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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135389
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 13/08 20060101AFI20240927BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20240927BHJP
   B65H 5/02 20060101ALI20240927BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B41J13/08
B41J11/00 A
B65H5/02 F
B65H5/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046044
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小原 健
(72)【発明者】
【氏名】京井 聡明
(72)【発明者】
【氏名】大橋 慶太
【テーマコード(参考)】
2C058
3F049
【Fターム(参考)】
2C058AB16
2C058AC06
2C058AE02
2C058AE14
2C058AF20
2C058AF23
2C058AF31
2C058BA17
3F049AA10
3F049DA03
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】印字媒体の搬送不良を防止すること。
【解決手段】プリンタは、粘着剤層を有する印字媒体に印字する印字ヘッドと、印字ヘッドとの間で印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、印字媒体の搬送方向において、印字ヘッドの上流側に配置された上流側ローラと、印字ヘッドの下流側に配置された下流側ローラと、非粘着処理が施されてプラテンローラと上流側ローラとに掛け回された上流側ベルトと、非粘着処理が施されてプラテンローラと下流側ローラとに掛け回された下流側ベルトと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼り付けられる粘着剤層を有する印字媒体に印字する印字ヘッドと、
前記印字ヘッドとの間で前記印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、
前記印字媒体の搬送方向において、前記印字ヘッドの上流側に配置された上流側ローラと、
前記印字媒体の搬送方向において、前記印字ヘッドの下流側に配置された下流側ローラと、
非粘着処理が施されて前記プラテンローラと前記上流側ローラとに掛け回された上流側ベルトと、
非粘着処理が施されて前記プラテンローラと前記下流側ローラとに掛け回された下流側ベルトと、
を備える、
プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記下流側ベルトの搬送方向に直交する幅方向における幅は、前記上流側ベルトの幅よりも狭い、
プリンタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプリンタであって、
前記下流側ローラは、前記下流側ローラの一部に拡径部を有し、
前記拡径部の外径は、前記下流側ローラの前記拡径部以外の部分の外径よりも大きい、
プリンタ。
【請求項4】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記プラテンローラは、駆動機構によって駆動されており、
前記上流側ローラは、前記上流側ベルトによって前記プラテンローラに従動する、
プリンタ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のプリンタであって、
前記プラテンローラは、駆動機構によって駆動されており、
前記下流側ローラは、前記下流側ベルトによって前記プラテンローラに従動する、
プリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載のプリンタであって、
前記下流側ローラの外径は、前記プラテンローラの外径よりも小である、
プリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
被着体への粘着剤層が露出した状態のラベルを搬送しながら印字するプリンタでは、印字ヘッドとの間でラベルを挟持して搬送するプラテンローラへのラベルの巻き込みを防止するために、表面に非粘着処理が施されたプラテンローラが適用されている。
【0003】
しかしながら、非粘着処理されたプラテンローラは、ラベルを粘着しにくくする一方で、印字ヘッドとの間でラベルを挟持する力が低下してしまう。このため、ラベルの搬送速度が不安定になり、印字不良が生じることがあった。
【0004】
このように、被着体への粘着剤層が露出した状態のラベルを搬送する場合には、ラベルのプラテンローラへの貼り付き防止と、ラベルをスリップすることなく適切に搬送することの二律背反の課題があった。
【0005】
これに対して、特許文献1には、回転するプラテンローラと印字ヘッドとの挟持力によりラベルを搬送方向に送り出すのではなく、プラテンローラの上流側及び下流側に配置された非粘着処理が施された搬送ベルトと、当該搬送ベルトにラベルを圧着するラベル押さえと、ラベルを搬送ベルトから剥離する剥離部材と、を有するプリンタが開示されている。
【0006】
特許文献1に開示されたプリンタでは、ラベルを搬送ベルトに圧着した状態で搬送し、剥離部材によって搬送ベルトからラベルを剥離して、プラテンローラと印字ヘッドとの間に受け渡し、印字を終えたラベルを再び搬送ベルトに受け渡すことで、印字中のラベルを安定して搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-148408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されたラベルプリンタでは、剥離部材によるプラテンローラの上流側の搬送ベルトからのラベルを剥離が不十分であった場合には、ラベルがプラテンローラと印字ヘッドとの間に受け渡される際に、搬送不良が生じる可能性があった。
【0009】
