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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135336
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B41J29/393 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045963
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河部 匡剛
(72)【発明者】
【氏名】野口 大介
(72)【発明者】
【氏名】山口 慧
(72)【発明者】
【氏名】中山 博義
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AS02
2C061KK03
2C061KK27
(57)【要約】
【課題】印刷物の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム10は、プロセッサ13を備える。プロセッサ13は、印刷物30に関する情報を取得し、印刷物30に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分31を含む領域である高レベル領域41が、その他の領域である低レベル領域44よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷物に関する情報を取得し、
印刷物に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分を含む領域である高レベル領域が、その他の領域である低レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、印刷物を製造するための情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記設定基礎情報は、印刷物を製造するための情報を含む、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
高レベル領域は、最終成果物として使われる部分の外縁に沿う外縁を有する領域である、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
高レベル領域は、最終成果物として使われる部分の全体を含む四角形の領域である、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記検査設定は、高レベル領域のうちの、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分を含む領域である第一高レベル領域が、高レベル領域のうちの他の領域である第二高レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする設定である、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項7】
第一高レベル領域は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の外縁に沿う外縁を有する領域である、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
第一高レベル領域は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の全体を含む四角形の領域である、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
検査設定の作成では、
印刷物に関する最終成果物を特定し、
最終成果物がシールである場合、印刷物におけるスリットの内側部分が最終成果物として使われる部分であり、スリットの外側部分が最終成果物として使われない部分である、と判断する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記検査設定は、高レベル領域のうちの、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分を含む領域である第一高レベル領域が、高レベル領域のうちの他の領域である第二高レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする設定であり、
検査設定の作成では、
最終成果物がシールである場合において、印刷物におけるスリットの内側部分に、画像が形成される部分と形成されない部分とがあるときは、当該画像が形成される部分を特に重要な部分と判断する、
請求項9に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記プロセッサは、
印刷物を製造するための情報の入力を受け付け、
印刷物を製造するための情報に基づいて、印刷物の製造をし、
作成された検査設定に基づいて、製造された印刷物の検査をする、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項12】
印刷物に関する情報を取得し、
印刷物に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分を含む領域である高レベル領域が、その他の領域である低レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する、
