IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝メモリ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135418
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   H10B 12/00 20230101AFI20240927BHJP
   H10B 63/10 20230101ALI20240927BHJP
   H10B 53/20 20230101ALI20240927BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B12/00 681
H10B12/00 681B
H10B12/00 671Z
H10B63/10
H10B12/00 681A
H10B12/00 621A
H10B53/20
H10N70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046086
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 政春
(72)【発明者】
【氏名】岡嶋 睦
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083AD02
5F083AD22
5F083FR02
5F083GA10
5F083GA13
5F083GA27
5F083JA02
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA43
5F083JA44
5F083JA60
5F083KA03
5F083KA06
5F083KA19
5F083LA05
5F083LA10
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA19
5F083LA21
5F083MA06
5F083MA20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、基板と、積層方向に積層された複数のメモリ層MLと、積層方向に延伸する第1ビア配線104、第2ビア配線204及び第3ビア配線304と、を備える。メモリ層は、メモリ部130と、メモリ部と第1ビア配線に電気的に接続された第1半導体層及び第1半導体層に対向する第1ゲート電極を有するトランジスタ構造110と、第2ビア配線に電気的に接続された第2半導体層及び第2半導体層に対向する第2ゲート電極を有するトランジスタ構造210と、第3ビア配線に電気的に接続された第3ゲート電極及び第3ゲート電極に対向する第3半導体層を有するトランジスタ構造310と、第1ゲート電極及び第2半導体層に電気的に接続された第1配線120(221)と、第2ゲート電極及び第3半導体層に電気的に接続された第2配線222と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に並ぶ第1領域、第2領域及び第3領域を備える基板と、
前記基板の表面と交差する積層方向に積層された複数のメモリ層と、
前記第1領域に設けられ、前記積層方向に延伸する第1ビア配線と、
前記第2領域に設けられ、前記積層方向に延伸する第2ビア配線と、
前記第3領域に設けられ、前記積層方向に延伸する第3ビア配線と
を備え、
前記複数のメモリ層は、それぞれ、
前記第1領域に設けられたメモリ部と、
前記第1領域に設けられ、前記メモリ部及び前記第1ビア配線に電気的に接続された第1半導体層と、
前記第1半導体層に対向する第1ゲート電極と、
前記第2領域に設けられ、前記第2ビア配線に電気的に接続された第2半導体層と、
前記第2半導体層に対向する第2ゲート電極と、
前記第3領域に設けられ、前記第3ビア配線に電気的に接続された第3ゲート電極と、
前記第3ゲート電極に対向する第3半導体層と、
前記第1方向に延伸し、前記第1ゲート電極及び前記第2半導体層に電気的に接続された第1配線と、
前記第1方向に延伸し、前記第2ゲート電極及び前記第3半導体層に電気的に接続された第2配線と
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記メモリ部は、キャパシタである
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1ゲート電極は、前記第1半導体層の、前記積層方向の一方側の面及び他方側の面の一方又は双方に対向し、
前記メモリ部は、前記第1半導体層に対して、前記積層方向及び前記第1方向と交差する第2方向の一方側に設けられ、
前記第1配線は、前記第1半導体層に対して、前記第2方向の他方側に設けられている
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第1半導体層の一部を含む断面において、前記第1半導体層の一部の面は、前記第1ビア配線の中心点を中心とする円に沿った曲面である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第1半導体層の一部を含む断面において、前記第1半導体層は、前記第1ビア配線を囲む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1半導体層は、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第2ゲート電極は、前記第2半導体層の、前記積層方向の一方側の面及び他方側の面の一方又は双方に対向する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第2半導体層の一部を含む断面において、前記第2半導体層の一部の面は、前記第2ビア配線の中心点を中心とする円に沿った曲面である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第2領域に設けられ、前記積層方向に延伸する第4ビア配線を備え、
前記第2半導体層は、前記第4ビア配線に電気的に接続され、
前記断面において、前記第2半導体層の他の一部の面は、前記第4ビア配線の中心点を中心とする円に沿った曲面である
請求項8記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第2半導体層の一部を含む断面において、前記第2半導体層は、前記第2ビア配線を囲む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第2領域に設けられ、前記積層方向に延伸する第4ビア配線を備え、
前記第2半導体層は、前記第4ビア配線に電気的に接続され、
前記断面において、前記第2半導体層は、前記第4ビア配線を囲む
請求項10記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第2半導体層は、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第3半導体層は、前記第3ゲート電極の、前記積層方向の一方側の面及び他方側の面の一方又は双方に対向する
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第3ゲート電極の一部を含む断面において、前記第3ゲート電極の一部の面は、前記第3ビア配線の中心点を中心とする円に沿った曲面である
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第3ゲート電極の一部を含む断面において、前記第3ゲート電極は、前記第3ビア配線を囲む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第3半導体層は、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記積層方向と垂直であり、前記複数のメモリ層のうちの一つに対応する前記第2半導体層及び前記第3ゲート電極の一部を含む断面において、前記第2半導体層の面積は、前記第3ゲート電極の面積よりも大きい
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項18】
読出動作に際して、前記第3ビア配線の電圧を立ち上げた後、前記第2ビア配線の電圧を立ち上げる
請求項1記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置の高集積化に伴い、半導体記憶装置の三次元化に関する検討が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9,514,792号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
好適に動作する半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、第1方向に並ぶ第1領域、第2領域及び第3領域を備える基板と、基板の表面と交差する積層方向に積層された複数のメモリ層と、第1領域に設けられ、積層方向に延伸する第1ビア配線と、第2領域に設けられ、積層方向に延伸する第2ビア配線と、第3領域に設けられ、積層方向に延伸する第3ビア配線と、を備える。複数のメモリ層は、それぞれ、第1領域に設けられたメモリ部と、第1領域に設けられ、メモリ部及び第1ビア配線に電気的に接続された第1半導体層と、第1半導体層に対向する第1ゲート電極と、第2領域に設けられ、第2ビア配線に電気的に接続された第2半導体層と、第2半導体層に対向する第2ゲート電極と、第3領域に設けられ、第3ビア配線に電気的に接続された第3ゲート電極と、第3ゲート電極に対向する第3半導体層と、第1方向に延伸し、第1ゲート電極層及び第2半導体層に電気的に接続された第1配線と、第1方向に延伸し、第2ゲート電極及び第3半導体層に電気的に接続された第2配線と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。
図2】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な回路図である。
図3】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な回路図である。
