流体の圧力を受けるダイアフラム11と、ダイアフラム11で受けた圧力に応じた周波数の出力信号を出力するセンサ素子12と、を有する。
【0038】
複数の圧力センサ部10は、流路Fの複数の箇所にそれぞれ配置されている。例えば、測定装置1では、複数の圧力センサ部10は、第1圧力センサ部10aと第2圧力センサ部10bとを含む。第1圧力センサ部10aは、第1流路F1において第2流路F2の一端と隣接する第1箇所L1に配置されている。第2圧力センサ部10bは、第3流路F3において第2流路F2の他端と隣接する第2箇所L2に配置されている。第1圧力センサ部10a及び第2圧力センサ部10bは、第2流路F2の左右両端の圧力差を測定するために用いられる。
【0039】
第1圧力センサ部10aは、第1流路F1側から順に、第1ダイアフラム11aと、第1センサ素子12aと、を有する。第1センサ素子12aは、第1振動子121aと、第2振動子122aと、第1ダイオード123aと、を有する。第1センサ素子12aは、出力信号を出力する2つの振動子、すなわち第1振動子121a及び第2振動子122aを有する。
【0040】
第1ダイアフラム11aは、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1を受けて、所定の張力でしなる。第1ダイアフラム11aの変形量は、第1圧力P1に依存する。第1センサ素子12aは、第1ダイアフラム11aの変形量に依存、すなわち第1圧力P1に依存した共振周波数の電流を出力信号として出力する。電流の共振周波数は、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1の変化に応じて変化する。
【0041】
第1センサ素子12aの第1振動子121aは、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1を受けて第1ダイアフラム11aが変形すると、第1振動子121aにおける第1ダイアフラム11aの第1変形量に応じて歪む。第1振動子121aは、例えば、その梁の形状によって決定される第1共振周波数を有するものである。加えて、基準電源20から第1振動子121aと固定電極との間に印加される第1バイアス電圧に基づいて、第1振動子121aを第1共振周波数で振動させる第1自励振回路が形成される。以上により、第1振動子121aは、第1ダイアフラム11aの第1変形量に依存、すなわち第1圧力P1に依存した第1共振周波数の第1電流を出力信号として出力する。
【0042】
第1センサ素子12aの第2振動子122aは、第1流路F1を流れる流体の第1圧力P1を受けて第1ダイアフラム11aが変形すると、第2振動子122aにおける第1ダイアフラム11aの第2変形量に応じて歪む。第2振動子122aは、例えば、その梁の形状によって決定される第2共振周波数を有するものである。加えて、基準電源20から第2振動子122aと固定電極との間に印加される第2バイアス電圧に基づいて、第2振動子122aを第2共振周波数で振動させる第2自励振回路が形成される。以上により、第2振動子122aは、第1ダイアフラム11aの第2変形量に依存、すなわち第1圧力P1に依存した第2共振周波数の第2電流を出力信号として出力する。
【0043】
第1センサ素子12aの第1ダイオード123aは、周囲の温度に比例する電圧を出力する。第1センサ素子12aに内蔵されている第1ダイオード123aは、定電流を流すことで当該電圧を出力する。第1センサ素子12aの温度出力として、このような第1ダイオード123aのオン電圧が利用される。
【0044】
第2圧力センサ部10bは、第3流路F3側から順に、第2ダイアフラム11bと、第2センサ素子12bと、を有する。第2センサ素子12bは、第3振動子121bと、第4振動子122bと、第2ダイオード123bと、を有する。
【0045】
第2ダイアフラム11bは、第3流路F3を流れる流体の第2圧力P2を受けて、所定の張力でしなる。第2ダイアフラム11bの変形量は、第2圧力P2に依存する。第2センサ素子12bは、第2ダイアフラム11bの変形量に依存、すなわち第2圧力P2に依存した共振周波数の電流を出力信号として出力する。電流の共振周波数は、第3流路F3を流れる流体の第2圧力P2の変化に応じて変化する。
【0046】