処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷物検査装置が開示されている。この印刷物検査装置では、予め設定した項目について全ての印字結果の検査を自動で行うことができるようにして、印字データの完全保証を可能にしている。
【0003】
特許文献2には画像形成装置が開示されている。この画像形成装置は、搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、画像形成部で画像が形成された用紙を読み取るスキャナ部と、スキャナ部で読み取った画像の解析で検査を行う検査部と、検査部での検査を制御し、検査部での検査が既に検査された用紙に対する再検査であるとき、1回目の検査と異なる検査を実行させる制御部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-277676号公報
【特許文献2】特開2020-040346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷物の検査においては、印刷物の全体(ページ全面)を高い精度で検査することが理想である。
しかし、印刷物の全体を高い精度で検査すると、検査コストが高くなる。
【0006】
本発明は、印刷物の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる情報処理システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る情報処理システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、印刷物に関する情報を取得し、印刷物に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分を含む領域である高レベル領域が、その他の領域である低レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する。
【0008】
第2の態様に係る情報処理システムは、第1の態様において、前記プロセッサは、印刷物を製造するための情報を取得する。
【0009】
第3の態様に係る情報処理システムは、第1又は第2の態様において、前記設定基礎情報は、印刷物を製造するための情報を含む。
【0010】
第4の態様に係る情報処理システムは、第1~第3の何れかの態様において、高レベル領域は、最終成果物として使われる部分の外縁に沿う外縁を有する領域である。
【0011】
第5の態様に係る情報処理システムは、第1~第3の何れかの態様において、高レベル領域は、最終成果物として使われる部分の全体を含む四角形の領域である。
【0012】
第6の態様に係る情報処理システムは、第1~第5の何れかの態様において、前記検査設定は、高レベル領域のうちの、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分を含む領域である第一高レベル領域が、高レベル領域のうちの他の領域である第二高レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする設定である。
【0013】
第7の態様に係る情報処理システムは、第6の態様において、第一高レベル領域は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の外縁に沿う外縁を有する領域である。
【0014】
第8の態様に係る情報処理システムは、第6の態様において、第一高レベル領域は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の全体を含む四角形の領域である。
【0015】
第9の態様に係る情報処理システムは、第1~8の何れかの態様において、検査設定の作成では、印刷物に関する最終成果物を特定し、最終成果物がシールである場合、印刷物におけるスリットの内側部分が最終成果物として使われる部分であり、スリットの外側部分が最終成果物として使われない部分である、と判断する。
【0016】
第10の態様に係る情報処理システムは、第9の態様において、前記検査設定は、高レベル領域のうちの、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分を含む領域である第一高レベル領域が、高レベル領域のうちの他の領域である第二高レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする設定であり、検査設定の作成では、最終成果物がシールである場合において、印刷物におけるスリットの内側部分に、画像が形成される部分と形成されない部分とがあるときは、当該画像が形成される部分を特に重要な部分と判断する。
【0017】
第11の態様に係る情報処理システムは、第1~第10の何れかの態様において、前記プロセッサは、印刷物を製造するための情報の入力を受け付け、印刷物を製造するための情報に基づいて、印刷物の製造をし、作成された検査設定に基づいて、製造された印刷物の検査をする。
【0018】
第12の態様に係るプログラムは、印刷物に関する情報を取得し、印刷物に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分を含む領域である高レベル領域が、その他の領域である低レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する、処理をプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0019】
第1の態様によれば、印刷物の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【0020】