そこで、本発明は、被着体への粘着剤層を有するラベルのような印字媒体に印字するプリンタにおいて、印字媒体の搬送不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様によれば、被着体に貼り付けられる粘着剤層を有する印字媒体に印字する印字ヘッドと、前記印字ヘッドとの間で前記印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、前記印字媒体の搬送方向において、前記印字ヘッドの上流側に配置された上流側ローラと、前記印字媒体の搬送方向において、前記印字ヘッドの下流側に配置された下流側ローラと、非粘着処理が施されて前記プラテンローラと前記上流側ローラとに掛け回された上流側ベルトと、非粘着処理が施されて前記プラテンローラと前記下流側ローラとに掛け回された下流側ベルトと、を備える、プリンタが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のある態様によれば、被着体への粘着剤層を有する印字媒体に印字するプリンタにおいて、印字媒体の搬送不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るプリンタの要部を説明する側面概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るプリンタの要部を説明する平面概略図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るプリンタにおいて、ラベル連続体から切断された後のラベルに印字する場合を説明する側面概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るプリンタにおいて、ラベル連続体から切断された後のラベルに印字した後、ラベルをバックフィードする場合を説明する側面概略図である。
図5図5は、第一変形例としてのプリンタの要部を説明する平面概略図である。
図6図6は、第二変形例としてのプリンタの要部を説明する平面概略図である。
図7図7は、第三変形例としてのプリンタの要部を説明する正面概略図である。
図8図8は、第四変形例としてのプリンタの要部を説明する側面概略図である。
図9図9は、第五変形例としてのプリンタの要部を説明する側面概略図である。
図10図10は、セパレータ付き印字媒体が適用されるプリンタの要部を説明する側面概略図である。
図11図11は、セパレータ付き印字媒体が適用されるプリンタの変形例の要部を説明する側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
【0014】
本発明のある態様は、被着体に貼り付けられる粘着剤層を有する印字媒体に印字する印字ヘッドと、前記印字ヘッドとの間で前記印字媒体を挟持して搬送するプラテンローラと、前記印字媒体の搬送方向において、前記印字ヘッドの上流側に配置された上流側ローラと、前記印字媒体の搬送方向において、前記印字ヘッドの下流側に配置された下流側ローラと、非粘着処理が施されて前記プラテンローラと前記上流側ローラとに掛け回された上流側ベルトと、非粘着処理が施されて前記プラテンローラと前記下流側ローラとに掛け回された下流側ベルトと、を備えるプリンタである。
【0015】
本発明のある態様によれば、上流側ローラとプラテンローラとに上流側ベルトが掛け回されているため、印字媒体は、上流側ベルトに付着した状態で、上流側ベルトの回転に伴って印字ヘッドによって印字が行われる印字開始位置まで搬送される。
【0016】
したがって、本発明のある態様によれば、印字ヘッドによって押圧される位置まで印字媒体を搬送する際に、印字媒体の下流側の端部が上流側ローラに巻き込まれることがない。
【0017】
また、本発明のある態様によれば、印字ヘッドとプラテンローラとの間で印字媒体を挟持して搬送する従来のプリンタに比べて、印字開始位置まで印字媒体を搬送する間、及び、印字が開始されるまでの待機期間において、一か所に圧がかかりにくい状態で、印字媒体を搬送することができる。
【0018】
このため、上流側ベルトと印字媒体との間に不要な粘着が生じることがない。
【0019】
また、本発明のある態様によれば、下流側ローラとプラテンローラとに下流側ベルトが掛け回されているため、印字された後の印字媒体は、下流側ベルトに付着した状態で、下流側ベルトの回転に伴って、プリンタの外部へと搬送される。
【0020】
このため、印字の際に、印字媒体が印字ヘッドによりプラテンローラ側に押し付けられて、印字媒体と印字媒体を挟持する搬送面との間に不要な粘着が生じたとしても、印字媒体は、搬送方向における上流側に折返す上流側ベルトから引き離されて、搬送方向における下流側に移動する下流側ベルトに付着して移動する。
【0021】
これにより、本発明のある態様によれば、印字された後の印字媒体の下流側の端部がプラテンローラに巻き込まれることがない。
【0022】
したがって、本発明のある態様によれば、被着体への粘着剤層を有する印字媒体を、粘着剤層を露出した状態で搬送し印字するプリンタにおいて、印字媒体の搬送不良を防止することができる。
【0023】
本発明のある態様は、前記下流側ベルトの搬送方向に直交する幅方向における幅が前記上流側ベルトの幅よりも狭い、プリンタである。
【0024】
本発明のある態様によれば、印字ヘッドよりも上流側においては、上流側ベルトに印字媒体を広い面積で十分に付着させることができる。また、印字ヘッドよりも下流側においては、印字媒体と下流側ベルトとの付着面積を減らすことができ、印字媒体を下流側ベルトから引き離しやすくできる。
【0025】
したがって、本発明のある態様によれば、被着体への粘着剤層を有する印字媒体を、粘着剤層を露出した状態で搬送し印字するプリンタにおいて、印字媒体の搬送不良を防止することができる。
【0026】
本発明のある態様は、前記下流側ローラが前記下流側ローラの一部に拡径部を有し、前記拡径部の外径が前記下流側ローラの前記拡径部以外の部分の外径よりも大きい、プリンタである。
【0027】
本発明のある態様によれば、拡径部まで搬送された印字媒体の端部が外径の大きな拡径部に乗り上げて、さらに搬送方向に搬送されることにより、印字媒体の粘着剤層が下流側ベルトから引き離される。
【0028】
したがって、本発明のある態様によれば、印字媒体が下流側ベルトに付着したまま、上流側に折返し搬送されることを防止できる。
【0029】
本発明のある態様は、前記プラテンローラが駆動機構によって駆動されており、前記上流側ローラが前記上流側ベルトによって前記プラテンローラに従動する、プリンタである。
【0030】
