(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135402
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】太陽電池、多接合型太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/072 20120101AFI20240927BHJP
H01L 31/0352 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L31/06 400
H01L31/04 342Z
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046061
(22)【出願日】2023-03-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム/4端子タンデム太陽電池用トップセルの開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】保西 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】中川 直之
(72)【発明者】
【氏名】芝崎 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸民
(72)【発明者】
【氏名】和田 淳
(72)【発明者】
【氏名】吉尾 紗良
(72)【発明者】
【氏名】西田 靖孝
(72)【発明者】
【氏名】山本 和重
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA07
5F251CB15
5F251CB24
5F251DA07
5F251DA15
5F251FA02
(57)【要約】
【課題】変換効率に優れた太陽電池、多接合型太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】実施形態の太陽電池は、p電極と、n電極と、p電極上に設けられ、第1領域と第2領域を含んだp型光吸収層と、p型光吸収層とn電極の間に設けられたn型層と、を含む。第1領域は、p型光吸収層のn型層側に存在する。第2領域は、p型光吸収層のp電極側に存在する。第1領域の平均結晶粒径である第1平均結晶粒径は、第2領域の平均結晶粒径である第2平均結晶粒径よりも大きい。第1領域の平均結晶粒径である第1平均結晶粒径は、第2領域の平均結晶粒径である第2平均結晶粒径よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p電極と、
n電極と、
前記p電極上に設けられ、第1領域と第2領域を含んだp型光吸収層と、
前記p型光吸収層と前記n電極の間に設けられたn型層と、を含み、
前記第1領域は、前記p型光吸収層の前記n型層側に存在し、
前記第2領域は、前記p型光吸収層の前記p電極側に存在し、
前記第1領域の平均結晶粒径である第1平均結晶粒径は、前記第2領域の平均結晶粒径である第2平均結晶粒径よりも大きい太陽電池。
【請求項2】
前記p型光吸収層は、亜酸化銅又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記p型光吸収層の厚さは2000[nm]以上15000[nm]以下であり、
前記第2領域の厚さは70[nm]以上1000[nm]以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第2領域の厚さは、70[nm]以上1000[nm]以下であり、
前記第2領域の厚さは、前記p型光吸収層の厚さの3[%]以上15[%]未満である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第2領域の厚さは、150[nm]以上600[nm]以下であり、
前記第2領域の厚さは、前記p型光吸収層の厚さの3[%]以上15[%]未満である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1平均結晶粒径は、前記p型光吸収層の厚さ80[%]以上100[%]未満である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第2平均結晶粒径は、0.005[μm]以上0.60[μm]以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第2領域の結晶粒径の最大値は、0.05[μm]以上2.00[μm]以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1平均結晶粒径に対する前記第2平均結晶粒径([前記第2平均結晶粒径]/[前記第1平均結晶粒径])は、0.005以上0.300以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第2領域に空隙を含み、
前記空隙の断面平均直径は、0.1[μm]以上0.6[μm]以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第2領域の断面に占める空隙の面積比率([前記第2領域の空隙の断面積の合計]/[前記第2領域の断面積])は、0.01以上0.3以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1領域の断面に占める空隙の面積比率([前記第1領域の空隙の断面積の合計]/[前記第1領域の断面積])は、0以上0.1以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記第1領域に空隙が含まれ、
前記第2領域に空隙が含まれ、
前記第2領域の断面に占める空隙の面積比率に対する前記第1領域の断面に占める空隙の面積比率は、0.001以上0.1以下である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記第2領域の0.005[μm]以上0.70[μm]以下の範囲の粒度分布に2つのピークが含まれる請求項1に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第2領域の0.005[μm]以上0.70[μm]以下の範囲の粒度分布に2つのピークが含まれ、
前記粒度分布の0.005[μm]以上0.30[μm]未満の範囲に第1ピークを含み、
前記粒度分布の0.30[μm]以上0.70[μm]以下の範囲に第2ピークを含む請求項1に記載の太陽電池。
【請求項16】
前記第1ピークに含まれる粒子の比率又は前記第2ピークに含まれる粒子の比率が10[%]以上80[%]以下である請求項15に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記第2領域の粒子の結晶配向性は、ランダムである請求項1に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記第2領域には、断面直径が0.01[μm]以上0.1[μm]未満の小さな空隙と断面直径が0.1[μm]以上0.6[μm]以下の大きな空隙が含まれる請求項1に記載の太陽電池。
【請求項19】
前記第2領域は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb及びBiからなる群より選ばれる1種以上を含む請求項1に記載の太陽電池。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の太陽電池を用いた多接合型太陽電池。
【請求項21】
請求項1ないし19のいずれか1項に記載の太陽電池を用いた太陽電池モジュール。
【請求項22】
請求項21に記載の太陽電池モジュールを用いて発電する太陽光発電システム。
【請求項23】
p電極と、
n電極と、
前記p電極上に設けられ、大粒径の第1領域と小粒径の第2領域を含んだp型光吸収層と、
前記p型光吸収層と前記n電極の間に設けられたn型層と、を含み、
前記第1領域は、前記p型光吸収層の前記n型層側に存在し、
前記第2領域は、前記p型光吸収層の前記p電極側に存在する太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池、多接合型太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
新しい太陽電池の1つに、亜酸化銅(Cu2O)を光吸収層に用いた太陽電池がある。Cu2Oはワイドギャップ半導体である。Cu2Oは地球上に豊富に存在する銅と酸素からなる安全かつ安価な材料であるため、高効率かつ低コストな太陽電池が実現できると期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、変換効率に優れた太陽電池、多接合型太陽電池、太陽電池モジュール及び太陽光発電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の太陽電池は、p電極と、n電極と、p電極上に設けられ、第1領域と第2領域を含んだp型光吸収層と、p型光吸収層とn電極の間に設けられたn型層と、を含む。第1領域は、p型光吸収層のn型層側に存在する。第2領域は、p型光吸収層のp電極側に存在する。第1領域の平均結晶粒径である第1平均結晶粒径は、第2領域の平均結晶粒径である第2平均結晶粒径よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図2は、実施形態の太陽電池の分析スポットを説明する図。
【
図3】
図3は、実施形態の第2領域3bの模式断面図。
【
図4】
図4は、実施形態のp型光吸収層の製造方法のフローチャート。
【
図5】
図5は、実施形態の多接合型太陽電池の断面図。
【
図6】
図6は、実施形態の太陽電池モジュールの斜視図。