第2センサ素子12bの第3振動子121bは、第3流路F3を流れる流体の第2圧力P2を受けて第2ダイアフラム11bが変形すると、第3振動子121bにおける第2ダイアフラム11bの第3変形量に応じて歪む。第3振動子121bは、例えば、その梁の形状によって決定される第3共振周波数を有するものである。加えて、基準電源20から第3振動子121bと固定電極との間に印加される第3バイアス電圧に基づいて、第3振動子121bを第3共振周波数で振動させる第3自励振回路が形成される。以上により、第3振動子121bは、第2ダイアフラム11bの第3変形量に依存、すなわち第2圧力P2に依存した第3共振周波数の第3電流を出力信号として出力する。
【0047】
第2センサ素子12bの第4振動子122bは、第3流路F3を流れる流体の第2圧力P2を受けて第2ダイアフラム11bが変形すると、第4振動子122bにおける第2ダイアフラム11bの第4変形量に応じて歪む。第4振動子122bは、例えば、その梁の形状によって決定される第4共振周波数を有するものである。加えて、基準電源20から第4振動子122bと固定電極との間に印加される第4バイアス電圧に基づいて、第4振動子122bを第4共振周波数で振動させる第4自励振回路が形成される。以上により、第4振動子122bは、第2ダイアフラム11bの第4変形量に依存、すなわち第2圧力P2に依存した第4共振周波数の第4電流を出力信号として出力する。
【0048】
第2センサ素子12bの第2ダイオード123bは、周囲の温度に比例する電圧を出力する。第2センサ素子12bに内蔵されている第2ダイオード123bは、定電流を流すことで当該電圧を出力する。第2センサ素子12bの温度出力として、このような第2ダイオード123bのオン電圧が利用される。
【0049】
基準電源20は、共振周波数を有する電流を対応する振動子から出力信号として出力させるために当該振動子にバイアス電圧を印加する。基準電源20は、複数の圧力センサ部10の各々に共通の電圧基準を提供する。例えば、基準電源20は、第1センサ素子12aの第1振動子121a及び第2振動子122aに対してそれぞれ印加される第1バイアス電圧及び第2バイアス電圧の基になる第1電圧基準を提供する。例えば、基準電源20は、第2センサ素子12bの第3振動子121b及び第4振動子122bに対してそれぞれ印加される第3バイアス電圧及び第4バイアス電圧の基になる第2電圧基準を提供する。第1電圧基準及び第2電圧基準は、互いに共通である。
【0050】
複数のアンプ30は、複数の圧力センサ部10からの出力をそれぞれ増幅する。例えば、測定装置1では、複数のアンプ30は、第1圧力センサ部10aからの出力を増幅する第1アンプ30aと、第2圧力センサ部10bからの出力を増幅する第2アンプ30bと、を含む。
【0051】
カウンタ回路40は、複数の圧力センサ部10の各々から出力される出力信号の周波数を共通してカウントする。カウンタ回路40は、出力信号の周波数を、当該周波数よりも高い周波数を有する、共通の励振源50から出力されるクロック信号に基づいてカウントする。出力信号の周波数は、流路Fにおいて圧力センサ部10が配置されている対応する箇所での流体の圧力を算出するために用いられる。流体の圧力は、流体の流量に関連付けられる。
【0052】
例えば、カウンタ回路40は、第1振動子121aに基づく第1共振周波数、第2振動子122aに基づく第2共振周波数、第3振動子121bに基づく第3共振周波数、及び第4振動子122bに基づく第4共振周波数を共通のクロック信号に基づいてカウントする。カウンタ回路40は、第1圧力センサ部10aが配置されている第1箇所L1での流体の第1圧力P1を算出するための第1周波数と、第2圧力センサ部10bが配置されている第2箇所L2での流体の第2圧力P2を算出するための第2周波数と、を共通してカウントする。
【0053】
本開示において、「第1周波数」は、例えば、第1共振周波数及び第2共振周波数を含む。「第2周波数」は、例えば、第3共振周波数及び第4共振周波数を含む。すなわち、第1圧力センサ部10aに基づいて得られる第1共振周波数及び第2共振周波数は、流路Fにおいて第1圧力センサ部10aが配置されている第1箇所L1での流体の第1圧力P1を算出するために用いられる。第2圧力センサ部10bに基づいて得られる第3共振周波数及び第4共振周波数は、流路Fにおいて第2圧力センサ部10bが配置されている第2箇所L2での流体の第2圧力P2を算出するために用いられる。
【0054】
励振源50は、カウンタ回路40に周波数基準を提供する。励振源50は、第1共振周波数、第2共振周波数、第3共振周波数、及び第4共振周波数をカウントするために共通して用いられるクロック信号をカウンタ回路40に出力する。
【0055】
