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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135385
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】無線通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/00 20060101AFI20240927BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20240927BHJP
【FI】
H04B1/00 250
H04B1/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046038
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】山口 修平
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 廣高
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011DA15
5K011DA27
5K011GA02
5K011KA01
(57)【要約】
【課題】複数の周波数帯域での無線通信に対応しつつ、機器コストの増大を抑制できる無線通信装置を提供する。
【解決手段】互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する複数の信号処理回路部と、この信号処理回路部の少なくとも一つに対応して設けられ、当該信号処理回路部が生成または復調する無線信号の周波数帯域内の、互いに異なる第1,第2の帯域の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュールと、これら第1,第2の信号処理モジュールに対応する信号処理回路部と、当該第1,第2の信号処理モジュールのいずれか一方とを選択的に接続するスイッチモジュールと、を含む無線通信装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する複数の信号処理回路部と、
前記信号処理回路部の少なくとも一つに対応して設けられ、当該信号処理回路部が生成または復調する無線信号の周波数帯域内の、互いに異なる第1,第2の帯域の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュールと、
前記第1,第2の信号処理モジュールに対応する信号処理回路部と、当該第1,第2の信号処理モジュールのいずれか一方とを選択的に接続するスイッチモジュールと、
を含む無線通信装置。
【請求項2】
請求項1記載の無線通信装置であって、
前記第1,第2の信号処理モジュールは、それぞれ、対応する第1、第2の帯域の無線信号を通過する信号フィルタを備えてなる無線通信装置。
【請求項3】
請求項1記載の無線通信装置であって、
前記第1,第2の信号処理モジュールは、それぞれ、対応する第1、第2の帯域の無線信号に対応する信号フィルタと、信号強度を検出するカプラとを少なくとも含む無線通信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記第1,第2の信号処理モジュールのいずれかを、アンテナに選択的に接続するアンテナ側スイッチモジュールをさらに含む無線通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記第1,第2の信号処理モジュールが、それぞれ第1,第2のアンテナに接続される無線通信装置。
【請求項6】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記信号処理回路部には、前記複数の信号処理モジュールに対応する第1種信号処理回路部と、単数の信号処理モジュールにそれぞれ接続され、それぞれが互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する第2種信号処理回路部とを含み、
アンテナに接続され、当該複数の第2種信号処理回路部との間で入出力する信号を合成または分離する信号合成モジュールをさらに含む無線通信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の無線通信装置であって、
前記信号処理回路部には、前記複数の信号処理モジュールに対応する第1種信号処理回路部と、単数の信号処理モジュールにそれぞれ接続され、それぞれが互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する第2種信号処理回路部とを含み、
当該第2種信号処理回路部に接続された信号処理モジュールが、
所定の帯域の無線信号に対応する信号フィルタと、
この信号フィルタを介して信号を通過させるか、この信号フィルタをバイパスした経路で信号を通過させるかを切り替える一対のフィルタスイッチモジュールと、を備える無線通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の無線通信装置であって、
前記スイッチモジュールと、前記一対のフィルタスイッチモジュールは連動するよう設定されている無線通信装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の無線通信装置であって、
前記複数の信号処理回路部には、5GHz帯のうち比較的高い周波数帯域と、6GHz帯の無線信号を生成または復調する6GHz信号処理回路部と、5GHz帯のうち比較的低い周波数帯域の無線信号を生成または復調する5GHzLow信号処理回路部とを含み、
前記6GHz信号処理回路部に対応して、互いに異なる第1,第2の帯域の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュールを備える無線通信装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO(Multi-Input-Multi-Output)方式の無線システムであって、複数の周波数帯に応じたフィルタ及び増幅器と、バンド切替回路と、高周波信号と制御信号とが重畳された信号を入出力する信号端子と、前記信号端子が入出力する信号から高周波信号と制御信号とを分離するためのインダクタ及びキャパシタを備える無線システムが特許文献1に開示されている。この特許文献1の例では、当該複数の周波数帯のうち、いずれか一つの周波数帯を選択して通信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-219023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら例えば無線LANでは、複数の互いに異なる周波数帯に対応するクライアント装置が存在する。このため無線LAN機器は、使用者の所持するクライアント装置によって、どの周波数帯域での通信に対応するかが設定されるのが一般的である。
【0005】
このような場合、通信する可能性のある、複数の周波数帯域のそれぞれに対応する回路を設ければよいが、この構成では、機器コストが増大するという問題点がある。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、複数の周波数帯域での無線通信に対応しつつ、機器コストの増大を抑制できる無線通信装置を提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、無線通信装置であって、互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する複数の信号処理回路部と、前記信号処理回路部の少なくとも一つに対応して設けられ、当該信号処理回路部が生成または復調する無線信号の周波数帯域内の、互いに異なる第1,第2の帯域の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュールと、前記第1,第2の信号処理モジュールに対応する信号処理回路部と、当該第1,第2の信号処理モジュールのいずれか一方とを選択的に接続するスイッチモジュールと、を含むこととしたものである。
【0008】
これにより、コストが大きい要素を信号処理回路部として複数の帯域で切り替えて利用可能とすることで、複数の周波数帯域での無線通信に対応しつつ、機器コストの増大を抑制できる。
