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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135428
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】蓄電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/503 20210101AFI20240927BHJP
   H01M 50/159 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/51 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/516 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240927BHJP
   H01M 50/293 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/159
H01M50/51
H01M50/516
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/293
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046105
(22)【出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 陽三
【テーマコード(参考)】
5H011
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC06
5H040AA03
5H040AY08
5H043AA19
5H043FA04
5H043FA22
5H043HA11F
(57)【要約】
【課題】正極外部端子及び負極外部端子がケースと絶縁された蓄電デバイスに比べて、部品点数を少なくできる蓄電デバイスを複数備える蓄電モジュールを提供すること。
【解決手段】蓄電モジュール1は、電極体150の負極集電部150dに導通した第1ケース110、及び、電極体150の正極集電部150cに接続する正極外部端子160を有する第1蓄電デバイス100と、電極体250の正極集電部250cに導通した第2ケース210、及び、電極体250の負極集電部250dに接続する負極外部端子270を有する第2蓄電デバイス200とを有し、第1ケース110と第2ケース210が導通され、第1蓄電デバイス100と第2蓄電デバイス200が直列接続された蓄電デバイス対10を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有するケースと、前記ケース内に収容され、正極集電部及び負極集電部を含む電極体とを有する蓄電デバイスを、複数備える蓄電モジュールであって、
前記ケースが前記電極体の前記負極集電部に導通して負極電位とされた第1ケースであり、前記第1ケースと絶縁され、かつ前記第1ケースに固設され、前記第1ケース内で前記電極体の前記正極集電部に接続する正極外部端子を有する第1蓄電デバイスと、
前記ケースが前記電極体の前記正極集電部に導通して正極電位とされた第2ケースであり、前記第2ケースと絶縁され、かつ前記第2ケースに固設され、前記第2ケース内で前記電極体の前記負極集電部に接続する負極外部端子を有する第2蓄電デバイスと、を有し、
前記第1ケースと前記第2ケースとが導通され、前記第1蓄電デバイスと前記第2蓄電デバイスとが直列接続された
蓄電デバイス対を備える
蓄電モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電モジュールであって、
前記蓄電デバイス対は、
前記第1蓄電デバイスの前記第1ケースと前記第2蓄電デバイスの前記第2ケースとが溶接されてなる
蓄電モジュール。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の蓄電モジュールであって、
前記蓄電デバイス対を複数備えており、
各々の前記蓄電デバイス対をなす前記第1蓄電デバイス及び前記第2蓄電デバイスは、積層方向に積層されてなり、
各々の前記蓄電デバイス対は、絶縁部材を介して前記積層方向に積層されてなる
蓄電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性のケース内に電極体が収容された蓄電デバイスを、複数備える蓄電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
