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  • 特開-止水パッキン 図1
  • 特開-止水パッキン 図2
  • 特開-止水パッキン 図3
  • 特開-止水パッキン 図4
  • 特開-止水パッキン 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135415
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】止水パッキン
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/10 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F16J15/10 P
F16J15/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046082
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】501466318
【氏名又は名称】株式会社赤松工業
(71)【出願人】
【識別番号】502345290
【氏名又は名称】赤松産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】赤松 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】赤松 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】太田 達也
【テーマコード(参考)】
3J040
【Fターム(参考)】
3J040AA12
3J040EA16
3J040FA05
3J040FA20
3J040HA23
(57)【要約】
【課題】止水効果が高く、かつ幅広い部材に取り付け可能な止水パッキンを提供する。
【解決手段】平板状の止水パッキン本体2及びチューブ部3で構成され、チューブ部3は、平板状の止水パッキン本体2上に熱溶着され、一体化されている。チューブ部3の両端部は開口部7a及び開口部7bが設けられている。止水パッキン本体2には、ボルト挿通用の貫通孔4が複数設けられている。貫通孔4は、止水パッキン本体2の短手方向において略中央に形成される。チューブ部3と貫通孔4の位置関係については、止水パッキン1がパネル部材に取り付けられた際に、押し潰されたチューブ部3が、貫通孔4に干渉しない位置に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル組立式タンクのパネル部材の接続に用いられるパッキンであって、
ボルト挿通用の複数の貫通孔が形成された平板状のパッキン本体の、表面又は裏面の少なくとも一方の長手方向に、略円筒形状のチューブ部が、一体化され配設されたことを特徴とする止水パッキン。
【請求項2】
前記チューブ部は、前記パッキン本体の短手方向において、前記タンクの流体側のみに設けられることを特徴とする請求項1に記載の止水パッキン。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記パッキン本体の短手方向の略中央に設けられ、
前記パッキン本体上において、前記チューブ部は、上下から圧縮された状態で、前記貫通孔に干渉しない位置に配設されたことを特徴とする請求項1に記載の止水パッキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル組立式のタンクにおいて、パネルの接続に用いられるパッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、貯水槽などの大型のタンクの製造について、複数のパネル部材を組み立てることで大型のタンクを作製することが多く行われている。パネル組立において、パネル部材の接続は溶接などで接続されることから、パネル部材とパネル部材の接続部から水漏れしやすく、かかる漏水を防止する必要がある。
【0003】
そこで、パネル組立式タンク用パッキンとして、平面部と該平面部の長手方向の両側に突出する突出部からなり、該突出部は長手方向の端部に向かって両面に突条部及び該突条部の両側に傾斜面を有するパッキンが知られている(特許文献1を参照)。しかしながら、特許文献1のパッキンでは、突出部が、平面部と該平面部の長手方向の両側に設けられているため、ボルトで固定した際に固定部の弾性応力が過度にかかることで螺子が緩みやすくなり、却って漏水が発生しやすくなるという問題がある。
【0004】
また、接合用フランジ部間に、ゴム又は樹脂を素材とする弾性止水材が設けられ、かつ、接合用フランジ部間及び貯水槽の内側に、シリコーン樹脂からなる止水材が充填される技術が知られている(特許文献2を参照)。しかしながら、特許文献2の止水材は、止水材の厚み変化させるものではないため、止水効果が十分ではないという問題がある。
【0005】
また、横断面形状が中空状で弾性ゴム製の長尺状のシール体がパネル縁部の長手方向に沿って設けられる技術が知られている(特許文献3を参照)。しかしながら、特許文献3のシール体を用いるためには、取付対象物をシール体に合わせた形状とする必要があり、平板状のフランジを有するパネル部材などには利用できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-75005号公報
【特許文献2】特開2020-203709号公報
【特許文献3】特開2003-092921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かかる状況に鑑みて、本発明は、止水効果が高く、かつ幅広い部材に取り付け可能な止水パッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の止水パッキンは、パネル組立式タンクのパネル部材の接続に用いられるパッキンであって、ボルト挿通用の複数の貫通孔が形成された平板状のパッキン本体の、表面又は裏面の少なくとも一方の長手方向に、略円筒形状のチューブ部が、一体化され配設される。
