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特開2024-135366情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135366
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0635 20230101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q10/0635
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046003
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】高 明淑
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亨
(72)【発明者】
【氏名】西野 兼治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀晟
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】対象機器で発生したイベントに関連のあるセンサの計測データを確認することを支援する。
【解決手段】本実施形態の情報処理装置は、少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供する、処理部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、
前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供する、処理部
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記指示情報は、前記計測データと前記対象イベント属性とを含む出力データの出力を指示する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記サーバは、ユーザの操作により前記出力データを編集可能であり、
前記出力データの編集として、前記ユーザの操作により指定されたセンサの計測データの追加、及び、前記出力データに含まれている前記センサの計測データの削除が可能であり、
前記処理部は、編集後の前記出力データに前記計測データが含まれるセンサのセンサ識別子と前記対象イベント属性とを含む更新情報を前記サーバから取得し、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性とを対応づけて前記データベースに格納する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記データベースから前記対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を複数取得し、
複数の前記対象センサ識別子において互いに異なる対象センサ識別子ごとに前記対象センサ識別子の個数を計数し、
前記個数に基づいて、1つ以上の前記対象センサ識別子を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象イベント属性は、前記対象イベントの識別子と、前記対象イベントが発生したサイトを示すサイト情報とを含み、
前記データベースにおける前記イベント属性は、イベントの識別子と、前記イベントが発生したサイトのサイト情報とを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記データベースにおいて前記イベント属性と前記センサ識別子とユーザ属性とが対応づいており、
前記処理部は、前記データベースにおいて前記対象イベント属性に対応する、対象センサ識別子及び前記ユーザ属性の組を複数取得し、
ユーザ属性と信頼値とが対応付いた情報に基づき、複数の前記組における前記ユーザ属性に対応する信頼値を取得し、取得した前記信頼値に基づいて、複数の前記組における複数の前記対象センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記更新情報は、前記操作を行った前記ユーザの識別子を含み、
前記処理部は、ユーザの識別子とユーザ属性とが対応づいた情報に基づき、前記更新情報に含まれる前記ユーザの識別子に対応するユーザ属性を取得し、
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性と取得した前記ユーザ属性とを対応付けて前記データベースに格納する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記データベースにおいて前記イベント属性と前記センサ識別子と気象情報とが対応づいており、
前記処理部は、前記データベースにおいて前記対象イベント属性に対応する、対象センサ識別子及び前記気象情報の組を複数取得し、
前記処理部は、前記対象イベントの発生時刻における気象情報を取得し、取得した前記気象情報に基づき、複数の前記組から1つ以上の組を選択し、選択した前記組における前記対象センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性と、前記対象イベントの発生時刻における前記気象情報とを対応づけて前記データベースに格納する
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記データベースに前記イベント属性と前記センサ識別子と機器の運転モードとが対応づいており、
前記処理部は、前記対象イベント属性に対応する、対象センサ識別子及び前記運転モードの組を複数取得し、
前記処理部は、前記対象イベントの発生時刻における前記対象機器の運転モードを取得し、取得した前記運転モードに基づき、複数の前記組から1つ以上の組を選択し、選択した前記組における前記対象センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性とに前記対象イベントの発生時刻における前記対象機器の運転モードを対応づけて前記データベースに格納する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記対象イベントは、前記少なくとも1つのセンサのうちの検知センサの値に基づいて検知され、
前記指示情報は、前記計測データと前記検知センサの識別子とを含む出力データの出力を指示し、
前記サーバは、ユーザの操作により前記出力データを編集可能であり、
前記出力データの編集として、前記ユーザの操作により指定されたセンサの計測データの追加、及び、前記出力データに含まれている前記センサの計測データの削除が可能であり、
前記処理部は、編集後の前記出力データに前記計測データが含まれるセンサのセンサ識別子と、前記検知センサの識別子とを含む更新情報を前記サーバから取得し、
前記更新情報に含まれる前記検知センサの識別子に対応するイベント属性を、検知センサの識別子とイベント属性とを対応づけた情報に基づき取得し、
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と、取得した前記イベント属性とを対応づけて前記データベースに格納する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記対象イベントの発生時刻に基づき、前記計測データの出力期間を決定し、前記出力期間の前記計測データを出力する前記指示情報を前記サーバに提供する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記データベースにおいて、前記イベント属性と、1つ以上のセンサ識別子の組とが対応づいており、
前記対象イベント属性に対応する前記センサ識別子の組であって、前記センサ識別子の組み合わせが異なる組が複数存在し、
前記処理部は、前記対象イベント属性に対応する複数の前記組を取得し、複数の前記組に含まれるセンサ識別子ごとに前記センサ識別子が含まれる前記組の個数を計数し、前記個数に基づいて、複数の前記組に含まれる複数の前記センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記対象イベント属性は、前記対象イベントの識別子と、前記対象機器の構成情報とを含み、
前記データベースにおける前記イベント属性は、イベントの識別子と、前記イベントが発生した機器の構成情報とを含む、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記処理部は、前記対象イベントの発生を示すイベント発生情報を受信することにより前記対象イベントの発生を検知し、前記イベント発生情報は前記対象イベント属性を含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記対象イベントは、前記対象機器のトラブルである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのセンサは複数のセンサである
