(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135426
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】動態画像処理装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B6/00 350M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046101
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA13
4C093AA26
4C093CA07
4C093CA10
4C093CA39
4C093DA03
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093FF09
4C093FF24
(57)【要約】
【課題】被写体の時間的変化に対応するために全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像から散乱線補正処理に必要なパラメーターを決定する動態画像処理装置を提供する。
【解決手段】移動型放射線撮影装置10は、動態画像処理装置である。移動型放射線撮影装置10は、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得する取得部11と、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定する決定部14と、決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う処理部15を備える。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得する取得部と、
前記全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定する決定部と、
決定された前記パラメーターを用いて、前記全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う処理部と
を備えた動態画像処理装置。
【請求項2】
前記パラメーターは、被写体の体厚情報である
請求項1に記載の動態画像処理装置。
【請求項3】
前記一部のフレーム画像は、単一のフレーム画像、または、1を超え、前記全てのフレーム画像の数より少ない複数のフレーム画像である
請求項1に記載の動態画像処理装置。
【請求項4】
前記一部のフレーム画像を選択するための選択情報の入力を受け付ける入力部と、
前記全てのフレーム画像のうち、前記一部のフレーム画像を、前記入力部で入力された選択情報に基づき選択する選択部と
を備えた請求項1に記載の動態画像処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、前記一部のフレーム画像の数を、前記入力部で入力された選択条件に基づき動態撮影の撮影条件で選択する
請求項4に記載の動態画像処理装置。
【請求項6】
前記選択部は、前記撮影条件が体厚変化のない撮影の場合、前記一部のフレーム画像に単一のフレーム画像を選択する
請求項5に記載の動態画像処理装置。
【請求項7】
前記選択部は、前記撮影条件が体厚変化のある撮影の場合、前記一部のフレーム画像に複数のフレーム画像を選択する
請求項5に記載の動態画像処理装置。
【請求項8】
前記選択部は、前記一部のフレーム画像の数を、前記入力部で入力された選択条件に基づき画像の用途で選択する
請求項4に記載の動態画像処理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記画像の用途が動態撮影に合わせて撮影した動画を表示するリアルタイム表示用画像である場合、前記一部のフレーム画像に単一のフレーム画像を選択する
請求項8に記載の動態画像処理装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記画像の用途が動態撮影に合わせて撮影した動画を表示するリアルタイム表示用画像でない場合、前記一部のフレーム画像に複数のフレーム画像を選択する
請求項8に記載の動態画像処理装置。
【請求項11】
前記選択部は、前記一部のフレーム画像の範囲を、前記入力部で入力された撮影条件に基づき体厚変化に合わせて選択する
請求項4に記載の動態画像処理装置。
【請求項12】
前記選択部は、前記一部のフレーム画像に、被写体の呼吸1回分のフレーム画像を含む複数のフレーム画像を選択する
請求項11に記載の動態画像処理装置。
【請求項13】
前記入力部は、前記一部のフレーム画像、前記一部のフレーム画像から除外するフレーム画像が事前に設定された選択情報の入力を受け付ける
請求項4に記載の動態画像処理装置。
【請求項14】
前記入力部は、前記一部のフレーム画像、前記パラメーターの決定から除外するフレーム画像を、ユーザーの操作で選択する選択情報の入力を受け付ける
請求項4に記載の動態画像処理装置。
【請求項15】
撮影パネルが接続される動画画像処理装置を備えた動態画像処理システムであって、
前記動画画像処理装置は、
動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得する取得部と、
前記全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定する決定部と、
決定された前記パラメーターを用いて、前記全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う処理部とを備えた
動態画像処理システム。
【請求項16】
動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得するステップと、
前記全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定するステップと、