【0009】
また前記第1,第2の信号処理モジュールは、それぞれ、対応する第1、第2の帯域の無線信号を通過する信号フィルタを備えてよい。
【0010】
さらに前記第1,第2の信号処理モジュールは、それぞれ、対応する第1、第2の帯域の無線信号に対応する信号フィルタと、信号強度を検出するカプラとを少なくとも含んでよい。
【0011】
さらにこの無線通信装置は、前記第1,第2の信号処理モジュールのいずれかを、アンテナに選択的に接続するアンテナ側スイッチモジュールをさらに含んでもよく、前記第1,第2の信号処理モジュールが、それぞれ第1,第2のアンテナに接続されてもよい。
【0012】
またこの無線通信装置において、前記信号処理回路部には、前記複数の信号処理モジュールに対応する第1種信号処理回路部と、単数の信号処理モジュールにそれぞれ接続され、それぞれが互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する第2種信号処理回路部とを含み、アンテナに接続され、当該複数の第2種信号処理回路部との間で入出力する信号を合成または分離する信号合成モジュールをさらに含んでもよい。
【0013】
さらにこの無線通信装置において、前記信号処理回路部には、前記複数の信号処理モジュールに対応する第1種信号処理回路部と、単数の信号処理モジュールにそれぞれ接続され、それぞれが互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する第2種信号処理回路部とを含み、当該第2種信号処理回路部に接続された信号処理モジュールが、所定の帯域の無線信号に対応する信号フィルタと、この信号フィルタを介して信号を通過させるか、この信号フィルタをバイパスした経路で信号を通過させるかを切り替える一対のフィルタスイッチモジュールと、を備えてもよい。
【0014】
ここで前記スイッチモジュールと、前記一対のフィルタスイッチモジュールは連動するよう設定されていてもよい。
【0015】
さらにこれらの無線通信装置では、前記複数の信号処理回路部には、5GHz帯のうち比較的高い周波数帯域と、6GHz帯の無線信号を生成または復調する6GHz信号処理回路部と、5GHz帯のうち比較的低い周波数帯域の無線信号を生成または復調する5GHzLow信号処理回路部とを含み、前記6GHz信号処理回路部に対応して、互いに異なる第1,第2の帯域の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュールを備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、複数の周波数帯域での無線通信に対応しつつ、機器コストの増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る無線通信装置の構成例を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る無線通信装置の信号処理モジュールの構成例を表すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る無線通信装置の制御部の動作例を表すフローチャート図である。
図4】本発明の実施の形態に係る無線通信装置のもう一つの構成例を表すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係る無線通信装置のもう一つの信号処理モジュールの構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態の一例に係る無線通信装置1は、図1にその基本的な例(デュアルバンドの例)を示すように、制御部11と、記憶部12と、複数の信号処理回路部13,14…と、信号処理回路部13に対応して設けられる第1,第2の信号処理モジュール15a,15bと、信号処理回路部14に対応して設けられる第3の信号処理モジュール15cと、ダイプレクサ16と、アンテナ17a,17bと、スイッチモジュール18と、を含んで構成される。
【0019】
ここで制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスを含み、記憶部12に格納されたプログラムに従って動作する。本実施の形態の例では、この制御部11は、図1に例示した各部を制御し、通信の対象となった情報を信号処理回路部13と、信号処理回路部14との少なくとも一方に出力して、無線信号として送出させる。またこの制御部11は、アンテナ17(以下、アンテナ17a,b…を互いに区別する必要がない場合には、アンテナ17としてまとめて記載する)に到来した信号を受信し、復調して信号処理回路部13または信号処理回路部14が出力する情報を受け入れて、予め定められた処理(例えば有線ネットワークを介して送出する処理等)を実行する。
【0020】
また本実施の形態の一例では、この制御部11は、無線通信装置1のユーザから、使用する周波数帯域の設定を受け入れ、当該設定を記憶部12に格納するとともに、当該設定に基づいて、各部を制御する。この制御部11の動作については後に述べる。
【0021】
記憶部12は、メモリデバイス等であり、制御部11によって実行されるプログラム等を保持する。またこの記憶部12は、制御部11のワークメモリとしても動作する。さらに記憶部12は、不揮発性の記憶領域を備えて、制御部11から入力される指示に従って設定等の情報を電源のオン・オフに関わらず保持するようにしてもよい。本実施の形態の例では、この記憶部12に格納されるプログラムは、コンピュータ可読かつ非一時的な記録媒体に格納されて提供されるものであってよい。あるいは、このプログラムは、ネットワーク等の通信手段を介して伝送され、この記憶部12に格納されたものであってもよい。
【0022】
複数の信号処理回路部13,14は、それぞれが、互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する。具体的に信号処理回路部13,14は、それぞれベースバンドチップを含んで構成される。これら信号処理回路部13,14は、制御部11が出力する、通信対象となった情報を受け入れて変調し、対応する周波数帯域の無線信号を生成する。そして信号処理回路部13は、当該生成した無線信号を、対応する第1あるいは第2の信号処理モジュール15a,bに対して出力する。また信号処理回路部14は、生成した無線信号を、対応する第3の信号処理モジュール15cに対して出力する。
【0023】
さらに信号処理回路部13は、対応する第1あるいは第2の信号処理モジュール15a,bから入力された信号を復調して、当該復調して得た情報を、制御部11に対して出力する。また信号処理回路部14は、対応する第3の信号処理モジュール15cから入力された信号を復調して、当該復調して得た情報を、制御部11に対して出力する。
【0024】
信号処理モジュール15(以下、第1,第2,第3の信号処理モジュール15a,15b,15cを区別する必要がない場合は、単に信号処理モジュール15と記す)は、それぞれ、図2(a)に例示するように、チューナや増幅器等を含むフロントエンドモジュール151を備える。さらにこの信号処理モジュール15は、信号線によって伝達される信号の強度を検出するカプラ155をさらに含んでもよい。
【0025】
また別の例では、信号処理モジュール15は、図2(b)に例示するように、フロントエンドモジュール151と、カプラ155と、信号フィルタ156とを含んでもよい。ここで信号フィルタ156は、無線信号フィルタ(RFフィルタ)であり、予め定められた、対応する帯域の無線信号を通過させるものである。なお、カプラ155と信号フィルタ156との配置順序を逆順として、フロントエンドモジュール151に直接信号フィルタ156が接続され、信号フィルタ156の後段(アンテナ側)にカプラ155が備えられてもよい。さらに、この後者の例では、フロントエンドモジュール151内に信号フィルタ156が内蔵されてもよい(以下、各例において同様)。
【0026】
ダイプレクサ16は、信号合成モジュールとして動作し、第2の信号処理モジュール15bと、第3の信号処理モジュール15cとが出力する信号を混合してアンテナ17aに出力するとともに、アンテナ17aに到来した信号を、第2の信号処理モジュール15bと、第3の信号処理モジュール15cとのそれぞれに対応する周波数帯域の信号に分波して、分波した信号をそれぞれの周波数帯域に対応する第2の信号処理モジュール15bと、第3の信号処理モジュール15cとに出力する。
