(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135354
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3205 20060101AFI20240927BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/88 A
H01L21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045987
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】下岡 義明
【テーマコード(参考)】
5F033
5F047
【Fターム(参考)】
5F033GG01
5F033GG02
5F033KK07
5F033KK08
5F033KK11
5F033KK13
5F033KK14
5F033KK18
5F033MM05
5F033MM21
5F033PP06
5F033PP15
5F033PP27
5F033QQ08
5F033QQ13
5F033QQ19
5F033QQ41
5F033VV07
5F033VV13
5F033XX35
5F047BA14
5F047BA15
5F047BA16
5F047BA19
(57)【要約】
【課題】複数の金属部の高さのバラツキを抑制した半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、半導体基板と、アレイ部と、を備える。前記アレイ部は、前記半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有する。前記アレイ部の前記半導体基板上における輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形を設定した際に、前記アレイ部の前記輪郭形状は、前記仮想的な四角形の4つの頂点のそれぞれと重ならない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有するアレイ部と、
を備え、
前記アレイ部の前記半導体基板上における輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形を設定した際に、前記アレイ部の前記輪郭形状は、前記仮想的な四角形の4つの頂点のそれぞれと重ならない半導体デバイス。
【請求項2】
前記アレイ部の前記輪郭形状は、90°より大きい内角を有する多角形状である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記アレイ部の前記輪郭形状は、角を丸めた多角形状である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記アレイ部の前記輪郭形状は、円形状である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記アレイ部の前記輪郭形状は、楕円形状である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記仮想的な四角形の頂点から前記アレイ部までの最短の距離は、前記仮想的な四角形の対角線の長さの1.5%以上である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記仮想的な四角形の頂点から前記アレイ部までの最短の距離は、前記仮想的な四角形の対角線の長さの17%以下である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記仮想的な四角形の頂点から前記アレイ部までの最長の距離は、前記仮想的な四角形の対角線の長さの17%以下である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記複数の金属部の高さは、5μm以上40μm以下である請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記複数の金属部は、第1導電部と、前記半導体基板と前記第1導電部との間に設けられた第2導電部と、を有する請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記第1導電部の高さ方向の長さは、前記第2導電部の高さ方向の長さよりも長い請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記第1導電部は、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、及び金の少なくともいずれかを含む請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記第2導電部は、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、白金、チタニウム、パラジウム、及び金の少なくともいずれかを含む請求項10記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記半導体基板の上に設けられた絶縁層をさらに備え、
前記複数の金属部は、前記絶縁層の上に設けられる請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項15】
前記複数の金属部は、前記半導体基板の表面と平行な第1方向、及び前記半導体基板の表面と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項16】
前記複数の金属部は、形状の異なる複数種類の金属部を含む請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項17】
半導体基板と、前記半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有するアレイ部と、を備え、前記アレイ部の前記半導体基板上における輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形を設定した際に、前記アレイ部の前記輪郭形状は、前記仮想的な四角形の4つの頂点のそれぞれと重ならない半導体デバイスの製造方法であって、
半導体基板の上にレジストを設ける工程と、
前記複数の金属部に応じた形状のパターンを前記レジストに形成する工程と、
パターニングされた前記レジストの開口部内に金属層を形成することにより、前記半導体基板の上に複数の第1導電部を形成する工程と、
前記レジストを除去し、前記複数の第1導電部によって前記複数の金属部を形成する工程と、
を有する半導体デバイスの製造方法。
【請求項18】
前記半導体基板の上に前記レジストを設ける前記工程は、前記半導体基板の上に電極用金属層を形成する工程と、前記電極用金属層の上に前記レジストを設ける工程と、を有し、
前記複数の第1導電部を形成する前記工程は、前記電極用金属層を電極として用いた電気めっき法によって前記複数の第1導電部を形成する工程を有し、