決定された前記パラメーターを用いて、前記全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行うステップと
を制御部に実行させる
プログラム。
【請求項17】
動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得するステップと、
前記全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定するステップと、
決定された前記パラメーターを用いて、前記全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行うステップとを実行する
動態画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動態画像処理装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線(X線)撮影では、被写体による散乱線が生じるため、コントラストの低下やノイズの増加が発生し、診断の妨げとなる。一般的には、FPDパネル(カセッテ)に対してグリッドを装着することで、散乱線を抑制する対応が取られるが、グリッドの重量が加算される分、パネルのハンドリングの際の負担が増加する。
【0003】
そこで、グリッドでの散乱線除去の代わりとして、ソフトウェアによる散乱線補正処理が開発され、撮影した画像や撮影条件などを用いて、撮影画像に対する補正処理の一つとして散乱線成分を補正する処理が画像処理装置に搭載されている。これにより、撮影した静止画1枚に対し散乱線補正処理を行い、診易い画像として技師や臨床医が確認を行うことが一般的となっている。この散乱線補正処理機能は、グリッド持ち運びの負担となる回診撮影において特に重宝される機能となる。
【0004】
一方で、静止画に限らず、パルス照射によるシリアル撮影を行うことで、被写体の動態を撮影する動態撮影が市場展開されている。この動態撮影画像に対しても、散乱線補正処理を行えるようにする要望が挙がっている。
【0005】
従来、グリッドを用いずに撮影された放射線画像に散乱線を除去する散乱線補正処理を施すことにより、散乱線の影響を軽減して高コントラスト画像を得る技術が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0006】
また、動画像(動態画像)特有のフレーム間類似性を用いて、散乱線除去処理速度を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。散乱線除去処理に必要なパラメーターである体厚分布の情報を、動態画像の全フレームに対して算出すると算出時間が大きくなる。そこで、特許文献3では、1つのフレーム画像に対してのみ体厚分布を算出し、算出した体厚分布の情報を他のフレーム画像に対しても共通に用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-202219号公報
【特許文献2】特開2014-207958号公報
【特許文献3】特開2016-063926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3では、1つのフレームを用いて体厚分布を決定し、決定した体厚分布を他フレームに適用することで時間遅れの改善を図っている。
【0009】
しかし、動態撮影では、深呼吸や自然呼吸をしながら撮影するケースもあるため、被写体に時間的変化が生じ、体厚もフレームごとに変化が生じる。そのため、1枚の画像から推定された体厚分布が他フレームの体厚分布とは乖離してしまい、散乱線補正処理に影響を与えることが考えられる。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、被写体の時間的変化に対応するために全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像から散乱線補正処理に必要なパラメーターを決定する動態画像処理装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得する取得部と、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定する決定部と、決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う処理部とを備えた動態画像処理装置である。
【0012】
また、本発明は、撮影パネルが接続される動画画像処理装置を備えた動態画像処理システムであって、動画画像処理装置は、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得する取得部と、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定する決定部と、決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う処理部とを備えた動態画像処理システムである。
【0013】
さらに、本発明は、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得するステップと、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定するステップと、決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行うステップとを制御部に実行させるプログラムである。
【0014】
また、本発明は、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得するステップと、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定するステップと、決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行うステップとを実行する動態画像処理方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像に基づいて散乱線補正処理のパラメーターを決定することで、被写体の時間的変化に対応することができる。
