(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135427
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】エレベータの据付治具およびエレベータの据付治具の据付方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B66B7/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046104
(22)【出願日】2023-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-30
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紘平
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】揚重ビームの直下から支持部材を吊り保持できない場合においても、揚重ビームへのねじりを緩和するエレベータの据付治具を得る。
【解決手段】
昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられた複数の吊金具と、複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸び、少なくとも2つの吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられた複数の吊金具と、
前記複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸び、少なくとも2つの前記吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材と、
を備えるエレベータの据付治具。
【請求項2】
前記吊金具は、前記揚重ビームにひっかけて支持する溝を有する2つのH鋼吊金具を裏表重ね合わせて構成される請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項3】
前記吊金具は、前記吊部材により挟持されピンにより固定されている請求項1または2に記載のエレベータの据付治具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記吊部材の端部と接続されている請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項5】
2本の前記支持部材を各々吊り保持する請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項6】
前記揚重ビームは、H鋼である請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項7】
前記支持部材は、ロッドである請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項8】
複数の吊金具が、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられるステップと、
前記複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸びる吊部材が、少なくとも2つの前記吊金具に固定されるステップと、
巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材が、前記吊部材の下方に前記巻上機が設けられていない端部側に接続されるステップと、
を備えるエレベータの据付治具の据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータの据付治具およびエレベータの据付治具の据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、エレベータの据付を行う際、昇降路内に仮設足場の建設を不要とする工法(以下、「足場なし工法」と呼ぶ)による据付が行われている。この足場なし工法は、昇降路内にかごおよびガイドレールを先に設置し、作業者はかごに乗って据付作業を行う。したがって、足場なし工法によるエレベータの据付作業を行うにあたって、まずはかごおよびガイドレールを昇降路内に設置するための揚重機を昇降路の頂部へ設置する必要がある。
【0003】
ガイドレールを据付する工法として特許文献1では、吊り金具により一対のH鋼に吊り保持された上部返し車梁を備え、H鋼および上部返し車梁を利用して所定の吊り上げ高さを確保する機械室レスエレベータのガイドレール据え付け工法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記ガイドレール据え付け工法は、電動荷揚げ装置および手動荷揚げ装置がH鋼に吊り保持された上部返し車梁に吊設されるので、アンカー打設が省略できるとともに、電動荷揚げ装置および手動荷揚げ装置の設置高さ位置を高くでき、所定の吊り上げ高さを確保することができる。一方で、上部返し車梁は一対のH鋼各々の直下から吊り保持された吊り金具およびロッドを介して揚重されているため、上部返し車梁の上部に揚重機を設置するなどした場合には、ロッドと揚重機とが干渉してしまいH鋼の直下からロッドを吊り保持できない。したがってこのような場合、H鋼の直下からずれた位置よりロッドを吊り保持して上部返し車梁を揚重する必要があるため、H鋼にねじりがかかり強度が不足してしまう。
【0006】