導電性のケース内に電極体が収容された電池を、複数備える電池モジュールが知られている。従来の電池モジュールでは、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された状態でケースに固設された電池を用いており、例えば、一の電池の正極外部端子とこれに隣り合う他の電池の負極外部端子とを、別途用意したバスバなどの導電接続部材を介して電気的に接続している。関連する従来技術として、例えば特許文献1が挙げられる(特許文献1の図1図2等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-10714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の電池は、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された形態であるため、正極外部端子及び負極外部端子のそれぞれに絶縁部材が必要であり、部品点数が多い。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された蓄電デバイスに比べて、部品点数を少なくすることができる蓄電デバイスを複数備える蓄電モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するための本発明の一態様は、導電性を有するケースと、前記ケース内に収容され、正極集電部及び負極集電部を含む電極体とを有する蓄電デバイスを、複数備える蓄電モジュールであって、前記ケースが前記電極体の前記負極集電部に導通して負極電位とされた第1ケースであり、前記第1ケースと絶縁され、かつ前記第1ケースに固設され、前記第1ケース内で前記電極体の前記正極集電部に接続する正極外部端子を有する第1蓄電デバイスと、前記ケースが前記電極体の前記正極集電部に導通して正極電位とされた第2ケースであり、前記第2ケースと絶縁され、かつ前記第2ケースに固設され、前記第2ケース内で前記電極体の前記負極集電部に接続する負極外部端子を有する第2蓄電デバイスと、を有し、前記第1ケースと前記第2ケースとが導通され、前記第1蓄電デバイスと前記第2蓄電デバイスとが直列接続された蓄電デバイス対を備える蓄電モジュールである。
【0007】
上述の蓄電モジュールは、第1蓄電デバイス及び第2蓄電デバイスを有する蓄電デバイス対を1または複数備える。
第1蓄電デバイスは、第1ケースが電極体の負極集電部に導通し、第1ケースが負極外部端子を兼ねているので、負極については絶縁部材が要らない。このため、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された蓄電デバイスに比べて、部品点数を少なくすることができる。
また第2蓄電デバイスは、第2ケースが電極体の正極集電部に導通し、第2ケースが正極外部端子を兼ねているので、正極については絶縁部材が要らない。このため、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された蓄電デバイスに比べて、部品点数を少なくすることができる。
また蓄電デバイス対をなす第1蓄電デバイスの第1ケースと第2蓄電デバイスの第2ケースとが導通しているので、ケースと絶縁された状態でケースに固設された電極外部端子同士を接続するのに比して、第1蓄電デバイスと第2蓄電デバイスを低抵抗で接続できる。
【0008】
なお、「蓄電デバイス」としては、例えば、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、カルシウムイオン二次電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等のキャパシタなどが挙げられる。
蓄電デバイス対をなす第1蓄電デバイスの第1ケースと第2蓄電デバイスの第2ケースとは、例えば、溶接、ロウ付け、ハンダ付け等により接続したり、単にケース同士を接触させて接続したりするほか、バスバなどの導電接続部材を介して接続してもよい。
【0009】
第1蓄電デバイスにおける第1ケースと電極体の負極集電部とは、例えば、溶接、ロウ付け、ハンダ付け等により接続するほか、導電接続部材を介して接続してもよい。
また第2蓄電デバイスにおける第2ケースと電極体の正極集電部とは、例えば、溶接、ロウ付け、ハンダ付け等により接続するほか、導電接続部材を介して接続してもよい。
蓄電モジュールが複数の蓄電デバイス対を備える場合、蓄電デバイス対同士は、直列接続してもよいし、並列接続してもよい。
【0010】
(2)(1)に記載の蓄電モジュールであって、前記蓄電デバイス対は、前記第1蓄電デバイスの前記第1ケースと前記第2蓄電デバイスの前記第2ケースとが溶接されてなる蓄電モジュールとすると良い。
【0011】
上述の蓄電モジュールでは、蓄電デバイス対をなす第1蓄電デバイスの第1ケースと第2蓄電デバイスの第2ケースとが溶接されているので、第1ケースと第2ケースを単に接触させた場合よりも低抵抗とすることができる。
【0012】
