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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135342
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】気体浄化装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/00 20060101AFI20240927BHJP
   B01J 35/39 20240101ALI20240927BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A61L9/00 C
B01J35/02 J ZAB
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045971
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】津崎 修
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 純
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】白川 宰
(72)【発明者】
【氏名】松本 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】加幡 寿人
(72)【発明者】
【氏名】川内 雄雅
【テーマコード(参考)】
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB09
4C180CC03
4C180CC13
4C180CC15
4C180DD03
4C180DD08
4C180EA33X
4C180EA34X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180KK03
4C180LL01
4C180LL11
4G169AA03
4G169BA48A
4G169CA02
4G169CA10
4G169DA06
4G169EA08
4G169EB07
4G169HE03
4G169HF03
(57)【要約】
【課題】メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る気体浄化装置は、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;前記筐体の内部に設けられ、基部と、前記基部に坦持された光触媒と、前記基部の内部に設けられた加熱部と、を有する光触媒部と;前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒部に照射する第1の発光素子と;を具備している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、基部と、前記基部に坦持された光触媒と、前記基部の内部に設けられた加熱部と、を有する光触媒部と;
前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒部に照射する第1の発光素子と;
を具備した気体浄化装置。
【請求項2】
前記基部は、絶縁性を有する多孔質体を含み、
前記加熱部は、線状を呈し、前記基部の内部を延びている請求項1記載の気体浄化装置。
【請求項3】
前記基部は、板状を呈し、厚み方向を貫通し前記気体が流れる複数の孔を有する請求項1または2に記載の気体浄化装置。
【請求項4】
前記第1の紫外線よりも短いピーク波長を有する第2の紫外線を照射する第2の発光素子をさらに具備し、
前記第2の発光素子は、前記筐体の内部を流れる前記気体に前記第2の紫外線を照射する請求項1または2に記載の気体浄化装置。
【請求項5】
前記加熱部は、前記光触媒部の機能を回復させる際に、前記基部を加熱する請求項1または2に記載の気体浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、気体浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
健康意識の高まりを反映して、電車や自動車などの車内、冷蔵庫内、居住空間などの、いわゆる閉鎖空間における気体の浄化(例えば、空気の浄化)の要望が高まっている。例えば、雰囲気に含まれているアンモニア、エチレン、および、アセトアルデヒドなどのVOC(Volatile Organic Compounds;揮発性有機化合物)の除去、雰囲気の脱臭、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化の要望が高まっている。
【0003】
そのため、複数の発光素子を有する光源と、光触媒を有する光触媒部とを備えた気体浄化装置が提案されている。
また、光触媒作用を発現させるための発光素子と、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うための発光素子と、を備えた気体浄化装置も提案されている。
【0004】
ここで、気体浄化装置を動作させると、光触媒部の機能が経時的に低下する場合がある。そのため、光触媒部の機能を回復させるためのメンテナンスが必要となる。例えば、気体浄化装置の筐体の内部に取り付けられた光触媒部を筐体から取り外し、筐体の外部において光触媒部を洗浄および乾燥させた後に、光触媒部を筐体の内部に取り付けるようにしている。この様なメンテナンスは、定期的に、あるいは必要に応じて行う必要がある。
