(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135344
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】蓋体および蓋体付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/08 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B65D43/08 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045973
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA03
3E084DA03
3E084DB09
3E084DB13
3E084FC09
3E084GA08
3E084GB12
3E084GB17
3E084GB21
3E084LD30
(57)【要約】
【課題】操作性を向上させた蓋体を提供する
【解決手段】蓋体(1)は、容器本体(3)の側壁部(32)の被係止部に係止可能な係止凸部(21)が設けられた垂下壁(11)と、垂下壁(11)の外面に対して所定の離間距離を有して対向配置する対向壁(12)と、垂下壁(11)と対向壁(12)とを接続する接続リブ(14)と、係止凸部(21)の被係止部に対する係止を解除する操作を行うための操作部(6)とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁構成部と前記底壁構成部から上方に延びる側壁部とを備えた容器本体に対して着脱可能な蓋体であって、
前記側壁部の外面に対向する位置に形成され、前記側壁部の前記外面の被係止部に係止可能な係止凸部が設けられた垂下壁と、
前記垂下壁の外面に対して所定の離間距離を有して対向配置する内面を有した対向壁であって、前記対向壁の外面を正面視したときに前記垂下壁の下端よりも上方の位置に下端を有する対向壁と、
前記垂下壁と前記対向壁とを接続する接続リブと、
前記垂下壁と前記対向壁との間に形成された空間部と、前記対向壁とにより構成され、前記係止凸部の前記被係止部に対する係止を解除する操作を行うための操作部と、
を備える、
蓋体。
【請求項2】
前記垂下壁の下端には、前記係止凸部の形成領域を挟んで、上方に向かって切り欠かれ、前記垂下壁の内外を貫通する切り欠き部が設けられており、
前記対向壁は、前記対向壁の外面を正面視したときに、前記垂下壁における前記係止凸部の前記形成領域の少なくとも一部の上方に形成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記操作部よりも上方の位置には、前記蓋体の側方外側に向かって延設された指掛け部を備え、
前記指掛け部には、当該蓋体の側方外側に向かって昇るように傾斜する傾斜部が設けられている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記指掛け部の上面には、上方に突出する滑り止め部が設けられている、
請求項3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記対向壁の前記下端の少なくとも一部は、前記対向壁の前記外面を正面視したときに、下方に向かって膨らんだ曲線形状を有するように構成されている、
請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の蓋体と、前記容器本体とにより構成される蓋体付き容器であって、
前記容器本体は、
前記側壁部の外面から前記容器本体の側方外側に向かって突出する一対の接続部と、
前記一対の接続部を繋ぐ持ち手部と、
を備え、
前記持ち手部は、各前記接続部に隣接する端部と、当該端部同士に挟まれた中間部分とを含み、前記持ち手部は、前記側壁部の外面を正面視したときに、前記端部よりも前記中間部分が下方に位置するように湾曲した上面を有しており、
前記持ち手部は、前記蓋体を前記容器本体に装着した状態において前記蓋体の前記垂下壁の下端よりも下方の位置に形成されている、
