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特開2024-135361電池監視装置、電池監視方法及び電池監視プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135361
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】電池監視装置、電池監視方法及び電池監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/392 20190101AFI20240927BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240927BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240927BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20240927BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240927BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20240927BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240927BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
G01R31/392
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/396
G01R31/382
G01R31/3828
G01R31/385
G01R31/387
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045998
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大谷 拓寛
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA02
2G216BA21
2G216BA22
2G216BA33
2G216BA64
5G503BB02
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】複数の電池を含む電池システムの性能を十分に発揮させること。
【解決手段】実施形態に係る電池監視装置は、複数の電池の劣化度合いを監視するコントローラを備える。コントローラは、劣化度合いが第1の閾値以上である第1の電池が存在する場合、複数の電池の劣化に関するパラメータに基づき、第1の閾値より小さい第2の閾値を設定する。コントローラは、第1の電池とともに、複数の電池のうち劣化度合いが第1の閾値未満であって、かつ劣化度合いが第2の閾値以上である第2の電池の交換を促す通知を出力する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池の劣化度合いを監視するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記劣化度合いが第1の閾値以上である第1の電池が存在する場合、前記複数の電池の劣化に関するパラメータに基づき、前記第1の閾値より小さい第2の閾値を設定し、
前記劣化度合いが前記第1の閾値未満、かつ前記第2の閾値以上である第2の電池が存在する場合、前記第1の電池の交換とともに、前記第2の電池の交換を促す通知を出力する
電池監視装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記複数の電池のそれぞれの温度を前記パラメータとして、前記第2の閾値を設定する
請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記複数の電池のそれぞれを流れた電流を前記パラメータとして、前記第2の閾値を設定する
請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記複数の電池のそれぞれについて、一定の期間における前記パラメータの度数分布を計測し、
前記度数分布のそれぞれにおけるピーク間のばらつきが大きいほど、前記第2の閾値を小さくする
請求項1に記載の電池監視装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記度数分布のそれぞれにおけるピークの最大値と最小値との差が大きいほど、前記第2の閾値を小さくする
請求項4に記載の電池監視装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記度数分布のそれぞれにおけるピークの標準偏差が大きいほど、前記第2の閾値を小さくする