前記複数の金属部を形成する前記工程は、前記レジストを除去した後、前記複数の第1導電部をマスクとして前記電極用金属層をパターニングし、前記複数の第1導電部と前記半導体基板との間に複数の第2導電部を形成することにより、前記複数の第1導電部と前記複数の第2導電部とによって前記複数の金属部を形成する工程を有する請求項17記載の半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板と、半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有するアレイ部と、を備えた半導体デバイスがある。こうした半導体デバイスにおいて、複数の金属部の高さのバラツキを抑制することが望まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Madhav Datta1, “Manufacturing processes for fabrication of flip-chip micro-bumps used in microelectronic packaging: An overview”, 2020, Journal of Micromanufacturing
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、複数の金属部の高さのバラツキを抑制した半導体デバイス及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体基板と、アレイ部と、を備える。前記アレイ部は、前記半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有する。前記アレイ部の前記半導体基板上における輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形を設定した際に、前記アレイ部の前記輪郭形状は、前記仮想的な四角形の4つの頂点のそれぞれと重ならない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体デバイスを模式的に表す平面図及び断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る半導体デバイスの一部を拡大して模式的に表す平面図である。
【
図3】
図3(a)~
図3(f)は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの製造工程の一例を模式的に表す断面図である。
【
図4】参考の半導体デバイスを模式的に表す平面図である。
【
図5】参考の半導体デバイスの一部を拡大して模式的に表す平面図である。
【
図6】参考の半導体デバイスの特性の一例を模式的に表すグラフである。
【
図7】第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図9】第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図10】第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図11】第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図12】第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図13】第2の実施形態に係る半導体デバイスを模式的に表す平面図である。
【
図14】第2の実施形態に係る半導体デバイスの一部を拡大して模式的に表す平面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【
図16】第2の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1の実施形態に係る半導体デバイスを模式的に表す平面図及び断面図である。
図1(b)は、
図1(a)のA1-A2線断面を模式的に表す。
図2は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの一部を拡大して模式的に表す平面図である。
図2は、
図1(a)の囲み部Saの部分を拡大して図示している。
【0009】
図1(a)、
図1(b)、及び
図2に表したように、半導体デバイス10は、半導体基板12と、アレイ部14と、を備える。半導体基板12は、例えば、シリコンを含む。半導体基板12は、換言すれば、シリコン基板である。但し、半導体基板12は、これに限ることなく、例えば、シリコンカーバイドや窒化ガリウムなどの他の半導体材料を含む基板でもよい。
【0010】
アレイ部14は、半導体基板12の上に設けられる。アレイ部14は、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部16を有する。複数の金属部16は、半導体基板12の上に所定のパターンで並べて配置される。複数の金属部16は、換言すれば、半導体基板12の上にパターニングされた複数の金属パターンである。アレイ部14は、換言すれば、金属パターンアレイ部である。
【0011】
なお、
図1(a)では、複数の金属部16の図示を便宜的に省略している。また、
図1(b)では、図示を容易にするため、複数の金属部16の縮尺を拡大して模式的に図示している。アレイ部14は、例えば、
図2に表したように、パターニングされた多数の金属部16を有する。また、
図1(b)、及び
図2では、便宜的に、一部の金属部16のみに符号を付している。
図1(b)、及び
図2において、符号を付した金属部16と同じ形状のものは、全て金属部16である。
【0012】
図1(b)に表したように、複数の金属部16は、第1導電部16aと、第2導電部16bと、を有する。第2導電部16bは、半導体基板12と第1導電部16aとの間に設けられる。第1導電部16aは、例えば、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、及び金の少なくともいずれかを含む。第2導電部16bは、例えば、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、白金、チタニウム、パラジウム、及び金の少なくともいずれかを含む。
【0013】
第1導電部16aは、例えば、電気めっき法によって形成される。第2導電部16bは、例えば、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法などによって形成される。第2導電部16bは、例えば、電気めっき法によって第1導電部16aを形成する際に、電極として用いられる金属層(シード層)の一部である。
【0014】
但し、第2導電部16bの材料は、第1導電部16aの材料と同じでもよい。第1導電部16a及び第2導電部16bは、例えば、ともに金を含んでもよい。この場合、第2導電部16bは、第1導電部16aと一体となり、第1導電部16aと第2導電部16bとの境界が分からない可能性がある。従って、複数の金属部16は、必ずしも第2導電部16bを有しなくてもよい。複数の金属部16は、単一の金属からなる部材でもよい。
【0015】
複数の金属部16の高さHTは、例えば、10nm以上40μm以下である。金属部16の高さHTは、換言すれば、金属部16の半導体基板12側の端部から金属部16の半導体基板12と反対側の端部までの長さである。複数の金属部16の高さHTは、より好適には、例えば、5μm以上40μm以下である。また、第1導電部16aの高さ方向の長さ(厚さ)は、第2導電部16bの高さ方向の長さ(厚さ)よりも長い。
【0016】
スパッタリング法やCVD法などによって金属部16を形成した場合、金属部16の高さHTは、例えば、数十nm~1μm程度である。一方、電気めっき法を用いた場合には、金属部16の高さHTを、例えば、数μm~数十μm程度とすることができるため、電気めっき法によって、金属部16の高さHTが、5μm以上40μm以下となるように、高性能で高品質な金属部16(第1導電部16a)を形成することができる。換言すれば、金属部16は、第2導電部16bを有する場合、又は5μm以上40μm以下の高さHTを有する場合に、電気めっき法で形成されたと考えることができる。