本発明のある態様によれば、プラテンローラの回転がプラテンローラに掛け回された上流側ベルトによって上流側ローラに伝達されている。
【0031】
したがって、本発明のある態様によれば、駆動機構によって、上流側ローラとプラテンローラとを駆動できるため、プリンタの構造を簡便にすることができる。また、上流側ローラをプラテンローラに同期して回転させることが容易となる。
【0032】
本発明のある態様は、前記上流側ローラの外径が前記プラテンローラの外径と同じか、それ以下である、プリンタである。
【0033】
本発明のある態様によれば、プラテンローラの回転は、プラテンローラに掛け回された上流側ベルトによって上流側ローラに伝達されるため、従動側である上流側ローラの外径がプラテンローラの外径と同じ長さ、それ以下の長さに設定されることにより、プラテンローラにかかる負荷を低減することができる。
【0034】
本発明のある態様は、前記プラテンローラが駆動機構によって駆動されており、前記下流側ローラが前記下流側ベルトによって前記プラテンローラに従動する、プリンタである。
【0035】
本発明のある態様によれば、プラテンローラの回転がプラテンローラに掛け回された下流側ベルトによって下流側ローラに伝達される。
【0036】
したがって、本発明のある態様によれば、駆動機構によって、下流側ローラとプラテンローラとを駆動できるため、プリンタの構造を簡便にすることができる。また、下流側ローラをプラテンローラに同期して回転させることが容易となる。
【0037】
本発明のある態様は、前記下流側ローラの外径が前記プラテンローラの外径よりも小である、プリンタである。
【0038】
本発明のある態様によれば、プラテンローラの回転は、プラテンローラに掛け回された下流側ベルトによって下流側ローラに伝達されるため、従動側である下流側ローラの外径がプラテンローラの外径以下に設定されることにより、プラテンローラにかかる負荷を低減することができる。
【0039】
本発明のある態様は、前記上流側ベルトを前記上流側ローラとの間で挟持する、または前記下流側ベルトを前記下流側ローラとの間で挟持するニップ機構を備えた、プリンタである。
【0040】
本発明のある態様によれば、ニップ機構によって、上流側ベルト或いは下流側ベルトに所定の搬送力を付与できる。
【0041】
したがって、本発明のある態様によれば、印字媒体の搬送不良を防止することができる。
【0042】
本発明のある態様は、前記上流側ベルト及び前記下流側ベルトのうち、少なくともいずれかに一方に、前記上流側ベルト又は前記下流側ベルトに所定の張力を与える張力付与機構を備えた、プリンタである。
【0043】
したがって、本発明のある態様によれば、張力付与機構によって、上流側ベルト又は下流側ベルトに所定の張力が付与されるため、プラテンローラと上流側ローラとの間における上流側ベルトのスリップ、或いは、プラテンローラと下流側ローラとの間における下流側ベルトのスリップを防止することができる。
【0044】
したがって、本発明のある態様によれば、印字媒体の搬送不良を防止することができる。
【0045】
[プリンタ]
本実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0046】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ1の要部を説明する側面概略図である。図2は、プリンタ1の要部を説明する平面概略図である。
【0047】
本実施形態に係るプリンタ1に適用される印字媒体としてのラベル100は、表面に、熱により発色する感熱発色層を有し、裏面に、被着体への粘着剤層を有する感熱ラベルである。プリンタ1は、感熱ラベルに印字を行う、いわゆるダイレクトサーマルプリンタである。
【0048】
本実施形態においては、印字媒体は、感熱ラベルが搬送方向に連続したラベル連続体200の状態で供給されており、ラベル連続体200の所定位置に印字を行った後に、プリンタ1からの排出前に、図示しない切断機構によって枚葉状のラベル100に切断されて、排出される。
【0049】
本実施形態においては、ラベル連続体200は、セパレータを用いることなく巻回されて、いわゆる台紙無しロールとして提供されるものであり、裏面の粘着剤層が露出された状態で搬送されて、表面に印字される。
【0050】
図1及び図2に示されたF方向をラベルの「搬送方向」と記す。また、F方向に交差するW方向を「幅方向」と記す。ラベル連続体200(ラベル100)の幅方向は、プリンタの幅方向に対応する。
【0051】
なお、プリンタ1では、ラベル連続体200をF方向の下流側に向けて搬送することを「フォワードフィード」と表し、F方向とは反対のB方向に搬送することを「バックフィード」と表す。
【0052】
プリンタ1は、ラベル連続体200に印字を行う印字ヘッド11と、印字ヘッド11との間でラベル連続体200を挟持して搬送するプラテンローラ12とを備える。
【0053】
また、プリンタ1は、プラテンローラ12を回転させるための駆動モータを有する駆動機構13を有する。プラテンローラ12と駆動機構13とは、ベルトやギア等によって連結されている。
【0054】
駆動機構13は、図示しない制御部によって、プリンタ1における印字動作や搬送動作に応じた回転制御がされており、プラテンローラ12に、ラベル連続体200をフォワードフィードするための正回転動作と、ラベル連続体200をバックフィードするための逆回転動作とを伝達している。
【0055】
プリンタ1は、上流側ローラ21と、上流側ベルト22とを備える。上流側ローラ21は、F方向において、印字ヘッド11の上流側に配置されている。上流側ベルト22は、プラテンローラ12と上流側ローラ21とに掛け回されている。
【0056】
本実施形態においては、上流側ローラ21とプラテンローラ12との間には、3本の上流側ベルト22A,22B,22Cが所定間隔をあけて配置されている。
【0057】
上流側ベルト22A,22B,22Cのそれぞれの表面には、非粘着処理が施されている。このため、ラベル連続体200の粘着剤層は、上流側ベルト22A,22B,22Cの表面に付着しにくい。
【0058】
本実施形態において、上流側ベルト22A,22B,22CのW方向の幅の合計は、ラベル連続体200との間の接触面積を確保するために、少なくともプラテンローラ12の幅の50%程度に設定することが好ましい。
【0059】
上流側ローラ21は、プラテンローラ12に掛け回された上流側ベルト22A,22B,22Cによって、プラテンローラ12に従動する。すなわち、プラテンローラ12に掛け回された上流側ベルト22A,22B,22Cは、プラテンローラ12の回転を上流側ローラ21に伝達している。