【
図7】
図7は、実施形態の太陽電池モジュールの断面図。
【
図8】
図8は、実施形態の太陽光発電システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、特に記載が無い限り、25℃、1気圧(大気)における物性値を示している。また、平均は、算術平均値を表している。各濃度は、対象の領域又は層の平均濃度である。各層において、特定の元素が含まれるとは、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)で存在が確認される元素であり、特定の元素が含まれないとは、例えば、SIMSで存在が確認できない元素である。断面画像に写される粒子の断面積をSとした場合、各粒子の粒径(直径)は、(4S/π)1/2である。
【0008】
明細書中、「/」は、割り算記号を表している。ただし、「又は/及び」の「/」は、「又は」を意味している。明細書中「・」はかけ算記号を表している。明細書の数値の「.」は、小数点を表している。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態は、太陽電池に関する。
図1に、第1実施形態の太陽電池100の模式断面図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る太陽電池100は、基板1、第1電極であるp電極2と、p型光吸収層3と、n型層4と、第2電極であるn電極5を有する。n型層4のn電極5との間等には、図示しない中間層が含まれていてもよい。太陽光はn電極5側、p電極2側いずれから入射しても良いが、n電極5側から入射するのがより好ましい。実施形態の太陽電池100は、透過型の太陽電池であるため、多接合型太陽電池のトップセル側(光入射側)に用いることが好ましい。
図1では基板1をp電極2のp型光吸収層3側とは反対側に設けているが、基板1をn電極5のn型層4側とは反対側に設けてもよい。以下は、
図1に示す形態について説明するが、基板1の位置が異なること以外はn電極5側に基板1が設けられた形態も同様である。実施形態の太陽電池100は、n電極5側からp電極2側に向かって光が入射する。
【0010】
基板1は、透明な基板である。基板1には、光を透過するアクリル、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリプロピレン(PP)、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)など)、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォンやポリエーテルイミドなどの有機系の基板やソーダライムガラス、白板ガラス、化学強化ガラスや石英などの無機系の基板を用いることができる。基板1は、上記に挙げた基板を積層してもよい。
【0011】
p電極2は、基板1上に設けられており、基板1とp型光吸収層3との間に配置されている。p電極2は、p型光吸収層3とオーミック接合することが好ましい。p電極2は、p型光吸収層3側に設けられた光透過性を有する導電層である。p電極2の厚さは、典型的には、100nm以上2000nm以下である。
図1では、p電極2は、p型光吸収層3と直接接している。p電極2は、1層以上の酸化物透明導電膜を含むことが好ましい。酸化物透明導電膜としては、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide;ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(Al-doped Zinc Oxide;AZO)、ボロンドープ酸化亜鉛(Boron-doped Zinc Oxide;BZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(Gallium-doped Zinc Oxide;GZO)、ドープされた酸化スズ、チタンドープ酸化インジウム(Titanium-doped Indium Oxide;ITiO)、酸化インジウム酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide;IZO)や酸化インジウムガリウム亜鉛(Indium Gallium Zinc Oxide;IGZO)、水素ドープ酸化インジウム(Hydrogen-doped Indium Oxide;IOH)などの半導体導電膜を用いることができ、特に限定されない。酸化物透明導電膜は、複数の膜を持つ積層膜であってもよい。酸化スズなどの膜へのドーパントとしては、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上であれば特に限定されない。p電極2は、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上の元素がドープされた酸化スズ膜が含まれることが好ましい。ドープされた酸化スズ膜において、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上の元素は、酸化スズ膜に含まれるスズに対して10原子%以下含まれることが好ましい。p電極2として、酸化物透明導電膜と金属膜を積層した積層膜を用いることができる。金属膜は、厚さが1[nm]以上2[μm]以下であることが好ましく、金属膜に含まれる金属(合金を含む)は、Mo、Au、Cu、Ag、Al、TaやWなど特に限定されない。また、p電極2は、酸化物透明導電膜と基板1の間、又は、酸化物透明導電膜とp型光吸収層3の間にドット状、ライン状もしくはメッシュ状の電極(金属、合金、グラフェン、導電性窒化物及び導電性酸化物からなる群より選ばれる1種以上)を含むことが好ましい。ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の金属は、酸化物透明導電膜に対して開口率が50%以上であることが好ましい。ドット状、ライン状もしくはメッシュ状の金属は、Mo、Au、Cu、Ag、Al、TaやWなど特に限定されない。p電極2に金属膜を用いる場合、透過性の観点から5[nm]以下程度の膜厚とすることが好ましい。ライン状やメッシュ状の金属膜を用いる場合、透過性は開口部で確保されるため、金属膜の膜厚に関してはこの限りではない。
【0012】
酸化物透明導電膜のp型光吸収層3側の最表面にはp型光吸収層3とオーミック接合するドープされた酸化スズ膜が設けられていることが好ましい。酸化物透明導電膜のp型光吸収層3側の最表面に設けられているドープされた酸化スズ膜の少なくとも一部がp型光吸収層3と直接的に接していることが好ましい。
【0013】
p型光吸収層3は、p型の半導体層である。p型光吸収層3は、p電極2上に設けられている。p型光吸収層3は、p電極2と直接的に接していても良いし、p電極2との電気的なコンタクトを確保できる限り、他の層が存在していても良い。p型光吸収層3は、p電極2とn型層4との間に配置される。p型光吸収層3はn型層4と直接的に接している。p型光吸収層3は、第1領域3aを含む。p型光吸収層3は、化合物半導体であることが好ましい。p型光吸収層3は、ノンドープであるときにp型の化合物半導体であることが好ましい。ノンドープであるときにp型の化合物半導体層としては、亜酸化銅(亜酸化銅化合物)、カルコパイライト構造を有する化合物、ケステライト構造を有する化合物及びスタンナイト構造を有する化合物を有する化合物のいずれか1種を含む半導体層であって、いずれか1種のみを含む半導体層が好ましい。カルコパイライト構造を有する化合物、ケステライト構造を有する化合物及びスタンナイト構造を有する化合物を有する化合物のいずれか1種を含む半導体層をp型光吸収層3に用いた場合及び亜酸化銅をp型光吸収層3に用いた場合にも、光路長が長くなり、500nm以上の波長の光の量子効率が向上する
【0014】
p型光吸収層3が亜酸化銅を含む場合、亜酸化銅又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする亜酸化銅化合物であることが好ましい。つまり、p型光吸収層3は、亜酸化銅化合物を含む半導体層であることが好ましい。p型光吸収層3は、亜酸化銅化合物の多結晶であることが好ましい。亜酸化銅化合物には、一部不純物として、銅(Cu)、酸化銅(CuO)及び水酸化銅(Cu(OH)2)からなる群より選ばれる1種以上の亜酸化銅の不純物が微量に含まれていてもよい。
【0015】
亜酸化銅化合物に含まれる酸素の原子数は、銅の原子数を1とすると0.48以上0.56以下が好ましい。銅に対して酸素が多いと亜酸化銅化合物に含まれる酸化銅の比率が高くなることで、バンドギャップが狭くなり、p型光吸収層3の透光性が低下するため好ましくない。銅の比率に対して酸素が少ないと亜酸化銅化合物に含まれる銅が多くなることで、透光性が低下するため好ましくない。
【0016】
亜酸化銅化合物は、亜酸化銅を主体とする酸化物である。p型光吸収層3に含まれる全ての金属元素を100[%]とするとき、p型光吸収層3に含まれる銅元素は95[%]以上100[%]以下が好ましく98[%]以下以上100[%]以下がより好ましく、99[%]以上100[%]以下がさらにより好ましい。
【0017】
p型光吸収層3の95[wt%]以上100[wt%]以下は亜酸化銅化合物であることが好ましく、p型光吸収層3の98[wt%]以上100[wt%]以下は亜酸化銅化合物であることがより好ましく、99[wt%]以上100[wt%]以下は亜酸化銅化合物であることがさらにより好ましい。p型光吸収層3の100[wt%]を亜酸化銅化合物で構成することができる。
【0018】