【0017】
図2に表したように、複数の金属部16は、例えば、半導体基板12の上にマトリックス状に並べて設けられる。より具体的には、複数の金属部16は、半導体基板12の表面と平行な第1方向、及び半導体基板12の表面と平行かつ第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる。第1方向は、例えば、
図2の紙面の左右方向である。第2方向は、例えば、
図2の紙面の上下方向である。
【0018】
半導体基板12の表面と直交する方向から見た複数の金属部16の形状は、例えば、矩形状である。換言すれば、上方から見た複数の金属部16の形状は、例えば、矩形状である。複数の金属部16は、例えば、四角柱状である。
【0019】
但し、複数の金属部16の配列及び複数の金属部16の形状は、上記に限定されるものではない。複数の金属部16の配列は、任意の配列でよい。複数の金属部16の形状は、任意の形状でよい。上方から見た複数の金属部16の形状は、例えば、他の多角形状、円形状、あるいは楕円形状などでもよい。
【0020】
半導体デバイス10は、例えば、複数の受光素子を半導体基板12上に配列したイメージセンサ、複数の回路を半導体基板12上に配列したメモリ、複数のLED(Light-Emitting Diode)を半導体基板12上に配列したLEDアレイ、複数の信号を別の機器などと送受するRF-MEMS(Radio Frequency - Micro Electro Mechanical System)デバイス、複数の信号を別の機器などと送受する高性能ロジックデバイスなどに適用される。複数の金属部16は、例えば、別の基板などとの電気的な接続に用いられる金属電極である。複数の金属部16は、例えば、バンプ(突起電極)などと呼ばれる場合もある。
【0021】
また、半導体デバイス10は、例えば、電子線の進行方向を変化させる電子レンズや偏向器などの電子線制御装置に適用してもよい。電子線制御装置は、例えば、電子線を用いて表面観察を行う電子顕微鏡、電子線を用いてマスクやウェハに微細パターンを描画する電子線描画装置、あるいは物体の表面を電子線で走査して欠陥を検出する検査装置などに用いられる。複数の金属部16は、例えば、電子線の進行方向を変化させるための電極として用いてもよい。
【0022】
半導体デバイス10は、上記に限ることなく、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部16を必要とする任意の機器に適用可能である。複数の金属部16の配列、形状、及び数は、半導体デバイス10の用途などに応じて適宜設定すればよい。
【0023】
半導体基板12は、例えば、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)回路などの回路をさらに有する。回路は、例えば、複数の金属部16による信号の入出力や複数の金属部16の電位の設定などを行う。半導体基板12に設けられる回路は、半導体デバイス10の用途などに応じて適宜設定すればよい。但し、半導体基板12は、必ずしも回路を有しなくてもよい。半導体基板12は、例えば、複数の金属部16との電気的な接続を得るための配線パターンのみを有してもよい。
【0024】
図1(a)及び
図2に表したように、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESは、90°より大きい内角を有する多角形状である。この例において、輪郭形状ESは、八角形状である。より具体的には、輪郭形状ESは、四角形の四隅の角を取って斜めにした形状である。
【0025】
輪郭形状ESは、換言すれば、半導体基板12の表面と直交する方向から見たアレイ部14の輪郭の形状である。さらに換言すれば、輪郭形状ESは、半導体基板12の表面に投影したアレイ部14の輪郭の形状である。
【0026】
輪郭形状ESは、例えば、半導体基板12の表面と直交する方向から見た状態、もしくは、半導体基板12の表面のレイアウトパターンにおいて、複数の金属部16のうちの最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分を直線近似(多角形近似)することによって求めることができる。輪郭形状ESは、換言すれば、最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分を直線近似した形状である。
【0027】
例えば、
図2に表したように、アレイ部14の実際の輪郭は、階段状に変化する部分や波状に変化する部分などを有してもよい。複数の金属部16の配列は、例えば、製造誤差などにともなう微細なズレなどを有してもよい。輪郭形状ESは、アレイ部14の厳密な輪郭に限ることなく、アレイ部14の概ねの輪郭でよい。最外周に位置する所定数の金属部16は、例えば、輪郭形状ESよりも外側に突出する部分などを一部に有してもよい。輪郭形状ESは、例えば、アレイ部14(複数の金属部16)に外接する最適形状の多角形としてもよい。
【0028】
また、
図1(a)及び
図2に表したように、アレイ部14の輪郭形状ESに対して仮想的な四角形VSを設定する。仮想的な四角形VSは、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESに外接する最小の面積の四角形である。仮想的な四角形VSは、換言すれば、半導体基板12の表面と直交する方向に見た状態において、アレイ部14の輪郭形状ESに外接する最小の面積の四角形である。なお、
図1(a)及び
図2では、図示を容易にするため、仮想的な四角形VSをアレイ部14よりも少し大き目に図示している。
【0029】
このように、アレイ部14の輪郭形状ESに対して仮想的な四角形VSを設定した際に、アレイ部14の輪郭形状ESは、仮想的な四角形VSの4つの頂点のそれぞれと重ならない。
【0030】
仮想的な四角形VSの一辺の長さは、例えば、15mm以上である。換言すれば、アレイ部14の幅(半導体基板12と平行な方向の長さ)は、例えば、15mm以上である。また、仮想的な四角形VSの一辺の長さは、例えば、30mm以下である。但し、アレイ部14の大きさは、上記に限ることなく、任意の大きさでよい。
【0031】
仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14(複数の金属部16)までの最短の距離D1は、例えば、仮想的な四角形VSの対角線の長さの1.5%以上である。最短の距離D1は、換言すれば、頂点VScから最近接の金属部16までの距離である。仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1は、例えば、0.35mm以上である。また、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1は、例えば、仮想的な四角形VSの対角線の長さの17%以下である。仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1は、例えば、4mm以下である。
【0032】
また、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最長の距離D2は、例えば、仮想的な四角形VSの対角線の長さの17%以下である。最長の距離D2は、換言すれば、頂点VScから他の金属部16を横切ることなく頂点VScと直線で結ぶことが可能な最も遠い位置にある金属部16までの距離である。仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最長の距離D2は、例えば、4mm以下である。但し、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最長の距離D2は、例えば、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1以上の任意の距離でよい。