第2の態様によれば、設定基礎情報に、印刷物を製造するための情報を含ませることができる。
【0021】
第3の態様によれば、設定基礎情報が、製造された印刷物から得た情報のみを含む場合と比較して、検査設定の作成が容易である。
【0022】
第4の態様によれば、高レベル領域が、最終成果物として使われる部分の全体を含む四角形の領域である場合と比較して、低レベル領域の面積を増やすことができる。
【0023】
第5の態様によれば、高レベル領域が、最終成果物として使われる部分の外縁に沿う外縁を有する領域である場合と比較して、検査方法を単純化することができる。
【0024】
第6の態様によれば、高レベル領域の全体を同じ精度で検査する場合と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【0025】
第7の態様によれば、第一高レベル領域が、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の全体を含む四角形の領域である場合と比較して、第二高レベル領域の面積を増やすことができる。
【0026】
第8の態様によれば、第一高レベル領域が、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の外縁に沿う外縁を有する領域である場合と比較して、検査方法を単純化することができる。
【0027】
第9の態様によれば、印刷物に関する最終成果物がシールである場合に、スリットを基準に検査設定を作成できる。
【0028】
第10の態様によれば、印刷物に関する最終成果物がシールである場合に、より検査コストを低減することができる。
【0029】
第11の態様によれば、情報処理システムにより、印刷物の製造及び検査をすることができる。
【0030】
第12の態様によれば、印刷物の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】(A)は印刷物の完成状態を示し、(B)はこれに対応する検査設定を示す。
図2】(A)は印刷物の完成状態を示し、(B)はこれに対応する検査設定を示す。
図3】(A)は印刷物の完成状態を示し、(B)はこれに対応する検査設定を示す。
図4】(A)は印刷物の完成状態を示し、(B)はこれに対応する検査設定を示す。
図5】画像形成装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】検査設定を作成する手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の情報処理システムの実施形態である画像形成装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の情報処理システムの実施形態について説明する。
本実施形態では、情報処理システムの一例が検査機能付きの画像形成装置10として実現される。図7は、本実施形態に係る画像形成装置10の概略構成を示す図である。
【0033】
画像形成装置10は、ユーザによる入力を受け付け、入力に応じた印刷物30を製造し、更に当該印刷物30を検査する装置である。
【0034】
画像形成装置10は、印刷装置11、検査装置12、プロセッサ13及びメモリ14等を備える。印刷装置11及び検査装置12がプロセッサ13により制御されることで、印刷及び検査が実施される。
具体的には、プロセッサ13がメモリ14に格納されたプログラム14Aを読み出して実行することで、プロセッサ13は、受付部21、印刷制御部22、設定作成部23及び検査制御部24等として機能する。
【0035】
受付部21は、ユーザによる入力を受け付ける。
印刷制御部22は、入力に基づいて印刷装置11の制御をすることで印刷を実行する。
設定作成部23は、検査装置12での検査のための検査設定を作成する。
検査制御部24は、作成した検査設定に基づいて検査装置12の制御をすることで検査を実行する。
【0036】
また、画像形成装置10は、記録媒体(用紙等)を搬送する搬送装置を有する。搬送装置は、記録媒体を印刷装置11に搬送すると共に、印刷された記録媒体(印刷物30)を検査装置12に搬送する。
【0037】
図5は、画像形成装置10の処理の一例を示す図である。
【0038】
ステップS110では、画像形成装置10は、受付部21として機能し、ユーザによる入力を受け付ける。
【0039】
入力の受付は、例えば、画像形成装置10の表示装置又は画像形成装置10に接続された端末の表示装置に入力用画面を表示し、ユーザによるワークフロー設定、ジョブ設定の操作を受け付けることで行われる。ここで、ワークフロー設定とは、どのようなワークフローを実行するかについての設定であり、具体的には複数の処理とその順序の設定である。ワークフローに含まれる処理としては、例えば、印刷、型抜き、スリット形成、製本等がある。また、ここでいう入力は、記録媒体に印刷する画像データの入力を含む。画像データは、例えばPDFファイルの形式を有する。
【0040】
ステップS120では、画像形成装置10は、設定作成部23として機能し、検査設定を作成する。
【0041】
なお、検査設定の作成は、ステップS140の印刷物の検査の前までに行われればよいので、検査設定の作成は、ステップS130の印刷物の製造の後に行われてもよい。また、印刷物の製造において同一又は同種の複数の印刷物を製造する場合は、同一又は同種の複数の製造物に対して、検査設定は一つであってもよい。
検査設定及びその作成方法の詳細については後述する。
【0042】
ステップS130では、画像形成装置10は、印刷制御部22として機能し、入力に基づいて印刷物を製造する。
【0043】
印刷物の製造とは、記録媒体に対して印刷を実行し、印刷がされた記録媒体を製造することを指す。
【0044】
