(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135435
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
H02G 1/12 20060101AFI20240927BHJP
B26B 27/00 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02G1/12 024
B26B27/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046114
(22)【出願日】2023-03-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000163419
【氏名又は名称】株式会社きんでん
(71)【出願人】
【識別番号】000221409
【氏名又は名称】東神電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜中 秀之
(72)【発明者】
【氏名】柏原 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 均
(72)【発明者】
【氏名】浜田 勇二
(72)【発明者】
【氏名】田中 健二
(72)【発明者】
【氏名】田中 楓紀
【テーマコード(参考)】
3C061
5G353
【Fターム(参考)】
3C061AA02
3C061AA26
3C061AA35
3C061EE22
5G353AA02
5G353AC02
5G353CA01
5G353DA08
5G353EA12
(57)【要約】
【課題】
電線被覆層削取工具を利用する作業員の労力を低減させる、駆動ユニットを提供する。
【解決手段】
電線被覆層削取工具700を回転させる駆動ユニット600であって、電線W0を挿通可能な挿通孔110を備えた土台部100と、挿通させた電線W0に沿って延出する挿通軸Xの周囲を回転する回転部200と、回転部200を回転駆動させる動力を入力するために、外部の動力源Z0に接続可能な連結部300と、回転部200に設けられた把持部400と、を備え、把持部400は、電線被覆層削取工具700の操作用ハンドル720の一部を把持することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線被覆層削取工具を回転させる駆動ユニットであって、
電線を挿通可能な挿通孔を備えた土台部と、
挿通させた前記電線に沿って延出する挿通軸の周囲を回転する回転部と、
前記回転部を回転駆動させる動力を入力するために、外部の動力源に接続可能な連結部と、
前記回転部に設けられた把持部と、を備え、
前記把持部は、前記電線被覆層削取工具の操作用ハンドルの一部を把持することを特徴とする駆動ユニット。
【請求項2】
前記土台部には、挿通させた前記電線に接触して回転可能なローラーが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記連結部の回転軸は、前記挿通軸に対して直角に交わることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記土台部には、前記挿通軸に対して直角に交わるハンドルが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記把持部は、前記電線被覆層削取工具の操作用ハンドルに合わせて、位置を調節可能な調節機構を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、CVケーブルなどの電線の被覆層を削り取る電線被覆層削取工具を回転させる駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高圧用CVケーブルなどの接続工事では、作業員が、特許文献1に示すような電線被覆層削取工具を用いて、ケーブルの被覆層を削り取っていた。ただ、作業員が電線被覆層削取工具を手動で回転させているので、非常に労力がかかるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本願発明は、上記問題に鑑み、電線被覆層削取工具を利用する作業員の労力を低減させる、駆動ユニットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の駆動ユニットは、電線被覆層削取工具を回転させる駆動ユニットであって、電線を挿通可能な挿通孔を備えた土台部と、挿通させた前記電線に沿って延出する挿通軸の周囲を回転する回転部と、
前記回転部を回転駆動させる動力を入力するために、外部の動力源に接続可能な連結部と、前記回転部に設けられた把持部と、を備え、前記把持部は、前記電線被覆層削取工具の操作用ハンドルの一部を把持することを特徴とする。
【0006】
上記特徴によれば、動力源の動力を利用して、電線被覆層削取工具を回動させて、電線の被覆層を削り取ることができるので、作業員の労力を低減させることができる。また、本願発明の駆動ユニットは、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルの一部を把持して回転させるため、作業員が電線被覆層削取工具を手で回転させるのと同じ方法で、電線被覆層削取工具を操作することになる。そのため、作業員が操作するように設計された電線被覆層削取工具を、駆動ユニットでも同様に操作することで、電線被覆層削取工具の設計通りの性能を十分に発揮でき、電線の被覆層を効率的に削り取れる。