【0005】
しかしながら、この様なメンテナンスにおいては、光触媒部の取り外し、光触媒部の洗浄および乾燥、光触媒部の取り付けという一連の作業を行う必要がある。そのため、メンテナンスにかかる時間が長くなったり、メンテナンスに手間がかかったりしていた。
そこで、メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-028324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る気体浄化装置は、内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;前記筐体の内部に設けられ、基部と、前記基部に坦持された光触媒と、前記基部の内部に設けられた加熱部と、を有する光触媒部と;前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒部に照射する第1の発光素子と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、メンテナンス性の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る気体浄化装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における気体浄化装置の、A-A線方向の模式断面図である。
図3図2における光触媒部のB-B線方向の模式平面図である。
図4図3における光触媒部のC-C線方向の模式拡大断面図である。
図5】光源を例示するための模式斜視図である。
図6】他の実施形態に係る光源を例示するための模式斜視図である。
図7】加熱部の効果を例示するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
本実施の形態に係る気体浄化装置1は、気体浄化装置1が設けられる雰囲気にある気体Gを浄化する。気体Gは、例えば、空気を主成分とし、浄化の対象となるものを含んでいる。浄化の対象となるものは、光触媒作用、および紫外線の少なくともいずれかにより浄化できるものであればよい。浄化の対象となるものは、例えば、化学物質、細菌、ウイルスなどである。化学物質は、例えば、アンモニア、エチレン、およびアセトアルデヒドなどのVOCである。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る気体浄化装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における気体浄化装置1の、A-A線方向の模式断面図である。
図1、および図2に示すように、気体浄化装置1は、例えば、筐体2、フィルタ3、送風部4、光触媒部5、光源6、およびコントローラ7を有する。
【0014】
筐体2は、箱状を呈している。筐体2は、内部に、処理を行う気体Gが流れる空間を有する。気体Gの流入側から見た場合に、筐体2の輪郭は、例えば、多角形とすることができる。図1、および図2に例示をした筐体2の輪郭は、四角形である。筐体2の輪郭が四角形であれば、光触媒部5の着脱を容易としたり、気体浄化装置1のスペース効率を向上させたりすることができる。
【0015】
筐体2は、一方向に延びる形状を呈している。例えば、筐体2の形状は、直方体である。筐体2が延びる方向における、筐体2の両側の端部は開口している。筐体2の一方の開口2aは、処理の対象となる気体Gの流入口となる。筐体2の他方の開口2bは、処理済みの気体Gの流出口となる。そのため、筐体2の内部に、一方の端部から他方の端部に向かって流れる気流を形成することができる。
【0016】
また、筐体2の側部に開口2cを設け、開口2cを介して、光触媒部5、および光源6の着脱を行うこともできる。開口2cには、蓋2dを着脱自在に設けることができる。また、筐体2の側部などには、筐体2の外部に設けられたコントローラ7と、筐体2の内部に設けられた光源6および光触媒部5(加熱部5c)と、の電気的な接続を行うためのコネクタを設けることができる。
【0017】
筐体2、および蓋2dの材料は、光源6から照射される紫外線に対する耐性、気体Gに含まれている化学物質に対する耐性、および光触媒部5の加熱部5cにおいて発生した熱に対する耐性があれば特に限定はない。筐体2、および蓋2dの材料は、例えば、金属や樹脂とすることができる。金属は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム合金などとすることができる。樹脂は、例えば、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂などとすることができる。
【0018】
また、筐体2の内壁と、蓋2dの、筐体2の内部に露出する面は、光源6から照射された紫外線に対する反射率が高くなるようにすることが好ましい。例えば、筐体2と蓋2dをアルミニウム合金などの金属から形成する場合には、筐体2の内壁と、蓋2dの、筐体2の内部に露出する面とにバフ研磨を施すことでこれらを平坦な面とすればよい。また、筐体2、および蓋2dを白色の樹脂から形成したり、筐体2の内壁と、蓋2dの、筐体2の内部に露出する面とに、アルミニウム合金などの紫外線に対する反射率が高い材料を含む膜、板材、シートなどを設けたりすることができる。この様にすれば、光源6から照射され、筐体2の内壁などに入射した紫外線を、光触媒部5や筐体2の内部を流れる基体Gに向けて反射させることができる。そのため、光源6から照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。