【0060】
本実施形態においては、上流側ローラ21の外径は、プラテンローラ12の外径と同じか、それ以下に設定されている。
【0061】
また、プリンタ1は、下流側ローラ23と、下流側ベルト24とを備える。下流側ローラ23は、ラベル100のF方向において、印字ヘッド11の下流側に配置されている。下流側ベルト24は、プラテンローラ12と下流側ローラ23とに掛け回されている。
【0062】
本実施形態においては、下流側ローラ23とプラテンローラ12との間には、2本の下流側ベルト24A,24Bが上流側ベルト22A,22B,22Cの間に配置されている。
【0063】
下流側ベルト24A,24Bのそれぞれの表面には、非粘着処理が施されている。このため、ラベル連続体200の粘着剤層は、下流側ベルト24A,24Bの表面に付着しにくい。
【0064】
下流側ローラ23は、プラテンローラ12に掛け回された下流側ベルト24A,24Bによって、プラテンローラ12に従動する。すなわち、プラテンローラ12に掛け回された下流側ベルト24A,24Bは、プラテンローラ12の回転を下流側ローラ23に伝達している。
【0065】
本実施形態においては、下流側ローラ23の外径は、プラテンローラ12の外径以下に設定されている。
【0066】
下流側ベルト24A,24BのそれぞれのW方向における幅W2は、上流側ベルト22A,22B,22CのそれぞれのW方向における幅W1よりも狭く設定されている。
【0067】
また、本実施形態においては、ラベル連続体200を付着させた状態で搬送する観点から、プラテンローラ12に掛け回された上流側ベルト22A,22B,22Cと、下流側ベルト24A,24Bとは、互いの動きを妨げることのない程度に、隙間なく隣接して配置されていることが好ましい。
【0068】
なお、プラテンローラ12に掛け回されている上流側ベルト22A,22B,22Cの間には、下流側ベルト24A,24Bの幅W2に相当する隙間ができるため、印字ヘッド11よりも上流側において、当該隙間からラベル連続体200が脱落しないように、下流側ベルト24A,24Bの幅W2が設定される。
【0069】
また、上流側ベルト22A,22B,22C及び下流側ベルト24A,24Bはそれぞれ、プラテンローラ12に掛け回された状態において、上流側ベルト22A,22B,22Cの表面と下流側ベルト24A,24Bの表面とが段差なく連続した搬送面K(図2、二点鎖線の領域)を形成するような厚みに設定されている。
【0070】
本実施形態においては、ラベル100(ラベル連続体200)は、プラテンローラ12に掛け回された上流側ベルト22A,22B,22Cの表面と下流側ベルト24A,24Bの表面とによって形成される搬送面Kと、印字ヘッド11との間に挟持されて搬送され、印字される。
【0071】
下流側ローラ23は、下流側ローラ23の一部に拡径部25を有する。
【0072】
拡径部25の外径は、下流側ローラ23の拡径部25以外の部分の外径よりも大きい。本実施形態においては、拡径部25は、下流側ローラ23に取り付けられたフランジ部材である(以下、フランジ部材25と記す)。
【0073】
本実施形態においては、プリンタ1は、W方向において、下流側ベルト24A,24Bよりも外側に、2つのフランジ部材25A,25Bを有する。
【0074】
フランジ部材25A,25Bのそれぞれの表面には、非粘着処理が施されている。
【0075】
本実施形態において、フランジ部材25A,25Bはいずれも、正円形状であって、外径はともに同一に形成されている。
【0076】
フランジ部材25A,25Bは、非粘着処理が施されていることに加えて、さらに粘着抵抗を減らすために、下流側ベルト24A,24Bよりも幅狭に形成されていることが好ましい。
【0077】
フランジ部材25A,25Bの中心に開口が形成されており、開口に下流側ローラ23が貫通している。フランジ部材25A,25Bは、開口において下流側ローラ23に固定されており、下流側ローラ23と一体的に回転する。
【0078】
下流側ベルト24A,24Bに付着して搬送されたラベル連続体200の下流側の端部は、フランジ部材25A,25Bに乗り上げて、引き続き搬送されることによって、下流側ベルト24A,24Bから引き離される。
【0079】
また、プリンタ1は、上流側ローラ21及び上流側ベルト22に対向する位置に配置された押さえ部材26を備える。押さえ部材26は、上流側ローラ21及び上流側ベルト22との間でラベル連続体200或いはラベル100を挟持するためのラベル押さえ機構として機能する。
【0080】
押さえ部材26は、ラベル連続体200又はラベル100に適切な押圧力を与えることによって、上流側ベルト22において、ラベル連続体200又はラベル100がスリップすることを防止している。
【0081】
ラベル100がフロントフィードする際に、ラベル連続体200又はラベル100の下流側端部が押さえ部材26の搬送方向上流側の端部と干渉しないように、押さえ部材26の搬送方向上流側の端部は、上流側ベルト22A,22B,22Cの表面から遠ざかる方向に反った形状に形成されている。
【0082】
また、同様に、押さえ部材26の搬送方向下流側の端部は、上流側ベルト22A,22B,22Cの表面から遠ざかる方向に反った形状に形成されている。これにより、ラベル連続体200又はラベル100がバックフィードする際に、ラベル連続体200又はラベル100の上流側端部が押さえ部材26の搬送方向下流側端部と干渉することがない。
【0083】
[作用効果]
本実施形態に係るプリンタ1は、搬送方向(F方向)において、印字ヘッド11の上流側に配置された上流側ローラ21と、プラテンローラ12と上流側ローラ21とに掛け回され、非粘着処理が施された上流側ベルト22A,22B,22Cとを備える。
【0084】
本実施形態に係るプリンタ1では、上流側ローラ21とプラテンローラ12とに上流側ベルト22A,22B,22Cが掛け回されているため、ラベル連続体200は、上流側ベルト22A,22B,22Cに付着した状態で、上流側ベルト22A,22B,22Cの回転に伴って印字ヘッド11によって印字が行われる印字開始位置まで搬送される。
【0085】
したがって、印字ヘッド11によって押圧される位置まで、ラベル連続体200を搬送する際に、ラベル連続体200の下流側の端部が上流側ローラ21に巻き込まれることがない。
【0086】