【0016】
これにより、散乱線除去処理に必要なパラメーターである体厚分布の情報が、体厚分布の推定を行っていないフレームの実際の体厚分布と乖離することが抑制され、散乱線補正処理に影響を与えることを抑制することができる。また、体厚分布の情報を、動態画像の全てのフレームに対して算出する場合と比較して、算出時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態の動態画像処理システムの全体構成の一例を示す説明図である。
【
図2A】移動型放射線撮影装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2B】移動型放射線撮影装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5A】本実施の形態の動態画像処理方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5B】本実施の形態の動態画像処理方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の動態画像処理装置、動態画像処理システム、プログラム及び動態画像処理方法の実施の形態について説明する。
【0019】
<本実施の形態の動態画像処理システムの全体構成例>
図1は、本実施の形態の動態画像処理システムの全体構成の一例を示す説明図である。動態画像処理システム100は、移動型放射線撮影装置10と、RIS(Radiology Information System)30と、PACS(Picture Archiving and Communication System)40と、動態解析装置50とが、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークNを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。移動型放射線撮影装置10は、無線LANの無線アクセスポイント(AP)20または図示しない有線LANケーブルを介して通信ネットワークNに接続される。無線アクセスポイント20は、動態画像処理システム100が設置された医療施設内に複数備えられている。
【0020】
移動型放射線撮影装置10は、例えば、移動が困難な患者の放射線撮影を回診で行うための装置である。移動型放射線撮影装置10は、本体1と、放射線源2と、撮影パネルであるFPD(Flat Panel Detector)カセッテ3を備える。移動型放射線撮影装置10は、本体1に車輪を有し、移動可能な回診車として構成されている。また、本体1には、FPDカセッテ3を収納するための収納部120が設けられている。収納部120には、収納されたFPDカセッテ3と接続するためのコネクター108(
図2B参照) が設けられており、収納されたFPDカセッテ3のバッテリー301(
図2B参照)を充電しながら搬送できるようになっている。なお、移動型放射線撮影装置10は、車輪を有していない持ち運び可能なものであってもよい。
【0021】
移動型放射線撮影装置10は、
図1に示すように、手術室、集中治療室や病室等に持ち込まれる。移動型放射線撮影装置10は、FPDカセッテ3を、例えばベッドBに寝ている被写体HとベッドBとの間に入れる。もしくは、移動型放射線撮影装置10は、FPDカセッテ3を、ベッドBの被写体Hとは反対面に設けられた図示しない挿入口に差し込む。移動型放射線撮影装置10は、この状態で放射線源2から放射線を照射して、被写体Hの静止画撮影または動態撮影を行う。
【0022】
本実施の形態において、静止画撮影とは、1回の撮影操作(曝射スイッチ102aの押下)に応じて1枚の被写体の画像を取得することをいう。動態撮影とは、1回の撮影操作に応じて、被写体に対し、X線などの放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射することで、被写体の一連の画像を取得することをいう。放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射することを、パルス照射と呼ぶ。または、動態撮影とは、1回の撮影操作に応じて、被写体に対し、低線量率にして途切れなく継続して照射することで、被写体の一連の画像を取得することをいう。放射線を途切れなく継続して照射することを、連続照射と呼ぶ。
【0023】
動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する全ての画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。ここで、動態撮影には動画撮影が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。また、動態画像には動画が含まれるが、動画を表示しながら静止画を撮影して得られた画像は含まれない。
【0024】
図2Aは、移動型放射線撮影装置の構成の一例を示すブロック図である。放射線撮影(X線撮影)では、FPDカセッテ3にグリッドを設けた散乱線除去の代わりとして、ソフトウェアによる散乱線補正処理が開発されている。移動型放射線撮影装置10で行われるソフトウェアによる散乱線補正処理では、パラメーターとして体厚情報が必要である。
【0025】
しかし、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像の1枚ごとにパラメーターを決定すると、処理に時間が掛かる。このため、単一のフレーム画像でパラメーターを決定し、このパラメーターを他のフレーム画像にも適用して散乱線補正処理をすることが考えられる。
【0026】