本開示は上述のような課題を解決するためになされたものであり、揚重ビームの直下から支持部材を吊り保持できない場合においても、揚重ビームへのねじりを緩和するエレベータの据付治具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかるエレベータの据付治具は、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられた複数の吊金具と、複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸び、少なくとも2つの吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材と、を備えたものである。
【0008】
本開示にかかるエレベータの据付治具の据付方法は、複数の吊金具が、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられるステップと、複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸びる吊部材が、少なくとも2つの吊金具に固定されるステップと、巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材が、吊部材の下方に巻上機が設けられていない端部側に接続されるステップと、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示のエレベータの据付治具によれば、揚重ビームに各々取り付けられた少なくとも2つの吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材を設けることにより、揚重ビームの直下から支持部材を吊り保持できない場合においても揚重ビームへのねじりを緩和する効果を有する。
【0010】
本開示のエレベータの据付治具の据付方法によれば、複数の吊金具が、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられるステップと、複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸びる吊部材が、少なくとも2つの吊金具に固定されるステップと、巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材が、吊部材の下方に巻上機が設けられていない端部側に接続されるステップと、を備えることにより、揚重ビームの直下から支持部材を吊り保持できない場合においても揚重ビームへのねじりを緩和する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1にかかるエレベータの昇降路内の一部概略図である。
【
図2】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の構成図である。
【
図3】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊金具の構成図である。
【
図4】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊金具を揚重ビームへ取付けた様子を示す図である。
【
図5】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊部材および吊金具の固定方法を示す図である。
【
図6】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊部材および吊金具をピンで固定し、昇降路の頂部から見た図である。
【
図7】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具に作用する力を説明するための図である。
【
図8】実施の形態1にかかるエレベータの昇降路内の一部概略図である。
【
図9】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の構成図である。
【
図10】実施の形態1にかかるエレベータの据付治具に作用する力を説明するための図である。
【
図11】実施の形態2にかかるエレベータの昇降路内の一部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は例示である。また、各実施の形態は、適宜組み合わせて実行することができる。
【0013】
また、適宜図示したようにx軸、y軸およびz軸を設定して説明を行う。x軸は、吊部材が延伸する方向である。y軸は、エレベータのかごが昇降する方向である。z軸は、揚重ビームが延伸する方向である。なお、x軸、y軸およびz軸は互いに直交した軸である。
【0014】
実施の形態1.
図1は実施の形態1にかかるエレベータの昇降路内の一部概略図である。
図2は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の構成図である。
図3は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊金具の構成図である。
図4は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊金具を揚重ビームへ取付けた様子を示す図である。
図5は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊部材および吊金具の固定方法を示す図である。