また、プリンタ1によれば、印字ヘッドとプラテンローラとの間で印字媒体を挟持して搬送する従来のプリンタに比べて、印字開始位置までラベル連続体200を搬送する間、及び、印字が開始されるまでの待機期間において、一か所に圧がかかりにくい状態で、印字媒体を搬送することができる。
【0087】
このため、上流側ベルト22とラベル連続体200との間に不要な粘着が生じることがない。
【0088】
したがって、被着体への粘着剤層を有するラベル連続体200を、粘着剤層を露出した状態で搬送し印字するプリンタ1において、ラベル連続体200の搬送不良を防止することができる。
【0089】
また、プリンタ1においては、プラテンローラ12の回転がプラテンローラ12に掛け回された上流側ベルト22A,22B,22Cによって上流側ローラ21に伝達されている。
【0090】
これにより、駆動機構13によって、上流側ローラ21とプラテンローラ12とを駆動できるため、プリンタ1の構造を簡便にすることができる。また、上流側ローラ21をプラテンローラ12に同期して回転させることが容易となる。
【0091】
本実施形態においては、上流側ローラ21の外径は、プラテンローラ12の外径と同じか、それ以下に設定されている。
【0092】
本実施形態では、プラテンローラ12の回転は、プラテンローラ12に掛け回された上流側ベルト22A,22B,22Cによって上流側ローラ21に伝達されるため、従動側である上流側ローラ21の外径がプラテンローラ12の外径と同じ長さ、それ以下の長さに設定されることにより、プラテンローラ12にかかる負荷を低減することができる。
【0093】
本実施形態に係るプリンタ1は、搬送方向(F方向)において、印字ヘッド11の下流側に配置された下流側ローラ23と、プラテンローラ12と下流側ローラ23とに掛け回され、非粘着処理が施された下流側ベルト24とを備える。
【0094】
本実施形態に係るプリンタ1では、下流側ローラ23とプラテンローラ12とに下流側ベルト24A,24Bが掛け回されているため、印字された後のラベル連続体200は、下流側ベルト24A,24Bに付着した状態で、下流側ベルト24A,24Bの回転に伴って、プリンタ1の外部へと搬送される。
【0095】
プリンタ1によれば、印字の際に、ラベル連続体200が印字ヘッド11によりプラテンローラ12側に押し付けられて、ラベル連続体200とラベル連続体200の搬送面との間に不要な粘着が生じたとしても、ラベル連続体200は、搬送方向における上流側に折返す上流側ベルト22A,22B,22Cから引き離されて、搬送方向における下流側に移動する下流側ベルト24A,24Bに付着して移動する。
【0096】
このため、印字された後のラベル連続体200の下流側の端部がプラテンローラ12に巻き込まれることがない。
【0097】
したがって、被着体への粘着剤層を有するラベル連続体200を、粘着剤層を露出した状態で搬送し印字するプリンタ1において、ラベル連続体200の搬送不良を防止することができる。
【0098】
また、プリンタ1においては、プラテンローラ12の回転がプラテンローラ12に掛け回された下流側ベルト24A,24Bによって下流側ローラ23に伝達される。
【0099】
これにより、駆動機構13によって、下流側ローラ23とプラテンローラ12とを駆動できるため、プリンタ1の構造を簡便にすることができる。また、下流側ローラ23をプラテンローラ12に同期して回転させることが容易となる。
【0100】
本実施形態においては、下流側ローラ23の外径は、プラテンローラ12の外径よりも小さく設定されている。
【0101】
本実施形態では、プラテンローラ12の回転は、プラテンローラ12に掛け回された下流側ベルト24A,24Bによって下流側ローラ23に伝達されているため、従動側である下流側ローラ23の外径以下に設定されることにより、プラテンローラ12及び駆動モータにかかる負荷を低減することができる。
【0102】
本実施形態においては、上流側ローラ21とプラテンローラ12との間には、3本の上流側ベルト22A,22B,22Cが配置されている。また、下流側ローラ23とプラテンローラ12との間には、2本の下流側ベルト24A,24Bが上流側ベルト22A,22B,22Cの間に配置されている。
【0103】
下流側ベルト24A,24BのそれぞれのW方向における幅W2は、上流側ベルト22A,22B,22CのそれぞれのW方向における幅W1よりも狭く設定されている。
【0104】
このため、印字ヘッド11よりも上流側においては、上流側ベルト22A,22B,22Cにラベル連続体200を広い面積で十分に付着させることができる。また、印字ヘッド11よりも下流側においては、ラベル連続体200と下流側ベルト24A,24Bとの付着面積を減らすことができ、ラベル連続体200を下流側ベルト24A,24Bから引き離しやすくできる。
【0105】
プリンタ1において、下流側ローラ23は、下流側ローラ23の一部に拡径部としてフランジ部材25A,25Bを有する。2つのフランジ部材25A,25Bによれば、ラベル連続体200の端部が外径の大きなフランジ部材25A,25Bに乗り上げて、さらにF方向に搬送されることにより、ラベル連続体200の粘着剤層が下流側ベルト24A,24Bから引き離される。
【0106】
したがって、ラベル連続体200が下流側ベルト24A,24Bに付着したまま、上流側に折返し搬送されることを防止できる。
【0107】
下流側ローラ23においては、上流側ローラと同様に、下流側ローラ23の外径とプラテンローラ12の外径とが同じであることを許容するが、拡径されたフランジ部材25A,25Bの外径が大きくなり過ぎることを防止するために、例えば、フランジ部材25A,25Bの外径をプラテンローラ12の外径と同じにするか、それ以下に設定することが好ましい。このため、下流側ローラ23の外径は、プラテンローラ12の外径よりも小であることが望ましい。
【0108】
また、下流側ローラ23の外径が小さいほど、下流側ローラ23に設けられるフランジ部材25A,25Bの外径を小さくすることができる。これにより、ラベル連続体200がフランジ部材25A,25Bの表面に貼り付いて、フランジ部材25A,25Bの回転に追従しようとしても、フランジ部材25A,25Bの外径が小さければ、ラベル連続体200の転向方向が急角度になるため、フランジ部材25A,25Bから剥がれやすくなる。
【0109】
[変形例]
<印字媒体の変形例>
本実施形態に係るプリンタ1では、ラベル連続体200のほか、粘着剤層が露出された状態で搬送される枚葉状のラベル100に対しても印字することもできる。
【0110】