【0027】
図1の例では、アンテナ17aは、ダイプレクサ16を介して第2の信号処理モジュール15bと、第3の信号処理モジュール15cとに接続され、アンテナ17bは、第1の信号処理モジュール15aに接続される。
【0028】
スイッチモジュール18は、制御部11から入力される指示に従い、信号処理回路部13に対して、第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのいずれか一方を選択的に接続するスイッチを含む。本実施の形態の一例では、このスイッチモジュール18は図1に例示するように、第1のスイッチ181と、第2のスイッチ182とを含む。第1のスイッチ181は、信号処理回路部13が出力する無線信号を、第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのいずれか一方に選択的に出力するとともに、当該選択した第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのいずれか一方が出力する信号を、信号処理回路部13に出力する。
【0029】
また第2のスイッチ182は、第1のスイッチ181と連動し、第1のスイッチ181が、信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aとを接続しているときには、第1の信号処理モジュール15aに含まれるカプラ155と信号処理回路部13とを接続する。またこの第2のスイッチ182は、第1のスイッチ181が、信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bとを接続しているときには、第2の信号処理モジュール15bに含まれるカプラ155と信号処理回路部13とを接続する。
【0030】
[動作]
本実施の形態の一例に係る無線通信装置1は、上述の構成を備えており、次のように動作する。なお、以下の例では、信号処理回路部13は、5GHz帯または6GHz帯の無線信号を生成または復調する5,6GHz信号処理回路部として機能し、信号処理回路部14は、2.4GHz帯の無線信号を生成または復調する2.4GHz信号処理回路部として機能するものとする。
【0031】
また信号処理回路部13には、互いに異なる第1,第2の帯域(ここでは5GHz帯と、6GHz帯との各周波数帯域)の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュール15a,15bを、スイッチモジュール18を介して接続する。以下、このように、複数の信号処理モジュールに対応して接続される信号処理回路部を、第1種信号処理回路部と呼ぶ。
【0032】
さらに信号処理回路部14には、第1,第2の帯域とはさらに異なる第3の帯域(ここでは2.4GHz)の無線信号を処理する第3の信号処理モジュール15cが接続される。このように、単数の信号処理モジュールに対応する信号処理回路部を、以下では第2種信号処理回路部と呼ぶ。
【0033】
本実施の形態の以下の例では、第1の信号処理モジュール15aは、図2(b)に例示したように、フロントエンドモジュール151と、カプラ155と、信号フィルタ156とを含んで構成される。また、第2,第3の信号処理モジュール15b,15cは、図2(a)に例示したように、フロントエンドモジュール151と、カプラ155とを備え、アンテナ17aに対してダイプレクサ16を介して接続される。
【0034】
制御部11は、ユーザから設定を受け入れる。本実施の形態のある例では、制御部11が例えば有線ネットワークインタフェースを含み、この有線ネットワークインタフェースを介して接続された有線ネットワークを介して、設定を受け入れることとしてもよい。あるいは制御部11は、図示しない切り替えスイッチ(スライドスイッチなどでよい)をユーザに操作させて設定を受け入れるなど、種々の広く知られた方法のいずれかにより設定を受け入れる。制御部11は、この設定の内容を記憶部12の不揮発性の記憶領域に保持しておいてもよい。
【0035】
ここでの例では、この設定は「6GHzを使用するか否か」を表す設定であるものとする。制御部11は、無線通信装置1の電源投入時あるいはリセットのタイミングなど、機器の初期化が行われる所定のタイミングで、この設定を受け入れて(あるいは記憶部12から読み出して)、図3に例示する処理を開始する。
【0036】
制御部11は、受け入れた(あるいは読み出した)設定が「6GHzを使用する」設定であるか否かを判断する(S1)。ここで設定が、「6GHzを使用する」設定であれば(S1:Yes)、制御部11は、スイッチモジュール18を制御し、信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aとを接続する(S2)。このとき第1のスイッチ181は、信号処理回路部13を第1の信号処理モジュール15aのフロントエンドモジュール151に接続し、第2のスイッチ182は、信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aのカプラ155とを接続するようそれぞれ切り替えられる。
【0037】
また制御部11は、各部(例えば第1乃至第3の信号処理モジュール15a,15b,15cのそれぞれのフロントエンドモジュール151)に対して対応する周波数帯域での通信を行うよう設定し、出力(パワー)等の設定を、予め「6GHzを使用する」際の設定として定められた値に設定する(S3:パラメータ設定)。そして制御部11は、無線通信を開始する(S4)。
【0038】
一方、ステップS1において、設定が、「6GHzを使用しない」設定であれば(S1:No)、制御部11は、スイッチモジュール18を制御し、信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bとを接続する(S5)。このとき第1のスイッチ181は、信号処理回路部13を第2の信号処理モジュール15bのフロントエンドモジュール151に接続し、第2のスイッチ182は、信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bのカプラ155とを接続するようそれぞれ切り替えられる。
【0039】
また制御部11は、各部(例えば第1乃至第3の信号処理モジュール15a,15b,15cのそれぞれのフロントエンドモジュール151)に対して対応する周波数帯域での通信を行うよう設定し、出力(パワー)等の設定を、予め「6GHzを使用しない」際の設定として定められた値に設定する(S6:パラメータ設定)。そして制御部11は、ステップS4に移行して通信を行う。
【0040】
「6GHzを使用する」設定が行われている場合、6GHzで通信する無線通信クライアントC1の無線信号は、アンテナ17bを介して第1の信号処理モジュール15aに入力される。そしてこの無線信号は、第1の信号処理モジュール15aの信号フィルタ156により6GHz帯の無線信号が選択的に通過されて、カプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第1の信号処理モジュール15aのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、スイッチモジュール18を介して接続されている信号処理回路部13に出力する。
【0041】
信号処理回路部13では、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1が送出した情報を得る。一方制御部11は、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1に対して送出するべき情報を、信号処理回路部13に出力する。なお、制御部11は予め、各無線通信クライアントCを識別する情報に対して、それぞれがどの周波数帯域で通信をするかを表す情報を関連付けて記憶しておくものとする。
【0042】
信号処理回路部13は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは6GHz帯)の無線信号を生成する。ここで信号処理回路部13は、スイッチモジュール18を介して第1の信号処理モジュール15aに接続されているので、当該生成した無線信号を、第1の信号処理モジュール15aに出力する。
【0043】
