(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135357
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電力取引システム、仮想発電所システム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
H02J 3/00 20060101AFI20240927BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240927BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240927BHJP
【FI】
H02J3/00 180
H02J13/00 311R
H02J13/00 301A
H02J7/00 H
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045994
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】石田 正明
(72)【発明者】
【氏名】司城 徹
(72)【発明者】
【氏名】兼清 靖弘
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064CB04
5G064CB08
5G064DA02
5G064DA03
5G064DA11
5G066AA04
5G066HB03
5G066HB09
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503EA05
5G503EA07
5G503FA06
5G503GB06
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】充放電時に適切な処理を実行する。
【解決手段】電力取引システムは、第1計量器と、第2計量器と、処理部と、を備える。前記第1計量器は、蓄電池の充電量及び放電量を計量する。前記第2計量器は、前記蓄電池の充電及び放電が可能な充放電器の充電量及び放電量を計量する。前記処理部は、前記第1計量器及び前記第2計量器と通信可能であり、前記第1計量器が計量した前記蓄電池の充電量と、前記第2計量器が計量した前記充放電器の放電量と、に基づいて、前記蓄電池の充電料金を求める。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の充電量及び放電量を計量する、第1計量器と、
前記蓄電池の充電及び放電が可能な充放電器の充電量及び放電量を計量する、第2計量器と、
前記第1計量器及び前記第2計量器と通信可能である、処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記第1計量器が計量した前記蓄電池の充電量と、前記第2計量器が計量した前記充放電器の放電量と、に基づいて、前記蓄電池の充電料金を求める、
電力取引システム。
【請求項2】
前記処理部はさらに、前記第1計量器が計量した前記蓄電池の放電量と、前記第2計量器が計量した前記充放電器への電力供給量と、に基づいて、前記蓄電池の放電料金を求める、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項3】
前記処理部は、前記第1計量器が計量した前記蓄電池の充放電量と、前記第2計量器により計量された前記充放電器の充放電量と、の差が所定値未満の場合に、前記第1計量器が計量した前記蓄電池の充放電電量に対応する充放電料金を前記蓄電池のユーザ、又は、充放電のアグリゲータに請求する、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項4】
前記第1計量器の計量値と、前記第2計量器の計量値と、に基づいて、充放電制御をする、制御部、
をさらに備える、請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項5】
前記制御部は、
充放電開始のタイミングにおいて、低電力を充放電する制御をし、
前記第1計量器の電力計測値と、前記第2計量器の電力計測値と、の差が設定値より小さい場合に充放電動作が正常であると判定した後に所望の充放電電力量の充放電を実行する、
請求項4に記載の電力取引システム。
【請求項6】
前記制御部は、
充放電制御のタイミングにおいて、前記第1計量器の電力計測値と、前記第2計量器の電力計測値と、の差が指定値よりも大きい場合に、充放電制御を停止する、
請求項4に記載の電力取引システム。
【請求項7】
前記第1計量器及び前記第2計量器は、所定タイミングで、又は、所定周期で、直前の通知時刻以降の充放電量を前記処理部に通知する、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項8】
前記第1計量器及び前記第2計量器は、前記処理部からの要求により、直前の通知時刻以降の充放電量を前記処理部に通知する、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項9】