【0033】
図3(a)~
図3(f)は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの製造工程の一例を模式的に表す断面図である。
図3(a)に表したように、半導体デバイス10の製造においては、まず、半導体基板12の上に、絶縁層20を形成する。例えば、半導体基板12がシリコン基板である場合、絶縁層20は、酸化シリコンや窒化シリコンなどを含む。絶縁層20は、例えば、CVD法などによって形成される。絶縁層20の厚さは、例えば、数十nm~数μm程度である。この際、半導体基板12には、図示を省略したCMOS回路などが設けられていてもよい。
【0034】
図3(b)に表したように、絶縁層20の上に、金属層22を形成する。金属層22は、電気めっき法による成膜を行う際に電極として用いられ、後に第2導電部16bとなる金属層である。金属層22は、例えば、スパッタリング法やCVD法などによって形成される。金属層22は、第2導電部16bと同様に、例えば、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、白金、チタニウム、パラジウム、及び金の少なくともいずれかを含む。
【0035】
図3(c)に表したように、金属層22の上にレジスト24を設ける。この際、レジスト24の厚さは、所望する金属部16の高さよりも厚くしておく。レジスト24を設けた後、リソグラフィ法によってレジスト24をパターニングすることにより、複数の金属部16に応じた形状のパターンをレジスト24に形成する。
【0036】
図3(d)に表したように、パターニングされたレジスト24の開口部内に金属層を形成することにより、金属層22の上に複数の第1導電部16aを形成する。複数の第1導電部16aは、例えば、金属層22を電極として用いた電気めっき法によって形成される。複数の第1導電部16aの高さ(電気めっき法による金属層の厚さ)は、例えば、数十nm~数十μm程度である。
【0037】
図3(e)に表したように、複数の第1導電部16aを形成した後、アッシング法や、薬液を用いたウェット法などにより、レジスト24を除去する。
【0038】
図3(f)に表したように、複数の第1導電部16aをマスクとして金属層22をパターニングすることにより、複数の第1導電部16aと半導体基板12との間に複数の第2導電部16bを形成する。金属層22のパターニングには、例えば、薬液を用いたウェットエッチング法や、RIE(Reactive Ion Etching)法などが用いられる。
【0039】
これにより、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部16を有するアレイ部14が、半導体基板12の上に設けられ、半導体デバイス10が製造される。
【0040】
なお、
図1(b)では、図示を省略しているが、半導体デバイス10は、
図3(f)に表したように、半導体基板12の上に設けられた絶縁層20をさらに有してもよい。この場合、複数の金属部16(アレイ部14)は、例えば、絶縁層20の上に設けられる。絶縁層20は、例えば、金属層22と同様にパターニングしてもよい。半導体デバイス10は、例えば、複数の金属部16(第2導電部16b)と半導体基板12との間に設けられた複数の絶縁部を有してもよい。絶縁層20は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0041】
このように、半導体デバイス10の製造方法は、半導体基板12の上にレジスト24を設ける工程と、複数の金属部16に応じた形状のパターンをレジスト24に形成する工程と、パターニングされたレジスト24の開口部内に金属層を形成することにより、半導体基板12の上に複数の第1導電部16aを形成する工程と、レジスト24を除去し、複数の第1導電部16aによって複数の金属部16を形成する工程と、を有する。
【0042】
また、半導体基板12の上にレジスト24を設ける工程は、半導体基板12の上に金属層22(電極用金属層)を形成する工程と、金属層22の上にレジスト24を設ける工程と、を有する。
【0043】
複数の第1導電部16aを形成する工程は、金属層22を電極として用いた電気めっき法によって複数の第1導電部16aを形成する工程を有する。
【0044】
複数の金属部16を形成する工程は、レジスト24を除去した後、複数の第1導電部16aをマスクとして金属層22をパターニングし、複数の第1導電部16aと半導体基板12との間に複数の第2導電部16bを形成することにより、複数の第1導電部16aと複数の第2導電部16bとによって複数の金属部16を形成する工程を有する。
【0045】
なお、複数の第1導電部16aの形成方法は、電気めっき法に限定されるものではない。複数の第1導電部16aは、スパッタ法などの他の形成方法によって形成してもよい。この場合には、電極用の金属層22を形成する工程を省略することができる。また、この場合には、複数の第2導電部16bを形成する工程も省略することができる。複数の金属部16は、例えば、レジスト24の開口部内に設けられた複数の第1導電部16aのみで形成してもよい。
【0046】
図4は、参考の半導体デバイスを模式的に表す平面図である。
図5は、参考の半導体デバイスの一部を拡大して模式的に表す平面図である。
図5は、
図4の囲み部Sbの部分を拡大して図示している。
図4及び
図5に表したように、参考の半導体デバイス30は、半導体基板32と、半導体基板32上に並べて設けられた複数の金属部36を有するアレイ部34と、を備える。参考の半導体デバイス30では、アレイ部34の半導体基板32上における輪郭形状ESrが、四角形状である。半導体デバイス30では、輪郭形状ESrの内角が、90°である。この場合、アレイ部34の輪郭形状ESrに対して仮想的な四角形VSを設定した際に、アレイ部34の輪郭形状ESrは、仮想的な四角形VSの4つの頂点のそれぞれと重なる。なお、半導体デバイス30の構成は、アレイ部34の輪郭形状ESrを除いて、半導体デバイス10の構成と同様であるから、詳細な説明は省略する。
【0047】
図6は、参考の半導体デバイスの特性の一例を模式的に表すグラフである。
図6の横軸は、四角形状の輪郭形状ESrの角部からの距離を表す。
図6の縦軸は、金属部36の高さを表す。
図6は、
図5に表したように、四角形状の輪郭形状ESrの角部に位置する金属部36から対角に位置する金属部36に向かって、対角線上に位置する各金属部36の高さを測定した測定結果の一例を模式的に表している。
【0048】
図6において、測定点P1は、アレイ部34の角部から0.12mmの位置にある金属部36の測定結果である。測定点P1の金属部36の高さは、25.1μmである。測定点P2は、アレイ部34の角部から0.21mmの位置にある金属部36の測定結果である。測定点P2の金属部36の高さは、24.9μmである。測定点P3は、アレイ部34の角部から0.35mmの位置にある金属部36の測定結果である。測定点P3の金属部36の高さは、22.8μmである。測定点P4は、アレイ部34の角部から1mmの位置にある金属部36の測定結果である。測定点P4の金属部36の高さは、21.8μmである。測定点P5は、アレイ部34の角部から4mmの位置にある金属部36の測定結果である。測定点P5の金属部36の高さは、20.7μmである。
【0049】
