(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135350
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/27 20230101AFI20240927BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20240927BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L21/88 P
H01L21/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045982
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】有隅 修
【テーマコード(参考)】
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F033HH04
5F033HH08
5F033HH11
5F033HH19
5F033JJ18
5F033JJ19
5F033JJ33
5F033NN06
5F033NN07
5F033PP06
5F033QQ31
5F033QQ48
5F033RR04
5F033VV16
5F033XX08
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP76
5F083ER21
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083MA05
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR05
5F083PR40
5F083ZA01
5F101BA46
5F101BA47
5F101BB02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE07
5F101BH13
(57)【要約】
【課題】スリット内の配線に大きなボイドが発生することを抑制し、配線抵抗の上昇を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体記憶装置は、第1導電層を備える。積層体は、第1導電層の第1方向に、複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを該第1方向に交互に積層して構成されている。柱状体は、積層体を第1方向に貫通して設けられた半導体層を含む。第2絶縁膜は、積層体を第1方向に貫通して設けられたスリットの内壁に設けられている。配線は、スリット内において第2絶縁膜の内側に設けられ、第2絶縁膜によって複数の電極膜に対して電気的に分離され、第1導電層に電気的に接続されている。第3絶縁膜は、第1導電層内に第1方向に対して交差する第1面内に延伸する。第3絶縁膜は、スリットの内壁から配線へ向かって突出している。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電層と、
前記第1導電層の第1方向に、複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを該第1方向に交互に積層して構成された積層体と、
前記積層体を前記第1方向に貫通して設けられた半導体層を含む柱状体と、
前記積層体を前記第1方向に貫通して設けられたスリットの内壁に設けられた第2絶縁膜と、
前記スリット内において前記第2絶縁膜の内側に設けられ、前記第2絶縁膜によって前記複数の電極膜に対して電気的に分離され、前記第1導電層に電気的に接続された配線と、
前記第1導電層内に前記第1方向に対して交差する第1面内に延伸する第3絶縁膜とを備え、
前記第3絶縁膜は、前記スリットの内壁から前記配線へ向かって突出している、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記スリットの内壁から突出する前記第3絶縁膜の先端部は、前記第2絶縁膜内にあり、前記配線まで達していない、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記第1面内の第2方向へ延伸し、
前記第2方向に対して垂直な断面において、前記スリットの底部は、略矩形または略円形の形状を有する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記スリットは、前記第1面内の第2方向へ延伸し、
前記第2方向に対して垂直な断面において、前記スリットの底部の側面は、前記第1面に対して略垂直である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記スリットは、前記第1面内の第2方向へ延伸し、
前記第2方向に対して垂直な断面において、前記スリットの底部における前記配線内に、少なくとも2つのボイドが設けられている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第3絶縁膜は、少なくともシリコンおよび酸素を含有する膜である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第3絶縁膜は、少なくともシリコン、酸素およびフッ素を含有する膜である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1導電層には、ドープドポリシリコンが用いられている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