前記第1計量器及び前記第2計量器は、所定タイミングで、又は、所定周期で、直前の通知時刻以降の充放電量に応じた請求をする、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項10】
前記第1計量器及び前記第2計量器は、前記処理部からの要求により、直前の通知時刻以降の充放電量に応じた請求をする、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項11】
前記第1計量器及び前記第2計量器は、充放電量とともにユーザ識別子を前記処理部に通知する、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項12】
前記第2計量器は、前記第1計量器との通信により、蓄電池ユーザ識別子を取得する、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項13】
前記第2計量器は、1ユーザによる充電又は放電が完了するタイミングで充放電量を前記処理部に通知する、
請求項1に記載の電力取引システム。
【請求項14】
発電装置と、
前記発電装置が発電した電力を蓄電する、蓄電池と、
前記蓄電池から放電し、又は、前記蓄電池に充電する、充放電器と、
前記蓄電池に接続される、第1計量器と、
前記充放電器に接続される、第2計量器と、
前記発電装置に接続される、第3計量器と、
制御システムと、
を備える、仮想発電所システムであって、
前記制御システムが、前記第1計量器の電力計測値と、前記第2計量器の電力計測値と、前記第3計量器の電力計測値と、に基づいて、前記仮想発電所システムの動作を監視し、異常時に仮想発電動作を停止する、
仮想発電所システム。
【請求項15】
蓄電池の充電量及び放電量を計量する第1計量器が計量した前記蓄電池の充電量と、前記蓄電池の充電及び放電が可能な充放電器の放電量及び放電量を計量する第2計量器が計量した前記充放電器の放電量と、に基づいて、前記蓄電池の充電料金を算出する、処理部、
を備える、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力取引システム、仮想発電所システム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代のエネルギーとして、各家庭等において発電した電力により、電気自動車 (EV: Electric Vehicle) 等を充電したり、又は、必要に応じてEV等からの放電を利用したりする動きが広まっている。これらの充放電においては、適切な値段において課金されることが望ましい。検定メータをEV充電器に設置することでEV充電器の入力電力量により課金することは可能であるが、充電回路の損失やEVユーザの期待する電力を受電できない可能性があるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、実施形態が解決しようとする限定されない課題の1つは、充放電時に適切な処理を実行することである。実施形態により解決しようとする課題は、さらに限定されないいくつかの例として、以下の説明において記載した効果に対応する課題、とすることもできる。すなわち、実施形態の説明において記載された効果のうち任意の少なくとも1つに対応する課題を実施形態が解決しようとする課題とすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、電力取引システムは、第1計量器と、第2計量器と、処理部と、を備える。前記第1計量器は、蓄電池の充電量及び放電量を計量する。前記第2計量器は、前記蓄電池の充電及び放電が可能な充放電器の充電量及び放電量を計量する。前記処理部は、前記第1計量器及び前記第2計量器と通信可能であり、前記第1計量器が計量した前記蓄電池の充電量と、前記第2計量器が計量した前記充放電器の放電量と、に基づいて、前記蓄電池の充電料金を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】一実施形態に係る電力取引システム全体の概略を示す図。
【
図2】一実施形態に係る電力取引システムを模式的に示すブロック図。
【
図3】一実施形態に係る電力取引システムの処理を示すフローチャート。
【
図4】一実施形態に係る電力取引システムの処理を示すフローチャート。
【
図5】一実施形態に係る電力取引システムの処理を示すフローチャート。
【
図6】一実施形態に係る電力取引システムの処理を示すフローチャート。
【
図7】一実施形態に係る仮想発電所システムの概略を示す図。
【
図8】一実施形態に係る仮想発電所システムの一部を模式的に示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。本開示において、「未満」「以上」との文言を用いることがあるが、これは適宜「以下」「より大きい」と読み替えることができ、また、逆の読み替えもできる。これらの表現の入れ替えにより、権利範囲が限定されるものではない。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、一実施形態に係る電力取引システムの全体像の概略を示す図である。電力取引システム 1 は、例えば、充放電設備 10 と、公共充放電設備 20 と、アグリゲータ 30 と、を備える。