Sステップ140では、画像形成装置10は、検査制御部24として機能し、検査設定に基づいて製造した印刷物を検査する。
【0045】
印刷物の検査は、例えば、検査装置12に設けられたスキャナで印刷物をスキャンし、スキャンした画像と正解画像とを比較することで行われる。なお、正解画像は、ステップ110での入力に基づいて別途作成される。但し、本発明における印刷物の検査は、これに限定されず、他の方法によって行われてもよい。
【0046】
(検査方法)
次に、図1図4を用いて、検査装置12において実施される検査方法について説明する。
【0047】
図1(A)は、印刷物30の完成状態の一例を示す。
【0048】
図1(A)に示す印刷物30の最終成果物は、シールであり、最終成果物の輪郭は四角形でなく自由な形状である。具体的には、印刷物30には、スリット36が形成される。スリット36により、スリット36の内側部分31が、スリット36の外側部分34と分離されている。スリット36の内側部分31は、最終成果物として使われる部分31であり、スリット36の外側部分34は、最終成果物としては使われない部分34である。
但し、印刷物30を検査する時点では、スリット36は形成されていなくてもよい。この場合でも、印刷物30を検査する時点で、最終成果物としてのシールの仮想的な輪郭線36は想定される。
【0049】
ここで、最終成果物として使われる部分31は、使われない部分34よりも、より慎重に検査すべき部分といえる。
そこで、本実施形態では、図1(B)に示すように、印刷物領域40を、最終成果物として使われる部分31を含む領域である高レベル領域41と、その他の領域である低レベル領域44とに分ける。そして、高レベル領域41が低レベル領域44よりも高い精度で検査されるようにする。
なお、検査の精度について「高い」とは、例えば、面積当たりの検査ポイントが多いことや、検査項目(色味、かすれ、色ずれなど)が多いこと等である。
【0050】
更に、図1(A)に示すように、スリット36の内側部分31は、ハンバーガの画像が印刷される32と、印刷されない33と、に分けることができる。
ここで、画像が印刷される部分32は、印刷されない部分33よりも、より慎重に検査すべき部分といえる。
そこで、本実施形態では、図1(B)に示すように、高レベル領域41を、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32を含む領域である第一高レベル領域42と、その他の領域である第二高レベル領域43とに分ける。そして、第一高レベル領域42が第二高レベル領域43よりも高い精度で検査されるようにする。
【0051】
なお、低レベル領域44では、検査が行われなくてもよい。つまり、本開示の検査設定は、低レベル領域44において検査が行われないようにする検査設定を含む。
【0052】
図1(B)に示す例では、高レベル領域41は、最終成果物として使われる部分31の外縁(輪郭)に沿う外縁を有する領域である。具体的には、高レベル領域41は、スリット36に沿う外縁を有する領域である。
また、第一高レベル領域42も、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の外縁に沿う外縁を有する領域である。具体的には、第一高レベル領域42も、印刷される部分32の外縁に沿う外縁を有する領域である。
【0053】
但し、検査装置12の性能やその他の事情によっては、高レベル領域41及び第一高レベル領域42を自由な形にできないことが考えられる。このような場合は、図2(B)に示すように高レベル領域41及び第一高レベル領域42が設定されてもよい。
図2(B)に示す例では、高レベル領域41及び第一高レベル領域42は、共に四角形の領域となっている。具体的には、高レベル領域41は、最終成果物として使われる部分31の全体を含む四角形の領域である。また、第一高レベル領域42は、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32の全体を含む四角形の領域である。
【0054】
なお、図1図2では、最終成果物の輪郭が、印刷された画像の輪郭と相似形である。しかし、図3(A)のように、最終成果物の輪郭は、印刷された画像の輪郭と相似形でない場合もある。この場合における検査方法も上記と同様であり、具体的には図3(B)に示す検査設定となる。
【0055】
図4(A)は、印刷物30の完成状態の他の一例を示す。
【0056】
図4(A)に示す印刷物30の最終成果物は、ポスター、チラシ等であり、最終成果物の輪郭は四角である。印刷物30には、裁断ラインを規定する裁断マーク38が設けられる。つまり、印刷物30は、4辺に対応する部分で裁断される。裁断されて切り落とされる部分は、最終成果物(ポスター等)としては使われない。
【0057】
また、最終成果物として使われる部分31は、ハンバーガハンバーガの画像が印刷された部分32と、印刷されない33と、に分けられる。
【0058】
このような印刷物30に対する検査方法も上記と同様である。
すなわち、図4(B)に示すように、最終成果物として使われる部分31を含む領域である高レベル領域41と、その他の領域である低レベル領域44とに分ける。そして、高レベル領域41が低レベル領域44よりも高い精度で検査されるようにする。
更に、高レベル領域41を、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32を含む領域である第一高レベル領域42と、その他の領域である第二高レベル領域43とに分ける。そして、第一高レベル領域42が第二高レベル領域43よりも高い精度で検査されるようにする。
なお、図4(B)では、高レベル領域41及び第一高レベル領域42が、共に四角形の領域である例を示している。
