(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135339
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240927BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240927BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 612E
G09G3/20 641C
G09G3/20 642P
G09G3/20 611A
G09G3/20 621F
G09G3/20 611H
G09G3/20 670M
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045968
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 敬
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZA02
2H193ZF01
2H193ZF31
5C006AA16
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF54
5C006AF64
5C006AF69
5C006AF72
5C006AF75
5C006BB16
5C006BC03
5C006BC11
5C006BF14
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF38
5C006BF43
5C006BF46
5C006FA12
5C006FA19
5C006FA20
5C006FA26
5C006FA47
5C006GA03
5C080AA10
5C080BB05
5C080DD04
5C080DD07
5C080DD08
5C080DD20
5C080DD26
5C080EE29
5C080FF03
5C080FF11
5C080JJ02
5C080JJ03
(57)【要約】
【課題】高速動作し難い動作条件でも動作可能であり、かつ、標準的な動作条件においては消費電流を抑えた半導体装置を提供する。
【解決手段】基準電圧を生成する基準電圧生成部と、第1の電流供給部及び第2の電流供給部を有し、アナログ回路にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部と、自装置に供給された電源電圧と設定された第1の閾値電圧とを基準電圧に基づいて比較し、電源電圧が第1の閾値電圧よりも高い場合に、第1の電流供給部から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、電源電圧が第1の閾値電圧よりも低い場合に、第1の電流供給部から供給された電流及び第2の電流供給部から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
第1の電流供給部及び第2の電流供給部を有し、アナログ回路にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部と、
自装置に供給された電源電圧と設定された第1の閾値電圧とを前記基準電圧に基づいて比較し、前記電源電圧が前記第1の閾値電圧よりも高い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、前記電源電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流及び前記第2の電流供給部から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する制御部と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記基準電圧を用いて基準電流を生成し、カレントミラー回路を用いて前記基準電流と同じ電流を前記第1の電流供給部及び前記第2の電流供給部の各々に供給する電流生成部を備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記バイアス電流供給部は、さらに第3の電流供給部を備え、
前記制御部は、
自装置が備えるトランジスタのゲート閾値電圧と設定された第2の閾値電圧とを前記基準電圧に基づいて比較し、前記ゲート閾値電圧が前記第2の閾値電圧よりも低い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、前記ゲート閾値電圧が前記第2の閾値電圧よりも高い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流及び前記第3の電流供給部から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記基準電圧を用いて基準電流を生成し、カレントミラー回路を用いて前記基準電流と同じ電流を前記第1の電流供給部、前記第2の電流供給部、及び、前記第3の電流供給部の各々に供給する電流生成部を備える
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
基準電圧を生成する基準電圧生成部と、
第1の電流供給部及び第3の電流供給部を有し、アナログ回路にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部と、
自装置が備えるトランジスタのゲート閾値電圧と設定された第2の閾値電圧とを前記基準電圧に基づいて比較し、前記ゲート閾値電圧が前記第2の閾値電圧よりも低い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、前記ゲート閾値電圧が前記第2の閾値電圧よりも高い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流及び前記第3の電流供給部から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する制御部と、