図4】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な回路図である。
図5】同半導体記憶装置の読出動作について説明するための模式的な回路図である。
図6】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。
図7】同半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的なXY断面図である。
図8】メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図である。
図9図8に示す構造をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を示している。
図10】メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図である。
図11図10に示す構造をB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を示している。
図12】メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図である。
図13図12に示す構造をC-C´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を示している。
図14】第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図15】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図16】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図17】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図18】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図19】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図20】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図21】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図22】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図23】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図24】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図25】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図26】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図27】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図28】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図29】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図30】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図31】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図32】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図33】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図34】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図35】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図36】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図37】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図38】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図39】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図40】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図41】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図42】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図43】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図44】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図45】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図46】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図47】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図48】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図49】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図50】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図51】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図52】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図53】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図54】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図55】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図56】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図57】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図58】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図59】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図60】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図61】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図62】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図63】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図64】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図65】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図66】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図67】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図68】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図69】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図70】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図71】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図72】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図73】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図74】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図75】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図76】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図77】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図78】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図79】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図80】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図81】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図82】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図83】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図84】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図85】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図86】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図87】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図88】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図89】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図90】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図91】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図92】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図93】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図94】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図95】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図96】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
図97】同製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に電気的に接続されていることを意味する場合がある。
【0011】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0012】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0013】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0014】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0015】
また、本明細書において、ある構成の「中心位置」と言った場合、例えば、この構成の外接円の中心の位置を意味しても良いし、この構成の画像上の重心を意味しても良い。
【0016】
[第1実施形態]
[回路構成]
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な回路図である。図1に示す様に、本実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリセルアレイMCAを備える。メモリセルアレイMCAは、複数のメモリ層ML0~ML3と、これら複数のメモリ層MLに接続された複数のビット線BLと、複数のメモリ層MLに接続されたプレート線PLと、を備える。
【0017】
メモリ層ML0~ML3は、それぞれ、複数のワード線WL0~WL2と、これら複数のワード線WL0~WL2に接続された複数のメモリセルMCと、を備える。メモリセルMCは、それぞれ、トランジスタTrCと、キャパシタCpCと、を備える。トランジスタTrCは、例えば、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。トランジスタTrCのソース電極は、ビット線BLに接続されている。トランジスタTrCのドレイン電極は、キャパシタCpCに接続されている。トランジスタTrCのゲート電極は、ワード線WL0~WL2のいずれかに接続されている。キャパシタCpCの一方の電極は、トランジスタTrCのドレイン電極に接続されている。キャパシタCpCの他方の電極は、プレート線PLに接続されている。
【0018】
尚、各ビット線BLは、複数のメモリ層ML0~ML3に対応する複数のメモリセルMCに接続されている。
【0019】
また、メモリ層ML0~ML3は、それぞれ、複数のワード線WL0~WL2に対応して設けられた複数のトランジスタTrL0a,TrL0b,TrL1a,TrL1b,TrL2a,TrL2b,TrL3a,TrL3b(以下、「トランジスタTrL」と呼ぶ場合がある。)を備える。トランジスタTrLは、例えば、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。トランジスタTrLのドレイン電極は、ワード線WL0~WL2のいずれかに接続されている。トランジスタTrLのソース電極は、それぞれ、ロウ選択線Rx0a,Rx0b,Rx1a,Rx1b,Rx2a,Rx2b(以下、「ロウ選択線Rx」と呼ぶ場合がある。)に接続されている。トランジスタTrLのゲート電極は、それぞれ、後述するトランジスタTrBを介して、メインワード線MWL0a,MWL0b,MWL1a,MWL1b,MWL2a,MWL2b,MWL3a,MWL3b(以下、「メインワード線MWL」と呼ぶ場合がある。または、「層選択信号線」と呼ぶ場合もある)に接続されている。
【0020】
尚、ロウ選択線Rxは、複数のメモリ層ML0~ML3に対応する複数のトランジスタTrLに接続されている。また、メインワード線MWL0a,MWL1a,MWL2a,MWL3aは、それぞれ、メモリ層ML0~ML3に対応する全てのトランジスタTrL0a,TrL1a,TrL2a,TrL3aに共通に接続されている。同様に、メインワード線MWL0b,MWL1b,MWL2b,MWL3bは、それぞれ、メモリ層ML0~ML3に対応する全てのトランジスタTrL0b,TrL1b,TrL2b,TrL3bに共通に接続されている。
【0021】
また、メモリ層ML0~ML3は、それぞれ、複数のワード線WL0~WL2に対応して設けられた複数のトランジスタTrB0a,TrB0b,TrB1a,TrB1b,TrB2a,TrB2b,TrB3a,TrB3b(以下、「トランジスタTrB」と呼ぶ場合がある。)を備える。トランジスタTrBは、例えば、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。トランジスタTrBのドレイン電極は、トランジスタTrLのゲート電極に接続されている。トランジスタTrBのソース電極は、それぞれ、メインワード線MWLに接続されている。トランジスタTrBのゲート電極は、配線L1に接続されている。
【0022】
尚、配線L1は、複数のメモリ層ML0~ML3に対応する複数のトランジスタTrBに接続されている。また、メインワード線MWL0a,MWL1a,MWL2a,MWL3aは、それぞれ、メモリ層ML0~ML3に対応する全てのトランジスタTrB0a,TrB1a,TrB2a,TrB3aに共通に接続されている。同様に、メインワード線MWL0b,MWL1b,MWL2b,MWL3bは、それぞれ、メモリ層ML0~ML3に対応する全てのトランジスタTrB0b,TrB1b,TrB2b,TrB3bに共通に接続されている。
【0023】
[読出動作]
図2図5は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作におけるメモリセルアレイMCAの動作について説明するための模式的な回路図である。図2図5では、図1のワード線WL2及びこれに対応する構成を省略しているものの、基本的には、図1と同様の構成を図示している。
【0024】
図2には、読出動作の実行前に、メモリセルアレイMCA中の各配線に供給される電圧を示している。
【0025】
図2の例では、複数の配線L1に、電圧VONを供給している。電圧VONは、例えば、トランジスタTrC,TrL,TrBのしきい値電圧よりも大きい。従って、複数のトランジスタTrBは、ON状態となっている。
【0026】
また、図2の例では、メインワード線MWL0a,MWL1a,MWL2a,MWL3aに、電圧VOFFを供給している。電圧VOFFは、例えば、トランジスタTrC,TrL,TrBのしきい値電圧よりも小さい。従って、複数のトランジスタTrL0a,TrL1a,TrL2a,TrL3aは、OFF状態となっている。
【0027】
また、図2の例では、メインワード線MWL0b,MWL1b,MWL2b,MWL3bに、電圧VONを供給している。これにより、複数のトランジスタTrL0b,TrL1b,TrL2b,TrL3bは、ON状態となっている。
【0028】
また、図2の例では、ロウ選択線Rx0b,Rx1bに、電圧VOFFを供給している。これにより、メモリセルアレイMCA内の複数のワード線WLには、電圧VOFFが供給されている。また、複数のトランジスタTrCは、OFF状態となっている。
【0029】
尚、図2の例では、ロウ選択線Rx0a,Rx1aに、電圧VOFFを供給している。しかしながら、ロウ選択線Rx0a,Rx1aは、ワード線WLからは電気的に切り離されている。
【0030】
本実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作に際しては、例えば図3及び図4に示す様に、複数のメモリ層ML0~ML3のうちの一つを選択する。
【0031】
メモリ層ML0~ML3の選択に際しては、例えば、複数のメインワード線MWL0b,MWL1b,MWL2b,MWL3bのうち、読出動作の対象となるメモリ層ML0に対応するメインワード線MWL0bに電圧VOFFを供給する。これにより、トランジスタTrL0bがOFF状態となる。また、メモリ層ML0内の複数のワード線WLが、ロウ選択線Rx0b,Rx1bから、電気的に切り離される。
【0032】
また、メモリ層ML0~ML3の選択に際しては、例えば、複数のメインワード線MWL0a,MWL1a,MWL2a,MWL3aのうち、読出動作の対象となるメモリ層ML0に対応するメインワード線MWL0aに、トランジスタTrLのしきい値電圧よりも大きい電圧を供給する。これにより、トランジスタTrL0aがON状態となる。また、メモリ層ML0内の複数のワード線WLが、ロウ選択線Rx0b,Rx1bと、電気的に導通する。
【0033】
ここで、例えば図3に示す状態では、メインワード線MWL0aの電圧が、電圧Vに達している。電圧Vは、例えば、トランジスタTrLのしきい値電圧よりも大きい。ここで、電圧VONと電圧Vとの電圧差は、トランジスタTrBのしきい値電圧VTHよりも大きい。従って、この状態では、トランジスタTrB0aがON状態であり、トランジスタTrL0aのゲート電極に、電圧Vが転送される。