図3は、プリンタ1において、ラベル連続体200から切断された後のラベル100に印字する場合を説明する側面概略図である。図4は、プリンタ1において、ラベル100に印字した後、ラベル100をバックフィードする場合を説明する側面概略図である。変形例において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0111】
図3及び図4では、説明をわかりやすくするために、[1],[2],[3]の枝番を付けて複数のラベル100を区別する。
【0112】
プリンタ1では、枚葉状のラベル100に印字する場合であっても、上流側ローラ21とプラテンローラ12とに上流側ベルト22A,22B,22Cが掛け回されているため、ラベル100は、上流側ベルト22A,22B,22Cに付着した状態で、上流側ベルト22A,22B,22Cの回転に伴って印字ヘッド11によって印字が行われる印字開始位置まで搬送される。
【0113】
したがって、印字ヘッド11によって押圧される位置まで、ラベル100を搬送する際に、ラベル100の下流側の端部が上流側ローラ21に巻き込まれることがない。
【0114】
また、プリンタ1によれば、印字開始位置までラベル100を搬送する間、及び、印字が開始されるまでの待機期間において、印字ヘッド11がラベル100に押し当てられることがないため、上流側ベルト22とラベル100との間に不要な粘着が生じることがない。
【0115】
したがって、被着体への粘着剤層を有するラベル100を、粘着剤層を露出した状態で搬送し印字するプリンタ1において、ラベル100の搬送不良を防止することができる。
【0116】
また、プリンタ1は、印字された後のラベル100[1]をプリンタ1の外部まで搬送した後、図4に示すように、ラベル100[2]に印字するために、ラベル100[2]の印字開始位置が印字ヘッド11の位置に対応するまでバックフィードする必要がある。
【0117】
ラベル100[1]をプリンタ1の外部に排出した後、ラベル100[2]の上流側の端部が先行し、バックフィードされる。このとき、ラベル100[2]は、下流側ベルト24A,24Bに付着した状態で、下流側ベルト24A,24Bの逆回転に伴って、印字ヘッド11の上流側へと搬送される。
【0118】
プリンタ1によれば、下流側ローラ23とプラテンローラ12とに下流側ベルト24A,24Bが掛け回されている。
【0119】
これにより、ラベル100[2]は、搬送方向における下流側に折返す下流側ベルト24A,24Bから引き離されて、搬送方向における上流側に移動する上流側ベルト22A,22B,22Cに付着して上流側に移動する。
【0120】
このため、バックフィードの際に、ラベル100[2]が印字ヘッド11によりプラテンローラ12側に押し付けられることで、ラベル100[2]の搬送面とラベル100[2]との間に不要な粘着が生じたとしても、ラベル100[2]の上流側の端部がプラテンローラ12に巻き込まれることがない。
【0121】
したがって、被着体への粘着剤層を有するラベル100を、粘着剤層を露出した状態で搬送し印字するプリンタ1において、ラベル100の搬送不良を防止することができる。
【0122】
<第一変形例>
図5は、第一変形例としてのプリンタ2の要部を説明する平面概略図である。プリンタ2において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。なお、図5では、説明をわかりやすくするため、押さえ部材26が省略されている。
【0123】
第一変形例としてのプリンタ2は、下流側ローラ23におけるフランジ部材25A,25Bの位置が、プリンタ1とは異なる。
【0124】
第一変形例においては、プリンタ2は、下流側ローラ23において、下流側ベルト24A,24BのW方向における内側に、2つのフランジ部材25A,25Bを有する。フランジ部材25A,25Bは、下流側ローラ23に固定されており、下流側ローラ23と一体的に回転する。
【0125】
フランジ部材25A,25Bが下流側ローラ23におけるW方向の内側に配置されていることにより、ラベル連続体200或いはラベル100の幅方向における中央部分の撓みを防止し、ラベル連続体200或いはラベル100を下流側ベルト24A,24Bから引き離しやすくすることができる。
【0126】
したがって、ラベル連続体200或いはラベル100の幅方向における中央部分が撓みやすい材料から形成されている場合には、特に有用である。
【0127】
<第二変形例>
図6は、第二変形例としてのプリンタ3の要部を説明する平面概略図である。プリンタ3において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。なお、図6では、説明をわかりやすくするため、押さえ部材26が省略されている。
【0128】
第二変形例としてのプリンタ3は、プラテンローラ12のW方向に亘る一つの上流側ベルト27を備える。
【0129】
プリンタ3においては、プラテンローラ12と上流側ローラ21とに掛け回された上流側ベルト27は、一つのみである。
【0130】
第二変形例においては、下流側ローラ23とプラテンローラ12とに掛け回される下流側ベルト24A,24Bは、上流側ベルト27のW方向における外側に配置される。2つのフランジ部材25A,25Bは、W方向において、下流側ベルト24A,24Bのさらに外側に配置される。
【0131】
第二変形例としてのプリンタ3によれば、プラテンローラ12と上流側ローラ21とに掛け回された上流側ベルト27は、一つのみであり、上流側ベルト同士の隙間がないため、印字ヘッド11よりも上流側において、ラベル連続体200或いはラベル100が付着しやすくなり、搬送しやすくなる。
【0132】
また、ラベル連続体200或いはラベル100は、印字後は、W方向における両端部において下流側ベルト24A,24Bに支持されて、W方向において、下流側ベルト24A,24Bのさらに外側においてフランジ部材25A,25Bによって持ち上げられるため、ラベル連続体200或いはラベル100を下流側ベルト24A,24Bから引き離しやすくすることができる。
【0133】
また、この場合には、搬送方向の下流側において、ラベル連続体200のW方向における中央部分が撓みやすくなるため、下流側ローラ23の外径を小さく設定することが好ましい。そうすることで、下流側ローラ23に貼り付いたラベル連続体200の転向方向が急角度になるため、下流側ローラ23にラベル連続体200の中央部分が貼り付いた場合であっても、ラベル連続体200が下流側ローラ23から剥がれやすくなる。
【0134】