そして第1の信号処理モジュール15aのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介して信号フィルタ156に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部13にフィードバックする。信号処理回路部13は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0044】
一方、信号フィルタ156は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号から6GHz帯の無線信号を選択的に通過させて、アンテナ17bを介して放射する。そしてこの無線信号が、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1に到達することとなる。
【0045】
一方、このとき、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号は、アンテナ17aを介してダイプレクサ16により分配され、第2の信号処理モジュール15bと第3の信号処理モジュール15cとに入力される。ここでは第2の信号処理モジュール15bは5GHz帯の信号の処理を行うため、2.4GHz帯の信号はフィルタして扱わないうえ、このときには信号処理回路部13に接続されていないので、機能しない。
【0046】
第3の信号処理モジュール15cに入力された無線信号は、当該第3の信号処理モジュール15cのカプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、信号処理回路部14に出力する。
【0047】
信号処理回路部14では、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2が送出した情報を得る。一方制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に対して送出するべき情報を、信号処理回路部14に出力する。
【0048】
信号処理回路部14は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは2.4GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部14は、当該生成した無線信号を、第3の信号処理モジュール15cに出力する。
【0049】
そして第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介してダイプレクサ16に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部14にフィードバックする。信号処理回路部14は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0050】
ダイプレクサ16は、第3の信号処理モジュール15cが出力する無線信号を、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に到達することとなる。
【0051】
また、設定として「6GHzを使用しない」設定が行われている場合、第1の信号処理モジュール15aが信号処理回路部13に接続されず、機能していないので、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1の無線信号は、アンテナ17bに到来しても受信されない。
【0052】
このように「6GHzを使用しない」設定が行われている場合、5GHzで通信する無線通信クライアントC3の無線信号は、アンテナ17aを介してダイプレクサ16により分配され、第2の信号処理モジュール15bと第3の信号処理モジュール15cとに入力される。ここでは第3の信号処理モジュール15cは2.4GHz帯の信号の処理を行うため、5GHz帯の信号はフィルタして扱わない。
【0053】
第2の信号処理モジュール15bに入力された無線信号は、当該第2の信号処理モジュール15bのカプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第2の信号処理モジュール15bのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、スイッチモジュール18を介して接続されている信号処理回路部13に出力する。
【0054】
信号処理回路部13では、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC3の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC3が送出した情報を得る。一方制御部11は、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC3に対して送出するべき情報を、信号処理回路部13に出力する。
【0055】
信号処理回路部13は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは5GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部13は、当該生成した無線信号を、スイッチモジュール18を介して接続されている第2の信号処理モジュール15bに出力する。
【0056】
そして第2の信号処理モジュール15bのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介してダイプレクサ16に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部13にフィードバックする。信号処理回路部13は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0057】
ダイプレクサ16は、第2の信号処理モジュール15bが出力する無線信号と、第3の信号処理モジュール15cが出力する無線信号とを混合して、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC3に到達することとなる。
【0058】
このとき、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号は、アンテナ17aを介してダイプレクサ16により分配され、第2の信号処理モジュール15bと第3の信号処理モジュール15cとに入力される。ここでは第2の信号処理モジュール15bは5GHz帯の信号の処理を行うため、2.4GHz帯の信号はフィルタして扱わない。
【0059】
第3の信号処理モジュール15cに入力された無線信号は、当該第3の信号処理モジュール15cのカプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、信号処理回路部14に出力する。
【0060】
信号処理回路部14では、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2が送出した情報を得る。一方制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に対して送出するべき情報を、信号処理回路部14に出力する。
【0061】
信号処理回路部14は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは2.4GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部14は、当該生成した無線信号を、第3の信号処理モジュール15cに出力する。
【0062】
そして第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介してダイプレクサ16に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部14にフィードバックする。信号処理回路部14は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0063】
ダイプレクサ16は、第2の信号処理モジュール15bが出力する無線信号と、第3の信号処理モジュール15cが出力する無線信号とを混合して、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に到達することとなる。
【0064】
[実施形態の効果]