【0007】
上記特徴によれば、電線被覆層削取工具の下方に駆動ユニットを接合することから、削り後のケーブル径をノギスで測定し易いのである。
【0008】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の駆動ユニットは、前記土台部には、挿通させた前記電線に接触して回転可能なローラーが設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、駆動ユニットを挿通軸に沿ってスムーズに下方へ移動させることができ、その結果、電線の被覆層を連続的に、容易に削り取ることができる。
【0010】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の駆動ユニットは、前記連結部の回転軸は、前記挿通軸に対して直角に交わることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、動力源を連結させて支える方向に延びる回転軸と、駆動ユニット全体の移動方向に延びる挿通軸とが直交することで、駆動ユニットの姿勢が安定し易く、作業が行い易いのである。
【0012】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の駆動ユニットは、前記土台部には、前記挿通軸に対して直角に交わるハンドルが設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記特徴によれば、ハンドルは、駆動ユニット全体の移動方向に延びる挿通軸と直交することで、駆動ユニットの姿勢を安定させやすく、作業が行い易いのである。
【0014】
さらに、上記課題を解決するために、本願発明の駆動ユニットは、前記把持部は、前記電線被覆層削取工具の操作用ハンドルに合わせて、位置を調節可能な調節機構を備えることを特徴とする。
【0015】
上記特徴によれば、把持部の位置を、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルに合わせて調節できるので、様々な種類や大きさの電線被覆層削取工具に、容易に対応できるのである。
【発明の効果】
【0016】
本願発明の駆動ユニットは、電線被覆層削取工具を利用する作業員の労力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は、本願発明の駆動ユニットの全体斜視図、(b)は、駆動ユニットの側面図である。
【
図4】(a)は、本願発明の駆動ユニットの把持部の拡大斜視図、(b)は、駆動ユニットの把持部の拡大側面図である。
【
図5】本願発明の駆動ユニットによって回動駆動させる対象である電線被覆層削取工具の全体斜視図である。
【
図6】電線に、駆動ユニットと電線被覆層削取工具を取り付けた状態の全体斜視図である。
【
図7】(a)は、電線被覆層削取工具を駆動ユニットに取り付ける状態の全体斜視図、(b)は、把持部周辺を拡大して示した斜視図である。
【
図8】駆動ユニットによって電線被覆層削取工具を回転駆動している状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
100 土台部
110 挿通孔
200 回転部
300 連結部
400 把持部
600 駆動ユニット
700 電線被覆層削取工具
720 操作用ハンドル
W0 電線
X 挿通軸
Z0 動力源
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本願発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0020】
まず、
図1から
図4に、本願発明の駆動ユニット600を示す。なお、
図1(a)は、駆動ユニット600の全体斜視図、
図1(b)は、駆動ユニット600の側面図、
図2は、駆動ユニット600の平面図、
図3は、駆動ユニット600の裏面図、
図4(a)は、駆動ユニット600の把持部400の拡大斜視図、
図4(b)は、駆動ユニット600の把持部400の拡大側面図である。
【0021】
図1から
図3に示すように、駆動ユニット600は、電線を挿通させることが出来る大きさの挿通孔110を備えた土台部100と、電線を挿通させることが出来る大きさの挿通孔210を備えた環状の回転部200と、回転部200を回転駆動させるための動力を外部から入力するための連結部300と、回転部200に設けられた把持部400とを備える。なお、駆動ユニット600を構成する土台部100、回転部200、連結部300、及び把持部400は、金属や強化プラスチックなど、実際の使用に耐えることが出来るのであれば、任意の素材によって製造できる。
【0022】
また、
図3に示すように、土台部100は、裏面側にローラー500を備えている。このローラー500は、土台部100の裏面側において、挿通孔110の両側に配置されたスライド板120に設けられている。このスライド板120は対になっており、各スライド板120は、互いの距離を固定調節ノブ130によって調節して固定できる。
【0023】