請求項4に記載の電池監視装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記ピーク間のばらつきの大きさに対応付けられた1以下の係数を、前記第1の閾値より小さいあらかじめ定められた初期値に掛けた値を、前記第2の閾値に設定する
請求項4に記載の電池監視装置。
【請求項8】
複数の電池の劣化度合いを監視するコントローラを備えた電池監視装置によって実行される電池監視方法であって、
前記劣化度合いが第1の閾値以上である第1の電池が存在する場合、前記複数の電池の劣化に関するパラメータに基づき、前記第1の閾値より小さい第2の閾値を設定し、
前記劣化度合いが前記第1の閾値未満、かつ前記第2の閾値以上である第2の電池が存在する場合、前記第1の電池の交換とともに、前記第2の電池の交換を促す通知を出力する
電池監視方法。
【請求項9】
複数の電池の劣化度合いを監視するコントローラに、
前記劣化度合いが第1の閾値以上である第1の電池が存在する場合、前記複数の電池の劣化に関するパラメータに基づき、前記第1の閾値より小さい第2の閾値を設定し、
前記劣化度合いが前記第1の閾値未満、かつ前記第2の閾値以上である第2の電池が存在する場合、前記第1の電池の交換とともに、前記第2の電池の交換を促す通知を出力する
処理を実行させることを特徴とする電池監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を監視する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、繰り返し充電して使用される二次電池の劣化度合いを閾値と比較することで、二次電池を交換するか否かを判定する技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の方法では、最小二乗法を用いて、車両に搭載された二次電池の満充電容量と車両の走行距離の平方根との相関関数が決定される。さらに、特許文献1に記載の方法では、当該相関関数が寿命判定ライン(閾値に相当)と交差する点が二次電池の交換時期と判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-195312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術には、後述の通り、複数の電池を含む電池システム(例えば、複数の電池セルを含む電池パック)の性能を十分に発揮させることができない場合があるという問題がある。
【0006】
つまり、電池セルが劣化すると、劣化度合いに応じて満充電容量が低下する。電池パックにおいては、劣化度合いが大きい電池セルに合わせて充電及び放電が行われる。
【0007】
その結果、本来の充電リミット及び放電リミットまで電池パックの充電及び放電を行うことができなくなり、電池パック全体としての実質的な充電容量が低下する。
【0008】
上記のような劣化度合いのばらつきに起因する電池パックの性能の低下を防止するためには、交換のタイミングで、ばらつきの原因となる複数の電池セルをまとめて交換することが望ましい。
【0009】
一方で、特許文献1に記載の技術では、各電池セルの交換時期を判定することはできるものの、複数の電池セルの交換タイミングを判定することは難しい。
【0010】
ここで、複数の電池セルの交換タイミングを判定する方法として、図13に示すような2つの閾値を利用する方法が考えられる。図13は、従来の判定方法を示す図である。
【0011】
図13には、時間の経過(横軸)にともない電池セルの劣化度合い(縦軸)が増加することが示されている。劣化の度合いの増加量は電池セルごとに異なる。
【0012】
図13の方法では、まず、電池パックに含まれる複数の電池セルのうち、第1の電池セル(実線の矢印に対応)の劣化度合いが即交換閾値を超えた場合に、第1の電池セルが交換対象と判定される。
【0013】
さらに、第1の電池セルの劣化度合いが即交換閾値を超えた際に、即交換閾値よりも小さい同時交換閾値を超えた第2の電池セル(一点鎖線の矢印に対応)が存在する場合、第2の電池セルは交換対象と判定される。
【0014】
これにより、図13では、時間tにおいて、第1の電池セルと第2の電池セルが同時に交換可能である。
【0015】
一方で、図14に示すように、第1の電池セルと第2の電池セルの劣化度合いの増加量の違いによっては、時間tにおいて第1の電池セルが交換対象と判定されるのに対し、第2の電池セルが交換対象と判定されない場合がある。図14は、従来の判定方法を示す図である。
【0016】
この場合、時間tと時間tとの間の期間において、交換後の第1の電池セルと未交換の第2の電池セルとの間で劣化度合いのばらつきが大きくなる。そして、前述の通り、劣化度合いが小さい交換後の第1の電池セルは、本来の性能を発揮できない。
【0017】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の電池を含む電池システムの性能を十分に発揮させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