このように本実施の形態の例によると、5GHz+2.4GHzまたは6GHz+2.4GHzのいずれかを選択可能として、複数の周波数帯域での無線通信に対応しつつ、比較的高価な信号処理回路部を、5GHzまたは6GHzのフロントエンドモジュール(比較的安価な回路部)に切り替えて接続するようにしたので、機器コストの増大を抑制できる。
【0065】
[トライバンドの構成]
また、本実施の形態の構成は、以上のようなデュアルバンドの構成に限られず、トライバンドで構成する場合にも利用できる。
【0066】
トライバンド構成では、図4に例示するように、第1種信号処理回路である信号処理回路部13と、第2種信号処理回路部14,19を備え、またこれら各信号処理回路13,14,19は、互いに異なる周波数帯域(例えば5乃至6GHzと、2.4GHzと、5GHz)にそれぞれ対応するものとする。また図4の例では、各信号処理回路部13,14,19に接続される信号処理モジュール15の構成が図1のデュアルバンドの例とは異なる。
【0067】
図4の例に係るトライバンド構成の無線通信装置1は、制御部11と、記憶部12と、複数の信号処理回路部13,14,19と、信号処理回路部13に対応して設けられる第1,第2の信号処理モジュール15a,15bと、信号処理回路部14,19にそれぞれ対応して設けられる第3,第4の信号処理モジュール15c,15dと、ダイプレクサ16と、アンテナ17a,17bと、スイッチモジュール18a,18b,18cと、を含んで構成される。
【0068】
この例でも制御部11は、図4に例示した各部を制御し、通信の対象となった情報を信号処理回路部13と、信号処理回路部14と、信号処理部19との少なくとも一つに出力して、無線信号として送出させる。またこの制御部11は、アンテナ17に到来した信号を受信し、復調して信号処理回路部13,14,19が出力する情報を受け入れて、予め定められた処理(例えば有線ネットワークを介して送出する処理等)を実行する。記憶部12は、図1に例示したものと同様であるので、繰り返しての説明を省略する。
【0069】
複数の信号処理回路部13,14,19は、それぞれが、互いに異なる周波数帯域での無線信号を生成または復調する。具体的に信号処理回路部13,14,19は、それぞれベースバンドチップを含んで構成され、制御部11が出力する、通信対象となった情報を受け入れて変調し、対応する周波数帯域の無線信号を生成する。
【0070】
またこの図4の例では、信号処理回路部13は、第1,第2の信号処理モジュール15a,bに対してスイッチモジュール18aを介して接続されており、当該生成した無線信号を、第1,第2の信号処理モジュール15a,bのいずれかに出力する。また信号処理回路部14,19は、生成した無線信号を、それぞれ対応する第3,第4の信号処理モジュール15c,15dに対して出力する。
【0071】
さらに信号処理回路部13は、対応する第1あるいは第2の信号処理モジュール15a,bから入力された信号を復調して、当該復調して得た情報を、制御部11に対して出力する。また信号処理回路部14,19は、対応する第3,第4の信号処理モジュール15c,15dから入力された信号を復調して、当該復調して得た情報を、制御部11に対して出力する。
【0072】
信号処理モジュール15(以下、第1乃至第4の信号処理モジュール15a,15b,15c,15dを区別する必要がない場合は、単に信号処理モジュール15と記す)は、それぞれ、図2(a),(b)に例示した構成を備える。なお、本実施の形態のここでの例では、第4の信号処理モジュール15dは、図5に例示するように、フロントエンドモジュール151と、後に説明するスイッチモジュール18bと、信号フィルタ157と、カプラ155とを含むものとする。ここで信号フィルタ157は、信号フィルタ156と同様に無線信号(RF)フィルタであり、所定の周波数帯域の信号を通過するものである。ここで所定の周波数帯域は、第1の信号処理モジュール15aの周波数帯域から比較的離れた(第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのそれぞれが対応する周波数帯域間の間隔よりも離れた)周波数帯域としてもよい。
【0073】
ダイプレクサ16は、第3の信号処理モジュール15cと、第4の信号処理モジュール15dとが出力する信号を混合してアンテナ17aに出力するとともに、アンテナ17aに到来した信号を、第3の信号処理モジュール15cと、第4の信号処理モジュール15dとのそれぞれに対応する周波数帯域の信号に分波して、分波した信号をそれぞれの周波数帯域に対応する第3の信号処理モジュール15cと、第4の信号処理モジュール15dとに出力する。
【0074】
図4の例では、アンテナ17aは、ダイプレクサ16を介して第3の信号処理モジュール15cと、第4の信号処理モジュール15dとに接続され、アンテナ17bは、第1の信号処理モジュール15aと、第2の信号処理モジュール15bとのいずれかに、スイッチモジュール18cを介して接続される。つまりこのスイッチモジュール18cは、本発明のアンテナ側スイッチモジュールとして機能する。もっともこれは一例では、第1の信号処理モジュール15aと、第2の信号処理モジュール15bとはそれぞれ別のアンテナ17に接続されてもよい。
【0075】
スイッチモジュール18aは、制御部11から入力される指示に従い、信号処理回路部13に対して、第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのいずれか一方を選択的に接続するスイッチを含む。本実施の形態の一例では、このスイッチモジュール18aは図4に例示したように、第1のスイッチ181と、第2のスイッチ182とを含む。第1のスイッチ181は、信号処理回路部13が出力する無線信号を、第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのいずれか一方に選択的に出力するとともに、当該選択した第1の信号処理モジュール15aと第2の信号処理モジュール15bとのいずれか一方が出力する信号を、信号処理回路部13に出力する。
【0076】
また第2のスイッチ182は、第1のスイッチ181と連動し、第1のスイッチ181が、信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aとを接続しているときには、第1の信号処理モジュール15aに含まれるカプラ155と信号処理回路部13とを接続する。またこの第2のスイッチ182は、第1のスイッチ181が、信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bとを接続しているときには、第2の信号処理モジュール15bに含まれるカプラ155と信号処理回路部13とを接続する。
【0077】
また第4の信号処理モジュール15dに含まれるスイッチモジュール18bは、第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151を、第4の信号処理モジュール15dのカプラ155に対して信号フィルタ157を介して接続する経路と、第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151を、第4の信号処理モジュール15dのカプラ155に信号フィルタ157を介さずに接続する(バイパスする)経路とを切り替えるフィルタスイッチモジュールとして機能する。
【0078】
このスイッチモジュール18bは、それぞれスイッチモジュール18aと連動する一対のスイッチ18b-1,18b-2を備え、スイッチモジュール18aの第1のスイッチ181が信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aとを接続している間は、第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151を、第4の信号処理モジュール15dのカプラ155に対して信号フィルタ157を介して接続する。またスイッチモジュール18aの第1のスイッチ181が信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bとを接続している間は、第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151を、第4の信号処理モジュール15dのカプラ155に信号フィルタ157を介さずに接続する。
【0079】