なお、プリンタ3においては、ラベル連続体200或いはラベル100の引き離し易さの効果は、W方向において、フランジ部材25A,25Bが配置された位置まで及ぶが、ラベル連続体200或いはラベル100に印字ヘッド11による印字が可能となるのは、上流側ベルト27及び下流側ベルト24A,24Bによって形成される搬送面Kの範囲である。
【0135】
<第三変形例>
図7は、第三変形例としてのプリンタ4の要部を説明する正面概略図である。図7は、プリンタ4の搬送方向における下流側から上流側をみた平面図である。プリンタ4において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0136】
第三変形例としてのプリンタ4は、ラベル連続体200或いはラベル100を下流側ローラ23に向けて押さえる押さえ部材40を有する。
【0137】
押さえ部材40は、下流側ベルト24A,24Bの間であって、下流側ローラ23の上方且つ中央部分に対応する位置に配置されている。押さえ部材40の先端は、フランジ部材25A,25Bの表面を結ぶ搬送面(図7において、仮想線Lで表される)よりも下流側ローラ23側に位置する。
【0138】
第三変形例としてのプリンタ4によれば、押さえ部材40によって、ラベル連続体200或いはラベル100の幅方向における中央部分が搬送面よりも下流側ローラ23側に押さえられることにより、ラベル連続体200或いはラベル100の幅方向における両端部を浮き上がらせて、ラベル連続体200或いはラベル100を下流側ベルト24A,24Bから引き離しやすくすることができる。
【0139】
したがって、ラベル連続体200或いはラベル100の剛性が比較的高い材料から形成されている場合には、特に有用である。
【0140】
<第四変形例>
図8は、第四変形例としてのプリンタ5の要部を説明する側面概略図である。プリンタ5において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0141】
第四変形例としてのプリンタ5は、上流側ベルト22及び下流側ベルト24の緩みを防止するための張力付与機構50として、上流側ベルト22A,22B,22Cを所定の押圧力で押圧する押さえローラ51を備える。また、下流側ベルト24A,24Bを所定の押圧力で押圧する押さえローラ52を備える。
【0142】
図8では、押さえローラ51,52の説明をわかりやすくするために、ラベル連続体200又はラベル100が省略されている。また、押さえ部材26が省略されている。
【0143】
図8に示すプリンタ5によれば、押さえローラ51により、上流側ベルト22が緩みなく押さえられる。また、押さえローラ52により、下流側ベルト24が緩みなく押さえられる。
【0144】
これにより、プリンタ5によれば、張力付与機構50によって、上流側ベルト22又は下流側ベルト24に所定の張力が付与されるため、プラテンローラ12と上流側ローラ21との間における上流側ベルト22のスリップ、或いは、プラテンローラ12と下流側ローラ23との間における下流側ベルト24のスリップを防止することができる。
【0145】
また、プリンタ5では、ラベル連続体200或いはラベル100は、押さえローラ51と上流側ベルト22A,22B,22Cとに挟持されて搬送される。下流側においても同様に、ラベル連続体200或いはラベル100は、押さえローラ52と下流側ベルト24A,24Bとに挟持されて搬送される。
【0146】
したがって、プリンタ5によれば、押さえローラ51,52によって、ラベル連続体200或いはラベル100が上流側ベルト22A,22B,22C、或いは下流側ベルト24A,24Bに所定の押圧力で押し付けられながら搬送される。これにより、ラベル連続体200或いはラベル100が上流側ベルト22A,22B,22C、或いは下流側ベルト24A,24Bから離れてスリップすることを防止できる。
【0147】
したがって、プリンタ5によれば、ラベル連続体200或いはラベル100の搬送不良を防止することができる。
【0148】
なお、ラベル連続体200或いはラベル100が、台紙無しロールの状態で提供される場合には、表面に非粘着処理が施されているものの、裏面の粘着剤層が表面に微量ながら残留している場合がある。そこで、押さえローラ51,52には、ラベル連続体200或いはラベル100の表面に残留した粘着剤層が押さえローラ51,52の表面に付着することを防止するための非粘着処理が施されていることが好ましい。
【0149】
押さえローラ51,52は、いずれか一方のみ設けられていてもよい。
【0150】
<第五変形例>
図9は、第五変形例としてのプリンタ6の要部を説明する側面概略図である。プリンタ6において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0151】
第五変形例としてのプリンタ6は、ニップ機構60として、下流側ベルト24A,24Bを押さえるニップローラ61,62を備える。ニップローラ61,62は、下流側ベルト24A,24Bにおける、F方向とは反対方向に進行する部分に、下流側ベルト24A,24Bを押圧するように配置されている。
【0152】
第五変形例としてのプリンタ6によれば、下流側ベルト24A,24Bの緩みを無くし、下流側ローラ23に対する下流側ベルト24A,24Bのスリップを防止することができる。
【0153】
これにより、プリンタ6において、ラベル連続体200或いはラベル100の搬送不良を防止することができる。
【0154】
上記観点から、ニップローラ61,62は、下流側ベルト24A,24Bが緩みやすい位置に設けることが好ましい。
【0155】
また、プリンタ6は、上流側ベルト22A,22B,22Cを押さえる押さえローラを有していてもよい。
【0156】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0157】
本実施形態において、フランジ部材25A,25Bはいずれも、外径が同一である正円形状であって、中心に形成された開口によって下流側ローラ23に取り付けられているが、下流側ローラ23に取り付けるための開口は、偏心した位置に形成されていてもよい。また、フランジ部材25A,25Bはいずれも、正円形状の代わりに、多角形や雫形状に形成されていてもよい。
【0158】
このような形状であると、下流側ローラ23の回転によって、フランジ部材25A,25Bの端部と下流側ベルト24A,24Bとの距離が変化するため、下流側ベルト24A,24Bからラベル連続体200又はラベル100を引き離す力を周期的に変動させることができる。
【0159】