【0034】
また、例えば図4に示す状態では、メインワード線MWL0aの電圧が更に増大し、電圧Vに達している。ここで、電圧VONと電圧Vとの電圧差は、トランジスタTrBのしきい値電圧VTHよりも小さい。この様な状態では、トランジスタTrL0aのゲート電極が、電圧VONからトランジスタTrBのしきい値電圧VTHを減じた程度の電圧まで充電される。また、トランジスタTrB0aがOFF状態となり、トランジスタTrL0aのゲート電極は、フローティング状態となる。
【0035】
次に、例えば図5に示す様に、複数のワード線WL0~WL2のうちの一つを選択する。図示の例では、ワード線WL0が選択されている。ワード線WL0~WL2の選択に際しては、例えば、複数のロウ選択線Rx0a,Rx1a,Rx2aのうち、読出動作の対象となるワード線WL0に対応するロウ選択線Rx0aに電圧VONを供給する。
【0036】
ここで、ワード線WL0への電圧の転送が開始されると、これに接続されたトランジスタTrL0aのチャネルの電圧が上昇する。また、トランジスタTrL0aのゲート電極はフローティング状態であるため、トランジスタTrL0aのチャネルの電圧が上昇すると、容量結合によって、トランジスタTrL0aのゲート電極の電圧も上昇する。図示の例では、トランジスタTrL0aのゲート電極の電圧が、電圧αだけ上昇している。また、ワード線WL0に、電圧VONが供給されている。
【0037】
読出動作の対象であるメモリセルMC(以下、「選択メモリセルMC」と呼ぶ。)に接続されたワード線WL0(以下、「選択ワード線WL0」と呼ぶ。)に、トランジスタTrL0aを介して、電圧VON程度の電圧が供給されると、選択メモリセルMC中のトランジスタTrCがON状態となる。これに伴い、ビット線BLの電圧が変動し、又は、ビット線BLに電流が流れる。この電圧の変動又は電流を検出することにより、選択メモリセルMCに記憶されたデータを読み出すことが可能である。
【0038】
尚、選択メモリセルMCと同じメモリ層ML0に対応する選択ワード線WL0以外のワード線WL1(以下、「非選択ワード線WL」等と呼ぶ。)には、トランジスタTrL0aを介して、電圧VOFFが供給される。これにより、メモリセルMC中のトランジスタTrCがOFF状態となる。
【0039】
また、選択メモリセルMCと異なるメモリ層ML1,ML2,ML3に対応する非選択ワード線WLには、トランジスタTrL1b,TrL2b,TrL3bを介して、電圧VOFFが供給される。これにより、メモリセルMC中のトランジスタTrCがOFF状態となる。
【0040】
ここで、詳しくは後述するものの、本実施形態に係るトランジスタTrCは、チャネル領域として酸化物半導体を利用する場合がある。この様な場合、トランジスタTrCのしきい値電圧は、比較的大きくなる場合がある。従って、読出動作に際しては、トランジスタTrCのゲート電極に、大きい電圧を供給することが望ましい。
【0041】
しかしながら、上述の通り、トランジスタTrL0aは、Nチャネル型の電界効果トランジスタである。従って、例えば、トランジスタTrL0aのゲート電極及びソース電極に、直接、電圧VONを供給した場合、トランジスタTrL0aのドレイン電極には、電圧VONから、トランジスタTrL0aのしきい値電圧を減じた大きさの電圧が転送される。従って、ワード線WL0に電圧VONを供給するためには、トランジスタTrL0aのゲート電極に、電圧VONよりも大きい電圧を供給する必要がある。これにより、回路面積の増大等を招くおそれがある。
【0042】
そこで、本実施形態に係る半導体記憶装置では、ワード線WLへの電圧VONの供給に際して、トランジスタTrL0aのゲート電極をフローティング状態としている。これにより、トランジスタTrL0aのゲート電極の電圧を、チャネル領域との容量結合によって増大させることが可能である。これにより、ワード線WLに、上述した様な電圧(電圧VONから、トランジスタTrL0aのしきい値電圧を減じた大きさの電圧)よりも大きい電圧を供給することが可能である。図示の例では、ワード線WL0に、電圧VON程度の大きさの電圧が供給されている。これにより、回路面積の増大等を抑制可能である。
【0043】
[構造]
図6は、本実施形態に係る半導体記憶装置の一部の構成を示す模式的な斜視図である。図6には、半導体基板Subの一部と、半導体基板Subの上方に設けられたメモリセルアレイMCAと、を示している。
【0044】
半導体基板Subは、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むシリコン(Si)等の半導体基板である。半導体基板Subの上面には、図示しない絶縁層及び電極層が設けられている。半導体基板Subの上面、図示しない絶縁層及び電極層は、第1実施形態に係る半導体記憶装置を制御するための制御回路を構成する。例えば、メモリセルアレイMCAの直下の領域には、センスアンプ回路が設けられる。センスアンプ回路は、ビット線BLに電気的に接続される。センスアンプ回路は、読出動作において、ビット線BLの電圧の変動又は電流を検出することにより、選択メモリセルMCに記憶されたデータを読み出すことが可能である。
【0045】
メモリセルアレイMCAは、Z方向に並ぶ複数のメモリ層MLを備える。また、複数のメモリ層MLの間には、それぞれ、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層103が設けられている。
【0046】
図7は、メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図である。図7に示す様に、メモリ層MLには、メモリセル領域RMCと、トランジスタ領域RTrLと、トランジスタ領域RTrBと、が設けられている。図示は省略するものの、トランジスタ領域RTrL,RTrBは、Y方向において、メモリセル領域RMCの両側に設けられている。
【0047】
[メモリセル領域RMCの構造]
次に、図6及び図7に加え、図8及び図9を参照して、メモリセル領域RMCの構造について説明する。図8は、メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図であり、図7の一部を拡大して示している。図9は、図8に示す構造をA-A´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を示している。
【0048】
図7に示す様に、メモリセル領域RMCには、X方向に並ぶ複数の絶縁層101と、X方向に隣り合う2つの絶縁層101の間に設けられた導電層102と、が設けられている。絶縁層101及び導電層102は、Y方向及びZ方向に延伸し、複数のメモリ層MLをX方向に分断する(図6参照)。
【0049】
絶縁層101は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0050】
導電層102は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含むことができる。また、例えば、導電性酸化物を含むものであってもよい。尚、導電層102は、導電性酸化物のかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、導電層102は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。導電層102は、例えば、プレート線PL(図1)として機能する。
【0051】
本明細書において、「導電性酸化物」は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化ルテニウム(RuO2)、酸化イリジウム(IrO2)、又は、その他の酸素を含む導電性の材料を含むこととする。
【0052】
絶縁層101と導電層102との間の領域には、複数のビア配線104が設けられている。複数のビア配線104は、Y方向に並び、例えば図6に示す様に、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0053】
ビア配線104は、図9に示す様に、例えば、導電性酸化物を含む導電性酸化膜104a、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜104b、及び、タングステン(W)等の導電部材104cを含む。尚、ビア配線104は、導電性酸化膜104aのかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、ビア配線104は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。
【0054】
導電部材104cは、Z方向に延伸する略円柱状の形状を備える。バリア導電膜104bは、導電部材104cの外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の形状を備える。導電性酸化膜104aは、バリア導電膜104bの外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の形状を備える。
【0055】
ビア配線104は、例えば、ビット線BL(図1)として機能する。ビット線BLは、例えば図1に示す様に、メモリ層MLに含まれる複数のトランジスタTrCに対応して、複数設けられている。
【0056】
メモリ層MLは、複数のビア配線104に対応して設けられた複数のトランジスタ構造110と、複数のトランジスタ構造110に対して導電層102と反対側に設けられた導電層120と、複数のトランジスタ構造110及び導電層102の間に設けられた複数のキャパシタ構造130と、を備える。
【0057】
トランジスタ構造110は、例えば図8に示す様に、ビア配線104の外周面に接続され、X方向に延伸する半導体層111と、半導体層111の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(導電層120側)の側面に設けられた絶縁層112と、絶縁層112の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(導電層120側)の側面に設けられた導電層113と、を備える。
