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特開2024-135376情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135376
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240927BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G06Q10/20
G05B23/02 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046014
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】高 明淑
(72)【発明者】
【氏名】酒向 美帆
(72)【発明者】
【氏名】西野 兼治
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 俊光
(72)【発明者】
【氏名】矢野 亨
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 秀晟
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223EA04
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF16
3C223FF45
3C223FF46
3C223HH02
3C223HH22
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】イベントの発生の予兆を検知可能にする情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る情報処理装置は、対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得し、前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得し、前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得し、前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成する、処理部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得し、
前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得し、
前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得し、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成する、
処理部
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1部分時系列データに基づいて複数の指標を計算して前記複数の指標ごとに前記第1指標値時系列データを取得し、
前記第2部分時系列データに基づいて前記複数の指標を計算して前記複数の指標ごとに前記第2指標値時系列データを取得し、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記複数の指標を評価する評価データを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、複数の前記センサを1つ以上組み合わせて複数のセンサ組み合わせを生成し、前記センサ組み合わせごとに、前記センサ組み合わせに含まれるセンサの計測値に基づく演算式を1つ以上決定し、前記センサ組み合わせと前記演算式との組ごとに前記指標を生成する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記指標ごとに前記センサ組み合わせに含まれる前記センサの前記第1部分時系列データに基づいて前記演算式を計算して、前記第1指標値時系列データを取得し、
前記指標ごとに前記センサ組み合わせに含まれる前記センサの前記第2部分時系列データに基づいて前記演算式を計算して、前記第2指標値時系列データを取得する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、計測される値の単位が異なる2つ以上のセンサを組み合わせて前記センサ組み合わせを生成する、及び、計測される値の単位が同じ2つ以上のセンサを組み合わせて前記センサ組み合わせを生成することの少なくとも一方を行う
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記センサ組み合わせが2つ以上のセンサを含み、前記演算式は、前記2つ以上のセンサの異なる時刻の計測値に基づく演算を含む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記センサ組み合わせが1つのセンサを含み、前記演算式は、前記センサの異なる複数の時刻の計測値に基づく演算を含む
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記2つ以上のセンサの時刻の間隔を変更することにより複数の前記演算式を生成する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記センサの異なる複数の時刻の間隔を変更することにより複数の前記演算式を生成する
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、前記指標ごとに前記第1指標値時系列データに基づき前記イベントの発生前の前記対象機器の状態を評価する第1評価値を取得し、前記指標ごとに前記第2指標値時系列データに基づき前記イベントの発生後の前記対象機器の状態を評価する第2評価値を取得し、前記第1評価値と前記第2評価値とに基づき、前記評価データを生成する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記第1評価値と前記第2評価値とに基づき前記複数の指標から少なくとも1つの指標を選択し、前記評価データは、選択された前記指標を識別する情報を含む
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記第1評価値と前記第2評価値とに基づき前記複数の指標に優先順位を設定し、前記評価データは、選択した前記指標を識別する情報を前記優先順位に応じて配置している
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記処理部は、前記複数の指標のうち前記第1評価値に基づき上位N(Nは1以上の整数)個の指標を特定し、前記複数の指標のうち前記第2評価値に基づき上位M個の指標を特定し、前記上位N個の指標と前記上位M(Mは1以上の整数)個の指標とで共通する指標を選択する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記評価データは、選択した前記指標ごとに前記第1指標値時系列データ及び前記第2指標値時系列データを表すグラフを含む
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記処理部は、
前記指標ごとに前記第1指標値時系列データの傾きを計算し、
前記指標ごとに前記第1指標値時系列データの平均と前記第2指標値時系列データの平均との差分と、前記差分の尤度情報とを算出し、
前記指標ごとに、前記傾きに基づき前記第1評価値を算出し、前記差分と前記尤度情報とに基づき、前記第2評価値を算出する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記尤度情報はp値であり、