(3)(1)または(2)に記載の蓄電モジュールであって、前記蓄電デバイス対を複数備えており、各々の前記蓄電デバイス対をなす前記第1蓄電デバイス及び前記第2蓄電デバイスは、積層方向に積層されてなり、各々の前記蓄電デバイス対は、絶縁部材を介して前記積層方向に積層されてなる蓄電モジュールとすると良い。
【0013】
上述の蓄電デバイスでは、各々の蓄電デバイス対をなす第1蓄電デバイス及び第2蓄電デバイスを積層方向に積層し、各々の蓄電デバイス対を絶縁部材を介して積層方向に積層しているので、蓄電デバイス対同士を絶縁しつつ、各々の蓄電デバイス対をなす第1蓄電デバイス及び第2蓄電デバイスを積層した蓄電モジュールとすることができる。
【0014】
なお、「絶縁部材」としては、例えば、絶縁性の樹脂やセラミック等からなる絶縁スペーサ、絶縁性の樹脂フィルムや熱収縮性を付与した熱収縮フィルムからなる絶縁フィルムなどが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る電池モジュールの部分破断断面図である。
図2】実施形態に係る電池モジュールの上面図である。
図3】実施形態に係る第1電池の斜視図である。
図4】実施形態に係る第1電池のケース高さ方向及びケース幅方向に沿う部分破断断面図である。
図5】実施形態に係る第1電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、図3及び図4におけるB-B矢視断面図である。
図6】実施形態に係る第2電池の斜視図である。
図7】実施形態に係る第2電池のケース高さ方向及びケース幅方向に沿う部分破断断面図である。
図8】実施形態に係る第2電池のケース幅方向及びケース厚み方向に沿う、図6及び図7におけるB-B矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。図1に本実施形態に係る電池モジュール(蓄電モジュール)1の部分破断断面図を、図2に電池モジュール1の上面図を示す。また図3に第1電池(第1蓄電デバイス)100の斜視図を、図4及び図5に第1電池100の断面図を示す。また図6に第2電池(第2蓄電デバイス)200の斜視図を、図7及び図8に第2電池200の断面図を示す。なお、以下では、第1電池100及び第2電池200のケース高さ方向AH、ケース幅方向BH、ケース厚み方向CHを、図1図8に示す方向と定めて説明する。
【0017】
電池モジュール1は、ハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、電気自動車等の車両などに搭載される。この電池モジュール1は、第1電池100と第2電池200とから構成される電池対(蓄電デバイス対)10を複数備える。第1電池100及び第2電池200は、それぞれ角型(直方体状)で密閉型のリチウムイオン二次電池である。
【0018】
まず第1電池100について説明する(図3図5参照)。第1電池100は、負極電位とされた第1ケース(ケース)110と、第1ケース110内に収容された、直方体状で積層型の電極体150と、第1ケース110に絶縁しつつ支持された正極外部端子160等から構成されている。電極体150は、第1ケース110内で、絶縁フィルムからなる袋状の図示しない絶縁ホルダに覆われている。また第1ケース110内には、電解液103が収容されており、その一部は電極体150内に含浸され、残りは第1ケース110の底壁部である第2側壁部114上に溜まっている。
【0019】
第1ケース110は、金属(本実施形態ではアルミニウム)からなる。この第1ケース110は、直方体箱状であり、各々矩形状をなす第1主壁部111、第2主壁部112及び4つの側壁部113~116(第1側壁部113、第2側壁部114、第3側壁部115及び第4側壁部116)を有する。第1ケース110の内側面には、絶縁性の樹脂からなるコーティング層119が全面にわたり形成されている。このコーティング層119により、負極電位とされた第1ケース110が電解液103と接触するのを防止できるので、第1ケース110が電解液103に含まれるLiと反応して合金を形成するのを防止できる。
【0020】
第1主壁部111及び第2主壁部112は、側壁部113~116よりも面積が広い。第1主壁部111及び第2主壁部112は互いに対向しており、第1主壁部111がケース厚み方向CHの一方側CH1(図3中、右手前側、図5中、上側)、第2主壁部112はケース厚み方向CHの他方側CH2(図3中、左奥側、図5中、下側)に位置する。
一方、側壁部113~116は、第1主壁部111と第2主壁部112の間を結んで、ケース厚み方向CHにそれぞれ延びている。第1側壁部113と第2側壁部114は互いに対向しており、第1側壁部113がケース高さ方向AHの上側AH1、第2側壁部114がケース高さ方向AHの下側AH2に位置する。また第3側壁部115と第4側壁部116は互いに対向しており、第3側壁部115がケース幅方向BHの一方側BH1、第4側壁部116がケース幅方向BHの他方側BH2に位置する。
【0021】