スイッチモジュール18cは、第1,第2の信号処理モジュール15a,15bのいずれかをアンテナ17bに接続する。このスイッチモジュール18cは、スイッチモジュール18aと連動しており、スイッチモジュール18aの第1のスイッチ181が信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aとを接続している間は、第1の信号処理モジュール15aをアンテナ17bに接続する。また、スイッチモジュール18aの第1のスイッチ181が信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bとを接続している間は、第2の信号処理モジュール15bをアンテナ17bに接続する。
【0080】
[トライバンド構成の動作]
図4の例に係るトライバンド構成の無線通信装置1は、以上の構成を基本的に備え、次のように動作する。なお、以下の例では、信号処理回路部13は、5GHz帯または6GHz帯の無線信号を生成または復調する5,6GHz信号処理回路部として機能し、信号処理回路部14は、2.4GHz帯の無線信号を生成または復調する2.4GHz信号処理回路部として機能するものとする。さらに信号処理回路部19は、5GHz帯の無線信号を生成または復調する5GHz信号処理回路部として機能する。
【0081】
また信号処理回路部13には、互いに異なる第1,第2の帯域(ここでは5GHz帯の比較的高い周波数帯域(以下5GHzHighと表記する)と、6GHz帯との各周波数帯域)の無線信号をそれぞれ処理する第1,第2の信号処理モジュール15a,15bを、スイッチモジュール18を介して接続する。ここで、5GHz帯の比較的高い周波数帯域は、例えば5.47GHz乃至5.73GHzの帯域(一般社団法人 電子情報技術産業協会JEITAのガイドラインでいうW56の帯域)などが相当する。
【0082】
さらに信号処理回路部14には、第1,第2の帯域とはさらに異なる第3の帯域(ここでは2.4GHz)の無線信号を処理する第3の信号処理モジュール15cが接続され、信号処理回路部19には、第1,第3の帯域とは異なる第4の帯域(ここでは5GHz帯あるいは、5GHz帯のうち、比較的低い周波数帯域(以下5GHzLowと表記する))の無線信号を処理する第4の信号処理モジュール15dが接続される。ここで、5GHz帯の比較的低い周波数帯域と、例えば5.15GHz乃至5.25GHzの帯域、及び5.25GHz乃至5.35GHzの帯域(いわゆるW52,W53の帯域)などが相当する。
【0083】
本実施の形態の以下の例では、第1,第2の信号処理モジュール15a,bは、図2(b)に例示したように、フロントエンドモジュール151と、カプラ155と、信号フィルタ156(この信号フィルタ156は、第1,第2の信号処理モジュール15a,bにおいてそれぞれ対応する6GHz及び5GHzHighの周波数帯域を通過するものとする)とを含んで構成される。また、第3の信号処理モジュール15cは、図2(a)に例示したように、フロントエンドモジュール151と、カプラ155とを備え、アンテナ17aに対してダイプレクサ16を介して接続され、第4の信号処理モジュール15dは、図5に例示した構成を備えて、アンテナ17aに対してダイプレクサ16を介して接続される。
【0084】
制御部11は、ユーザから設定を受け入れる。ここでの例では、この設定はトライバンドとして、
(設定a)2.4GHz+5GHz+6GHzの3バンドで使いたいか
(設定b)2.4GHz+5GHzLow+5GHzHighの3バンドで使いたいか
のいずれかを表すものとする。
【0085】
制御部11は、無線通信装置1の電源投入時あるいはリセットのタイミングなど、機器の初期化が行われる所定のタイミングで、この設定を受け入れて(あるいは記憶部12から読み出して)、図3に例示したと同様の処理を開始する。
【0086】
制御部11は、受け入れた(あるいは読み出した)設定が設定a(2.4GHz+5GHz+6GHzの3バンドで使いたい)であるか設定b(2.4GHz+5GHzLow+5GHzHighの3バンドで使いたい)であるかを判断する。ここで設定が設定aであれば、制御部11は、スイッチモジュール18a,b,cを制御し、信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aとを接続し、また第4の信号処理モジュール15dの内部においてフロントエンドモジュール151を、カプラ155に信号フィルタ157を介さずに接続する。さらに第1の信号処理モジュール15aとアンテナ17bとを接続する。
【0087】
このとき第1のスイッチ181は、信号処理回路部13を第1の信号処理モジュール15aのフロントエンドモジュール151に接続し、第2のスイッチ182は、信号処理回路部13と第1の信号処理モジュール15aのカプラ155とを接続するようそれぞれ切り替えられる。
【0088】
また制御部11は、各部に対して対応する周波数帯域での通信を行うよう設定する。この例では制御部11は、5,6GHz信号処理回路部である信号処理回路部13に対して6GHz帯の無線信号を処理するよう設定する。また制御部11は、出力(パワー)等の設定を、予め設定aに対応して定められた値に設定する。そして制御部11は、無線通信を開始する。
【0089】
一方、制御部11は、受け入れた設定が、設定bであれば、スイッチモジュール18a,b,cを制御して、信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bとを接続し、また第4の信号処理モジュール15dの内部においてフロントエンドモジュール151を、カプラ155に信号フィルタ157を介して接続する。さらに第2の信号処理モジュール15bとアンテナ17bとを接続する。
【0090】
このとき第1のスイッチ181は、信号処理回路部13を第2の信号処理モジュール15bのフロントエンドモジュール151に接続し、第2のスイッチ182は、信号処理回路部13と第2の信号処理モジュール15bのカプラ155とを接続するようそれぞれ切り替えられる。
【0091】
また制御部11は、各部に対して対応する周波数帯域での通信を行うよう設定する。この例では制御部11は、5,6GHz信号処理回路部である信号処理回路部13に対して5GHz帯の無線信号を処理するよう設定する。出力(パワー)等の設定を、予め設定bに対して定められた値に設定する。そして制御部11は、通信を行う。
【0092】
設定aの場合、6GHzで通信する無線通信クライアントC1の無線信号は、アンテナ17bとスイッチモジュール18cとを介して第1の信号処理モジュール15aに入力される。そしてこの無線信号は、第1の信号処理モジュール15aの信号フィルタ156により6GHz帯の無線信号が選択的に通過されて、カプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第1の信号処理モジュール15aのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、スイッチモジュール18aを介して接続されている信号処理回路部13に出力する。
【0093】
信号処理回路部13では、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1が送出した情報を得る。
【0094】
一方制御部11は、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1に対して送出するべき情報を、信号処理回路部13に出力する。なお、制御部11は予め、各無線通信クライアントCを識別する情報に対して、それぞれがどの周波数帯域で通信をするかを表す情報を関連付けて記憶しておくものとする。
【0095】
信号処理回路部13は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは6GHz帯)の無線信号を生成する。ここで信号処理回路部13は、スイッチモジュール18aを介して第1の信号処理モジュール15aに接続されているので、当該生成した無線信号を、第1の信号処理モジュール15aに出力する。
【0096】
そして第1の信号処理モジュール15aのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介して信号フィルタ156に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部13にフィードバックする。信号処理回路部13は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0097】