【0019】
フィルタ3は、筐体2の、気体Gの流入側の端部に設けられている。フィルタ3は、筐体2の開口2aを覆っている。フィルタ3は、例えば、筐体2の端部に設けられたブラケットに着脱自在に取り付けることができる。
【0020】
フィルタ3は、筐体2の外部にあるゴミなどが、筐体2の内部に吸引されるのを抑制する。フィルタ3は、例えば、目視にて確認できる程度の大きさのゴミを除去する。フィルタ3の材料は、光源6から照射される紫外線に対する耐性、気体Gに含まれている化学物質に対する耐性、および光触媒部5の加熱部5cからの熱に対する耐性があれば特に限定はない。フィルタ3の材料は、例えば、ステンレスなどの金属とすることができる。フィルタ3は、例えば、ステンレス製の平織金網(線径φ0.1mm、100メッシュ)とすることができる。なお、フィルタ3は、例えば、ステンレス製の畳織金網、綾織金網などであってもよい。
【0021】
送風部4は、筐体2の、気体Gの流出側の端部に設けられている。送風部4は、筐体2の開口2bに接続されている。送風部4は、開口2bを介して、筐体2の内部の気体Gを筐体2の外部に排出する。そのため、筐体2の内部に、フィルタ3側から送風部4側に向かう気体Gの流れが形成される。
【0022】
図2に例示をした送風部4は軸流ファンであるが、送風部4は気体Gを流動可能なものであればよい。例えば、送風部4は、遠心ファンやシロッコファンなどであってもよい。ただし、送風部4が軸流ファンであれば、高風量化、低騒音化などを図ることができる。また、送風部4は、ダクトなどの配管を介して筐体2に接続することもできる。この場合、ダクトなどの配管を介して、複数の筐体2に1つの送風部4を設けることもできる。
【0023】
光触媒部5は、筐体2の内部に設けられている。光触媒部5は、例えば、筐体2の、気体Gの流入側の端部の近傍に設けられている。光触媒部5は、例えば、筐体2の内壁に設けられたブラケット2eに着脱自在に取り付けられる。
【0024】
図3は、図2における光触媒部5のB-B線方向の模式平面図である。
図4は、図3における光触媒部5のC-C線方向の模式拡大断面図である。
図3、および図4に示すように、光触媒部5は、基部5a、光触媒5b、加熱部5c、およびコネクタ5dを有する。
【0025】
基部5aは、板状を呈し、厚み方向を貫通する複数の孔5a1を有する。筐体2の内部を流れる気体Gは、複数の孔5a1を介して、光触媒部5(基部5a)の一方の面側から他方の面側に流れる。複数の孔5a1は、例えば、マトリクス状に配置したり、千鳥状に配置したりすることができる。気体Gが流れる方向(例えば、筐体2の中心軸2fに沿った方向)から見た場合の孔5a1の形状(平面形状)は、例えば、円や、四角形などの多角形とすることができる。この場合、孔5a1の平面形状が、平面充填可能な形状で有れば、複数の孔5a1を近接させて配置するのが容易となる。そのため、孔5a1の平面形状は、正三角形、正方形、正六角形とすることが好ましい。なお、図3に例示をした孔5a1の平面形状は、正方形である。
【0026】
前述した様に、複数の孔5a1は、筐体2の内部を流れる気体Gの流路となる。そのため、筐体2の中心軸2fに直交する方向における孔5a1の面積を小さくし過ぎると、流路抵抗が大きくなって処理流量の増大を図るのが難しくなるおそれがある。一方、孔5a1の面積を大きくし過ぎると、基部5aの剛性が小さくなって処理流量の増大を図るのが難しくなるおそれがある。また、基部5aには、光触媒5bが坦持される。そのため、孔5a1の面積を大きくし過ぎると、光触媒5bの坦持量が少なくなって光触媒作用による処理効果が低減するおそれがある。例えば、筐体2の中心軸2fに直交する方向における孔5a1の面積は、1mm以上、100mm以下とすることが好ましい。
【0027】
また、孔5a1の中心と、当該孔5a1に隣接する孔5a1の中心との間の距離Lを短くし過ぎると、基部5aの剛性が小さくなって処理流量の増大を図るのが難しくなるおそれがある。また、距離Lを短くし過ぎると、光触媒5bの坦持量が少なくなって光触媒作用による処理効果が低減するおそれがある。一方、距離Lを長くし過ぎると、流路抵抗が大きくなって処理流量の増大を図るのが難しくなるおそれがある。そのため、距離Lは、1.1mm以上、30mm以下とすることが好ましい。
【0028】
気体Gが流れる方向(例えば、筐体2の中心軸2fに沿った方向)における基部5aの寸法(厚み)は、例えば、5mm以上、20mm以下とすることができる。この場合、基部5aの厚みを厚くすれば、基部5aの剛性を大きくしたり、光触媒5bの坦持量を多くしたりすることができる。基部5aの厚みを薄くすれば、流路抵抗を低減させることができる。
【0029】
基部5aは、加熱部5cを保持するとともに、加熱部5cを絶縁する。また、基部5aは、光触媒5bを坦持する機能をも有する。そのため、基部5aは、絶縁性を有する多孔質体から形成することができる。基部5aは、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスから形成することができる。
【0030】