この第1ケース110は、矩形状の開口121cを有する有底角筒状で、内部に電極体150を収容したケース本体部材121と、ケース本体部材121の開口121cを塞ぐ矩形板状の蓋部材131とから構成されている。このうちケース本体部材121は、前述の第2主壁部112及び4つの側壁部113~116をなしている。一方、蓋部材131は、前述の第1主壁部111をなしており、蓋部材131の蓋周縁部131fとケース本体部材121の開口121cの開口周縁部121fとが全周にわたり気密に接合(本実施形態では溶接)されている。
【0022】
第1ケース110の上壁部でもある第1側壁部113には、第1ケース110の内圧が開弁圧を超えたときに破断して開弁する安全弁117が設けられている。また第1側壁部113には、第1側壁部113を貫通する注液孔113kが設けられており、アルミニウムからなる円板状の封止部材118で気密に封止されている。
また第1側壁部113には、第1ケース110内で、電極体150の負極集電部150dが接続し導通している。従って、第1電池100の第1ケース110は、負極電位となっている。
【0023】
更に第1側壁部113のケース幅方向BHの中央部には、正極外部端子160が第1側壁部113と絶縁された状態で第1側壁部113に固設されている。具体的には、第1側壁部113のケース幅方向BHの中央部には、第1側壁部113を貫通する挿通孔113hが設けられており、この挿通孔113h内に正極外部端子160が挿通され、正極外部端子160が第1ケース110の内部から第1ケース110の外部まで延びている。
【0024】
正極外部端子160は、第1側壁部113の外側(上側AH1)に位置する矩形板状の外部端子部材161と、主に第1側壁部113の内側(下側AH2)及び挿通孔113h内に位置する内部端子部材162とからなる。外部端子部材161及び内部端子部材162はアルミニウムからなる。内部端子部材162は、後述する電極体150の正極集電部150cに接続し導通する一方、第1側壁部113の内側から挿通孔113hを通じて第1側壁部113の外側まで延び、更に外部端子部材161を貫通して外部端子部材161に加締め接続されている。
また正極外部端子160と第1側壁部113は、絶縁部165を介して絶縁されている。この絶縁部165は、各々絶縁性の樹脂からなり、第1側壁部113の外側及び挿通孔113h内に位置する外部樹脂部材166と、第1側壁部113の内側に位置する内部樹脂部材167とからなる。
【0025】
次に電極体150について説明する。電極体150は、複数の正極板151と複数の負極板154を、樹脂製の多孔質膜からなるセパレータ157を介して交互にケース厚み方向CHに積層したものである。正極板151、負極板154及びセパレータ157は、それぞれケース高さ方向AH及びケース幅方向BHに拡がる矩形状をなす。
各正極板151は、ケース幅方向BHの中央において上側AH1に延出する正極箔露出部151rを有し、各々の正極箔露出部151r同士が厚み方向に重なって正極集電部150cを形成している。この正極集電部150cは、正極外部端子160の内部端子部材162に溶接により接続し導通している。
また各負極板154は、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部近傍において上側AH1に延出する負極箔露出部154rを有し、各々の負極箔露出部154r同士が厚み方向に重なって負極集電部150dを形成している。この負極集電部150dは、第1ケース110内で第1側壁部113に溶接により接続し導通している。
【0026】
正極板151は、アルミニウム箔からなる正極集電箔と、この正極集電箔の両主面上にそれぞれ形成された正極活物質層とからなる。正極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な正極活物質粒子を含んでいる。また正極集電箔の一部は、前述のようにケース幅方向BHの中央において上側AH1に延出しており、その両面に正極活物質層が存在せずに露出した正極箔露出部151rとなっている。
負極板154は、銅箔からなる負極集電箔と、この負極集電箔の両主面上にそれぞれ形成された負極活物質層とからなる。負極活物質層は、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能な負極活物質粒子を含んでいる。また負極集電箔の一部は、前述のようにケース幅方向BHの他方側BH2の端部近傍において上側AH1に延出しており、その両面に負極活物質層が存在せずに露出した負極箔露出部154rとなっている。
【0027】
次に第2電池200について説明する(図6図8参照)。なお、第1電池100と同様な部分の説明は、省略または簡略化する。この第2電池200は、正極電位とされた第2ケース(ケース)210と、第2ケース210内に収容された直方体状で積層型の電極体250と、第2ケース210に絶縁しつつ支持された負極外部端子270等から構成されている。