請求項1~17のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項19】
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、
前記複数のセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供する
情報処理方法。
【請求項20】
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知するステップと、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得するステップと、
前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項21】
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、
前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報を生成する
処理部と、
前記少なくとも1つのセンサの計測データを記憶するセンサデータベースから、前記指示情報に従って前記センサの計測データを読み出し、読み出した前記計測データを出力するサーバと、
を備えた情報処理システム。
【請求項22】
前記対象機器をさらに備えた請求項21に記載の情報処理システム。
【請求項23】
前記サーバは、前記計測データを、ユーザの端末に送信する
請求項21に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インフラ設備などメンテナンスの実施によって長期間稼働させるシステムでは、計画外のトラブルが発生した際に、解決策を早く特定するための原因調査が重要になる。センシングデバイスを対象システムに設置してセンサデータを取得している場合、トラブル発生時にユーザがトラブルに関連のあるセンサを特定してセンサデータを可視化し、トラブルの原因を特定することがある。類似のトラブルが発生すると、そのたびに類似の可視化作業を行って原因を特定するという繰り返し作業が発生する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-039101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、対象機器で発生したイベントに関連のあるセンサの計測データを確認することを支援する情報処理装置、情報処理方法、コンピュータプログラム及び情報処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の情報処理装置は、少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供する、処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るトラブル原因調査支援システムの一例のブロック図。
図2】トラブル発生情報の一例を含む図。
図3】ダッシュボードの一例を示す図。
図4】トラブル関連DBに記憶されたデータの例を示す図。
図5】ダッシュボード構成データの例を示す図。
図6】ダッシュボード構成データの更新例を示す図。
図7】フィードバック更新情報に基づきトラブル関連DBを更新する例を示す図。
図8】トラブル原因調査支援システムがダッシュボードを生成する動作の例を示すフローチャート。
図9】ステップS104の詳細フローチャート。
図10】描画指示情報を受信したダッシュボードサーバの動作の一例のフローチャート。
図11】フィードバック更新情報に基づきトラブル関連DBを更新する動作の一例のフローチャート。
図12】ダッシュボードIDをトラブル関連DBにおける各タグに含めた例を示す図。
図13】第2実施形態に係るトラブル原因調査支援システムの一例のブロック図。
図14】従業員DBの例を示す図。
図15】スコアテーブルの例を示す図。
図16】フィードバック更新情報に基づきトラブル関連DBにデータを登録する例を示す図。
図17】センサ選定部の動作の一例を示すフローチャート。
図18】スコア平均計算結果例を示す図。
図19】第3実施形態に係るトラブル原因調査支援システムの一例のブロック図。
図20】気象情報DBの一例を示す図。
図21】トラブル関連DBにデータを登録する例を示す図。
図22】第4実施形態に係るトラブル原因調査支援システムの一例のブロック図。
図23】運転データDBの一例を示す図。
図24】トラブル関連DBにデータを登録する例を示す図。
図25】第5実施形態に係るトラブル原因調査支援システムのブロック図。
図26】トラブル検知センサマスタの一例を示す図。
図27】トラブル属性抽出部とトラブル属性付与部の動作例のフローチャート。
図28】本実施形態に係る情報処理装置としてのトラブル原因調査支援装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るトラブル原因調査支援システム1の一例のブロック図である。トラブル原因調査支援システム1は、情報処理装置であるトラブル原因調査支援装置10と、監視システム20とを備えている。トラブル原因調査支援システム1は、さらにユーザが操作する端末40を含んでもよく、またサイト50に配置される監視対象となる機器を含んでもよい。トラブル原因調査支援装置10と、監視システム20とはインターネット等の通信ネットワークを介して接続されている。但し、トラブル原因調査支援装置10と監視システム20とが、同じコンピュータ装置よって構成されているなど他の構成でもよい。
【0009】
トラブル原因調査支援装置10は、処理部100と、トラブル関連DB110とを備えている。処理部100は、トラブル発生検知部120と、トラブル属性取得部130と、センサ抽出部140と、センサ選定部150と、描画指示情報生成部160と、描画指示情報提供部170と、更新情報取得部180と、センサ登録部190と、を備えている。
【0010】
監視システム20は、ダッシュボードサーバ210と、センサデータDB220と、トラブル発生ログDB230とを備えている。
【0011】
監視システム20は、遠隔のサイト50に配置された監視対象となる機器を監視する。サイト50では1つ以上の機器が稼働している。図では2つのサイトが示されるが、サイトは1つでもよいし、複数でもよい。機器は、メンテナンスの実施によって長期間稼働することが想定される機器である。例えば、エレベータ又は発電機などのインフラ設備などがある。個々の機器1つ1つには複数のセンサが配置されている。複数のセンサは一定時間間隔で機器を計測し、計測値及び計測時刻等を含むデータを監視システム20に送信する。監視システム20は、センサから受信したデータをセンサのID(センサ識別子)及びサイトIDに関連付けてセンサデータDBに格納する。これによりセンサデータDBにはサイトごと及び機器ごとに、複数のセンサのそれぞれの計測値の時系列データが計測データとして蓄積される。
【0012】
サイト50には機器の他、機器で発生するイベント(対象イベント)を検知し、発生したイベントに関する属性等の情報を含むイベント発生情報を、監視システム20に送信するイベント発報装置が配置されている。一例としてイベントは、機器の故障等のトラブルである。この場合、イベント発報装置は、機器のトラブルを検知し、発生したトラブルに関する情報を含むトラブル発生情報を、監視システム20に送信する。監視システム20は、サイト50のトラブル発報装置からトラブル発生情報を受信すると、トラブル発生情報をトラブル発生ログDB230に格納するとともに、トラブル発生情報をトラブル原因調査支援装置10に送信する。トラブル発生ログDB230は、これまで受信されたトラブル発生情報がログとして記憶されている。本実施形態ではイベントとしてトラブルを扱うが機器の状態の変化に関するものであれば、トラブルに限定されない。例えばトラブルではないが通常と異なる動作又は発生頻度が少ない動作がイベントとして検出されてもよい。
【0013】
図2は、トラブル発生情報の一例を示す。トラブルID、トラブル名(トラブルの内容)、トラブル発生時刻、発生サイトID、検知センサのIDが含まれる。検知センサは、トラブルを検知したセンサである。トラブルIDは、事前にトラブルマスタに登録されたトラブル種別(例えばトラブルの名前)を表すコードである。トラブルマスタは、ダッシュボードサーバ210に記憶されている。
【0014】