前記処理部は、前記第1評価値として前記傾きの絶対値が大きいほど高い評価を示す値を生成し、前記第2評価値として、前記p値が閾値以下で前記差分が大きいほど高い評価を示す値を生成する
請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記処理部は、前記イベントの種類に応じて、前記指標の計算に用いる前記第1指標値時系列データの期間であるイベント前評価期間及び前記指標の計算に用いる前記第2指標値時系列データの期間であるイベント後評価期間を決定し、前記第1指標値時系列データのうち前記イベント前評価期間に含まれるデータに基づき前記第1評価値を算出し、前記第2指標値時系列データのうち前記イベント後評価期間に含まれるデータに基づき前記第2評価値を算出する
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記イベントの種類は、少なくとも経年劣化による故障又は突発的な故障を含む
請求項17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記イベントは、前記対象機器の部品の故障イベントである第1イベントと、前記部品の修理又は交換のイベントである第2イベントを含み、
前記第1部分時系列データは、前記部品の故障前の前記センサの時系列データであり、
前記第2部分時系列データは、前記部品の修理又は交換後の前記センサの時系列データである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記対象機器は、複数の運転モードを有し、
前記処理部は、前記対象機器の前記センサの計測値の履歴データに基づき、前記時系列データを前記運転モードに応じて複数に分割し、
前記運転モードごとに、分割された前記時系列データに基づき、前記評価データを生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記処理部は、
前記評価データを画面に表示し、
前記評価データに含まれる前記指標から指標の選択を受け付け、
選択された前記指標を識別する情報を、前記イベントの情報と関連づけて保存する
請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記イベントは、前記対象機器における部品の故障、交換、修理のうち少なくとも1つを含む
請求項1~21のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項23】
対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得し、
前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得し、
前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得し、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成する、
コンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項24】
対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得するステップと、
前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得するステップと、
前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得するステップと、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機器の動作をセンシングして監視するシステムにおいて、機械学習を用いてイベントの発生やイベント発生の予兆を検知するモデルを構築するため、機器のセンシングデータからイベント発生と統計的に関連のあるデータを絞り込む技術がある。しかしながら、機械学習を用いて統計的な手法によりモデルを構築するにはイベントの発生回数が必要となるため、イベントの発生回数が少ない場合、上記の技術は適用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-105953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、イベントの発生の予兆を検知可能にする情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る情報処理装置は、対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得し、前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得し、前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得し、前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成する、処理部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る情報処理装置として故障予兆指標生成装置の一例のブロック図。
図2図1の故障予兆指標生成装置の全体の処理の一例のフローチャート。
図3】センサリストの例を示す図。
図4】イベント情報DBに記憶されたイベントの情報の例を示す図。
図5】センサ単位対応データの例を示す図。
図6】指標生成部によって生成される複数の指標の定義を示す指標テーブルを示す図。
図7】指標の演算式で用いる演算の例の説明図。
図8】指標生成部が1つのセンサから指標を生成する動作と、同じ単位のセンサを組み合わせて指標を生成する動作の一例を示す図。
図9】指標生成部が異なる単位のセンサを組み合わせて指標を生成する動作の一例を示す図。
図10】ある指標について指標計算部で算出された指標値時系列データをプロットしたグラフを示す図。
図11】指標評価期間DBに記憶された指標評価期間情報の例を示す図。
図12図10に示した指標値時系列データのグラフに、イベント前評価期間を対応付けて示した例を示す図。
図13】イベント前傾向評価部の動作の一例を示すフローチャート。
図14】イベント後傾向評価部の動作の一例を示すフローチャート。
図15】統合評価部の動作の一例のフローチャート。
図16】評価データの一例として指標評価結果データを示す。
図17】選択した指標の指標値時系列データのグラフ例を示す図。
図18】選択された指標の指標値のグラフ例を示す図。
図19】変形例に係る指標評価期間設定部の処理の例を示すフローチャート。
図20】第2実施形態に係る情報処理装置として故障予兆指標生成装置の一例のブロック図。
図21図20の故障予兆指標生成装置の全体の処理の一例のフローチャート。
図22】本実施形態に係る情報処理装置としての故障予兆指標生成装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0008】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置として故障予兆指標生成装置10の一例のブロック図である。故障予兆指標生成装置10は大きく処理部100と、複数のデータベース(DB)201~208と、入力部112と、表示部113とを備えている。
【0009】
入力部112は、本装置10を操作するユーザにより情報又は指示の入力を行う装置である。入力部112は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、音声入力装置、ジェスチャ入力装置などである。
【0010】
表示部113は、本装置10により生成されるデータを表示する表示装置である。表示部113は、例えば、液晶表示装置又は有機EL表示装置などである。
【0011】
