(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135392
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】キャンプマット
(51)【国際特許分類】
A47C 17/64 20060101AFI20240927BHJP
A47C 27/00 20060101ALI20240927BHJP
A47C 27/08 20060101ALI20240927BHJP
A47C 9/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
A47C17/64 Z
A47C27/00 B
A47C27/00 C
A47C27/08 A
A47C9/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046048
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】592016485
【氏名又は名称】株式会社デイトナ
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】落合 篤
【テーマコード(参考)】
3B095
3B096
【Fターム(参考)】
3B095EA01
3B096AA01
3B096AB07
3B096AB09
3B096AC03
3B096AC05
3B096AD03
3B096AD07
(57)【要約】
【課題】キャンプマットを使用する際には、必然的に緩衝性、断熱性を求められる部位とその要求がそれ程でもない部位があることに着眼し、これらの構成を変えることにより、よりコンパクトで多様な機能を発揮する新規なキャンプマットを開発することを技術課題とした。
【解決手段】増圧状態で使用するインフレータブルタイプのキャンプマット1であって、キャンプマット1は主マット2と主マット2より長さ寸法が短い副マット3とを接続自在に具えるものであり、主マット2は非通気性の袋状の表皮シート21と表皮シート21内に収められる平面視ハニカム状のインナークッション25と表皮シート21に設けられるエアニップル22とを具え、副マット3は、非通気性の平袋状の副マット表皮シート31が一部で溶着されることにより半独立状態で構成された複数のエアチャンバ31cと、副マット表皮に設けられるエアニップル32とを具えていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に空気を充填して、増圧状態で使用するインフレータブルタイプのキャンプマットであって、
このキャンプマットは、主マットとこの主マットより長さ寸法が短い副マットとを接続自在に具えるものであり、
主マットは、非通気性の袋状の表皮シートと、その表皮シート内に収められる発泡弾性体を適用した平面視ハニカム状のインナークッションと、表皮シートに設けられるエアニップルとを具え、
一方、副マットは、非通気性の平袋状の副マット表皮シートが一部で溶着されることにより半独立状態で構成された複数のエアチャンバと、副マット表皮に設けられるエアニップルとを具えていることを特徴とするキャンプマット。
【請求項2】
前記副マットは、主マット部から切り離した状態において、エアチャンバに空気充填のまま全体として円胴状に形成できることを特徴とする請求項1記載のキャンプマット。
【請求項3】
前記副マットは、エアチャンバに空気充填した状態で円胴状に形成され、このものが主マットの上方に接続されて、枕として機能することを特徴とする請求項1または2記載のキャンプマット。
【請求項4】
前記副マットは、エアチャンバに空気を充填した状態で平面状に拡げられて、キャンプチェアのクッションとして機能することを特徴とする請求項1記載のキャンプマット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャンプ用の緩衝、断熱用の敷物であるキャンプマットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アウトドア活動の一環としてキャンプの人気が高まっている。このようなキャンプの際の寝具としては、寝袋乃至はシュラフザックと呼ばれるものが用いられるが、キャンプサイトの状況や気温が低い状況等の対策としてキャンプマットをシュラフの下に敷くように用いて快適性を保つことが行われている。
【0003】
ところでキャンプの態様は移動手段が、徒歩、自転車、モーターサイクル、自動車等により異なり、特に車以外の行動形態では、キャンプの装備もコンパクトで且つ軽量なものが求められている。
このような要請を考慮しながら市場に提供されているキャンプマットを見ると、コンパクト化が達成しやすいいわゆるインフレータブルタイプのものが普及している。このものは圧縮格納自在のウレタンシートを非通気性の表層シート内に収め、ウレタンシートの自立膨張復帰と、表層シート内に充填された空気との相互作用で充分な緩衝、断熱機能を発揮している。