を備える半導体装置。
【請求項6】
前記基準電圧を用いて基準電流を生成し、カレントミラー回路を用いて前記基準電流と同じ電流を前記第1の電流供給部及び前記第3の電流供給部の各々に供給する電流生成部を備える
請求項5に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液晶表示装置を駆動するための表示駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、液晶表示装置等の表示装置の高解像度化が進み、それに伴って、表示装置を駆動するための表示駆動装置において処理される映像データ量が増加している。そのため、表示駆動装置を構成する半導体装置における消費電流が増大しており、半導体装置における消費電流の削減が要求されている。
【0005】
半導体装置の回路設計では、半導体装置の推奨動作条件範囲と半導体装置の製造のばらつきによる特性変化範囲とを組み合わせた動作条件において、全ての組み合わせの動作条件で回路が動作できるようにする必要がある。
【0006】
半導体装置の動作条件の中には、標準的な動作条件と、高速動作し易い動作条件と、高速動作し難い動作条件がある。半導体装置の回路設計では、高速動作し難い動作条件でも回路を動作させるために余裕を持って電流を供給するように半導体装置を設計しなければならないため、標準的な動作条件では余裕が大き過ぎて消費電流が過剰になってしまうという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の事情を踏まえ、高速動作し難い動作条件でも動作可能であり、かつ、標準的な動作条件においては消費電流を抑えた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の半導体装置は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、第1の電流供給部及び第2の電流供給部を有し、アナログ回路にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部と、自装置に供給された電源電圧と設定された第1の閾値電圧とを前記基準電圧に基づいて比較し、前記電源電圧が前記第1の閾値電圧よりも高い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、前記電源電圧が前記第1の閾値電圧よりも低い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流及び前記第2の電流供給部から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する制御部と、を備える。
【0009】
本発明の第2の半導体装置は、基準電圧を生成する基準電圧生成部と、第1の電流供給部及び第3の電流供給部を有し、アナログ回路にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部と、自装置が備えるトランジスタのゲート閾値電圧と設定された第2の閾値電圧とを前記基準電圧に基づいて比較し、前記ゲート閾値電圧が前記第2の閾値電圧よりも低い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、前記ゲート閾値電圧が前記第2の閾値電圧よりも高い場合に、前記第1の電流供給部から供給された電流及び前記第3の電流供給部から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の表示駆動装置によれば、高速動作し難い動作条件でも動作可能であり、かつ、標準的な動作条件においては消費電流を抑えた半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態のソースドライバを備えた液晶表示装置の全体構成を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態のソースドライバの一部分の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のバイアス回路の概略構成図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態の電源電圧検出回路の概略構成図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態のバイアス回路の概略構成図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の電源電圧検出回路の概略構成図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態のバイアス回路の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のソースドライバ20を備えた液晶表示装置の全体構成を示す概略構成図である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置は、液晶表示パネル100と、ゲートドライバ10と、ソースドライバ20と、システムコントローラ30と、を備える。
【0014】
液晶表示パネル100は、マトリクス状に配置された液晶画素90と、マトリクスの行方向に延伸する複数の走査ラインと、マトリクスの列方向に延伸する複数の信号ラインと、を備える。
【0015】
ゲートドライバ10は、後述のシステムコントローラ30から供給される垂直制御信号に基づいて、各走査ラインに走査信号を順次印加して選択状態とする。