p型光吸収層3は、亜酸化銅又は/及び亜酸化銅の複合酸化物の多結晶であることが好ましい。亜酸化銅の複合酸化物は、CuaM1bOcで表される酸化物である。M1は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb、Ge、Bi、Cl、F、Br、I、Mn、Tc及びReからなる群より選ばれる1種以上の元素であることが好ましい。a、b及びcは、1.80≦a≦2.01、0.00≦b≦0.20及び0.98≦c≦1.02を満たすことが好ましい。p型光吸収層3は、異相であるCu又は/及びCuOをほとんど含まないことが好ましい。p型光吸収層3に含まれる異相が少なく結晶性が良いとp型光吸収層3の透光性が高くなるため好ましい。p型光吸収層3のバンドギャップは、2.0eV以上2.2eV以下であることが好ましい。かかる範囲のバンドギャップであると、Siを光吸収層に用いた太陽電池をボトムセルに用い、実施形態の太陽電池をトップセルに用いた多接合型太陽電池において、トップセル及びボトムセルの両方で太陽光を効率よく利用できる。
【0019】
上記p型光吸収層3の組成比は、p型光吸収層3の全体の組成比である。
【0020】
p型光吸収層3の厚さは、電子顕微鏡による断面観察や、段差計によって求められ、2000[nm]以上15000[nm]以下(2[μm]以上15[μm]以下)が好ましく、2500[nm]以上10000[nm]以下がより好ましく、4000[nm]以上10000[nm]以下がさらにより好ましく、4000[nm]以上8000[nm]以下が好ましい。p型光吸収層3は、表面に凹凸の高低差が少なくてp型光吸収層3の最小厚さと最大厚さの差は、0[nm]以上100[nm]以下が好ましく、0[nm]以上50[nm]以下がより好ましい。p型光吸収層3は、直方体形状を有する。
【0021】
p型光吸収層3は、大粒径の第1領域3a及び小粒径の第2領域3bを含む。第1領域3aはn型層4側に存在する。第2領域3bはp電極2側に存在する。第1領域3aと第2領域3bは直接的に接続していることが好ましい。
【0022】
第1領域3aの平均結晶粒径である第1平均結晶粒径d1は、第2領域3bの平均結晶粒径である第2平均結晶粒径d2よりも大きいことが好ましい。
【0023】
p型光吸収層3とn型層4が異種の化合物であってpnがヘテロ接合している場合、n型層4の元素がp型光吸収層3に拡散し、又は/及び、p型光吸収層3の元素がn型層4に拡散すると、p型光吸収層3とn型層4の間にお互いの元素が拡散した厚さが20[nm]以下の混合領域が存在する場合がある。混合領域に占める金属元素の90[atom%]以下がp型光吸収層3に含まれる金属であって、さらに、混合領域に占める金属元素の10[atom%]以上がn型層4に含まれる金属元素である。混合領域が存在する場合、p型光吸収層3のn型層4側の表面は、混合領域を除いたp型光吸収層3のn型層4側の表面であり、n型層4のp型光吸収層3側の表面は、混合領域を除いたn型層4のp型光吸収層3側の表面である。
【0024】
p型光吸収層3の厚さは、電子顕微鏡による断面観察や、段差計によって求められ、2000[nm]以上15000[nm]以下(1[μm]以上15[μm]以下)が好ましく、2500[nm]以上10000[nm]以下がより好ましく、4000[nm]以上10000[nm]以下がさらにより好ましく、4000[nm]以上8000[nm]以下が好ましい。p型光吸収層3は、表面に凹凸の高低差が少なくてp型光吸収層3の最小厚さと最大厚さの差は、0[nm]以上100[nm]以下が好ましく、0[nm]以上50[nm]以下がより好ましい。p型光吸収層3は、直方体形状を有する。
【0025】
第2領域3bの厚さは、70[nm]以上1000[nm]以下が好ましい。第2領域3bが存在すると、波長が500nm以上の光の量子効率が向上し、変換効率の向上に寄与する。第2領域3bの厚さが薄いと波長が500nm以上の光の量子効率の向上効果が少ない。第2領域3bの厚さが厚いと光吸収層の欠陥が多くなり、電子の再結合が起きやすいという理由により好ましくない。上記観点から、第2領域3bの厚さは、70[nm]より厚く1000[nm]以下が好ましく、100[nm]以上1000[nm]以下がより好ましい。
【0026】
第2領域3bの厚さは、150[nm]以上600[nm]以下が好ましい。第2領域3bが存在すると、波長が500nm以上の光の量子効率が向上し、変換効率の向上に寄与する。第2領域3bの厚さが薄いと波長が500nm以上の光の量子効率の向上効果が少ない。第2領域3bの厚さが厚いと光吸収層の欠陥が多くなり、電子の再結合が起きやすいという理由により好ましくない。上記観点から、第2領域3bの厚さは、150[nm]以上500[nm]以下がより好ましい。
【0027】
第1領域3aの厚さと第2領域3bの厚さの測定方法について説明する。
図2の分析スポットA1~A9の断面を観察して、大粒径でn型層4側の領域を第1領域3aとする。また、
図2の分析スポットA1~A9の断面を観察して、小粒径でp電極2側の領域を第2領域3bとする。
【0028】
第2領域3bの厚さは、70[nm]以上1000[nm]以下であり、p型光吸収層3の厚さの1[%]以上20[%]未満であることが好ましい。p型光吸収層3の厚さに対する第2領域3bの厚さが相対的に薄いと光路長が長くなる効果が得られなくなるという理由により好ましくない。p型光吸収層3の厚さに対する第2領域3bの厚さが相対的に厚いと光吸収層の欠陥が多くなり、電子の再結合が起きやすいという理由により好ましくない。そこで、第2領域3bの厚さは、70[nm]以上1000[nm]以下であり、p型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満であることが好ましい。上記観点から、第2領域3bの厚さは、70[nm]より厚く1000[nm]以下でp型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満であることが好ましく、100[nm]以上1000[nm]以下でありp型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満であることがより好ましい。
【0029】
第2領域3bの厚さは、150[nm]以上600[nm]以下であり、p型光吸収層3の厚さの1[%]以上20[%]未満であることが好ましい。p型光吸収層3の厚さに対する第2領域3bの厚さが相対的に薄いと光路長が長くなる効果が得られなくなるという理由により好ましくない。p型光吸収層3の厚さに対する第2領域3bの厚さが相対的に厚いと光吸収層の欠陥が多くなり、電子の再結合が起きやすいという理由により好ましくない。そこで、第2領域3bの厚さは、150[nm]以上600[nm]以下であり、p型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満であることが好ましい。上記観点から、第2領域3bの厚さは、150[nm]以上500[nm]以下であり、p型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満であることが好ましい。
【0030】
第2領域3bの厚さがp型光吸収層3の厚さの1[%]以上20[%]未満である場合、第1領域3aの厚さは、p型光吸収層3の厚さの80[%]以上99[%]以下であることが好ましい。第1領域3aがp型光吸収層3の大部分を占めることで、変換効率の高い太陽電池100が得られる。
【0031】
第2領域3bの厚さがp型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満である場合、第1領域3aの厚さは、p型光吸収層3の厚さの85[%]以上97[%]以下であることが好ましい。第1領域3aがp型光吸収層3の大部分を占めることで、変換効率の高い太陽電池100が得られる。
【0032】
第1領域3aの平均結晶粒径である第1平均結晶粒径d1は、1.5[μm]以上が好ましい。第1平均結晶粒径d1は、p型光吸収層3の厚さ80[%]以上100[%]未満が好ましい。第1領域3aは、p型光吸収層3において、光を吸収して発電する主たる領域である。第1領域3aの第1平均結晶粒径d1が大粒径であると第1領域において、350[nm]以上650[nm]未満の光を吸収して高効率に発電することができる。第1平均結晶粒径d1は、p型光吸収層3の厚さから第2領域3bの厚さを除いた厚さ、つまり、第1領域3aの厚さの90[%]以上100[%]以下が好ましく、95[%]以上100[%]以下がより好ましい。また、p型光吸収層3に含まれる粒子のうち粒径がp型光吸収層3の厚さの50[%]以上100[%]未満である粒子は、p電極2に直接的に接していないことが好ましい。
【0033】
第1平均結晶粒径d1は、
図2の分析スポットA1~A9の各断面画像に写るp型光吸収層3を観察して求められる。例えば、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いて、断面画像を得る。倍率は、10000倍以上200000倍程度とし、撮影範囲は、p型光吸収層3の厚さ以上である。断面画像には、p型光吸収層3、n型層4及びp電極2が含まれる。断面画像のn型層4側のp型光吸収層3において、結晶の積層方向の直径が長い方から5つ選択する。選択した5つの結晶の積層方向の直径の平均値を求める。9つの分析スポットA1~A9から求めた平均値をさらに平均して得られた値の平均値を平均結晶粒径d1とする。
【0034】
第2領域3bの平均結晶粒径である第2平均結晶粒径d2は、0.005[μm]以上0.60[μm]以下が好ましく、0.15[μm]以上0.45[μm]以下がより好ましい。p電極2側に粒径の小さい第2領域3bが存在することで、第1領域3aで吸収されなかった光のうち、長波長の光が第2領域3bで吸収される。このことによって、太陽電池100の500nm以上の波長の光の量子効率が向上する。
【0035】
第2領域3bの結晶粒径の最大値は、0.05[μm]以上2.00[μm]以下が好ましく、0.30[μm]以上1.0[μm]以下がより好ましい。
【0036】