第1導電材料と第1犠牲膜と第2導電材料とを第1方向に積層して第1積層体を形成し、
前記第1積層体の前記第1方向に、複数の第2犠牲膜と複数の第1絶縁膜とを該第1方向に交互に積層して第2積層体を形成し、
前記第2積層体を前記第1方向に貫通して設けられた半導体層を含む柱状体を形成し、
前記第2積層体を前記第1方向に貫通して設けられたスリットを形成し、
前記スリットを介して前記第1犠牲膜を除去し、
前記スリットの内壁、並びに、前記第1犠牲膜のあった前記第1導電材料と前記第2導電材料との間の空間の内壁に第3導電材料を形成し、
前記スリットの内壁、並びに、前記第1導電材料と前記第2導電材料との間の前記第3導電材料の隙間に第3絶縁膜を形成し、
前記第3導電材料の隙間に形成された前記第3絶縁膜を残置させつつ、前記スリットの内壁に形成された前記第3絶縁膜を除去し、
前記第1導電材料と前記第2導電材料との間の前記空間に前記第3導電材料を残置させつつ、前記スリットの内壁に形成された前記第3導電材料を除去して、前記第3絶縁膜を前記第3導電材料から前記スリットの内側に向かって突出させ、
前記スリットの内壁に第2絶縁膜を形成し、
前記スリット内の前記第2絶縁膜の内側に配線の材料を埋め込むことを具備する半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のメモリセルを三次元的に配列した立体型メモリセルアレイを備えるNAND型フラッシュメモリが開発されている。このようなメモリセルアレイは、複数のワード線を積層して構成された積層体と、その積層体を貫通するスリットとを備える。そのスリット内には、メモリセルアレイの下のソース層に接続される配線が設けられている。
【0003】
しかし、スリットがソース層の近傍においてソース層方向へ大きく広がることがある。この場合、配線に大きなボイドが発生し、配線抵抗が上昇するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-145063号公報
【特許文献2】特開2021-034717号公報
【特許文献3】特開2019-169568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スリット内の配線に大きなボイドが発生することを抑制し、配線抵抗の上昇を抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による半導体記憶装置は、第1導電層を備える。積層体は、第1導電層の第1方向に、複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを該第1方向に交互に積層して構成されている。柱状体は、積層体を第1方向に貫通して設けられた半導体層を含む。第2絶縁膜は、積層体を第1方向に貫通して設けられたスリットの内壁に設けられている。配線は、スリット内において第2絶縁膜の内側に設けられ、第2絶縁膜によって複数の電極膜に対して電気的に分離され、第1導電層に電気的に接続されている。第3絶縁膜は、第1導電層内に第1方向に対して交差する第1面内に延伸する。第3絶縁膜は、スリットの内壁から配線へ向かって突出している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す断面図。
【
図3】3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図。
【
図4】3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図。
【
図5A】第1実施形態による柱状体、スリットおよびスリット内の配線の構成例を示す断面図。
【
図5B】
図5Aの柱状体、スリットおよびスリット内の配線の構成例を示す斜視図。
【
図6】第1実施形態による柱状体、スリットおよびスリット内の配線の構成例を示す断面図。
【
図7】第1実施形態による半導体記憶装置の製造方法の一例を示す断面図。
【
図10】
図9に続く、製造方法の一例を示す断面図。
【
図13】比較例による柱状体およびスリットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成例を示す断面図である。以下、積層体20の積層方向をZ方向とする。Z方向と交差、例えば、直交する1つの方向をY方向とする。Z方向およびY方向のそれぞれと交差、例えば、直交する1つの方向をX方向とする。
【0010】
半導体記憶装置1は、メモリセルアレイを有するアレイチップ2と、CMOS回路を有するCMOSチップ3とを備えている。アレイチップ2とCMOSチップ3とは、貼合面B1において貼合されており、貼合面において接合された配線を介して互いに電気的に接続されている。
図1では、CMOSチップ3上にアレイチップ2が搭載された状態を示している。
【0011】
CMOSチップ3は、基板30と、トランジスタ31と、ビア32と、配線33および34と、層間絶縁膜35とを備える。
【0012】