ユーザは、トラブル発生時にトラブルの原因を確認するために検知センサとは別に、トラブルに関連のある他のセンサの計測データを確認し、トラブル発生時の機器の稼働状況や動作を確認する必要がある。本実施形態は、ユーザが確認するためのセンサを選択する作業の負荷等を軽減するため、センサの選択を本装置10が行う。本装置10、選択したセンサの計測データ等を含むダッシュボード(出力データ又は表示画面データ)の生成指示をダッシュボードサーバ210に送る。ダッシュボードサーバ210は、ダッシュボードの作成・閲覧・編集機能をユーザに提供するアプリケーション(ダッシュボードアプリ)のサービスを提供する。より具体的には、ダッシュボードサーバ210は、センサの計測データがプロットされたグラフ、トラブルの情報、操作権限のあるユーザの情報、などを集合的に含むダッシュボードを作成・編集・閲覧する機能をユーザに提供するサーバである。ダッシュボードサーバ210は、生成指示に従って、ダッシュボードを生成するとともに、このダッシュボードへのリンク(例えばURL等)をユーザの端末40に送信し、ユーザは、端末40に表示されたURLからこのダッシュボードへアクセスする。これにより、ユーザはトラブルに関連のあるセンサの計測データを容易に確認できる。つまり、ユーザは、ダッシュボードサーバ210のアプリケーション(ダッシュボードアプリ)の画面で計測データを表示するべきセンサの選択を行う作業を軽減できる。
【0015】
図3は、ダッシュボードサーバ210により作成されるダッシュボードの一例を示す。4つのセンサ(本例ではセンサIDが123,188,134,124のセンサ)の計測データが表示されている。センサIDがXXX(Xには任意の数字が入る)のセンサを以下ではセンサXXXと記載する。計測データには、少なくともトラブル発生前後のデータが含まれる。計測データのデータ範囲(描画期間又は出力期間)も表示されている。またダッシュボードにアクセスするURLが表示されている。またトラブルID及びその内容(トラブルの名前等)の情報が含まれている。またダッシュボードを閲覧しているユーザの情報(ユーザID、氏名)が表示されている。その他にもダッシュボードの作成日付など、様々な情報が含まれていてもよい。ユーザは、編集ボタン211を操作して、ダッシュボードで計測データを表示するセンサの変更・追加・削除、描画期間の変更等を行うことが可能である。
【0016】
ダッシュボードサーバ210のダッシュボードアプリサービスを利用するにはユーザに権限が必要である。ダッシュボードサーバ210には権限のあるユーザのID、氏名、属性などが格納されている。ダッシュボードサーバ210は端末40からアクセスしてきたユーザに対して、権限のあるユーザとして登録されている場合は、ダッシュボードアプリサービスの利用を許可し、登録されていなければダッシュボードアプリサービスの利用を許可しない。
【0017】
トラブル原因調査支援装置10におけるトラブル発生検知部120は、監視システム20から送信されるトラブル発生情報(図2参照)を受信することによりトラブル(対象イベント)の発生を検知する。
【0018】
トラブル属性取得部130は、トラブル発生情報からトラブルID、トラブル発生時刻、発生サイト、検知センサの情報をトラブル属性(対象イベント属性)として抽出する。
【0019】
トラブル関連DB110には、トラブル属性と、1つ又は複数のセンサID(センサ識別子)とが対応づいて格納されている。トラブル属性と、1つ又は複数のセンサID(センサ識別子)との同じ組が複数格納されている場合もあり得る。トラブルの発生日時又はトラブル関連DB110への登録日時又はこれらの両方、あるいはさらにその他の情報が格納されていてもよい。トラブル関連DB110は、イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースの一例である。
【0020】
図4は、トラブル関連DB110に記憶されたデータの例を示す。個々のデータがタグとして格納されている。図4では例示として1つのデータのみが示されているが、他にも多数のデータが格納されている。個々のデータは、トラブルID、発生サイト、センサIDを含む。{}で囲まれた部分が1つのデータである。[]で囲まれた部分に、複数のデータが格納されている。図4の例では、複数のタグを格納する形式でDBが構成されているがテーブル形式のDBでもよい。図4の構成では1つのデータに2以上のセンサIDを格納可能にしているが、1つのデータには1つのセンサIDのみを含めるようにしてもよい。1つのデータには1つのセンサIDのみを含める場合のトラブル関連DB110の構成例は後述する図11に示す。
【0021】
センサ抽出部140は、トラブル属性取得部130で取得されたトラブル属性に対応するセンサID(対象センサ識別子)を抽出する。例えばトラブル属性としてトラブルIDと発生サイトを用いる場合、トラブルIDと発生サイトとの両方が一致するデータをトラブル関連DB110から検出し、検出したデータに含まれるセンサIDを抽出する。トラブルIDと発生サイトとが一致するデータが複数存在する場合もあり得る。
【0022】
センサ抽出部140は、抽出したセンサIDをセンサ選定部150に送る。例えば、トラブル関連DB110で特定されたデータが3つあり、それぞれにセンサIDとして
(センサ123,センサ134)、
(センサ123,188)、
(センサ134,センサ100、センサ124)
が含まれているとする。この場合、(センサ123,センサ134)、(センサ123,188)、(センサ134,センサ100、センサ124)の3つの組を示す情報を送る。
【0023】
センサ選定部150は、センサ抽出部140から受けた情報に基づき、ダッシュボードで計測データを表示すべきセンサのセンサID(対象センサ識別子)を選定する。例えば、同じセンサIDごとの個数(回数)をカウントし、カウント値が上位X(Xは1以上の整数)個のセンサを選定してもよい。あるいは、センサ抽出部140から受けた情報に含まれるすべてのセンサIDを選定してもよい。あるいは、カウント値が所定値以上のすべてのセンサIDを選定してもよい。センサ選定部150は、選定したセンサIDを示す情報を描画指示情報生成部160に送る。
【0024】
描画指示情報生成部160は、センサ選定部150で選定されたセンサIDが示すセンサの計測データを描画する指示と、描画された計測データを含むダッシュボード(出力データ)を生成する指示を含む指示情報(描画指示情報)を生成する。描画指示情報は、計測データに加えて、トラブル属性取得部130で取得されたトラブル属性(イベント属性)の全部又は一部をダッシュボードに含めることを指示する情報でもよい。描画指示情報は、一例としてセンサ選定部150により選定されたセンサIDと、トラブル属性取得部130で取得されたトラブル属性とを含む。また描画指示情報生成部160はセンサの計測データを表示する期間(描画期間)(図3参照)を決定し、描画期間の情報を描画指示情報に含めてもよい。例えば、描画指示情報生成部160は、トラブルの発生時刻の前後の所定期間を描画期間として決定してもよい。
【0025】
描画指示情報提供部170は、描画指示情報生成部160によって生成された描画指示情報をダッシュボードサーバ210に提供する。例えば、描画指示情報提供部170は、通信ネットワークを介して描画指示情報をダッシュボードサーバ210宛に送信する。
【0026】
ダッシュボードサーバ210は、描画指示情報を受け、描画指示情報に基づきダッシュボードの生成に必要な項目とその情報を含むダッシュボード構成データを生成する。ダッシュボードサーバ210は、ダッシュボード構成データに従って、ダッシュボードを生成する。ダッシュボードサーバ210は、ダッシュボード構成データ及びダッシュボードをダッシュボードIDに関連付けて内部のダッシュボードDBに格納してもよい。なお、ダッシュボード構成データを描画指示情報生成部160又は描画指示情報提供部170で生成する構成もあり得る。
【0027】
図5は、ダッシュボード構成データの例を示す。この例は図3のダッシュボードに対応している。ダッシュボード構成データには、描画指示情報に含まれていたトラブル属性の情報(この例ではトラブルID、トラブル内容(例えば故障の名称)、発生サイト、発生時刻、検知センサID)が含まれる。描画指示情報に含まれていたセンサIDが含まれる。
ダッシュボードサーバ210は、センサIDが示すセンサの計測データが格納されているテーブルID(テーブル名)を特定するとともに、トラブル情報に基づき、ダッシュボードタイトルを生成する。またダッシュボードIDを決定する。ダッシュボードIDは他のダッシュボードとはユニークな値に決定する。これらテーブル名、ダッシュボードタイトル、ダッシュボードIDもダッシュボード構成データに含める。
テーブル名はセンサごとに存在し得るが、図示の例ではすべてのセンサでテーブル名が共通である。描画期間はユーザによって変更可能でもよい。図示された以外の情報がさらに含まれていてもよい。
【0028】
ダッシュボードサーバ210は、ダッシュボード構成データに基づき、センサの計測データ、トラブルの情報、タイトル、ダッシュボードIDなどを含めたダッシュボードを生成する。ユーザに提示するダッシュボードにはユーザの情報、操作ボタン、メニュー、閲覧日時なども含まれ得るが、このような情報は実際にユーザにダッシュボードを提示する際に、ダッシュボードに追加してもよい。ダッシュボードサーバ210は、生成したダッシュボードにアクセスするためのURL等のリンクの情報をユーザの端末40に送信する。ユーザは端末40に表示されたURL等のリンクをクリックすることで、ダッシュボードサーバ210にアクセスし、生成されたダッシュボードを閲覧することができる。