【0009】
この電力取引システム 1 において電力を充放電する対象の一例として、電気自動車 (Electric Vehicle: EV 2 と記載する) における充放電について説明する。電力取引システム 1 は、EV 2 へ電力を供給するための放電、及び、EV 2 から電力の供給を受けるための充電の機能を備える。
【0010】
EV 2 は、充放電の対象の限定されない一例であり、この他の対象に対しても同様に取引を実現することができる。例えば、充放電する対象は、ドローン等の移動する筐体であってもよい。
【0011】
充放電の対象がEV 2 である場合、本開示における電力取引システムは、EV 2 を移動可能な蓄電池として扱うV2G (Vehicle to Grid) のシステムの一部として用いることができる。また、別の一例として、電力取引システムは、EV 2 を介したV2H (Vehicle to Home) のシステムの一部として用いることもできる。すなわち、EV 2 は、システム内の充電池から充電を受けて移動可能となるとともに、必要に応じてシステム内の充電池に給電する蓄電池として機能することができる。
【0012】
充放電設備 10 は、需要家側の充放電設備であり、例えば、家やビルに配置される充放電設備である。充放電設備 10 は、EV 2 からの要求に応じてEV 2 に放電する処理、及び、EV 2 への要求に基づいてEV 2 からの給電を受け付けて充電する処理を実行する。
【0013】
公共充放電設備 20 は、公共に設けられる充放電設備である。公共充放電設備 20 の代表的な例としては、充電スタンドが挙げられるが、これに限定されるものではない。公共充放電設備 20 は、例えばサービスエリアや駐車場の管理会社、ショッピングモール運営会社等の充放電器システムを管理運用する企業あるいはアグリゲータ 30 等により管理される設備であり、電力会社から供給される電力によりEV 2 を充電したり、EV 2 から電力会社に電力を供給したりする設備である。
【0014】
充放電設備 10 及び公共充放電設備 20 の充電池は、EV 2 と、ケーブル等を介して、又は、ケーブル等を介しないワイヤレスの手法を介して、電力のやりとりをすることができる。
【0015】
アグリゲータ 30 は、需要家と電力会社とを接続し、電力の需給バランスを調整する。アグリゲータ 30 は、代表例として、日本における特定卸供給事業者である。充放電設備 10 と、公共充放電設備 20 とは、このアグリゲータ 30 を介して接続されてもよく、必要に応じてこれらの設備間の電力の制御等を実現する。
【0016】
アグリゲータ 30 は、電力系統 (例えば、電力会社の系統電力等) に接続され、アグリゲータ 30 により、充放電の制御が実行される。
【0017】
図1においては、電力取引システム 1 は、1つの充放電設備 10 と、1つの公共充放電設備 20 と、1つのアグリゲータ 30 と、を備えているが、これに限定されるものではない。電力取引システム 1 は、1又は複数の充放電設備 10 と、1又は複数の公共充放電設備 20 と、1又は複数のアグリゲータ 30 とを備えることができる。また、充放電設備 10 と公共充放電設備 20 との2種類の充放電設備が示されているが、これに限定されず、いずれか一方のみが備えられる形態であってもよい。
【0018】
電力取引システム 1 においては、充放電にしたがって料金が発生する。本開示においては、この料金の算出方法について、実施形態を用いて説明する。
【0019】
図2は、電力取引システム 1 を
図1よりも詳細に示すブロック図である。充放電設備 10 及び公共充放電設備 20 の内容がより詳しく示されている。
【0020】
充放電設備 10 は、スマートメータ 100 と、エネルギー管理システム (以下、Energy Management System: EMS 102 と記載する) と、EV充放電器 104 と、充放電器 106 と、を備える。
【0021】
スマートメータ 100 は、アグリゲータ 30 との間で通信する通信部と、種々の演算機能を有する処理部と、を備える。スマートメータ 100 は、所定時間ごとに電気使用量を計測し、その計測値をアグリゲータ 30 へと通信部を介して出力する。また、スマートメータ 100 は、電気使用量が異常値となった場合に、電気を遮断するブレーカとしての機能を有していてもよい。スマートメータ 100 は、特定計量器との間において、点線で示すように有線又は無線を介した通信をすることができる。
【0022】
EMS 102 は、スマートメータ 100 を介した通信を用いて、個々の家、ビル、工場等のエネルギーの使用状況を把握し、管理する。EMS 102 は、例えば、HEMS (Home EMS) 、BEMS (Building EMS) 、FEMS (Factory EMS) であってもよい。EMS 102 は、例えば、建物等のエネルギーの使用状況を把握して、設備における電力を制御し、エネルギー使用量を最適化することができる。