【0004】
しかしながらこのような従来のキャンプマットの多くのものは、人の身長分を充分受け止めることができるよう、長さ方向寸法は2メートル前後に設定され、格納時コンパクト化するにも限界があった。またこのようなサイズの場合、空気を充填するための口からの吹き込み作業は、それなりに労力を要することは否めない。もとより作業労力軽減のためこのような作業を分けて行えるようにすると共に、多様な使い勝手ができるようキャンプマットを長さ方向に等分して、2ピースとするキャンプマットも市場に提供されている。
しかしながらこのような対応であっても格納状態のコンパクトさの追求という点では、一体構成のキャンプマットを凌ぐものではなく、立体ボリュームとしては結局のところ変わらない(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような背景に鑑みなされたものであって、キャンプマットを使用する際には、必然的に緩衝性、断熱性を求められる部位とその要求がそれ程でもない部位があることに着眼し、これらの構成を変えることにより、よりコンパクトで多様な機能を発揮する新規なキャンプマットを開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
まず請求項1記載のキャンプマットは、内部に空気を充填して、増圧状態で使用するインフレータブルタイプのキャンプマットであって、このキャンプマットは、主マットと、この主マットより長さ寸法が短い副マットとを接続自在に具えるものであり、主マットは、非通気性の袋状の表皮シートと、その表皮シート内に収められる発泡弾性素材を適用した平面視ハニカム状のインナークッションと、表皮シートに設けられるエアニップルとを具え、一方、副マットは、非通気性の平袋状の副マット表皮シートが一部で溶着されることにより半独立状態で構成された複数のエアチャンバと、副マット表皮に設けられるエアニップルとを具えていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項2記載のキャンプマットは、前記要件に加え、前記副マットは、主マット部から切り離した状態において、エアチャンバに空気充填のまま全体として円胴状に形成できることを特徴として成るものである。
【0009】
更にまた請求項3記載のキャンプマットは、前記要件に加え、前記副マットは、エアチャンバに空気充填した状態で円胴状に形成され、このものが主マットの上方に接続されて、枕として機能することを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項4記載のキャンプマットは、前記請求項1記載の要件に加え、前記副マットは、エアチャンバに空気を充填した状態で平面状に拡げられて、キャンプチェアのクッションとして機能することを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0011】
まず請求項1記載の発明によれば、緩衝性、断熱性を求められる部位のみに、発泡弾性素材から成るインナークッションが設けられる様な構成とすることにより、よりコンパクトで多様な機能を発揮することができる。
【0012】
また請求項2記載の発明によれば、副マットを単体で、枕、腰当て等として供することにより、その用途を広げることができる。
【0013】
また請求項3記載の発明によれば、キャンプマットを補完して、快適さを向上させた寝具とすることができる。
【0014】
また請求項4記載の発明によれば、キャンプマットの一パーツである副マットによって、他の装備であるキャンプチェアの座り心地を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のキャンプマットをテントにおいて使用している状態を透視して示す斜視図、並びにセパレート状態とされた主マットと副マットおよび一体化された主マットと副マットを示す斜視図である。
【
図2】一体化された主マットと副マットを示す正面図、平面図、底面図及び側面図ある。
【
図3】セパレート状態とされた主マットと副マットを示す正面図、平面図、底面図及び側面図である。
【
図4】本発明のキャンプマットを格納状態から展開する様子、並びに展開状態から格納する様子を段階的に示す説明図である。
【
図5】エアチャンバを膨らませた状態のまま全体を筒状に丸めた副マットを、主マットに組付けて枕として機能させる実施例を示す斜視図である。
【
図6】副マットをキャンプチェアに組み付けて、そのクッションとして使用する実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づく種々の改良した実施例も含むものである。
【実施例0017】