【0058】
図8に例示する様なXY断面において、半導体層111のX方向の一方側(導電層102側)の側面は、ビア配線104の中心位置を中心とする円に沿って形成されていても良い。また、半導体層111、絶縁層112及び導電層113のX方向の他方側(導電層120側)の側面は、導電層120の側面に沿って直線状に形成されていても良い。また、半導体層111、絶縁層112及び導電層113のY方向における両側面は、絶縁層115の側面に沿って直線状に形成されていても良い。
【0059】
半導体層111は、例えば、トランジスタTrC(図1)のチャネル領域として機能する。半導体層111は、例えば、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む半導体であっても良いし、その他の酸化物半導体であっても良い。Z方向に並ぶ複数の半導体層111は、Z方向に延伸するビア配線104に共通に接続されている。
【0060】
絶縁層112は、例えば、トランジスタTrC(図1)のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層112は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0061】
導電層113は、例えば、トランジスタTrC(図1)のゲート電極として機能する。導電層113は、例えば、窒化チタン(TiN)、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物を含む。Y方向に並ぶ複数の導電層113は、Y方向に延伸する導電層120に共通に接続されている(図2参照)。導電層113は、絶縁層112を介して、半導体層111の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(導電層120側)の側面と対向している。
【0062】
Y方向において隣り合う2つの半導体層111の間には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層115が設けられている。絶縁層115は、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0063】
導電層120は、例えば、ワード線WL(図1)として機能する。導電層120は、Y方向に延伸し、Y方向に並ぶ複数の導電層113に接続されている。導電層120は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜121と、タングステン(W)の導電膜122と、を備える。
【0064】
キャパシタ構造130は、例えば図8及び図9に示す様に、導電層131と、導電層131の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(トランジスタ構造110側)の側面に設けられた絶縁層132と、絶縁層132の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(トランジスタ構造110側)の側面に設けられた導電層133と、を備える。
【0065】
導電層131は、キャパシタCpC(図1)の一方の電極として機能する。導電層131は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層構造等を含むことができる。また、例えば、導電性酸化物を含むものであってもよい。尚、導電層131は、導電性酸化物のかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、導電層131は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。導電層131は、導電層102と連続する。
【0066】
絶縁層132は、キャパシタCpC(図1)の絶縁層として機能する。絶縁層132は、例えば、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)又はその他の絶縁性の金属酸化物であっても良い。また、絶縁層333は、例えば、複数の絶縁性の金属酸化物の積層膜(例えば、ジルコニア及びアルミナの積層膜)であっても良い。
【0067】
導電層133は、例えば、キャパシタCpC(図1)の他方の電極として機能する。導電層133は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物を含む。導電層133は、絶縁層132を介して、導電層131から絶縁されている。導電層133は、半導体層111のX方向の側面に接続されている。
【0068】
[トランジスタ領域RTrLの構造]
次に、図6及び図7に加え、図10及び図11を参照して、トランジスタ領域RTrLの構造について説明する。図10は、メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図であり、図7の一部を拡大して示している。図11は、図10に示す構造をB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を示している。
【0069】
図7に示す様に、トランジスタ領域RTrLには、複数の絶縁層101に対応してX方向に並ぶ複数の絶縁層201と、X方向に隣り合う2つの絶縁層201の間に設けられた絶縁層202と、が設けられている。絶縁層201及び絶縁層202は、Y方向及びZ方向に延伸し、複数のメモリ層MLをX方向に分断する。絶縁層201及び絶縁層202は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0070】
また、メモリセル領域RMCとトランジスタ領域RTrLとの間には、X方向に隣り合う2つの導電層120の間の範囲においてX方向に延伸する絶縁層215が設けられている。絶縁層215は、X方向及びZ方向に延伸し、複数のメモリ層MLをY方向に分断する。絶縁層215は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0071】
また、絶縁層201は、絶縁層203を介して、Y方向に分断されている。絶縁層203は、Z方向に延伸する。絶縁層203は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0072】
絶縁層201と絶縁層202との間の領域には、複数のビア配線204が設けられている。複数のビア配線204は、Y方向に並び、例えば図11に示す様に、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0073】
ビア配線204は、図11に示す様に、例えば、導電性酸化物を含む導電性酸化膜204a、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜204b、及び、タングステン(W)等の導電部材204cを含む。尚、ビア配線204は、導電性酸化膜204aのかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、ビア配線204は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。
【0074】
導電部材204cは、Z方向に延伸する略円柱状の形状を備える。バリア導電膜204bは、導電部材204cの外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の形状を備える。導電性酸化膜204aは、バリア導電膜204bの外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の形状を備える。
【0075】
Y方向に並ぶ複数のビア配線204は、例えば、1つのロウ選択線Rx(図1)として機能する。ロウ選択線Rxは、例えば図1に示す様に、メモリ層MLに含まれる複数のワード線WLに対応して、複数設けられている。
【0076】
メモリ層MLは、複数の導電層120に対応して設けられた複数のトランジスタ構造210と、トランジスタ構造210と絶縁層201との間に設けられた配線221と、トランジスタ構造210及び絶縁層202の間に設けられた配線222と、を備える。
【0077】
トランジスタ構造210は、例えば図10に示す様に、複数のビア配線204の外周面に接続され、これら複数のビア配線204の外周面に沿ってY方向に延伸する半導体層211と、半導体層211の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(絶縁層202側)の側面に設けられた絶縁層212と、絶縁層212の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(絶縁層202側)の側面に設けられた導電層213と、を備える。
【0078】
図10に例示する様なXY断面において、半導体層211のX方向の一方側(絶縁層201側)の側面は、複数のビア配線204の複数の中心位置を中心とする複数の円に沿って形成されていても良い。また、半導体層211、絶縁層212及び導電層213のX方向の他方側(絶縁層202側)の側面は、配線222の側面に沿って直線状に形成されていても良い。また、半導体層211、絶縁層212及び導電層213のY方向における両側面は、図7を参照して説明した絶縁層215、及び、後述する絶縁層315に沿って、直線状に形成されていても良い。
【0079】
半導体層211は、例えば、トランジスタTrL(図1)のチャネル領域として機能する。半導体層211は、例えば、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む半導体であっても良いし、その他の酸化物半導体であっても良い。Z方向に並ぶ複数の半導体層211は、Z方向に延伸するビア配線204に共通に接続されている。
【0080】
絶縁層212は、例えば、トランジスタTrL(図1)のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層212は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0081】