このように、アレイ部34の角部側に位置する金属部36の高さは、アレイ部34の中央側に位置する金属部36の高さよりも高くなっている。例えば、測定点P1及び測定点P2の金属部36の高さは、測定点P5の金属部36の高さと比べて、10%以上高くなっている。
【0050】
図5では、複数の金属部36の高さの分布を色の濃淡で表している。
図5の各金属部36においては、色が濃いほど金属部36の高さが高いことを表している。
図5及び
図6に表したように、各金属部36の高さは、アレイ部34の外周側において、アレイ部34の中央側よりも高くなる傾向にある。そして、各金属部36の高さは、アレイ部34の角部において、他の部分(例えば辺の中央側の部分)よりも高くなる傾向にある。
【0051】
この傾向は、上記のように電気めっき法によって各金属部36を形成する際に、アレイ部34の角部に電界が集中し易いためであると考えられる。こうした複数の金属部36の高さのバラツキは、半導体デバイス30の不良の要因となってしまう可能性がある。また、電気めっき法以外の製造方法においても、アレイ部の中央部と角部で、同一条件での成膜ができず、高さのばらつきが生じる可能性がある。
【0052】
例えば、高さの高い外周側の金属部36に合わせて製造を行うと、高さの低い中央側の金属部36において所望の性能が得られなくなってしまう可能性がある。反対に、高さの低い中央側の金属部36に合わせて製造を行うと、外周側の金属部36が高くなり過ぎ、変形などを起こし易くなってしまうことが懸念される。また、例えば、レジスト24の膜厚よりも高く金属部36が形成され、レジスト24を乗り越えて、隣接する金属部36と接触してしまうことなども懸念される。
【0053】
これに対し、本実施形態に係る半導体デバイス10では、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESが、90°より大きい内角を有する多角形状である。半導体デバイス10では、アレイ部14の輪郭形状ESを、四角形状の参考の輪郭形状ESrの角を取った形状としている。アレイ部14の輪郭形状ESに対して仮想的な四角形VSを設定した際に、アレイ部14の輪郭形状ESは、仮想的な四角形VSの4つの頂点のそれぞれと重ならない。
【0054】
これにより、半導体デバイス10では、電気めっき法によって各金属部16(第1導電部16a)を形成する際の電界の集中を抑制し、各金属部16の高さにバラツキが生じることを抑制することができる。半導体デバイス10では、例えば、各金属部16の高さのバラツキを10%以下に抑制することができる。半導体デバイス10では、複数の金属部16の高さのバラツキに起因する不良の発生を抑制することができる。
【0055】
図6に表したように、測定点P3よりもアレイ部34の角部に近い位置では、金属部36の高さが高くなる。測定点P3よりもアレイ部34の角部に近い位置では、金属部36の高さが、アレイ部34の中央側と比べて10%以上高くなる。参考の半導体デバイス30の四角形状の輪郭形状ESrの一辺の長さは、例えば、17mmである。この場合、輪郭形状ESrの対角線の長さは、約23.8mmである。上記のように、測定点P3は、アレイ部34の角部から0.35mmの位置にある金属部36の測定結果である。アレイ部34の角部から測定点P3の金属部36までの距離は、輪郭形状ESrの対角線の長さの約1.5%の長さに相当する距離である。従って、アレイ部34の角部から0.35mm以上離れた位置においては、アレイ部34の角部に対する電界集中の影響が小さいと考えることができる。
【0056】
また、
図6に表したように、測定点P4と測定点P5との間の金属部36の高さの変化は、測定点P3と測定点P4との間の金属部36の高さの変化よりも小さい。そして、測定点P5よりもアレイ部34の中央側においては、金属部36の高さの変化が、より小さい。上記のように、測定点P5は、アレイ部34の角部から4mmの位置にある金属部36の測定結果である。アレイ部34の角部から測定点P5の金属部36までの距離は、輪郭形状ESrの対角線の長さの約17%の長さに相当する距離である。従って、アレイ部34の角部から4mm以上離れた位置においては、アレイ部34の角部に対する電界集中の影響が十分に抑えられていると考えることができる。
【0057】
本実施形態に係る半導体デバイス10では、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1が、仮想的な四角形VSの対角線の長さの1.5%以上である。換言すれば、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1が、0.35mm以上である。これにより、半導体デバイス10では、電気めっき法によって各金属部16を形成する際の電解の集中をより適切に抑制し、各金属部16の高さにバラツキが生じることをより適切に抑制することができる。半導体デバイス10では、例えば、各金属部16の高さのバラツキをより10%以下に抑制し易くすることができる。
【0058】
本実施形態に係る半導体デバイス10では、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1が、仮想的な四角形VSの対角線の長さの17%以下である。換言すれば、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1が、4mm以下である。これにより、例えば、アレイ部14の形状が、角部を過度に取った形状となってしまうことを抑制することができる。例えば、アレイ部14の面積が過度に減少し、複数の金属部16の数が減少してしまうことなどを抑制することができる。例えば、半導体デバイス10をロジックデバイスなどに適用する際に、複数の金属部16の数が減少し、半導体デバイス10において入出力可能な信号の数が減少してしまうことを抑制することができる。例えば、半導体基板12の面積に対するアレイ部14の面積の比率が減少し、スペース効率が悪くなってしまうことなどを抑制することができる。このように、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1は、例えば、仮想的な四角形VSの対角線の長さの1.5%以上17%以下とすることが好適である。
【0059】
さらに、本実施形態に係る半導体デバイス10では、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最長の距離D2が、仮想的な四角形VSの対角線の長さの17%以下である。換言すれば、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最長の距離D2が、4mm以下である。これにより、例えば、アレイ部14の面積が過度に減少し、複数の金属部16の数が減少してしまうことなどをより抑制することができる。
【0060】
このように、本実施形態では、複数の金属部16の高さのバラツキを抑制した半導体デバイス10及びその製造方法を提供することができる。
【0061】
図7は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に表したように、半導体デバイス10aでは、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESaが、十六角形状である。輪郭形状ESaは、上記実施形態の八角形状の輪郭形状ESの角をさらに取った形状である。輪郭形状ESaは、上記実施形態の八角形状の輪郭形状ESよりもさらに内角を大きくした形状である。
【0062】
これにより、半導体デバイス10aでは、例えば、半導体デバイス10と比べて、電気めっき法によって各金属部16を形成する際の電解の集中をより抑制し、複数の金属部16の高さのバラツキをより抑制することができる。但し、アレイ部14の輪郭形状は、上記に限定されるものではない。アレイ部14の輪郭形状は、90°より大きい内角を有する任意の多角形状でよい。