演算回路60は、1つ以上のプロセッサを含む。本開示において、「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。演算回路60は、カウンタ回路40によってカウントされた周波数に基づいて、対応する箇所での流体の圧力を算出する。演算回路60は、当該周波数を圧力表示値として出力するためのソフトウェアを用いて演算を実行する回路である。
【0056】
例えば、演算回路60は、カウンタ回路40によってカウントされた第1共振周波数及び第2共振周波数と、第1センサ素子12aの第1ダイオード123aから出力される第1ダイオード123aのオン電圧と、を用いて第1圧力センサ部10aが配置されている第1箇所L1での流体の第1圧力P1を算出する。例えば、演算回路60は、カウンタ回路40によってカウントされた第3共振周波数及び第4共振周波数と、第2センサ素子12bの第2ダイオード123bから出力される第2ダイオード123bのオン電圧と、を用いて第2圧力センサ部10bが配置されている第2箇所L2での流体の第2圧力P2を算出する。
【0057】
演算回路60は、複数の箇所の間での流体の圧力差に基づいて流体の流量を算出する。例えば、演算回路60は、第1圧力センサ部10aが配置されている第1箇所L1と第2圧力センサ部10bが配置されている第2箇所L2との間での流体の圧力差である第1圧力P1及び第2圧力P2の差分に基づいて、第2流路F2を流れる流体の流量を算出する。
【0058】
通信部70は、任意の無線通信又は有線通信に基づく通信規格に適合する通信インタフェースを含む。通信規格は、無線LAN(Local Area Network)規格、近距離無線通信規格、4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)などの移動体通信規格、並びにインターネット規格などを含む。測定装置1は、通信部70を介して情報通信ネットワークなどに接続されている。通信部70は、演算回路60により得られた演算結果を、情報通信ネットワークを介して測定装置1と通信可能に接続されている外部装置に必要に応じて送信する。
【0059】
測定装置1は、流路Fを流れる流体の流量を測定するために、既知の流路抵抗を有する第2流路F2の両端に配置されている第1圧力センサ部10a及び第2圧力センサ部10bを有する。測定装置1は、第2流路F2の両端の圧力差を、第1圧力センサ部10a及び第2圧力センサ部10bを用いて測定する。測定装置1は、測定された圧力差と、第2流路F2の既知の流路抵抗と、に基づいて第2流路F2を流れる流体の流量を測定する。
【0060】
より具体的には、測定装置1の演算回路60は、第2流路F2の両端にそれぞれ配置されている2つの圧力センサ部10により得られる圧力とその圧力差とを算出し、流体の流量を算出する。演算回路60は、以下の式(1)乃至(7)に基づいて、各圧力センサ部10により得られる圧力Pを算出する。圧力Pは、上記の第1圧力P1又は第2圧力P2に対応する。
【0061】
【0062】
上述したとおり、各圧力センサ部10のセンサ素子12には、2つの振動子が配置されている。式(1)乃至(7)に記載の下付き文字「C」は、2つの振動子のうちの一方に関連するパラメータであることを示すためのものである。式(1)乃至(7)に記載の下付き文字「R」は、2つの振動子のうちの他方に関連するパラメータであることを示すためのものである。
【0063】
式(1)乃至(7)に含まれる各パラメータの説明を、以下の表1にまとめる。なお、表1に記載されている下付き文字「X」は、上記の「C」又は「R」に対応する。
【表1】
【0064】
本開示において、「基準状態」は、例えば、ダイアフラム11に流体の基準の圧力が加わっている状態を意味する。「有効ギャップ長」は、例えば、対応する振動子の振動梁と、当該振動梁に対向する固定電極の表面との間の距離を意味する。「基準状態で振動子に生じる張力」は、例えば、振動梁の引っ張り歪を意味する。
【0065】
例えば、圧力Pが第1圧力P1に対応する場合、fCは第1共振周波数に対応する。fRは、第2共振周波数に対応する。f0Cは、基準状態での第1共振周波数に対応する。f0Rは、基準状態での第2共振周波数に対応する。HC、LC、dC、εC、ΔεCは、第1振動子121aに関連するパラメータに対応する。HR、LR、dR、εR、ΔεRは、第2振動子122aに関連するパラメータに対応する。VCBは、第1バイアス電圧に対応する。VRBは、第2バイアス電圧に対応する。fTSは、第1ダイオード123aのオン電圧に対応する。f0TSは、基準状態での第1ダイオード123aのオン電圧に対応する。Tは、第1センサ素子12aの周囲の温度に対応する。