導電層213は、例えば、トランジスタTrL(図1)のゲート電極として機能する。導電層213は、例えば、窒化チタン(TiN)、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物を含む。導電層213のX方向の一方側(絶縁層202側)の側面は、配線222に接続されている。導電層213は、絶縁層212を介して、半導体層211の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の一方側(絶縁層202側)の側面と対向している。
【0082】
配線221は、導電層120及び半導体層211に接続されており、ワード線WL(図1)とトランジスタTrL(図1)のドレイン電極とを接続する機能を有する。配線221は、例えば、導電性酸化物を含む。尚、配線221は、導電性酸化物のかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、配線221は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。
【0083】
配線221は、例えば、絶縁層212の一部を介して絶縁層103の下面に形成された部分と、絶縁層212の一部を介して絶縁層103の上面に形成された部分と、導電層120のX方向の側面に形成された部分と、半導体層211のX方向の側面に形成された部分と、を備えている。また、配線221によって囲まれた領域には、シリコン(Si)等の半導体層223が設けられていても良い。
【0084】
配線222は、上述の通り、導電層213に接続されており、トランジスタTrL(図1)のゲート電極とトランジスタTrBのドレイン電極とを接続する機能を有する。配線222は、例えば、導電性酸化物を含む。尚、配線222は、導電性酸化物のかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、配線222は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。
【0085】
配線222は、例えば、絶縁層103の下面に形成された部分と、絶縁層103の上面に形成された部分と、導電層213のX方向の側面に形成された部分と、を備えている。また、配線222によって囲まれた領域には、酸化シリコン(SiO)等の絶縁層224が設けられていても良い。
【0086】
[トランジスタ領域RTrBの構造]
次に、図6及び図7に加え、図12及び図13を参照して、トランジスタ領域RTrBの構造について説明する。図12は、メモリ層MLの一部の構成を示す模式的なXY断面図であり、図7の一部を拡大して示している。図13は、図12に示す構造をC-C´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た断面を示している。
【0087】
図7に示す様に、トランジスタ領域RTrBには、Y方向に並ぶ2つの絶縁層315が設けられている。絶縁層315は、X方向及びZ方向に延伸し、複数のメモリ層MLをY方向に分断する。絶縁層215は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0088】
Y方向に並ぶ2つの絶縁層315の間の領域には、ビア配線304が設けられている。ビア配線304は、例えば図13に示す様に、複数のメモリ層MLを貫通してZ方向に延伸する。
【0089】
ビア配線304は、図13に示す様に、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜304a、及び、タングステン(W)等の導電部材304bを含む。尚、ビア配線304は、その他の材料を含んでいても良い。
【0090】
導電部材304bは、Z方向に延伸する略円柱状の形状を備える。バリア導電膜304aは、導電部材304bの外周面に沿ってZ方向に延伸する略円筒状の形状を備える。
【0091】
ビア配線304は、例えば、配線L1(図1)として機能する。配線L1は、例えば図1に示す様に、メモリ層MLに含まれる複数のワード線WLに対応して、複数設けられている。
【0092】
メモリ層MLは、複数の導電層120に対応して設けられた複数のトランジスタ構造310と、トランジスタ構造310と絶縁層202との間に設けられた上記配線222の一部と、トランジスタ構造310に対して配線222と反対側に設けられた配線320と、を備える。
【0093】
トランジスタ構造310は、例えば図12に示す様に、ビア配線304の外周面に接続され、X方向に延伸する導電層311と、導電層311の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の両側面に設けられた絶縁層312と、絶縁層312の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の両側面に設けられた半導体層313と、を備える。
【0094】
図12に例示する様なXY断面において、導電層311、絶縁層312及び半導体層313のX方向の一方側(配線320側)の側面は、ビア配線304の中心位置を中心とする円に沿って形成されていても良い。また、導電層311、絶縁層312及び半導体層313のX方向の他方側(絶縁層202側)の側面は、配線222の側面に沿って直線状に形成されていても良い。また、導電層311、絶縁層312及び半導体層313のY方向における両側面は、絶縁層315に沿って直線状に形成されていても良い。
【0095】
導電層311は、例えば、トランジスタTrB(図1)のゲート電極として機能する。導電層311は、例えば、窒化チタン(TiN)、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物を含む。Z方向に並ぶ複数の導電層311は、Z方向に延伸するビア配線304に共通に接続されている。
【0096】
絶縁層312は、例えば、トランジスタTrB(図1)のゲート絶縁膜として機能する。絶縁層312は、例えば、酸化シリコン(SiO)等を含む。
【0097】
半導体層313は、例えば、トランジスタTrB(図1)のチャネル領域として機能する。半導体層313は、例えば、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)のうち少なくとも一つの元素と、インジウム(In)と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)と、を含む半導体であっても良いし、その他の酸化物半導体であっても良い。半導体層313のX方向の一方側(絶縁層202側)の側面は、配線222に接続されている。半導体層313のX方向の他方側(配線320側)の側面は、配線320に接続されている。半導体層313は、絶縁層312を介して、導電層311の上面、下面、Y方向の両側面、及び、X方向の両側面と対向している。
【0098】
配線320は、上述の通り、半導体層313に接続されており、メインワード線MWL(図1)の一部として機能する。配線320は、例えば、導電性酸化物を含む。尚、配線320は、導電性酸化物のかわりに、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属を含んでいても良い。また、配線320は、導電性酸化物のみを含んでいても良いし、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)又はその他の金属のみを含んでいても良い。
【0099】
配線320は、例えば、絶縁層103の下面に形成された部分と、絶縁層103の上面に形成された部分と、半導体層313のX方向の側面に形成された部分と、を備えている。また、配線320によって囲まれた領域には、酸化シリコン(SiO)等の部材321が設けられていても良い。
【0100】
[構造上の利点]
本実施形態に係る半導体記憶装置は、Z方向に並ぶ複数のメモリ層MLと、Z方向に延伸するビア配線104と、を備える。また、複数のメモリ層MLは、それぞれ、トランジスタ構造110と、トランジスタ構造110に対してX方向の一方側に設けられたキャパシタ構造130と、トランジスタ構造110に対してX方向の他方側に設けられた導電層120と、を備える。
【0101】
この様な構成は、メモリセルアレイMCAに含まれるメモリ層MLの数が増大した場合であっても、積層工程(図14を参照して後述する工程)以外には工程数を増やすことなく製造可能である。従って、比較的容易に高集積化を実現可能である。
【0102】
また、本実施形態に係るトランジスタ構造110においては、導電層113が、半導体層111の上面及び下面に対向している。
【0103】
この様な構成では、Z方向に並ぶ複数の半導体層111の間で、電界の干渉が生じることを抑制可能である。従って、メモリセルアレイMCAのZ方向における高集積化を図った場合であっても、半導体層111を好適にON状態又はOFF状態に制御可能であり、好適に動作する半導体記憶装置を提供可能である。
【0104】
また、トランジスタTrCをON状態とする際に、半導体層111の上面、下面、及び、Y方向の両側面にチャネルが形成される。従って、トランジスタTrCのON電流を比較的大きくすることが可能である。これにより、動作の高速化・安定化を図ることが可能である。
【0105】
ここで、例えば、ワード線WLとして機能する配線(Y方向に延伸する配線)を、ビア配線104と、キャパシタ構造130との間に設け、且つ、このワード線WLとして機能する配線の一部を、トランジスタTrCのゲート電極として利用することも考えられる。しかしながら、この様な構造は、トランジスタTrCのチャネル領域として機能する半導体層と、ワード線WLとして機能する配線とが、Z方向から見て交差する構造となる。従って、例えば、半導体層をX方向に分断することなく、Y方向に延伸する配線を加工する必要が生じてしまい、製造の難易度が高い。また、メモリ層のZ方向における幅が大きくなってしまう。
【0106】
この点、本実施形態においては、ワード線WLとして機能する導電層120が、トランジスタ構造110に対して、プレート線PLの反対側に設けられており、Z方向から見てトランジスタ構造110と重ならない位置に設けられている。従って、導電層120とトランジスタ構造110とを独立して形成することが可能であり、比較的容易に製造可能である。また、メモリ層MLのZ方向の幅を抑えつつ、導電層120の配線抵抗を比較的小さい値とすることが可能である。
【0107】