【0059】
(検査設定の作成)
画像形成装置10の設定作成部23は、検査装置12において上記の検査方法が実施されるようにする検査設定を作成する。
【0060】
図6は、検査設定を作成する手順を示す。
【0061】
ステップS121では、設定作成部23は、印刷物に関する情報を取得する。
【0062】
本実施形態では、画像形成装置10が印刷物を製造するための情報の入力を受け付けるので(図5のステップS110参照)、設定作成部23は、当該情報を印刷物に関する情報として取得する。
【0063】
ステップS122では、設定作成部23は、検査設定を作成する。
【0064】
検査設定の作成に用いられる情報である設定基礎情報は、印刷物に関する情報を含む。上述のとおり、本実施形態では、印刷物を製造するための情報を印刷物に関する情報として用いるので、ここでの印刷物に関する情報は、印刷物を製造するための情報(例えばPDFファイル、ジョブ設定、ワークフロー設定など)である。
【0065】
具体的には、設定作成部23は、設定基礎情報に基づいて、印刷物30に関する最終成果物を特定する。最終成果物の特定は、ジョブ設定やワークフロー設定に基づいて行うことができる。最終成果物とは、例えば、シール、POP広告(Point of purchase advertising)、ポスター、チラシなどである。最終成果物を特定することで、製造される印刷物において、最終成果物として使われる部分かそれ以外の部分かの判断を行うことができる。
但し、最終成果物の特定は、検査設定の作成に必要な限度で行われればよい。本実施形態では、最終成果物がシールやPOP等の自由な輪郭を有するものであるか否かを特定すればよい。
【0066】
最終成果物がシールやPOP等の自由な輪郭を有するものである場合、設定作成部23は、輪郭線36(スリットや型抜きライン等)の内側部分が最終成果物として使われる部分であり、輪郭線36の外側部分が最終成果物として使われない部分である、と判断する。
【0067】
また、最終成果物がチラシやポスター等の四角い輪郭を有するものである場合、設定作成部23は、裁断マーク38で規定される裁断ラインの内側部分が最終成果物として使われる部分であり、裁断ラインの外側部分が最終成果物として使われない部分である、と判断する。
【0068】
また、設定作成部23は、最終成果物として使われる部分に印刷がされない部分がある場合は、印刷される32を、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分32と判断する。
【0069】
ステップS124では、設定作成部23は、領域分けをする。
【0070】
ここで、本実施形態において領域分けとは、検査すべき印刷物を、高レベル領域41及び低レベル領域44に分け、更に高レベル領域41を第一高レベル領域42及び第二高レベル領域43に分けることを指す。
高レベル領域41は、最終成果物として使われる部分の全体を含むように設定される。高レベル領域41以外の領域が低レベル領域44となる。
更に、第一高レベル領域42は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の全体を含むように設定される。高レベル領域41のうち、第一高レベル領域42以外の領域が第二高レベル領域43となる。
【0071】
次に、本実施形態における作用効果について説明する。
【0072】
本実施形態では、図7に示すように、情報処理システム10は、プロセッサ13を備える。プロセッサ13は、印刷物30(図1(A)参照)に関する情報を取得する。また、プロセッサ13は、印刷物30に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分31を含む領域である高レベル領域41が、その他の領域である低レベル領域44よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する(図1図4参照)。
このため、印刷物30の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。検査コストが高くなると、例えば、検査装置の性能やストレージ容量が必要になる場合がある。また、印刷速度を落として印刷することが必要になる場合がある。本実施形態では、このような問題を解決することができる。
【0073】
また、本実施形態では、プロセッサ13は、印刷物30を製造するための情報を取得する。
このため、設定基礎情報に、印刷物を製造するための情報を含ませることができる。
【0074】
また、本実施形態では、設定基礎情報は、印刷物を製造するための情報を含む。
このため、設定基礎情報が、製造された印刷物30から得た情報のみを含む場合と比較して、検査設定の作成が容易である。
【0075】
また、本実施形態では、図1図3に示すように、高レベル領域41は、最終成果物として使われる部分31の外縁36に沿う外縁を有する領域である。
このため、高レベル領域41が、最終成果物として使われる部分31の全体を含む四角形の領域である場合と比較して、低レベル領域の面積を増やすことができる。
【0076】
また、図2図4に示すように、高レベル領域41は、最終成果物として使われる部分31の全体を含む四角形の領域であってもよい。
この場合、高レベル領域41が、最終成果物として使われる部分31の外縁36に沿う外縁を有する領域である場合と比較して、検査方法を単純化することができる。
【0077】
また、本実施形態では、検査設定は、高レベル領域41のうちの、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32を含む領域である第一高レベル領域42が、高レベル領域41のうちの他の領域である第二高レベル領域43よりも高い精度で検査されるようにする設定である(図1図4参照)。