【0066】
例えば、圧力Pが第2圧力P2に対応する場合、fCは第3共振周波数に対応する。fRは、第4共振周波数に対応する。f0Cは、基準状態での第3共振周波数に対応する。f0Rは、基準状態での第4共振周波数に対応する。HC、LC、dC、εC、ΔεCは、第3振動子121bに関連するパラメータに対応する。HR、LR、dR、εR、ΔεRは、第4振動子122bに関連するパラメータに対応する。VCBは、第3バイアス電圧に対応する。VRBは、第4バイアス電圧に対応する。fTSは、第2ダイオード123bのオン電圧に対応する。f0TSは、基準状態での第2ダイオード123bのオン電圧に対応する。Tは、第2センサ素子12bの周囲の温度に対応する。
【0067】
式(1)において、「i」及び「j」は、それぞれパラメータX及びTの圧力Pにおける次数を補正するためのものである。例えば、縦軸に圧力、横軸に共振周波数を設定したときに、式(1)に基づくグラフが線形的に変化するとは限らない。圧力Pを精度良く算出するためには、圧力Pを算出するためのX及びTを所定の次数で補正する必要がある。したがって、「n」及び「m」が、このような補正のためにユーザなどにより適宜定められる。aijは、各次数に対応する係数である。
【0068】
以上のような一実施形態に係る測定装置1によれば、流路Fを流れる流体の流量の測定精度を向上させることが可能である。測定装置1は、単一の基準電源20と、単一のカウンタ回路40と、単一の励振源50とを有することで、これらを複数の圧力センサ部10に対して共通に配置可能である。したがって、測定装置1は、圧力センサ部10ごとに同期した同時測定を可能にする。
【0069】
加えて、測定装置1は、圧力センサ部10ごとの特性の個体差を低減し、流量の測定精度を向上させることが可能である。例えば、各圧力センサ部10に対して共通の基準電源20が配置されていることで、基準電源20に基づくセンサ素子12間の出力の相対精度が向上する。例えば、各圧力センサ部10に対して共通の励振源50が配置されていることで、励振源50に起因する相対的な量子化誤差が低減する。さらに、基準電源20及び励振源50に起因する長期安定性も向上するため、経過時間ごとの相対精度の低下が抑制される。
【0070】
測定装置1は、複数の圧力センサ部10に対し電気回路部分を共有化することで、基板面積の削減にも寄与できる。したがって、測定装置1を含む測定システムの小型化が容易となる。
【0071】
測定装置1は、単一の演算回路60をさらに有することで、複数の圧力センサ部10と演算回路60とを同一装置内に配置することが可能となる。これにより、測定装置1は、圧力センサ部10ごとに同期した同時測定を可能にしつつ、測定装置1を含む測定システムが占有するスペースを低減してその小型化に寄与できる。
【0072】
測定装置1は、演算回路60が流体の圧力差に基づいて流量を算出することで、流路Fを流れる流体の流量を精度良く測定可能である。
【0073】
測定装置1は、演算回路60による演算結果を外部装置に送信する通信部70をさらに有することで、演算回路60による演算結果を必要に応じて情報として外部装置に提供可能である。これにより、測定装置1は、外部装置に演算結果を情報として表示させ、当該情報の確認をユーザに促すことも可能となる。測定装置1は、演算回路60により算出された各圧力P、圧力差、及び流量などの測定パラメータを外部装置に表示させて、当該測定パラメータの確認をユーザに促すことも可能となる。
【0074】
測定装置1は、複数の圧力センサ部10の各々がダイアフラム11とセンサ素子12とを有することで、ダイアフラム11で受けた圧力Pに応じた周波数の出力信号を複数の圧力センサ部10の各々から出力可能である。これにより、測定装置1は、流路Fにおける複数の箇所の間での流体の圧力差に基づいて流体の流量を算出可能である。
【0075】
測定装置1は、センサ素子12が2つの振動子と1つのダイオードとを有することで、2つの共振周波数及び1つのダイオードオン電圧の情報を演算回路60において受けて、上述の式(1)乃至(3)に基づき圧力センサ部10ごとに圧力Pを算出可能である。
【0076】
複数の圧力センサ部10は、第1圧力センサ部10aと第2圧力センサ部10bとを含む。カウンタ回路40は、第1圧力P1を算出するための第1周波数と第2圧力P2を算出するための第2周波数とを共通してカウントする。これにより、測定装置1は、2つの圧力センサ部10を単一の装置内に有し、2つの圧力Pの同時測定を可能にする。