DB201~208は、処理部100での処理に必要なデータ又は処理部100で生成されたデータを記憶する。DB201~208は、SSD、ハードディスク、メモリなどの記憶装置に格納されている。メモリは不揮発性メモリでも、揮発性メモリでよい。DB201~208は、処理部100がOS及びアプリケーションによって実現される場合に、OS又はアプリケーションによってアクセスされ得る。DB201~208の詳細は後述する。
【0012】
処理部100は、対象機器について事前に発生を検知したいイベント、すなわち、対象機器において発生の予兆を検知したいイベントについて、イベントの発生の予兆を検知するのに有効な指標の候補を1つ以上生成し、生成した指標の候補をユーザに提示する装置である。指標の値は、対象機器をセンシングする1つ以上のセンサの時系列データから計算される。指標の候補を生成するとは、指標の計算に使用するセンサを決定すること、指標の演算式を決定すること等を含む。以下では、指標の候補のことを単に指標と記載する。
【0013】
図2は、図1の故障予兆指標生成装置10の全体の処理の一例のフローチャートである。以下、図2に示すフローチャートを参照しつつ、本実施形態の構成及び動作を説明する。
【0014】
図1のイベント関連センサリストDB201は、ユーザにより予め登録された1つ以上のセンサを識別するセンサ識別情報のリスト(センサリスト)を格納している。ユーザは、予め、予兆を検出したいイベントに関連するセンサを予め1つ以上特定しておく。ユーザは、特定したセンサのセンサ識別情報を含むセンサリストを、入力部112を介してイベント関連センサリストDB201に登録する。
【0015】
図3は、センサリストの例を示す。この例では4つのセンサを含むセンサリストが格納されている。各センサは、対象機器をセンシングするセンサであり、対象機器をセンシングして計測値を時系列に取得する。
【0016】
センサ受付部101は、イベント関連センサリストDB201に格納されているセンサリストを読み出す(図2のS11)。センサ受付部101は、センサリストを、データ抽出部102及び指標生成部103に送る。
【0017】
時系列センサデータDB202は、センサリストに登録されている各センサの時系列データ(時系列センサデータ)を格納している。すなわち、対象機器について各センサがセンシングした計測値の時系列データが時系列データDB202に格納されている。時系列センサデータは、センサの計測値と、時刻とを対応づけて保持するデータである。各時系列センサデータのサンプリング間隔は同じでもよいし、異なってもよい。
【0018】
イベント情報DB203は、対象機器について発生の予兆を検知したいイベントについて、過去に発生したイベントの情報を格納している。イベントの例として、対象機器における部品が故障したこと、故障した部品の修理又は交換(修理/交換)を行ったことなどがある。イベント情報DB203には、イベントの種類と、イベントが発生した時刻の情報が格納されている。時刻は、日単位でも、時間単位でも、分単位でも、秒単位でもよい。イベント情報DB203に格納されているイベントの情報から、ユーザは今回指標を生成する対象となるイベント(対象イベント)を1つ又は複数選択してもよいし、対象イベントの情報のみがイベント情報DB203に格納されていてもよい。
【0019】
図4は、イベント情報DB203に記憶されたイベントの情報の例を示す。例えば1行目は、対象機器における部品PCV000について、故障した日、修理/交換が行われた日を示している。ユーザは、例えば、1行目のイベント(故障と修理/交換)を対象イベントとして選択する。対象イベントは故障のイベントと、修理/交換のイベントとを含んでいる。
【0020】
データ抽出部102は、イベント情報DB203から対象イベントの情報を読み出す(S12)。またデータ抽出部102は、センサ受付部101から受けたセンサリストに示される各センサの時系列データ(時系列センサデータ)を読み出す(S13)。読み出す時系列データは、対象イベント発生前の部分時系列データと、対象イベント発生後の部分時系列データとを含む。つまりデータ抽出部102は、対象イベント発生前の部分時系列データと、対象イベント発生後の部分時系列データとを取得(抽出)する(S14)。対象イベント発生前の部分時系列センサデータは、センサ時系列データにおいて対象イベントの発生前の第1部分時系列データに対応し、対象イベント発生後の部分時系列センサデータは、センサ時系列データにおいて対象イベントの発生後の第2部分時系列データに対応する。
【0021】
対象イベント発生前の部分時系列センサデータ及び対象イベント発生後の部分時系列センサデータの期間の長さは対象イベント前と対象イベント後で異なってもよいし、同じでもよい。それぞれの期間の長さをユーザが入力部112で指定してもよい。対象イベント前の部分時系列センサ期間は、後述するイベント前評価期間(故障前評価期間)として用いられ得る最大の期間の長さ以上でもよい。同様に、対象イベント後の部分時系列センサ期間は、後述するイベント後評価期間(故障後評価期間)として用いられ得る最大の期間の長さ以上でもよい。なお、対象イベントが発生した時刻の計測値を発生イベント発生前の部分時系列データに含めてもよい。
【0022】
データ抽出部102は、各センサの抽出した時系列データ(対象イベント前の部分時系列データと、対象イベント後の部分時系列データとを含む)と、対象イベントの情報とを指標計算部104に送る。
【0023】
センサ単位対応データDB205は、対象機器をセンシングする複数のセンサで計測される計測値の単位を示す情報が格納されている。具体的には、センサ識別情報とセンサの単位とが対応づいたセンサ単位対応データが格納されている。
【0024】
図5は、センサ単位対応データの例を示す。例えばセンサ名がTE001のセンサは対象機器におけるある箇所又はある部品等の温度をセンシングし、センサTE001の計測値の単位は“℃”である。
【0025】
算出幅DB206は、指標の演算式を生成する際に、演算式において複数の異なる時刻の計測値を用いる場合に用いられる当該異なる時刻の時間幅を示す算出幅の情報(算出幅情報)を格納している。例えば演算式である日のある時刻の計測値と、前日の同一時刻の計測値とを用いる場合、算出幅は1日となる。複数の算出幅が算出幅情報に含まれていてもよい。
【0026】
指標生成部103は、センサ単位対応データDB205からセンサ単位対応データを読み出し、算出幅DB206から算出幅情報を読み出す。そして、これらセンサ単位対応データ及び算出幅情報と、センサリストと、センサ単位対応データとに基づき、1つ以上の指標を生成する(S16)。指標を生成することは、前述したように、指標の演算に使用するセンサの組み合わせを決定することと、指標の演算式を決定すること等を含む。使用するセンサの組み合わせと演算式等との組み合わせに応じて、多数の指標を生成することができる。
【0027】
具体的には、センサリストに示される複数のセンサを1つ以上組み合わせて複数のセンサ組み合わせを生成し(S16)、センサ組み合わせごとに、演算式を1つ以上決定し、センサ組み合わせと演算式との組ごとに指標を生成する(S17)。演算式は、センサ組み合わせに含まれるセンサの計測値に基づく演算を行う式である。
【0028】
センサ組み合わせを生成する際、計測値の単位が異なる2つ以上のセンサを組み合わせてもよい。計測値の単位が同じ2つ以上のセンサを組み合わせてセンサ組み合わせを生成してもよい。これらの場合、演算式は、当該2つ以上のセンサの異なる時刻の計測値に基づく演算を行うものでもよいし、当該2つ以上のセンサの同じ時刻の計測値に基づく演算を行うものでもよい。異なる時刻の時間幅は、算出幅情報に含まれる1つ以上の算出幅の中から選択する。すべての算出幅を選択してもよいし、ユーザが指定した算出幅のみを選択してもよい。複数の算出幅を用いることで、2つ以上のセンサの計測値の時刻の間隔を変更することができ、同じセンサ組み合わせで、使用する計測値の時刻の間隔のみ変更した複数の指標を生成できる。これにより、生成する指標の個数を増やすことができる。