基板30は、例えば、シリコン基板等の半導体基板である。トランジスタ31は、基板30の上に設けられたNMOS又はPMOSのトランジスタである。トランジスタ31は、例えば、アレイチップ2のメモリセルアレイを制御するCMOS回路を構成する。トランジスタ31は、複数の論理回路の例である。基板30上には、トランジスタ31以外の抵抗素子、容量素子等の半導体素子が形成されていてもよい。
【0013】
ビア32は、トランジスタ31と配線33との間、あるいは、配線33と配線34との間を電気的に接続する。配線33および34は、層間絶縁膜35内において多層配線構造を構成する。配線34は、層間絶縁膜35内に埋め込まれ、層間絶縁膜35の表面にほぼ面一に露出されている。配線33および34は、トランジスタ31等に電気的に接続される。ビア32、配線33および34には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜35は、トランジスタ31、ビア32、配線33および34を被覆し保護する。層間絶縁膜35には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0014】
アレイチップ2は、積層体20と、柱状体CLと、スリットST(LI)と、ソース層BSLと、金属層40と、コンタクト29と、ボンディングパッド50とを備えている。
【0015】
積層体20は、トランジスタ31の上方に設けられており、基板30に対してZ方向に位置する。積層体20は、Z方向に沿って複数の電極膜21および複数の絶縁膜22を交互に積層して構成されている。積層体20は、メモリセルアレイを構成する。電極膜21には、例えば、タングステン等の導電性金属が用いられる。絶縁膜22には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。絶縁膜22は、電極膜21同士を絶縁する。すなわち、複数の電極膜21は、相互に絶縁状態で積層されている。電極膜21および絶縁膜22のそれぞれの積層数は、任意である。絶縁膜22は、例えば、ポーラス絶縁膜またはエアギャップであってもよい。
【0016】
積層体20のZ方向の上端および下端の1つまたは複数の電極膜21は、それぞれソース側選択ゲートSGSおよびドレイン側選択ゲートSGDとして機能する。ソース側選択ゲートSGSとドレイン側選択ゲートSGDとの間の電極膜21は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、メモリセルMCのゲート電極である。ドレイン側選択ゲートSGDは、ドレイン側選択トランジスタのゲート電極である。ソース側選択ゲートSGSは、積層体20の上部領域に設けられる。ドレイン側選択ゲートSGDは、積層体20の下部領域に設けられる。上部領域は、積層体20の、CMOSチップ3に近い側の領域を指し、下部領域は、積層体20の、CMOSチップ3から遠い側(金属層40に近い側)の領域を指す。
【0017】
半導体記憶装置1は、ソース側選択トランジスタとドレイン側選択トランジスタとの間に直列に接続された複数のメモリセルMCを有する。ソース側選択トランジスタ、メモリセルMC、および、ドレイン側選択トランジスタが直列に接続された構造は“メモリストリング”または“NANDストリング”と呼ばれる。メモリストリングは、例えば、ビア28を介してビット線BLに接続される。ビット線BLは、積層体20の下方に設けられ、X方向(
図1の紙面方向)に延在している配線23である。
【0018】
積層体20内には、複数の柱状体CLが設けられている。柱状体CLは、積層体20内において積層体の積層方向(Z方向)に該積層体20を貫通するように延在し、ビット線BLに接続されたビア28からソース層BSLまで設けられている。柱状体CLの内部構造は後述する。なお、本実施形態においては、柱状体CLは高アスペクト比であるため、Z方向に2段に分けて形成している。しかし、柱状体CLは1段であっても問題無い。
【0019】
また、積層体20内には、複数のスリットST(LI)が設けられている。スリットST(LI)は、X方向に延在し、かつ、積層体20の積層方向(Z方向)に該積層体20を貫通している。スリットST(LI)内には、シリコン酸化膜等の絶縁膜が充填されており、絶縁膜は板状に構成される。スリットST(LI)は、積層体20の電極膜21を電気的に分離している。代替的に、スリットST(LI)の内壁にシリコン酸化膜等の絶縁膜を被覆し、さらに絶縁膜の内側に導電材料を埋め込んでもよい。この場合、導電材料は、ソース層BSLに達するソース配線LIとしても機能する。即ち、スリットSTは、メモリセルアレイを構成する積層体20の電極膜21から電気的に分離され、かつ、ソース層BSLに電気的に接続されたソース配線LIであってもよい。スリットは、ST(LI)とも呼ぶ。
【0020】
積層体20の上には、ソース層BSLが設けられている。ソース層BSLは、第1半導体層の例である。ソース層BSLは、積層体20に対応して設けられる。ソース層BSLは、第1面F1と、第1面F1と反対側の第2面F2とを有する。ソース層BSLの第1面F1側には、積層体20(メモリセルアレイ)が設けられており、第2面F2側には金属層40が設けられている。金属層40は、ソース線41と電源線42とを含む。これらソース線41と電源線42とは、後に詳述する。ソース層BSLは、複数の柱状体CLの一端に共通に接続されており、同一のメモリセルアレイ2mにある複数の柱状体CLに共通のソース電位を与える。すなわち、ソース層BSLは、メモリセルアレイ2mの共通ソース電極として機能する。ソース層BSLには、例えば、ドープドポリシリコン等の導電性材料が用いられる。金属層40には、例えば、銅、アルミニウム、または、タングステン等の、ソース層BSLよりも低抵抗の金属材料が用いられる。なお、2sは、各電極膜21にコンタクトを接続するために設けられた電極膜21の階段部分である。階段部分2sについては、