蓋体付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体および蓋体付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓋体を備えた容器が知られている。例えば、特許文献1には、蓋体の係合突条を補強板の下端縁に係合させて方形収納箱に蓋体を固定する蓋付収納ケースの蓋固定装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の蓋体と収納ケースとの固定状態を解除するには、係合突条の下に指を添えた状態で係合突条を解除しなければならない。また、持ち手と係合突部とが同じ位置にあるので持ち上げた時に誤って蓋が開くおそれがあり操作性が悪い。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも操作性を向上させた蓋体、および当該蓋体付きの容器の提供を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る蓋体は、底壁構成部と前記底壁構成部から上方に延びる側壁部とを備えた容器本体に対して着脱可能な蓋体であって、前記側壁部の外面に対向する位置に形成され、前記側壁部の前記外面の被係止部に係止可能な係止凸部が設けられた垂下壁と、前記垂下壁の外面に対して所定の離間距離を有して対向配置する内面を有した対向壁であって、前記対向壁の外面を正面視したときに前記垂下壁の下端よりも上方の位置に下端を有する対向壁と、前記垂下壁と前記対向壁とを接続する接続リブと、前記垂下壁と前記対向壁との間に形成された空間部と、前記対向壁とにより構成され、前記係止凸部の前記被係止部に対する係止を解除する操作を行うための操作部と、を備える。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る蓋体付き容器は、上述の蓋体と、上述の容器本体とにより構成される蓋体付き容器であって、前記容器本体は、前記側壁部の外面から前記容器本体の側方外側に向かって突出する一対の接続部と、前記一対の接続部同士を繋ぐ持ち手部と、を備え、前記持ち手部は、各前記接続部に隣接する端部と、当該端部同士に挟まれた中間部分とを含み、前記持ち手部は、前記側壁部の外面を正面視したときに、前記端部よりも前記中間部分が下方に位置するように湾曲した上面を有しており、前記持ち手部は、前記蓋体を前記容器本体に装着した状態において前記蓋体の前記垂下壁の下端よりも下方の位置に形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、従来よりも操作性を向上させた蓋体、および当該蓋体付きの容器の提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蓋体付きの容器の外観斜視図である。
【
図3】
図1に示す蓋体付きの容器の分解図を、
図2とは異なる方向から示す図である。
【
図4】
図2に示す破線枠囲み部分の拡大斜視図である。
【
図5】
図4に示す部分を、蓋体の裏側からみた様子を示した拡大斜視図である。
【
図6】
図1に示す蓋体における操作部が設けられた側の外面を正面視した状態の正面図である。
【
図7】
図1に示す蓋体付きの容器を、蓋体における操作部が設けられた側から正面視した状態の正面図である。
【
図8】
図7に示す切断線A-A´における矢視断面図である。
【
図9】
図7に示す切断線B-B´における矢視断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る蓋体付きの容器の部分断面図である。
【
図11】本発明の一変形例に係る蓋体付きの容器の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る蓋体付きの容器の一実施形態について、図面を用いて説明する。なお、各図面には、蓋体付きの容器の底面が水平面に規定された状態において、水平面をXY平面とし、鉛直方向をZ軸に規定したXYZ系の三次元座標を併せて示している。なお、各構成要素の説明あるいは構成要素同士の位置関係を説明する場合においても、特段の事情がない限り、蓋付きの容器の底面が水平面に位置していることを前提として説明する。また、各構成要素の説明の際、容器の中心部に近い側を内(内側)と表現し、当該中心部に近づく方向を内方と表現する。反対に、当該中心部から遠い側を外(外側)と表現し、当該中心部から離れる方向を外方と表現する。また、容器の側面(後述する容器本体の側壁部)から、容器の収容スペースの径方向に中心位置から拡径する方向を「側方外側に向いて」と表現する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る蓋体付きの容器50の外観斜視図である。蓋付きの容器50は、