光触媒5bは、例えば、粒状を呈し、所定の波長を有する光が入射した際に光触媒作用を発現する。光触媒の種類は、気体浄化装置1の用途や、気体Gに含まれている処理の対象となる物質などに応じて適宜選択することができる。例えば、光触媒は、紫外線応答型の光触媒や可視光応答型の光触媒とすることができる。紫外線応答型の光触媒は、例えば、酸化チタンなどを含んでいる。可視光応答型の光触媒は、例えば、酸化タングステン、窒素などをドープした酸化チタン、異種金属をイオン注入した酸化チタンなどを含んでいる。
【0031】
後述するように、光触媒5bを含んだエマルジョン溶液に、基部5aを浸漬させることで、光触媒5bを基部5aに坦持させる。そのため、図4に示すように、光触媒5bは、基部5aの表面に坦持されやすい。ただし、基部5aが多孔質材料から形成されていれば、光触媒5bは、基部5aの表面から内部に延びる孔の表面にも坦持される。
【0032】
また、光触媒5bの表面に有機物などの異物が付着すると、光触媒5bに光が入射し難くなるので光触媒作用が発現し難くなるおそれがある。そのため、光触媒部5は、防着部をさらに有することができる。防着部は、光触媒5bとともに基部5aに坦持させることができる。防着部は、例えば、ケイ素化合物を含む。ケイ素化合物は、例えば、ケイ素の酸化物(例えば、二酸化ケイ素)、ケイ素の窒化物、ケイ素の酸窒化物、ケイ素の炭化物、ケイ素の硫化物などである。ケイ素化合物を含む防着部が設けられていれば、有機物などの異物が光触媒5bに付着するのを抑制することができる。また、ケイ素化合物を含む防着部が設けられていれば、光触媒5bと基部5aとの間の接合強度を高めることもできる。
【0033】
加熱部5cは、基部5aの内部に設けられている。加熱部5cは、基部5aの内部に埋め込むことができる。加熱部5cは、印加された電力を熱(ジュール熱)に変換する。加熱部5cは、例えば、電気抵抗用の材料から形成することができる。加熱部5cは、例えば、Ni-Cr系合金、Fe-Cr-Al系合金、Mo、W、Pt、MoSiなどを含むことができる。
【0034】
図3、および図4に示すように、加熱部5cは、線状を呈し、基部5aの内部を延びている。加熱部5cは、少なくとも、基部5aの周縁に沿って延びている。加熱部5cが基部5aの周縁に沿って延びていれば、基部5aの周縁領域を加熱することができる。この場合、前述した様に、基部5aは、セラミックスなどから形成される。セラミックスは、樹脂などに比べて熱伝導率が高いので、基部5aの周縁領域の熱が、孔5a1の周縁に沿って基部5aの中央領域に伝えられる。そのため、基部5aの周縁領域を加熱すれば、基部5aの全領域を加熱することができる。
【0035】
ただし、基部5aを伝わる熱の伝熱経路が長くなれば、基部5aの中央領域が加熱されるまでの時間が長くなったり、基部5aの面内の温度のばらつきが大きくなったりする場合がある。そのため、気体Gが流れる方向から見た場合の基部5aの寸法(平面寸法)が大きい場合には、図3に示すように、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分を加熱部5cに設けることが好ましい。例えば、基部5aの一方の周縁側から、これに対向する基部5aの他方の周縁側に向けて延びる部分を加熱部5cに設けることができる。
【0036】
基部5aの中央領域にも加熱部5cが設けられていれば、基部5aの中央領域を加熱するのが容易となる。そのため、基部5aの全領域が加熱されるまでの時間を短縮したり、基部5aの面内の温度のばらつきを小さくしたりすることができる。
【0037】
また、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分は、基部5aにおいて伝熱経路が長くなる部分に設けることが好ましい。例えば、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分は、基部5aの長手方向に沿って延びる様にすることが好ましい。この様にすれば、加熱されにくい領域が基部5aに生じるのを抑制することができる。
【0038】
なお、加熱部5cの、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分は、少なくとも一方の端部が、加熱部5cの、基部5aの周縁に沿って延びる部分と電気的に接続されていれば良い。例えば、加熱部5cの、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分の他方の端部は、加熱部5cの、基部5aの周縁に沿って延びる部分と電気的に接続されていなくてもよい。加熱部5cは金属から形成されているので熱伝導率が高くなる。そのため、加熱部5cの、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分に電流が流れにくくなっても、加熱部5cの、基部5aの周縁に沿って延びる部分において発生した熱を基部5aの中央領域に伝え易くなる。
【0039】
ただし、加熱部5cの、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分の両端が、加熱部5cの、基部5aの周縁に沿って延びる部分と電気的に接続されていれば、加熱部5cの、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分に電流が流れやすくなる。そのため、加熱部5cの、基部5aの周縁側から中央側に延びる部分においても熱が発生しやすくなるので、基部5aの全領域を加熱する時間をさらに短縮したり、基部5aの面内の温度のばらつきをさらに小さくしたりすることができる。
【0040】