このため、高レベル領域41の全体を同じ精度で検査する場合と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【0078】
また、本実施形態では、図1図3に示すように、第一高レベル領域42は、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32の外縁に沿う外縁を有する領域である。
このため、第一高レベル領域42が、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32の全体を含む四角形の領域である場合と比較して、第二高レベル領域43の面積を増やすことができる。
【0079】
また、図2図4に示すように、第一高レベル領域42は、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32の全体を含む四角形の領域であってもよい。
この場合、第一高レベル領域42が、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32の外縁に沿う外縁を有する領域である場合と比較して、検査方法を単純化することができる。
【0080】
また、本実施形態では、図6に示すように、検査設定の作成では、印刷物30に関する最終成果物を特定し、最終成果物がシールである場合、印刷物30におけるスリット36の内側部分31が最終成果物として使われる部分であり、スリット36の外側部分34が最終成果物として使われない部分である、と判断する。
このため、印刷物30に関する最終成果物がシールである場合に、適切な検査設定を作成できる。
【0081】
また、本実施形態では、検査設定は、高レベル領域41のうちの、最終成果物として使われる部分31のうち特に重要な部分32を含む領域である第一高レベル領域42が、高レベル領域41のうちの他の領域である第二高レベル領域43よりも高い精度で検査されるようにする設定である。そして、検査設定の作成では、最終成果物がシールである場合において、印刷物30におけるスリット36の内側部分31に、画像が形成される部分32と形成されない部分33とがあるときは、当該画像が形成される部分32を特に重要な部分32と判断する。
このため、印刷物30に関する最終成果物がシールである場合に、より適切な検査設定を作成できる。
【0082】
また、本実施形態では、図5に示すように、プロセッサ13は、印刷物30を製造するための情報の入力を受け付け、印刷物30を製造するための情報に基づいて、印刷物30の製造をし、作成された検査設定に基づいて、製造された印刷物30の検査をする。
このため、情報処理システム10により、印刷物30の製造及び検査をすることができる。
【0083】
〔補足説明〕
以上のとおり、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内にて種々の変形、変更、改良が可能である。
【0084】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0085】
上記実施形態では、情報処理システムが、画像形成装置10であり、印刷装置11及び検査装置12を備える。しかし、本開示の情報処理システムは、これに限定されず、印刷装置11及び検査装置12を備えなくてもよい。
情報処理システムがクラウドサーバで実現され、インターネット経由で印刷装置、検査装置と接続されていてもよい。
また、本開示における「システム」とは、複数の装置によって構成されたもの及び単一の装置によって構成されたものの両方を含む。
【0086】
上記実施形態では、設定基礎情報に含まれる「印刷物に関する情報」が、印刷物を製造するための情報(例えば、画像データ、ワークフロー設定など)である。しかし、本開示の印刷物に関する情報は、印刷物に製造するための情報を含んでいなくてもよく、製造された印刷物から得た情報(例えば、印刷物をスキャンして得た情報)であってもよい。
この場合、例えば、検査装置12において印刷物30をスキャンして得た情報に基づいて、ジョブの種類や印刷物の内容を特定し、検査設定の作成(領域分け)に必要な情報を得てもよい。この場合、機械学習等を用いてもよい。
【0087】
[付記]
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
印刷物に関する情報を取得し、
印刷物に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分を含む領域である高レベル領域が、その他の領域である低レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する、
情報処理システム。
【0088】
(((2)))
前記プロセッサは、印刷物を製造するための情報を取得する、
(((1)))に記載の情報処理システム。
【0089】
(((3)))
前記設定基礎情報は、印刷物を製造するための情報を含む、
(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理システム。
【0090】
(((4)))
高レベル領域は、最終成果物として使われる部分の外縁に沿う外縁を有する領域である、
(((1)))~(((3)))の何れか一項に記載の情報処理システム。
【0091】
(((5)))
高レベル領域は、最終成果物として使われる部分の全体を含む四角形の領域である、
(((1)))~(((3)))の何れか一項に記載の情報処理システム。
【0092】
(((6)))