図1に示すように、物を収容する収容スペースを有した容器本体3と、当該収容スペースの開口部分を封じるための蓋体1とを備える。両者は別構成であり、蓋体1は、容器本体3に対して着脱可能な構成となっている。
【0012】
図1に示すように、蓋体1の上面側には、透明窓101と、円形状の窪み部102とが設けられている。透明窓101は、容器本体3に対して蓋体1を装着した状態において、容器本体3の収容スペースを外から視認することができるよう透明な材料から構成されている。窪み部102は、いわゆるドリンクホルダーとして飲料缶またはコップなどを載せることに適した形状となっている。
【0013】
容器本体3には、外側面に持ち手部33が設けられており、容器本体3を持ち運ぶ際や、容器本体3に蓋体1を装着した状態の蓋付きの容器50(以下では単に容器50と記載する場合がある)を持ち運ぶ際に、作業者が把持することができる。持ち手部33については、後述する。
【0014】
図1に示す容器50は、工具、アウトドア用品、スポーツ用品、カー用品などを収容スペースに収納保管する用途に加えて、またはそれに代えて、各種の物を収容スペースに収容して運搬や保管などに使用される運搬用容器としても使用可能である。
【0015】
図2は、容器50の分解斜視図である。また
図3は、容器50の分解図を、蓋体1の裏面(下面)側が見えるように示した図である。
図2に示すように、容器本体3は、収容スペースの底部を構成する底壁構成部31と、底壁構成部31から上方に延びる側壁部32とを備える。
【0016】
底壁構成部31は、上面視において矩形を有する。ここで、上とはZ軸正側を意味する。矩形の底壁構成部31は、周縁を4辺で構成される平面長方形を有している。その各辺から側壁部32が立ち上がっている。
図3に示すように、底壁構成部31は、平面長方形の底壁構成部31の下面に、格子状に設けられた底リブ31aを有している。なお、説明の便宜上、底壁構成部31の周縁の4辺のうちの対をなす長辺に沿った軸を、上述の三次元座標のX軸に規定し、対をなす短辺に沿った軸を、Y軸に規定する。底壁構成部31の周縁の各長辺から立ち上がっている側壁部32を、必要に応じて長辺側の側壁部32と称し、各短辺から立ち上がっている側壁部32を、必要に応じて短辺側の側壁部32と称する。
【0017】
容器本体3には、
図2および
図3に示すように、四方を囲む側壁部32の上端に、フランジ部35が設けられている。
【0018】
フランジ部35は、容器本体3の収容スペースの開口部の外周部を構成しており、容器本体3の収容スペースの開口部側を構造的に補強している。具体的には、フランジ部35は、フランジ上部36aと、フランジ側部36bおよびフランジ補強部36c(
図3)とを有する。フランジ上部36aは、側壁部32の上部から外側に延びXY平面内に上面および下面を有する。フランジ側部36bは、フランジ上部36aの下面からZ軸負方向に延設されたXY平面に対して垂直な面を有する。フランジ補強部36cは、フランジ上部36aの下面からZ軸負方向に延設された面状部材であり、側壁部32の外面と、フランジ上部36aの下面と、フランジ側部36bの内面とに端辺を有する。なお、本明細書では、フランジ部35(フランジ側部36bの外面)も、側壁部32の(外面の)一部として含むものとする。
【0019】
図2に示すように、容器本体3の一対の短辺側の側壁部32には、そのそれぞれの側壁部32の外面が一部において内方に向かって窪んでいる凹み領域200が設けられている。この凹み領域200においても、上述のフランジ部35が設けられている。一対の短辺側の側壁部32のそれぞれの凹み領域200には、蓋体1の一対の操作機構部10が嵌るとともに、持ち手部33が設けられている。
【0020】