一方、動態撮影では呼吸しながらの撮影もある。呼吸しながらの撮影では、フレーム画像間で体厚が変化する。このため、単一のフレーム画像で決定したパラメーターを他のフレーム画像にも適用して散乱線補正処理を行うと、処理結果に影響を及ぼす可能性がある。
【0027】
そこで、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像を利用して、散乱線補正処理のパラメーターを決定する。これにより、処理時間を短縮すると共に、散乱線補正処理の処理結果に影響を及ぼすことを抑制する。
【0028】
以下に、動態画像処理装置の実施の形態の形態としての移動型放射線撮影装置10の詳細について説明する。移動型放射線撮影装置10は、機能ブロックとして、取得部11、入力部12、選択部13、決定部14、処理部15、出力部16を備える。
【0029】
取得部11は、FPDカセッテ3で動態撮影を行うことにより得られた一連のフレーム画像を取得する。動態撮影を行うことにより得られた一連の全てのフレーム画像に対し、一部のフレーム画像は、単一のフレーム画像、または、1を超え、全てのフレーム画像の数より少ない複数のフレーム画像である。
【0030】
入力部12は、全てのフレーム画像のうち、散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用される一部のフレーム画像を選択するための選択情報の入力を受け付ける。選択情報の入力とは、選択情報として一部のフレーム画像を選択する各種条件などが予め設定され、この各種条件などの事前設定情報が、撮影前やシステムの設置時などに設定される場合を含む。また、選択情報の入力とは、ユーザーが撮影時等に選択情報を入力する場合を含む。
【0031】
選択部13は、全てのフレーム画像のうち、散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用される一部のフレーム画像を、入力部12で入力された選択情報に基づき選択する。選択部13は、全てのフレーム画像のうち、パラメーターの決定で利用しないフレーム画像を、入力部12で入力された選択情報に基づき選択してもよい。
【0032】
決定部14は、全てのフレーム画像のうち、選択部13で選択された一部のフレーム画像に基づいて、散乱線補正処理のパラメーターを決定する。決定部14は、選択部13が全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像を選択すると、この一部のフレーム画像に基づいて、散乱線補正処理のパラメーターを決定する。
【0033】
また、決定部14は、選択部13が全てのフレーム画像のうち、パラメーターの決定で利用しないフレーム画像を選択すると、残部のフレーム画像、残部のうちの一部のフレーム画像に基づいて、散乱線補正処理のパラメーターを決定する。さらに、決定部14は、選択部13が全てのフレーム画像のうちの特定の1枚のフレーム画像を選択すると、このフレーム画像に基づいて、散乱線補正処理のパラメーターを決定する。なお、決定部14は、選択部13が全てのフレーム画像を選択すると、全てのフレーム画像に基づいて、散乱線補正処理のパラメーターを決定する。
【0034】
処理部15は、決定部14で決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う。
【0035】
出力部16は、散乱線補正処理が行われた画像を出力する。出力部16は、散乱線補正処理が行われた画像を表示する。また、出力部16は、散乱線補正処理が行われた画像を記憶する。
【0036】
図2Bは、移動型放射線撮影装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。移動型放射線撮影装置10の本体1は、コンソール及び動態画像処理装置としての機能を有するものである。本体1は、制御部101、操作部102、表示部103、記憶部104、通信部105、駆動部106、バッテリー107、コネクター108、充電部109、タイマー112などを備える。本体1は、上記各部がバス110により接続されている。
【0037】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部101のCPUは、操作部102の入力に応じて、記憶部104に記憶されているプログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。制御部101は、プログラムが実行されることで、上述した取得部11、入力部12、選択部13、決定部14、処理部15として機能する。
【0038】
操作部102は、表示部103の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネルなどを有する。操作部102は、手指やタッチペンなどで表示部103が押下された位置を検出し、その位置情報を操作情報として制御部101に入力する。また、操作部102は、キーボードやマウスを有してもよい。操作部102は、キーボードで入力された情報、マウスで選択された項目、範囲などの情報を操作情報として制御部101に入力する。散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する一部のフレーム画像を選択するための選択情報の入力が事前に行われる場合、あるいは、選択情報の入力を撮影時などにユーザーが行う場合、操作部102は入力部12として機能する。
【0039】
さらに、操作部102は、ユーザーが放射線の曝射開始を指示するための曝射スイッチ102aを備える。
【0040】
表示部103は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などのディスプレイにより構成され、制御部101から入力される表示信号の指示に従って、表示を行う。
【0041】
記憶部104 は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部104は、制御部101で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。表示部103及び記憶部104は、上述した出力部16として機能する。