実施形態の一態様に係る電池監視装置は、複数の電池の劣化度合いを監視するコントローラを備える。コントローラは、劣化度合いが第1の閾値以上である第1の電池が存在する場合、複数の電池の劣化に関するパラメータに基づき、第1の閾値より小さい第2の閾値を設定する。劣化度合いが第1の閾値未満、かつ第2の閾値以上である第2の電池が存在する場合、コントローラは、第1の電池の交換とともに、第2の電池の交換を促す通知を出力する。
【発明の効果】
【0019】
実施形態の一態様によれば、複数の電池を含む電池システムの性能を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る電池ECUを含む車両の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、電池セルの劣化度合いを計算する処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、劣化度合いテーブルの例を示す図である。
図4図4は、電池セルの交換判定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、温度ログテーブルの例を示す図である。
図6図6は、電池セルの交換判定処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、閾値テーブルの例を示す図である。
図8図8は、度数分布テーブルの例を示す図である。
図9図9は、ヒストグラムの例を示す図である。
図10図10は、係数マップテーブルの例を示す図である。
図11図11は、実施形態の効果を説明する図である。
図12図12は、変形例のヒストグラムの例を示す図である。
図13図13は、従来の判定方法を示す図である。
図14図14は、従来の判定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る電池監視装置、電池監視方法及び電池監視プログラムについて詳細に説明する。本実施形態により本発明が限定されるものではない。本実施形態では、電池ECU(Electronic Control Unit)が電池監視装置として機能する。
【0022】
図1を用いて、電池ECUを含む車両の構成を説明する。図1は、実施形態に係る電池ECUを含む車両の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図1の車両1は、電池から供給される電力によりモータを駆動することで走行する。車両1は、例えばBEV(Battery Electric Vehicle)、HV(Hybrid Vehicle)及びPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)のいずれかである。
【0024】
図1に示すように、車両1は、電池パック10、モータ20、電池ECU30及び出力装置40を有する。
【0025】
電池パック10は、複数の電池セルを含む。電池パック10は、電池セル101、電池セル102、電池セル103及び電池セル104を含む。電池パック10に含まれる電池セルの数は4個に限られず、例えば8個であってもよい。
【0026】
電池セル101、電池セル102、電池セル103及び電池セル104は、例えばリチウムイオン二次電池である。複数の電池セルを含む電池パック10は、複数の電池を含む電池システムの一例である。なお、電池システムは電池パック10に限られず、複数の単電池をシステムとして構成したものであればよい。
【0027】
電池パック10は、モータ20を含む車両1の各装置に電力を供給する。その際、電池パック10に含まれる各電池パックは放電する。また、電池パック10に含まれる電池セルは、外部電源を用いて充電される。
【0028】
電池パック10の各電池セルは、充電及び放電を繰り返すことによって劣化していく。また、劣化により、各電池セルの満充電容量が減少していく。劣化度合いが大きいほど、満充電容量の減少度合いは大きくなる。
【0029】
各電池セルの劣化の早さは、電池パック10における位置によって異なる。具体的には、中央に配置される電池セルほど劣化が早い傾向がある。逆に、端の方に配置される電池セルほど劣化が遅い傾向がある。
【0030】
これは、電池セルの温度が高いほど劣化が早くなるためである。中央に配置される電池セルは、端の方に配置される電池セルと比べて温度が上昇しやすい。
【0031】
電池パック10は、各電池セルに流れる電流を測定する1つ以上の電流センサ、及び各電池セルの温度を測定する1つ以上のサーミスタを備える。
【0032】
電池ECU30は、電池パック10を監視する。電池ECU30は、電池パック10から情報を取得する。電池ECU30は、電池パック10から、例えば各電池セルに流れる電流及び各電池セルの温度を取得する。
【0033】
電池ECU30は、電池パック10から取得した情報を用いて処理を実行する。電池ECU30は、電池パック10の各電池セルの劣化度合いを計算する。そして、電池ECU30は、電池パック10の各電池セルが交換対象であるか否かを判定する。
【0034】