【0077】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0078】
例えば、上述した各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、大きさ、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。図示した測定装置1の各構成要素は機能概念的なものであり、各構成要素の具体的形態は図示のものに限定されない。
【0079】
上記実施形態では、測定装置1は、カウンタ回路40によってカウントされた周波数に基づいて、対応する箇所での流体の圧力を算出する単一の演算回路60をさらに有すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、演算回路60を有さなくてもよい。
【0080】
上記実施形態では、演算回路60は、複数の箇所の間での流体の圧力差に基づいて流量を算出すると説明したが、これに限定されない。演算回路60は、流量を算出しなくてもよい。このとき、測定装置1は、流体の各圧力P及び圧力差のみを情報として外部装置に出力してもよい。演算回路60は、複数の箇所の間での流体の圧力差に基づく算出方法とは異なる方法に基づいて流量を算出してもよい。
【0081】
上記実施形態では、測定装置1は、演算回路60による演算結果を外部装置に送信する通信部70をさらに有すると説明したが、これに限定されない。測定装置1は、通信部70を有さなくてもよい。測定装置1は、演算回路60を有する状態で通信部70を有さなくてもよいし、演算回路60と共に通信部70も有さなくてもよい。
【0082】
上記実施形態では、複数の圧力センサ部10の各々は、流体の圧力を受けるダイアフラム11と、ダイアフラム11で受けた圧力に応じた周波数の出力信号を出力するセンサ素子12と、を有すると説明したが、これに限定されない。圧力センサ部10の構成は、ダイアフラム11及びセンサ素子12を組み合わせたものに限定されず、流体の圧力Pを測定可能な任意の他のものであってもよい。
【0083】
上記実施形態では、センサ素子12は、出力信号を出力する2つの振動子と、周囲の温度に比例する電圧を出力する1つのダイオードと、を有すると説明したが、これに限定されない。センサ素子12は、流体の圧力P又は流量を演算回路60が算出するために必要となる信号を出力可能な任意の他の構成を有してもよい。
【0084】
図3は、本開示の変形例に係る測定装置1の構成の一例を示す模式図である。上記実施形態では、複数の圧力センサ部10は、第1圧力センサ部10aと第2圧力センサ部10bとを含むと説明したが、これに限定されない。複数の圧力センサ部10は、2つではなく3つ以上の圧力センサ部10を含んでもよい。例えば、複数の圧力センサ部10は、第1圧力センサ部10a及び第2圧力センサ部10bに加えて、第3箇所L3での流体の第3圧力P3を測定するための第3圧力センサ部10cをさらに含んでもよい。
【0085】
これに伴い、複数のダイアフラム11は、第1ダイアフラム11a及び第2ダイアフラム11bに加えて、第3ダイアフラム11cをさらに含んでもよい。複数のセンサ素子12は、第1センサ素子12a及び第2センサ素子12bに加えて、第3センサ素子12cをさらに含んでもよい。複数のアンプ30は、第1アンプ30a及び第2アンプ30bに加えて、第3アンプ30cをさらに含んでもよい。
【0086】
このとき、単一のカウンタ回路40は、第1圧力センサ部10aが配置されている第1箇所L1での流体の第1圧力P1を算出するための第1周波数と、第2圧力センサ部10bが配置されている第2箇所L2での流体の第2圧力P2を算出するための第2周波数と、第3圧力センサ部10cが配置されている第3箇所L3での流体の第3圧力P3を算出するための第3周波数と、を共通してカウントしてもよい。
【0087】
以上のように、測定装置1は、複数の圧力センサ部10に基づく多入力にも応用可能である。測定装置1は、第1流路F1、第2流路F2、及び第3流路F3のそれぞれに生じる第1圧力P1、第2圧力P2、及び第3圧力P3を同時に測定可能である。測定装置1は、2入力及び3入力に限定されずに、4つ以上の入力を有するように、測定する圧力Pに応じて構成を変更可能である。
【0088】