図6は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の吊部材および吊金具をピンで固定し、昇降路の頂部から見た図である。
図7は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具に作用する力を説明するための図である。
図8は実施の形態1にかかるエレベータの昇降路内の一部概略図である。
図9は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具の構成図である。
図10は実施の形態1にかかるエレベータの据付治具に作用する力を説明するための図である。
【0015】
図1は、エレベータの昇降路内の一部をz軸側から見た図である。
図1に示すように、据付治具100は、吊部材3および吊金具4を備え、昇降路頂部1に設置された揚重ビーム2に支持されている。据付治具100については、詳細を後述する。
【0016】
昇降路頂部1は、昇降路内の最上部であり昇降路の天井である。昇降路頂部1には、複数の揚重ビーム2が互いに干渉することなく平行に設置されている。
【0017】
揚重ビーム2は、昇降路内においてz軸方向に延伸して複数配置されている。
図1には、揚重ビーム2a、2bおよび2cの3つを示している。揚重ビーム2は、互いに間隔を空けて平行に配置され、昇降路の壁面まで延伸して設けられている。なお、揚重ビーム2の設置方法は、昇降路の壁面にアンカーボルトなどで取り付けられた取付金と揚重ビーム2の端部とを溶接により固定する。
【0018】
揚重ビーム2は、例えば
図1に示すように、z軸方向に長手方向を有しH形の断面形状に成形されたH鋼である。なお、揚重ビーム2はH鋼に限らず吊金具4が支持できる形鋼であれば形状、素材などを問わないが、エレベータの昇降路内で一般的に用いられるH鋼とすることで、新たに製造する必要がなく製造コストを抑えることができる。
【0019】
支持部材6は、巻上機台7を吊るして支持している。巻上機台7には巻上機11が設置されている。
図1に示すように、巻上機台7は2本の支持部材6により吊るされている。揚重ビーム2cを支持する吊金具4と金具を介して接続されている支持部材6は、揚重ビーム2cの真下から巻上機台7を吊るして支持している。なお、支持部材6は巻上機台7を吊るして支持することができれば形状、素材、数など問わない。例えば、
図1に示すようにロッドを用いるとよい。
【0020】
巻上機11は、エレベータを動かすための駆動装置であり、綱車12、モーター、減速機などを有する。なお、モーターおよび減速機の説明および図示は省略する。
【0021】
綱車12は、主ロープ8を掛ける回転車のことであり、主ロープ8の先端にはそれぞれ釣り合いおもり9およびかご10が接続されている。主ロープ8は、エレベータの釣り合いおもり9およびかご10を連結するための鋼鉄製のワイヤーである。釣り合いおもり9とかご10とは、昇降路内を互いに相反する方向に昇降する。
【0022】
次に、
図2から
図6を用いて据付治具100について説明をする。
図2に示すように、据付治具100は吊部材3および吊金具4を備えている。吊金具4は、揚重ビーム2に各々取り付けられている。吊部材3は吊金具4を挟持して固定されている。吊部材3および吊金具4の固定はピン5により固定されている。
【0023】
吊金具4は、
図3に示すように2つのH鋼吊金具4aにより構成されている。2つのH鋼吊金具4aは表裏を逆にしたものである。H鋼吊金具4aには、ピンなどで固定するための穴が開いている。また、H鋼吊金具4aは、揚重ビーム2を引っかけるための溝13が形成されている。
【0024】
H鋼吊金具4aは、
図4に示すように溝13を揚重ビーム2のx軸方向に突出した部分にひっかけて設置をする。また、H鋼吊金具4aは互いに表裏を反対にし、H鋼吊金具4aに設けられた穴が同軸となるように重ね合わせて揚重ビーム2を支持し設けられている。吊金具4は、2枚のH鋼吊金具4aの溝13を揚重ビーム2に密接するようにひっかけて揚重ビーム2を支持することにより、高い強度を得ることができる。
【0025】
次に
図5を用いて、吊金具4への吊部材3の固定の仕方について説明する。
図5に示すように、2つの吊部材3は揚重ビーム2を支持する吊金具4をz軸方向から挟持する。その際、吊部材3は吊部材3に設けられた穴および吊金具4に設けられた穴が同軸となるように吊金具4を挟持し、穴にピン5を挿入して固定する。
【0026】
図6は、据付治具100の吊部材3および吊金具4を昇降路の頂部から見た図である。点線は吊部材3および吊金具4の穴に挿入されたピン5を示している。
図6に示すように、吊部材3は吊金具4を挟持してピン5により固定されている。このように、吊部材3および吊金具4は、揚重ビーム2の直下でピン5に固定されていることにより、揚重ビーム2への荷重が垂直方向すなわちy軸方向からかかるようになり、ねじりを抑制することができる。
【0027】
ここで、揚重ビーム2の直下とは、揚重ビーム2の下フランジの真下を指す。つまり、吊部材3の揚重ビーム2の下フランジと接する位置よりy軸方向の下向きにおいて、吊部材3と吊金具4とはピン5により固定されていればよい。さらに、揚重ビーム2のウェブの真下において、吊部材3と吊金具4とをピン5により固定することで、より揚重ビーム2へのねじりを抑制することができる。
【0028】