第2平均結晶粒径d2は、
図2の分析スポットA1~A9をSEM-EBSD(走査電子顕微鏡-後方散乱電子回折)を用いて測定して求められる。具体的には、p電極2とp型光吸収層3の境界部分を観察する。観察において、第2領域2bの厚さが確認できる領域を選択する。加速電圧は1[kV]で、試料傾斜は70[°]、測定領域は0.8[μm]×11[μm]で、STEPは0.01[μm]とした。70[°]傾斜した試料に電子線を照射することによって、各結晶面で回折電子線が作られ、この後方散乱電子回折を解析し、画像中の結晶面方位を求めた。結晶面方位が5[°]以上の方位差がある境界を結晶粒界として扱い、粒子毎に結晶面方位に基づいて色分けする。色分けによって、粒界が視覚的に容易に認識できる。測定領域に含まれる全ての粒子の直径をピクセル数×(ステップサイズ(0.01 μm)の2乗)により粒面積を求め、粒面積×4/π)^(1/2)によって求める。粒子の直径を求める際に粒界部分を含めた領域を粒子とみなして粒子の直径を求める。分析スポットA1~A9の測定領域に含まれる全ての粒子の直径の平均値を第2平均結晶粒径d2とする。
【0037】
第1領域3aの第1平均結晶粒径d1に対する第2領域3bの第2平均結晶粒径d2(d2/d1)は、0.005以上0.300以下が好ましく、0.010以上0.300以下よりが好ましく、0.020以上0.100以下がさらにより好ましい。d2/d1が好ましい範囲内であると、電子の再結合が少なく、裏面側の光路長が長くなるという理由で好ましい。
【0038】
第2領域3bには、空隙Gが含まれることが好ましい。空隙Gの断面平均直径は、0.10[μm]以上0.60[μm]以下が好ましく、0.15[μm]以上0.45[μm]以下がより好ましい。空隙が上記範囲内であることで、電子の再結合の増加を防ぐことができる可能性がある。
【0039】
第1領域3aには、空隙Gがほとんど含まれないことが好ましい。第1領域3aの断面に占める空隙Gの面積比率R1([第1領域3aの空隙Gの断面積の合計]/[第1領域3aの断面積])は、0以上0.1以下が好ましく、0以上0.01以下がより好ましい。
【0040】
第2領域3bの断面に占める空隙Gの面積比率R2([第2領域3bの空隙Gの断面積の合計]/[第2領域3bの断面積])は、0.01以上0.3以下が好ましく、0.05以上0.1以下がより好ましい。
【0041】
第1領域3aに空隙Gが含まれる場合、第2領域3bの断面に占める空隙Gの面積比率R2に対する第1領域3aの断面に占める空隙Gの面積比率R1(R1/R2)は、0.001以上0.1以下が好ましい。
【0042】
図2の分析スポットA1~A9をSEM-EBSDで粒界を調べる際に、結晶以外と判断された領域を空隙Gとみなす。空隙Gの直径を第2平均結晶粒径d2と同様に求める。分析スポットA1~A9の測定領域に含まれる全ての空隙の直径の平均値を空隙Gの断面平均直径とする。また、第1領域3a又は第2領域3bの各空隙Gを合計して第1領域3a又は第2領域3bの第1領域3a又は第2領域3bの空隙Gの断面積の合計を求める。
【0043】
第2領域3bの粒度分布は、0.005[μm]以上0.70[μm]以下の範囲に2個以上3個以下のピークを含むことが好ましく、0.005[μm]以上0.70[μm]以下の範囲に2個のピーク(2個のみのピーク)が含まれることがより好ましい。第2領域3bの粒度分布の0.005[μm]以上0.30[μm]未満の範囲(第1範囲)に第1ピークP1と、0.30[μm]以上0.70[μm]以下の範囲(第2範囲)に第2ピークP2を含むことが好ましい。実施形態の製造方法で作製したp型光吸収層3は、粒度分布に第1範囲と第2範囲の両方にピークを含む第2領域3bを有する。
【0044】
図3の模式断面図に示すように、実施形態の第2領域3bには、粒径の大きな粒子A、粒径の小さな粒子B、小さな空隙G
S及び大きな空隙G
Lが含まれることが好適である。
【0045】
第2領域3bの0.10[μm]以上0.70[μm]以下の範囲の粒度分布について説明する。階級の幅は0.05[μm]である。例えば、0.10[μm]の階級は、粒径が0.075[μm]以上0.125[μm]の粒子を含む。
【0046】
第2領域3bに含まれる粒子のうち、結晶粒径が0.075[μm]以上2.00[μm]である粒子の比率を100[%]とした場合、第1ピークの存在比率(第1ピークP1に含まれる粒子の比率([第1ピークに含まれる粒子の数]/[結晶粒径が0.075[μm]以上2.00[μm]以下である粒子の数]))及び第2ピークの存在比率(第2ピークP2に含まれる粒子の比率([第2ピークに含まれる粒子の数]/[結晶粒径が0.075[μm]以上2.00[μm]以下である粒子の数]))は、それぞれ、10[%]以上80[%]以下であることが好ましい。
【0047】
第2領域3bに含まれる粒子のうち、結晶粒径が0.075[μm]以上2.00[μm]である粒子の比率を100[%]とした場合、第1ピークP1に含まれる粒子の比率又は第2ピークP2に含まれる粒子の比率は、結晶粒径が0.075[μm]以上2.00[μm]の範囲で最も高いことが好ましい。
【0048】
第1ピークP1に含まれる粒子の比率又は第2ピークP2に含まれる粒子の比率が20[%]以上70[%]以下であることが好ましい。第1ピークP1及び第2ピークP2は、非常にシャープなピークでもなく、平坦に近いピークでもないことが好ましい。
【0049】
第2領域3bの粒度分布において、第1ピークP1と第2ピークP2の間には谷が存在することが好ましい。より具体的には、第2領域3bの粒度分布において、第1ピークP1のピークトップと第2ピークP2のピークトップの間に比率が0[%]以上4[%]未満の階級が含まれることが好ましい。
【0050】
SEM-EBSDで第2平均結晶粒径d2を求める方法と同様に、分析スポットA1~A9の各結晶粒径を求める。求められた粒径を、50[nm]の階級幅で粒度分布を作成する。粒度分布の縦軸には、存在比率(第2領域3bに含まれる粒子数に対する階級に属する粒子数の比率)を示す。作成した粒度分布から第1ピークP1及び第2ピークP2を特定することができる。
【0051】
第2領域3bの粒子の結晶配向性は、ランダムであることが好ましい。実施形態の製造方法で作製したp型光吸収層3は、結晶配向性がランダムな第2領域3bを有する。実施形態の第2領域3bの結晶配向性がランダムか否かについては、以下の様に定める。各分析スポットで観察してIPF(Inverse Pole Figure)マップを得る。IPFマップの中心に最も高い粒子(選択した中心の粒子)を選択する。選択した中心の粒子に最も近い粒子との距離が近い20個の粒子(選択した外周の粒子)を選択する。選択した外周の粒子である20粒子についてそれぞれ中心の粒子との方位差を求める。方位差が15[°]以上である粒子が10粒子以上である場合、第2領域3bの粒子の結晶配向性がランダムであるとする。
【0052】
第2領域3bの断面は、(001)面((200)面)、(101)面及び(111)面を含むことが好ましい。結晶配向性が上記の基準でランダムであっても特定の面方位に偏っているよりも、第2領域3bの断面には面方位が異なる複数の粒子を含むことが好ましい。
【0053】
第2領域3bの断面の結晶の面方位は次のように求める。SEM-EBSDで第2平均結晶粒径d2を求める方法と同様に、分析スポットA1~A9のIPFマップから各結晶の面方位と中心の粒子との方位差を求める。
【0054】
第2領域3bには、断面直径が0.01[μm]以上0.1[μm]未満の小さな空隙と断面直径が0.1[μm]以上0.6[μm]以下の大きな空隙が含まれることが好ましい。
【0055】
第2領域3bのキャリア濃度は、第1領域3aよりもキャリア濃度が高いことが好ましい。第2領域3bのキャリア濃度が第1領域3aのキャリア濃度よりも高いと裏面障壁(BSF;Back Surface Field)によって、再結合が抑制され、短絡電流密度が向上し、変換効率の向上に寄与することが好ましい。第2領域3bのキャリア濃度の平均値は、第1領域3aのキャリア濃度の平均値の100倍以上106以下が好ましい。
【0056】
第2領域3bのキャリア濃度が第1領域3aよりもキャリア濃度が高い場合、第2領域3bは、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb及びBiからなる群より選ばれる1種以上が好ましい。第2領域3bに、Cl、F、Br、I、Mn、Tc及びReからなる群より選ばれる1種以上を含む場合、第2領域3b中のCl、F、Br、I、Mn、Tc及びReからなる群より選ばれる1種以上の総濃度は、第2領域3bのLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb及びBiからなる群より選ばれる1種以上の総濃度の100[%]未満が好ましく、10[%]以下がより好ましい。
【0057】
再結合を防ぐ観点から、第2領域3bのキャリア濃度は、第1領域3a側が低く、p電極2側が高いことが好ましい。再結合を防ぐ観点から、第2領域3bのキャリア濃度は、第1領域3a側が低く、p電極2側が高く、キャリア濃度が第1領域3a側からp電極2側に向かって傾斜的に変化することが好ましい。
【0058】
第2領域3bのキャリア濃度の平均値が第1領域3aのキャリア濃度の平均値の100倍以上105以下である場合、第2領域3bの厚さは、0.07[μm]以上0.1[μm]以下が好ましい。第2領域3bのキャリア濃度の平均値が第1領域3aのキャリア濃度の平均値の100倍以上105以下である場合、第2領域3bの厚さは、第1領域3aの厚さの0.01倍以上0.05倍以下であることが好ましい。第2領域3bのキャリア濃度の平均値が第1領域3aのキャリア濃度の平均値の101倍以上106以下である場合、第2領域3bの厚さは、0.1[μm]以上0.6[μm]以下であり、第2領域3bの厚さは、第1領域3aの厚さの0.05倍以上0.3倍以下であることが好ましい。