一方、信号フィルタ156は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号から6GHz帯の無線信号を選択的に通過させ、スイッチモジュール18cを介してアンテナ17bに出力し、アンテナ17bがこの無線信号を放射する。そしてこの無線信号が、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1に到達することとなる。
【0098】
一方、このとき、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号は、アンテナ17aを介してダイプレクサ16により分配され、第3の信号処理モジュール15cと第4の信号処理モジュール15dとに入力される。ここでは第4の信号処理モジュール15dは5GHz帯の信号の処理を行うため、2.4GHz帯の信号はフィルタして扱わない。
【0099】
第3の信号処理モジュール15cに入力された無線信号は、当該第3の信号処理モジュール15cのカプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、信号処理回路部14に出力する。
【0100】
信号処理回路部14では、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2が送出した情報を得る。一方制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に対して送出するべき情報を、信号処理回路部14に出力する。
【0101】
信号処理回路部14は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは2.4GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部14は、当該生成した無線信号を、第3の信号処理モジュール15cに出力する。
【0102】
そして第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介してダイプレクサ16に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部14にフィードバックする。信号処理回路部14は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0103】
ダイプレクサ16は、第3の信号処理モジュール15cが出力する無線信号を、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に到達することとなる。
【0104】
さらに5GHz帯で通信する無線通信クライアントC4の無線信号は、アンテナ17aを介してダイプレクサ16により分配され、第3の信号処理モジュール15cと第4の信号処理モジュール15dとに入力される。ここでは第3の信号処理モジュール15cは2,4GHz帯の信号の処理を行うため、5GHz帯の信号はフィルタして扱わない。
【0105】
第4の信号処理モジュール15dに入力された無線信号は、当該第4の信号処理モジュール15dのカプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、信号処理回路部19に出力する。
【0106】
信号処理回路部19では、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC4の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC4が送出した情報を得る。一方制御部11は、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC4に対して送出するべき情報を、信号処理回路部19に出力する。
【0107】
信号処理回路部19は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは5GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部19は、当該生成した無線信号を、第4の信号処理モジュール15dに出力する。
【0108】
そして第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行う。ここでは第4の信号処理モジュール15dの内部においてフロントエンドモジュール151が、カプラ155に信号フィルタ157を介さずに接続されているので、このフロントエンドモジュール151で処理された無線信号は、そのままカプラ155を介してダイプレクサ16に出力される。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部19にフィードバックする。信号処理回路部19は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0109】
ダイプレクサ16は、第4の信号処理モジュール15dが出力する無線信号を、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、5GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に到達することとなる。
【0110】
次に、設定b(2.4GHz+5GHzLow+5GHzHighの3バンドで使いたい旨の設定)となっている場合、第1の信号処理モジュール15aが信号処理回路部13に接続されず、またスイッチモジュール18cにより、アンテナ17bと第1の信号処理モジュール15aとも切り離されており、第1の信号処理モジュール15aが機能していないので、6GHz帯で通信する無線通信クライアントC1の無線信号は、アンテナ17bに到来しても受信されない。
【0111】
このように設定bに対応する場合、5GHz帯のうち比較的高い周波数帯域(5GHzHigh)で通信する無線通信クライアントC5の無線信号は、アンテナ17bに到来すると、スイッチモジュール18cを介して第2の信号処理モジュール15bに入力される。
【0112】
そしてこの無線信号は、第2の信号処理モジュール15bの信号フィルタ156により5GHzHigh帯の無線信号が選択的に通過されて、カプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第2の信号処理モジュール15bのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、スイッチモジュール18aを介して接続されている信号処理回路部13に出力する。
【0113】
信号処理回路部13では、5GHzHigh帯で通信する無線通信クライアントC5の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、5GHzHigh帯で通信する無線通信クライアントC5が送出した情報を得る。
【0114】
一方制御部11は、5GHzHigh帯で通信する無線通信クライアントC5に対して送出するべき情報を、信号処理回路部13に出力する。
【0115】
信号処理回路部13は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは5GHzHigh帯となるよう設定されている)の無線信号を生成する。ここで信号処理回路部13は、スイッチモジュール18aを介して第2の信号処理モジュール15bに接続されているので、当該生成した無線信号を、第2の信号処理モジュール15bに出力する。
【0116】
そして第2の信号処理モジュール15bのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介して信号フィルタ156に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部13にフィードバックする。信号処理回路部13は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0117】
一方、信号フィルタ156は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号から5GHzHigh帯の無線信号を選択的に通過させ、スイッチモジュール18cを介してアンテナ17bに出力し、アンテナ17bがこの無線信号を放射する。そしてこの無線信号が、5GHzHigh帯で通信する無線通信クライアントC5に到達することとなる。