持ち手部33は、一対の短辺側の側壁部32のそれぞれにおいて、側壁部32の外面から容器本体3の側方外側に向かって突出する一対の接続部34a、34bを繋ぐ構成となっている。なお、持ち手部33は、接続部34a、34bを繋いで固定される構造に限るものではなく、例えば、接続部34a、34bに対して回動可能に取付けられる構成でもよい。また、接続部34a、34bを設けず、一対の短辺側の側壁部32のそれぞれの凹み領域200によりY軸正方向およびY軸負方向に形成される壁面に対して回動可能に取付けられる構成でもよい。上記のように回動可能に取付けられる構成とする場合、持ち手部33は、持ち手部33の両端から延びる取付軸を有する略U字形状に形成されることが好ましい。一対の接続部34a、34bのそれぞれは、
図2に示すように、凹み領域200と、その両側の窪んでいない領域とのX軸に沿った差分を補う壁を一部に含み得る。持ち手部33については、また後述する。
【0021】
蓋体1は、
図1に示すように容器本体3に装着した状態において容器本体3の上方に設けられた開口部を塞ぐ第1部分100と、第1部分100の外周縁から垂下して容器本体3の側壁部32の外面を覆う第2部分120とを含む。第1部分100には、先述の透明窓101および窪み部102が設けられている。また、
図3に示すように、第1部分100の下面には、透明窓101の形成領域を除く領域に、格子状に補強リブ100aが設けられている。第1部分100は、上面視において周縁が4辺で構成される平面長方形を有しており、容器本体3の開口部の外周縁と同等の形状を有している。
【0022】
第2部分120は、第1部分100の外周縁から垂下する垂下壁11によって構成されており、先述の操作機構部10を含む。垂下壁11は、Z軸方向に複数の領域に区分されている。具体的には、垂下壁11における操作機構部10が形成されていない領域においては、Z軸正側の第1垂下壁11aと、第1垂下壁11aのZ軸負側に隣接した第2垂下壁11bとを含む。第1垂下壁11aは、鉛直方向に対して傾斜しており第2部分120の外周上端部としては上に向かって先細りした外縁を構成する。第1垂下壁11aは、容器本体3に蓋体1を装着した状態において、容器本体3よりも上方に位置している。一方、第2垂下壁11bは、容器本体3の側壁部32の外面、具体的には容器本体3の側壁部32のフランジ側部36bを覆う部分に相当する。第2垂下壁11bは、略鉛直方向に垂下している。
【0023】
垂下壁11における操作機構部10が形成された領域は、上面視において平面長方形である第1部分100の一対の短辺から垂下している第2部分120にそれぞれ設けられている。また、垂下壁11における操作機構部10が形成された領域は、第1垂下壁11aの外面および第2垂下壁11bの外面よりも内側に窪んだ位置にある。操作機構部10が形成された領域における垂下壁11の区分については後述する。
【0024】
図4は、
図2に示す破線枠囲み部分Dの拡大斜視図である。また、
図5は、
図4に示す部分を、蓋体1の下面側からみた様子を示した拡大斜視図である。
図4に示すように、操作機構部10は、第1垂下壁11aの外面および第2垂下壁11bの外面よりも内側に窪んだ領域300にある。
【0025】
操作機構部10が形成されている領域300は、上側に第3垂下壁11c、下側に第4垂下壁11dが位置するように、垂下壁11が区分されている。第4垂下壁11dの下端側の中央部分には、第4垂下壁11dよりも内方に位置する第5垂下壁11eが設けられている。操作機構部10が形成されている領域300では、垂下壁11がこのように区分されている。
【0026】
第5垂下壁11eの下端部の内面には、側壁部32の外面のフランジ側部36bの下端(被係止部)(
図8中の36e)に係止可能な係止凸部21(
図5他)が設けられている。
【0027】
また、操作機構部10が形成されている領域300には、第5垂下壁11eの外面に対して対向配置された対向壁12を有している。対向壁12は、対向壁12の外面を正面視したときに第5垂下壁11eの下端よりも上方の位置に下端を有している。
【0028】
係止凸部21は、第5垂下壁11eの内面の下端部の一部分のみに、内向きに凸となるように形成されている。対向壁12の下端は、対向壁12の外面を正面視したときに、第5垂下壁11eにおける係止凸部21の形成領域の少なくとも一部の上方に形成されている。これについて、