【0029】
また、センサ組み合わせが1つのセンサのみを含んでもよい。この場合、演算式は、1つのセンサの異なる複数の時刻の計測値に基づく演算を含んでもよい。上述同様に、1つのセンサの計測値のうち使用する計測値の時刻の間隔を変更することにより、同じセンサで、使用する計測値の時刻の間隔のみを変更した複数の指標を生成できる。これにより、生成する指標の個数を増やすことができる。異なる時刻の時間幅は算出幅情報から選択する。すべての算出幅を選択してもよいし、ユーザが指定した算出幅のみを選択してもよい。
【0030】
図6は、指標生成部103によって生成される複数の指標を示す指標テーブルを示す。「ID」は各行を識別する値、「指標名」は指標の名前、「センサ」は演算に使用するセンサのセンサ識別情報(センサ名)、「演算」は演算の種別、「前処理」は演算の前に行う処理の内容、算出幅は、算出幅情報から選択される1つの算出幅の値を示す。センサTE003、TE001は計測値の単位が同じセンサである。センサAM011は、センサTE003、TE001とは計測値の単位が異なるセンサである。
図7は、指標の演算式で用いる演算の例の説明図である。
【0031】
図6の1行目は、センサTE003を用いて、センサTE003のすべての時刻の計測値をそのまま出力する指標を示す。図7の左上図はこの場合の演算の例をセンサの変数X_iを用いて示す。図6の1行目では、「演算」、「前処理」、「算出幅」はブランクとなっている。
【0032】
3行目は、センサTE003を用いて、各時刻の計測値を、算出幅d1だけ離れた時刻の計測値と加算する指標を示す。図7の右上図は、この場合の演算の例を、時刻iのセンサの変数X_iと、時刻i+d1のセンサの変数X_i+dと、を用いて示す。図7の右上図では加算の他、減算、乗算、除算が両変数間で行われる場合も示されている。
【0033】
5行目は、センサTE003とセンサTE001を用い、センサTE003の各時刻の計測値と、センサTE001の当該各時刻から算出幅d1だけ離れた時刻の計測値との平均を算出する指標を示している。
【0034】
8行目は、センサTE003とセンサTE001を用い、センサTE003の各時刻の計測値から、センサTE001の当該各時刻から算出幅d1だけ離れた時刻の計測値を減算する指標を示している。図7の右下図は、この場合の演算の例を、時刻i+d1のセンサの変数X_i+d1と、時刻iのセンサの変数Y_iと、を用いて示す。図7の右下図では減算の他、加算、乗算、除算が両変数間で行われる例も示されている。
【0035】
11行目は、センサTE003とセンサTE001を用い、センサTE003の各時刻の計測値を、センサTE001の当該各時刻の計測値で除算する指標を示している。図7の左下図は、この場合の演算の例を、時刻iのセンサの変数X_iと、時刻iのセンサの変数Y_iと、を用いて示す。図7の左下図では除算の他、加算、減算、乗算が両変数間で行われる例も示されている。
【0036】
12行目は、センサTE003とセンサAM011を用い、センサTE003の計測値群に平均0、分散1となるように標準化処理を行い、センサAM011の計測値群にも同様に標準化処理を行い、標準化処理後の両センサの計測値群を用いて分散を計算する指標を示す。2つのセンサの計測値の単位が異なるため、標準化処理を行っている。標準化の式の例を以下の式(1)に示す。
【数1】
【0037】
図6に示した指標の例は一例であり、演算方法、前処理、算出幅など様々なバリエーションが可能である。例えば、上述の8行目の指標において減算を行うセンサの順序を逆にしてもよい。また図6の例では算出幅がすべて同じd1であるが、算出幅情報にd1以外の算出幅の値が含まれる場合、d1以外の値を組み合わせて指標を生成してもよい。例えば上述の3行目の指標において、算出幅d1をd2に変更した指標を生成してもよい。前処理は標準化以外に、計測値群を0~1の範囲にスケーリングする正規化処理を行ってもよい。正規化の式の例を以下の式(2)に示す。
【数2】
【0038】
また前処理の他の例として、計測値群をフィルタ処理する場合に、複数種類のうちのフィルタから使用するフィルタを指定してもよい。また図6の指標テーブルには本実施形態の処理の途中で指標に関連して算出される値(例えば後述するイベント前傾向評価値及びイベント後傾向評価値等)を格納する列を追加してもよい。
【0039】
図8は、指標生成部103が1つのセンサから指標を生成する動作と、同じ単位のセンサを組み合わせて指標を生成する動作の一例を示すフローチャートである。
【0040】
指標生成部103がセンサリストを読み込み(S101)、センサごとに1つ以上の演算式を組み合わせて、センサごとの指標を生成する(S102)。これにより図6の1~4行目のような指標が生成される。各センサの単位情報をセンサ単位対応データから取得し(S103)、単位毎に同じ単位の1つ以上のセンサを特定する(S104)。同じ単位同士でセンサを2~j(jは2以上の整数)個組み合わせてセンサ組み合わせを生成する(S105)。センサ組み合わせごとに、1つ以上の演算式を組み合わせて、センサ組み合わせごとの指標を生成する(S106)。これにより図6の5~11行目のような指標が生成される。
【0041】
図9は、指標生成部103が異なる単位のセンサを組み合わせて指標を生成する動作の一例を示すフローチャートである。
【0042】
センサリストに基づき、センサを2~j(jは2以上の整数)個組み合わせてセンサ組み合わせを生成する(S111)。生成したセンサ組み合わせから、センサ単位対応データに基づき、計測値が同じセンサの組み合わせを除外する(S112)。残ったセンサ組み合わせごとに、1つ以上の演算式と標準化処理とを組み合わせて、センサ組み合わせごとの指標を生成する(S113、S114)。これにより図6の12、13行目のような指標が生成される。図9では組み合わせるセンサ数jは図8のセンサ数jと同じであるが、センサ数が異なってもよい。
【0043】
指標計算部104は、指標生成部103で生成された各指標と、データ抽出部102で抽出された時系列データに基づいて、各指標の値を計算し、指標ごとに、指標値の時系列データ(指標値時系列データ)を取得する(S18)。例えば、指標生成部103で100個の指標が生成されている場合は、指標値時系列データも100個得られる。
【0044】
指標値時系列データは、対象イベント発生前の部分時系列センサデータに基づく、対象イベント発生前の指標値の時系列データ(第1指標値時系列データ)と、対象イベント発生後の部分時系列センサデータに基づく、対象イベント発生後の指標値の時系列データ(第2指標値時系列データ)とを含む。つまり、指標計算部104は、対象イベント発生前の部分時系列センサデータに基づき指標を計算して指標値の時系列データを取得し、イベント発生後の部分時系列センサデータに基づき指標を計算して指標値の時系列データを取得する。対象イベント発生前の部分時系列センサデータは、センサ時系列データにおいて対象イベントの発生前の第1部分時系列データに対応し、対象イベント発生後の部分時系列センサデータは、センサ時系列データにおいて対象イベントの発生後の第2部分時系列データに対応する。第1指標値時系列データ及び第2指標値時系列データはそれぞれ少なくとも1つの指標値を含む。
【0045】
図10は、ある指標について指標計算部104で生成された指標値時系列データをプロットしたグラフを示している。グラフは、時間と指標の値を軸とする座標系に示される。対象イベントが部品の故障のイベント1及び修理/交換のイベント2を含む例が示されている。イベント1とイベント2との間の期間には、実際にはセンシング対象となる部品が存在しない又は停止しているなどの理由で指標の値が存在しない又は適正に取得できない場合もあり得る。その場合、補間した指標値が用いられてよい。対象イベント発生前の指標値の時系列データは、イベント1以前の指標値の時系列データに対応し、対象イベント発生後の指標値の時系列データは、イベント2以降の指標値の時系列データに対応する。図10では1つの指標についてのグラフ例が示されるが、他の指標についても同様のグラフが得られる。例えば100個の指標が生成されている場合、指標値時系列データのグラフが100個得られる。図10の例では対象イベントが2つのイベントから構成されている例が示されているが、対象イベントが1つのイベントのみから構成される場合もあり得る。