図7は、据付治具100に作用する力を説明するための図である。矢印は力を示している。巻上機台7を吊り上げる支持部材6と接続された吊部材3には、巻上機台7の質量および主ロープ8の懸垂荷重がy軸方向の下向きに吊荷重としてかかる。一方で、吊部材3および吊金具4をピン5により固定された揚重ビーム2の直下に位置する固定点には、y軸方向に反力が働く。詳細には、支持部材6に近い揚重ビーム2cの直下に位置する固定点には、y軸方向の上向きに反力が働く。また、揚重ビーム2bの直下に位置する固定点には、y軸方向の下向きに反力が働く。このように、揚重ビーム2cの直下から支持部材6を吊るして巻上機台7を吊り保持できない場合に、揚重ビーム2cへねじりが生じてしまうが、吊部材3は揚重ビーム2bおよび2cの直下において、揚重ビーム2を支持する吊金具4と吊金具4を挟持する吊部材3とがピン5により固定されているため、揚重ビーム2cへのねじりを緩和することができる。
【0029】
なお、吊部材3および吊金具4の固定方法は、ピン5による固定方法を説明したがこれに限らず、例えばボルトによる締結などでもよい。また、吊部材3は、吊部材3のx軸方向における端部において支持部材6と接続され、巻上機台7を吊り保持する例を示したが、例えば
図8および
図9に示すような吊部材3を用いてもよい。
【0030】
図8は、エレベータの昇降路内の一部概略図である。
図9は、エレベータの据付治具の構成図である。
図8および
図9に示す吊部材3は、吊部材3のx軸方向における端部からではなく、下方に巻上機11が設けられていない端部側において支持部材6と接続し、巻上機台7を吊り保持している。なお、吊部材3の端部側とは端部も含む。
【0031】
ここで端部側とは、x軸方向において昇降路の壁面から最も近い吊部材3および吊金具4の固定点よりも昇降路の壁面側を指す。したがって、吊部材3が支持部材6と接続する位置は、
図1に示す吊部材3のx軸方向における端に限らず、
図8に示すような揚重ビーム2bを支持する吊金具4と吊部材3とのピン5による固定点よりもx軸方向における昇降路の壁面側において、支持部材6は接続されていればよい。
【0032】
支持部材6は、吊部材3の端部側からy軸方向の下向きに巻上機11と干渉することなく巻上機台7を吊り保持する。その際、吊部材3の端部側には
図10に示すように、巻上機台7の質量および主ロープ8の懸垂荷重がy軸方向の下向きに吊荷重としてかかる。揚重ビーム2cの直下から支持部材6を吊り保持できない場合には、揚重ビーム2にねじりが生じてしまう。しかし、本実施の形態にかかるエレベータの据付治具100は、吊部材3を揚重ビーム2bおよび2c各々を支持する吊金具4をz軸方向から挟持し、揚重ビーム2bおよび2cの直下において吊部材3および吊金具4をピン5により固定する。これにより、揚重ビーム2cにはy軸方向の上向きの力、揚重ビーム2bにはy軸方向の下向きの力が働くため、揚重ビーム2cへのねじりを緩和することができる。
【0033】
以上より、本実施の形態にかかるエレベータの据付治具100は、昇降路の頂部に平行に設けられた少なくとも2つ以上の揚重ビーム2を各々支持する吊金具4と、吊金具4を挟持して各々固定され、揚重ビーム2の直下からずれた端部側において巻上機11が設置された巻上機台7を吊るす支持部材6と接続された吊部材3と、を備えている。この構成により、揚重ビーム2の直下から支持部材6を吊り保持できない場合においても揚重ビーム2へのねじりを緩和する効果を有する。
【0034】
実施の形態2.
本実施の形態は
図11を用いて説明をする。
図11は本実施の形態にかかるエレベータの昇降路内の一部概略図である。
【0035】
実施の形態1では、昇降路の頂部に平行に設けられた少なくとも2つ以上の揚重ビーム2を各々支持する吊金具4と、吊金具4を挟持して各々固定され、揚重ビーム2の直下からずれた端部側において巻上機11が設置された巻上機台7を吊るす支持部材6と接続された吊部材3と、を備えたエレベータの据付治具100を示した。実施の形態2では、巻上機台7を吊るす2本の支持部材6と各々接続されたエレベータの据付治具100を示す。それ以外の構成は実施の形態1と同様であり、実施の形態1と同じ構成には同じ番号を付し、説明は省略する。
【0036】
本実施の形態にかかるエレベータの据付治具100は、昇降路の頂部に平行に設けられた少なくとも2つ以上の揚重ビーム2を各々支持する吊金具4と、吊金具4を挟持して各々固定され、揚重ビーム2の直下からずれた端部側において巻上機11が設置された巻上機台7を吊るす支持部材6と接続された吊部材3と、を備えている。この構成により、揚重ビーム2の直下から支持部材6を吊り保持できない場合においても揚重ビーム2へのねじりを緩和する効果を有する。
【0037】
また、
図11に示すようにエレベータの据付治具100は、巻上機台7を吊るす2本の支持部材6と各々接続されている。巻上機台7に巻上機11が設置されるなど揚重ビーム2の直下から支持部材6により巻上機台7を吊るすことが困難な場合、支持部材6は揚重ビーム2の直下からx軸方向にずれた位置から吊るし、巻上機台7を吊り保持する必要があるが、このような場合揚重ビーム2にねじりが生じてしまう。
【0038】
そこで、巻上機台7を吊るす2本の支持部材6のどちらも揚重ビーム2の直下から巻上機台7を吊り保持できない場合に、
図11に示すように2つの据付治具100を用いて支持部材6を各々吊るすことにより、揚重ビーム2へのねじりを緩和し、巻上機台7を吊り保持することができる。また、据付治具100を用いて巻上機台7を吊り保持することで、巻上機台7へ巻上機11を設置する際、制約なく設置することができる。
【0039】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0040】
(付記1)
昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられた複数の吊金具と、