【0029】
ユーザは、ダッシュボードを参照して、トラブルの原因を特定する作業を行う。ユーザは、ダッシュボードに表示されているセンサでは原因の特定ができない場合は、編集ボタン211でセンサを追加したり、削除したりすることができる。またユーザは、編集ボタン211で、センサの計測データについて表示するデータ範囲(描画期間)の変更を指示することもできる。ダッシュボードサーバ210は、ユーザの指示に従って、ダッシュボードDBにおけるダッシュボード構成データを更新し、さらに、ダッシュボードを更新する。
【0030】
図6は、ダッシュボード構成データの更新例を示す。この例ではユーザが2つの新たなセンサ(new1と、new2)を追加し、また、センサ188を削除した場合を示す。またセンサの計測データのデータ範囲(描画期間)を変更することも可能である。
【0031】
ダッシュボードサーバ210は、ユーザの編集完了後、ダッシュボード構成データに基づきフィードバック更新情報を生成し、トラブル原因調査支援装置10に送信する。編集完了は完了ボタン(図示せず)をクリックすることで行ってもよいし、別途の指示を与えることで行ってもよい。フィードバック更新情報は、ダッシュボード構成データに含まれる情報の一部又は全部を含む。ダッシュボード構成データが更新されている場合は更新後のデータを用いる。フィードバック更新情報は、編集完了後、ダッシュボード更新データが更新されたか否か(すなわちダッシュボードが更新されたか否か)に拘わらず生成されてよい。ただし、更新が行われた場合のみ、フィードバック更新情報を生成することも可能である。
【0032】
本実施形態においては、フィードバック更新情報は、少なくとも、ダッシュボード構成データにおけるセンサIDのすべてと、トラブルIDとを含み、さらに発生サイト、発生時刻などを含んでもよい。例えば、ダッシュボード構成データが図6のように更新された場合は、フィードバック更新情報は、センサID(123,188,134,124,new1,new2)と、トラブルID:555と、発生サイトSSSとを含む。図5から更新されなかった場合は、フィードバック更新情報は、センサID(123,188,134,124)と、トラブルID:555、発生サイトSSSとを含む。フィードバック更新情報は、ダッシュボード構成データと同じ構成でもよい。以下の説明ではフィードバック更新情報は、ダッシュボード構成データと同じ構成である場合を想定する。
【0033】
更新情報取得部180は、ダッシュボードサーバ210からフィードバック更新情報を取得し、フィードバック更新情報をセンサ登録部190に送る。
【0034】
センサ登録部190は、フィードバック更新情報に基づき、トラブル関連DB110にデータ(タグ)を追加する。センサ登録部190は、トラブルIDと、発生サイトと、センサIDとをフィードバック更新情報から取得し、取得した情報を含むデータをタグとしてトラブル関連DB110に追加する。
【0035】
図7は、図6のフィードバック更新情報に基づきトラブル関連DB110を更新する例を示す。左図のフィードバック更新情報の一部が抽出されて、右図のトラブル関連DB110に新たにデータがタグとして追加されている。
【0036】
図8は、本実施形態に係る動作としてトラブル発生時に図1のトラブル原因調査支援システム1がダッシュボードを生成する動作の例を示すフローチャートである。トラブル発生検知部120がトラブル発生情報を監視システム20から受信することによりトラブルの発生を検知する(S101)。
【0037】
トラブル属性取得部130がトラブル発生情報からトラブル属性を取得する(S102)。例えば、トラブル属性として、トラブルID、トラブル名、トラブル発生時刻、発生サイト、検知センサの情報等を取得する。
【0038】
センサ抽出部140が、トラブル属性の一部または全部が一致するタグ(データ)をトラブル関連DB110からすべて検出し、検出したデータに含まれるセンサIDを抽出する(S103)。トラブル関連DB110が図4の例の場合は、トラブル属性の一部としてトラブルIDと発生サイトとの組が一致するタグを検出し、検出したタグに含まれるセンサIDをすべて抽出する。
【0039】
センサ選定部150は、センサ抽出部140によって抽出されたセンサIDに基づき、ダッシュボードに描画する対象となるセンサのセンサIDを選定する(S104)。
【0040】
図9は、ステップS104の詳細フローチャートである。センサ選定部150は、各センサIDが示すセンサの回数をカウントする(S201)。すなわち同一センサIDの個数をカウントする。回数の多い順にセンサIDをソートする。上位p(pは1以上の整数)個のセンサIDを選定する(S203)。
【0041】
描画指示情報生成部160は、センサ選定部150で選定されたセンサIDと、トラブル属性取得部130で取得されたトラブル属性の全部又は一部とを含む描画指示情報を生成する(S105)。描画指示情報は、センサIDが示すセンサの計測データの描画の指示をと、描画した計測データを含むダッシュボードの生成の指示とを含む。描画指示情報提供部170は、描画指示情報をダッシュボードサーバ210に送信する(S106)。
【0042】
図10は、描画指示情報を受信したダッシュボードサーバ210の動作の一例のフローチャートである。ダッシュボードサーバ210は描画指示情報をトラブル原因調査支援装置10から取得する(S301)。ダッシュボードサーバ210は、描画指示情報に従って、センサIDが示すセンサの計測データを内部のテーブルから取得し、取得した計測データ及びその他の情報(トラブル情報等)を配置したダッシュボードを生成する(同S301)。ダッシュボードをユーザの端末40に送信し、ユーザにダッシュボードを閲覧可能にする(同S301)。
【0043】
ダッシュボードサーバ210は、ユーザからの指示に従って、ダッシュボードに表示するセンサの計測データの追加・削除を行う。これによりダッシュボードを更新する(S302)。
【0044】
ダッシュボードサーバ210は、更新後のダッシュボードに基づきフィードバック更新情報を生成し、ダッシュボードが更新されていない場合は、元のダッシュボードに基づきフィードバック更新情報を生成する(S303)。フィードバック更新情報は、例えば、ダッシュボードに含まれるセンサID、及びトラブル属性(例えばトラブルID、発生サイト等)を含む。ダッシュボードサーバ210はフィードバック更新情報をトラブル原因調査支援装置10に送信する(同S303)。
【0045】
図11は、フィードバック更新情報に基づきトラブル関連DB110を更新する動作の一例のフローチャートである。更新情報取得部180がダッシュボードサーバ210からフィードバック更新情報を取得する(S401)。センサ登録部190が、フィードバック更新情報からトラブル属性及びセンサIDを抽出し(S402)、トラブル属性及びセンサIDを関連付けてトラブル関連DB110に登録する(S403)。
【0046】
以上、本実施形態によれば対象機器においてトラブルの発生が検知された場合に、トラブル属性に対応するセンサIDをトラブル関連DB110から抽出し、抽出したセンサIDに基づき、ダッシュボードに計測データを描画する対象となるセンサを決定する。これにより、ダッシュボードを作成する際にユーザがセンサを選択する作業の負荷を軽減でき、よって対象機器で発生したイベントに関連のあるセンサの計測データを確認することを支援することができる。また、トラブル関連DB110には過去にユーザが選択したセンサのセンサIDが、トラブル属性に関連付いているため、ダッシュボードで描画される対象となるセンサは、ユーザが確認したいセンサに一致する可能性が高い。よってダッシュボードにセンサの追加・削除を行う回数を減らすことができ、ユーザの負荷を低減できる。このようにして、本実施形態によれば、同じサイト・他サイトで発生した故障事象の調査で可視化したセンサの情報を共有し、次回以降の故障・異常発生時の調査で行うセンサ可視化作業自体を省力化できる。よって、トラブル発生時の原因調査のために行うセンサデータの可視化の繰り返し作業を軽減できる。
【0047】
(変形例1)
図4又は図7に示した例では、トラブル関連DB110おいて1つのタグ(データ)に複数のセンサIDを対応づけたが、1つのデータには1つのセンサIDのみを対応づける構成も可能である。この場合は、個々のデータ、これら複数のセンサIDが対応関係にあることを示す情報を追加すればよい。例えばこれらのセンサIDが共通に含まれていたダッシュボードのダッシュボードIDを追加してもよい。あるいは、ダッシュボードの作成日時を付与してもよいし、任意のIDを付与してもよい。なお、ダッシュボードIDはフィードバック更新情報から取得できる。
【0048】