図6を用いて説明する。
図6は、蓋体1について対向壁12の外面を正面視した図である。
図6に示す状態において、対向壁12の下端は、第5垂下壁11eにおける係止凸部21の形成領域W1と上下方向に対向する領域W2を有する。
【0029】
ここで、第5垂下壁11eの下端と、容器本体3の持ち手部33との位置関係について、
図7を用いて説明する。
図7は、
図6と同じ方向から蓋体1が装着された状態の容器本体3を見た図である。持ち手部33は、接続部34a、34bにそれぞれ隣接する端部33aと、端部33a同士に挟まれた中間部分33bとを含む。持ち手部33は、
図7に示すように、端部33aよりも中間部分33bが下方に位置するように湾曲した上面33tを有する。そして、持ち手部33は、
図7に示すように蓋体1を容器本体3に装着した状態において、蓋体1の垂下壁11(特に第5垂下壁11e)の下端よりも下方の位置に形成されている。
【0030】
また、垂下壁11の下端には、操作機構部10が形成されている領域300の両端に、上方に向かって切り欠かれ、垂下壁11の内外を貫通する切り欠き部16が設けられている。換言すれば、操作機構部10が形成されている領域300の第4垂下壁11dの下端における、第5垂下壁11e(係止凸部21の形成領域)の両端それぞれに隣接する位置に、切り欠き部16が設けられている。
【0031】
操作機構部10が形成されている領域300には、第5垂下壁11eと対向壁12とを所定の離間距離を有して接続する接続リブ14を有している。接続リブ14について、
図8を用いて説明する。
図8は、
図7に示す切断線A-A´における矢視断面図である。接続リブ14は、第5垂下壁11eの上端と、対向壁12の上端とに繋がっており、水平方向に延設されている水平リブである。より具体的には、接続リブ14は、内方に位置する第5垂下壁11eの上端と、第5垂下壁11eよりも側方外側に位置する第4垂下壁11dの下端とを繋ぐ第1接続領域14a、および、第4垂下壁11dの下端と、第5垂下壁11eに対向し、第4垂下壁11dよりも側方外側に位置する対向壁12の上端とを繋ぐ第2接続領域14bを含む。
【0032】
第2接続領域14bは、第4垂下壁11dの外面から側方外側に延設された一対の補強部リブ15aによって補強されている。なお、本実施形態では、
図4に示すように第2接続領域14bのY軸における両端が、それぞれ、補強部リブ15aに連結している構成となっている。更に、本実施形態では、
図4に示すように第2接続領域14bのY軸における中間位置にも、第2の補強部リブ15bが設けられている。なお、第2の補強部リブ15bは、配置を省略することも可能である。
【0033】
一対の補強部リブ15aは、対向壁12のY軸における両端にも連結しており、対向壁12を構造的に補強している。また、
図8に示すように、一対の補強部リブ15a(
図8には一対のうちの一方の補強部リブ15aのみが図示されている)は、接続リブ14(第1接続領域14aおよび第2接続領域14b)にも接続しており、接続リブ14を構造的に補強している。なお、補強部リブ15a(,15b)を接続リブとしてもよい。
【0034】
ここで、
図8を用いて改めて係止凸部21を説明する。係止凸部21は、
図8に示すように、第5垂下壁11eの内面の下端部に、内向きに凸となって形成されている。
図8のように蓋体1が容器本体3に装着された状態において、係止凸部21は、側壁部32の外面のフランジ側部36bの下端36e(被係止部)に係止することができる。
【0035】
図8のように係止凸部21が、側壁部32の外面のフランジ側部36bの下端36eに係止されている状態において、第5垂下壁11eと、接続リブ14と、対向壁12とにより区画された空間部13に、作業者が手指(例えば人差し指、中指、薬指、小指の4本)を入れて、対向壁12の下端を把持するようにして、空間部13の開口を広げるように対向壁12を側方外側に引く。すると、側壁部32の外面のフランジ側部36bの下端36eに係止されていた係止凸部21が、フランジ側部36bの下端36eから外れ(係止が解除され)、蓋体1を容器本体3から取り外すことができる。
【0036】