平板状のパッキン本体を用いることで、幅広い部材に取り付けることができる。また、パッキン本体にチューブ部が配設されることにより、パネル部材のフランジとフランジを接続した際に、チューブ部がパッキン本体とともに圧縮されるため、当該圧縮箇所の弾性応力が高まり、止水効果が向上する。
チューブ部は、パッキン本体の表面又は裏面の一方のみに設けられてもよいし、双方に設けられてもよい。チューブ部が、パッキン本体の双方に設けられる場合は、パッキン本体の短手方向において、略同一の位置に設けられることが好ましい。これにより、圧縮箇所の弾性応力がより高まり、止水効果が向上する。また、チューブ部は、パッキン本体の片方の面に複数設けられてもよい。
【0009】
本発明の止水パッキンにおいて、チューブ部は、パッキン本体の短手方向において、タンクの流体側のみに設けられることが好ましい。これにより、対向する側にはチューブ部が設けられないこととなり、ボルトとナットを締結した際に、不必要な弾性応力が生じず、緩みにくい構造とすることができる。
【0010】
本発明の止水パッキンにおいて、貫通孔は、パッキン本体の短手方向の略中央に設けられ、パッキン本体上において、チューブ部は、上下から圧縮された状態で、貫通孔に干渉しない位置に配設されたことが好ましい。貫通孔が、パッキン本体の短手方向の略中央に設けられることにより、幅広い部材に取り付けが可能となる。また、チューブ部が、貫通孔に干渉しない位置に配設されることにより、止水効果が十分に得られる。
【0011】
本発明の止水パッキンにおいて、チューブ部は、長手方向の両端部に閉止部が設けられたことでもよい。閉止部が設けられることにより、チューブ部内の空気が密封され、ボルトとナットを締結した際に空気による反発力が得られ、止水効果が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の止水パッキンによれば、止水効果が高く、かつ幅広い部材に取り付け可能であるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1の止水パッキンの外観斜視図
図2】実施例1の止水パッキンの正面図
図3】実施例1の止水パッキンの説明図
図4】実施例1の止水パッキンの取付イメージ図
図5】実施例2の止水パッキンの説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例0015】
図1は、実施例1の止水パッキンの外観斜視図を示している。図1に示す止水パッキン1は、パネル組立式のタンクにおいて、パネル部材を接続するために用いられるパッキンである。図1に示すように、止水パッキン1は、平板状の止水パッキン本体2及びチューブ部3で構成され、チューブ部3は、平板状の止水パッキン本体2上に熱溶着され、一体化されている。チューブ部3の両端部は開口部(7a,7b)が設けられている。止水パッキン本体2には、ボルト挿通用の貫通孔4が複数設けられている。
【0016】
図2は、実施例1の止水パッキンの正面図を示している。図2に示すように、貫通孔4は、止水パッキン本体2の短手方向において幅Wを設けて、略中央に形成される。チューブ部3と貫通孔4の位置関係については、止水パッキン1がパネル部材に取り付けられた際に、圧縮されたチューブ部3が、貫通孔4に干渉しない位置に設けられる。
【0017】
図3は、実施例1の止水パッキンの説明図を示している。図3に示すように、止水パッキン1は、パネル部材(51,52)を接続するために用いることができる。フランジ(51a,52a)には、特殊なパッキンを取り付けるための凹凸部は設けられない平板状を呈している。
取付方法としては、パネル部材51のフランジ51aと、パネル部材52のフランジ52aの間に、止水パッキン1を配置して、六角ボルト61を、フランジ51aのボルト孔51b、貫通孔4、フランジ52aのボルト孔52b、ワッシャ63の順に挿通し、ナット62を螺合して締結する。
【0018】
図4は、実施例1の止水パッキンの取付イメージ図を示している。図4に示すように、止水パッキン1は、パネル部材(51,52)により挟着されているが、止水パッキン本体2にはチューブ部3が設けられているため、部位Pの弾性応力が高まり、止水効果が向上する。止水パッキン1は、フランジ(51a,52a)に特殊なパッキンを取り付けるための凹凸部が無くても利用できるため、幅広いパネル部材に適用可能である。
また、止水パッキン本体2の右方にはチューブ部3が設けられているが、左方にはチューブ部3が設けられていないため、不必要な弾性応力が発生せず、六角ボルト61からナット62が緩むことを防止できる。
【実施例0019】
図5は、実施例2の止水パッキンの説明図であり、(1)は両面に1つずつチューブ部が設けられた場合、(2)は片面に2つチューブ部が設けられた場合、(3)は両面に2つずつチューブ部が設けられた場合を示している。
図5(1)に示す止水パッキン11のように、平板状の止水パッキン本体2の上下両面に1つずつチューブ部(3a,3b)を設けることで、止水効果をより向上できる。また、図5(2)に示す止水パッキン12のように、平板状の止水パッキン本体2の上面に2つのチューブ部(3c,3d)を並べて設けてもよいし、図5(3)に示す止水パッキン13のように、平板状の止水パッキン本体2の上下両面に2つずつチューブ部(3e~3h)を設けてもよい。
【0020】
図5(1)又は(3)に示すように、チューブ部(3a,3b,3e~3h)が、パッキン本体の双方に設けられる場合は、図5(1)に示すように、パッキン本体の短手方向において、略同一の位置に設けられる。これにより、圧縮箇所の弾性応力がより高まり、止水効果が向上する。
チューブ部の配置構造については、取付対象となるフランジの構造や、止水のニーズに応じて、幅広い構成を採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、止水用のパッキンとして有用である。
【符号の説明】
【0022】
1,11~13 止水パッキン
2 止水パッキン本体
3,3a~3h チューブ部
4 貫通孔
7a,7b 開口部
51,52 パネル部材
51a,52a フランジ
51b,52b ボルト孔
61 六角ボルト
62 ナット
63 ワッシャ
P 部位
W 幅
図1
図2
図3
図4
図5