これにより、ラベル連続体200又はラベル100と下流側ベルト24A,24Bとの間に、部分的に不要な粘着が生じていたとしても、ラベル連続体200又はラベル100を下流側ベルト24A,24Bから容易に引き離すことができる。
【0160】
粘着抵抗を低減する観点から、フランジ部材25A,25Bを幅狭に形成するほか、フランジ部材25A,25Bの表面に、微細な凹凸等の表面加工が施されていてもよい。フランジ部材25A,25Bの幅狭の形状と表面加工とが併用されていてもよい。
【0161】
上流側ベルト22A,22B,22C及び下流側ベルト24A,24Bは、印字ヘッド11との間で、段差なくラベル連続体200或いはラベル100を挟持できる搬送面を形成できればよい。このため、上流側ベルト22A,22B,22C及び下流側ベルト24A,24Bは、いわゆる、平ベルト、Vベルト、歯付きベルト等であってもよい。
【0162】
上流側ローラ21と上流側ベルト22A,22B,22Cとの間のスリップを防止するとともに、回転精度を高める観点から、歯付きベルトやVベルトを選択することができる。
【0163】
プリンタ1では、押さえ部材26は、上流側ローラ21及び上流側ベルト22に対向する位置に配置されているが、押さえ部材26は、下流側ローラ23及び下流側ベルト24に対向する位置に配置されていてもよい。
【0164】
また、押さえ部材26は、板状の部材に代わって、ローラであってもよい。
【0165】
図7に示した押さえ部材40は、ローラの代わりに、押さえ部材26のような板状の部材であってもよい。
【0166】
本実施形態において、ラベル100は、RFIDに準拠したICチップが内蔵されたRFIDラベルであってもよい。この場合には、プリンタ1は、ICチップにデータを書き込む又はICチップからデータを読み取るためのRFIDアンテナを備える。
【0167】
<セパレータ付き印字媒体>
印字媒体は、長尺状のセパレータに複数のラベルが所定間隔で貼り付けられたセパレータ付き印字媒体であってもよい。
【0168】
図10は、セパレータ付き印字媒体が適用されるプリンタ7の要部を説明する側面概略図である。プリンタ7において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。なお、プラテンローラ12を回転させるための駆動機構13は、図10においては、省略されている。
【0169】
図10に示すプリンタ7に適用されるセパレータ付き印字媒体は、長尺状のセパレータ310に複数のラベル320が所定間隔で貼り付けられてなるラベル連続体300である。
【0170】
プリンタ7は、下流側ベルト24A,24Bとの間でセパレータ310を挟持する押さえローラ71を備える。
【0171】
押さえローラ71は、プラテンローラ12と下流側ローラ23との間に配置されており、下流側ローラ23に掛け回された下流側ベルト24A,24Bにおいて、F方向とは反対方向に進行する下流側ベルト24A,24Bの一部に当接するように配置されている。
【0172】
ラベル連続体300において、ラベル320の粘着剤層に貼り付けられたセパレータ310は、下流側ローラ23において折り返される下流側ベルト24A,24Bとともに、F方向における上流側に転向されて、下流側ベルト24A,24Bと押さえローラ71との間に挟持されている。
【0173】
これにより、セパレータ310は、下流側ローラ23の位置で鋭角に折り返されるため、セパレータ310に貼り付けられたラベル320のF方向における下流側の端部がセパレータ310から浮き上がって、セパレータ310から剥離される。
【0174】
すなわち、プリンタ7において、下流側ベルト24A,24Bと、フランジ部材25A,25Bと、押さえローラ71とは、ラベル320からセパレータ310を剥離するための剥離機構70を構成する。
【0175】
これにより、プリンタ7は、長尺状のセパレータ310からラベル320を剥離することができる。
【0176】
図11は、セパレータ付き印字媒体が適用されるプリンタの変形例としてのプリンタ8の要部を説明する側面概略図である。プリンタ8において、プリンタ1と同様の作用効果を有する構成については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。なお、プラテンローラ12を回転させるための駆動機構13は、図10同様に省略されている。
【0177】
プリンタ8は、上流側ベルト22A,22B,22Cと下流側ベルト24A,24Bとの間でセパレータ310を挟持するニップローラ72を備える。
【0178】
ニップローラ72は、プラテンローラ12において、印字ヘッド11が設けられた側とは反対側において、プラテンローラ12に掛け回さされた上流側ベルト22A,22B,22C及び下流側ベルト24A,24Bに当接するように配置されている。
【0179】
ラベル連続体300において、ラベル320の粘着剤層に貼り付けられたセパレータ310は、下流側ローラ23において折り返される下流側ベルト24A,24Bとともに、F方向における上流側に転向されて、プラテンローラ12に掛け回さされた上流側ベルト22A,22B,22C及び下流側ベルト24A,24Bと、ニップローラ72との間に挟持されている。
【0180】
これにより、セパレータ310は、下流側ローラ23の位置で鋭角に折り返されるため、セパレータ310に貼り付けられたラベル320のF方向における下流側の端部がセパレータ310から浮き上がって、セパレータ310から剥離される。
【0181】
すなわち、プリンタ8において、下流側ベルト24A,24Bと、フランジ部材25A,25Bと、ニップローラ72とは、ラベル320からセパレータ310を剥離するための剥離機構70を構成する。
【0182】
これにより、プリンタ5は、長尺状のセパレータ310からラベル320を剥離することができる。
【符号の説明】
【0183】
1,2,3,4 プリンタ
11 印字ヘッド
12 プラテンローラ
13 駆動機構
21 上流側ローラ
22(22A,22B,22C) 上流側ベルト
23 下流側ローラ
24(24A,24B) 下流側ベルト
25(25A,25B) 拡径部、フランジ部材
26 押さえ部材
27 上流側ベルト
40 押さえ部材
50 張力付与機構
51,52 押さえローラ
60 張力付与機構
61,62 ニップローラ
70 剥離機構
71 押さえローラ
72 ニップローラ
100 ラベル
200 ラベル連続体
310 セパレータ
320 ラベル
300 ラベル連続体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11