電池ECU30は、コントローラ31、メモリ32及び入出力インタフェース33を有する。電池ECU30は、マイコンであってもよい。
【0035】
コントローラ31は、メモリ32に記憶されたプログラムを読み出して実行する。コントローラ31は、マイコン、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、SoC(System on a Chip)等である。
【0036】
コントローラ31は、単一のプロセッサであってもよい。コントローラ31は、マルチプロセッサ構成であってもよい。また、コントローラ31は、単一のソケットで接続される単一のチップ内に複数のコアを有するマルチコア構成であってもよい。
【0037】
メモリ32は、フラッシュメモリ等の記憶媒体である。メモリ32は、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)として機能する。
【0038】
入出力インタフェース33は、電池ECU30と他の装置との間でデータの入出力を行うためのインタフェースである。例えば、入出力インタフェース33は、CAN(Controller Area Network)等のシリアルインタフェースである。
【0039】
出力装置40は、画像及び音声等を出力する。例えば、出力装置40は、ディスプレイ及びスピーカ等である。出力装置40は、オーディオシステム、カーナビゲーションシステム又はオーディオディスプレイの一部であってもよい。電池ECU30は、処理の結果を、出力装置40を介して出力する。
【0040】
以下、図2等のフローチャートを用いて、コントローラ31の処理を詳細に説明する。コントローラ31は、電池セルの劣化度合いを計算する処理を行う。そして、コントローラ31は、計算した劣化度合いを基に、交換対象の電池セルを判定する。
【0041】
本実施形態では、コントローラ31は、電池パック10の各電池セルが充電されるタイミングで電池パック10の劣化度合いを計算する。
【0042】
図2を用いて、電池セルの劣化度合いを計算する処理を説明する。図2は、電池セルの劣化度合いを計算する処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
まず、コントローラ31は、複数の電池セルを含む電池パック10の充電開始を検出する(ステップS11)。すなわち、コントローラ31は、電池パック10の充電開始とともに劣化度合いを計算する処理を開始する。
【0044】
コントローラ31は、電池パック10に備えられた電流センサから、電池パック10の方向に電流が流れていることを示す信号を受信することで充電開始を検出することができる。
【0045】
コントローラ31は、車両1に備えられた充電制御ECUから充電が開始されたことを示す信号を受信してもよい。充電制御ECUは、電池パック10の充電量の制御を行うECUである。
【0046】
次に、コントローラ31は、電池パック10に備えられた電流センサを介して、複数の電池セルのそれぞれに流れた電流を取得する(ステップS12)。コントローラ31は、電流の測定結果を基に、複数の電池セルのそれぞれの満充電状態になるまでの積算電流量を計算する(ステップS13)。すなわち、コントローラ31は、各電池セルについて、現状の満充電容量を測定する。また、例えば、コントローラ31は、電池セルの電圧の変化を基に満充電状態になったことを検知する。
【0047】
コントローラ31は、計算した積算電流量を基に、複数の電池セルのそれぞれの劣化度合いを計算する(ステップS14)。コントローラ31は、各電池セルの満充電容量の初期値に対する積算電流量の割合が小さいほど大きくなるように劣化度合いを計算する。規定の満充電容量は、例えば電池セルの設計上の新品時点の満充電容量である。
【0048】
満充電容量の初期値が12Ahであり、計算した積算電流量が8Ahであった電池セルについて、コントローラ31は、劣化度合いを12Ah/8Ah=1.5と計算する。
【0049】
コントローラ31は、計算した複数の電池セルのそれぞれの劣化度合いをメモリ32に格納する(ステップS15)。すなわち、コントローラ31は、メモリ32に記憶された劣化度合いテーブルに、電池セルごとの劣化度合いを登録する。
【0050】
図3は、劣化度合いテーブルの例を示す図である。図3に示すように、劣化度合いテーブル321は、「セル番号」列及び「劣化度合い」列を含む。
【0051】
「セル番号」列にはセル番号が格納される。セル番号は、電池パック10に含まれる電池セルを識別する番号である。ここでは、図1の電池セル101、電池セル102、電池セル103及び電池セル104、のセル番号は、それぞれ「1」、「2」、「3」及び「4」であるものとする。
【0052】
例えば、図3に示すように、コントローラ31は、セル番号が「4」である電池セルの劣化度合いとして「1.5」を登録する。
【0053】
図4を用いて、コントローラ31による交換判定に関する処理を説明する。図4は、電池セルの交換判定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【0054】