具体的には、土台部100の挿通孔110に挿通させた電線の外径に応じて固定調節ノブ130を右回転又は左回転させ、一対のスライド板120を互いに近づけたり、遠ざけたりできる。例えば、電線の外径が小さく、ローラー500が電線に接触出来ない場合は、固定調節ノブ130を右回転させて一対のスライド板120を互いに近づける。すると、スライド板120に設けられた各ローラー500は、挿通孔110の中央に移動して電線に密着できる。
【0024】
また、各ローラー500は、回転軸510回りに回動できるように構成されている。そして、各ローラー500は、挿通孔110に挿通している電線の表面に密着しながら回動できるので、駆動ユニット600の土台部100は、電線に沿って滑らかに上下に移動できる。また、各ローラー500が回動しないように、板状の回転止具520が設けられている。この回転止具520をローラー500に宛がうことで、ローラー500が回転しないように止めることができ、駆動ユニット600の土台部100が電線に沿って上下に移動しないように仮保持が可能である。なお、ローラー500は、合計4つ設けられているが、これに限定されず、任意の数だけ設けてもよい。特に、ローラー500を4つ設けた場合は、各ローラー500を電線に接触させることで、電線被覆層削取工具を電線の中心で保持した状態で、電線の被覆層を削り取れる。なお、ローラー500を2つ以上設けた場合であっても、同様に、電線被覆層削取工具を電線の中心で保持した状態で、電線の被覆層を削り取ることが可能である。
【0025】
また、連結部300は、電動工具などの外部の動力源に接続可能であり、電動工具に連結可能なシャフト310を備える。このシャフト310の末端には第一歯車311が固定されており、この第一歯車311には第二歯車312が連結されている。また、回転部200の外周には、第二歯車312にかみ合う歯203が設けられており、回転部200は平歯車の態様となっている。そのため、電動工具の動力によって、シャフト310が回転すると、シャフト310の末端に固定された第一歯車311が回転し、第一歯車311にかみ合う第二歯車312も回転する。そして、第二歯車312にかみ合う歯203を備えた回転部200全体は、挿通孔210に挿通した電線の回りを任意の方向(
図2の矢印参照)に回転することができる。なお、連結部300は、シャフト310によって外部の動力源と連結する態様であるが、これに限定されず、外部の動力源と連結できるのであれば、連結穴の態様など、任意の構成であってもよい。
【0026】
また、土台部100の挿通孔110と回転部200の挿通孔210は上下に重なっており、後述するように、電線を上下方向に挿通させることができる。そして、挿通させた電線に沿った挿通軸Xは、挿通孔110と挿通孔210の中央付近を通り、鉛直方向に上下に延出している。さらに、外部の動力源に接続されたシャフト310は、回転軸Yを中心に回転するが、この回転軸Yは挿通軸Xと直角に交わっている。後述するように、電線の被覆層を剥ぎ取る際は、作業員は、シャフト310に連結された電動工具を支えつつ、駆動ユニット600全体を下方へ誘導していく。そのため、電動工具を連結させて支える方向に延びる回転軸Yと、駆動ユニット600全体の移動方向に延びる挿通軸Xとが直交することで、駆動ユニット600の姿勢が安定し易く、作業が行い易いのである。なお、回転軸Yは挿通軸Xと直角に交わっているが、これに限定されず、回転軸Yの方向は任意に設定できる。
【0027】
さらに、土台部100には、ハンドル150が設けられている。電線の被覆層を剥ぎ取る際は、作業員は、シャフト310に連結された電動工具を片方の手で支えつつ、もう片方の手でハンドル150を把持して、駆動ユニット600全体の姿勢を水平に保つように維持する。そして、ハンドル150は、駆動ユニット600全体の移動方向に延びる挿通軸Xと直交することで、駆動ユニット600の姿勢を安定させやすく、作業が行い易いのである。なお、ハンドル150は挿通軸Xと直角に交わっているが、これに限定されず、ハンドル150の方向は任意に設定できる。また、ハンドル150と土台部100との連結箇所はヒンジ151になっているので、ハンドル150を使用しない時は、ヒンジ151でハンドル150を内側に折り畳んでコンパクトにできる。
【0028】
また、ハンドル150と連結部300は、挿通軸Xを挟んで相対した配置であると共に、直線状に配置されている。当該配置によって、作業員が、連結部300に連結された電動工具を片方の手で支えつつ、もう片方の手でハンドル150を把持する際に、駆動ユニット600の両側をバランス良く支えることが出来るので、駆動ユニット600全体の姿勢を水平に維持し易くなる。
【0029】
また、把持部400は、回転部200に2つ設けられている。
図4に示すように、把持部400は、回転部200から上方へ突出するように設けられ、回転部200の上に固定された土台部410と、土台部410から上方へ延出するアーム部420と、アーム部420の先端に設けられた固定部430とを備える。土台部410には、スライド溝411が設けられており、そのスライド溝411の内側にアーム部420が取り付けられている。そのため、アーム部420はスライド溝411内で前後に(