図12は、ダッシュボードIDをトラブル関連DB110における各データに含めた例を示す。このようにダッシュボードIDを付与することで過去にどのセンサIDの組み合わせが同じダッシュボードで用いられたのかを容易に特定できる。
【0049】
上述の実施形態ではセンサ選定部150では、センサ抽出部140で抽出されたセンサIDの個数を同じセンサIDごとにカウントし、上位p個のセンサIDを選定したが、同じダッシュボードで用いられたセンサの組を利用したセンサIDの選定も可能である。
【0050】
例えば図4又は図7に示した構成のトラブル関連DB110の場合、トラブル関連DB110から抽出したデータに示されるセンサIDの組を取得する。図4又は図7の例では、(123,188,134,124)を取得する。図12の構成でトラブル関連DB110が構成されている場合、同じダッシュボードIDを有するセンサIDを組み合わせることでセンサIDの組を取得することができる。トラブル関連DB110から抽出した全データで同様にして、センサIDの組を取得する。そして、同じセンサIDの組が重複しないように、重複する組を削除する。例えば、例えばセンサIDの組として(123,188,134,124)が9個得られた場合は、8個を削除して、(123,188,134,124)を1つとする。このようにしてセンサIDの組み合わせが異なるセンサIDの組を複数得る。そしてすべての組を対象に各センサIDが含まれる組の個数をカウントする。例えばセンサIDの組が100個得られたとする。すべての組にセンサID123が含まれる場合は、センサID123のカウント値は100であり、60個の組に含まれ、残り40個の組に含まれない場合は、カウント値は60である。このようにして各センサIDについてカウント値を取得する。カウント値が大きい順に上位pのセンサIDを選定する。
このようにセンサIDを選定することでより信頼性の高いセンサIDの選択が可能となる。
【0051】
(変形例2)
トラブル関連DB110に対象機器の構成情報をトラブル属性として含めてもよい。構成情報は、対象機器のメーカーでもよいし、対象機器を構成する各部品のメーカーでもよい。また構成情報は、対象機器を構成する各部品の素材でもよい。これにより信頼性の高いセンサIDの選定が可能となる。
【0052】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態に係るトラブル原因調査支援システム1Aの一例のブロック図である。第1実施形態と異なる点として、トラブル原因調査支援システム1Aは、従業員DB116を備える。また、情報処理装置であるトラブル原因調査支援装置10Aは、スコア計算DB111と、連携データ読込部112と、情報抽出部113とを備える。連携データ読込部112及び情報抽出部113は処理部100に含まれている。連携データ読込部112は、従業員DB116から、インターネット又はローカルネットワーク等の通信ネットワークを介してデータの読み込みが可能である。但し、これらのDB112、114、115が、トラブル原因調査支援装置と同じコンピュータに設けられていてもよい。従業員DB116が監視システム20に設けられていてもよい。
【0053】
従業員DB116は、従業員の属性(ユーザ属性)を格納している。
図14は、従業員DB116の例を示す。従業員のID、氏名、役職、資格、勤続年数が格納されている。これらの従業員は、ダッシュボードアプリのサービスを利用する権限のあるユーザ、すなわち、ダッシュボードを操作する権限のあるユーザでもある。
【0054】
スコア計算DB111は、従業員の属性から従業員のスコア(信頼値、評価値又は熟練度などと称されてもよい)を計算するためのスコアテーブルを格納している。
【0055】
図15は、スコアテーブルの例を示す。スコアテーブルは条件の項目と演算の項目とを含む。条件の項目には役職又は資格の値が格納されている。演算の項目には、付与するスコアの演算式が格納されている。例えば役職が一般の従業員には、スコア“1”を付与し、係長の従業員にはスコア“3”を付与する。またXYZ資格認定を有するユーザには、役職に応じて付与されるスコアを1.5倍した値をスコアとして付与する。例えば係長かつXYZ資格認定を有する従業員には、3×1.5の“4.5”がスコアとして付与される。
【0056】
このように従業員DB116とスコア計算DB111との組は、従業員の属性(ユーザ属性)と従業員の信頼値とを対応づけた情報である。
【0057】
ダッシュボードサーバ210はフィードバック更新情報にダッシュボードを操作した従業員の識別情報を含める。本実施形態では一例として従業員のIDを含める。従業員のIDに代えて、又は従業員のIDに加えて、従業員の氏名を含めてもよい。
【0058】
センサ登録部190は、更新情報取得部180から取得したフィードバック更新情報に含まれる従業員の従業員IDに基づき、従業員DB116から、従業員の役職及び資格の情報を取得する。より詳細には、センサ登録部190が情報抽出部113に、当該従業員IDを有する従業員の役職及び資格の情報の取得要求を送る。情報抽出部113が、連携データ読込部112を介して、従業員DB116から当該従業員の役職及び資格の情報を取得し、取得した情報をセンサ登録部190に送る。センサ登録部190は、取得した役職及び資格の情報を、トラブル関連DB110に登録するタグ(データ)に含める。
【0059】
図16は、本実施形態に係るフィードバック更新情報に基づきトラブル関連DB110にデータを登録する例を示す。図16の左図に示すように、フィードバック更新情報に従業員ID“77777”が含まれている。従業員ID“77777”の従業員の役職は、図14から“係長”であり、役職は“工場長”である。図16の右図に示すように、登録者情報(ダッシュボードを操作した従業員の情報)として、“係長”、“工場長”が格納されている。
【0060】
センサ抽出部140は、第1実施形態と同様に、トラブル属性の一部又は全部にマッチするデータをトラブル関連DB110から抽出する。センサ抽出部140はデータに含まれる1つ以上のセンサIDと、従業員の役職及び資格の情報とをデータごとにセンサ選定部150に送る。
【0061】
図17は、センサ選定部150の動作の一例を示すフローチャートである。センサ選定部150は、センサ抽出部140で抽出されたデータごとに従業員の役職と資格に応じた評価値(スコア)を算出し、データに含まれる各センサIDにスコアを共通に付与する(S501)。スコアの計算は、前述したスコア計算DB111に基づき行う。すべてのデータに対してセンサIDごとにスコアを付与したら、センサIDごとにスコアの平均を算出する(S502)。
【0062】
図18は、スコア平均計算結果例を示す。センサ123のスコア平均は0.8、センサ444のスコア平均は1.5、センサ555のスコア平均は8などとなっている。トラブル関連DB110から抽出する際、トラブル属性にサイトが含まれる場合は、計算されるスコア平均はサイト別のスコア平均となる。トラブル属性にサイトが含まれない場合は、すべてのサイトを対象としたスコア平均が得られる(この場合、複数のサイトで同じセンサIDのセンサが用いられているとする)。
【0063】
スコア平均の大きい順にセンサIDをソートし(S503)、上位p個のセンサIDを選定する(S504)。センサ選定部150は、選定したセンサIDの情報を描画指示情報生成部160に送る。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0064】
以上、本実施形態によれば、トラブル関連DB110に登録するデータに、ダッシュボードを編集した従業員の役職及び資格を含める。トラブル発生時には、トラブル関連DB110から抽出したデータに含まれる各センサIDに従業員の役職及び資格に応じたスコアを付与し、スコアを用いてセンサIDの選定を行う。これにより、従業員の熟練度に基づくより信頼性のセンサの選択が可能となり、利用価値の高いダッシュボードを生成することが可能となる。
【0065】
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係るトラブル原因調査支援システム1Bの一例のブロック図である。第2実施形態と異なる点として、従業員DB116の代わりに、気象情報DB114が設けられている。スコア計算DB111は設けられていない。センサ選定部150は情報抽出部113と接続されている。その他のブロック構成は第2実施形態と同様であるが、ブロックの動作が一部異なる。図13と同一名称の要素には同一の符号を付して、拡張又は変更された処理を除き説明を省略する。
【0066】
気象情報DB114には、時刻と気象情報等が対応づいて格納されている。
図20は、気象情報DB114の一例を示す。本例の気象情報は、天気、サイト、温度、湿度を含む。その他、日射強度、風情報などの気象情報が含まれてもよい。各サイトの距離が近く天気が共通とみなせる場合、サイトの項目が省略される場合もあり得る。
【0067】