【0016】
ソースドライバ20は、後述のシステムコントローラ30から供給される水平制御信号に基づいて、システムコントローラ30から与えられる表示データに対応する表示信号電圧を、ゲートドライバ10により選択状態とされた各液晶画素90に対して、信号ラインを介して供給する。
【0017】
システムコントローラ30は、システムクロックpclk(
図3、6参照)に基づいて垂直制御信号及び水平制御信号を生成し、ゲートドライバ10及びソースドライバ20に各々供給することにより、所定のタイミングで液晶画素90に表示信号電圧を印加して、液晶表示パネル100に所望の画像情報を表示させる制御を行う。
【0018】
すなわち、システムコントローラ30は、外部から供給される表示データに基づいて、液晶表示パネル100に所望の画像情報を表示させるための種々の制御信号を生成して、ゲートドライバ10及びソースドライバ20に出力する。
【0019】
図2は、ソースドライバ20の一部分の概略構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ソースドライバ20は、バイアス回路21と、アナログ回路22と、を備える。バイアス回路21は、アナログ回路22の動作の必要なバイアス電流を供給する回路である。ソースドライバ20は、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等の半導体集積回路により構成されており、本開示の技術における半導体装置の一例である。
【0020】
図3は、バイアス回路21の概略構成図である。
図4は、電源電圧検出回路53の概略構成図である。
【0021】
図3に示すように、バイアス回路21は、アンプ50と、抵抗51と、BGR(Bandgap Reference)52と、電源電圧検出回路53と、バイアス電流出力部55と、第1の電流供給部56と、PMOS(P-Channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタ57と、第2の電流供給部58と、PMOSトランジスタ59と、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)60と、を備える。第1の電流供給部56及び第2の電流供給部58により、アナログ回路22にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部が構成される。
【0022】
アンプ50は、BGR52から入力された基準電圧に基づいて、基準電流を出力する。また、アンプ50は、不図示のカレントミラー回路により、基準電流と同じ電流を第1の電流供給部56及び第2の電流供給部58に供給する。アンプ50は、本開示の技術における電流生成部の一例である。また、アンプ50は、カレントミラー信号端子を備え、後述のPMOSトランジスタ57、59を制御するための制御信号を出力する。
【0023】
BGR52は、温度又はプロセスに依存しない絶対的な基準電圧を生成する回路である。BGR52は、本開示の技術における基準電圧生成部の一例である。
【0024】
電源電圧検出回路53は、ソースドライバ20に供給された電源電圧と設定された第1の閾値電圧とを基準電圧に基づいて比較し、電源電圧が第1の閾値電圧よりも高い場合に、第1の電流供給部56から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、電源電圧が第1の閾値電圧よりも低い場合に、第1の電流供給部56から供給された電流及び第2の電流供給部58から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する回路である。電源電圧検出回路53は、本開示の技術における制御部の一例である。詳細には、
図4に示すように、電源電圧検出回路53は、コンパレータ70と、2つの抵抗71、72を備える。
【0025】
ソースドライバ20に供給された電源電圧と設定された第1の閾値電圧とを基準電圧に基づいて比較する方法については、特に限定されるものではなく、種々の態様としてもよい。
【0026】
本実施形態においては、一例として、第1の閾値電圧は、1.7Vとする。また、BGR52は、基準電圧として1.25Vの電圧を出力する。また、電源電圧は2.0Vから1.6Vの範囲で変動が想定されるものとする。また、電源電圧を用いて生成される評価用電圧は、電源電圧が1.7Vの際に2つの抵抗71、72の接続点において1.25Vとなるように抵抗値が設定された2つの抵抗71、72を用いて、電源電圧を分圧した電圧とする。
【0027】
コンパレータ70は、基準電圧と評価用電圧とを比較し、基準電圧の方が高い場合は検出信号として「1(電源電圧)」を出力し、電源電圧を用いて生成された評価用電圧の方が高い場合は検出信号として「0(グランド電位)」を出力する。
【0028】
従って、電源電圧が第1の閾値電圧である1.7Vよりも高い場合は、電源電圧検出回路53から「0」が出力され、電源電圧が第1の閾値電圧である1.7Vよりも低い場合は、電源電圧検出回路53から「1」が出力される。
【0029】
PMOSトランジスタ57のソースには第1の電流供給部56が接続され、ドレインにはバイアス電流出力部55が接続され、ゲートにはアンプ50のカレントミラー信号端子が接続されている。PMOSトランジスタ57は、カレントミラー信号端子から入力される信号に基づいて、ソースとドレインと間の導通をオン/オフするスイッチとして機能する。
【0030】
PMOSトランジスタ59のソースには第2の電流供給部58が接続され、ドレインにはバイアス電流出力部55が接続され、ゲートにはCMOS60を介してアンプ50のカレントミラー信号端子が接続されている。PMOSトランジスタ59は、CMOS60を介してカレントミラー信号端子から入力される信号に基づいて、ソースとドレインとの間の導通をオン/オフするスイッチとして機能する。