【0042】
コネクター108は、FPDカセッテ3が着脱可能に接続される。コネクター108は、FPDカセッテ3で動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得する取得部11として機能する。
【0043】
次に、制御部101で実行されるプログラムについて説明する。プログラムは、FPDカセッテ3で動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像を取得するステップを、制御部101に実行させる。制御部101は、全てのフレーム画像を取得する上記ステップがプログラムにより実行されることで、取得部11として機能する。
【0044】
また、プログラムは、散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用される一部のフレーム画像を選択するための選択情報の入力を受け付けるステップを、制御部101に実行させる。制御部101は、パラメーターを決定する一部のフレーム画像を選択する選択情報の入力を受け付ける上記ステップがプログラムにより実行されることで、入力部12として機能する。
【0045】
さらに、プログラムは、散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用される一部のフレーム画像を選択するステップを、制御部101に実行させる。制御部101は、パラメーターを決定する一部のフレーム画像を選択する上記ステップがプログラムにより実行されることで、選択部13として機能する。
【0046】
また、プログラムは、選択された一部のフレーム画像に基づいて、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定するステップを、制御部101に実行させる。制御部101は、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する上記ステップがプログラムにより実行されることで、決定部14として機能する。
【0047】
さらに、プログラムは、決定されたパラメーターを用いて、全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行うステップを、制御部101に実行させる。制御部101は、決定されたパラメーターを用いて散乱線補正処理を行う上記ステップがプログラムにより実行されることで、処理部15として機能する。
【0048】
また、プログラムは、散乱線補正処理が行われた画像を出力するステップを、制御部101に実行させる。制御部101は、散乱線補正処理が行われた画像を出力する上記ステップがプログラムにより実行されることで、出力部16として機能する。
【0049】
これらの機能について、各機能の一部または全部は、制御部101のCPUによる処理に替えて、または、これと共に、DSP(Digital Signal Processor)による処理によって実現されてもよい。また、同様に、各機能の一部または全部は、ソフトウェアによる処理に替えて、または、これと共に、専用のハードウェア回路による処理によって実現されてもよい。
【0050】
さらに、プログラムは、記憶部104に予め記憶されているが、これに限定されない。例えば、これらのプログラムを記録している記録媒体が用意されており、この記録媒体に記憶されているプログラムが記憶部104に記憶されてもよい。これらのプログラムを記録している記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光学ディスク、SSD(Solid State Drive)のような外部記録媒体である。また、プログラムは、移動型放射線撮影装置10と有線、無線のネットワークで接続されたサーバに格納されており、ネットワークを介してプログラムが記憶部104に送られ記憶部104に記憶されてもよい。
【0051】
<動態画像の一例>
図3は、動態画像の一例を示す説明図である。
図1などに示すFPDカセッテ3で動態撮影を行うことにより、全てのフレーム画像としてm枚のフレーム画像MDが得られた例を示す。
【0052】
全てのフレーム画像とは、このm枚のフレーム画像MDを示す。一部のフレーム画像とは、n枚(1≦n<m)のフレーム画像MDを示す。
図2Aに示す選択部13は、m枚のフレーム画像MDのうち、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する一部のフレーム画像を、入力部12で入力された選択情報に基づき選択する。
【0053】
選択部13は、選択情報で一部のフレーム画像として例えば1枚超の一部のフレーム画像MDを選択する場合、n枚(1<n<m)のフレーム画像MDを選択する。また、選択部13は、選択情報で一部のフレーム画像として例えば単一のフレーム画像MDを選択する場合、所定の1枚のフレーム画像MDを選択する。さらに、選択部13は、選択情報で全てのフレーム画像MDを選択する場合、m枚全部のフレーム画像MDを選択する。
【0054】
<検査画面の一例>
図4は、検査画面の一例を示す説明図である。検査画面200は、例えば表示部103に表示される。
【0055】
検査画面200は、画像表示領域201に、散乱線除去済の画像MD1が表示される。また、検査画面200は、画像表示領域201に、
図3に示すような散乱線除去前のフレーム画像MDが表示される。検査画面200は、散乱線除去済の画像MD1を表示する場合、同画像が散乱線除去済の画像であることを通知する通知情報A1が画像表示領域201に表示される。これにより、ユーザーは、表示されている画像が散乱線除去済であるか否かを確認することができる。また、検査画面200では、全フレーム画像表示と、散乱線除去処理済のフレーム画像のみの表示を切り替える入力を受け付けられるようにしてもよい。
【0056】