【0023】
EV充放電器 104 は、EV 2 の蓄電池への電力の供給 (放電) と、EV 2 の蓄電池からの電力の供給 (充電) を実行する。EV 2 は、EV蓄電池 50 を搭載しており、EV充放電器 104 と、電力のやりとりをすることができる。EV蓄電池 50 には、特例計量器 60 (第1計量器) が備えられ、EV蓄電池 50 における充放電量を計量する。
【0024】
同様に、充放電設備 10 側のEV充放電器 104 には特例計量器 62 (第2計量器) が備えられ、EV充放電器 104 における充放電量を計量する。
【0025】
特例計量器 60 は、EV蓄電池 50 が充放電する場合に、この充放電量を計測し、スマートメータ 100 の処理部へと充放電量を送信する。必要に応じて、特例計量器 60 は、スマートメータ 100 へと送信する充放電量を記憶しておいてもよい。
【0026】
特例計量器 62 は、EV充放電器 104 が充放電する場合に、この充放電量を計測し、スマートメータ 100 の処理部へと充放電量を送信する。必要に応じて、特例計量器 62 は、スマートメータ 100 へと送信する充放電量を記憶しておいてもよい。
【0027】
処理部は、特例計量器 60 、 62 の双方と通信可能であり、それぞれの計量器において計量した充放電量を受信する。
【0028】
EV蓄電池 50 がEV充放電器 104 から電力の供給をされて充電する場合、処理部は、特例計量器 60 が計量した充電量と、特例計量器 62 が計量した放電量と、に基づいて充電料金を算出して求める。EV 2 の利用者側は、この充電料金に基づいて料金が課金される。
【0029】
EV蓄電池 50 がEV充放電器 104 へと電力の供給をして放電する場合、処理部は、特例計量器 60 が計量した放電量と、特例計量器 62 が計量した充電量と、に基づいて放電料金を算出する。EV 2 の利用者側は、この放電料金に基づいて料金が課金 (マイナスの課金) される。
【0030】
処理部は、EV蓄電池 50 への充放電量を所定の式に代入することで充放電料金を算出する。所定式は、電力会社等によって異なる式であってもよい。また、所定式は、限定されない例として、従量制の式であってもよいし、需要に応じたダイナミックプライシングにより変動するパラメータを有する式であってもよいし、これらを組み合わせた式であってもよい。
【0031】
EV 2 において計測する第1計量器 (特例計量器 60) と充放電設備 10 において計測する第2計量器 (特例計量器 62) の値に所定値以上の差異 (誤差) がある場合には、処理部は、所定方法でこの差異をキャンセルし、又は、この差異を調整してもよい。処理部は、限定されない例として、EV蓄電池 50 への充電の場合には、特例計量器 60 の計測値によって課金をし、EV蓄電池 50 からの放電の場合には、特例計量器 62 の計測値によって課金をしてもよい。
【0032】
処理部は、限定されない別の例として、2つの計測値の平均を計算して所定式に代入してもよいし、2つの計測値のうち高い方又は低い方を所定式に代入してもよいし、2つの計測値の重み付け和を計算して所定式に代入してもよい。
【0033】
充放電器 106 は、充放電設備 10 において他の用途に用いる充放電を実行する。この充放電器 106 についても特例計量器 64 が配置されていてもよい。
【0034】
公共充電設備 20 は、スマートメータ 200 と、EV充放電器 202 と、を備える。スマートメータ 200 の動作は、スマートメータ 100 の動作とほぼ同じである。EV充放電器 202 の動作は、EV充放電器 104 の動作とほぼ同じである。すなわち、EV 2 への充放電量をEV 2 に搭載されている特例計量器 60 及び公共充電設備 20 に備えられている特例計量器 66 の双方において計量することで、充放電料金を算出する。
【0035】
図3は、一実施形態に係る電力取引システムの充放電料金算出の処理を示すフローチャートである。この
図3は、充放電設備 10 からEV蓄電池 50 への充電を実行する場合の処理を示すフローチャートである。
【0036】
EV 2 のEV蓄電池 50 及びEV充放電器 104 (EV充放電器 202 でもよい、以下同じ) との間で充放電を開始する (S100) 。この充放電は、例えば、EV 2 及び/又は充放電設備 10を利用するユーザが所定の充電場所に自動車を配置し、このユーザの要求により充放電が実行される。ユーザは、例えば、所定の手順を踏むことで充放電を開始し、終了することができる。EV蓄電池 50 が満充電となった場合には、自動的に充放電を停止してもよい。
【0037】
EV蓄電池 50 及びEV充放電器 104 の双方において、充放電量をそれぞれに付属している計量器により計測する (S102) 。フローチャートにおいては逐次的な処理として表現されているが、これに限定されず、計測器は、EV蓄電池 50 への充電と並行して計測を実行してもよい。計測器は、計測した値をスマートメータの処理部に送信する。