【0031】
CMOS60は、電源電圧検出回路53から出力された信号に基づいて、アンプ50のカレントミラー信号端子とPMOSトランジスタ59のゲートとの間の導通をオン/オフするスイッチとして機能する。CMOS60がオフ状態の場合、PMOSトランジスタ59は、カレントミラー信号端子から入力される信号の状態に関わらずオフ状態となる。
【0032】
次に、バイアス回路21の動作について説明する。
【0033】
電源電圧検出回路53は、上述の通り、電源電圧が1.7Vよりも高い場合は「0」を出力し、電源電圧が1.7Vよりも低い場合は「1」を出力する。電源電圧検出回路53に含まれるコンパレータ70自体は低速動作なので、消費電流は小さい。
【0034】
バイアス電流出力部55からバイアス電流を出力する場合、アンプ50のカレントミラー信号端子から、PMOSトランジスタ57、59をオン状態とする制御信号が出力される。
【0035】
この状態で、電源電圧検出回路53から出力された信号が「0」の場合、すなわち、電源電圧が1.7Vよりも高い場合は、CMOS60がオフ状態とされ、これによりPMOSトランジスタ59がオフ状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流のみが供給される。
【0036】
なお、第1の電流供給部56からの電流は、標準的な動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0037】
また、電源電圧検出回路53から出力された信号が「1」の場合、すなわち、電源電圧が1.7Vよりも低い場合は、CMOS60がオン状態とされ、これによりPMOSトランジスタ59がオン状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流と第2の電流供給部58からの電流とを合わせた電流が供給される。
【0038】
なお、第1の電流供給部56からの電流と第2の電流供給部58からの電流とを合わせた電流は、電源電圧が低い動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0039】
上記で説明の通り、本実施形態のソースドライバ20においては、電源電圧が低い場合には、バイアス電流を大きくして高速動作を可能にし、電源電圧が低くない場合には、バイアス電流を抑えて消費電流を小さくできる。なお、バイアス回路21内において、複数の系統のバイアス電流出力部55を設けてもよい。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態のソースドライバ20について説明する。本実施形態のソースドライバ20は、バイアス回路21Aの構成が、第1の実施形態のバイアス回路21と比較して異なる。本実施形態のバイアス回路21Aにおいて、第1の実施形態のバイアス回路21と同じ構成要素には同じ参照番号を付し、特に必要が無い限り説明は省略する。
【0041】
図5は、バイアス回路21Aの概略構成図である。
図6は、電源電圧検出回路の概略構成図である。
【0042】
図5に示すように、バイアス回路21は、アンプ50と、抵抗51と、BGR52と、ゲート閾値電圧検出回路54と、バイアス電流出力部55と、第1の電流供給部56と、PMOSトランジスタ57と、第3の電流供給部61と、PMOSトランジスタ62と、CMOS63と、を備える。第1の電流供給部56及び第3の電流供給部61により、アナログ回路22にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部が構成される。
【0043】
アンプ50は、BGR52から入力された基準電圧に基づいて、基準電流を出力する。また、アンプ50は、不図示のカレントミラー回路により、基準電流と同じ電流を第1の電流供給部56及び第3の電流供給部61に供給する。また、アンプ50は、カレントミラー信号端子を備え、後述のPMOSトランジスタ57、62を制御するための制御信号を出力する。
【0044】
ゲート閾値電圧検出回路54は、ソースドライバ20が備えるトランジスタ84(
図6参照)のゲート閾値電圧と設定された第2の閾値電圧とを基準電圧に基づいて比較し、ゲート閾値電圧が第2の閾値電圧よりも低い場合に、第1の電流供給部56から供給された電流のみをバイアス電流として出力し、ゲート閾値電圧が第2の閾値電圧よりも高い場合に、第1の電流供給部56から供給された電流及び第3の電流供給部61から供給された電流を合わせてバイアス電流として出力するように、バイアス電流供給部を制御する回路である。ゲート閾値電圧検出回路54は、本開示の技術にける制御部の一例である。詳細には、
図6に示すように、ゲート閾値電圧検出回路54は、コンパレータ80と、3つの抵抗81、82、83と、NMOS(N-Channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタ84と、を備える。
【0045】
ソースドライバ20は複数のトランジスタを備えるが、ソースドライバ20が備えるトランジスタの特性は、ソースドライバ20の製造時の条件で全体的に一律に決定される。そのため、ゲート閾値電圧検出回路54において比較対象となる専用のトランジスタ84の特性は、ソースドライバ20が備える他のトランジスタの特性と略同等であると見做す。
【0046】
ソースドライバ20が備えるトランジスタ84のゲート閾値電圧と設定された第2の閾値電圧とを基準電圧に基づいて比較する方法については、特に限定されるものではなく、種々の態様としてもよい。
【0047】