【0063】
図8は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
図8に表したように、この例では、アレイ部14が、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部40を有するとともに、金属部42をさらに有する。金属部42は、複数の金属部40のそれぞれを囲う格子状である。
【0064】
例えば、半導体デバイス10が、RF-MEMSデバイスや高性能ロジックデバイスなどに適用される場合に、複数の金属部40は、信号の送受用の電極として用いられ、金属部42は、共通電位(例えばグランド電位)の設定用に用いられる。これにより、例えば、複数の金属部40に流れる信号に対する電磁干渉の影響を抑制することができる。例えば、電磁干渉に対する耐性の高い半導体デバイス10を提供することができる。また、例えば、半導体デバイス10が、電子線の進行方向を変化させる電子レンズや偏向器などの電子線制御装置に適用される場合には、複数の金属部40が、電子線の進行方向を変化させるための電位を設定する電極として用いられ、金属部42が、共通電位を設定する電極として用いられる。これにより、例えば、各金属部40に偏向用の電位を設定可能としつつ、複数の金属部に共通電位を設定する場合などと比べて、金属部42に対する共通電位の設定を容易にすることができる。
【0065】
この例では、例えば、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESが、金属部42の輪郭によって決定される。輪郭形状ESは、例えば、半導体基板12の表面と直交する方向から見た状態、もしくは、半導体基板12の表面のレイアウトパターンにおいて、複数の金属部40及び金属部42のうちの最外周に位置する1つの金属部42の外縁を結ぶ線分を直線近似(多角形近似)することによって求められる。このように、アレイ部14の輪郭形状ESは、複数の金属部16によって決定される構成に限ることなく、複数の金属部40、42のうちの1つの金属部42によって決定される構成としてもよい。
【0066】
図9は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
図9に表したように、この例では、アレイ部14が、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部44と、複数の金属部46と、を有する。
【0067】
複数の金属部44は、半導体基板12の表面と平行な第1方向に延び、半導体基板12の表面と平行かつ第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる。第1方向は、例えば、
図9の紙面の左右方向であり、第2方向は、例えば、
図9の紙面の上下方向である。
【0068】
また、複数の金属部44は、第1方向に延びる第1部分44aと、第1部分44aから第2方向に延びるとともに第1方向に並べて設けられた複数の第2部分44bと、を有する。複数の第2部分44bは、隣接する金属部44の第1部分44aから離れて設けられる。複数の金属部44は、所定の間隔を空けて第2方向に並べて設けられる。
【0069】
複数の金属部46は、複数の金属部44のそれぞれの複数の第2部分44bの間に配置されるように、第1方向及び第2方向に並べて設けられる。
【0070】
複数の金属部44、46のパターンは、換言すれば、
図8に表した金属部42の一部に隙間を設けたパターンである。このように、アレイ部14の金属パターンは、金属部46の全周を囲むことなく、一部に隙間を設けるようにして金属部46の周囲を囲むパターンとしてもよい。例えば、半導体デバイス10が、電子線の進行方向を変化させる電子レンズや偏向器などの電子線制御装置に適用される場合には、複数の金属部46が、電子線の進行方向を変化させるための電位を設定する電極として用いられ、複数の金属部44が、共通電位を設定する電極として用いられる。これにより、例えば、各金属部46に偏向用の電位を設定可能としつつ、各金属部44に対する共通電位の設定を容易にすることができる。
【0071】
図10は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
図10に表したように、この例では、アレイ部14が、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部48と、複数の金属部50と、を有する。
【0072】
複数の金属部48は、半導体基板12の表面と平行な第1方向に一列状に並べて設けられるとともに、半導体基板12の表面と平行かつ第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる。
【0073】
複数の金属部50は、第1方向に一列状に並べて設けられるとともに、複数の金属部48のそれぞれの列の間に配置されるように、第2方向に並べて設けられる。
【0074】
複数の金属部48の形状は、複数の金属部50の形状と異なる。例えば、複数の金属部48の第2方向の長さは、複数の金属部50の第2方向の長さよりも長い。このように、アレイ部14の金属パターンは、形状の異なる複数種類の金属部48、50によって構成されるパターンとしてもよい。換言すれば、複数の金属部は、形状の異なる複数種類の金属部を含んでもよい。例えば、半導体デバイス10が、電子線の進行方向を変化させる電子レンズや偏向器などの電子線制御装置に適用される場合には、複数の金属部50が、電子線の進行方向を変化させるための電位を設定する電極として用いられ、複数の金属部48が、共通電位を設定する電極として用いられる。
【0075】
図11は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
図11に表したように、この例では、アレイ部14が、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部52と、複数の金属部54と、複数の金属部56と、を有する。
【0076】
複数の金属部52は、半導体基板12の表面と平行な第1方向に延び、半導体基板12の表面と平行かつ第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる。
【0077】
複数の金属部54は、複数の金属部52のそれぞれの間に配置されるように、第1方向及び第2方向に並べて設けられる。
【0078】
複数の金属部56は、複数の金属部52のそれぞれの間、及び複数の金属部54のそれぞれの間に配置されるように、第1方向及び第2方向に並べて設けられる。複数の金属部54及び複数の金属部56は、例えば、第1方向に交互に並ぶ。複数の金属部56の形状は、複数の金属部54の形状と異なる。例えば、複数の金属部56の第1方向の長さは、複数の金属部54の第1方向の長さよりも長い。
【0079】
複数の金属部52、54、56のパターンは、換言すれば、
図9に表した複数の金属部44の第1部分44aと複数の第2部分44bとのそれぞれの間に隙間を設けたパターンである。このように、アレイ部14の金属パターンは、形状の異なる3種類以上の金属部52、54、56によって構成されるパターンとしてもよい。換言すれば、複数の金属部は、形状の異なる3種類以上の金属部を含んでもよい。例えば、半導体デバイス10が、電子線の進行方向を変化させる電子レンズや偏向器などの電子線制御装置に適用される場合には、複数の金属部56が、電子線の進行方向を変化させるための電位を設定する電極として用いられ、複数の金属部52及び複数の金属部54が、共通電位を設定する電極として用いられる。