図2を参照して後述する。
【0021】
一方、積層体20の上であって、ソース層BSLが設けられていない領域には、ボンディングパッド50が設けられている。ボンディングパッド50は、第1電極の例である。ボンディングパッド50は、金属ワイヤなど(図示せず)に接続され、半導体記憶装置1の外部から電源供給を受ける。ボンディングパッド50は、コンタクト29、配線24および配線34を介して、CMOSチップ3のトランジスタ31に接続される。このため、ボンディングパッド50から供給された外部電源が、トランジスタ31に供給される。コンタクト29は、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。
【0022】
本実施形態では、アレイチップ2とCMOSチップ3とは、個別に形成され、貼合面B1で貼合されている。したがって、アレイチップ2内にはトランジスタ31は設けられていない。また、CMOSチップ3内には、積層体20(メモリセルアレイ)は設けられていない。トランジスタ31および積層体20は、ともにソース層BSLの第1面F1側にある。トランジスタ31は、金属層40がある第2面F2とは反対側にある。
【0023】
積層体20の下方には、ビア28、配線23、および、配線24が設けられている。配線23および24は、層間絶縁膜25内に埋め込まれ、層間絶縁膜25の表面にほぼ面一に露出されている。配線23および24は、柱状体CLの半導体ボディ210等に電気的に接続される。ビア28、配線23および配線24には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜25は、積層体20、ビア28、配線23および配線24を被覆し保護する。層間絶縁膜25には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0024】
層間絶縁膜25と層間絶縁膜35は貼合面B1において貼合しており、配線24と配線34も貼合面B1において略面一で接合している。これにより、アレイチップ2とCMOSチップ3は、配線24および配線34を介して電気的に接続される。
【0025】
図2は、積層体20を示す模式平面図である。積層体20は、階段部分2sと、メモリセルアレイ2mとを含む。階段部分2sは、積層体20の縁部に設けられている。メモリセルアレイ2mは、階段部分2sによって挟まれ、あるいは、囲まれている。スリットST(LI)は、積層体20の一端の階段部分2sから、メモリセルアレイ2mを経て、積層体20の他縁の階段部分2sまで設けられている。スリットST(LI)は、X-Y面内において、X方向に延伸している。スリットSHEは、少なくともメモリセルアレイ2mに設けられている。スリットSHEは、スリットST(LI)よりも浅く、スリットST(LI)と略平行に延伸している。スリットSHEは、ドレイン側選択ゲートSGDごとに電極膜21を電気的に分離するために設けられている。
【0026】
図2に示す2つのスリットST(LI)によって挟まれた積層体20の部分は、ブロック(BLOCK)と呼ばれる。ブロックは、例えば、データ消去の最小単位を構成する。スリットSHEは、ブロック内に設けられている。スリットST(LI)とスリットSHEとの間の積層体20は、フィンガと呼ばれる。ドレイン側選択ゲートSGDは、フィンガごとに区切られている。このため、データの書込みおよび読み出し時に、ドレイン側選択ゲートSGDにより、ブロック内の1つのフィンガを選択状態とすることができる。
【0027】
図3および
図4のそれぞれは、3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図である。複数の柱状体CLのそれぞれは、積層体20内に設けられたメモリホールMH内に設けられている。メモリホールMHは、Z方向に沿って積層体20の上端から積層体20を貫通している。これに伴い、各柱状体CLは、Z方向に沿って積層体20の上端から積層体20を貫通し、積層体20内およびソース層BSL内にかけて設けられている。複数の柱状体CLは、それぞれ、半導体ボディ210、メモリ膜220、および、コア層230を含む。柱状体CLは、その中心部に設けられたコア層230、該コア層230の周囲に設けられた半導体ボディ(半導体部材)210、および、該半導体ボディ210の周囲に設けられたメモリ膜(電荷蓄積部材)220を含む。半導体ボディ210は、積層体20内において、積層方向(Z方向)に延在している。半導体ボディ210は、ソース層BSLと電気的に接続されている。メモリ膜220は、半導体ボディ210と電極膜21との間に設けられ、電荷捕獲部を有する。各フィンガからそれぞれ1つずつ選択された複数の柱状体CLは、
図1のビア28を介して1本のビット線BLに共通に接続される。柱状体CLのそれぞれは、例えば、メモリセルアレイ2mの領域に設けられている。
【0028】