【0118】
この設定bの設定の下では、アンテナ17aに到来した、5GHz帯のうち比較的低い周波数帯域(5GHzLow)で通信する無線通信クライアントC6の無線信号は、ダイプレクサ16により分配され、第3の信号処理モジュール15cと第4の信号処理モジュール15dとに入力される。ここでは第3の信号処理モジュール15aは2.4GHz帯の信号の処理を行うため、5GHz帯の信号はフィルタして扱わない。
【0119】
設定bでは、スイッチモジュール18bにより、第4の信号処理モジュール15dの内部においてフロントエンドモジュール151が、カプラ155に信号フィルタ157を介して接続されているので、第4の信号処理モジュール15dに入力された無線信号は、当該第4の信号処理モジュール15dのカプラ155を介して信号フィルタ157に入力される。
【0120】
信号フィルタ157は、入力された無線信号から、5GHzLowの周波数帯域の信号を通過させ、フロントエンドモジュール151に出力する。第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、信号処理回路部19に出力する。
【0121】
信号処理回路部19では、5GHz帯に含まれる5GHzLow帯で通信する無線通信クライアントC6の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、5GHzLow帯で通信する無線通信クライアントC6が送出した情報を得る。
【0122】
一方制御部11は、5GHzLow帯で通信する無線通信クライアントC6に対して送出するべき情報を、信号処理回路部19に出力する。
【0123】
信号処理回路部19は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは5GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部19は、当該生成した無線信号を、第4の信号処理モジュール15dに出力する。
【0124】
そして第4の信号処理モジュール15dのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行う。ここでは第4の信号処理モジュール15dの内部においてフロントエンドモジュール151が、カプラ155に信号フィルタ157を介して接続されているので、信号フィルタ157が、このフロントエンドモジュール151で処理された無線信号から5GHzLow帯を通過させて、カプラ155を介してダイプレクサ16に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が信号フィルタ157を介して出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部19にフィードバックする。信号処理回路部19は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0125】
ダイプレクサ16は、第4の信号処理モジュール15dが出力する無線信号を、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、5GHzLow帯で通信する無線通信クライアントC6に到達することとなる。
【0126】
一方、このとき、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号は、既に述べた例と同様、アンテナ17aを介してダイプレクサ16により分配され、第3の信号処理モジュール15cと第4の信号処理モジュール15dとに入力される。ここでは第4の信号処理モジュール15dは5GHzLow帯の信号の処理を行うため、2.4GHz帯の信号はフィルタして扱わない。
【0127】
第3の信号処理モジュール15cに入力された無線信号は、当該第3の信号処理モジュール15cのカプラ155を介してフロントエンドモジュール151に入力される。第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151は、この無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、信号処理回路部14に出力する。
【0128】
信号処理回路部14では、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2の無線信号を復調して、当該復調して得られた情報を、制御部11に出力する。こうして制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2が送出した情報を得る。一方制御部11は、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に対して送出するべき情報を、信号処理回路部14に出力する。
【0129】
信号処理回路部14は、当該制御部11から入力される、通信対象となった情報を受け入れて無線信号に変調し、対応する周波数帯域(ここでは2.4GHz帯)の無線信号を生成する。信号処理回路部14は、当該生成した無線信号を、第3の信号処理モジュール15cに出力する。
【0130】
そして第3の信号処理モジュール15cのフロントエンドモジュール151がこの無線信号に対してフィルタリングなどの所定の処理を行い、カプラ155を介してダイプレクサ16に出力する。このときカプラ155は、フロントエンドモジュール151が出力する無線信号の強度などの情報を得て、信号処理回路部14にフィードバックする。信号処理回路部14は、このフィードバックを参照して、生成する無線信号の強度などを制御する。
【0131】
ダイプレクサ16は、第3の信号処理モジュール15cが出力する無線信号を、アンテナ17aを介して放射する。そしてこの無線信号が、2.4GHz帯で通信する無線通信クライアントC2に到達することとなる。
【0132】
このように本実施の形態の例によると、トライバンドにおいて、6GHzを利用する例と、5GHz帯を比較的高い周波数帯域と低い周波数帯域とにわけて利用する例のいずれかを選択可能として、複数の周波数帯域での無線通信に対応しつつ、比較的高価な信号処理回路部を、対応したい周波数帯域の数よりも少ない数だけ用いて、各周波数帯域に対応する信号処理モジュールに切り替えて接続するようにしたので、機器コストの増大を抑制できる。
【0133】
[変形例]
なお、ここまでの説明において、例えばトライバンド構成では、
(設定a)2.4GHz+5GHz+6GHz、または
(設定b)2.4GHz+5GHzLow+5GHzHigh
に対応するものとした(ここで「+」表記は、A+B+Cとあるときに、A,B,Cの各周波数帯域での無線通信に対応することを意味する)が、本実施の形態は、これに限られない。
【0134】
例えば6GHz帯のチャネルは、UNII-5相当の帯域(5.295GHz乃至6.425GHzの帯域、いわゆる6Lの帯域)に限られてもよい。
【0135】
また信号処理回路部13,14,19などが対応する周波数帯域を変更することで、例えばUNII(Unlicensed National Information Infrastructure)で規定される、UNII-5,6,7,8の帯域に対応するものとしてもよい。この例では例えば、
(設定a)5GHz+UNII-5+UNII-6、または
(設定a′)5GHz+UNII-5+UNII-6,7、または
(設定a″)5GHz+UNII-5+UNII-6,7,8、のいずれかと、
(設定b)5GHzLow+5GHzHigh+6GHz(UNII-5相当)と、
を切り替えることができるようにしてもよい。この例では、UNII-5までの帯域が主に利用されている間は設定bとし、その後UNII-6,7,8に対応する無線通信クライアント(端末)が普及したときに設定a,a′,a″のいずれか(複数の6GHz帯に対応)とすることが考えられる。
【符号の説明】
【0136】
1 無線通信装置、11 制御部、12 記憶部、13,14,19 信号処理回路部、15 信号処理モジュール、16 ダイプレクサ、17 アンテナ、18 スイッチモジュール、151 フロントエンドモジュール、155 カプラ、156 信号フィルタ、157 信号フィルタ、181 第1のスイッチ、182 第2のスイッチ。

図1
図2
図3
図4
図5