【0059】
p型光吸収層3の正孔濃度を求める。例えば、p型光吸収層3の厚さが8[μm」で、第1領域3aがp型光吸収層3のn型層4側の表面からp電極2側に向かって7[μm]までの深さに存在し、p型光吸収層3から第1領域3aを除いたp電極2側の厚さが1[μm]の領域を第2領域3bとする場合、例えば、まず、n型層4側からp型光吸収層3側に向かって研磨又はエッチングによって部材を除去し、p電極2側から基板1及びp電極2を除去して、p型光吸収層3単体の全体の正孔濃度を測定する。次いで、p型光吸収層3のp電極2が存在していた側からp型光吸収層3を除去しながら正孔濃度を測定する。例えば、除去する厚さ200[nm]毎に正孔濃度を測定する。正孔濃度を求める際の除去厚さの間隔である200[nm]を10[nm]以上100[nm]以下の一定間隔にすることで、測定精度を高めることができる。
【0060】
第1領域3aは、第2領域3bに直接的に接していることが好ましい。第1領域3aの第2領域3bを向く面は、第2領域3bの第1領域3aを向く面と直接的に接していることが好ましい。第1領域3aのn型層4を向く面は、n型層4のp型光吸収層3を向く面と直接的に接していることが好ましい。第2領域3bのp電極2を向く面は、p電極2のp型光吸収層3を向く面と直接的に接していることが好ましい。
【0061】
p型光吸収層3は、例えばスパッタなどによって成膜されることが好ましい。
図4にp型光吸収層3の製造方法のフローチャートを示す。
図4のフローチャートに示すp型光吸収層3の製造方法は、低温成膜工程(S01)及び高温成膜工程(S02)を含む。温度の異なる2段階のスパッタリングを行うことで、第1領域3a及び第2領域3bの両方を含むp型光吸収層3を成膜することができる。酸化工程(S03)を実施してもよい。
【0062】
基板1がp電極2側に設けられている場合は、低温成膜工程(S01)、高温成膜工程(S02)、酸化工程(S03)の順に処理を行うことが好ましい。
【0063】
基板1がn電極5側に設けられている場合は、
図4のフローチャートとは一部順番を入れ替えて、高温成膜工程(S02)、低温成膜工程(S01)、酸化工程(S03)の順に処理を行うことが好ましい。
【0064】
スパッタリングにおいて、Cu以外の原子をチャンバー内に導入して、ドープされたCu2O膜や亜酸化銅の複合酸化物膜を形成することができる。
【0065】
スパッタリングは、チャンバー内のステージにp型光吸収層3を形成させる部材(例えば、基板1上にp電極2が形成された部材又は基板1上にn電極5及びn型層4が形成された部材)を載置し、ステージを加熱することで部材を加熱し、銅を主成分とするターゲットを用いて酸化性雰囲気で銅を酸化させて部材上に付着させて成膜する。
【0066】
スパッタリングの温度は、p型光吸収層3を形成する下地の部材の温度である。p電極2側に基板1を設けている場合は、スパッタリングの温度は、基板1の温度又は/及びp電極2の温度である。n電極5側に基板1を設けている場合は、スパッタリングの温度は、基板1の温度又は/及びn電極5の温度である。なお、ステージ温度を下地の部材の温度とみなすことができる。
【0067】
低温成膜工程(S01)のスパッタリングの温度は、200[℃]以上350[℃]未満であることが好ましく、250[℃]以上350[℃]以下であることが好ましい。下地の層の温度が低いことで、p型光吸収層3の結晶が成長し難く、小粒径の第2領域3bが形成される。
【0068】
低温成膜工程(S01)のチャンバー内の酸素分圧は、0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下が好ましい。
【0069】
低温成膜工程(S01)のp型光吸収層3の堆積速度をd[μm/min]とする場合、酸素分圧は、dの0.5倍以上1.5倍以下が好ましい(この計算において、堆積速度の次元は無視する)。
【0070】
低温成膜工程(S01)において、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb、Ge及びBiからなる群より選ばれる1種以上の原子をCu原子と共にチャンバー内に導入することで、キャリア濃度を高めることができる。
【0071】
高温成膜工程(S02)のスパッタリングの温度は、350[℃]以上600[℃]以下であることが好ましく、400[℃]以上550[℃]以下であることが好ましい。下地の層の温度が高いことで、p型光吸収層3の結晶が成長し、大粒径の第1領域3aが形成される。
【0072】
高温成膜工程(S02)のチャンバー内の酸素分圧は、0.01[Pa]以上4.8[Pa]以下が好ましい。
【0073】
高温成膜工程(S02)のp型光吸収層3の堆積速度をd[μm/min]とする場合、酸素分圧は、dの0.5倍以上1.5倍以下が好ましい(この計算において、堆積速度の次元は無視する)。
【0074】
高温成膜工程(S02)のスパッタリング温度は、低温成膜工程(S01)のスパッタリング温度よりも100[℃]以上400[℃]以下高いことが好ましい。
【0075】
低温成膜工程(S01)から高温成膜工程(S02)へ移行する際に、スパッタリングを停止してから部材の温度を変更してもよいし、スパッタリングを行いながら温度を変化させてもよい。スパッタリングを行いながら部材の温度を変化させる場合は、10[℃/min]以上100[℃/min]の早さで部材温度を変化させることが好ましい。
【0076】
高温成膜工程(S02)か低高温成膜工程(S01)へ移行する際に、スパッタリングを停止してから部材の温度を変更してもよいし、スパッタリングを行いながら温度を変化させてもよい。スパッタリングを行いながら部材の温度を変化させる場合は、-100[℃/min]以上-10[℃/min]の早さで部材温度を変化させることが好ましい。
【0077】
高温成膜工程(S01)において、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、N、P、Sb、Ge、Bi、Cl、F、Br、I、Mn、Tc及びReからなる群より選ばれる1種以上の原子をCu原子と共にチャンバー内に導入することができる。
【0078】
酸化工程(S03)は、低酸素濃度(酸素分圧100[Pa])から高酸素濃度(酸素分圧200000[Pa])以下の雰囲気、又は、オゾンを含む雰囲気にp型光吸収層3を成膜させた部材を置くことで酸化させる。酸化処理(S03)は、省略してもよい。酸化処理(S03)は、低温成膜工程(S01)及び高温成膜工程(S02)を実施した後であって、n型層4の形成前(基板1をp電極2側に設けた場合)に行うことが好ましい。
【0079】
p型光吸収層3がカルコパイライト構造を有する化合物を含む場合、カルコパイライト構造を有する化合物として、例えば、11族元素(Cu、Ag)、13族元素(Al、Ga、In)及び16族(S、Se、Te)を含む化合物が挙げられる。カルコパイライト構造を有する化合物のn型ドーパントとしては、Zn又は/及びCdが好ましい。
【0080】
p型光吸収層3がケステライト構造を有する化合物を含む場合、ケステライト構造を有する化合物として、例えば、Cu2ZnSn(S,Se)4が挙げられる。ケステライト構造を有する化合物のn型ドーパントとしては、Cdが好ましい。
【0081】
p型光吸収層3がスタンナイト構造を有する化合物を含む場合、スタンナイト構造を有する化合物として、例えば、Cu2(Fe、Zn)Sn(S,Se)4が挙げられる。スタンナイト構造を有する化合物のn型ドーパントとしては、Cdが好ましい。
【0082】
n型層4は、n型の半導体層である。n型層4は、p型光吸収層3とn電極5との間に配置される。n型層4は、p型光吸収層3上に設けられていることが好ましい。n型層4は、p型光吸収層3のp電極2と接した面とは反対側の面と直接接している。n型層4は、Gaを含む酸化物を含む半導体層、又は、n型の亜酸化銅化合物を含む半導体層を含むことが好ましい。Gaを含む酸化物を含む半導体層、又は、n型の亜酸化銅化合物を含む半導体層がp型光吸収層3とpn接合(混合領域がi型であればpin接合)を形成する。n型層4にGaを含む酸化物を含む半導体層を用いるとき、太陽電池100は、ヘテロ接合型の太陽電池である。n型層4に亜酸化銅化合物を含む半導体層を用いるとき、太陽電池100は、ホモ接合型の太陽電池である。n型層4は、Gaを含む酸化物を含む半導体層、又は、n型の亜酸化銅化合物を含む半導体層の単層でもよいし、多層でもよい。多層のn型層4は、組成の異なるGaを含む酸化物を含む半導体層が複数層含まれる形態やn型の亜酸化銅化合物を含む半導体層組成の異なるGaを含む酸化物を含む半導体層が複数層含まれる形態が挙げられる。ヘテロ接合型の太陽電池であってもホモ接合型の太陽電池であっても空乏層幅が拡大することで理論上は短絡電流密度が向上するため、ヘテロ接合型の太陽電池及びホモ接合型の太陽電池において第1領域3aを設けることによって短絡電流密度及び変換効率が向上する。
【0083】
Gaを主成分とする化合物(酸化物)を含むことが好ましい。n型層4はGaを主成分とする酸化物に他の酸化物が混合していてもよいし、Gaを主成分とする酸化物に他の元素がドープしていてもよいし、他の元素がドープしたGaを主成分とする酸化物と他の酸化物が混合していてもよい。n型層4は、単層又は多層である。n型層4に含まれる金属元素のうち、Gaが40原子%以上であることが好ましく、50原子%以上であることがより好ましい。n型層4に含まれる金属元素は、p型光吸収層3側からn電極5側に傾斜していてもよい。
【0084】