図4に示すように、X-Y平面におけるメモリホールMHの形状は、例えば、円または楕円である。電極膜21と絶縁膜22との間には、メモリ膜220の一部を構成するブロック絶縁膜21aが設けられてもよい。ブロック絶縁膜21aは、例えば、シリコン酸化物膜または金属酸化物膜である。金属酸化物の1つの例は、アルミニウム酸化物である。電極膜21と絶縁膜22との間、および、電極膜21とメモリ膜220との間には、バリア膜21bが設けられていてもよい。バリア膜21bは、例えば、電極膜21がタングステンである場合、例えば、窒化チタンとチタンとの積層構造膜が選ばれる。ブロック絶縁膜21aは、電極膜21からメモリ膜220側への電荷のバックトンネリングを抑制する。バリア膜21bは、電極膜21とブロック絶縁膜21aとの密着性を向上させる。
【0029】
半導体部材としての半導体ボディ210の形状は、例えば、底を有した筒状である。半導体ボディ210は、コア層230の周囲を囲むように筒状に設けられている。半導体ボディ210には、例えば、ポリシリコンが用いられる。半導体ボディ210は、例えば、アンドープシリコンである。また、半導体ボディ210は、p型シリコンであってもよい。半導体ボディ210は、ドレイン側選択トランジスタSTD、メモリセルMC、および、ソース側選択トランジスタSTSのそれぞれのチャネルとなる。同一メモリセルアレイ2m内の複数の半導体ボディ210の一端は、ソース層BSLに電気的に共通に接続される。
【0030】
メモリ膜220は、ブロック絶縁膜21a以外の部分が、メモリホールMHの内壁と半導体ボディ210との間に設けられている。メモリ膜220の形状は、例えば、筒状である。複数のメモリセルMCは、半導体ボディ210と、ワード線WLとなる電極膜21との間に記憶領域を有し、Z方向に積層されている。メモリ膜220は、例えば、カバー絶縁膜221、電荷捕獲膜222、および、トンネル絶縁膜223を含む。半導体ボディ210、電荷捕獲膜222、および、トンネル絶縁膜223のそれぞれはZ方向に延伸している。
【0031】
カバー絶縁膜221は、絶縁膜22と電荷捕獲膜222との間に設けられている。カバー絶縁膜221は、電荷捕獲膜222の周囲に設けられている。カバー絶縁膜221は、例えば、シリコン酸化物を含む。カバー絶縁膜221は、犠牲膜(図示せず)を電極膜21にリプレースするとき(リプレース工程)、電荷捕獲膜222がエッチングされないように保護する。カバー絶縁膜221は、リプレース工程において、電極膜21とメモリ膜220との間から除去されてもよい。この場合、
図3および
図4に示すように、電極膜21と電荷捕獲膜222との間には、例えば、ブロック絶縁膜21aが設けられなくなる。また、電極膜21の形成に、リプレース工程を利用しない場合には、カバー絶縁膜221は、なくてもよい。
【0032】
電荷捕獲膜222は、ブロック絶縁膜21aおよびカバー絶縁膜221とトンネル絶縁膜223との間に設けられている。電荷捕獲膜222は、トンネル絶縁膜223の周囲を囲むように筒状に設けられている。電荷捕獲膜222は、例えば、シリコン窒化物を含み、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷捕獲膜222のうち、ワード線WLとなる電極膜21と半導体ボディ210との間に挟まれた部分は、電荷捕獲部としてメモリセルMCの記憶領域を構成する。メモリセルMCの閾値電圧は、電荷捕獲部中の電荷の有無、または、電荷捕獲部中に捕獲された電荷の量によって変化する。これにより、メモリセルMCは、情報を保持する。
【0033】
トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷捕獲膜222との間に設けられている。トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210の周囲を囲むように筒状に設けられている。トンネル絶縁膜223は、例えば、シリコン酸化物、または、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷捕獲膜222との間の電位障壁である。例えば、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ電子を注入するとき(書き込み動作)、および、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ正孔を注入するとき(消去動作)、電子および正孔が、それぞれトンネル絶縁膜223の電位障壁を通過(トンネリング)する。
【0034】
コア層230は、筒状の半導体ボディ210の内部スペースを埋め込む。コア層230の形状は、例えば、柱状である。コア層230は、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。コア層230は、
図4に示すように、複数の絶縁膜231、232によって構成されている。
【0035】
図5Aおよび
図6は、第1実施形態による柱状体、スリットおよびスリット内の配線の構成例を示す断面図である。
図5Bは、
図5Aの柱状体、スリットおよびスリット内の配線の構成例を示す斜視図である。
図5A、
図5Bおよび
図6は、柱状体CLおよびスリットSTのソース層BSL側の下端部を示す。
図5Aおよび
図6の断面は、X-Y平面でスリットSTが延伸する方向(X方向)に対して垂直な断面である。尚、
図5A、
図5Bおよび
図6において、Z方向は、