検査画面200は、画像表示領域201の下部に、シークバーC1が表示される。シークバーC1に表示されているカーソルC2は、現在表示されているフレーム画像の動態画像全体における位置を示す。シークバーC1は、散乱線除去処理済のフレーム画像の範囲と、散乱線除去処理が未処理のフレーム画像の範囲が例えば色分けして表示される。これにより、ユーザーは、動態画像において散乱線除去処理済/未処理の範囲を容易に把握することができる。
【0057】
通知情報A1は、簡易処理で散乱線除去の処理を行った画像か、出力用として散乱線除去の処理を行った画像かを区別する情報が表示される。簡易処理を行った画像とは、後述するように、一部のフレーム画像を用いてパラメーターを決定し、同パラメーターで散乱線補正処理を行った画像である。出力用の画像とは、全てのフレーム画像を用いてパラメーターを決定し、同パラメーターで散乱線補正処理を行った画像でもよい。また、出力用の画像とは、一部のフレーム画像を用いてパラメーターを決定し、同パラメーターで散乱線補正処理を行った画像でもよい。
【0058】
検査画面200は、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定するフレーム画像を選択するための選択情報の入力を受け付ける画像調整部202が表示される。画像調整部202は、例えば、散乱線補正処理を行うか否か(散乱線補正処理ON/OFF)を選択する入力を受け付ける。また、画像調整部202は、散乱線補正処理を行う場合に、出力用の画像を出力するための散乱線補正処理を行うか否かを選択する入力を受け付ける。さらに、画像調整部202は、散乱線補正処理に関する各種設定の入力を受け付ける。これにより、画像調整部202は、入力部12として機能する。散乱線補正処理を行うか否か、散乱線補正処理を行う場合に、出力用の画像を出力するための散乱線補正処理を行うか否かなどの選択は、画像調整部202の操作で撮影後に行うことができる。
【0059】
検査画面200は、実施された撮影の撮影条件キー203に対応するサムネイル表示領域204に、画像表示領域201に表示された画像のサムネイル画像が表示される。
【0060】
<本実施の形態の動態画像処理システム、移動型放射線撮影装置の動作例>
図5Aは、本実施の形態の動態画像処理方法の一例を示すフローチャートである。次に、動態画像処理方法として、移動型放射線撮影装置10の制御部101で実行されるプログラムの動作例について、各図を参照して説明する。
【0061】
制御部101は、
図5AのステップSA1で、FPDカセッテ3で動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像(動態画像)を、取得部11により取得する。
【0062】
制御部101は、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する一部のフレーム画像を選択するための選択情報として、体厚変化のある撮影か否かを示す情報を、入力部12で受け付ける。制御部101は、ステップSA2で、体厚変化のある撮影か否かを示す情報に基づき、体厚変化のある撮影か判定する。
【0063】
体厚変化のない撮影の場合、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像、本例では単一のフレーム画像で、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する。そこで、制御部101は、体厚変化のない撮影であると判定すると、ステップSA3で、全てのフレーム画像のうちの一部(単一)のフレーム画像を選択部13により選択する。選択部13は、一部のフレーム画像として、m枚のフレーム画像MDに対し、例えば先頭のフレーム画像MDを選択する。また、制御部101は、全てのフレーム画像のうちの選択された単一のフレーム画像に基づいて、決定部14により散乱線補正処理のパラメーターを決定する。
【0064】
体厚変化のある撮影の場合、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像、本例では複数のフレーム画像で、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する。そこで、制御部101は、体厚変化のある撮影であると判定すると、ステップSA4で、全てのフレーム画像のうちの一部(複数)のフレーム画像を選択部13により選択する。選択部13は、一部のフレーム画像として、m枚のフレーム画像MDに対し、例えば先頭のフレーム画像MDからn枚(1<n<m)のフレーム画像MDを選択する。また、制御部101は、全てのフレーム画像のうちの選択された複数のフレーム画像に基づいて、決定部14により散乱線補正処理のパラメーターを決定する。
【0065】
制御部101は、ステップSA5で、決定されたパラメーターを用いて、処理部15により全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う。
【0066】
制御部101は、ステップSA6で、散乱線補正処理により散乱線除去済の画像を、出力部16により表示部103に表示する。
【0067】
制御部101は、ステップSA7で、散乱線補正処理により散乱線除去済の画像を、出力部16により通信部105で出力する。
【0068】
図5Bは、本実施の形態の動態画像処理方法の他の例を示すフローチャートである。制御部101は、
図5BのステップSB1で、FPDカセッテ3で動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像(動態画像)を、取得部11により取得する。
【0069】
制御部101は、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する一部のフレーム画像を選択するための選択情報として、リアルタイム表示用の画像であるか否かを示す情報を、入力部12で受け付ける。制御部101は、ステップSB2で、リアルタイム表示用の画像であるか否かを示す情報に基づき、リアルタイム表示用の画像であるか判定する。