前記複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸び、少なくとも2つの前記吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材と、
を備えるエレベータの据付治具。
(付記2)
前記吊金具は、前記揚重ビームにひっかけて支持する溝を有する2つのH鋼吊金具を裏表重ね合わせて構成される付記1に記載のエレベータの据付治具。
(付記3)
前記吊金具は、前記吊部材により挟持されピンにより固定されている付記1または2に記載のエレベータの据付治具。
(付記4)
前記支持部材は、前記吊部材の端部と接続されている付記1から3のいずれか一項に記載のエレベータの据付治具。
(付記5)
2本の前記支持部材を各々吊り保持する付記1から4のいずれか一項に記載のエレベータの据付治具。
(付記6)
前記揚重ビームは、H鋼である付記1から5のいずれか一項に記載のエレベータの据付治具。
(付記7)
前記支持部材は、ロッドである付記1から6のいずれか一項に記載のエレベータの据付治具。
(付記8)
複数の吊金具が、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられるステップと、
前記複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸びる吊部材が、少なくとも2つの前記吊金具に固定されるステップと、
巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材が、前記吊部材の下方に前記巻上機が設けられていない端部側に接続されるステップと、
を備えるエレベータの据付治具の据付方法。
【符号の説明】
【0041】
100 据付治具、1 昇降路頂部、2、2a、2b、2c、2d 揚重ビーム、3 吊部材、4 吊金具、4a H鋼吊金具、5 ピン、6 支持部材、7、巻上機台、8、ロープ、9 釣り合いおもり、10 かご、11 巻上機、12 綱車、13 溝
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられた複数の吊金具と、
前記揚重ビームの長手方向に直交し前記複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸び、少なくとも2つの前記吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材と、
を備えるエレベータの据付治具。
【請求項2】
前記吊金具は、前記揚重ビームにひっかけて支持する溝を有する2つのH鋼吊金具を裏表重ね合わせて構成される請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項3】
前記吊金具は、前記吊部材により挟持されピンにより固定されている請求項1または2に記載のエレベータの据付治具。
【請求項4】
前記支持部材は、前記吊部材の端部と接続されている請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項5】
前記支持部材は、前記吊部材の端部と接続されている請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項6】
前記揚重ビームは、H鋼である請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項7】
前記支持部材は、ロッドである請求項1に記載のエレベータの据付治具。
【請求項8】
複数の吊金具が、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられるステップと、
前記揚重ビームの長手方向に直交し前記複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸びる吊部材が、少なくとも2つの前記吊金具に固定されるステップと、
巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材が、前記吊部材の下方に前記巻上機が設けられていない端部側に接続されるステップと、
を備えるエレベータの据付治具の据付方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示にかかるエレベータの据付治具は、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられた複数の吊金具と、揚重ビームの長手方向に直交し複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸び、少なくとも2つの吊金具に固定され、下方に巻上機が設けられていない端部側において巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材と接続された吊部材と、を備えたものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示にかかるエレベータの据付治具の据付方法は、複数の吊金具が、昇降路の頂部に平行に設けられた複数の揚重ビームに各々取り付けられるステップと、揚重ビームの長手方向に直交し複数の吊金具が並んだ方向に沿って伸びる吊部材が、少なくとも2つの吊金具に固定されるステップと、巻上機が設置された巻上機台を吊るす支持部材が、吊部材の下方に巻上機が設けられていない端部側に接続されるステップと、を備えたものである。