まず、コントローラ31は、電池パック10の動作開始を検出する(ステップS21)。電池パック10の動作は、例えば放電及び充電である。すなわち、コントローラ31は、電池パック10の放電及び充電の開始とともに交換判定に関する処理を開始する。
【0055】
コントローラ31は、車両1がモータ20の駆動によりEVとして走行を開始したときに、電池パック10の動作開始を検出する。コントローラ31は、電池パック10のプラグイン充電が開始されたときに、電池パック10の動作開始を検出してもよい。
【0056】
コントローラ31は、電池パック10に備えられた電流センサから、電池パック10の方向に電流が流れていること、電池パック10からモータ20等に電流が流れていることを示す信号を受信することで動作開始を検出することができる。
【0057】
コントローラ31は、車両1に備えられた充電制御ECU、又はモータ20を制御するECU等から、電池パック10の動作が開始されたことを示す信号を受信してもよい。
【0058】
コントローラ31は、図2に示す劣化度合いを計算する処理を、図4の処理と並行して実行することができる。
【0059】
コントローラ31は、交換判定処理を実行する(ステップS22)。すなわち、コントローラ31は、電池パック10の各電池セルが交換対象であるか否かを判定する。交換判定処理の詳細については後述する。
【0060】
続いて、コントローラ31は、タイマーをリセットする(ステップS23)。そして、コントローラ31は、タイマーのリセットから規定の時間が経過するまで待機する(ステップS24、No)。規定の時間は、例えば10分である。
【0061】
コントローラ31は、タイマーのリセットから規定の時間が経過すると(ステップS24、Yes)、電池パックが動作中であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0062】
コントローラ31は、電池パック10が動作中でない場合(ステップS25、No)、処理を終了する。すなわち、コントローラ31は、電池パック10の動作中は、10分周期でステップS26以降の処理を実行する。
【0063】
コントローラ31は、電池パック10が動作中である場合(ステップS25、Yes)、電池パック10に備えられたサーミスタを介して、複数の電池セルのそれぞれの温度を取得する(ステップS26)。そして、コントローラ31は、取得した電池セルの温度を、測定した日時とともにメモリ32に格納する(ステップS27)。すなわち、コントローラ31は、メモリ32に記憶された温度ログテーブルに、各時点の各電池パックの温度を登録する。また、コントローラ31は、ステップS27の後、ステップS23に戻る。
【0064】
図5は、温度ログテーブルの例を示す図である。図5に示すように、温度ログテーブル322は、「セル番号」列、「日時」列及び「温度」列を含む。
【0065】
「セル番号」列にはセル番号が格納される。セル番号は、電池パック10に含まれる電池セルを識別する番号である。温度ログテーブル322のセル番号は、劣化度合いテーブル321のセル番号と対応する。
【0066】
「日時」列には温度が取得された日時が格納される。「温度」列には、取得された温度が格納される。
【0067】
例えば、図5に示すように、コントローラ31は、セル番号が「4」である電池セルの「2022/12/10 9:10」に取得された温度を「12℃」と登録する。
【0068】
図6を用いて、交換判定処理(図4のステップS22)の詳細を説明する。図6は、電池セルの交換判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0069】
図6のフローチャートに示す処理は、電池パック10が動作するたびに繰り返し行われるため、ステップS22が実行される時点においては、前回までに行われた処理によって温度ログテーブル322には温度が登録済みであるものとする。
【0070】
まず、コントローラ31は、複数の電池セルのそれぞれの劣化度合いをメモリ32から読み込む(ステップS2201)。すなわち、コントローラ31は、メモリ32から劣化度合いテーブル321を読み込む。
【0071】
コントローラ31は、劣化度合いテーブル321を参照し、劣化度合いの最大値が即交換閾値以上であるか否かを判定する(ステップS2202)。コントローラ31は、メモリ32に記憶された閾値テーブルから即交換閾値を取得する。
【0072】
図7は、閾値テーブルの例を示す図である。図7に示すように、閾値テーブル323は、「種別」列及び「値」列を含む。
【0073】
「種別」列には閾値の種別が格納される。閾値の種別は、即交換閾値及び同時交換閾値(初期値)のいずれかである。「値」列には閾値の値が格納される。また、各閾値は、劣化度合いとの間で大小が比較される。
【0074】
即交換閾値は同時交換閾値(初期値)よりも大きいものとする。図7では、即交換閾値は「2」である。図7では、同時交換閾値(初期値)は「1.9」である。
【0075】
図3に示すように、セル番号が「2」である電池セルの劣化度合いは「2.1」であり、即交換閾値である「2」以上である。