【0038】
計測値を受信した処理部は、それぞれの計測値に基づいて、EV蓄電池 50 の充電料金を算出する (S104) 。
【0039】
図4は、一実施形態に係る電力取引システムの充放電料金算出の処理を示すフローチャートである。この
図4は、EV蓄電池 50 から充放電設備 10 への放電を実行する場合の処理を示すフローチャートである。
【0040】
EV 2 のEV蓄電池 50 及びEV充放電器 104 (EV充放電器 202 でもよい、以下同じ) との間で充放電を開始する (S200) 。この充放電は、例えば、EV 2 及び/又は充放電設備 10 を利用するユーザが所定の放電場所に自動車を配置し、このユーザの要求により充放電が実行される。ユーザは、例えば、所定の手順を踏むことで充放電を開始し、終了することができる。EV蓄電池 50 の蓄電量が所定量以下となった場合には、自動的に充放電を停止してもよい。
【0041】
EV蓄電池 50 及びEV充放電器 104 の双方において、充放電量をそれぞれに付属している計量器により計測する (S102) 。フローチャートにおいては逐次的な処理として表現されているが、これに限定されず、計測器は、EV蓄電池 50 からの放電と並行して計測を実行してもよい。計測器は、計測した値をスマートメータの処理部に送信する。
【0042】
計測値を受信した処理部は、それぞれの計測値に基づいて、EV蓄電池 50の放電料金を算出する (S204) 。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、充電する側、放電する側の双方において充放電量を取得することで、充放電料金を算出する。この充放電料金の算出方法によれば、充電側と放電側の双方のメータ値を読み取ることから、事業者による不正やHEMS、BEMSの提供者による不正を抑制することが可能となる。
【0044】
(第2実施形態)
前述の第1実施形態では、蓄電池と充放電器の双方で充放電量を計測するが、双方の計測値に大きな違いが発生する可能性がある。本実施形態においては、双方の計測値を比較することで、続く処理を実行する電力取引システムについて説明する。
【0045】
スマートメータ 100 の処理部は、特例計量器 60 と、特例計量器 62 との計測値の差を算出し、この差に基づいて適切な処理を実行することが可能である。
【0046】
図5は、一実施形態に係る電力取引システムの処理を示すフローチャートである。 S300 は、
図3の S100 又は
図4の S200 に対応する処理であり、 S302 は、
図3のS102 又は
図4の S202 に対応する処理であるので詳しい説明は省略する。
【0047】
処理部は、特例計量器 60 及び特例計量器 62 から受信したそれぞれの計量器で計測された充放電量を比較する (S304) 。EV蓄電池 50 への充電の場合、処理部は、特例計量器 60 が計測した充電量及び特例計量器 62 が計測した放電量を比較する。EV蓄電池 50 からの放電の場合、処理部は、特例計量器 60 が計測した放電量及び特例計量器 62 が計測した充電量を比較する。
【0048】
処理部は、比較結果に基づいた処理を実行する (S306) 。処理部は、例えば、2つの計量器の計測値の差が所定値未満である場合、いずれかの計量器 (例えば、充電であれば特例計量器 60、放電であれば特例計量器 62 であってもよいが、これに限定されない) の計測値に基づいた充放電料金として算出し、ユーザ、又は、アグリゲータ 30 にこの料金を請求することができる。なお、「請求する」とは、自動的に引き落としすることを含んでもよいし、自動的に課金することを含んでもよい。例えば、電力料金は、電力会社がスマートメータの計量値に基づいてアグリゲータ 30 に課金することができる。
【0049】
また、処理部は、計測値の差が所定値以上である場合、ユーザ、管理者等に故障している可能性がある旨のアラームを通知してもよい。ユーザ、管理者等は、このアラームを受信することにより、故障している可能性があることを知ることができる。料金の算出は、故障を検知した後、適切な計測値を出力している計量器の計測結果に基づいて決定することもできる。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、双方の計測値の差が小さい場合に、料金の設定をすることができる。この処理により、より精度の高い充放電量にしたがった充放電料金を設定することが可能となる。
【0051】
(第3実施形態)
EMS 102 は、電力需給の制御をする制御部を有していてもよい。この場合、処理部は、特例計量器 60 、 62 の計量値に基づいて充放電制御をすることもできる。
【0052】
図6は、一実施形態に係る電力取引システムの処理を示すフローチャートである。 S400 及び S402 の処理は、それぞれ
図5の S300 及び S302 の処理に準ずる。
【0053】