前記検査設定は、高レベル領域のうちの、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分を含む領域である第一高レベル領域が、高レベル領域のうちの他の領域である第二高レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする設定である、
(((1)))~(((5)))の何れか一項に記載の情報処理システム。
【0093】
(((7)))
第一高レベル領域は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の外縁に沿う外縁を有する領域である、
(((6)))に記載の情報処理システム。
【0094】
(((8)))
第一高レベル領域は、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の全体を含む四角形の領域である、
(((6)))に記載の情報処理システム。
【0095】
(((9)))
検査設定の作成では、
印刷物に関する最終成果物を特定し、
最終成果物がシールである場合、印刷物におけるスリットの内側部分が最終成果物として使われる部分であり、スリットの外側部分が最終成果物として使われない部分である、と判断する、
(((1)))~(((3)))の何れか一項に記載の情報処理システム。
【0096】
(((10)))
前記検査設定は、高レベル領域のうちの、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分を含む領域である第一高レベル領域が、高レベル領域のうちの他の領域である第二高レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする設定であり、
検査設定の作成では、
最終成果物がシールである場合において、印刷物におけるスリットの内側部分に、画像が形成される部分と形成されない部分とがあるときは、当該画像が形成される部分を特に重要な部分と判断する、
(((9)))に記載の情報処理システム。
【0097】
(((11)))
前記プロセッサは、
印刷物を製造するための情報の入力を受け付け、
印刷物を製造するための情報に基づいて、印刷物の製造をし、
作成された検査設定に基づいて、製造された印刷物の検査をする、
(((1)))~(((10)))の何れか一項に記載の情報処理システム。
【0098】
(((12)))
印刷物に関する情報を取得し、
印刷物に関する情報を含む設定基礎情報に基づいて、最終成果物として使われる部分を含む領域である高レベル領域が、その他の領域である低レベル領域よりも高い精度で検査されるようにする検査設定を作成する、
処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【0099】
(((1)))の態様によれば、印刷物の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【0100】
(((2)))の態様によれば、設定基礎情報に、印刷物を製造するための情報を含ませることができる。
【0101】
(((3)))の態様によれば、設定基礎情報が、製造された印刷物から得た情報のみを含む場合と比較して、検査設定の作成が容易である。
【0102】
(((4)))の態様によれば、高レベル領域が、最終成果物として使われる部分の全体を含む四角形の領域である場合と比較して、低レベル領域の面積を増やすことができる。
【0103】
(((5)))の態様によれば、高レベル領域が、最終成果物として使われる部分の外縁に沿う外縁を有する領域である場合と比較して、検査方法を単純化することができる。
【0104】
(((6)))の態様によれば、高レベル領域の全体を同じ精度で検査する場合と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【0105】
(((7)))の態様によれば、第一高レベル領域が、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の全体を含む四角形の領域である場合と比較して、第二高レベル領域の面積を増やすことができる。
【0106】
(((8)))の態様によれば、第一高レベル領域が、最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分の外縁に沿う外縁を有する領域である場合と比較して、検査方法を単純化することができる。
【0107】
(((9)))の態様によれば、印刷物に関する最終成果物がシールである場合に、スリットを基準に検査設定を作成できる。
【0108】
(((10)))の態様によれば、印刷物に関する最終成果物がシールである場合に、より検査コストを低減することができる。
【0109】
(((11)))の態様によれば、情報処理システムにより、印刷物の製造及び検査をすることができる。
【0110】
(((12)))の態様によれば、印刷物の全体を高い精度で検査する態様と比較して、検査効果の低下を抑えつつ、検査コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0111】
10 画像形成装置(情報処理システム)
11 印刷装置
12 検査装置
13 プロセッサ
14 メモリ
14A プログラム
21 受付部
22 印刷制御部
23 設定作成部
24 検査制御部
30 印刷物
31 最終成果物として使われる部分
32 最終成果物として使われる部分のうち特に重要な部分
34 最終成果物として使われない部分
36 スリット(輪郭線)
38 裁断マーク
41 高レベル領域
42 第一高レベル領域
43 第二高レベル領域
44 低レベル領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7