図1のZ方向が上下逆に示されている。以下、-Z方向を上方として説明を進める。
【0036】
本実施形態では、複数の電極膜21および複数の絶縁膜22を交互に積層して構成された積層体20がソース層BSLの上方(-Z方向)に設けられている。柱状体CLは、積層体20をZ方向に貫通してソース層BSLに達している。
【0037】
ソース層BSLは、第1~第3導電材料P1~P3の積層膜で構成されている。第1~第3導電材料P1~P3には、例えば、ドープドポリシリコン等の導電材料が用いられる。第3導電材料P3は、第1導電材料P1と第2導電材料P2との間に挟まれている。第1~第3導電材料P1~P3は電気的に一体としてソース層BSLを構成している。
【0038】
第3導電材料P3の高さにおいて、柱状体CLのメモリ膜220は除去されており、第3導電材料P3が半導体ボディ210に直接接触している。これにより、半導体ボディ210は、ソース層BSLに電気的に接続される。
【0039】
第3導電材料P3内には、絶縁膜140が、Z方向に対して交差する(例えば、直交する)X-Y面内に延伸するように設けられている。絶縁膜140には、少なくともシリコンおよび酸素を含有する膜(例えば、シリコン酸化膜)が用いられる。また、絶縁膜140が他のシリコン酸化膜のエッチング残渣を含む場合、絶縁膜140は、少なくともシリコン、酸素およびフッ素を含有する膜(例えば、フッ素を含有するシリコン酸化膜)が用いられる。
【0040】
スリットSTは、積層体20をZ方向に貫通してソース層BSLに達している。さらに、スリットSTは、第2および第3導電材料P2、P3を貫通して第1導電材料P1に達している。スリットSTの内壁には、絶縁膜110が設けられている。絶縁膜110には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。Z方向から見た平面視において、スリットSTは、
図5Bに示すように、X方向に延伸している。
【0041】
配線120がスリットST内において絶縁膜110の内側に設けられている。配線120は、絶縁膜110によって電極膜21から電気的に分離され、かつ、ソース層BSLに電気的に接続されている。配線120は、第1導電材料P1に電気的に接続されている。
【0042】
ここで、第3導電材料P3内に設けられた絶縁膜140は、X-Y面内において、スリットSTの内壁から配線120へ向かって突出している。絶縁膜140の先端部は、スリットSTの内壁から突出し、絶縁膜110内にある。ただし、絶縁膜140は、配線120までは達していない。
【0043】
スリットSTの底部は、X方向に対して垂直方向の断面において、略矩形の形状を有する。従って、第3導電材料P3の高さ近傍におけるスリットSTのY方向の幅は、他の部分におけるスリットSTのY方向の幅に比べてW110×2だけ広くなっており、スリットSTの側面は、第3導電材料P3の高さにおいて幅W110だけ段差になっている。さらに、スリットSTの底部の側面は、X方向に対して垂直な断面において、X-Y面に対して略垂直方向(Z方向)に延伸している。好ましくは、スリットSTの底部の側面は、Z方向から±10%以内の傾斜を有する。絶縁膜140は、スリットSTの内側に向かって突出しており、絶縁膜110内に食い込んでいる。
【0044】
X方向に対して垂直方向の断面において、スリットSTの底部における配線120内には、少なくとも2つのボイド130がZ方向に並んで設けられている。2つのボイド130は、第3導電材料P3の高さにおいて、+Z方向と-Z方向のそれぞれに1つずつ設けられている。
【0045】
図6では、スリットSTの底部は、X方向に対して垂直方向の断面において、略円形の形状を有する。
図5のスリットSTと同様に、第3導電材料P3の高さ近傍におけるスリットSTのY方向の幅は、他の部分におけるスリットSTのY方向の幅に比べてW110×2だけ広くなっている。
図6では、スリットSTの側面は、円弧形になっており、絶縁膜140の部分以外において、段差にはなっていない。絶縁膜140は、スリットSTの内側に向かって突出しており、絶縁膜110内に食い込んでいる。ボイド130は、
図5に示すボイド130と同様に設けられている。
【0046】
図5および
図6に示すように、スリットSTの底部は、X方向に対して垂直方向の断面において、略矩形または略円形の形状を有し、第3導電材料P3の高さにおいて絶縁膜140がスリットSTの内側に向かって突出している。よって、スリットSTの底部のY方向の幅は、第3導電材料P3の高さにおいて広がっておらず、絶縁膜140の突出の分だけスリットSTの内側に窪んでいる。よって、絶縁膜110および配線120が、第3導電材料P3の高さにおいてさほど広がっておらず、ボイド130も比較的小さい。よって、本実施形態によれば、配線120(即ち、ソース配線LI)の抵抗の上昇を抑制することができる。
【0047】
なお、スリットSTの底部側面の垂直性や、絶縁膜140の突出量などに依っては、ボイド130が、形成されない場合もある。その場合は、配線120の抵抗上昇に対する抑制効果が、更に高まる。
【0048】
次に、本実施形態による半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
【0049】
図7~
図12は、第1実施形態による半導体記憶装置1の製造方法の一例を示す断面図である。
図7~