以下本発明のキャンプマット1を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
符号1は本発明のキャンプマットであって、例えばテント10内において、地面に敷くグランドシート11の上に敷き広げて、その上にシュラフ12等の寝具を拡げて用いられる。このキャンプマット1の大きな特徴は、主マット2と副マット3とを長さ方向において切離自在に組合わせていることが大きな特徴となっている。そして長さ方向の寸法は、主マット2に比べて副マット3の方が短く設定されている。
【0018】
まず主マット2は、非通気性の素材で構成した表皮シート21と、その内部に収められるインナークッション25とを具えて構成されている。表皮シート21は、平面視において、幅寸法は人の肩幅を幾分か超える程度の寸法(一例として53~47センチ)であり、一方長さ寸法は、110~150センチ程度の長さ寸法を有する縦長形状とされる。表皮シート21は、その外周シーム部21aにおいて密閉状態にシームされており、表皮シート21内には密閉した内包部21bが形成される。また表皮シート21には、その上部上面にエアニップル22を具える。
このエアニップル22は、いわゆる空気吹き込み孔であって、そのバルブキャップ等を開放してキャンパーMがそこから空気を内部に吹き込むようにして用いる。勿論専用のインフレータ等を用意して、これによる吹き込みも可能である。
なおキャンプマット1の、前後、上下等の無機については、
図1において、キャンパーMが寝る側の面を上面とし、その裏側、即ちグランドシート11と接する側の面を裏面とし、またキャンパーMの頭部側を上部、足先側を下部とするものである。
【0019】
一方、表皮シート21の下端部には、接続ホック23が設けられる。なお接続ホック23は、後述する副マット3の副マット接続ホック33との接続を行うものであり、このような接続が可能であれば、例えばハトメと云われるような接続孔を構成してこれを適宜のストラップ等で繋ぎ合わせたり、あるいは面ファスナー、スライドファスナー等によって接続させることが可能である。
なおこの実施例では、表皮シート21の外周シーム部21aの上端部位に、適宜の部材、例えば別途用意した枕等を保持するためのユティリティ孔24を具える。
【0020】
次にこのような表皮シート21内に設けられるインナークッション25について説明する。インナークッション25は一例として自由状態から一定の圧縮可能な状態にできるような連続発泡したウレタン素材等を用いて構成したシート状部材であり、一例として厚さ寸法35mmのものとした。そしてこのインナークッション25自体は、キャンパーMの体重を充分に受け止めて支持できるような強度を具えればよいものであり、実際には多数の肉抜き孔25aを形成することにより、平面視でハニカム状に形成している。結果的にインナークッション25の軽量化が本来の機能を損なわず達成できるものである。なお前記肉抜き孔25aの平面形状は一例として菱形状を採用したが、その他の多角形状や、円形状、楕円形状等を採用することもできる。
【0021】
次に副マット3について説明する。副マット3は、副マット表皮シート31を主たる構成部材とするものであり、このものも主マット2における表皮シート21と同様、非通気性の材料で形成されている。即ち副マット表皮シート31は、全体が副マット外周シーム部31aにより、密閉シームされると共に中央部位には一例として横幅方向に延長される複数本の区画シーム部31bが形成される。そしてこの区画シーム部31bの間に空気が充填された場合、例えばチューブ状に膨らみ、エアチャンバ31cが構成される。
なお前記横列状となった区画シーム部31bの両端は、副マット外周シーム部31aまで至ってないことから、各エアチャンバ31cを繋げる連通部31dとして機能することとなる。
【0022】
更に副マット表皮シート31には、副マットエアニップル32が設けられている。このエアニップル22は前述した主マット2におけるエアニップル22と同様構造のものが適用できる。
更にまた副マット表皮シート31における副マット外周シーム部31aの上端部位には、副マット接続ホック33が設けられるものであり、前記主マット2における接続ホック23と接続対偶関係を形成して、その接続切り離しが可能となっている。
また更に副マット3自体を円胴状に巻付保持したり、キャンプマット1全体を格納保持するための格納ストラップ4、あるいはその状態でキャンプマット1を収納する収納袋5が付随的に具えられる。
【0023】
本発明のキャンプマット1は以上述べたような構成を有するものであり、次のように用いられる。
まず始発状態としては
図4(a)、(b)に示すように、キャンプマット1を収納袋5から取り出して、
図4(c)に示すように格納ストラップ4を解いてロール状態の主マット2を展開する。
図4(d)に示すように、ロール状態の副マット3を展開し、キャンプマット1を平板状に敷き拡げた状態とする。なおこのとき主マット2と副マット3については、説明上それぞれが接続ホック23と副マット接続ホック33との間で接続状態を維持したものとする。