【0070】
リアルタイム表示用の画像である場合、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像、本例では処理時間短縮のため単一のフレーム画像で、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する。そこで、制御部101は、リアルタイム表示用の画像であると判定すると、ステップSB3で、全てのフレーム画像のうちの一部(単一)のフレーム画像を選択部13により選択する。選択部13は、単一のフレーム画像として、m枚のフレーム画像MDに対し、例えは先頭のフレーム画像MDを選択する。また、制御部101は、全てのフレーム画像のうちの選択された単一のフレーム画像に基づいて、決定部14により散乱線補正処理のパラメーターを決定する。
【0071】
リアルタイム表示用の画像でない場合、全てのフレーム画像のうちの一部のフレーム画像、本例では複数のフレーム画像で、散乱線補正処理で用いるパラメーターを決定する。そこで、制御部101は、リアルタイム表示用の画像でないと判定すると、ステップSB4で、全てのフレーム画像のうちの一部(複数)のフレーム画像を選択部13により選択する。また、制御部101は、全てのフレーム画像のうちの選択された複数のフレーム画像に基づいて、決定部14により散乱線補正処理のパラメーターを決定する。
【0072】
制御部101は、ステップSB5で、決定されたパラメーターを用いて、処理部15により全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う。
【0073】
制御部101は、ステップSB6で、散乱線補正処理により散乱線除去済の画像を、出力部16により表示部103に表示する。
【0074】
<散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用されるフレーム画像の選択例>
散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用されるフレーム画像の数については、選択情報として、例えば体厚変化のある撮影か否かの入力を入力部12で受け付ける。体厚変化のある撮影か否かについては、自然呼吸、深呼吸など、検査画面200の撮影条件キー203で設定された撮影条件の入力を受け付けて判断する。
【0075】
そこで、選択部13は、散乱線補正処理のパラメーターの決定に利用される一部のフレーム画像の数を、入力部12で入力された選択条件に基づき動態撮影の撮影条件で選択する。選択部13は、撮影条件が体厚変化のない撮影の場合、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像に単一のフレーム画像を選択する。これに対し、選択部13は、撮影条件が体厚変化のある撮影の場合、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像に、1を超え、全てのフレーム画像の数より少ない数の複数のフレーム画像を選択する。
【0076】
また、散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用されるフレーム画像の数については、選択情報として、例えば、画像の用途を入力部12で受け付ける。画像の用途は、例えばリアルタイム表示用画像か否かである。リアルタイム表示とは、動態撮影に合わせて、撮影した動画をリアルタイムで表示することである。リアルタイム表示用画像でない画像とは、確認用画像か、PACS40、動態解析装置50などへの出力用画像である。
【0077】
そこで、選択部13は、散乱線補正処理のパラメーターの決定に利用するフレーム画像の数を、入力部12で入力された選択条件に基づき画像の用途で選択する。選択部13は、画像の用途がリアルタイム表示用画像である場合、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像に単一のフレーム画像を選択する。単一のフレーム画像を利用して決定したパラメーター用いて、処理部15により全てのフレーム画像に対して散乱線補正処理を行う処理を簡易処理とも称す。簡易処理では、単一のフレーム画像を利用してパラメーターを決定するため、処理時間を短縮できる。
【0078】
これに対し、選択部13は、画像の用途が確認用画像か出力用画像である場合、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像に、複数のフレーム画像を選択する。なお、画像の用途が出力用画像である場合、動態解析装置50での解析影響回避のため、全てのフレーム画像を利用して、それぞれパラメーターを決定してもよい。また、リアルタイム表示であっても、一定の画質を求められる場合などは一部のフレーム画像を利用してパラメーターを決定してもよい。その場合は、単一のフレーム画像を利用してパラメーターを決定する場合までに至らずとも、対象とするフレーム画像の数を抑えることで処理時間を短縮できる。また、その場合、パラメーターの決定に利用するフレーム画像の数に対し、撮影開始直後は不足している状態が生じる。例えば、一部のフレーム画像の数が5枚と設定されていても、撮影直後は1枚ずつフレーム画像が届くため、5枚届くまでは数が不足する。そのため、設定された数に届くまでは、設定された数よりも少ない数のフレーム画像によりパラメーターを決定し、散乱線除去処理を行う。
【0079】
なお、移動型放射線撮影装置10からの画像出力先が、PACS40のような散乱線除去処理や画像信号値に基づく解析処理が実施されない外部装置である場合、移動型放射線撮影装置10では、散乱線除去処理が実行される。
【0080】
一方、例えば、移動型放射線撮影装置10からの画像出力先が動態解析装置50のような、画像解析を実施可能な外部装置である場合、解析する上で、散乱線除去処理が不要な解析がある。そのため、散乱線除去処理を実施していない画像を出力し、画像出力先で目的に応じて処理可能とすることが望ましい。そこで、例えば、画像送信先が動態解析装置50のような画像解析を実施可能な外部装置である場合、パラメーターを決定し、散乱線除去処理を実施しない処理が選択されるようにしてもよい。