【0028】
第2ケース210は、第1電池100の第1ケース110と同様の形態を有する。即ち、第2ケース210は、第1主壁部111、第2主壁部112及び4つの側壁部113~116を有する直方体箱状であり、有底角筒状のケース本体部材121と矩形板状の蓋部材131とから構成されている。但し、この第2ケース210の内側面には、コーティング層が形成されていない。
【0029】
第2ケース210の第1側壁部113には、第2ケース210内で、電極体250の正極集電部250cが接続し導通している。従って、第2電池200の第2ケース210は、正極電位となっている。
また第2電池200では、第1側壁部113のケース幅方向BHの中央部に、負極外部端子270が第1側壁部113と絶縁された状態で第1側壁部113に固設されている。具体的には、第1側壁部113に設けられた挿通孔113h内に、負極外部端子270が挿通され、負極外部端子270が第2ケース210の内部から第2ケース210の外部まで延びている。
負極外部端子270は、第1電池100の正極外部端子160と同様な形態を有しており、外部端子部材271と内部端子部材272とからなる。なお、負極外部端子270の外部端子部材271及び内部端子部材272は、銅からなる。また負極外部端子270と第1側壁部113は、外部樹脂部材166及び内部樹脂部材167からなる絶縁部165を介して絶縁されている。
【0030】
電極体250は、正極集電部250c及び負極集電部250dの形態が第1電池100の電極体150の正極集電部150c及び負極集電部150dと異なるが、それ以外は第1電池100の電極体150と同様である。
電極体250の正極集電部250cは、ケース幅方向BHの他方側BH2の端部近傍に設けられている。この正極集電部250cは、正極板251のうち、上側AH1に延出する正極箔露出部251r同士が厚み方向に重なったものであり、第2ケース210内で第2ケース210の第1側壁部113に溶接により接続し導通している。
一方、電極体250の負極集電部250dは、ケース幅方向BHの中央に設けられている。この負極集電部250dは、負極板254のうち、上側AH1に延出する負極箔露出部254r同士が厚み方向に重なったものであり、負極外部端子270の内部端子部材272に溶接により接続し導通している。
【0031】
次いで、電池モジュール1について説明する(図1及び図2参照)。電池モジュール1は、複数の電池対10と、隣り合う電池対10同士の間にそれぞれ介在する絶縁スペーサ(絶縁部材)20と、これらを収容するモジュールケース40とを備える。
各電池対10は、それぞれ前述の第1電池100と第2電池200から構成され、第1電池100の第1ケース110と第2電池200の第2ケース210とが溶接されている。
【0032】
具体的には、第1電池100の第1ケース110の第1主壁部111と、第2電池200の第2ケース210の第2主壁部112とが対向するように、第1電池100と第2電池200がケース厚み方向CH(積層方向SH)に積層された状態で、第1電池100の第1主壁部111の周縁部111sと第2電池200の第2主壁部112の周縁部112sとが全周にわたり溶接されている。これにより、第1電池100の負極電位とされた第1ケース110と、第2電池200の正極電位とされた第2ケース210とが導通され、第1電池100と第2電池200が直列接続されている。
【0033】
電池モジュール1が備える複数の電池対10は、それぞれ絶縁性の樹脂からなる矩形板状の絶縁スペーサ20を介して積層方向SHに積層されている。これにより、本実施形態の電池モジュール1では、すべての第1電池100及び第2電池200が積層方向SHに積層されている。
絶縁スペーサ20を介して積層方向SHに隣り合う電池対10の第1電池100の正極外部端子160と第2電池200の負極外部端子270とは、積層方向SHに延びる矩形板状のバスバ(導電接続部材)30を介して電気的に接続されている。なお、バスバ30と正極外部端子160または負極外部端子270とはそれぞれ溶接により接続されている。
モジュールケース40は、樹脂からなり、矩形状の開口40cを有する有底角筒状である。
【0034】
本実施形態の電池モジュール1は、前述のように第1電池100及び第2電池200を有する電池対10を複数備える。
各第1電池100は、第1ケース110が電極体150の負極集電部150dに導通し、第1ケース110が負極外部端子を兼ねているので、負極については絶縁部材が要らない。このため、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された電池(不図示)に比べて、部品点数を少なくすることができる。
また各第2電池200は、第2ケース210が電極体250の正極集電部250cに導通し、第2ケース210が正極外部端子を兼ねているので、正極については絶縁部材が要らない。このため、正極外部端子及び負極外部端子がそれぞれケースと絶縁された電池(不図示)に比べて、部品点数を少なくすることができる。