センサ登録部190は、更新情報取得部180から取得したフィードバック更新情報に基づき、第1実施形態と同様に、センサID及びトラブル属性を取得する。またセンサ登録部190は、トラブル発生時刻の気象情報を気象情報DB114から取得する。より詳細には、センサ登録部190が情報抽出部113にトラブル発生時刻の気象情報の取得要求を送る。情報抽出部113が、連携データ読込部112を介して、気象情報DB114からトラブル発生時刻の気象情報を取得し、取得した情報をセンサ登録部190に送る。センサ登録部190は取得した気象情報を、トラブル関連DB110に登録するタグ(データ)に含める。
【0068】
図21は、トラブル関連DB110にデータを登録する例を示す。登録されるデータには、第1実施形態に示した情報に加えて、気象情報(本例では“雨”)が含まれる。
【0069】
センサ抽出部140は、第1実施形態と同様に、トラブル属性の一部又は全部にマッチするデータをトラブル関連DB110から抽出する。センサ抽出部140はデータに含まれる1つ以上のセンサIDと、気象情報とをデータごとにセンサ選定部150に送る。
【0070】
センサ選定部150は、情報抽出部113を介して、気象情報DB114から、トラブル属性取得部130で取得されたトラブルの発生時刻に対応する気象情報を取得する。センサ選定部150は、センサ抽出部140で抽出されたデータのうち、気象情報に一致するデータをすべて特定し、特定したデータを対象に、第1実施形態と同様にして、センサIDの選択を行う。例えば気象情報が“雨”であれば、“雨”に一致するデータを特定する。センサ選定部150は、選定したセンサIDの情報を描画指示情報生成部160に送る。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0071】
以上、本実施形態によれば、トラブル関連DB110に登録するデータにトラブル発生時刻の気象情報を含める。トラブル発生時には、トラブル関連DB110から抽出したデータのうちトラブルの発生時刻の気象情報に合致するデータのみを特定し、特定したデータを対象にセンサIDの選定を行う。これにより、より信頼性のセンサの選択が可能となり、利用価値の高いダッシュボードを生成することが可能となる。
【0072】
本実施形態を第2実施形態と組み合わせることも可能である。この場合図19の構成にスコア計算DB111を追加する。この構成では、従業員の熟練度と気象情報との両方をセンサIDの選択に反映させることができるため、より信頼性の高いセンサの選択が可能となる。
【0073】
(第4実施形態)
図22は、第4実施形態に係るトラブル原因調査支援システム1Cの一例のブロック図である。第3実施形態と異なる点として、気象情報DB114の代わりに、運転データDB115が設けられている。その他のブロック構成は第3実施形態と同様であるが、ブロックの動作が一部異なる。図19と同一名称の要素には同一の符号を付して、拡張又は変更された処理を除き説明を省略する。
【0074】
運転データDB115には、時刻と機器の運転モード等が対応づいて格納されている。
図23は、運転データDB115の一例を示す。本例の運転データは、時刻、運転モード、サイトを含む。運転モードは、図示のものに限定されず、稼働中、一時停止中、省エネ動作中、など様々あり得る。
【0075】
センサ登録部190は、更新情報取得部180から取得したフィードバック更新情報に基づき、第1実施形態と同様に、センサID及びトラブル属性を取得する。またセンサ登録部190は、トラブル発生時刻の機器の運転モードを運転データDB115から取得する。より詳細には、センサ登録部190が情報抽出部113にトラブル発生時刻の機器の運転モードの情報の取得要求を送る。情報抽出部113が連携データ読込部112を介して、運転データDB115からトラブル発生時刻の機器の運転モードの情報を取得し、取得した運転モードの情報をセンサ登録部190に送る。センサ登録部190は取得した機器の運転モードの情報を、トラブル関連DB110に登録するタグ(データ)に含める。
【0076】
図24は、トラブル関連DB110にデータを登録する例を示す。登録されるデータには、第1実施形態に示した情報に加えて、運転モード(本例では“充電中”)が含まれる。
【0077】
センサ抽出部140は、第1実施形態と同様に、トラブル属性の一部又は全部にマッチするデータをトラブル関連DB110から抽出する。センサ抽出部140はデータに含まれる1つ以上のセンサIDと、運転モードの情報とをデータごとにセンサ選定部150に送る。
【0078】
センサ選定部150は、情報抽出部113を介して、運転データDB115から、トラブル属性取得部130で取得されたトラブルの発生時刻に対応する機器の運転モードの情報を取得する。センサ選定部150は、センサ抽出部140で抽出されたデータのうち、取得した情報が示す運転モードに一致するデータをすべて特定し、特定したデータを対象に、第1実施形態と同様にして、センサIDの選択を行う。例えば運転モードが“充電中”であれば、“充電中”に一致するデータを特定する。センサ選定部150は、選定したセンサIDの情報を描画指示情報生成部160に送る。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0079】
以上、本実施形態によれば、トラブル関連DB110に登録するデータにトラブル発生時刻の機器の運転モードの情報を含める。トラブル発生時には、トラブル関連DB110から抽出したデータのうちトラブルの発生時刻の機器の運転モードに合致するデータのみを特定し、特定したデータを対象にセンサIDの選定を行う。これにより、より信頼性のセンサの選択が可能となり、利用価値の高いダッシュボードを生成することが可能となる。
本実施形態を第2実施形態又は第3実施形態と組み合わせることも可能である。第2実施形態と組み合わせる場合、図22の構成に、スコア計算DB111を追加する。この構成では、従業員の熟練度と運転モードとの両方をセンサIDの選択に反映させることができるため、より信頼性の高いセンサの選択が可能となる。第3実施形態と組み合わせる場合、従業員の熟練度と運転モードに加えて、気象情報をさらにセンサIDの選択に反映させることができるため、より一層信頼性の高いセンサの選択が可能となる。
【0080】
(第5実施形態)
図25は、第5実施形態に係るトラブル原因調査支援システム1Dのブロック図である。第1~第4実施形態ではダッシュボードサーバ210で生成されるダッシュボードにトラブル属性としてトラブルID及びトラブル内容が含まれていたが、本実施形態ではダッシュボードにトラブルID及びトラブル内容が含まれていないとする。例えば、図3のダッシュボードからトラブルID及びトラブル内容を除いたものがダッシュボードとして生成される。但し、ダッシュボードに検知センサIDが含まれているとする。さらに、描画指示情報提供部170から提供される描画指示情報にトラブルID及びトラブル内容が含まれてなくてもよい。トラブルID及びトラブル内容が含まれていないダッシュボードから生成されるフィードバック更新情報を用いてトラブル関連DB110の更新を行うことを実現する。
【0081】
本システム1Dはトラブル検知センサマスタ116と、トラブル属性抽出部117と、トラブル属性付与部118とを備える。
【0082】
トラブル検知センサマスタ116は、検知センサIDを、トラブル名称及びトラブルID等のトラブル属性に対応づけたデータベースである。
【0083】
図26は、トラブル検知センサマスタ116の一例を示す。トラブル検知センサマスタ116は、トラブル名称、トラブルID、検知センサID、演算、値、組合せフラグの各項目を含む。トラブル検知センサマスタ116の作成方法として、ユーザはあらかじめトラブル発生を検知する検知センサと、トラブル発生の条件(“演算”と“値”の組)を、トラブル名称及びトラブルIDと関連付けて記憶させておく。
【0084】
例えばセンサTE999の値が“1”のときにトラブルが発生すると定義する場合には、1行目に示すように検知センサID、演算、値、をそれぞれ“TE999”、“==”、“1”とする。またトラブル名称及びトラブルIDとして予め定義された“TB101”、“242”を格納しておく。
【0085】
同様に、センサTE999の値が“2”のときにトラブルが発生すると定義する場合には、2行目に示すように検知センサID、演算、値、をそれぞれ“TE999”、“==”、“2”とする。またトラブル名称及びトラブルIDとして予め定義された“TB301”、“324”を格納しておく。
【0086】
さらに同様に、例えばセンサCA111の値が300より大きいときにトラブルが発生すると定義する場合には、3行目に示すように検知センサID、演算、値、をそれぞれ“CA111”、“>”、“300”とする。またトラブル名称及びトラブルIDとして予め定義された“TB222”、“119”を格納しておく。
【0087】
さらに同様に、例えばセンサCD019の値が10より小さいときにトラブルが発生すると定義する場合には、4行目に示すように検知センサID、演算、値、をそれぞれ“CD019”、“<”、“10”とする。またトラブル名称及びトラブルIDとして予め定義された“TB899”、“231”を格納しておく。