【0076】
図6に戻り、コントローラ31は、劣化度合いの最大値が即交換閾値以上でない場合(ステップS2202、No)、処理を終了する。
【0077】
コントローラ31は、劣化度合いの最大値が即交換閾値以上である場合(ステップS2202、Yes)、複数の電池セルのそれぞれの温度をメモリ32から読み込む(ステップS2203)。すなわち、コントローラ31は、メモリ32から温度ログテーブル322を読み込む。
【0078】
ここで、コントローラ31は、複数の電池セルのそれぞれについて、読み込んだ温度の区間ごとの度数をカウントする(ステップS2204)。すなわち、コントローラ31は、温度ログテーブル322を基に、各電池セルの温度の区間ごとの度数分布テーブルを作成する。
【0079】
図8は、度数分布テーブルの例を示す図である。図8に示すように、度数分布テーブル324は、セル番号によって特定される電池セルごとの、温度の区間ごとの度数を含む。度数分布テーブル324のセル番号は、温度ログテーブル322のセル番号、及び劣化度合いテーブル321のセル番号と対応する。
【0080】
度数分布テーブル324は、交換判定処理の過程において使用されるものである。このため、度数分布テーブル324は、メモリ32の揮発性の領域に一時的に作成されるものであってもよい。コントローラ31は、図8に示すような度数分布テーブル324に限らず、配列等の任意の形式で度数を表すことができる。
【0081】
温度の区間は「0℃未満」、「0℃以上5℃未満」、「20℃以上25℃未満」、「35℃以上」のように表される。図8では、温度の区間の幅は、「0℃未満」及び「35℃以上」を除き、5℃である。温度の区間の幅は、5℃に限られない。
【0082】
コントローラ31は、複数の電池セルのそれぞれについて、度数がピークを取る区間を特定する(ステップS2205)。すなわち、コントローラ31は、各電池セルの、計測された頻度が最も多かった温度の区間を特定する。
【0083】
図8に示すように、セル番号が「1」である電池セルの度数は、区間「10℃以上15℃未満」においてピークの「32」を取る。また、セル番号が「2」である電池セルの度数は、区間「25℃以上30℃未満」においてピークの「34」を取る。また、セル番号が「3」である電池セルの度数は、区間「20℃以上25℃未満」においてピークの「30」を取る。また、セル番号が「4」である電池セルの度数は、区間「15℃以上20℃未満」においてピークの「30」を取る。
【0084】
コントローラ31は、特定した区間の基準値の最大値と最小値の差を計算する(ステップS2206)。すなわち、コントローラ31は、度数のピーク間のばらつきを計算する。
【0085】
区間の基準値は、区間の下限値と上限値の平均値である。この場合、コントローラ31は、区間「15℃以上20℃未満」の基準値を、「(15+20)/2=17.5」と計算する。区間「0℃未満」の基準値は「0」である。区間「35℃以上」の基準値は「35」である。
【0086】
区間の基準値は、区間の下限値であってもよい。区間の基準値は、区間の上限値であってもよい。
【0087】
図8に示すように、区間の基準値の最大値は、セル番号が「2」である電池セルの度数がピークを取る区間「25℃以上30℃未満」の基準値である「27.5」である。また、区間の基準値の最小値は、セル番号が「1」である電池セルの度数がピークを取る区間「10℃以上15℃未満」の基準値である「12.5」である。
【0088】
コントローラ31は、区間の基準値の最大値と最小値の差を「27.5-12.5=15」と計算する。
【0089】
度数分布テーブル324に基づく折れ線のヒストグラムを図9に示す。図9を用いて、基準値の最大値と最小値の差を説明する。図9は、ヒストグラムの例を示す図である。
【0090】
図9に示すヒストグラムの縦軸は、度数分布テーブル324の度数に対応する。ヒストグラムの横軸は、度数分布テーブル324の温度の区間の基準値に対応する。すなわち、ヒストグラムの各折れ線は、それぞれ各セル番号の区間ごとの度数を表している。
【0091】
差301は、基準値の最大値と基準値の最小値との差である。基準値の最大値は、セル番号が「2」である電池セルの度数がピークを取る区間「25℃以上30℃未満」の基準値である「27.5」である。また、基準値の最小値は、セル番号が「1」である電池セルの度数がピークを取る区間「10℃以上15℃未満」の基準値である「12.5」である。
【0092】
図6に戻り、コントローラ31は、係数マップテーブルをメモリ32から読み込む(ステップS2207)。すなわち、コントローラ31は、同時交換閾値を補正するための情報を取得する。
【0093】
図10は、係数マップテーブルの例を示す図である。図10に示すように、係数マップテーブル325は、「差」列と「係数」列を含む。
【0094】
「差」列には、基準値の最大値と最小値との差が取り得る値が格納される。「係数」列には、差ごとの対応する係数が格納される。係数は、次のステップS2208で使用される。
【0095】