【0046】
指標評価期間DB207は、イベント発生前の評価期間(イベント前評価期間)と、イベント発生後の評価期間(イベント後評価期間)とを対象機器における部品ごとに、かつイベントの種類ごとに定義した指標評価期間情報を記憶している。
【0047】
図11は、指標評価期間DB207に記憶された指標評価期間情報の例を示す。図11の例では、イベント前評価期間は故障前評価期間に対応し、イベント後評価期間は故障後評価期間に対応する。故障情報(故障タイプ)とは、例えば突発的な故障なのか、経年劣化による故障なのかを示す。その他の故障の傾向が定義されてもよい。故障情報はイベントの種類に対応する。
【0048】
指標評価期間設定部105は、ユーザから指示を受けて指標評価期間DB207からいずれかの行を選択し、選択した行に含まれる故障前評価期間及び故障後評価期間を取得又は設定する(S19)。これらの期間を示す情報を評価値算出部106に送る。ユーザは、イベント情報DBから選択した対象イベントに応じて、指標評価期間DB207から、該当する部品名と故障タイプとを含む行を選択すればよい。ユーザは予め対象イベントに関連する部品が突発故障なのか経年劣化による故障なのかを事前に把握している。いずれの種類の故障かを示す情報がイベント情報DB203にイベントの情報の一部として格納されていてもよい。
【0049】
例えばユーザが選択した対象イベントが、部品PCV000の故障による部品交換のイベントであり、当該故障が経年劣化による故障であった場合は、ユーザは指標評価期間DB207の2行目のデータを選択する。この場合、故障前評価期間は1年、故障後評価期間は5日としてそれぞれの情報を得る。また、例えばユーザが選択した対象イベントが、部品PCV000の故障による部品交換のイベントであり、当該故障が突発的な故障であった場合は、1行目を選択する。この場合、故障前評価期間は3年、故障後評価期間は1日としてそれぞれの情報を得る。
【0050】
評価値算出部106は、各指標値時系列データ(対象イベント発生前の指標値の時系列データ、対象イベント発生後の指標値の時系列データ)に基づき、故障前評価期間の対象機器又は部品の状態(例えば劣化傾向)を評価するイベント前傾向評価値と、故障後評価期間の対象機器又は部品の状態(例えば改善傾向)をイベント後傾向評価値とを算出する。すなわち、イベント前傾向評価値とイベント後傾向評価値との算出を指標ごとに行う。故障前評価期間は指標を評価する第1評価期間、故障後評価期間は指標を評価する第2評価期間に対応する。
【0051】
より詳細には、評価値算出部106は、イベント前傾向評価値を算出するイベント前傾向評価部107と、イベント後傾向評価部108とを備えている。
【0052】
イベント前傾向評価部107は、複数の指標ごとに、対象イベント発生前のイベント前評価期間における指標値の時系列データに基づき、対象イベント発生前のイベント前評価期間における指標の評価値であるイベント前傾向評価値を算出する(S20)。イベント前傾向評価値として、例えば、指標値の時系列データの傾きを計算してもよい。イベント前傾向評価値は、対象イベント発生前の第1評価期間における指標を評価する第1評価値に対応する。
【0053】
図12は、図10に示した指標値時系列データのグラフに、イベント前評価期間(図12のイベント1前評価期間)を対応付けて示した例を示す。対象イベント発生前のイベント前評価期間における指標値の時系列データは、図12におけるイベント1前評価期間の範囲に含まれる指標値の時系列データに対応する。
【0054】
図13は、イベント前傾向評価部107の動作の一例を示すフローチャートである。イベント前傾向評価部107は、指標計算部104によって生成された指標値時系列データ(対象イベント発生前の指標値の時系列データ、対象イベント発生後の指標値の時系列データ)を読み込む(S201)。イベント前評価期間の情報と故障情報(例えば故障タイプの情報)とを指標評価期間設定部105から取得する(S202、S203)。読み込んだ指標値時系列データから、対象イベント発生(ここでは故障)から遡ってイベント前評価期間における指標値の時系列データを抽出する(S204)。抽出した指標値の時系列データに基づき回帰分析により指標値の傾き(αとする)を算出する(S205)。算出した傾きαの絶対値が大きいほど高い評価を与える評価値をイベント前傾向評価値として算出する。一例としてイベント前傾向評価値は、傾きの絶対値が大きいほど高い数値を有する。当該傾きα及びイベント前傾向評価値を、指標に対応付ける(S206)。例えば、図6のテーブルに傾きの列を追加し、当該列の該当するセルに傾きα及びイベント前傾向評価値を追加してもよい。
【0055】
イベント後傾向評価部108は、複数の指標ごとに、対象イベント発生後のイベント後評価期間における指標値の時系列データに基づき、対象イベント発生後のイベント後評価期間における指標の評価値であるイベント後傾向評価値を算出する(S21)。イベント後傾向評価値として、上記イベント前評価期間における指標値の平均である第1平均と、イベント後評価期間における指標値の平均である第2平均との差分とを算出し、さらに、当該差分の尤度情報とを算出してもよい。尤度情報の例としてp値(probability value)がある。イベント後傾向評価値は、対象イベント発生後の第2評価期間における指標の第2評価値に対応する。
【0056】
上述した図12には、図10に示した指標値時系列データのグラフにイベント後評価期間(イベント2後評価期間)を対応づけて示した例が示される。対象イベント発生後のイベント後評価期間における指標値の時系列データは、図12におけるイベント2後評価期間の範囲に含まれる指標値の時系列データに対応する。
【0057】
図14は、イベント後傾向評価部108の動作の一例を示すフローチャートである。イベント後傾向評価部108は、指標計算部104によって生成された指標値時系列データ(対象イベント発生前の指標値の時系列データ、対象イベント発生後の指標値の時系列データ)を読み込む(S211)。イベント後評価期間の情報と故障情報(例えば故障タイプの情報)とを指標評価期間設定部105から取得する(S212、S213)。読み込んだ指標値時系列データから、対象イベント発生(ここでは修理)からイベント後評価期間における指標値の時系列データを抽出する(S214)。また、読み込んだ指標値時系列データから、対象イベント発生(ここでは故障)から遡ってイベント前評価期間における指標値の時系列データを抽出する(S215)。ステップS215は図12のステップS204と同じである。ステップS214で抽出した指標値の時系列データの平均値と、ステップS215で抽出した指標値の時系列データの平均値とを計算し、両平均値の差分(Dとする)を算出する(S216)。上記イベント後評価期間における指標値の時系列データと、イベント前評価期間における指標値の時系列データとに基づき、差分Dの検定を実行し、差分Dの尤度情報を取得する(S217)。ここでは尤度情報としてp値を算出する。差分Dが大きくかつp値が低いほど高い評価を与える評価値をイベント後傾向評価値として算出する。一例としてイベント前傾向評価値は、差分Dが大きくかつp値が低いほど高い値を有する。差分Dとp値とイベント後傾向評価値とを、指標に対応づける。例えば、図6のテーブルに差分Dとp値とイベント後傾向評価値とを格納する列を追加し、当該列の該当するセルに、算出された差分Dとp値とイベント後傾向評価値とを追加してもよい。
【0058】