加熱部5cの断面形状には特に限定がない。加熱部5cの断面形状は、例えば、図4に示すように円形とすることができる。なお、加熱部5cの断面形状は、例えば、四角形などの多角形であってもよい。
加熱部5cの断面寸法は、要求される加熱部5cの発熱量などに応じて適宜変更することができる。加熱部5cの断面積は、例えば、0.007mm以上、64mm以下とすることができる。
【0041】
図3に示すように、加熱部5cの端部は、基部5aの側面から露出させることができる。基部5aの側面から露出する加熱部5cの端部には、コネクタ5dを設けることができる。図1に示すように、コネクタ5dは、筐体2の側面から外部に露出させることができる。筐体2の外部において、コネクタ5dは、コントローラ7と電気的に接続することができる。
【0042】
次に、加熱部5cの作用について説明する。
前述した様に、気体浄化装置1にはフィルタ3が設けられている。しかしながら、気体浄化装置1が設けられた雰囲気に含まれている異物が筐体2の内部に吸引されるのを完全に防止するのは困難である。そのため、気体浄化装置1を動作させると、吸引された異物が光触媒部5の基部5aに付着して、気体Gの浄化効果が経時的に低下する場合がある。この場合、一般的には、筐体2の内部に取り付けられている光触媒部5を筐体2から取り外し、筐体2の外部において光触媒部5を洗浄および乾燥させた後に、光触媒部5を筐体2の内部に取り付けるようにしている。この様なメンテナンスは、定期的に、あるいは必要に応じて行う必要がある。
【0043】
しかしながら、この様なメンテナンスにおいては、光触媒部5の取り外し、光触媒部5の洗浄および乾燥、光触媒部5の取り付けという一連の作業を行う必要がある。そのため、メンテナンスにかかる時間が長くなったり、メンテナンスに手間がかかったりすることになる。
【0044】
そこで、光触媒部5には、加熱部5cが設けられている。加熱部5cが設けられていれば、加熱部5cにより、異物が付着した基部5aを加熱することができる。異物が付着した基部5aを加熱すれば、付着している異物を除去することができる。加熱部5cを用いた異物の除去においては、光触媒部5の取り外し、光触媒部5の洗浄および乾燥、光触媒部5の取り付けという一連の作業を行う必要がない。
そのため、メンテナンスにかかる時間を短縮したり、メンテナンスに係る手間を省いたりすることができるので、メンテナンス性の向上を図ることができる。
なお、加熱部5cの効果に関する詳細は後述する。
【0045】
次に、光触媒部5の製造方法について説明する。
まず、基部5aを作製する。
前述した様に、加熱部5cは、基部5aの内部に埋め込まれる。この場合、基部5aは、セラミックスなどから形成されるが、一般的に、セラミックスなどの焼成温度は、金属の融点よりも高い。そのため、基部5aは、金属の融点よりも低い温度で焼成が可能な、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)などを用いて形成することができる。
【0046】
例えば、セラミックスと焼結助剤(例えば、ガラス)を含む原料粉末、有機バインダ、可塑剤、および溶剤を混合して、スラリを生成する。
次に、ドクターブレード法を用いて、スラリからシート状のグリーンシートを成形する。
【0047】
次に、打ち抜き機などを用いて、基部5aの外形、および複数の孔5a1を形成してブランクを作製する。ブランクは、複数作製される。
次に、ブランクの上に、加熱部5cを設ける。例えば、線状材に折り曲げ加工や溶接を施したり、板材にプレス加工を施したりして加熱部5cを形成し、形成された加熱部5cをブランクの上に設けることができる。また、スクリーン印刷法などを用いて、ブランクの上に加熱部5cを設けることもできる。
次に、加熱部5cの上に、別のブランクを被せて、加熱部5cが2つのブランクに挟まれる様にする。
次に、加熱加圧法を用いて、2つのブランクと、加熱部5cとを一体化する。
次に、2つのブランクと、加熱部5cとが一体化されたものを焼成する。2つのブランクを焼成することで、内部に加熱部5cが埋め込まれた基部5aが形成される。焼成温度は、低温同時焼成セラミックスの組成に応じて適宜変更することができる。例えば、焼成温度は、900℃程度とすることができる。
【0048】
次に、基部5aに複数の光触媒5bを坦持させる。
まず、純水に燐酸などを加えて、pH(水素イオン濃度)を2~7に調整した水溶液を生成する。
次に、水溶液に、複数の光触媒5bを加えてエマルジョン溶液を生成する。
次に、基部5aをエマルジョン溶液に10分間程度浸漬させる。
次に、エマルジョン溶液から基部5aを引き上げて乾燥させる。
以上の様にすることで、基部5aに複数の光触媒5bを坦持させることができる。
次に、基部5aの側面から露出する加熱部5cの端部にコネクタ5dを接続する。
以上の様にすることで、光触媒部5を製造することができる。
【0049】
光源6は、光触媒部5に所定の波長を有する光を照射する。光源6は、筐体2の内部に設けられている。光源6は、光触媒部5と対向している。気体Gが流れる方向において、光源6は、光触媒部5の下流側に設けられている。光源6は、例えば、筐体2の開口2b側(気体Gの流出口側)の端部の近傍に設けられている。光源6は、例えば、筐体2の端部の内壁に着脱自在に設けたり、筐体2の内壁に設けられたブラケットに着脱自在に設けたりすることができる。
【0050】