図4(a)の矢印参照)スライドできる。例えば、後述する電線被覆層削取工具の操作用ハンドルが内側寄り(挿通軸Xに近い側)に配置される場合は、アーム部420をスライド溝411内で内側寄りにスライドさせて、操作用ハンドルを把持する固定部430全体を内側に移動させる。反対に、後述する電線被覆層削取工具の操作用ハンドルが外側寄り(挿通軸Xから離れる側)に配置される場合は、アーム部420をスライド溝411内で外側寄りにスライドさせて、操作用ハンドルを把持する固定部430全体を外側に移動させる。このように、把持部400の位置を、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルに合わせて調節できるので、様々な種類や大きさの電線被覆層削取工具に、容易に対応できるのである。なお、アーム部420がスライドした任意の位置で固定出来るよう、固定ノブ412が設けられている。
【0030】
また、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルの位置に合わせてスライド可能な調節機構は、アーム部420とスライド溝411から構成されているが、これに限定されず、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルの位置に合わせてスライド可能な構成であれば、調節機構は任意の構成であってもよい。また、把持部400は、回転部200に2つ設けられているが、これに限定されず、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルの数に合わせて任意の数だけ設けてもよい。
【0031】
また、固定部430は、上板431と側板432と下板433とを備えた略コ字形状をしており、その把持開口434が、回転部200の回転方向に向いている。さらに、上板431の先端には、回転軸438によって、カバー435が回動可能に取り付けられている。このカバー435の先端436は、下板433の先端のロック孔437に嵌めることができる。そして、後述するように、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルを、把持開口434内へ配置した際に、カバー435を下方へ回動させる。さらに、カバー435の先端436をロック孔437へ嵌めることで、カバー435は把持開口434の前方を塞いでロックした状態となる。そのため、把持開口434内に配置された操作用ハンドルは、把持部400から外れないように固定される。
【0032】
なお、固定部430は、上板431と側板432と下板433とを備えた略コ字形状をしているが、これに限定されず、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルを固定できるのであれば、任意の構成であってもよい。また、把持部400は、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルを回転部200の回転方向に沿って把持する構成となっている。そのため、把持部400は、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルを把持し易く、また、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルに回転部200の回転力を効率的に伝達できる。
【0033】
また、固定部430の側板432には、当接部440が設けられている。この当接部440は、支持部441と、支持部441の先端に取り付けられた頭部442を備えており、頭部442は支持部441に対して角度を変更可能に構成されている。そして、頭部442は、電線被覆層削取工具の操作用ハンドルに直接当接する部分であり、操作用ハンドルの姿勢に追従して、最適に当接できるように、頭部442は角度を調節する機能(いわゆる、首振り機能)を備えている。
【0034】
次に、
図5を参照して、駆動ユニット600によって回動駆動させる対象である電線被覆層削取工具700について説明する。なお、
図5は、電線被覆層削取工具700の全体斜視図である。
【0035】
図5に示すように、電線被覆層削取工具700は、電線を挿通可能な挿通孔711を備え、電線の外周を包囲する包囲部710と、包囲部710から外側へ突出するように設けられた操作用ハンドル720と、挿通孔711に面するように配置されたローラー730と、電線の被覆層を削り取る削取刃740とを備えている。なお、この電線被覆層削取工具700は、
図5に示す構成に限定されず、操作用ハンドル720を備えた電線被覆層削取工具であれば、特許文献1に示す既存の電線被覆層削取工具など、任意の構成であってもよい。
【0036】
では次に、
図6から
図8を参照して、本願発明の駆動ユニット600の使用態様について説明する。なお、
図6は、電線W0に、駆動ユニット600と電線被覆層削取工具700を取り付けた状態の全体斜視図、
図7(a)は、電線被覆層削取工具700を駆動ユニット600に取り付ける状態の全体斜視図、
図7(b)は、把持部400周辺を拡大して示した斜視図、
図8は、駆動ユニット600によって電線被覆層削取工具700を回転駆動している状態の斜視図である。
【0037】
まず、
図6に示すように、作業員は、CVケーブルなどの電線W0の上端から、駆動ユニット600の挿通孔110に電線W0を挿通させて、駆動ユニット600を下側へ移動させる。そして、駆動ユニット600を任意の高さで仮固定するために、固定調節ノブ130を回動させ、各ローラー500で電線W0の周囲を挟み込む。
【0038】