統合評価部109は、各指標について算出されたイベント前傾向評価値及びイベント後傾向評価値に基づき、各指標を優先順位付けし(優先度を付与し)、各指標を評価する評価データを生成する(S22)。例えば統合評価部109は、イベント前傾向評価値が高い評価を示しかつイベント後傾向評価値が高い評価を示す指標ほど高い優先度を与える。統合評価部109は、指標に優先度を関連付けたデータを評価データとして生成してもよい。優先度に応じて指標を選択し、選択した指標のみのデータを評価データに含めてもよい。選択する指標は1つのみでもよい。
【0059】
一例として、統合評価部109は、イベント前傾向評価値に基づき、評価の高い上位N(Nは1以上の整数)個の指標を特定し、イベント後傾向評価値に基づき、評価の高い上位M(Mは1以上の整数)個の指標を特定し、上位N個の指標と上位M個の指標とで共通する指標を優先度の高い指標として選択してもよい。統合評価部109は、選択した指標を識別する情報を含む評価データを生成する。
【0060】
図15は、統合評価部109の動作の一例のフローチャートである。複数の指標のそれぞれのイベント前傾向評価値及びイベント後傾向評価値を読み込む(S301)。上記複数の指標のうち、イベント前傾向評価値の上位L(Lは1以上の整数)個を抽出してソートし、ソートされた指標を含むリスト(リストAとする)を生成する(S302)。上記複数の指標のうち、イベント後傾向評価値のp値が閾値以下の指標をすべて抽出し(S303)、抽出した指標を差分Dに応じてソートする(S304)。差分Dでソートされた指標のうち上位L個の指標を抽出し、抽出した指標を含むリスト(リストBとする)を生成する(S305)。リストAとリストBとに共通して含まれる指標を抽出してソートし、ソートされた指標を含むリスト(リストCとする)を生成する。ソートは、イベント前傾向評価値とイベント後傾向評価値との加重平均値に応じて行ってもよいし、イベント前傾向評価値とイベント後傾向評価値のうちの一方でソートしてもよい。リストA~Cを可視化部111に送る(S306)。リストCのみを可視化部111に送ってもよい。ステップS302とステップS305とで同じ個数(L)この指標を抽出しているが、各ステップで異なる指標を抽出してもよい。
【0061】
可視化部111は、リストA~Cと、リストA~Cに含まれる指標のイベント前傾向評価値及びイベント傾向評価値とに基づき、指標の評価データを生成する。指標データにはリストA~Cに含まれる各指標の優先度、イベント前傾向評価値及びイベント傾向評価値を含めてもよい。
【0062】
図16は、評価データの一例として指標評価結果データを示す。リストA~Cに含まれる指標が、横軸をイベント前傾向評価値、縦軸をイベント後傾向評価値と座標系にプロットされている。座標系の右上の領域Rに含まれる指標がリストCに含まれる指標である。
【0063】
図17は、リストCに含まれる指標と、リストCに含まれないがリストA又はリストBに含まれる指標のうち上位の指標とを選択し、選択したこれらの指標値時系列データのグラフを生成した例を示す。評価データに含める指標の上限値を定めておき、リストCに指標の個数が上限値に満たない場合のみ、評価データに含める指標の個数が上限値以下となる範囲で、リストA又はリストBに含まれる上位の指標を選択してもよい。リストCに含まれる指標のみについてグラフを生成してもよい。各指標について生成されたグラフを評価データに含めてもよい。
【0064】
可視化部111は、評価データを表示部113に出力し、表示部113の画面に評価データを表示させる(S23)。これにより、例えば図16及び図17のグラフが表示される。ユーザは表示されたグラフを視認できる。
【0065】
指標選択受付部110は、ユーザから指標の選択を受け付け、選択された指標に関する情報(図6の該当する行の情報)、対象イベントの情報、当該指標の指標値時系列データ等を指標DB208に格納する(S24)。対象機器における対象イベントの予兆(例えば故障の予兆)を検知するのに有効な指標に関する情報が、指標DB208に格納される。
【0066】
なお、対象機器の異常予兆を検知する装置(異常予兆検知装置)に、指標DB208に格納された指標に関する情報を設定し、異常予兆検知装置が、対象機器の時系列データと、指標とに基づき、対象機器の異常予兆を検知する処理を行ってもよい。例えば一定時間間隔で指標を計算し、指標値の傾きが閾値を超えた場合にアラームを出力してもよい。これにより、ユーザに、対象機器に異常予兆があることを通知できる。アラームは、ユーザに視認可能な画面にメッセージを表示してもよいし、ユーザが所持する端末装置にメッセージを送信してもよいし、警報音を、スピーカを介して出力してもよい。
【0067】
図18(A)は、ユーザが選択した故障情報が経年劣化を示す場合に(図11のテーブルの2行目を参照)、統合評価部109で選択された指標について、当該指標値のグラフを示す。このグラフは、図10又は図12と同様のグラフである。イベント1(故障)までは概ねある傾きで指標の値が減少し、部品交換によって指標の値が急上昇(改善)している。故障前は長期スパンで指標の値が徐々に変化している。したがって、この指標を用いることで、部品の経年劣化に起因する故障を事前に検知することが可能である。例えば前述の故障予兆検知装置で指標の値が閾値以下になったタイミングで故障の予兆を検知する。閾値は、例えば図18(A)のグラフで、故障に至ったときの指標の値にマージンを追加した値としてもよいし、その他の方法で定めてもよい。
【0068】
図18(B)は、ユーザが選択した故障情報が突発故障を示す場合に(図11のテーブルの1行目を参照)、統合評価部109で選択された指標について、当該指標の値のグラフを示す。故障直前に指標の値が大きく変化し、修理(部品交換)によって指標の値が改善している。この例では指標の値が低い方が対象機器の状態が正常である例である。したがって、この指標を用いることで、突発的な故障を事前に検知することが可能である。例えば前述の故障予兆検知装置で指標の値が閾値異常になったタイミングで故障の予兆(数日後に故障が発生する可能性が高い)を検知する。閾値は、例えば図18(B)のグラフで、故障の前に急上昇した指標の値にマージンを追加した値を用いてもよいし、その他の方法で定めてもよい。
【0069】
(変形例)
上述した実施形態では指標評価期間設定部105は、イベント前評価期間とイベント後評価期間とを図11に示した指標評価期間情報から選択したが、部品の耐用期間及び事前に定めた値(固定値)を用いることも可能である。
【0070】
一例として、指標評価期間設定部105は、イベント前評価期間として、部品の耐用年数(例えば1年、3年など)を用い、イベント後評価期間を固定値(例えば1日、3日など)としてもよい。
【0071】
他の例として、指標評価期間設定部105は図19に示す処理によりイベント前評価期間及びイベント後評価期間を決定してもよい。
図19は、変形例に係る指標評価期間設定部105の処理の例を示すフローチャートである。故障タイプが経年劣化による故障か突発故障かを判断し(S401)、経年劣化による故障の場合(NO)、イベント前評価期間として、部品の耐用年数を用い、イベント後評価期間として、固定値を用いる(S402)。一方、突発故障の場合は(YES)、イベント前評価期間及びイベンと後評価期間ともに固定値(例えばいずれも1日又は3日など)を用いる(S403)。この場合、両固定値は同じでも、異なってもよい。
他の例として、前回同じイベントが発生した日、または他のイベントが発生した日から、今回イベントが発生した日までの期間をイベント前評価期間としてもよい。
【0072】
以上、本実施形態によれば、イベントの発生の予兆検知の精度を高めた指標を生成することができる。
【0073】
(第2実施形態)
図20は、第2実施形態に係る情報処理装置として故障予兆指標生成装置10Aの一例のブロック図である。第1実施形態の故障予兆指標生成装置10に運転モード履歴DB204とデータ分割部121が追加されている。
【0074】