【0080】
図12は、第1の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
図12に表したように、この例では、アレイ部14が、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部58と、複数の金属部60と、複数の金属部62と、を有する。
【0081】
複数の金属部58は、半導体基板12の表面と平行な第1方向、及び半導体基板12の表面と平行かつ第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる。
【0082】
複数の金属部60は、複数の金属部58のそれぞれの間に配置されるように、第1方向及び第2方向に並べて設けられる。
【0083】
複数の金属部62は、複数の金属部58のそれぞれの間、及び複数の金属部60のそれぞれの間に配置されるように、第1方向及び第2方向に並べて設けられる。複数の金属部60及び複数の金属部62は、例えば、第1方向に交互に並ぶ。複数の金属部62の形状は、複数の金属部60の形状と異なる。例えば、複数の金属部62の第1方向の長さは、複数の金属部60の第1方向の長さよりも長い。
【0084】
複数の金属部58、60、62のパターンは、換言すれば、
図11に表した複数の金属部52に複数の隙間を設けたパターンである。換言すれば、この例におけるアレイ部14の金属パターンは、金属部62の周囲を2つの金属部58及び2つの金属部60の4つの金属部によって囲むパターンである。例えば、半導体デバイス10が、電子線の進行方向を変化させる電子レンズや偏向器などの電子線制御装置に適用される場合には、複数の金属部62が、電子線の進行方向を変化させるための電位を設定する電極として用いられ、複数の金属部58及び複数の金属部60が、共通電位を設定する電極として用いられる。
【0085】
アレイ部14の金属パターンは、上記に限ることなく、複数の金属部を並べて構成される任意のパターンでよい。例えば、
図8などのように金属部を別の金属部で囲むパターンとする場合に、2つ以上の金属部を格子状の金属部で囲むようにしても良い。
【0086】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態に係る半導体デバイスを模式的に表す平面図である。
図14は、第2の実施形態に係る半導体デバイスの一部を拡大して模式的に表す平面図である。
図14は、
図13の囲み部Scの部分を拡大して図示している。
【0087】
図13及び
図14に表したように、半導体デバイス70は、上記第1の実施形態と同様に、半導体基板12と、アレイ部14と、を備える。アレイ部14は、半導体基板12上に並べて設けられた複数の金属部16を有する。
【0088】
半導体デバイス70では、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESbが、角を丸めた多角形状である。この例において、アレイ部14の輪郭形状ESbは、角を丸めた四角形状である。アレイ部14の輪郭形状ESbは、換言すれば、四角形状の参考の輪郭形状ESrの角を曲線状に取った形状である。
【0089】
このように、アレイ部14の輪郭形状ESbは、90°より大きい内角を有する多角形状に限ることなく、角を丸めた多角形状としてもよい。換言すれば、アレイ部14の輪郭形状ESbは、四角形状の参考の輪郭形状ESrの角を直線状に取った形状に限ることなく、四角形状の参考の輪郭形状ESrの角を曲線状に取った形状でもよい。この場合にも、上記第1の実施形態と同様に、電気めっき法によって各金属部16(第1導電部16a)を形成する際の電界の集中を抑制し、各金属部16の高さにバラツキが生じることを抑制することができる。
【0090】
なお、角を丸めた多角形状の輪郭形状ESbは、四角形状に限ることなく、角を丸めた八角形状や十六角形状などでもよい。輪郭形状ESbは、角を丸めた任意の多角形状でよい。
【0091】
角を丸めた多角形状の輪郭形状ESbは、例えば、半導体基板12の表面と直交する方向から見た状態、もしくは、半導体基板12の表面のレイアウトパターンにおいて、複数の金属部16のうちの最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分を直線近似(多角形近似)及び曲線近似することによって求めることができる。輪郭形状ESbは、換言すれば、最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分の直線近似によって辺部分を決定するとともに、最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分の曲線近似によって隣り合う2つの辺の両端を結ぶ曲線部分を決定した形状である。
【0092】
なお、角を丸めた多角形状の輪郭形状ESbのアレイ部14においても、
図8~
図12などに関して説明したように、アレイ部14の金属パターンは、複数の金属部を並べて構成される任意のパターンでよい。
【0093】
図15及び
図16は、第2の実施形態に係る半導体デバイスの変形例を模式的に表す平面図である。
図15に表したように、半導体デバイス72では、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状EScが、円形状である。
【0094】
図16に表したように、半導体デバイス74では、アレイ部14の半導体基板12上における輪郭形状ESdが、楕円形状である。
【0095】
円形状の輪郭形状ESc及び楕円形状の輪郭形状ESdは、例えば、半導体基板12の表面と直交する方向から見た状態、もしくは、半導体基板12の表面のレイアウトパターンにおいて、複数の金属部16のうちの最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分を曲線近似することによって求めることができる。輪郭形状ESc、ESdは、換言すれば、最外周に位置する所定数の金属部16の外縁を結ぶ線分を曲線近似によって決定した形状である。
【0096】
なお、円形状の輪郭形状ESc及び楕円形状の輪郭形状ESdのアレイ部14においても、
図8~
図12などに関して説明したように、アレイ部14の金属パターンは、複数の金属部を並べて構成される任意のパターンでよい。
【0097】
このように、アレイ部14の輪郭形状は、円形状や楕円形状などでもよい。このように、アレイ部14の輪郭形状を角の無い円形状や楕円形状とした場合には、電気めっき法によって各金属部16(第1導電部16a)を形成する際の電界の集中をより適切に抑制し、各金属部16の高さにバラツキが生じることをより適切に抑制することができる。
【0098】
一方、アレイ部14の輪郭形状を円形状や楕円形状とした場合には、前述のように、アレイ部14の面積が過度に減少し、複数の金属部16の数が減少してしまうことなどが懸念される。
【0099】
このため、アレイ部14の輪郭形状は、90°より大きい内角を有する多角形状、もしくは角を丸めた多角形状とし、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最短の距離D1を、仮想的な四角形VSの対角線の長さの1.5%以上17%以下とすることが好適である。そして、仮想的な四角形VSの頂点VScからアレイ部14までの最長の距離D2を、仮想的な四角形VSの対角線の長さの17%以下とすることがより好適である。これにより、各金属部16の高さにバラツキが生じることを抑制しつつ、複数の金属部16の数が少なくなってしまうことを抑制することができる。