また電池対10をなす第1電池100の第1ケース110と第2電池200の第2ケース210とが導通しているので、ケースと絶縁された状態でケースに固設された電極外部端子同士を接続するのに比して、第1電池100と第2電池200を低抵抗で接続できる。
【0035】
更に本実施形態では、各々の電池対10をなす第1電池100の第1ケース110と第2電池200の第2ケース210とが溶接されている。このため、第1ケース110と第2ケース210を単に接触させた場合よりも低抵抗とすることができる。
また本実施形態では、各々の電池対10をなす第1電池100及び第2電池200を積層方向SHに積層し、各々の電池対10を絶縁スペーサ20を介して積層方向SHに積層している。このため、電池対10同士を絶縁しつつ、各々の電池対10をなす第1電池100及び第2電池200を積層した電池モジュール1とすることができる。
【0036】
次いで、第1電池100、第2電池200、及び、これらを備える電池モジュール1の製造方法について説明する。
第1電池100は、ケース本体部材121を用意し、このケース本体部材121の第1側壁部113に、正極外部端子160を固設する。また電極体150を形成し、電極体150を袋状の絶縁ホルダ(不図示)で包む。そして、ケース本体部材121に固設した正極外部端子160の内部端子部材162に、電極体150の正極集電部150cをレーザ溶接し、ケース本体部材121の第1側壁部113に、電極体150の負極集電部150dをレーザ溶接する。また電極体150をケース本体部材121内に収容する。
【0037】
次にケース本体部材121の上に蓋部材131を被せ、蓋部材131の蓋周縁部131fをケース本体部材121の開口周縁部121fに全周にわたり当接させる。そして、蓋周縁部131fと開口周縁部121fを全周にわたりレーザ溶接して、ケース110を形成する。
次に電解液103を注液孔113kを通じてケース110内に注液し、電解液103を電極体150内に含浸させる。その後、注液孔113kを外部から封止部材118で覆い、封止部材118をケース110にレーザ溶接する。
【0038】
次にこの第1電池100に充電装置(不図示)を接続して、第1電池100に初充電を行う。その後、初充電した第1電池100を所定時間にわたり静置して、第1電池100をエージングする。かくして、第1電池100が完成する。
なお、第2電池200も、正極と負極の関係が異なる以外は、第1電池100と同様にして製造する。
【0039】
次に、第1電池100の第1ケース110の第1主壁部111と、第2電池200の第2ケース210の第2主壁部112とが対向するように、第1電池100と第2電池200をケース厚み方向CH(積層方向SH)に積層する。そして、第1電池100の第1主壁部111の周縁部111sと第2電池200の第2主壁部112の周縁部112sとの境界に、全周にわたりレーザ光を照射して、第1電池100の第1主壁部111と第2電池200の第2主壁部112とをレーザ溶接する。
【0040】
次に、絶縁スペーサ20を用意し、複数の電池対10をそれぞれ絶縁スペーサ20を介して積層方向SHに積層し、これらをモジュールケース40内に収容する。その後、絶縁スペーサ20を介して隣り合う電池対10の正極外部端子160と負極外部端子270とを、それぞれバスバ30を介して接続する。バスバ30と正極外部端子160または負極外部端子270とは、レーザ溶接する。かくして、電池モジュール1が完成する。
【0041】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、実施形態では、電池対10同士の間を絶縁する「絶縁部材」として、絶縁性の樹脂からなる絶縁スペーサ20を用いたが、絶縁部材はこれに限られない。絶縁部材として、絶縁性の熱収縮フィルムからなる絶縁フィルムを用いることもできる。具体的には、第1電池100と第2電池200を溶接して電池対10を形成した後、正極外部端子160及び負極外部端子270を含む近傍部位を除いて、電池対10を熱収縮フィルムからなる絶縁フィルムで覆う。その後、絶縁フィルムで覆われた複数の電池対10を積層方向SHに積層し、モジュールケース内に収容する。
【符号の説明】
【0042】
1 電池モジュール(蓄電モジュール)
10 電池対(蓄電デバイス対)
20 絶縁スペーサ(絶縁部材)
30 バスバ(導電接続部材)
100 第1電池(第1蓄電デバイス)
200 第2電池(第2蓄電デバイス)
110 第1ケース(ケース)
210 第2ケース(ケース)
150,250 電極体
150c,250c 正極集電部
150d,250d 負極集電部
160 正極外部端子
270 負極外部端子
165 絶縁部
SH 積層方向
図1
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図8