図21は、図20の故障予兆指標生成装置10Aの全体の処理の一例のフローチャートである。第1実施形態の図3のフローチャートに対してステップS14とステップS16との間にステップS15が追加されている。
【0075】
図20の運転モード履歴DB204は、対象機器の運転モードの履歴を格納している。対象機器は複数の運転モードを切り替え可能に有しており、運転モードの遷移の履歴が格納されている。運転モードの例として、停止中、稼働中、待機中などがある。その他にも、対象機器の種類に応じて、発電中、充電中、放電中などがあってもよいし、その他の運転モードがあってもよい。運転モードの履歴は、各運転モードが実行された期間(開始時刻と終了時刻)を含む。
【0076】
データ分割部121は、データ抽出部102から受けた各センサの時系列センサデータを運転モードごとに分割する(S15)。運転モードごとに時系列データを分割することで、運転モードごとに指標を生成することを実現する。
【0077】
図6の指標テーブルにおいて、運転モードの識別情報の列を追加し、運転モード毎に指標が定義されてもよい。
【0078】
指標計算部104は、指標生成部103で生成された各指標と、データ分割部121で運転モードごとに分割された時系列データに基づいて、各指標の値を計算することで、指標ごとに、指標値時系列データを取得する。
【0079】
以降の処理は、運転モードごとに、第1実施形態と同様の処理を行えばよい。これにより運転モードごとに、指標の評価データが生成される。
【0080】
以上、本実施形態によれば運転モードごとに指標の生成を行うことにより、対象機器が複数の運転モードを有する場合にも、イベントの発生の予兆検知の精度を高めた指標を生成することができる。
【0081】
(ハードウェア構成)
図22は、本実施形態に係る情報処理装置としての故障予兆指標生成装置10のハードウェア構成を示す。故障予兆指標生成装置10は、コンピュータ装置600により構成される。コンピュータ装置600は、プロセッサであるCPU601と、入力インタフェース602と、表示装置603と、通信装置604と、主記憶装置605と、外部記憶装置606とを備え、これらはバス607により相互に接続されている。
【0082】
CPU(中央演算装置)601は、主記憶装置605上で、コンピュータプログラムである情報処理プログラムを実行する。情報処理プログラムは、本装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。情報処理プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU601が、情報処理プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0083】
入力インタフェース602は、キーボード、マウス、およびタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、本装置に入力するための回路である。
【0084】
表示装置603は、本装置から出力されるデータを表示する。表示装置603は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、またはPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置600から出力されたデータは、この表示装置603に表示することができる。
【0085】
通信装置604は、本装置が外部装置と無線または有線で通信するための回路である。データは、通信装置604を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力したデータを、主記憶装置605や外部記憶装置606に格納することができる。
【0086】
主記憶装置605は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。情報処理プログラムは、主記憶装置605上で展開され、実行される。主記憶装置605は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。図1の各記憶部又はデータベースは、主記憶装置605上に構築されてもよい。
【0087】
外部記憶装置606は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要なデータ、および情報処理プログラムの実行により生成されたデータなどを記憶する。これらの情報処理プログラムやデータは、情報処理プログラムの実行の際に、主記憶装置605に読み出される。外部記憶装置606は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。情報処理装置の各記憶部又はデータベースは、外部記憶装置606上に構築されてもよい。
【0088】
なお、情報処理プログラムは、コンピュータ装置600に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、情報処理プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0089】
また、本装置は、単一のコンピュータ装置600により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置600からなるシステムとして構成されてもよい。
【0090】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0091】
本実施形態は以下のような構成をとることもできる。
[項目1]
対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得し、
前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得し、
前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得し、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成する、
処理部
を備えた情報処理装置。
[項目2]
前記処理部は、
前記第1部分時系列データに基づいて複数の指標を計算して前記複数の指標ごとに前記第1指標値時系列データを取得し、
前記第2部分時系列データに基づいて前記複数の指標を計算して前記複数の指標ごとに前記第2指標値時系列データを取得し、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記複数の指標を評価する評価データを生成する
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記処理部は、複数の前記センサを1つ以上組み合わせて複数のセンサ組み合わせを生成し、前記センサ組み合わせごとに、前記センサ組み合わせに含まれるセンサの計測値に基づく演算式を1つ以上決定し、前記センサ組み合わせと前記演算式との組ごとに前記指標を生成する
項目2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記処理部は、
前記指標ごとに前記センサ組み合わせに含まれる前記センサの前記第1部分時系列データに基づいて前記演算式を計算して、前記第1指標値時系列データを取得し、
前記指標ごとに前記センサ組み合わせに含まれる前記センサの前記第2部分時系列データに基づいて前記演算式を計算して、前記第2指標値時系列データを取得する
項目3に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記処理部は、計測される値の単位が異なる2つ以上のセンサを組み合わせて前記センサ組み合わせを生成する、及び、計測される値の単位が同じ2つ以上のセンサを組み合わせて前記センサ組み合わせを生成することの少なくとも一方を行う
項目3又は4に記載の情報処理装置。
[項目6]