光源6は、少なくとも1つ設けることができる。図1、および図2に例示をした気体浄化装置1は、互いに離隔させて、並べて設けられた2つの光源6を備えている。光源6は、例えば、筐体2の中心軸2fと直交する方向に並べて設けることができる。光源6は、例えば、筐体2に設けられたコネクタを介して、筐体2の外部に設けられたコントローラ7と電気的に接続される。
【0051】
図5は、光源6を例示するための模式斜視図である。
図5に示すように、光源6は、例えば、基板6a、発光素子6b(第1の発光素子の一例に相当する)、および発光素子6c(第2の発光素子の一例に相当する)を有する。
基板6aは、板状を呈している。基板6aは、光触媒部5と対向している。
【0052】
ここで、筐体2の内部(気体Gの流路)に基板6aが設けられていると、気体Gの流通が妨げられるおそれがある。この場合、基板6aの厚み方向を貫通する複数の孔を、基板6aに設けることができる。しかしながら、孔の大きさが小さければ圧力損失が大きくなるので気体Gの流通が妨げられる。孔の大きさを大きくすると、発光素子6b、発光素子6c、および配線パターンの配置や数などに制約が生じる。そのため、基板6aの幅寸法W1は、筐体2の内壁間の寸法W2よりも小さくしている。
【0053】
基板6aの材料や構造には特に限定はない。例えば、基板6aは、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料から形成することができる。また、基板6aは、金属板の表面を絶縁材料で被覆したメタルコア基板などであってもよい。
【0054】
発光素子6b、6cの発熱量が多い場合には、放熱性の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基板6aを形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、メタルコア基板などを例示することができる。また、基板6aは、単層構造を有するものであってもよいし、多層構造を有するものであってもよい。
【0055】
発光素子6b、6cは、基板6aの、光触媒部5と対向する面に並べて設けられている。発光素子6b、6cは、例えば、基板6aの面に設けられた配線パターンと電気的に接続される。発光素子6b、6cの数や配置は、気体浄化装置1の用途や、筐体2の大きさ、光触媒部5の大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0056】
後述するように、発光素子6bは、主に、光触媒部5の光触媒5bを励起させるために設けられる。そのため、光触媒部5の大部分(面積比で60%以上)において、光照射強度が1mW/cm以上となるように、発光素子6bの数や配置を設定することが好ましい。 後述するように、発光素子6cは、主に、処理を行う気体Gに含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化のために設けられる。そのため、発光素子6cの数は、殺菌や不活性化の能力や、筐体2の大きさなどに応じて適宜決定することができる。
発光素子6b、6cの数や配置は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定すればよい。
【0057】
発光素子6b、6cの形式には特に限定はない。発光素子6b、6cは、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型などの表面実装型の発光素子とすることができる。発光素子6b、6cは、例えば、砲弾型などのリード線を有する発光素子とすることもできる。発光素子6b、6cは、例えば、チップ状の発光素子(ベアチップ)とすることもできる。チップ状の発光素子は、例えば、COB(Chip On Board)により、基板6aの配線パターンに実装することができる。この場合、チップ状の発光素子を覆う封止部を設けることができる。
なお、図2図5、および図6に例示をした発光素子6b、6cは、表面実装型の発光素子である。
【0058】
発光素子6bは、光触媒部5に所定の波長を有する光を照射する。発光素子6bは、主に、光触媒部5の光触媒5bを励起させるための光を照射する。この場合、光触媒5bの材料や組成が変われば、光触媒5bの吸収波長領域が変化する。そのため、光触媒5bの吸収波長領域に応じて、適切な波長の光を照射する発光素子6bを選択する。
【0059】
例えば、光触媒5bが、酸化タングステンなどの可視光応答型の光触媒5bの場合には、発光素子6bは、ピーク波長が、405nm以上、600nm以下の可視光を照射する発光ダイオード、レーザダイオード、有機発光ダイオードなどとすることができる。
【0060】
ただし、可視光を、例えば、気体Gに含まれている細菌やウイルスに照射しても、殺菌や不活性化を行うことができない。これに対して、紫外線を、例えば、細菌やウイルスに照射すれば、殺菌や不活性化を行うことができる。そのため、光触媒5bを、紫外線応答型の光触媒とし、発光素子6bを、紫外線を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどとすれば、光触媒作用の発現に加えて、殺菌や不活性化を行うことができる。
【0061】
例えば、光触媒5bを、酸化チタンなどの紫外線応答型の光触媒とし、発光素子6bを、ピーク波長が280nm以上、420nm以下の紫外線(第1の紫外線の一例に相当する)を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。この場合、光触媒5bの吸収波長領域に応じて、UV-B(例えば、波長が280nm以上、315nm以下の紫外線)を照射する発光素子6bを用いたり、UV-A(例えば、波長が315nm以上、420nm以下の紫外線)を照射する発光素子6bを用いたり、UV-B~UV-Aの波長領域における紫外線を照射する発光素子6bを用いたりすることができる。