【0088】
複数のセンサを組み合わせてトラブル発生の検知が行われる場合は、各検知センサに対応する行を連続してトラブル検知センサマスタ116に格納するとともに、最上位の行の組合せフラグを“TRUE”とし、最上位の行のセンサと組み合わされるセンサに対応する以降の行の組合せフラグを空白にする。例えば、図示の下から2番目の行の組合せフラグは“TRUE”であるため、次以降の組合せフラグが空白の連続するすべて行(図示の例では最下位の行のみ)と組み合わされる。組み合わせの結果は、センサCA111の値が200より大きくかつセンサLA501の値が10より小さいときは、トラブル名称がTB990でトラブルIDが484のトラブルが発生することを意味する。なお、1~4行目では単一のセンサのみでトラブル発生を定義するため、組合せフラグは”FALSE“となっている。
【0089】
図27は、トラブル属性抽出部117とトラブル属性付与部118の動作例のフローチャートである。
【0090】
トラブル属性抽出部117は、更新情報取得部180からフィードバック更新情報を取得すると(S601)、トラブル検知センサマスタ116を読み込む(S602)。フィードバック更新情報から検知センサIDを取得し(S603)、取得した検知センサIDに対応する行をトラブル検知センサマスタ116において特定し、特定した行に含まれるトラブルID等のトラブル属性を取得する。(S604)。同じトラブルIDが複数連続して存在する場合は、同じトラブルIDに対応する検知センサIDのすべてがフィードバック更新情報に含まれているかを検査し、すべて含まれている場合に、当該トラブルID等のトラブル属性を取得する。上記対応する検知センサIDのすべてのうちの少なくとも1つがフィードバック更新情報に含まれていない場合は、トラブル検知センサマスタ116に登録されていないトラブルがある可能性があることを示す情報をユーザに通知してもよい。
【0091】
トラブル属性付与部118は、取得したトラブルID等のトラブル属性をフィードバック更新情報に含まれるセンサID等に対応付けて、センサ登録部190に渡す(S605)。センサ登録部190は第1実施形態と同様にしてトラブル関連DB110を更新する(同S605)。
【0092】
(変形例)
ダッシュボードサーバ210により生成するフィードバック更新情報に検知センサの値を含める。前提として描画指示情報提供部170がダッシュボードサーバ210に提供する描画指示情報にも検知センサの値を含める。トラブル属性抽出部117は、検知センサIDに対応する行をトラブル検知センサマスタ116において特定し、特定した行における“演算”と“値”の組により表されるトラブル発生の条件を、検知センサの値(フィードバック更新情報に含まれる)が満たすかを判断する。満たす場合は、当該行におけるトラブルID等のトラブル属性を取得する。満たさない場合は、トラブル検知センサマスタ116に登録されていないトラブルがある可能性があることを示す情報をユーザに通知してもよい。
【0093】
以上、本実施形態によれば、ダッシュボードにトラブル内容及びトラブルID等を表示しない場合にも、今回発生したトラブルに関連するデータをトラブル関連DBに登録することが可能となる。
【0094】
(ハードウェア構成)
図28は、本実施形態に係る情報処理装置としてのトラブル原因調査支援装置10のハードウェア構成を示す。トラブル原因調査支援装置10は、コンピュータ装置600により構成される。コンピュータ装置600は、プロセッサであるCPU601と、入力インタフェース602と、表示装置603と、通信装置604と、主記憶装置605と、外部記憶装置606とを備え、これらはバス607により相互に接続されている。
【0095】
CPU(中央演算装置)601は、主記憶装置605上で、コンピュータプログラムである情報処理プログラムを実行する。情報処理プログラムは、本装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。情報処理プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU601が、情報処理プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0096】
入力インタフェース602は、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、本装置に入力するための回路である。
【0097】
表示装置603は、本装置から出力されるデータを表示する。表示装置603は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、またはPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置600から出力されたデータは、この表示装置603に表示することができる。
【0098】
通信装置604は、本装置が外部装置と無線または有線で通信するための回路である。データは、通信装置604を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力したデータを、主記憶装置605や外部記憶装置606に格納することができる。
【0099】
主記憶装置605は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。情報処理プログラムは、主記憶装置605上で展開され、実行される。主記憶装置605は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。図1の各記憶部又はデータベースは、主記憶装置605上に構築されてもよい。
【0100】
外部記憶装置606は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらの情報処理プログラムやデータは、情報処理プログラムの実行の際に、主記憶装置605に読み出される。外部記憶装置606は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。情報処理装置の各記憶部又はデータベースは、外部記憶装置606上に構築されてもよい。
【0101】
なお、情報処理プログラムは、コンピュータ装置600に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、情報処理プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0102】
また、本装置は、単一のコンピュータ装置600により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置600からなるシステムとして構成されてもよい。
【0103】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0104】
本実施形態は以下のような構成をとることもできる。
[項目1]
複数のセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、
前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供する、処理部
を備えた情報処理装置。
[項目2]
前記指示情報は、前記計測データと前記対象イベント属性とを含む出力データの出力を指示する
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記サーバは、ユーザの操作により前記出力データを編集可能であり、
前記出力データの編集として、前記ユーザの操作により指定されたセンサの計測データの追加、及び、前記出力データに含まれている前記センサの計測データの削除が可能であり、
前記処理部は、編集後の前記出力データに前記計測データが含まれるセンサのセンサ識別子と前記対象イベント属性とを含む更新情報を前記サーバから取得し、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性とを対応づけて前記データベースに格納する
項目2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記処理部は、前記データベースから前記対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を複数取得し、
複数の前記対象センサ識別子において互いに異なる対象センサ識別子ごとに前記対象センサ識別子の個数を計数し、
前記個数に基づいて、1つ以上の前記対象センサ識別子を取得する
項目1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記対象イベント属性は、前記対象イベントの識別子と、前記対象イベントが発生したサイトを示すサイト情報とを含み、
前記データベースにおける前記イベント属性は、イベントの識別子と、前記イベントが発生したサイトのサイト情報とを含む、