処理部は、特例計量器 60 及び特例計量器 62 から受信したそれぞれの計量器で計測された充放電量を比較する (S404) 。前述の実施形態と異なり、処理部は、この計測値の比較を、例えば、充放電開始のタイミング、又は、充放電途中のタイミングで実行することができる。
【0054】
制御部は、処理部が算出した計測値の差に基づいた充放電制御を実行する (S406) 。制御部は、このように、特例計量器 60 の電力計測値 (計量値) と、特例計量値 62 の電力計測値 (計量値) と、に基づいて充放電制御をすることができる。
【0055】
具体的な一例として、制御部は、充放電開始のタイミングにおいては、低電力の充放電をする制御をし、処理部が算出した計測値の差に基づいて、所定の充放電処理をすることができる。制御部は、例えば、計測値の差が設定値よりも小さい場合には、正常な充放電動作が実行されている、又は、正常な充放電動作における電力量の計測が実行されていると判定し、その判定後に所望の充放電電力量までの充放電を実行する。
【0056】
具体的な別例として、制御部は、充放電実行中のタイミングにおいて、処理部が算出した計測値の差が設定値よりも大きい場合に、正常な充放電動作が実行されていない、又は、正常な充放電動作における電力値の計測が実行されていないと判定し、充放電制御を停止することができる。さらに、制御部は、この判定結果に基づいて、アラームを発してもよい。
【0057】
なお、上記のようにEMS 102 がスマートメータ 100 の算出結果に基づいて充放電制御をする形態であってもよいし、処理部が制御部にどのような充放電制御をするかを要求する、すなわち、スマートメータ 100 がEMS 102 に制御要求をする形態であってもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、蓄電池と充放電器の双方にメータを備えることで、正常な充放電が実行されていること、又は、不正ではない充放電が実行されていることに関する情報を取得した上で、EMS 102 における充放電制御を実行することが可能となる。
【0059】
上記の各実施形態において、特例計量器 60 及び/又は特例計量器 62 は、所定タイミング又は所定周期で直前 (前回) の通知時刻以降の充放電量を処理部に通知することができる。また、特例計量器 60 及び/又は特例計量器 62 は、処理部からの要求により、直前 (前回) の通知時刻以降の充放電量を処理部に通知することができる。
【0060】
上記の各実施形態において、特例計量器 60 及び/又は特例計量器 62 は、所定タイミング又は所定周期で直前 (前回) の通知時刻以降の充放電量に応じた請求をすることができる。また、特例計量器 60 及び/又は特例計量器 62 は、処理部からの要求により直前 (前回) の通知時刻以降の充放電量に応じた請求をすることができる。請求は、例えば、ユーザ、又は、電力会社に対して行うことができる。
【0061】
上記の各実施形態において、特例計量器 60 及び/又は特例計量器 62 は、上記のうち任意のタイミングで充放電量とともに、EV蓄電池 50 と紐付けられているユーザの識別子を処理部に送信することができる。この結果、充放電を実行するEV 2 を認識した上で、適切な充放電及び課金等の処理を実現することができる。この場合、特例計量器 62 は、特例計量器 60 から送信されるユーザの識別子の情報を取得することも可能であし、逆に特例計量器 60 が特例計量器 62 から送信されるユーザの識別子情報を取得することも可能である。ユーザの識別子情報を他の計量器に送信することで、計量器においてユーザを一意的に紐付けた状態の処理を実行することができる。
【0062】
特例計量器 60 及び/又は特例計量器 62 は、例えば、処理部にユーザの識別子を送信することができる。処理部は、受信したユーザの識別子に基づいて、適切に紐付けされたデータに対して課金等の処理を実行することも可能である。処理部は、他の計量器、又は、スマートメータとこのユーザの識別子を共有することも可能である。
【0063】
上記の各実施形態において、特例計量器 62 は、1ユーザによる充電又は放電が完了するタイミングで充放電量を処理部に通知してもよい。また、特例計量器 62 は、1回の充放電が完了するタイミングで充放電量を処理部に通知することもできる。
【0064】
以上のように、前述の各実施形態に係る電量取引システム 1 によれば、適切な充放電制御と、当該充放電に対する適切な料金の算出をすることが可能となる。この結果、充放電における故障等に起因する電力の無駄な消費や悪意のある者による不正を抑制することができる。
【0065】
(第4実施形態)
前述の電力取引システムは、仮想発電所システムに取り入れることもできる。換言すると、蓄電池からの充放電も仮想発電所システムの一部であるとみなすことができる。
図7は、一実施形態に係る仮想発電所システムの一例の概略を示す図である。仮想発電所システム 3 は、電力取引システム 1 と、電力取引システム 1 の充放電設備 10 に接続される発電装置 70 と、を備える。
【0066】