要するに、空間部13(垂下壁11(実施形態では第5垂下壁11e)、接続リブ14および対向壁12により構成された空間領域)と、対向壁12とは、係止凸部21のフランジ側部36bの下端36e(被係止部)に対する係止を解除する操作を行うための操作部6である。なお、補強部リブ15a(,15b)を接続リブとした場合には、第5垂下壁11e(垂下壁11)と対向壁12との間の空間部13(空間領域)と、対向壁12とが操作部6となる。つまり、操作部6は、少なくとも第5垂下壁11e(垂下壁11)と対向壁12との間(空間部13、空間領域)と、対向壁12とで構成されていてもよい。
【0037】
また、蓋体1には、
図4および
図8に示すように、操作部6を先述のように作業員が手指を入れて操作する際に、作業員の親指を置く指掛け部18が、操作部6よりも上方の位置に設けられ、指掛け部18の少なくとも一部が操作部6よりも内方に設けられている。具体的には、指掛け部18は、第3垂下壁11cの下端と、第4垂下壁11dとの上端との間に略XY平面に延設されている。第3垂下壁11cは、第4垂下壁11dよりも内方に位置している。そのため、指掛け部18は、第3垂下壁11cの下端から側方外側に向かって延設されて第4垂下壁11dに至る構成であると換言できる。
【0038】
また、
図4および
図8に示すように、指掛け部18における側方外側に近い領域には、側方外側に向かって昇るように傾斜する傾斜部20が設けられている。ここで、傾斜部20は、
図4および
図8のように一定の勾配を有して傾斜していてもよいし、一定の勾配でなくてもよく、更には湾曲していてもよい。また、傾斜部20が設けられる位置は、指掛け部18における側方外側に近い領域に限るものではなく、第3垂下壁11cの端部から外方に向かって昇るように傾斜してもよい。すなわち、指掛け部18の上面全体が傾斜部20として構成されていてもよい。
【0039】
更に指掛け部18の上面には、上方に突出する滑り止め部19が設けられている。
図4に示す滑り止め部19はY軸に延設された溝構造がX軸方向に並んだ形状として実現されているが、この形状に限らず、複数の点状の凸あるいは凹が散在する構成によって実現することも可能である。要するに、指(親指)を掛けて滑らないような何らかの形状的な工夫が施されていればよい。
【0040】
なお、指掛け部18は、略XY平面に延設されている態様に限らず、下方に向かって斜め側方外側に傾斜するテーパー面を上面に有する構成であってもよい。
【0041】
また、対向壁12の下端に関し、
図4、
図7および
図8に示されているように、対向壁12の下端の少なくとも一部は、対向壁12の外面を正面視したときに、下方(Z軸負方向)に向かって膨らんだ曲線形状を有する。このような形状とすることにより、操作部6の操作のために空間部13に手指を入れて対向壁12の下端を把持する際に、手の当たりが良く、且つ把持し易いことから、操作部6の操作性に寄与することができる。なお、本実施形態では、対向壁12の下端に、大きな一つの弧を構成する曲線を有しているが、この形状に限らず、対向壁12の外面を正面視したときに、下方(Z軸負方向)に向かって膨らんだ複数の曲線形状が連続した波形であってもよい。
【0042】
ここで、
図9を用いて切り欠き部16について改めて説明する。
図9は、
図7に示す切断線B-B´における矢視断面図であり、切り欠き部16の位置において容器50を鉛直方向に切断した断面図である。操作機構部10が形成されている領域300の垂下壁の両端部分、具体的には第4垂下壁11dにおける第2垂下壁11bに隣接する領域に、切り欠き部16が設けられていることにより、操作部6を操作する際に第5垂下壁11eの下端部が側方外側に開き易く、係止凸部21の係止解除をスムーズに行うことができる。
【0043】
また、
図9に示すように、第4垂下壁11dの外面における切り欠き部16の外縁部には、側方外側に突出している外縁部補強リブ17が設けられている。外縁部補強リブ17は、切り欠き部16の切り欠き形状に沿って
図4に示すようにL字型を有している。外縁部補強リブ17を設けていることにより、操作部6の操作によって、第4垂下壁11dにおける切り欠き部16の形成領域にかかる歪によって当該領域の近傍領域が破損等する恐れを低減することができる。なお、外縁部補強リブ17は、設置を省略することも可能である。