本実施形態においては、一例として、第2の閾値電圧は、0.55Vとする。また、BGR52は、基準電圧として1.25Vの電圧を出力する。また、第2の閾値電圧は、基準電圧を印加した際に2つの抵抗81、82の接続点において0.55Vとなるように抵抗値が設定された2つの抵抗81、82を用いて、基準電圧を分圧することにより生成される。また、NMOSトランジスタ84のゲート閾値電圧は0.6Vから0.4Vの範囲で変動が想定されるものとする。
【0048】
NMOSトランジスタ84のドレインとゲートは接続されており、抵抗83の抵抗値が十分に高い(例えば、数百k~数M[Ω])場合、抵抗83とNMOSトランジスタ84のドレイン及びゲートとの接続点において、ゲート閾値電圧を検出することができる。
【0049】
コンパレータ80は、第2の閾値電圧とゲート閾値電圧とを比較し、ゲート閾値電圧の方が高い場合は検出信号として「1(電源電圧)」を出力し、第2の閾値電圧の方が高い場合は検出信号として「0(グランド電位)」を出力する。
【0050】
従って、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも低い場合は、ゲート閾値電圧検出回路54から「0」が出力され、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも高い場合は、ゲート閾値電圧検出回路54から「1」が出力される。
【0051】
PMOSトランジスタ62のソースには第3の電流供給部61が接続され、ドレインにはバイアス電流出力部55が接続され、ゲートにはCMOS63を介してアンプ50のカレントミラー信号端子が接続されている。PMOSトランジスタ62は、CMOS63を介してカレントミラー信号端子から入力される信号に基づいて、ソースとドレインとの間の導通をオン/オフするスイッチとして機能する。
【0052】
CMOS63は、ゲート閾値電圧検出回路54から出力された信号に基づいて、アンプ50のカレントミラー信号端子とPMOSトランジスタ62のゲートとの間の導通をオン/オフするスイッチとして機能する。CMOS63がオフ状態の場合、PMOSトランジスタ62は、カレントミラー信号端子から入力される信号の状態に関わらずオフ状態となる。
【0053】
次に、バイアス回路21Aの動作について説明する。
【0054】
ゲート閾値電圧検出回路54は、上述の通り、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも低い場合は「0」を出力し、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも高い場合は「1」を出力する。ゲート閾値電圧検出回路54に含まれるコンパレータ80自体は低速動作なので、消費電流は小さい。
【0055】
バイアス電流出力部55からバイアス電流を出力する場合、アンプ50のカレントミラー信号端子から、PMOSトランジスタ57、62をオン状態とする制御信号が出力される。
【0056】
この状態で、ゲート閾値電圧検出回路54から出力された信号が「0」の場合、すなわち、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも低い場合は、CMOS63がオフ状態とされ、これによりPMOSトランジスタ62がオフ状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流のみが供給される。
【0057】
なお、第1の電流供給部56からの電流は、標準的な動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0058】
また、ゲート閾値電圧検出回路54から出力された信号が「1」の場合、すなわち、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも高い場合は、CMOS63がオン状態とされ、これによりPMOSトランジスタ62がオン状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流と第3の電流供給部61からの電流とを合わせた電流が供給される。なお、第1の電流供給部56からの電流と第3の電流供給部61からの電流とを合わせた電流は、ゲート閾値電圧が高い動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0059】
上記で説明の通り、本実施形態のソースドライバ20においては、ゲート閾値電圧が高い場合には、バイアス電流を大きくして高速動作を可能にし、ゲート閾値電圧が高くない場合には、バイアス電流を抑えて消費電流を小さくできる。なお、バイアス回路21A内において、複数の系統のバイアス電流出力部55を設けてもよい。
【0060】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態のソースドライバ20について説明する。本実施形態のソースドライバ20は、バイアス回路21Bの構成が、第1の実施形態のバイアス回路21と第2の実施形態のバイアス回路21Aとを組み合わせた構成となっている。本実施形態のバイアス回路21Bにおいて、第1の実施形態のバイアス回路21及び第2の実施形態のバイアス回路21Aと同じ構成要素には同じ参照番号を付し、特に必要が無い限り説明は省略する。
【0061】
図7は、バイアス回路21Bの概略構成図である。
図7に示すように、バイアス回路21は、アンプ50と、抵抗51と、BGR52と、電源電圧検出回路53と、ゲート閾値電圧検出回路54と、バイアス電流出力部55と、第1の電流供給部56と、PMOSトランジスタ57と、第2の電流供給部58と、PMOSトランジスタ59と、CMOS60と、第3の電流供給部61と、PMOSトランジスタ62と、CMOS63と、を備える。第1の電流供給部56、第2の電流供給部58、及び、第3の電流供給部61により、アナログ回路22にバイアス電流を供給するバイアス電流供給部が構成される。
【0062】
次に、バイアス回路21Bの動作について説明する。
【0063】