発電装置 70 は、例えば、太陽光発電 (PV: Photovoltaic) 装置、再生可能エネルギー発電装置等の装置である。発電装置 70 は、個々の家庭又は建物等に付随して設置される発電装置であってもよい。前述の実施形態と同様に、1又は複数の発電装置 70 が仮想発電所システム 3 内に配置されていてもよい。
【0067】
発電装置 70 は、発電した電気を充放電設備 10 を介してEVといった他の装置等に供給することができる。発電装置 70 は、例えば、発電した電気を充放電設備 10 内の蓄電池に充電することで、他の装置への電力の供給をすることができる。
【0068】
発電装置 70 には、特例計量器 72 (第3計量器) が配置される。発電装置 70 が充放電、主に放電する電力量は、特例計量器 72 により計測される。特例計量器 72 は、充放電設備 10 のスマートメータ 100 と通信可能であってもよい。
【0069】
図8は、一実施形態に係る仮想発電所システム 3 の一部、特に、充放電設備 10 に関する箇所を模式的に示すブロック図である。仮想発電所システム 3 において、充放電設備 10 は、スマートメータ 100 と、EMS 102 と、蓄電池 108 と、充放電器 110 と、を備える。この他、前述の各実施形態と同様の構成要素を備えていてもよい。
【0070】
蓄電池 108 は、発電装置 70 が発電した電気を蓄電する電池である。蓄電池 108 は、特例計量器 74 によりその充放電量が計測される。
【0071】
充放電器 110 は、任意の装置に蓄電池 108 に充電されている電力を供給し、又は、任意の装置から蓄電池 108 へと電力を供給する装置である。充放電器 110 は、特例計量器 76 によりその充放電量が計測される。
【0072】
このように一般的な仮想発電所システムの1ノードとして機能するEMS 102 について、蓄電池、充放電器に対して前述の実施形態と同様に特例計量器を設けることができる。
【0073】
特例計量器 72 、 74 、 76 は、点線で示すようにスマートメータ 100 と通信可能である。スマートメータ 100 の処理部は、特例計量器 72 、 74 、 76 から受信したそれぞれの電力計測値に基づいて、前述の各実施形態と同様に、充放電制御をしたり、充放電料金を算出したりすることができる。
【0074】
以上のように、スマートメータ 100 の処理部は、それぞれの特例計量器からの出力に基づいて、仮想発電所システム 3 の動作の監視をすることができる。例えば、前述の実施形態と同様に、発電装置 70 と蓄電池 108 間における充放電量をそれぞれの装置側において計測して比較することで、故障、不正等を発見することができる。蓄電池 108 と充放電器 110 においても同様である。また、発電装置 70 からの充電とともに、充放電器 110 を介した蓄電池 108 から他の装置への電力の供給についての不具合、不正等も、3つの特例計量器からの出力を比較することで発見することができる。
【0075】
なお、
図8においては1つの発電装置 70 が1つの充放電設備 10 に接続されている例が示されているが、これに限定されるものではない。例えば、複数の発電装置 70 が1つの充放電設備 10 に接続されていてもよいし、また、1つの発電装置 70 が複数の充放電設備 10 から共有されて接続されていてもよい。このように1又は複数の発電装置 70 が1又は複数の充放電設備 10 と接続され、この充放電設備 10 が複数でグリッド状に接続されて、仮想発電所システム 3 を形成することもできる。
【0076】
前述の各実施形態においては、スマートメータ 100 内の処理部がそれぞれの特例計量器からの出力に基づいて種々の処理を実行していた。本開示における形態は、これに限定されるものではなく、スマートメータ 100 とは独立した情報処理装置の処理部がこの処理を実行してもよいし、情報処理装置の一部としてスマートメータ 100 が備えられていてもよいし、スマートメータ 100 自体を情報処理装置とみてもよい。
【0077】
情報処理装置の処理部は、専用の処理回路を有していてもよいし、汎用の処理回路により、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現される形態であってもよい。この場合、処理回路は、図示しない記憶部に格納されているプログラム又は実行ファイル等を参照することでソフトウェアによる情報処理を具体的に実現することができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1: 電力取引システム、
10: 充放電設備、
100: スマートメータ、
102: EMS、
104: EV充放電器、
106: 充放電器、
108: 蓄電池、
110: 充放電器、
20: 公共充放電設備、
200: スマートメータ、
202: EV充放電器、
30: アグリゲータ、
2: EV、
50: EV蓄電器、
60 、 62 、 64 、 66: 特例計量器、
3: 仮想発電所システム、
70: 発電装置、
72 、 74 、 76: 特例計量器