また、図5を参照して説明した様に、本実施形態に係る半導体記憶装置においては、読出動作に際して、トランジスタTrLのチャネルとゲート電極との間の容量結合によって、トランジスタTrLのゲート電極の電圧を上昇させる。従って、トランジスタTrLのチャネルとゲート電極との間の静電容量は、大きいことが望ましい。
【0108】
一方、トランジスタTrLのゲート電極の、その他の構成との間の容量結合が大きいと、トランジスタTrLのゲート電極の、図5を参照して説明した工程における電圧の上昇分(電圧α)が小さくなってしまう。従って、トランジスタTrLのゲート電極の、その他の構成との間の静電容量は、小さいことが望ましい。
【0109】
そこで、第1実施形態では、トランジスタTrLとして機能するトランジスタ構造210の、半導体層211、絶縁層212及び導電層213のXY断面における面積を、トランジスタTrBとして機能するトランジスタ構造310の、導電層311、絶縁層312及び半導体層313のXY断面における面積よりも、大きくしている(図7参照)。
【0110】
この様な構成によれば、導電層213、半導体層313及び配線222から構成される同電圧の領域の、半導体層211との間の静電容量を、導電層311との間の静電容量よりも大きくすることが可能である。これにより、読出動作に際して、トランジスタTrLのゲート電極の電圧を、好適に上昇させることが可能である。
【0111】
[製造方法]
図14図97は、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法について説明するための模式的な断面図である。
【0112】
図14図17図20図23図27図30図33図36図39図42図45図49図51図54図55図57図59図61図63図65図67図69図71図72図73図83図85図87図92図94及び図96は、図9に対応する断面を示している。
【0113】
図15図16図26及び図53は、図7に対応する断面を示している。
【0114】
図18図21図24図28図31図34図37図40図43図46図50図52図56図58図60図62図64図66図68図70図75図77図79図81図84図86図88図93図95及び図97は、図11に対応する断面を示している。
【0115】
図19図22図25図29図32図35図38図41図44図47図48図74図76図78図80図82図89図90及び図91は、図13に対応する断面を示している。
【0116】
同製造方法においては、例えば図14に示す様に、複数の絶縁層103と、複数の犠牲層MLAと、を交互に形成する。犠牲層MLAは、例えば、窒化シリコン(Si)等を含む。この工程は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)等によって行う。
【0117】
次に、例えば図15に示す様に、絶縁層115,215,201,315を形成する。この工程では、例えば、絶縁層115,215,201,315に対応する位置に、開口を形成する。この開口は、Z方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層103及び複数の犠牲層MLAを貫通する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。開口の形成後、絶縁層115,215,201,315を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0118】
次に、例えば図16図19に示す様に、ビア配線104,204,304に対応する位置に、開口104A,204A,304Aを形成する。開口104A,204A,304Aは、図17図19に示す様にZ方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層103及び複数の犠牲層MLAを貫通する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0119】
次に、例えば図20図22に示す様に、犠牲層MLAの、開口104A,204A,304Aへの露出面に対して酸化処理を行い、酸化膜MLBを形成する。
【0120】
次に、例えば図23図25に示す様に、開口104A,204A,304Aの内部に、シリコン(Si)等の犠牲層104B,204B,304Bを形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0121】
次に、例えば図26図29に示す様に、絶縁層101,202に対応する位置に、開口101A,202Aを形成する。開口101A,202Aは、Y方向及びZ方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層103及び複数の犠牲層MLAを貫通して、これらの構成をX方向に分断する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0122】
次に、例えば図30図32に示す様に、導電層120及び配線222に対応する位置に、開口120A,222Aを形成する。開口120A,222Aの内部には、絶縁層103の上面の一部及び下面の一部、並びに、犠牲層MLAのX方向の側面の一部が露出する。この工程では、例えば、開口101A,202Aを介して、犠牲層MLAの一部を選択的に除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。尚、開口120A,222Aは、開口104A,204B,304Bとは連通しない。
【0123】
次に、例えば図33図35に示す様に、開口101A,120Aに、シリコン(Si)等の犠牲層120Bを埋め込む。また、開口202A,222Aに、シリコン(Si)等の犠牲層222Bを埋め込む。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0124】
次に、例えば図36図38に示す様に、犠牲層104B,204B,304Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0125】
次に、例えば図39図41に示す様に、酸化膜MLBを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0126】
次に、例えば図42図44に示す様に、半導体層111,211及び導電層311に対応する位置に、開口111A,211A,311Aを形成する。開口111A,211A,311Aの内部には、絶縁層103の上面の一部及び下面の一部、犠牲層MLAのX方向の側面の一部、絶縁層115,215,315のY方向の側面の一部(図26参照)、並びに、犠牲層120B,222BのX方向の側面の一部が露出する。この工程では、例えば、開口104A,204A,304Aを介して、犠牲層MLAの一部を選択的に除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0127】
次に、例えば図45図47に示す様に、犠牲層MLA,120B,222Bの、開口104A,204A,304Aへの露出面に対して酸化処理を行い、酸化膜MLBを形成する。
【0128】
次に、例えば図48に示す様に、開口304Aに、シリコン(Si)等の犠牲層304Bを埋め込む。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0129】
次に、例えば図49及び図50に示す様に、開口111A,211Aの内部に、導電層113A,213Aを形成する。この工程では、例えば、開口104A,111Aの内部、及び、開口204A,211Aの内部に、窒化チタン(TiN)等の導電膜及びシリコン(Si)等の犠牲層を形成する。この工程は、開口111A,211Aが犠牲層によって埋め込まれ、開口104A,204Aが犠牲層によって埋め込まれない様に行う。次に、開口104A,204Aの内部において、犠牲層の一部を除去し、導電膜の一部(絶縁層103の側面に形成された部分)を露出させる。次に、導電膜の一部を除去し、導電膜をZ方向に分断して、導電層113A,213Aを形成する。その後、犠牲層を除去する。
【0130】
次に、例えば図51及び図52に示す様に、開口104A,204Aに、シリコン(Si)等の犠牲層104B,204Bを埋め込む。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0131】
次に、例えば図53及び図54に示す様に、導電層102に対応する位置に、開口102Aを形成する。開口102Aは、Y方向及びZ方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層103及び複数の犠牲層MLA、並びに、絶縁層115を貫通して、これらの構成をX方向に分断する。また、絶縁層203に対応する位置に、開口203Aを形成する。開口203Aは、Z方向に延伸し、Z方向に並ぶ複数の絶縁層103及び複数の犠牲層MLA、並びに、絶縁層201を貫通する。この工程は、例えば、RIE等によって行う。
【0132】
次に、例えば図55に示す様に、キャパシタ構造130に対応する位置に、開口131Aを形成する。また、図56に示す様に、配線221に対応する位置に、開口221Aを形成する。この工程では、開口102A,203Aを介して、犠牲層MLAを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0133】
次に、例えば図57及び図58に示す様に、開口131A,221Aを介して、一部の酸化膜MLBを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0134】
次に、例えば図59及び図60に示す様に、導電層113,213を形成する。この工程では、開口131Aを介して、導電層113Aの一部を除去する。また、この工程では、開口221Aを介して、導電層213Aの一部を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0135】
次に、例えば図61及び図62に示す様に、犠牲層104B,204Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0136】