【0044】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0045】
図10は、容器50の部分断面図であり、
図8の部分断面図に対応し、
図8の態様とは異なる態様を示す。
図10に示すように、本実施形態では、指掛け部18の側方外側の端部(傾斜部20)から、内面の下端部に係止凸部21を有し、且つ鉛直方向に延設された第5垂下壁11eAが延びている点において、実施形態1とは相違する。
【0046】
図10の態様では、第5垂下壁11eAにおけるZ軸に沿った中間位置から、水平方向に延設された接続リブ14Aを有し、接続リブ14Aの側方外側の端から下方に対向壁12が延設されている。
【0047】
〔変形例〕
図11は、容器50の部分断面図であり、
図8の部分断面図に対応し、
図8の態様とは異なる態様を示す。
図11に示すように、本実施形態では、指掛け部18における滑り止め部19と傾斜部20との境界付近の下面から、内面の下端部に係止凸部21を有し、且つ鉛直方向に延設された第5垂下壁11eBが延びている。また、指掛け部18の側方外側の端部(傾斜部20)から斜め下方にテーパーを有する接続リブ14Bを有する。また、接続リブ14Bの下端から、第5垂下壁11eBの外面に対向配置する内面を有する対向壁12Bが延びている。
【0048】
また、第5垂下壁11eBの内面から、側方外側に向かって、接続リブ14Bおよび対向壁12Bまで、XZ平面に延設された補強部リブ15aBを有する。
【0049】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る蓋体1は、底壁構成部31と前記底壁構成部31から上方(Z軸正方向)に延びる側壁部32、32とを備えた容器本体3に対して着脱可能な蓋体1であって、前記側壁部32、32の外面(フランジ側部36b)に対向する位置に形成され、前記側壁部32、32の前記外面(フランジ側部36b)の被係止部(フランジ側部36bの下端)に係止可能な係止凸部21が設けられた垂下壁11と、前記垂下壁11の外面に対して所定の離間距離を有して対向配置する内面を有した対向壁12であって、前記対向壁12の外面を正面視したときに前記垂下壁11の下端よりも上方の位置に下端を有する対向壁12と、前記垂下壁11と前記対向壁12とを接続する接続リブ14と、前記垂下壁11と前記対向壁12との間に形成された空間部13と、前記対向壁12とにより構成され、前記係止凸部21の前記被係止部(フランジ側部36bの下端36e)に対する係止を解除する操作を行うための操作部6と、を備える。
【0050】
前記態様1の構成によれば、操作性を向上させた蓋体を提供することができる。具体的には、垂下壁11eと、接続リブ14と、対向壁12とにより区画された空間部13に、作業者が手指(例えば人差し指、中指、薬指、小指の4本)を入れて、対向壁12の下端を把持するようにして、空間部13の開口を広げるように対向壁12を側方外側に引く。すると、側壁部32の外面のフランジ側部36bの下端36e(被係止部)に係止されていた係止凸部21が、フランジ側部36bの下端36eから外れ(係止が解除され)、蓋体1を容器本体3から取り外すことができる。
【0051】
前記態様1の構成によれば、前記垂下壁11の外面に対して所定の離間距離を有して対向配置する内面を有した対向壁12が、前記対向壁12の外面を正面視したときに前記垂下壁11の下端よりも上方の位置に下端を有する。これにより、蓋体1の側方外側から作業者が手指を操作部6に入れやすく、操作性が向上する。
【0052】
本発明の態様2に係る蓋体1は、前記態様1において、前記垂下壁11の下端には、前記係止凸部21の形成領域を挟んで、上方に向かって切り欠かれ、前記垂下壁の内外を貫通する切り欠き部16が設けられており、前記対向壁12は、前記対向壁12の外面を正面視したときに、前記垂下壁11eにおける前記係止凸部21の前記形成領域の少なくとも一部の上方に形成されている。
【0053】
前記態様2の構成によれば、切り欠き部16が設けられていることにより、空間部13に作業者が手指(例えば人差し指、中指、薬指、小指の4本)を入れて、対向壁12の下端を把持するようにして、空間部13の開口を広げるように対向壁12を側方外側に引いた際に、垂下壁11eの下端が側方外側に移動し易く、係止凸部21を係止解除する操作が行い易い。