n型層4は、M3で表される元素とGaを含む酸化物を含むことが好ましい。Gaを主成分とする酸化物は、例えば、M3で表される元素とGaを含む酸化物である。n型層4は、H、Sn、Sb、Cu、Ag、Li、Na、K、Cs、Rb、Al、In、Zn、Mg、Si、Ge、N、B、Ti、Hf、Zr及びCaからなる群より選ばれる1種以上の元素であるM3とGaを含む酸化物を含むことが好ましい。n型層4は、H、Sn、Sb、Cu、Ag、Li、Na、K、Cs、Rb、Al、In、Zn、Mg、Si、Ge、N、B、Ti、Hf、Zr及びCaからなる群より選ばれる1種以上の元素であるM3とGaを含む酸化物を90wt%以上100wt%以下含むことが好ましい。n型層4のGaを主成分とする化合物は、平均組成がGahM3iOjで表されるM3とGaを含む酸化物であることが好ましい。h、i及びjは、1.8≦h≦2.1、0≦i≦0.2及び2.9≦j≦3.1を満たすことが好ましい。
【0085】
n型層4の90[wt%]以上100[wt%]以下は、M3とGaを含む酸化物であることが好ましい。n型層4の95[wt%]以上100[wt%]以下は、M3とGaを含む酸化物であることがより好ましい。n型層4の98[wt%]以上100[wt%]以下は、M3とGaを含む酸化物で表される化合物であることがさらにより好ましい。n型層4に含まれるCuは、n型層4を成膜する原料には含まれず、p型光吸収層3に含まれるCuがn型層4に拡散したものである。p型光吸収層3の成膜時に他の元素も用いる場合はこれらの元素もn型層4に拡散する場合がある。
【0086】
n型層4の膜厚は、典型的には、3[nm]以上100[nm]以下である。n型層4の厚さが3nm未満であるとn型層4のカバレッジが悪い場合にリーク電流が発生し、特性を低下させてしまう場合がある。カバレッジが良い場合は上記膜厚に限定されない。n型層4の厚さが50[nm]を超えるとn型層4の過度の高抵抗化による特性低下や、透過率低下による短絡電流低下が起こる場合がある。従って、n型層4の厚さは3[nm]以上20[nm]以下がより好ましく、5[nm]以上20[nm]以下がさらにより好ましい。
【0087】
なお、n型層4の化合物の組成は、特に条件を付けなければn型層4全体の平均組成である。n型層4の組成は、n型層4の厚さをd4とする場合、p型光吸収層3側のn型層4の表面から0.2d4、0.5d4、0.8d4の深さにおける組成の平均値である。n型層4の化合物の元素組成比が傾斜しているといった条件がある場合を除き各深さにおいて、n型層4は、上記及び下記の好適な組成を満たすことが好ましい。なお、n型層4が非常に薄い場合(例えば5[nm]以下)は、p型光吸収層3側のn型層4の表面から0.5dの深さにおける組成をn型層4の全体の組成とみなすことができる。なお、n型層4の組成分析は、p型光吸収層3と同様である。
【0088】
p型光吸収層3が亜酸化銅を含まない形態において、好適なn型半導体層をn型層4として用いることができる。p型光吸収層3が亜酸化銅を含まない形態において、n型の酸化物をn型層4として用いることができる。
【0089】
n電極5は、可視光に対して、光透過性を有するn型層4側の電極である。n電極5は、n型層4上に設けられていることが好ましい。n電極5とp型光吸収層3によってn型層4を挟んでいる。n型層4とn電極5の間には、図示しない中間層を設けることができる。n電極5には、酸化物透明導電膜を用いることが好ましい。n電極5で用いられる酸化物透明導電膜としては、酸化インジウムスズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ボロンドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、チタンドープ酸化インジウム、酸化インジウムガリウム亜鉛及び水素ドープ酸化インジウムからなる群より選ばれる1種以上の半導体導電膜であることが好ましい。酸化スズなどの膜へのドーパントとしては、In、Si、Ge、Ti、Cu、Sb、Nb、Ta、W、Mo、F及びClなどからなる群から選ばれる1種以上であれば特に限定されない。n電極5は、酸化物透明導電膜を低抵抗化するために、メッシュやライン形状の電極を含むことができる。メッシュやライン形状の電極には、Mo、Au、Cu、Ag、Al、TaやWなど特に限定されない。n電極5には、グラフェンも用いることができる。グラフェンは、銀ナノワイヤと積層させることが好ましい。
【0090】
n電極5の厚さは、電子顕微鏡による断面観察や、段差計によって求められ、特に限定はないが、典型的には、50[nm]以上2[μm]以下である。
【0091】
n電極5は、例えばスパッタなどによって成膜されることが好ましい。
【0092】
(第2実施形態)
第2実施形態は、多接合型太陽電池に関する。
図5に第2実施形態の多接合型太陽電池の断面概念図を示す。
図5の多接合型太陽電池200は、光入射側に第1実施形態の太陽電池(第1太陽電池)100と、第2太陽電池201を有する。第2太陽電池201の光吸収層のバンドギャップは、第1実施形態の太陽電池100のp型光吸収層3よりも小さいバンドギャップを有する。なお、実施形態の多接合型太陽電池200は、3以上の太陽電池を接合させた太陽電池も含まれる。
【0093】
第1実施形態の第1太陽電池100のp型光吸収層(亜酸化銅)3のバンドギャップが2.0[eV]以上2.2[eV]以下程度であるため、第2太陽電池201の光吸収層のバンドギャップは、1.0[eV]以上1.6[eV]以下であることが好ましい。第2太陽電池201の光吸収層としては、Inの含有比率が高いCIGS系及びCdTe系からなる群から選ばれる1種以上の化合物半導体層、結晶シリコン及びペロブスカイト型化合物からなる群より選ばれる1種であることが好ましい。
【0094】
(第3実施形態)
第3実施形態は、太陽電池モジュールに関する。
図6に第3実施形態の太陽電池モジュール300の斜視図を示す。
図6の太陽電池モジュール300は、第1太陽電池モジュール301と第2太陽電池モジュール302を積層した太陽電池モジュールである。第1太陽電池モジュール301は、光入射側であり、第1実施形態の太陽電池100を用いている。第2太陽電池モジュール302には、第2太陽電池201を用いることが好ましい。
【0095】
図7に太陽電池モジュール300の断面図を示す。
図7では、第1太陽電池モジュール301の構造を詳細に示し、第2太陽電池モジュール302の構造は示していない。第2太陽電池モジュール302では、用いる太陽電池の光吸収層などに応じて適宜、太陽電池モジュールの構造を選択する。
図6の太陽電池モジュール300は、複数の太陽電池100(太陽電池セル)が横方向に並んで配線304で電気的に直列に接続した破線で囲われたサブモジュール303が複数含まれ、複数のサブモジュール303が電気的に並列もしくは直列に接続している。隣り合うサブモジュール303は、バスバー305で電気的に接続している。
【0096】
隣り合う太陽電池100は、上部側のn電極5と下部側のp電極2が配線304によって接続している。第3実施形態の太陽電池100も第1実施形態の太陽電池100と同様に、基板1、p電極2、p型光吸収層3、n型層4とn電極5を有する。サブモジュール303中の太陽電池100の両端は、バスバー305と接続し、バスバー305が複数のサブモジュール303を電気的に並列もしくは直列に接続し、第2太陽電池モジュール302との出力電圧を調整するように構成されていることが好ましい。なお、第3実施形態に示す太陽電池100の接続形態は一例であり、他の接続形態によって太陽電池モジュールを構成することができる。
【0097】
(第4実施形態)
第4実施形態は太陽光発電システムに関する。第4実施形態の太陽電池モジュールは、第4実施形態の太陽光発電システムにおいて、発電を行う発電機として用いることができる。実施形態の太陽光発電システムは、太陽電池モジュールを用いて発電を行うものであって、具体的には、発電を行う太陽電池モジュールと、発電した電気を電力変換する手段と、発電した電気をためる蓄電手段又は発電した電気を消費する負荷とを有する。
図8に実施形態の太陽光発電システム400の構成図を示す。
図8の太陽光発電システムは、太陽電池モジュール401(300)と、コンバーター402と、蓄電池403と、負荷404とを有する。蓄電池403と負荷404は、どちらか一方を省略しても良い。負荷404は、蓄電池403に蓄えられた電気エネルギーを利用することもできる構成にしてもよい。コンバーター402は、DC-DCコンバーター、DC-ACコンバーター、AC-ACコンバーターなど変圧や直流交流変換などの電力変換を行う回路又は素子を含む装置である。コンバーター402の構成は、発電電圧、蓄電池403や負荷404の構成に応じて好適な構成を採用すればよい。
【0098】
太陽電池モジュール300に含まれる受光したサブモジュール303に含まれる太陽電池セルが発電し、その電気エネルギーは、コンバーター402で変換され、蓄電池403で蓄えられるか、負荷404で消費される。太陽電池モジュール401には、太陽電池モジュール401を常に太陽に向けるための太陽光追尾駆動装置を設けたり、太陽光を集光する集光体を設けたり、発電効率を向上させるための装置等を付加することが好ましい。
【0099】
太陽光発電システム400は、住居、商業施設や工場などの不動産に用いられたり、車両、航空機や電子機器などの動産に用いられたりすることが好ましい。実施形態の変換効率に優れた太陽電池を太陽電池モジュールに用いることで、発電量の増加が期待される。
【0100】
太陽光発電システム400の利用例として車両を示す。
図9に車両500の構成概念図を示す。
図9の車両500は、車体501、太陽電池モジュール502、電力変換装置503、蓄電池504、モーター505とタイヤ(ホイール)506を有する。車体501の上部に設けられた太陽電池モジュール502で発電した電力は、電力変換装置503変換されて、蓄電池504にて充電されるか、モーター505等の負荷で電力が消費される。太陽電池モジュール502又は蓄電池504から供給される電力を用いてモーター505によってタイヤ(ホイール)506を回転させることにより車両500を動かすことができる。太陽電池モジュール502としては、多接合型ではなく、第1実施形態の太陽電池100等を備えた第1太陽電池モジュールだけで構成されていてもよい。透過性のある太陽電池モジュール502を採用する場合は、車体501の上部に加え、車体501の側面に発電する窓として太陽電池モジュール502を使用することも好ましい。