【0100】
なお、アレイ部14の輪郭形状は、上記に限ることなく、アレイ部14の輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形VSを設定した際に、仮想的な四角形VSの4つの頂点のそれぞれと重ならない任意の形状でよい。
【0101】
本願明細書において、「電気的に接続」には、直接接触して接続される場合の他に、他の導電性部材などを介して接続される場合も含む。
【0102】
本実施形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
半導体基板と、
前記半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有するアレイ部と、
を備え、
前記アレイ部の前記半導体基板上における輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形を設定した際に、前記アレイ部の前記輪郭形状は、前記仮想的な四角形の4つの頂点のそれぞれと重ならない半導体デバイス。
【0103】
(付記2)
前記アレイ部の前記輪郭形状は、90°より大きい内角を有する多角形状である付記1記載の半導体デバイス。
【0104】
(付記3)
前記アレイ部の前記輪郭形状は、角を丸めた多角形状である付記1記載の半導体デバイス。
【0105】
(付記4)
前記アレイ部の前記輪郭形状は、円形状である付記1記載の半導体デバイス。
【0106】
(付記5)
前記アレイ部の前記輪郭形状は、楕円形状である付記1記載の半導体デバイス。
【0107】
(付記6)
前記仮想的な四角形の頂点から前記アレイ部までの最短の距離は、前記仮想的な四角形の対角線の長さの1.5%以上である付記1~5のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0108】
(付記7)
前記仮想的な四角形の頂点から前記アレイ部までの最短の距離は、前記仮想的な四角形の対角線の長さの17%以下である付記1~6のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0109】
(付記8)
前記仮想的な四角形の頂点から前記アレイ部までの最長の距離は、前記仮想的な四角形の対角線の長さの17%以下である付記1~7のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0110】
(付記9)
前記複数の金属部の高さは、5μm以上40μm以下である付記1~8のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0111】
(付記10)
前記複数の金属部は、第1導電部と、前記半導体基板と前記第1導電部との間に設けられた第2導電部と、を有する付記1~9のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0112】
(付記11)
前記第1導電部の高さ方向の長さは、前記第2導電部の高さ方向の長さよりも長い付記10記載の半導体デバイス。
【0113】
(付記12)
前記第1導電部は、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、及び金の少なくともいずれかを含む付記10又は11に記載の半導体デバイス。
【0114】
(付記13)
前記第2導電部は、錫、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、白金、チタニウム、パラジウム、及び金の少なくともいずれかを含む付記10~12のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0115】
(付記14)
前記半導体基板の上に設けられた絶縁層をさらに備え、
前記複数の金属部は、前記絶縁層の上に設けられる付記1~13のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0116】
(付記15)
前記複数の金属部は、前記半導体基板の表面と平行な第1方向、及び前記半導体基板の表面と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向に並べて設けられる付記1~14のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0117】
(付記16)
前記複数の金属部は、形状の異なる複数種類の金属部を含む付記1~15のいずれか1つに記載の半導体デバイス。
【0118】
(付記17)
半導体基板と、前記半導体基板上に並べて設けられた複数の金属部を有するアレイ部と、を備え、前記アレイ部の前記半導体基板上における輪郭形状に外接する最小の面積の仮想的な四角形を設定した際に、前記アレイ部の前記輪郭形状は、前記仮想的な四角形の4つの頂点のそれぞれと重ならない半導体デバイスの製造方法であって、
半導体基板の上にレジストを設ける工程と、
前記複数の金属部に応じた形状のパターンを前記レジストに形成する工程と、
パターニングされた前記レジストの開口部内に金属層を形成することにより、前記半導体基板の上に複数の第1導電部を形成する工程と、
前記レジストを除去し、前記複数の第1導電部によって前記複数の金属部を形成する工程と、
を有する半導体デバイスの製造方法。
【0119】
(付記18)
前記半導体基板の上に前記レジストを設ける前記工程は、前記半導体基板の上に電極用金属層を形成する工程と、前記電極用金属層の上に前記レジストを設ける工程と、を有し、
前記複数の第1導電部を形成する前記工程は、前記電極用金属層を電極として用いた電気めっき法によって前記複数の第1導電部を形成する工程を有し、
前記複数の金属部を形成する前記工程は、前記レジストを除去した後、前記複数の第1導電部をマスクとして前記電極用金属層をパターニングし、前記複数の第1導電部と前記半導体基板との間に複数の第2導電部を形成することにより、前記複数の第1導電部と前記複数の第2導電部とによって前記複数の金属部を形成する工程を有する付記17記載の半導体デバイスの製造方法。
【0120】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体デバイスに含まれる各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0121】
各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0122】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体デバイスを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体デバイスも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0123】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
10、10a…半導体デバイス、 12…半導体基板、 14…アレイ部、 16…金属部、 16a…第1導電部、 16b…第2導電部、 20…絶縁層、 22…金属層、 24…レジスト、 30…半導体デバイス、 32…半導体基板、 34…アレイ部、 36、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62…金属部、 70、72、74…半導体デバイス、 D1、D2…距離、 ES、ESa~ESd、ESr…輪郭形状、 HT…高さ、 Sa、Sb、Sc…囲み部、 VS…仮想的な四角形、