【0062】
発光素子6cは、筐体2の内部を流れる気体Gに紫外線を照射する。発光素子6cは、主に、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うために、設けられている。発光素子6cは、発光素子6bが照射する紫外線よりも短いピーク波長を有する紫外線(第2の紫外線の一例に相当する)を照射する。
【0063】
ここで、細菌やウイルスのDNAやRNAに紫外線を吸収させれば、細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができる。細菌やウイルスのDNAやRNAを破壊することができれば、高い殺菌効果や、高い不活性化の効果を得ることができる。例えば、細菌やウイルスのDNAやRNAは、波長が300nm以下の紫外線を吸収し易い。
【0064】
そのため、発光素子6cは、例えば、ピーク波長が、270nm以上、300nm以下の紫外線(UV-C)を照射する発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。発光素子6cが設けられていれば、筐体2の内部を流れる気体Gに含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化、および光触媒部5や筐体2の内壁などに付着している細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うことができる。
【0065】
この場合、発光素子6bから照射される紫外線は、発光素子6cから照射される紫外線に比べて、殺菌や不活性化の能力が低くなる。しかしながら、発光素子6bから紫外線が照射されれば、発光素子6cから照射される紫外線による殺菌や不活性化を増強することができる。
【0066】
そのため、例えば、雰囲気の脱臭などとともに、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行う場合には、紫外線応答型の光触媒5bを有する光触媒部5とし、主に、光触媒5bを励起させる紫外線を照射する発光素子6bと、主に、殺菌や不活性化を行う紫外線を照射する発光素子6cを設けることが好ましい。この様にすれば、光触媒作用による脱臭などと、雰囲気に含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化を効果的に行うことができる。
【0067】
また、図5に示すように、複数の発光素子6bが並ぶ方向において、発光素子6bと発光素子6cとを同じ位置に設けることができる。すなわち、発光素子6bと発光素子6cとを、マトリクス状に設けることができる。この様にすれば、発光素子6bと、隣接する発光素子6bとの間の距離、および、発光素子6cと、隣接する発光素子6cとの間の距離を任意に設定するのが容易となる。
【0068】
図6は、他の実施形態に係る光源16を例示するための模式斜視図である。
図6に示すように、光源16は、例えば、基板6a、発光素子6b、および発光素子6cを有する。
【0069】
図6に示すように、複数の発光素子6bが並ぶ方向において、発光素子6bと、隣接する発光素子6bとの間に、発光素子6cが位置する様にすることができる。すなわち、発光素子6bと発光素子6cとを、千鳥状に配置することができる。この様にすれば、複数の発光素子6bが並ぶ列と、複数の発光素子6cが並ぶ列との間の距離を短くすることができる。そのため、基板6aの幅寸法W1を小さくすることができるので、気体Gの流路抵抗を低減させることができる。
【0070】
コントローラ7は、送風部4、光源6、および光触媒部5の加熱部5cを制御する。コントローラ7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。コントローラ7は、例えば、コンピュータである。コントローラ7は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、送風部4、光源6、および光触媒部5の加熱部5cを制御する。
【0071】
例えば、気体浄化装置1を用いて雰囲気にある気体Gを浄化する場合には、コントローラ7は、送風部4を制御して、雰囲気にある気体Gを筐体2の内部に吸引する。
また、コントローラ7は、光源6を制御して、発光素子6bから、主に、光触媒部5の光触媒5bを励起させるための光を照射させる。発光素子6bから照射された光により、光触媒部5の光触媒5bが励起して、光触媒作用が発現する。そのため、気体Gに含まれているVOCなどが、光触媒作用により分解される。
【0072】
また、コントローラ7は、光源6を制御して、発光素子6cから、主に、細菌やウイルスの殺菌や不活性化を行うための紫外線(例えば、UV-C)を照射させる。発光素子6cから照射された紫外線により、気体Gに含まれている細菌やウイルスの殺菌や不活性化が行われる。また、筐体2の内壁や光触媒部5に、発光素子6cから紫外線が照射されることで、これらに付着している細菌やウイルスの殺菌や不活性化が行われる。
【0073】
また、基部5aに付着した異物を除去する場合(光触媒部5の機能回復(メンテナンス)を行う場合)には、コントローラ7は、加熱部5cに電力を印加する。加熱部5cに電力が印加されるとジュール熱が発生して、異物が付着した基部5aの温度が上昇する。そのため、基部5aに付着した異物を除去することができる。