図12では、柱状体CLおよびスリットSL(LI)を1つずつ便宜的に並べて示している。
【0050】
まず、図示しない基板の上方に、第1導電材料P1と犠牲層150と第2導電材料P2とを積層して第1積層体BSLaを形成する。第1および第2導電材料P1、P2には、例えば、ドープドポリシリコンが用いられる。犠牲層150には、例えば、シリコン窒化膜が用いられる。
【0051】
第1積層体BSLaの-Z方向に、複数の犠牲膜121と複数の絶縁膜22とをZ方向に交互に積層して第2積層体20aを形成する。絶縁膜22には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。犠牲膜121には、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。
【0052】
次に、第2積層体20a内をZ方向に貫通するメモリホールMHを形成する。メモリホールMHの内壁にカバー絶縁膜221、電荷捕獲膜222およびトンネル絶縁膜223を、この順番に積層する。これにより、メモリ膜220の構造が得られる。カバー絶縁膜221には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。電荷捕獲膜222には、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。トンネル絶縁膜223には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。次に、メモリホールMH内のトンネル絶縁膜223の内壁に半導体ボディ210を形成する。半導体ボディ210には、例えば、ドープドポリシリコン等の半導体材料が用いられる。次に、メモリホールMH内において半導体ボディ210の内側に、コア層230の材料を埋め込む。コア層230には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。これにより、
図7に示す柱状体CLが、第2積層体20aをZ方向に貫通し、第1積層体BSLaの第1導電材料P1に達するように形成される。
【0053】
次に、第2積層体20a上に絶縁膜160を堆積した後、リソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、第2積層体20aをZ方向に貫通するスリットSTを形成する。スリットSTは、第2導電材料P2も貫通して、第1犠牲膜150に達する。スリットSTは、X-Y面内において、X方向に延伸している(
図2参照)。絶縁膜160には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0054】
次に、絶縁膜160上およびスリットSTの内壁上に絶縁膜161を堆積する。絶縁膜161には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。次に、絶縁膜161上にスペーサ膜162を堆積する。スペーサ膜162には、例えば、ポリシリコンが用いられる。これにより、
図7に示す構造が得られる。
【0055】
次に、スリットSTを介して、第1犠牲膜150を等方的にエッチングし除去する。これにより、第1犠牲膜150のあった第1導電材料P1と第2導電材料P2との間に空間151が設けられる。空間151には、柱状体CLの底部の側面が露出される。
【0056】
次に、空間151に露出されたメモリ膜220を除去し、半導体ボディ210を露出させる。これにより、
図8に示す構造が得られる。
【0057】
次に、ALD(Atomic Layer Deposition)法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて、空間151の内壁およびスリットSTの内壁に第3導電材料P3を堆積する。第3導電材料P3には、例えば、ドープドポリシリコン等の導電材料が用いられる。このとき、
図9に示すように、第3導電材料P3は、空間151内に埋め込まれるように堆積されるが、スリットSTを中心として、X-Y面内に延伸する隙間Gが残る。第3導電材料P3は、柱状体CLの半導体ボディ210に直接接触する。
【0058】
次に、空間151内およびスリットST内の第3導電材料P3の表面を酸化して絶縁膜163を形成する。絶縁膜163は、スリットSTの内壁、並びに、第1導電材料P1と第2導電材料P2との間の第3導電材料P3の隙間Gに形成される。絶縁膜163には、例えば、ドープドポリシリコン等の第3導電材料P3の表面を酸化して形成されたシリコンと酸素を含む膜(例えば、シリコン酸化膜)等が用いられる。これにより、
図10に示す構造が得られる。
【0059】
次に、CDE(Chemical Dry Etching)法等を用いて、スリットSTの内壁の絶縁膜163をエッチバックする。このとき、隙間G内には、エッチングガスが届きにくく、隙間G内の絶縁膜163はエッチングされずに残置される。よって、第3導電材料P3の隙間Gに形成された絶縁膜163を残置させつつ、スリットSTの内壁に形成された絶縁膜163を除去する。
【0060】