項目1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目6]
前記データベースにおいて前記イベント属性と前記センサ識別子とユーザ属性とが対応づいており、
前記処理部は、前記データベースにおいて前記対象イベント属性に対応する、対象センサ識別子及び前記ユーザ属性の組を複数取得し、
ユーザ属性と信頼値とが対応付いた情報に基づき、複数の前記組における前記ユーザ属性に対応する信頼値を取得し、取得した前記信頼値に基づいて、複数の前記組における複数の前記対象センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
項目3、又は項目3を引用する項目4又は5に記載の情報処理装置。
[項目7]
前記更新情報は、前記操作を行った前記ユーザの識別子を含み、
前記処理部は、ユーザの識別子とユーザ属性とが対応づいた情報に基づき、前記更新情報に含まれる前記ユーザの識別子に対応するユーザ属性を取得し、
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性と取得した前記ユーザ属性とを対応付けて前記データベースに格納する
項目6に記載の情報処理装置。
[項目8]
前記データベースにおいて前記イベント属性と前記センサ識別子と気象情報とが対応づいており、
前記処理部は、前記データベースにおいて前記対象イベント属性に対応する、対象センサ識別子及び前記気象情報の組を複数取得し、
前記処理部は、前記対象イベントの発生時刻における気象情報を取得し、取得した前記気象情報に基づき、複数の前記組から1つ以上の組を選択し、選択した前記組における前記対象センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
項目3又は項目3を引用する項目4~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性と、前記対象イベントの発生時刻における前記気象情報とを対応づけて前記データベースに格納する
項目8に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記データベースに前記イベント属性と前記センサ識別子と機器の運転モードとが対応づいており、
前記処理部は、前記対象イベント属性に対応する、対象センサ識別子及び前記運転モードの組を複数取得し、
前記処理部は、前記対象イベントの発生時刻における前記対象機器の運転モードを取得し、取得した前記運転モードに基づき、複数の前記組から1つ以上の組を選択し、選択した前記組における前記対象センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
項目3又は項目3を引用する項目4~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目11]
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と前記対象イベント属性とに前記対象イベントの発生時刻における前記対象機器の運転モードを対応づけて前記データベースに格納する
項目10に記載の情報処理装置。
[項目12]
前記対象イベントは、前記少なくとも1つのセンサのうちの検知センサの値に基づいて検知され、
前記指示情報は、前記計測データと前記検知センサの識別子とを含む出力データの出力を指示し、
前記サーバは、ユーザの操作により前記出力データを編集可能であり、
前記出力データの編集として、前記ユーザの操作により指定されたセンサの計測データの追加、及び、前記出力データに含まれている前記センサの計測データの削除が可能であり、
前記処理部は、編集後の前記出力データに前記計測データが含まれるセンサのセンサ識別子と、前記検知センサの識別子とを含む更新情報を前記サーバから取得し、
前記更新情報に含まれる前記検知センサの識別子に対応するイベント属性を、検知センサの識別子とイベント属性とを対応づけた情報に基づき取得し、
前記処理部は、前記更新情報に含まれる前記センサ識別子と、取得した前記イベント属性とを対応づけて前記データベースに格納する
請求項1に記載の情報処理装置。
[項目13]
前記処理部は、前記対象イベントの発生時刻に基づき、前記計測データの出力期間を決定し、前記出力期間の前記計測データを出力する前記指示情報を前記サーバに提供する
項目1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目14]
前記データベースにおいて、前記イベント属性と、1つ以上のセンサ識別子の組とが対応づいており、
前記対象イベント属性に対応する前記センサ識別子の組であって、前記センサ識別子の組み合わせが異なる組が複数存在し、
前記処理部は、前記対象イベント属性に対応する複数の前記組を取得し、複数の前記組に含まれるセンサ識別子ごとに前記センサ識別子が含まれる前記組の個数を計数し、前記個数に基づいて、複数の前記組に含まれる複数の前記センサ識別子から前記対象センサ識別子を取得する
項目1~13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目15]
前記対象イベント属性は、前記対象イベントの識別子と、前記対象機器の構成情報とを含み、
前記データベースにおける前記イベント属性は、イベントの識別子と、前記イベントが発生した機器の構成情報とを含む、
項目1~14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目16]
前記処理部は、前記対象イベントの発生を示すイベント発生情報を受信することにより前記対象イベントの発生を検知し、前記イベント発生情報は前記対象イベント属性を含む
項目1~15のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目17]
前記対象イベントは、前記対象機器のトラブルである
項目1~16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目18]
前記少なくとも1つのセンサは複数のセンサである
項目1~17のいずれか一項に記載の情報処理装置。

[項目19]
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、
前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供する
情報処理方法。
[項目20]
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知するステップと、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得するステップと、
前記少なくとも1つのセンサのうち前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報をサーバに提供するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
[項目21]
少なくとも1つのセンサにより計測される対象機器における対象イベントの発生を検知し、
イベント属性とセンサ識別子とが対応づいたデータベースにおいて、前記対象イベントの属性である対象イベント属性に対応する対象センサ識別子を取得し、
前記対象センサ識別子が示すセンサの計測データの出力を指示する指示情報を生成する
処理部と、
前記複数のセンサの計測データを記憶するセンサデータベースから、前記指示情報に従って前記センサの計測データを読み出し、読み出した前記計測データを出力するサーバと、
を備えた情報処理システム。
[項目22]
前記対象機器をさらに備えた項目21に記載の情報処理システム。
[項目23]
前記サーバは、前記計測データを、ユーザの端末に送信する
項目21又は22に記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0105】
1、1A、1B、1C トラブル原因調査支援システム
10、10A トラブル原因調査支援装置
20 監視システム
40 端末
50 サイト
100 処理部
112 連携データ読込部
113 情報抽出部
116 トラブル検知センサマスタ
117 トラブル属性抽出部
118 トラブル属性付与部
120 トラブル発生検知部
130 トラブル属性取得部
140 センサ抽出部
150 センサ選定部
160 描画指示情報生成部
170 描画指示情報提供部
180 更新情報取得部
190 センサ登録部
210 ダッシュボードサーバ
211 編集ボタン
600 コンピュータ装置
602 入力インタフェース
603 表示装置
604 通信装置
605 主記憶装置
606 外部記憶装置
607 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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