以上のような場合であっても、測定装置1は、複数の圧力センサ部10に対して、単一の基準電源20、単一のカウンタ回路40、及び単一の励振源50を有する。測定装置1では、基準電源20及び励振源50がセンサ素子12間の出力の相対精度及び相対的な量子化誤差にそれぞれ寄与することとなる。測定装置1は、相対的な精度に対して主に影響を及ぼす基準電源20及び励振源50を複数の圧力センサ部10に対して共有化することで、1入力の圧力センサ部10を個別に複数流路Fに配置する場合と比較して、長期的により高精度な測定を実現可能である。測定装置1は、上記実施形態のような2入力のみならず、3つ以上の多入力の装置構成においても同様の効果を奏する。
【0089】
上記実施形態では、センサ素子12からの出力信号として電流に基づくものを例示したが、これに限定されない。センサ素子12からの出力信号は、電圧に基づくものであってもよい。
【0090】
本開示の一実施形態に係る測定装置1は、例えば、同時測定性、測定精度、及び長期安定性の向上を目的とした2入力同時測定を行う圧力センサのシステム構成に利用可能である。例えば、測定装置1は、装置組み込み型の小型高精度流量測定装置として利用可能である。
【0091】
以下に本開示の実施形態の一部について例示する。しかしながら、本開示の実施形態はこれらに限定されない点に留意されたい。
[付記1]
流路を流れる流体の流量の測定に寄与する測定装置であって、
前記流路の複数の箇所にそれぞれ配置されている複数の圧力センサ部と、
前記複数の圧力センサ部の各々に共通の電圧基準を提供する単一の基準電源と、
前記複数の圧力センサ部の各々から出力される出力信号の周波数であって、前記流量に関連付けられる、対応する前記箇所での前記流体の圧力を算出するための前記周波数を共通してカウントする単一のカウンタ回路と、
前記カウンタ回路に周波数基準を提供する単一の励振源と、
を備える、
測定装置。
[付記2]
付記1に記載の測定装置であって、
前記カウンタ回路によってカウントされた前記周波数に基づいて、対応する前記箇所での前記流体の圧力を算出する単一の演算回路をさらに備える、
測定装置。
[付記3]
付記2に記載の測定装置であって、
前記演算回路は、前記複数の箇所の間での前記流体の圧力差に基づいて前記流量を算出する、
測定装置。
[付記4]
付記2又は3に記載の測定装置であって、
前記演算回路による演算結果を外部装置に送信する通信部をさらに備える、
測定装置。
[付記5]
付記1乃至4のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記複数の圧力センサ部の各々は、前記流体の圧力を受けるダイアフラムと、前記ダイアフラムで受けた前記圧力に応じた前記周波数の前記出力信号を出力するセンサ素子と、を有する、
測定装置。
[付記6]
付記5に記載の測定装置であって、
前記センサ素子は、前記出力信号を出力する2つの振動子と、周囲の温度に比例する電圧を出力する1つのダイオードと、を有する、
測定装置。
[付記7]
付記1乃至6のいずれか1つに記載の測定装置であって、
前記複数の圧力センサ部は、第1圧力センサ部と第2圧力センサ部とを含み、
前記単一のカウンタ回路は、前記第1圧力センサ部が配置されている第1箇所での前記流体の第1圧力を算出するための第1周波数と、前記第2圧力センサ部が配置されている第2箇所での前記流体の第2圧力を算出するための第2周波数と、を共通してカウントする、
測定装置。
【符号の説明】
【0092】
1 測定装置
10 圧力センサ部
10a 第1圧力センサ部
10b 第2圧力センサ部
10c 第3圧力センサ部
11 ダイアフラム
11a 第1ダイアフラム
11b 第2ダイアフラム
11c 第3ダイアフラム
12 センサ素子
12a 第1センサ素子
121a 第1振動子
122a 第2振動子
123a 第1ダイオード
12b 第2センサ素子
121b 第3振動子
122b 第4振動子
123b 第2ダイオード
12c 第3センサ素子
20 基準電源
30 アンプ
30a 第1アンプ
30b 第2アンプ
30c 第3アンプ
40 カウンタ回路
50 励振源
60 演算回路
70 通信部
F 流路
F1 第1流路
F2 第2流路
F3 第3流路
L1 第1箇所
L2 第2箇所
L3 第3箇所
P1 第1圧力
P2 第2圧力
P3 第3圧力
100 測定システム
110 第1圧力計
111 ダイアフラム
112 センサ素子
113 基準電源
114 アンプ
115 カウンタ回路
116 励振源
117 演算回路
120 第2圧力計
121 ダイアフラム
122 センサ素子
123 基準電源
124 アンプ
125 カウンタ回路
126 励振源
127 演算回路
130 演算器