図6に戻り、コントローラ31は、係数マップテーブル325を基に、計算した差に対応する係数を特定する(ステップS2208)。コントローラ31は、計算した差が「15」であるため、係数マップテーブル325から「0.8」を係数として取得する。
【0096】
コントローラ31は、特定した係数、及び同時交換閾値の初期値から、同時交換閾値の補正値を計算する(ステップS2209)。具体的には、コントローラ31は、同時交換閾値の初期値である「1.9」に、係数「0.8」を掛ける。すなわち、コントローラ31は、同時交換閾値の補正値を「1.9×0.8=1.52」と計算する。
【0097】
図7に示すように、同時交換閾値の初期値は、即交換閾値より小さい。また、図10に示すように、係数は、基準値の最大値と最小値との差に対応付けられている。なお、係数は1以下である。また、基準値の最大値と最小値との差は、ピーク間のばらつきの大きさの例である。
【0098】
これにより、同時交換閾値の初期値が上限値(ガード)となり、補正後の同時交換閾値が即交換閾値を超えることが防止される。同時交換閾値は、劣化度合いが即交換閾値以上である電池セルよりも劣化度合いが小さい電池セルの中から交換対象を抽出するものである。このため、即交換閾値を超えた同時交換閾値は、設定される意味がない。
【0099】
このように、コントローラ31は、複数の電池セルのそれぞれの温度に基づき、同時交換閾値を設定する。
【0100】
具体的には、コントローラ31は、電池セルのそれぞれについて、一定の期間における温度の度数分布を計測する。一定の期間は、例えば1日である。コントローラ31は、度数分布のそれぞれにおけるピーク間のばらつきが大きいほど、同時交換閾値を小さくする。
【0101】
これにより、コントローラ31は、劣化に関するパラメータ(例えば、温度)のばらつきを同時交換閾値に反映させることができる。コントローラ31は、電池パック10の使われ方、又は使用環境に応じて、動的に同時交換閾値を設定することができる。その結果、電池セル間の劣化度合いのばらつきが抑えられ、電池セルが本来の性能を発揮しやすくなる。
【0102】
コントローラ31は、同時交換閾値の補正値以上の劣化度合いが、最大の劣化度合い以外に存在するか否かを判定する(ステップS2210)。すなわち、コントローラ31は、同時交換閾値の初期値である「1.9」ではなく、同時交換閾値の補正値である「1.52」以上の劣化度合いの存在を確認する。
【0103】
図3に示すように、セル番号が「3」である電池セルの劣化度合いは「1.7」であり、同時交換閾値の補正値である「1.52」以上である。
【0104】
コントローラ31は、同時交換閾値の補正値以上の劣化度合いが、最大の劣化度合い以外に存在する場合(ステップS2210、Yes)、即交換閾値を超えた電池セルと同時交換閾値を超えた電池セルの両方が存在することを通知する(ステップS2211)。言い換えると、コントローラ31は、劣化度合いが、即交換閾値未満、かつ同時交換閾値の補正値以上である電池セルが存在する場合、ステップS2211へ進む。
【0105】
コントローラ31は、劣化度合いが即交換閾値を超えた電池セルとしてセル番号が「2」の電池セルが存在し、劣化度合いが同時交換閾値を超えた電池セルとしてセル番号が「3」の電池セルが存在することを、出力装置40を介して通知する。これにより、コントローラ31は、セル番号が「2」の電池セルとセル番号が「3」の電池セルの両方の交換を促す。
【0106】
コントローラ31は、同時交換閾値の補正値以上の劣化度合いが、最大の劣化度合い以外に存在しない場合(ステップS2210、No)、即交換閾値を超えた電池セルが存在することを通知する(ステップS2212)。
【0107】
仮に、セル番号が「3」の電池セルの劣化度合いが「1.52」未満である場合、コントローラ31は、同時交換閾値を超えた電池セルが存在することを通知しない。
【0108】
コントローラ31は、ステップS2211とステップS2210に共通して、交換対象の電池セルが存在することから、車両1を自動車整備工場に持ち込む必要があることをユーザに通知してもよい。その場合、車両1が持ち込まれた自動車整備工場において特定の操作が行われた場合に、コントローラ31は、即交換閾値を超えた電池セルのセル番号、及び同時交換閾値を超えた電池セルのセル番号を出力する。
【0109】
図11は、実施形態の効果を説明する図である。図11には、時間の経過(横軸)にともない電池セルの劣化度合い(縦軸)が増加することが示されている。セル番号が「1」の電池セルが第1の電池セルである(実線の矢印に対応)。また、セル番号が「3」の電池セルが第2の電池セルである(一点鎖線の矢印に対応)。
【0110】
図11に示すように、電池パックに含まれる複数の電池セルのうち、第1の電池セルの劣化度合いが即交換閾値を超えた場合に、コントローラ31は、第1の電池セルを交換対象と判定する(図6のステップS2202に対応)。
【0111】
第1の電池セルの劣化度合いが即交換閾値を超えた際に、第2の電池セルの劣化度合いは、同時交換閾値(初期値)以下である。一方、第1の電池セルの劣化度合いが即交換閾値を超えた際に、第2の電池セルの劣化度合いは、同時交換閾値(補正値)以上である。