次に、電線W0の上端から、電線被覆層削取工具700の包囲部710に電線W0を挿通させる。そして、作業員は、電線被覆層削取工具700の削取刃740を電線W0の外被覆層W2に当接させた状態で、操作用ハンドル720を手で把持して、電線被覆層削取工具700を回転させる。電線被覆層削取工具700のローラー730は、電線W0の周方向に沿って回転するので、電線被覆層削取工具700は挿通軸Xの周囲をスムーズに回転できる。その際、削取刃740の突出長さ(導体W1へ向けての切り込み深さ)を変更することで、電線W0の外被覆層W2や内被覆層W3を任意の深さで削り取ることができる。なお、ここまでは、電線W0の外被覆層W2や内被覆層W3を任意の深さで繊細に(例えば、内被覆層W3の切削面がテーパー形状になるように)削り取るため、作業員が、電線被覆層削取工具700の操作用ハンドル720を手で持って手作業で行う。
【0039】
次に、外被覆層W2を連続して削り取る際に、切削時間の短縮と作業員の負担軽減のため、
図7に示すように、電線被覆層削取工具700を駆動ユニット600に装着する。具体的には、電線被覆層削取工具700の操作用ハンドル720と駆動ユニット600の把持部400が、同じ高さになるように、駆動ユニット600を電線被覆層削取工具700へ向けて上方へ移動させる。そして、操作用ハンドル720の一部(例えば、軸部721など、操作用ハンドル720の一部であれば任意の場所でよい)を把持部400の把持開口434に挿入してカバー435を閉じれば、操作用ハンドル720は把持部400から外れないように把持された状態となる。
【0040】
さらに、把持部400の当接部440の頭部442は、操作用ハンドル720の軸部721に当接している。また、頭部442は角度を調節する機能(いわゆる、首振り機能)を備えている。そのため、後述するように、把持部400が操作用ハンドル720を押し出して回転させる際に、頭部442が、軸部721とより多くの面積で最適に当接して、力を効率的に伝達できるように、頭部442は当接角度を調節できる。なお、
図7(b)では、片側の把持部400を片側の操作用ハンドル720に取り付ける様子を示しているが、実際には、両方の把持部400のそれぞれを、各操作用ハンドル720に取り付けている。
【0041】
次に、
図8に示すように、電動工具などの外部の動力源Z0を連結部300のシャフト310に接続する。この動力源Z0は、連結部300に連結できる既存の電動工具であれば、任意の工具を利用でき、例えば、電動ドリルのチャックなどの連結穴Z1にシャフト310を挿入して連結固定する態様であってもよい。
【0042】
そして、作業員は、動力源Z0を一方の手で把持し、他方の手で駆動ユニット600のハンドル150を把持し、駆動ユニット600を支持する。その状態で、動力源Z0を駆動させて回転動力を駆動ユニット600に伝えると、駆動ユニット600の回転部200は挿通軸Xの周囲を一方向(例えば、
図8に示す矢印のように、時計回り)に回転する。すると、回転部200に固定された把持部400は、電線被覆層削取工具700の操作用ハンドル720を挿通軸Xの周方向に沿って押し出し、電線被覆層削取工具700を回転させる。それに伴い、電線被覆層削取工具700の削取刃740が電線W0の外被覆層W2を削り取るのである。このように、本願発明の駆動ユニット600によれば、動力源Z0の動力を利用して、電線被覆層削取工具700を回動させて外被覆層W2を削り取ることができるので、作業員の労力を低減させることができる。
【0043】
また、本願発明の駆動ユニット600は、電線被覆層削取工具700の操作用ハンドル720を把持して回転させるため、作業員が電線被覆層削取工具700を手で回転させるのと同じ方法で、電線被覆層削取工具700を操作することになる。そのため、作業員が操作するように設計された電線被覆層削取工具700を、駆動ユニット600でも同様に操作することで、電線被覆層削取工具700の設計通りの性能を十分に発揮でき、電線W0の被覆層を効率的に削り取れる。
【0044】
次に、作業員が駆動ユニット600を挿通軸Xに沿って下方へ移動させると、電線被覆層削取工具700は回転しながら下方へも移動するので、電線W0の外被覆層W2を連続的に削り取れる。特に、駆動ユニット600のローラー500が挿通軸Xに沿って回転できるので、作業員は、駆動ユニット600を挿通軸Xに沿ってスムーズに下方へ移動させることができ、その結果、電線W0の外被覆層W2を連続的に、容易に削り取ることができる。
【0045】
なお、本願発明の駆動ユニット600の回転部200は、把持部400を押し出すことで回動可能に構成されている。つまり、動力源Z0の動力の有無に関わらず、把持部400に力を加えることで、回転部200は回動できる。例えば、把持部400を操作用ハンドル720に取り付ける際、把持部400が操作用ハンドル720に近接するように、作業員は、把持部400に力を加えて回転部200を回動させてもよい。また、作業員が被覆層を繊細に削り取りたい場合は、把持部400に連結されたままの操作用ハンドル720を、手で操作して、電線被覆層削取工具700を回動させる事も出来る。つまり、駆動ユニット600を取り外さなくても、作業員は、電線被覆層削取工具700を手作業で操作できるのである。
【0046】
なお、本願発明の駆動ユニットは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。