次に、例えば図63に示す様に、開口111A,104A,131A,102Aの内部に、絶縁層112を形成する。また、例えば図64に示す様に、開口221A,211A,204Aの内部に、絶縁層212を形成する。絶縁層112,212は、導電層113,213の上面及び下面、絶縁層103の上面の一部、下面の一部及び開口104A,204Aへの露出面、犠牲層120BのX方向の側面の一部、並びに、絶縁層115,215,315のY方向の側面の一部に形成される。
【0137】
次に、例えば図65に示す様に、開口111A,104A,131A,102Aの内部に、窒化シリコン(Si)等の犠牲層111Bを形成する。また、例えば図66に示す様に、開口221A,211A,204Aの内部に、窒化シリコン(Si)等の犠牲層211Bを形成する。開口111A,211Aは犠牲層111B,211Bによって埋め込まれ、開口102A,104A,131A,204A,221Aは犠牲層111Bによって埋め込まれない。この工程は、例えば、CVD等によって行う。尚、図示は省略するものの、犠牲層111B,211Bの形成後、開口104A,204Aの上部を、絶縁層等によって閉塞させる。
【0138】
次に、例えば図67及び図68に示す様に、開口102A,203A(図53)を介して、犠牲層111B,211Bの一部を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0139】
次に、例えば図69に示す様に、開口102A及び開口131Aを介して、犠牲層111BのX方向の一方側の側面(開口102A側の側面)、並びに、絶縁層112の上下面及びX方向の一方側の側面(開口102A側の側面)、Y方向の側面に、導電層133Aを形成する。また、例えば図70に示す様に、203A(図53)及び開口221Aを介して、犠牲層211BのX方向の一方側の側面(開口221A側の側面)、並びに、絶縁層212の上下面及びX方向の一方側の側面(開口221A側の側面)、Y方向の側面に、配線221を形成する。この工程は、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)等によって行う。
【0140】
次に、例えば図71に示す様に、開口102Aの内部に、シリコン(Si)等の犠牲層131Bを形成する。開口131Aは犠牲層131Bによって埋め込まれ、開口102Aは犠牲層131Bによって埋め込まれない。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0141】
また、例えば図71に示す様に、導電層133を形成する。この工程では、例えば、導電層133Aの、絶縁層115及び絶縁層103のX方向の側面に設けられた部分を除去し、導電層133Aを、Y方向及びZ方向に分断する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0142】
次に、例えば図72に示す様に、犠牲層131Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0143】
次に、例えば図73に示す様に、開口131A及び開口102Aを介して、導電層133の上面、下面、X方向の一方側の側面(開口102A側の側面)及びY方向の両側面、絶縁層115及び絶縁層103のX方向の側面に、絶縁層132及び導電層131を形成する。この工程は、例えば、CVD等によって行う。
【0144】
次に、例えば図74に示す様に、犠牲層MLAを除去して開口320Aを形成する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0145】
次に、例えば図75及び図76に示す様に、犠牲層222Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0146】
次に、例えば図77及び図78に示す様に、酸化膜MLBを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0147】
次に、例えば図79及び図80に示す様に、配線222,320を形成する。この工程は、例えば、図69図72を参照して説明した工程と、同様の方法によって行う。
【0148】
次に、例えば図81及び図82に示す様に、絶縁層224,321を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0149】
次に、例えば図83及び図84に示す様に、犠牲層120Bを除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0150】
次に、例えば図85及び図86に示す様に、酸化膜MLB及び絶縁層212の一部(開口120Aへの露出面)を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0151】
次に、例えば図87及び図88に示す様に、導電層120を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0152】
次に、例えば図89に示す様に、犠牲層304B(図82)を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0153】
次に、例えば図90に示す様に、開口311Aの内部に、半導体層313を形成する。この工程は、例えば、図69図72を参照して説明した工程と、同様の方法によって行う。
【0154】
次に、例えば図91に示す様に、開口311A,304Aの内部に、絶縁層312及び導電層311を形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。
【0155】
次に、例えば図92に示す様に、開口104Aの内部において、犠牲層111B(図87)を除去する。また、例えば図93に示す様に、開口204Aの内部において、犠牲層211B(図88)を除去する。この工程は、例えば、ウェットエッチング等によって行う。
【0156】
次に、例えば図94に示す様に、開口111A,104Aの内部に、半導体層111を形成する。また、例えば図95に示す様に、開口211A,204Aの内部に、半導体層211を形成する。開口111A,211Aは、半導体層111,211によって埋め込まれる。一方、開口104A,204Aは、半導体層111,211によって埋め込まれない。この工程は、例えば、ALD等によって行う。
【0157】
次に、例えば図96に示す様に、開口104Aの内部に、導電性酸化膜104aを形成する。また、例えば図97に示す様に、開口204Aの内部に、導電性酸化膜204aを形成する。この工程は、例えば、ALD等によって行う。
【0158】
その後、例えば図9に示す様に、開口104Aの内部に、バリア導電膜104b及び導電部材104cを形成する。また、例えば図11に示す様に、開口204Aの内部に、バリア導電膜204b及び導電部材204cを形成する。また、例えば図13に示す様に、開口304Aの内部に、バリア導電膜304a及び導電部材304bを形成する。この工程は、例えば、CVD等の方法によって行う。これにより、図6図13を参照して説明した構造が形成される。
【0159】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、これらの実施形態に係る半導体記憶装置はあくまでも例示であり、具体的な構成等は適宜調整可能である。
【0160】
例えば、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、図7を参照して説明した様に、トランジスタ領域RTrL,RTrBが、Y方向において、メモリセル領域RMCの両側に設けられる。しかしながら、トランジスタ領域RTrBについては、Y方向の一方側において省略することも可能である。
【0161】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置においては、ビット線として機能するビア配線104が、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性酸化物を含む。しかしながら、この様な導電性酸化物は、Z方向に延伸するビア配線104ではなく、トランジスタ構造110に含まれていても良い。また、ビア配線104及びトランジスタ構造110は、その他の材料等を含んでいても良い。
【0162】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置において、トランジスタTrCのゲート電極として機能する導電層113は、トランジスタTrCのチャネル領域として機能する半導体層111の、上面及び下面の一方のみに対向していても良い。
【0163】
また、以上の説明では、トランジスタ構造110に接続されるメモリ部として、キャパシタCpCが採用される例について説明した。しかしながら、メモリ部は、キャパシタCpCでなくても良い。例えば、メモリ部は、強誘電体、強磁性体、GeSbTe等のカルコゲン材料又はその他の材料を含み、これら材料の特性を利用してデータを記録するものであっても良い。例えば、以上において説明したいずれかの構造において、キャパシタCpCを形成する電極間の絶縁層に、これら材料のいずれかを含ませても良い。
【0164】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法も、適宜調整可能である。例えば、上述した工程のいずれか2つの順番を入れ替えたり、上述した工程のいずれか2つを同時に実行したりしても良い。
【0165】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0166】
Sub…半導体基板、ML…メモリ層、BL…ビット線、WL…ワード線、PL…プレート線、TrC,TrL,TrB…トランジスタ、Rx…ロウ選択線、L1…配線、CpC…キャパシタ、102…導電層、104…ビア配線、110,210,310…トランジスタ構造、111,211,311…半導体層、112,212,312…絶縁層、113,213,313…導電層、120…導電層、130…キャパシタ構造、221,222…配線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70
図71
図72
図73
図74
図75
図76
図77
図78
図79
図80
図81
図82
図83
図84
図85
図86
図87
図88
図89
図90
図91
図92
図93
図94
図95
図96
図97