【0074】
この場合、コントローラ7は、例えば、基部5aに設けられた温度センサ(例えば、熱電対)からの出力に基づいて、加熱部5cに印加する電力の制御、ひいては基部5aの温度制御を行うことができる。また、コントローラ7は、例えば、加熱部5cに印加する電力と、電力の印加時間などを制御することで基部5aの温度制御を行うこともできる。なお、加熱部5cに印加する電力および電力の印加時間と、基部5aの温度との関係は、予め実験やシミュレーションを行うことで求めることができる。
【0075】
例えば、コントローラ7は、基部5aの温度が、30℃以上、200℃以下となるように加熱部5cに印加する電力を制御することができる。この場合、加熱時間(メンテナンス時間)は、例えば、1時間程度とすることができる。
【0076】
基部5aの温度、および加熱時間は、雰囲気に含まれている異物の量、基部5aに付着している異物の量、加熱部5cの発熱量、要求されるメンテナンス時間などに応じて適宜変更することができる。基部5aの温度、および加熱時間は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することができる。
【0077】
基部5aに付着した異物の除去を行う場合には、コントローラ7は、光源6による紫外線などの照射、および送風部4による送風を行わないようにすることができる。送風部4による送風が行われなければ、基部5aの温度上昇に要する時間を短縮することができる。また、コントローラ7は、送風部4による送風を行い、送風量を、気体Gの浄化を行う際の送風量よりも少なくすることもできる。この様にすれば、基部5aに付着している異物が加熱されることで放出されたガスを筐体2の外部に排出するのが容易となる。
【0078】
基部5aに付着した異物の除去が終了した場合には、コントローラ7は、加熱部5cへの電力の印加を停止する。また、コントローラ7は、送風部4を制御して、筐体2の内部に気体Gを吸引する。筐体2の内部に気体Gが吸引されれば、基部5aに付着している異物が加熱されることで放出されたガスを筐体2の外部に排出することができる。また、基部5aの冷却時間を短縮することができる。なお、基部5aに付着した異物の除去が終了した場合には、気体Gの浄化を続けて行うこともできる。この様にすれば、基部5aの冷却と、気体Gの浄化を併せて行うことができる。
【0079】
雰囲気にある気体Gの浄化と、基部5aに付着した異物の除去とは、例えば、コントローラ7設けられたモードの切替スイッチにより選択することができる。また、基部5aに付着した異物の除去は、定期的に行うこともできるし、操作者などの判断により、必要に応じて行うこともできる。この場合、例えば、雰囲気にある気体Gの浄化が終了した際に、基部5aに付着した異物の除去を自動的に続けて行うこともできる。
【0080】
次に、加熱部5cの効果について説明する。
図7は、加熱部5cの効果を例示するためのグラフである。
図7中のBは、所定の時間使用された光触媒部5を用いて、気体Gの浄化を行った場合である。すなわち、Bは、加熱部5cによる加熱(機能回復)を行わない場合である。
図7中のCは、所定の時間使用された光触媒部5を、加熱部5cにより加熱(機能回復)した後に、気体Gの浄化を行った場合である。
光触媒部5の機能は、アセトアルデヒドの残存率で評価した。
加熱部5cによる加熱温度は100℃とし、加熱時間は1時間とした。
【0081】
図7中の「B」と「C」との比較から分かるように、所定の時間使用された光触媒部5を、加熱部5cにより加熱すれば、アセトアルデヒドの残存率を低くすることができる。このことは、所定の時間使用された光触媒部5を加熱部5cにより加熱すれば、光触媒部5の機能回復を行うことができることを意味する。
【0082】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【0083】
以下、前述した実施形態に関する付記を示す。
【0084】
(付記1)
内部に、処理を行う気体が流れる空間を有する筐体と;
前記筐体の内部に設けられ、基部と、前記基部に坦持された光触媒と、前記基部の内部に設けられた加熱部と、を有する光触媒部と;
前記筐体の内部に設けられ、第1の紫外線を前記光触媒部に照射する第1の発光素子と;
を具備した気体浄化装置。
【0085】
(付記2)
前記基部は、絶縁性を有する多孔質体を含み、
前記加熱部は、線状を呈し、前記基部の内部を延びている付記1記載の気体浄化装置。
【0086】
(付記3)
前記基部は、板状を呈し、厚み方向を貫通し前記気体が流れる複数の孔を有する付記1または2に記載の気体浄化装置。
【0087】
(付記4)
前記第1の紫外線よりも短いピーク波長を有する第2の紫外線を照射する第2の発光素子をさらに具備し、
前記第2の発光素子は、前記筐体の内部を流れる前記気体に前記第2の紫外線を照射する付記1~3のいずれか1つに記載の気体浄化装置。
【0088】
(付記5)
前記加熱部は、前記光触媒部の機能を回復させる際に、前記基部を加熱する付記1~4のいずれか1つに記載の気体浄化装置。
【符号の説明】
【0089】
1 気体浄化装置、2 筐体、4 送風部、5 光触媒部、5a 基部、5a1 孔、5b 光触媒、5c 加熱部、5d コネクタ、6 光源、6b 発光素子、6c 発光素子、G 気体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7