バイアス電流出力部55からバイアス電流を出力する場合、アンプ50のカレントミラー信号端子から、PMOSトランジスタ57、59、62をオン状態とする制御信号が出力される。
【0064】
電源電圧検出回路53は、上述の通り、電源電圧が1.7Vよりも高い場合は「0」を出力し、電源電圧が1.7Vよりも低い場合は「1」を出力する。電源電圧検出回路53に含まれるコンパレータ70自体は低速動作なので、消費電流は小さい。
【0065】
電源電圧検出回路53から出力された信号が「0」の場合、すなわち、電源電圧が1.7Vよりも高い場合は、CMOS60がオフ状態とされ、これによりPMOSトランジスタ59がオフ状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流のみが供給される。
【0066】
なお、第1の電流供給部56からの電流は、標準的な動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0067】
また、電源電圧検出回路53から出力された信号が「1」の場合、すなわち、電源電圧が1.7Vよりも低い場合は、CMOS60がオン状態とされ、これによりPMOSトランジスタ59がオン状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流と第2の電流供給部58からの電流とを合わせた電流が供給される。
【0068】
なお、第1の電流供給部56からの電流と第2の電流供給部58からの電流とを合わせた電流は、電源電圧が低い動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0069】
ゲート閾値電圧検出回路54は、上述の通り、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも低い場合は「0」を出力し、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも高い場合は「1」を出力する。ゲート閾値電圧検出回路54に含まれるコンパレータ80自体は低速動作なので、消費電流は小さい。
【0070】
ゲート閾値電圧検出回路54から出力された信号が「0」の場合、すなわち、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも低い場合は、CMOS63がオフ状態とされ、これによりPMOSトランジスタ62がオフ状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流のみが供給される。
【0071】
なお、第1の電流供給部56からの電流は、標準的な動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0072】
また、ゲート閾値電圧検出回路54から出力された信号が「1」の場合、すなわち、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも高い場合は、CMOS63がオン状態とされ、これによりPMOSトランジスタ62がオン状態とされる。その結果、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流と第3の電流供給部61からの電流とを合わせた電流が供給される。なお、第1の電流供給部56からの電流と第3の電流供給部61からの電流とを合わせた電流は、ゲート閾値電圧が高い動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0073】
さらに、電源電圧が1.7Vよりも低く、かつ、ゲート閾値電圧が0.55Vよりも高い場合、バイアス電流出力部55には、第1の電流供給部56からの電流と第2の電流供給部58からの電流と第3の電流供給部61からの電流とを合わせた電流が供給される。
【0074】
なお、第1の電流供給部56からの電流と第2の電流供給部58からの電流と第3の電流供給部61からの電流とを合わせた電流は、電源電圧が低く、かつ、ゲート閾値電圧が高い動作条件においてアナログ回路22が高速動作をするのに足りるバイアス電流である。
【0075】
上記で説明の通り、本実施形態のソースドライバ20においては、第1の実施形態及び第2の実施形態の効果を備えつつ、さらに、電源電圧が低く、かつ、ゲート閾値電圧が高い場合にも、バイアス電流を最適化できる。なお、バイアス回路21B内において、複数の系統のバイアス電流出力部55を設けてもよい。
【0076】
以上に示した記載内容および図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用、および効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用、および効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。また、錯綜を回避し、本開示の技術に係る部分の理解を容易にするために、以上に示した記載内容および図示内容では、本開示の技術の実施を可能にする上で特に説明を要しない技術常識等に関する説明は省略されている。
【符号の説明】
【0077】
10 ゲートドライバ
20 ソースドライバ
21、21A、21B バイアス回路
22 アナログ回路
30 システムコントローラ
50 アンプ
51 抵抗
52 BGR
53 電源電圧検出回路
54 ゲート閾値電圧検出回路
55 バイアス電流出力部
56 第1の電流供給部
57 PMOSトランジスタ
58 第2の電流供給部
59 PMOSトランジスタ
60 CMOS
61 第3の電流供給部
62 PMOSトランジスタ
63 CMOS
70 コンパレータ
71、72 抵抗
80 コンパレータ
81、82、83 抵抗
84 NMOSトランジスタ
90 液晶画素
100 液晶表示パネル