【0101】
太陽光発電システム400の利用例として飛翔体(ドローン)を示す。飛翔体は、太陽電池モジュール401を用いている。本実施形態にかかる飛翔体の構成を、
図10の飛翔体600の模式図を用いて簡単に説明する。飛翔体600は、太陽電池モジュール401、機体骨格601、モーター602、回転翼603と制御ユニット604を有する。太陽電池モジュール401、モーター602、回転翼603と制御ユニット604は、機体骨格601に配置している。制御ユニット604は、太陽電池モジュール401から出力した電力を変換したり、出力調整したりする。モーター602は太陽電池モジュール401から出力された電力を用いて、回転翼603を回転させる。実施形態の太陽電池モジュール401を有する本構成の飛翔体600とすることで、より多くの電力を用いて飛行することができる飛翔体が提供される。
【0102】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0103】
(実施例A:実施例A-1~A-12、比較例A-1~A-6)
ガラス基板1上に、裏面側のp電極2として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20[nm])とATO(Sn:Sb=98:2 150[nm])を堆積する。ATO上に酸素、アルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法によりp型光吸収層3としてCu2O層を成膜する。Cu2O層は2段階の成膜で形成する。まず、基板1の温度が250[℃]で0.5[μm]厚のCu2O膜(第2領域3b)を成膜し、次に、基板1の温度が450[℃]で5.0[μm]厚のCu2O膜(第1領域3a)を成膜する。p型光吸収層3の成膜後に、n型層4として10[nm]のGaO膜を順に成膜する。そして、n電極5として0.1[μm]のAZO(ZnO:Al)を成膜して太陽電池100を得る。
【0104】
実施例A-2~A-12及び比較例A-1~A-6は、第1領域3a及び第2領域3bの厚さが異なること以外は、実施例A-1と同様である。表1に実施例A-1~A-12及び比較例A-1~A-6の第1領域3a及び第2領域3bの厚さ、粒径及びd1>d2を示す。実施例Aにおいて、n型層4側の領域を第1領域3aとし、第2領域3bとする。表1には、各実施例及び比較例の比較対象例を示す。ここで、表1に記載の粒径とは、第1領域3aの平均結晶粒径であり、第2領域3bの平均結晶粒径である。d1>d2を満たしている場合は、Aと評価する。d1>d2を満たしていない場合は、Bと評価する。d1>d2の評価は、実施例A~Cで共通する。
【0105】
【0106】
AM1.5Gの光源を模擬したソーラーシミュレータを用い、その光源下で基準となるSiセルを用いて1sunになるように光量を調節する。測定は大気圧下で測定室内の気温は25℃とする。電圧をスイープし、電流密度(電流をセル面積で割ったもの)を測定する。横軸を電圧、縦軸を電流密度とした際に、横軸と交わる点が開放電圧Vocとなる。測定曲線上において、電圧と電流密度を掛け合わせ、最大になる点をそれぞれVmpp、Jmpp(マキシマムパワーポイント)とすると、FF=(Vmpp*Jmpp)/(Voc*Jsc)からフィルファクターが求まる。またEff.=Voc*Jsc*FFから、変換効率が求まる。
【0107】
表2に実施例Aの結果を示す。表2に実施例の開放電圧(Voc)、電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、変換効率(Eff.)及び波長が700[nm]以上1000[nm]以下の光の透光率を示す。
【0108】
透光率が60%以上100%以下の場合をAと評価し、透光率が50%以上60%未満の場合をBと評価し、透光率が50%未満の場合をCと評価する。評価基準は、実施例A~Cで共通する。
【0109】
Vocは、比較対象例のVoc未満である場合をBと評価し、比較対象例のVoc以上の場合をAと評価する。評価基準は、実施例A~Cで共通する。
【0110】
Jscは、比較対象例のJsc以下の場合をBと評価し、比較対象例のJscより大きい場合をAと評価する。評価基準は、実施例A~Cで共通する。
【0111】
FFは、比較対象例のFF未満である場合をBと評価し、比較対象例のFF以上である場合をAと評価する。評価基準は、実施例A~Cで共通する。
【0112】
Effは、比較対象例のEff以下である場合をBと評価し、比較対象例のEffより大きい場合をAと評価する。評価基準は、実施例A~Cで共通する。
【0113】
【0114】
実施例A-1から実施例A-12において、第1平均結晶粒径d1は、第2平均結晶粒径d2より大きい。実施例Aにおいては、第2領域3bのCu2O層で結晶粒径が小さい膜を作製すると、光路長が長くなり、第2領域3bを含む全体のCu2O層での光吸収量が増え、電流密度(Jsc)が上がり、変換効率(Eff.)が上がる。
【0115】
(実施例B:実施例B-1~B-12、比較例B-1~B-10)
ガラス基板1上に、裏面側のp電極2として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20[nm])とATO(Sn:Sb=98:2 150[nm])を堆積する。ATO上に酸素、アルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法によりp型光吸収層3としてCu2O層を成膜する。Cu2O層は2段階の成膜で形成する。まず、基板1の温度が250[℃]で0.5[μm]厚のCu2O膜(第2領域3b)を成膜し、次に、基板1の温度が500[℃]で5.0[μm]厚のCu2O膜(第1領域3a)を成膜する。p型光吸収層3の成膜後に、n型層4として10[nm]のGaO、15[nm]のZTOを順に成膜する。そして、n電極5として0.1[μm]のAZOを成膜して太陽電池100を得る。
【0116】
第2領域3bの厚さとp型光吸収層3の厚さを変えて実施例B-2~B-12及び比較例B-1~B-10の太陽電池100を作製する。表3に、各実施例及び比較例の比較対象例を示す。
【0117】
表3に実施例及び比較例の第2領域3bの厚さ、p型光吸収層3の厚さ、[第2領域3bの厚さ]/[p型光吸収層3の厚さ]及びd1>d2をまとめて示す。表3の厚さの数値は、比較例B-4を除き有効数値1桁(四捨五入)で示している。表3には、各実施例及び比較例の比較対象例を示している。比較例B-1及び比較例B-5からB-10では第2領域3bが存在しないため、d1>d2はハイフンで示している。
【0118】
【0119】
表4に実施例Bの結果を示す。表4に実施例の開放電圧(Voc)、電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、変換効率(Eff.)、波長が700[nm]以上1000[nm]以下の光の透光率を示す。
【0120】
また、第2領域3bの粒子の結晶配向性がランダムであるかを確認する。第2領域3bの粒子の結晶配向性がランダムである場合をAと評価し、ランダムではない場合をBと評価する。評価基準は、実施例B~Cで共通する。
【0121】
また、第2領域3bの空隙の有無を評価する。第2領域3bに空隙が存在する場合をAと評価し、空隙が存在しない場合をBと評価する。評価基準は、実施例B~Cで共通する。第2領域3bが存在しない比較例B-1及び比較例B-5からB-10では、p型光吸収層3とp電極2との界面からn型層4方向に200nmの位置までの領域の結晶配向性と空隙を評価する。
【0122】
【0123】
低い基板温度で作製し、第2領域3bのCu2O層内に空隙を意図的に作製すると、光の反射や屈折が起こりやすくなり、光の光路長が長くなり、第2領域3b全体のCu2O層での光吸収量が増え、電流密度(Jsc)が上がり、変換効率(Eff.)が上がる。
【0124】
表5に実施例B-2~B-6、比較例B-1~B-4の第1平均結晶粒径d1、第2平均結晶粒径d2、第2領域3bの結晶粒径の最大値を示す。
【0125】
【0126】
スパッタ成膜温度だけでなく、第2領域3bのCu2O層の膜厚を調節することにより、平均結晶粒径サイズを変更する事ができる。第2領域3bの平均粒径サイズを調節する事により、長い光路長を確保し、第2領域3bを含む全体のCu2O層での光吸収量が増やし、電流密度(Jsc)が改善させ、変換効率(Eff.)が向上する事が可能となる。なお、比較例B-1には、第2領域3bが確認されていないため、表5の比較例B-1の第2平均結晶粒径d2及び第2領域3bの結晶粒径の最大値とd1/d2はいずれもハイフンで示している。
【0127】
また、実施例の第1領域3aの断面に占める空隙Gの面積比率R1は、上記の好適な範囲を満たしている。また、実施例の第2領域3bの断面に占める空隙Gの面積比率R2は、上記の好適な範囲を満たしている。また、実施例のR1/R2は、上記の好適な範囲を満たしている。
【0128】
次に、実施例B-2~B-6、比較例B-1~B-4の第2領域3bの粒度分布を調べた結果を示す。表6に0.005[μm]以上0.70[μm]以下の粒度分布に含まれるピークの数(ピークの数 0.10-0.70)、0.005[μm]以上0.30[μm]未満の粒度分布に含まれるピークの数(ピークの数 0.10-0.30)、0.30[μm]以上0.70[μm]以下の粒度分布に含まれるピークの数(ピークの数 0.30-0.70)、第1ピークP1の存在比率及び第2ピークP2の存在比率を示す。
【0129】
【0130】