【0112】
コントローラ31は、第2の電池セルの劣化度合いが同時交換閾値(補正値)以上であることから、第2の電池セルを交換対象と判定する(図6のステップS2210に対応)。
【0113】
図14を用いて説明した通り、従来であれば同時交換閾値(補正値)ではなく同時交換閾値(初期値)が使用されるため、第2の電池セルは交換対象と判定されない。その結果、従来であれば、時間tと時間tとの間の期間において、交換後の第1の電池セルと未交換の第2の電池セルとの間で劣化度合いのばらつきが大きくなる。そして、前述の通り、劣化度合いが小さい交換後の第1の電池セルは、本来の性能を発揮できない。
【0114】
一方で、図11に示すように、本実施形態では、時間tにおいて第1の電池セルと第2の電池セルが交換される。その結果、時間tと時間tとの間の期間において、第1の電池セルと第2の電池セルとの間の劣化度合いのばらつきが抑えられる。これにより、劣化度合いが小さい交換後の第1の電池セル及び第2の電池セルは、本来の性能を発揮しやすくなる。
【0115】
電池パックの充電及び放電における電流レートが大きいほど、電池セルが劣化しやすくなるのに加えて、各電池セル間の劣化度合いのばらつきが大きくなる。
【0116】
このため、従来は、使用環境によっては、電池セルの性能を十分に発揮できないだけでなく、図14に示すように電池セルの交換後に短期間で再度交換が発生するケースがあった。この場合、電池パックのユーザ(例えば、電池パックを搭載した車両のドライバ)に不信感を抱かせ、満足度を低下させることになる。
【0117】
本実施形態によれば、このような短期間で再度交換が発生するケースを抑止することで、ユーザの満足度の低下を抑止することができる。
【0118】
(変形例1)
コントローラ31は、複数の電池セルのそれぞれの温度の代わりに複数の電池セルのそれぞれの電流に基づき同時交換閾値を補正してもよい。その場合、コントローラ31は、電流センサから取得した複数の電池パックのそれぞれの電流をメモリ32に記憶させる。コントローラ31は、メモリ32に記憶された電流の度数分布テーブルを作成する。温度及び電流は、いずれも複数の電池の劣化に関するパラメータの例である。
【0119】
電流の度数分布テーブルに基づく折れ線のヒストグラムを図12に示す。図12は、変形例のヒストグラムの例を示す図である。
【0120】
図12に示すヒストグラムの縦軸は、度数分布テーブルの度数に対応する。ヒストグラムの横軸は、度数分布テーブルの電流の区間の基準値に対応する。すなわち、ヒストグラムの各折れ線は、それぞれ各セル番号の区間ごとの度数を表している。
【0121】
差302は、基準値の最大と基準値の最小値との差である。基準値の最大値は「130」である。「130」は、セル番号が「2」である電池セルの度数がピークを取る区間「120A以上140A未満」の基準値である。また、基準値の最小値は「70」である。「70」は、セル番号が「1」である電池セルの度数がピークを取る区間「60A以上80A未満」の基準値である。
【0122】
コントローラ31は、温度の場合と同様に、差302を基に同時交換閾値の初期値を補正する。コントローラ31は、差302が大きいほど補正後の同時交換閾値を小さくする。
【0123】
電池パックの温度は、流れる電流が大きいほど高くなる傾向がある。このため、電流を基に同時交換閾値を補正する場合も、温度を基に同時交換閾値を補正する場合と同様に、劣化に関するパラメータのばらつきを同時交換閾値に反映させることができるという効果が得られる。
【0124】
(変形例2)
これまで、コントローラ31が、各電池パックの度数分布における度数のピークの最大値と最小値との差を、ピーク間のばらつきとして計算する場合について説明した。一方で、コントローラ31は、各電池パックの度数分布における度数のピークの分散又は標準偏差をピーク間のばらつきとして計算してもよい。
【0125】
コントローラ31は、各電池パックの度数分布における度数のピークの分散又は標準偏差が大きいほど、補正後の同時交換閾値を小さくする。例えば、コントローラ31は、度数分布テーブル324はから、セル番号ごとの度数の最大値(ピーク)を取得する。そして、コントローラ31は、取得したピークの分散を計算し、計算した分散が大きいほど同時交換閾値を小さく補正する。これにより、特に電池セルが3つ以上の場合に、ピークが最大値又は最小値を取る電池セル以外の電池セルの状態を考慮して同時交換閾値を補正できるという効果が生じる。
【0126】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 車両
10 電池パック
20 モータ
30 電池ECU
31 コントローラ
32 メモリ
33 入出力インタフェース
40 出力装置
101、102、103、104 電池セル
321 劣化度合いテーブル
322 温度ログテーブル
323 閾値テーブル
324 度数分布テーブル
325 係数マップテーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14