前記センサ組み合わせが2つ以上のセンサを含み、前記演算式は、前記2つ以上のセンサの異なる時刻の計測値に基づく演算を含む
項目4又は5に記載の情報処理装置。
[項目7]
前記センサ組み合わせが1つのセンサを含み、前記演算式は、前記センサの異なる複数の時刻の計測値に基づく演算を含む
項目4~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目8]
前記処理部は、前記2つ以上のセンサの時刻の間隔を変更することにより複数の前記演算式を生成する
項目6に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記処理部は、前記センサの異なる複数の時刻の間隔を変更することにより複数の前記演算式を生成する
項目7又は8に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記処理部は、前記指標ごとに前記第1指標値時系列データに基づき前記イベントの発生前の前記対象機器の状態を評価する第1評価値を取得し、前記指標ごとに前記第2指標値時系列データに基づき前記イベントの発生後の前記対象機器の状態を評価する第2評価値を取得し、前記第1評価値と前記第2評価値とに基づき、前記評価データを生成する
項目2~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目11]
前記処理部は、前記第1評価値と前記第2評価値とに基づき前記複数の指標から少なくとも1つの指標を選択し、前記評価データは、選択された前記指標を識別する情報を含む
項目10に記載の情報処理装置。
[項目12]
前記処理部は、前記第1評価値と前記第2評価値とに基づき前記複数の指標に優先順位を設定し、前記評価データは、選択した前記指標を識別する情報を前記優先順位に応じて配置している
項目11に記載の情報処理装置。
[項目13]
前記処理部は、前記複数の指標のうち前記第1評価値に基づき上位N(Nは1以上の整数)個の指標を特定し、前記複数の指標のうち前記第2評価値に基づき上位M個の指標を特定し、前記上位N個の指標と前記上位M(Mは1以上の整数)個の指標とで共通する指標を選択する
項目11又は12に記載の情報処理装置。
[項目14]
前記評価データは、選択した前記指標ごとに前記第1指標値時系列データ及び前記第2指標値時系列データを表すグラフを含む
項目11~13のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目15]
前記処理部は、
前記指標ごとに前記第1指標値時系列データの傾きを計算し、
前記指標ごとに前記第1指標値時系列データの平均と前記第2指標値時系列データの平均との差分と、前記差分の尤度情報とを算出し、
前記指標ごとに、前記傾きに基づき前記第1評価値を算出し、前記差分と前記尤度情報とに基づき、前記第2評価値を算出する
項目10~14のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目16]
前記尤度情報はp値であり、
前記処理部は、前記第1評価値として前記傾きの絶対値が大きいほど高い評価を示す値を生成し、前記第2評価値として、前記p値が閾値以下で前記差分が大きいほど高い評価を示す値を生成する
項目15に記載の情報処理装置。
[項目17]
前記処理部は、前記イベントの種類に応じて、前記指標の計算に用いる前記第1指標値時系列データの期間であるイベント前評価期間及び前記指標の計算に用いる前記第2指標値時系列データの期間であるイベント後評価期間を決定し、前記第1指標値時系列データのうち前記イベント前評価期間に含まれるデータに基づき前記第1評価値を算出し、前記第2指標値時系列データのうち前記イベント後評価期間に含まれるデータに基づき前記第2評価値を算出する
項目10~16のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目18]
前記イベントの種類は、少なくとも経年劣化による故障又は突発的な故障を含む
項目17に記載の情報処理装置。
[項目19]
前記イベントは、前記対象機器の部品の故障イベントである第1イベントと、前記部品の修理又は交換のイベントである第2イベントを含み、
前記第1部分時系列データは、前記部品の故障前の前記センサの時系列データであり、
前記第2部分時系列データは、前記部品の修理又は交換後の前記センサの時系列データである
項目1~18のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目20]
前記対象機器は、複数の運転モードを有し、
前記処理部は、前記対象機器の前記センサの計測値の履歴データに基づき、前記時系列データを前記運転モードに応じて複数に分割し、
前記運転モードごとに、分割された前記時系列データに基づき、前記評価データを生成する
項目1~19のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目21]
前記処理部は、
前記評価データを画面に表示し、
前記評価データに含まれる前記指標から指標の選択を受け付け、
選択された前記指標を識別する情報を、前記イベントの情報と関連づけて保存する
項目11に記載の情報処理装置。
[項目22]
前記イベントは、前記対象機器における部品の故障、交換、修理のうち少なくとも1つを含む
項目1~21のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目23]
対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得し、
前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得し、
前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得し、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成する、
コンピュータが実行する情報処理方法。
[項目24]
対象機器をセンシングするセンサの計測値の時系列データにおいて前記対象機器におけるイベントの発生前の時系列データである第1部分時系列データと前記イベントの発生後の時系列データである第2部分時系列データとを取得するステップと、
前記第1部分時系列データに基づき指標を計算して指標値の時系列データである第1指標値時系列データを取得するステップと、
前記第2部分時系列データに基づいて前記指標を計算して指標値の時系列データである第2指標値時系列データを取得するステップと、
前記第1指標値時系列データと前記第2指標値時系列データとに基づき、前記指標を評価する評価データを生成するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0092】
10 故障予兆指標生成装置(情報処理装置)
10A 故障予兆指標生成装置(情報処理装置)
100 処理部
101 センサ受付部
102 データ抽出部
103 指標生成部
104 指標計算部
105 指標評価期間設定部
106 評価値算出部
107 イベント前傾向評価部
108 イベント後傾向評価部
109 (図11のテーブルの2行目を参照)統合評価部
109 統合評価部
110 指標選択受付部
111 可視化部
112 入力部
113 表示部
121 データ分割部
201 データベース(DB)
202 データベース(DB)
203 データベース(DB)
204 データベース(DB)
205 データベース(DB)
206 データベース(DB)
207 データベース(DB)
208 データベース(DB)
600 コンピュータ装置
602 入力インタフェース
603 表示装置
604 通信装置
605 主記憶装置
606 外部記憶装置
607 バス
図1
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