第2領域3bのCu2O層の膜厚を変えることにより、平均結晶粒径サイズの分布も調節する事ができる。平均粒径サイズを調節する事により、長い光路長を確保し、第2領域3b全体のCu2O層での光吸収量が増やし、電流密度(Jsc)が改善させ、変換効率(Eff.)が向上する事が可能となる。比較例のCu2O層には、第2領域3bのピークが確認されない。そのため、比較例はピークとピークの谷が確認されないが、実施例ではピークも確認される。また、実施例の第2領域3bには、小さな空隙と大きな空隙の両方が確認される。また、実施例Cの実施例はd1>d2を満たしている。
【0131】
(実施例C:実施例C-1~25)
ガラス基板1上に、裏面側のp電極2として、ガラスと接する側に上面にITO(In:Sn=80:20、膜厚20[nm])とATO(Sn:Sb=98:2 150[nm])を堆積する。ATO上に酸素、アルゴンガス雰囲気中でスパッタリング法によりp型光吸収層3としてCu2O層を成膜する。Cu2O層は2段階の成膜で形成する。まず、基板1の温度が250[℃]で0.5[μm]厚でNをドープしたCu2O膜(第2領域3b)を成膜し、次に、基板1の温度が480[℃]で5.0[μm]厚のノンドープのCu2O膜(第1領域3a)を成膜する。p型光吸収層3の成膜後に、n型層4として10[nm]のGaO膜、15[nm]のZTO膜を順に成膜した。そして、n電極5として0.1[μm]のAZOを成膜して太陽電池100を得る。
【0132】
第2領域3bの厚さやドーパントの元素を変えて実施例C-2~C-25の太陽電池100を作製する。表7に、各実施例及び比較例の第1領域3aの厚さ[nm]、第2領域3bの厚さ[nm]、ドーパント、d1>d2及び比較対象例を示す。
【0133】
【0134】
表8に実施例C-1~C-25の開放電圧(Voc)、電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、変換効率(Eff.)、波長が700[nm]以上1000[nm]以下の光の透光率、第2領域3bの結晶性がランダムであるか否か、及び、第2領域3b中の空隙の有無を示す。
【0135】
【0136】
低い基板温度で、不純物を添加しながらスパッタ成膜すると、第2領域3bのCu2O層でより結晶粒径が小さくなり、また空隙が出来やすくなる。それにより光路長が長くなり、第2領域3b全体のCu2O層での光吸収量が増え、電流密度(Jsc)が上がり、変換効率(Eff.)が上がる。
【0137】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態そのままに限定解釈されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、変形例の様に異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
明細書中一部の元素は、元素記号のみで示している。
【0138】
以下、実施形態の技術案を付記する。
技術案1
p電極と、
n電極と、
前記p電極上に設けられ、第1領域と第2領域を含んだp型光吸収層と、
前記p型光吸収層と前記n電極の間に設けられたn型層と、を含み、
前記第1領域は、前記p型光吸収層の前記n型層側に存在し、
前記第2領域は、前記p型光吸収層の前記p電極側に存在すし、
前記第1領域の平均結晶粒径である第1平均結晶粒径は、前記第2領域の平均結晶粒径である第2平均化粧粒径よりも大きい太陽電池。
技術案2
前記p型光吸収層は、亜酸化銅又は亜酸化銅の複合酸化物を主体とする技術案1に記載の太陽電池。
技術案3
前記p型光吸収層の厚さは2000[nm]以上15000[nm]以下であり、
前記第2領域の厚さは70[nm]以上1000[nm]以下である技術案1又は2に記載の太陽電池。
技術案4
前記第2領域の厚さは、70[nm]以上1000[nm]以下であり、
前記第2領域の厚さは、前記p型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満である技術案1ないし3のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案5
前記第2領域の厚さは、150[nm]以上600[nm]以下であり、
前記第2領域の厚さは、前記p型光吸収層3の厚さの3[%]以上15[%]未満である技術案1ないし4のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案6
前記第1平均結晶粒径は、前記p型光吸収層の厚さ80[%]以上100[%]未満である技術案1ないし5のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案7
前記第2平均結晶粒径は、0.005[μm]以上0.60[μm]以下である技術案1ないし6のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案8
前記第2領域の結晶粒径の最大値は、0.05[μm]以上2.00[μm]以下である技術案1ないし7のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案9
前記第1平均結晶粒径に対する前記第2平均結晶粒径([前記第2領域の平均結晶粒径]/[前記第1領域の平均結晶粒径])は、0.005以上0.300以下である技術案1ないし8のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案10
前記第2領域に空隙を含み、
前記空隙の断面平均直径は、0.1[μm]以上0.60[μm]以下である技術案1ないし9のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案11
前記第2領域の断面に占める空隙の面積比率([前記第2領域の空隙の断面積の合計]/[前記第2領域の断面積])は、0.01以上0.3以下である技術案1ないし10のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案12
前記第1領域の断面に占める空隙の面積比率([前記第1領域の空隙の断面積の合計]/[前記第1領域の断面積])は、0以上0.1以下である技術案1ないし11のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案13
前記第1領域に空隙が含まれ、
前記第2領域に空隙が含まれ、
前記第2領域の断面に占める空隙の面積比率に対する前記第1領域の断面に占める空隙の面積比率は、0.001以上0.1以下である技術案1ないし12のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案14
前記第2領域の0.005[μm]以上0.70[μm]以下の範囲の粒度分布に2つのピークが含まれる技術案1ないし13のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案15
前記第2領域の0.005[μm]以上0.70[μm]以下の範囲の粒度分布に2つのピークが含まれ、
前記粒度分布の0.005[μm]以上0.30[μm]未満の範囲に第1ピークを含み、
前記粒度分布の0.30[μm]以上0.70[μm]以下の範囲に第2ピークを含む技術案1ないし14のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案16
前記第1ピークに含まれる粒子の比率又は前記第2ピークに含まれる粒子の比率が10[%]以上80[%]以下である技術案15に記載の太陽電池。
技術案17
前記第2領域の粒子の結晶配向性は、ランダムである技術案1ないし16のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案18
前記2領域には、断面直径が0.01[μm]以上0.1[μm]未満の小さな空隙と断面直径が0.1[μm]以上0.6[μm]以下の大きな空隙が含まれる技術案1ないし17のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案19
前記第2領域は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ni、Pd、Ag、Zn、Cd、Al、Ga、In、C、Si、Sn、N、P、Sb及びBiからなる群より選ばれる1種以上を含む技術案1ないし18のいずれか1案に記載の太陽電池。
技術案20
技術案1ないし19のいずれか1案に記載の太陽電池を用いた多接合型太陽電池。技術案21
技術案1ないし19のいずれか1案に記載の太陽電池を用いた太陽電池モジュール。
技術案22
技術案21に記載の太陽電池モジュールを用いて発電する太陽光発電システム。
技術案23
p電極と、
n電極と、
前記p電極上に設けられ、大粒径の第1領域と小粒径の第2領域を含んだp型光吸収層と、
前記p型光吸収層と前記n電極の間に設けられたn型層と、を含み、
前記第1領域は、前記p型光吸収層の前記n型層側に存在し、
前記第2領域は、前記p型光吸収層の前記p電極側に存在する太陽電池。
【符号の説明】
【0139】
1 :基板
2 :p電極
3 :p型光吸収層
3a :第1領域
3b :第2領域
4 :n型層
5 :n電極
100 :太陽電池
200 :多接合型太陽電池
201 :第2太陽電池
300 :太陽電池モジュール
301 :第1太陽電池モジュール
302 :第2太陽電池モジュール
303 :サブモジュール
304 :配線
305 :バスバー
400 :太陽光発電システム
401 :太陽電池モジュール
402 :コンバーター
403 :蓄電池
404 :負荷
500 :車両
501 :車体
502 :太陽電池モジュール
503 :電力変換装置
504 :蓄電池
505 :モーター
506 :タイヤ(ホイール)
600 :飛翔体
601 :機体骨格
602 :モーター
603 :回転翼
604 :制御ユニット