【0081】
さらに、散乱線補正処理のパラメーターを決定するため利用される一部のフレーム画像の範囲については、選択情報として、例えば、撮影条件を入力部12で受け付ける。
【0082】
そこで、選択部13は、パラメーターの決定に利用するフレーム画像の範囲を、入力部12で入力された撮影条件に基づき体厚変化に合わせて選択する。撮影条件が例えば動態胸部息止めの場合、体厚変化は少ない。この撮影条件の場合、選択部13は、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像に単一のフレーム画像を選択する。
【0083】
これに対し、撮影条件が動態胸部深呼吸の場合、体厚変化がある。撮影条件が動態胸部自然呼吸の場合も、体厚変化がある。これら撮影条件の場合、選択部13は、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像に、複数のフレーム画像を選択する。また、選択部13は、これら撮影条件の場合、パラメーターの決定に利用するフレーム画像に、被写体の呼吸1回分のフレーム画像を含む一部のフレーム画像を選択する。なお、呼吸1回分のフレーム画像を含む一部のフレーム画像をパラメーターの決定に利用した場合、そのパラメーターを後のフレーム画像全てに使用してもよい。また、次の呼吸1回分のフレーム画像にのみ適用して、常に1つ前の呼吸1回分のフレーム画像を一部のフレーム画像としてパラメーターを更新してもよい。例えば、撮影全体で4呼吸分あった場合、1呼吸目のフレーム画像をパラメーターの決定に利用する。そして、1呼吸目のフレーム画像で決定したパラメーターを後の全部に適用する。あるいは、1呼吸目のフレーム画像で決定したパラメーターは、2呼吸目のフレーム画像のみに適用する。3呼吸目のフレーム画像に対しては、2呼吸目のフレーム画像をパラメーターの決定に利用する。そして、3呼吸目は2呼吸目からのパラメーターを適用することで、常に1つ前の呼吸1回分のフレーム画像を一部のフレーム画像としてパラメーターを更新する。
【0084】
また、動態撮影を行うことにより得られた全てのフレーム画像のうち、先頭のフレーム画像には、体動のある画像が撮影されていることが多い。そこで、選択部13は、パラメーターの決定に利用するフレーム画像から、先頭のフレーム画像を除外してもよい。
【0085】
さらに、移動型放射線撮影装置10による動態撮影では、被写体(患者)に体位や呼吸の仕方などを誘導する音声ガイドが出力される。そこで、選択部13は、音声ガイドに合わせて、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像の数、範囲を選択してもよい。
【0086】
また、入力部12は、パラメーターの決定に利用する一部のフレーム画像、パラメーターの決定から除外するフレーム画像を、ユーザーの操作で選択する選択情報の入力を受け付ける。これにより、ユーザーは、検査画面200を見て、例えば撮影に失敗したフレーム画像については、パラメーターの決定に利用するフレーム画像から除外することができる。さらに、パラメーターの決定から除外するフレーム画像の判断が、選択情報の事前設定による自動判断で行われてもよい。例えば、予め体動を検知したフレーム画像や写損判定処理などでNG判定となったフレーム画像を除外するなどの事前設定情報を、選択情報として入力部12で設定しておく。そして、選択部13は、パラメーターの決定から除外するフレーム画像の判断を、事前設定情報に基づき自動的に行って、対象のフレーム画像を除外してもよい。
【0087】
撮影条件が動態胸部息止めなど、被写体の移動(体厚変化)が少ない撮影では、選択部13は、例えば、先頭のフレーム画像からnフレーム目(1<n<m)までのフレーム画像を選択する。パラメーターの決定で利用するフレーム画像の判断は、例えば、選択情報の事前設定による自動判断で行われる。決定部14は、先頭のフレーム画像からnフレーム目までのフレーム画像でパラメーターを決定する。処理部15は、その結果の平均や中央値を、その他フレームの画像にも適用して、散乱線補正処理を行う。
【0088】
また、撮影条件が呼気吸気撮影や動きのある関節撮影のような場合は、体厚変化に連続性がある。そこで、選択部13は、特定のフレーム間隔でフレーム画像を選択する。選択部13は、例えば、偶数フレームのフレーム画像のみを選択する。パラメーターの決定で利用するフレーム画像の判断は、例えば、選択情報の事前設定による自動判断で行われる。決定部14は、偶数フレームのフレーム画像でパラメーターを決定する。処理部15は、偶数フレームの前後の奇数フレームについては、偶数フレームで決定したパラメーターに所定の補間をして求めたパラメーターを適用して、散乱線補正処理を行う。
【0089】
上述したように、パラメーターの決定に利用するフレーム画像の数、範囲の選択は、選択情報の事前設定による自動判断で行われてもよい。事前設定される選択情報である事前設定情報は、撮影前やシステムの設置時などに、入力部12により予め設定される。事前設定情報は、撮影装置単位、ユーザー単位、施設単位などで設定してもよい。また、事前設定情報は、撮影条件毎に定義し、選択した撮影条件に応じて、パラメーターの決定に利用するフレーム画像の数や範囲を指定してもよい。さらに、体厚変化による判断の要否、呼吸周期の確認の要否、除外対象の判断要否、先頭除外などの判断自体の要否についても、事前設定情報に応じて行われるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
10・・・移動型放射線撮影装置(動態画像処理装置)、11・・・取得部、12・・・入力部、13・・・選択部、14・・・決定部、15・・・処理部、16・・・出力部、100・・・動態画像処理システム、101・・・制御部、102・・・操作部、103・・・表示部、104・・・記憶部、105・・・通信部、3・・・FPDカセッテ