次に、CDE法等を用いて、スリットSTの内壁の第3導電材料P3およびスペーサ膜162をエッチバックする。隙間Gの内壁の絶縁膜163は残置されているので、絶縁膜163がマスクとなり、隙間G内の第3導電材料P3はエッチングされない。また、隙間GはスリットSTと比べて狭く、エッチングによる副生成物(エッチング残渣)164が残りやすい。従って、隙間Gの絶縁膜163の内側には、副生成物164が充填される場合がある。副生成物164は、例えば、シリコンと酸素とフッ素を含む膜(例えば、フッ素を含有するシリコン酸化膜)等である。絶縁膜163および副生成物164は、絶縁膜140として残る。
【0061】
第3導電材料P3およびスペーサ膜162のエッチバックによって、スリットST内の第3導電材料P3およびスペーサ膜162は除去され、絶縁膜161が露出される。絶縁膜161は、第3導電材料P3およびスペーサ膜162(例えば、ポリシリコン)のエッチングガスに対して耐性のある絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)である。従って、スリットSTの内壁は、絶縁膜161によって保護される。
【0062】
一方、スリットSTの底部において、第3導電材料P3は、絶縁膜161から露出されており、Y方向に或る程度エッチングされる。これにより、
図11に示すように、スリットSTの底部において第3導電材料P3は、Y方向にリセスされ、絶縁膜140が第3導電材料P3からスリットSTの内側に向かって突出する。即ち、第1導電材料P1と第2導電材料P2との間の空間151に第3導電材料P3を残置させつつ、スリットSTの内壁の第3導電材料P3を除去する。これにより、絶縁膜140が第3導電材料P3からスリットSTの内側に向かって突出する。
【0063】
次に、絶縁膜161を除去し、スリットSTを介して第2犠牲膜121およびカバー絶縁膜221を除去する。犠牲膜121が除去された後の空間の内壁に、バリア膜21bおよびブロック絶縁膜21aを薄く成膜し、さらに、この空間内に電極膜21の材料(例えば、タングステン)を埋め込む。これにより、積層体20の犠牲膜121が電極膜21に置換(リプレース)され、
図12に示す構造が得られる。
【0064】
次に、スリットSTの内壁に絶縁膜110を形成する。さらに、スリット内の絶縁膜110の内側にバリアメタル122を形成し、さらに、バリアメタル122の内側に配線120を埋め込む。バリアメタル122には、例えば、チタンまたは窒化チタンが用いられる。配線120には、例えば、タングステン等の導電性金属が用いられる。これにより、
図5または
図6に示す構造が得られる。
【0065】
次に、柱状体CL上に図示しない多層配線層等を形成する。これにより、アレイチップ2が完成する。
【0066】
次に、
図1に示すように、別工程で形成されたCMOSチップ3をアレイチップ2に貼合する。
【0067】
次に、CMP法を用いて、ソース層BSLを露出させる。ソース層BSL上に金属層40およびボンディングパッド50を形成する。これにより、本実施形態による半導体記憶装置1が完成する。
【0068】
本実施形態によれば、スリットSTの内壁の第3導電材料P3およびスペーサ膜162をエッチバックする際に、スリットSTの底部にある第3導電材料P3の隙間Gには、絶縁膜140が設けられている。よって、エッチングガスが隙間G内に進入せず、第3導電材料P3は隙間Gからエッチングされない。これにより、スリットSTの底部のY方向の幅は、第3導電材料P3の高さにおいて広がっておらず、絶縁膜140の突出の分だけスリットSTの内側に窪んでいる。これにより、隙間Gが第3導電材料P3において広がらず、絶縁膜110は、ほとんど隙間G内に形成されない。ボイド130も比較的小さくなる。よって、本実施形態によれば、配線120(即ち、ソース配線LI)の抵抗の上昇を抑制することができる。
【0069】
一方、
図13は、比較例による柱状体CLおよびスリットSL(LI)の断面図である。もし、絶縁膜140が第3導電材料P3内の隙間Gに設けられていない場合、スリットST内の第3導電材料P3およびスペーサ膜162のエッチング工程において、エッチングガスが隙間G内に進入し、第3導電材料P3は隙間Gからエッチングされてしまう。これにより、
図13に示すように、スリットSTの底部における絶縁膜110のY方向の幅W110は、第3導電材料P3の高さにおいて広がる。隙間Gが第3導電材料P3において広がり、絶縁膜110がその隙間G内に埋め込まれる。ボイド130も比較的大きくなる。よって、配線120(即ち、ソース配線LI)の抵抗が上昇してしまう。さらに絶縁膜110の幅W110が広がり、柱状体CLに接触すると、半導体ボディ210とソース層BSLとの接触抵抗も上昇し、メモリセルMCの特性に悪影響を与える。
【0070】
これに対し、本実施形態によれば、スリットSTの底部にある第3導電材料P3の隙間Gには、絶縁膜140が設けられている。これにより、隙間Gが第3導電材料P3において広がらず、ボイド130も比較的小さくなる。よって、配線120の抵抗の上昇を抑制することができる。メモリセルMCの特性にもほとんど影響を与えない。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 半導体記憶装置
2 アレイチップ
3 CMOSチップ
20 積層体
CL 柱状体
ST(LI) スリット
BSL ソース層
40 金属層
29 コンタクト
50 ボンディングパッド
21 電極膜
22 絶縁膜
P1~P3 第1~第3導電材料
110 絶縁膜
120 配線
130 ボイド
140 絶縁膜
150 犠牲層
210 半導体ボディ
220 メモリ膜