【0054】
本発明の態様3に係る蓋体1は、前記態様1または2において、
前記操作部6よりも上方の位置には、前記蓋体1の側方外側に向かって延設された指掛け部18を備え、前記指掛け部18には、当該蓋体1の側方外側に向かって昇るように傾斜する傾斜部20が設けられている。
【0055】
前記態様3の構成によれば、指掛け部18が設けられていることにより、蓋体1を着脱する作業員が、その作業の際に親指を置き、蓋体1を容器本体3に装着する際には親指を下方に押し込むことによって蓋体1が容器本体3を封じて係止凸部21を被係止部に係止させることができる。反対に、容器本体3に装着された蓋体1を容器本体3から外す際には、指掛け部18に親指を置き、先述のように操作部6の空間部13に他の指を入れて、親指を置いた箇所を支点に、空間部13の開口を広げるように対向壁12を側方外側に引く操作をすれば、スムーズに蓋体1を容器本体3から外すことできる。
【0056】
更に前記態様3の構成によれば、傾斜部20が設けられていることにより、指掛け部18に置いた親指が指掛け部18の上で位置ずれしても傾斜部20がずれをブロックすることができる。
【0057】
本発明の態様4に係る蓋体1は、前記態様3において、
前記指掛け部18の上面には、上方に突出する滑り止め部19が設けられている。
【0058】
前記態様4の構成によれば、指掛け部18に置いた親指が指掛け部18の上で位置ずれすることを防ぐことができる。
【0059】
本発明の態様5に係る蓋体1は、前記態様1から4の何れかにおいて、前記対向壁12の前記下端の少なくとも一部は、前記対向壁12の前記外面を正面視したときに、下方に向かって膨らんだ曲線形状を有するように構成されている。
【0060】
前記態様5の構成によれば、操作部6の操作のために空間部13に手指を入れて対向壁12の下端を把持する際に、手の当たりが良く、且つ把持し易いことから、操作部6の操作性に寄与することができる。
【0061】
本発明の態様6に係る蓋体付き容器は、態様1~5の何れかに記載の蓋体1と、前記容器本体3とにより構成される蓋体付き容器50であって、前記容器本体3は、前記側壁部32、32の外面から前記容器本体3の側方外側に向かって突出する一対の接続部34a、34bと、前記一対の接続部34a、34bを繋ぐ持ち手部33と、を備え、前記持ち手部33は、各前記接続部34a、34bに隣接する端部33aと、当該端部33a同士に挟まれた中間部分33bとを含み、前記持ち手部33は、前記側壁部32の外面を正面視したときに、前記端部33aよりも前記中間部分33bが下方に位置するように湾曲した上面33tを有しており、前記持ち手部33は、前記蓋体1を前記容器本体3に装着した状態において前記蓋体1の前記垂下壁11の下端よりも下方の位置に形成されている。
【0062】
前記態様6の構成によれば、容器本体3の持ち手部33が蓋体1の垂下壁11の下端よりも下方の位置に形成されていることにより、蓋体1が装着した状態の容器本体3を持ち上げる際に把持する箇所(持ち手部33)と、蓋体1を外す際に把持する箇所(操作部6)とが上下方向に沿って異なる位置となる。したがって、仮に持ち手部と操作部とが同じ位置にあって容器本体を持ち上げる際に誤って蓋体が外れてしまうというおそれがなく、快適な使用環境を提供することができる。
【0063】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 蓋体
3 容器本体
6 操作部
10 操作機構部
11 垂下壁
11a 第1垂下壁
11b 第2垂下壁
11c 第3垂下壁
11d 第4垂下壁
11e、11eA、11eB 第5垂下壁
12、12B 対向壁
13 空間部
14、14A、14B 接続リブ
14a 第1接続領域
14b 第2接続領域
15a、15aB 補強部リブ
15b 第2の補強部リブ
17 外縁部補強リブ
20 傾斜部
31 底壁構成部
32 側壁部
33 持ち手部
33a 端部
33b 中間部分
33t 上面
34a、34b 接続部
35 フランジ部
36a フランジ上部
36b フランジ側部
36c フランジ補強部
36e フランジ側部の下端(被係止部)
50 容器