この状態ではキャンプマット1は全体的に厚みの薄いシート状のままである。即ちインナークッション25自体に復帰性があるとしても、格納作業時に一旦エアニップル22は開放されて内部の空気を抜いて、格納のために小さく丸められるが、その状態を保つため、エアニップル22は再び閉じられており、インナークッション25の形状復帰は妨げられているからである。
【0024】
一方、副マット3についても、エアチャンバ31cへの副マットエアニップル32からの空気の吹き込みがなされず、且つ主マット2のように内部から自立膨張する部材は存在しないから、
図4(d)に示すように、エアチャンバ31cはあたかも1枚のシート状に押しつぶされた状態を呈している。
【0025】
この状態でまず主マット2については、キャンパーMはエアニップル22の閉鎖状態を適宜解除し、そこから表皮シート21内部と外気とを連通させる。これにより主マット2はインナークッション25の膨張復帰により一定の厚みに復帰する。その後、更にキャンパーMがエアニップル22から主マット2内に空気を吹き込むと、主マット2はインナークッション25の弾性に加えて、内部に吹き込まれた空気圧により一定の断熱作用と緩衝作用を発揮する(
図4(e))。
【0026】
一方、副マット3については、副マットエアニップル32の閉鎖状態を適宜解除して、主マット2と同様にここからキャンパーMが空気を吹き入れ、副マット表皮シート31内を膨張させてゆく。この吹き込まれた空気は連通部31dの存在によりそれぞれエアチャンバ31cに至り、これをチューブ状に膨張させていく。
【0027】
このような状態でキャンパーMが直接キャンプマット1上に横臥し、あるいはシュラフ12内に入って就寝する場合、身体の最も重量の多い胴部については主マット2が支持した状態となる。一方、下肢部位にある脚部から下の部位は、いわば空気袋状の副マット3のエアチャンバ31cが支持した状態となる。
【0028】
更にこのような一般的な使用法のほかに、例えば副マット3と主マット2とを切り離した状態としての使用状態を採ることができる。即ち
図5に示すように、副マット3についてはエアチャンバ31cを膨らませた状態のまま全体を筒状に丸めて、例えば格納ストラップ4等を利用してその状態を維持し、例えば、主マット2のユティリティ孔24等を利用して、丸められた副マット3を主マット2の上方に位置させて枕等として機能させることができる。
勿論、副マット3をこのように筒状に構成した場合、例えばこれを体の下に配置して体の一部を副マット3に押し付けるような用い方ができる。例えば、仰向けに横臥した状態で、例えば脚部のふくらはぎ部を載せ、圧迫刺激を行ったり、あるいは幾分かエアを抜いて腰部にあてて指圧効果等を発揮させることができる。
【0029】
更にまた副マット3についてはエアチャンバ31cを膨らませた状態のままこれを平板状として、例えば
図6に示すようなキャンプチェア13に対してそのクッションとして使用することもできる。
【0030】
次に格納時の状態について説明すると、例えば主マット2と副マット3とが一体に接続されている状態で格納する場合は、例えばいずれもエアニップル22、副マットエアニップル32を開放させて格納作業を行う。そして副マット3については副マットエアニップル32を開放すると、副マット表皮シート31内には、格別内装されたインナークッション等が存在しないから、適宜副マットエアニップル32から空気が抜けて
図4(d)に示すように平折り畳みとなる。この状態で副マット表皮シート31を下方から巻き込んでいくと、
図4(c)に示すようにあたかも芯棒状の状態に極めて小径な形状に畳み込まれる。
【0031】
そしてこの状態で更にこの芯棒状の副マット3を芯材として、前記主マット2の下方から更に巻き込むような格納操作をする。このようにするときには、順次主マット2内のインナークッション25も圧縮されて、その厚みを薄く変化させながら、逐次内部の空気を排除しながら巻き込まれていく。結果的にキャンプマット1全体を格納状態とすべく巻き込んだ時には、インナークッション25は主マット2の部位にのみ設けられ、一方副マット3には設けられていないから、平板状に収縮する副マット3の存在により全体としては極めてコンパクトな状態の格納状態が得られる。そしてこのような格納状態、即ち円胴状にまとめ上げられたキャンプマット1は、再度膨張復帰しないよう特にエアニップル22を閉鎖し、例えば
図4(b)に示すように、格納ストラップ4等を利用して、その状態を維持して、
図4(a)に示すように収納袋5内に格納される。
【0032】
また上述の説明では、主マット2と副マット3とが一体化された状態での展開・格納の様子について説明したが、これらを分離した状態でそれぞれ個別に巻き込むような形態とすることにより、よりいっそうコンパクトな状態の格納状態が得られるものである。